【行政】コロナと公表
判例タイムズNO1528号で掲載された高松高裁令和5年7月13日判決です。
徳島のラーメン屋さんにコロナ感染者が立ち寄ったために、徳島県がお店の名前を公表してしまい、お店から、名誉・信用・営業の自由・財産権が侵害されたとして、国賠法1条1項に基づき、慰謝料等の支払を求めたという事案です。
主な争点の1つとしては、本件店名公表が相当なものであったかどうかです
感染症法16条1項及び厚労省から発出された事務連絡を踏まえると、Y(徳島県)は、特定の場所において新型コロナウィルス感染症が発症した場合において、一定の範囲では、関係者の同意を得ることなく当該場所の名称を公表することができるから、Eが同意をしていないことをもって、本件店名公表が直ちに違法となるものではないとした上で、
地方公共団体であるYによる情報の公表は、①公表の目的の正当性、②公表の必要性、③公表方法の相当性の諸点に照らして相当なものでなければならず、当該公表が上記の観点から是認できず、その公表により関係者が何らかの損害が生じた場合には、Yは、国家賠償法1条1項に基づき上記損害を賠償する責任を負うとし、上記①②③の有無を検討した上で、本件店名公表はこれをすべて満たすとして、Y(徳島県)が、X(ラーメン屋)に対して、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を負うことはないと判断しました。
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