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2025年3月20日 (木)

【金融・企業法務】退職慰労金の決定にかかる取締役会の裁量権 最判令和6年7月8日判決

 3月から、(公社)商事法務研究会に入会しました。商事法務研究会に入会した目的は、印象ですが、現在、仕事の70%程度くらいが、会社や団体の役員としての職務、また、企業や病院等の団体からの顧問業務に費やされているため、いわゆる企業法務をより深く勉強するためということにあります。

 商事法務研究会に入会しますと、旬刊商事法務が届きます。今回は、No2384号(3月5日号)が届きました。

 54頁程度の小冊子で、分量が厚くない分、読みやすさを感じます。

 さて、その中に、退職慰労金の決定にかかる取締役会の裁量権を論じた最判令和6年7月8日を検討した論文が掲載されていました。

 最判令和6年7月8日の判決要旨は以下のとおりでした。

 退任取締役の退職慰労金につき、退任時の報酬月額等により一義的に定まる額を基準とするが、退任取締役のうち在任中特に重大な損害を与えたものに対しこの基準額を減額することができること等を定める内規が存在する株式会社の株主総会において、取締役を退任する者の退職慰労金について、上記内規に従って決定することを取締役会に一任する旨の決議がされた場合に、次の(1)~(4)など判示の事情の下では、上記会社の取締役会がした、上記の者に対し、同人の退職慰労金に係る基準額として算出した3億7720万円から減額した額である5700万円の退職慰労金を支給する旨の決議に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるということはできない。

 (1)上記取締役会は、上記の者が、代表取締役在任中に、①長期間にわたって上記会社から社内規程所定の上限額を超過する額の宿泊費等を受領し、このことが発覚した後には、いったん負担した当該超過分に係る源泉徴収税相当額を上記会社に転嫁するとともに、社内規程に違反する宿泊費等の支給を実質的に永続化する目的で自らの報酬を増額したこと、②複数年度にわたり、交際費として従前の支出額を大幅に超過する額を上記会社に支出させるなどしたこと等を考慮して上記決議をした。

 (2)上記の者と利害関係のない弁護士等で構成された調査委員会による調査等の結果をとりまとめた調査報告書では、上記①の行為は特別背任罪に該当する疑いがあり、上記②の行為も正当化することができず、上記の者はこれらの行為により上記会社に多大な損害を与えたとの指摘がされた。

 (3)上記決議は上記調査報告書の内容を踏まえたものであったところ、上記調査委員会が調査等に当たって収集した情報に不足があったことはうかがわれない。

 (4)上記取締役会は、上記①の行為につき告訴をして退職慰労金を支給しないとする上記調査委員会から提示された案も検討したが、審議の結果、告訴をせずに退職慰労金を大幅に減額する旨の判断に至った。

 第1審、第2審ともに、退任取締役勝訴としているので、最高裁で、大逆転したわけです。

 在職中に問題のある行為をされていた代表取締役の方だったようですが、まあ、3億円はあきらめきれなかったのでしょうね

 

20250312_182146
(日浦・丸味) 

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