【行政】宮古島市断水訴訟差戻審判決
判例タイムズNo1527号で掲載された福岡高裁令和5年12月21日判決です。
機械の故障で断水が発生したという事案ですが、被告になった宮古島市(Y)は、水道事業給水条例16条3項で、水道施設の損傷による断水は免責されるとして、反論していました。
しかしながら、最高裁令和4年7月19日判決は、前記条例16条3項は、Yが水道法15条2項ただし書により水道の使用者に対し給水義務を負わない場合において、当該使用者との関係で給水義務の不履行に基づく損害賠償責任を負わない旨を確認した規定に過ぎず、Yが給水義務を負う場合において同義務の不履行に基づく損害賠償責任を免除した規定ではないと判断して、高裁に差し戻しをしました。
差戻後の高裁では、水道法15条2項にいう「正当な理由」の成否が問題となりました。
第15条
1 水道事業者は、事業計画に定める給水区域内の需要者から給水契約の申込みを受けたときは、正当の理由がなければ、これを拒んではならない。
2 水道事業者は、当該水道により給水を受ける者に対し、常時水を供給しなければならない。ただし、第40条第1項の規定による水の供給命令を受けたため、又は災害その他正当な理由があつてやむを得ない場合には、給水区域の全部又は一部につきその間給水を停止することができる。この場合には、やむを得ない事情がある場合を除き、給水を停止しようとする区域及び期間をあらかじめ関係者に周知させる措置をとらなければならない。
高裁では、40年間にわたって修繕を怠ったことを理由に、水道法15条2項の「正当な理由」があるとはいえないと判断して、Yを敗訴させています。
老朽水道管が原因で全国で断水が多数発生しているということは周知の事実です。
そうすると、個人的には、断水に対する補償が必要となるケースはかなり多くなるのではないかと思います。
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