<(_ _)>

🚓交通事故🚓

🚚 書籍紹介(流通)

« 2025年1月 | トップページ | 2025年3月 »

2025年2月

2025年2月28日 (金)

【金融・企業法務】内部統制入門講座 J-SOXへの対応

 月刊監査役2月号の内部統制入門講座です。今回は、J-SOXへの対応(2023年改訂)について、基本から解説されています。

 1 財務報告に係る内部統制の品質は、全社的な内部統制の品質が基盤となる。

 2 全社的な観点から整備・運用・評価する決算・財務報告プロセスは、取締役会における承認の直前プロセスとして、J-SOXにおける要、あるいは最後の砦ともいえる。外部監査人としても、統制環境に次いで重視する分野であり、取締役会や監査役等においても、今回の改訂によって、注視することが明示的に求められている。

 3 業務プロセスの中で、必要とされる内部統制の機能を果たすプロセスがコントロールであり、全てのプロセスがコントロールとなるわけではない。文書化の対象は、このコントロールである。

 4 文書化の3点セットは、その高い効用を再認識し、プロセスマイニングやAIを活用した更なる効率化を検討すべきであり、特にRCMは、不正リスクへの対応や、サステナビリティ報告においても活用可能である

 5 テクノリジーリスクが、事業リスクや財務報告リスクに影響を与え始めていることに留意する。特にレガシーシステムは、二つの大きな問題、つまり、本社や海外関係会社などにおける脆弱性につけ込まれるサイバー攻撃による甚大な被害、及び、イノベーション投資とレガシー対応に向けたシステムにおける技術的負債への対応投資がせめぎあいとなるといった課題がある中、これらの課題への対応状況を見極める必要がある。

 6 整備状況の評価の結果、有効であると判断された場合に初めて、運用状況の評価に進む。これは整備が不十分なコンロトールの運用状況を評価する意味がないからである。そもそも効率の悪いプロセスについて、評価したり外部監査を受けたりするような不効率な積み重ねに陥らぬよう注意が必要である

 7 J-SOX担当要員の確保育成については、今後の非財務報告、例えばサステナビリティ報告などに視野に入れ、経営環境の変化により、ビジネスモデルの進化などが内部統制にどのような影響を与えるのか、将来の見通しを持ち、全社的な観点から、財務・非財務報告に係る内部統制の見直しが図れるような人材が内部統制担当部門に不可欠となる。

 8 今回のJ-SOXの改訂を機に、経営者のみならず、監査役等も一緒になって、J-SOXとして何をどこまで実質的に対応すればいいのか、事業リスクからくる重要な財務報告リスクとは何か、J-SOX対応の実効性をどうすれば最大化できるか、といった点に着目して外部監査人とコミュニケーションを適時に行う

 9 16年以上前にJ-SOX導入時の保守的な仕組みが残ったままで適切に解消されてていないか再吟味し、経営者の強いリーダーシップの下、少なくともproject to Processの視点からプロジェクト状態を脱して、効率性の高い定常非行を更に目指すべきである。

20250223_131404

(楢原山)

 あ~ 難し😵

2025年2月27日 (木)

【行政】コロナと公表

 判例タイムズNO1528号で掲載された高松高裁令和5年7月13日判決です。

 徳島のラーメン屋さんにコロナ感染者が立ち寄ったために、徳島県がお店の名前を公表してしまい、お店から、名誉・信用・営業の自由・財産権が侵害されたとして、国賠法1条1項に基づき、慰謝料等の支払を求めたという事案です。

 主な争点の1つとしては、本件店名公表が相当なものであったかどうかです

 感染症法16条1項及び厚労省から発出された事務連絡を踏まえると、Y(徳島県)は、特定の場所において新型コロナウィルス感染症が発症した場合において、一定の範囲では、関係者の同意を得ることなく当該場所の名称を公表することができるから、Eが同意をしていないことをもって、本件店名公表が直ちに違法となるものではないとした上で、

 地方公共団体であるYによる情報の公表は、①公表の目的の正当性、②公表の必要性、③公表方法の相当性の諸点に照らして相当なものでなければならず、当該公表が上記の観点から是認できず、その公表により関係者が何らかの損害が生じた場合には、Yは、国家賠償法1条1項に基づき上記損害を賠償する責任を負うとし、上記①②③の有無を検討した上で、本件店名公表はこれをすべて満たすとして、Y(徳島県)が、X(ラーメン屋)に対して、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を負うことはないと判断しました。 

20250223_105345
(木漏れ日の橋)
 以前は、コロナ感染で全国がピリピリしていた時期が長く続きました。今は、かなり様相が変わり、外国人観光客も、コロナ前を超えたようです。
 
 観光客が増えたのはいいことだとは思いますが、ホテルの宿泊料が大幅にUPしていることが田舎弁護士にはつらいところです💧

2025年2月26日 (水)

【弁護士研修】賠償科学 No52

 田舎弁護士も入会している日本賠償科学会から、機関誌が送られてきました。

 第82回研究会・シンポジウム「頭部外傷による高次脳機能障害の評価と社会復帰における課題」

 第83回研究会・シンポジウム「せん妄の基本病態と医療安全」

 そして、新判例診断として、「任意入院患者の無断離院事件」が採り上げられていました。 

20250215_123516
(竜神平)
 元々日本賠償科学会に入会したのは、損保弁護士として活躍していたころに、医療の知識をより一層深めたいという思いで参加したのがきっかででした。
 
 今では、損保弁護士からは身を引き、もっぱら、交通事故被害者のための田舎弁護士として弁護活動をしております。
 なお、第85回研究会は、むち打ち損傷問題の現在と題して、6月7日に東京で、第86回研究会は、職場暴力、介護事故(転倒と誤嚥)と題して、12月13日にさいたまで開催される予定です。

2025年2月23日 (日)

【行政】 公職選挙法って !?

 田舎弁護士が生活している地域でも選挙があったので、少し、公職選挙法のお勉強をしました。

 2冊購入しました。

 1冊目が、ぎょうせいの実務と研修のためのわかりやすい公職選挙法です。う~ん わかりやすいのかな?

 2冊目が、選挙運動150問150答です。こちらは、具体的ケースが多くて、わかりやすかったです。

 2冊目の方は、今話題となっているケースについての解説もされています。

 「コンサルタント名目でも報酬を支払うのは注意が必要です。

 選挙コンサルタントに報酬を支払うことには注意が必要です。公職選挙法は、選挙運動員に対する報酬の支払いを原則として禁止しています。選挙コンサルタントと名乗っていても、選挙運動を現実に行い、選挙陣営の指揮命令下にない場合は、公職選挙方の選挙運動員に該当します。したがって、そのような場合に選挙コンサルタントに報酬を支払うことは選挙運動員に対する買収となり、罰則の対象となります」(P110)

 ポイントは、選挙運動に関する活動を行い、選挙陣営の指揮命令下にない場合には、買収行為に該当するということです。

 次に、「自発的な有給休暇での参加でない限りできません。

 勤務中の従業員に選挙の手伝いをさせることは、会社が従業員に金銭を支払って選挙運動に従事させることになり事前買収罪となります。従業員が自らの意思で有給休暇を取得し、選挙運動に従事する場合は問題ありません。しかし、有給休暇の形式だけと整えても問題は解消しません。選挙前後において会社が従業員に対価を支払ったとされる危険があるので注意してください」(P264)

 「選挙ポスター作成を受注した者が選挙運動を行えるか。

 選挙ポスターは、外部業者に依頼して作成するのが通常です。では、選挙ポスター作成業務を受注した者が、当該選挙ポスターに掲載されている候補者の選挙運動をサポートすることはできるのでしょうか。発注費用が、選挙ポスターの作成にかかる費用として相当な金額にとどまる場合であれば、当該金額はポスター作成の対価にとどまり、仮に選挙運動ボランティアとして活動したとしても、運動員買収と捉えられることはないと考えます。ただし、かかる切り分けは難しい場面も想定されることから、受注前に、業務委託契約書や見積書、請求書などで、受注範囲と金額が他の案件受注と比して相当な水準の範囲に収まるよう定めておくことが必要といえます」(P265)

 

 なんか、公職選挙法って、めんどい😵

20250209_102650
(木漏れ日の橋)

 

 

2025年2月22日 (土)

【交通事故】MIC 関節の医療画像鑑定セミナー 第1弾「肩」 に、WEBで参加しました😅

 MIC様主催の関節の医療画像セミナー 第1弾「肩」に、参加しました。

20250209_134440
(楢原山)
 以下、先生の説明をベタ打ちしました😅

◎後遺障害等級の認定要件(肩関節)

 8級6号(用廃)、10級10号(著障)(1/2)、12級6号(単障)(3/4)、12級13号(証明)又は14級9号(説明可能)

 画像診断としては、12級13号又は14級9号で必要

◎肩の外傷によって生じる変化

 可動域制限は、筋腱の損傷で生じる ※靱帯損傷や関節唇損傷は痛みによる可動域制限や不安定 これらの軟部組織はCTやX線画像では明らかにならない。

 X線で写らない組織 CRやXPではわからない。鑑定書でしっかり指摘すること。

 MRIは、骨の中の組織の状態がわかる、筋肉や靱帯等の軟組織の状態がわかる、炎症の程度や時期がわかる

 事故が原因で生じた病変であることが説明できる

◎肩の解剖

 肩関節を構成する骨 肩複合体 棘上筋、棘下筋、肩甲下筋

 肩外傷で障害される代表的疾患

  腱板損傷(断裂) 棘上筋、棘下筋 肩甲下筋 小円筋

  上腕二頭頭(※ポパイの腕の部分)腱損傷

  上腕骨大結骨折

  脱臼(※派手な所見)後関節唇損傷(※失念することが多い)

◎靱帯と腱の違い

  とは、筋の先端部で繊維が細くなり繊維化して骨に付着している部分=筋と骨を繋いでいる繊維(繊維質が多くて束になっている)

  筋の収縮を骨に伝える←可動域制限の原因となる

  靱帯とは、骨と骨をつないで関節を安定させる繊維性結合組織 腱よりは組織密度が高い

  骨を動かす機能は無く、関節の動きを安定化させる、固定させる ← 可動域制限の原因とはならない 動揺関節で問題となる

  靱帯を切れると可動域が拡がることがある

  棘上筋腱 インペジメント症候群  断裂しやすい

  断裂といっても軽症のもから完全断裂まで含まれており、曖昧な表現なことが多い 

  損傷は治る、断裂は治らないというイメージあり

  「損傷」 挫傷、過伸展、層間剥離、微少断裂

  「断裂」 層間剥離、微少断裂、部分断裂、表層、下層、滑液包側(※割とおおい)、骨側断裂、全層断裂(ピンホール断裂)(必ずしも完全断裂ではない)、完全断裂

  組織損傷(浮腫)に関するMRI画像の所見

   T2強調系 白く見える 信号上昇 高輝度 液体貯留(水は明瞭な白) ※損傷すると浮腫ができて白く写る

   T1強調系 灰色~黑 信号低下 低輝度 液体貯留(水は明瞭な低信号だが出血があると少し信号が高い

◎骨の損傷

  骨折 骨(皮質)の破損 ひびが入る、砕ける、折れる

  骨挫傷 骨の形は保たれており、骨の中の組織の損傷(骨髄浮腫)の状態 X線単純画像では骨挫傷はわからないことがある

  骨折線が明らかでない場合、骨挫傷と骨折は曖昧に用いられる

  大結節裂離骨折 骨が引っ張られて剥がれる 剥離骨折とは異なる 

  剥離骨折 骨の衝突や摩擦が原因で生じる骨折(直達外力)

  裂離骨折 骨の筋の牽引力が作用して付着部の損傷を生じる場合(直達外力ではない)

◎症例提示

 腱板損傷 腱板断裂  強制的な牽引力や突き上げによるてこの作用が加わると生じる

  腕が引っ張られる状況 転倒で突き上げられる状況 肩の上外側部の強打

 上腕二頭筋損傷(※ポパイの腕) 見つけられぬくい

 肉離れ 筋肉の損傷  

 打撲による大結節骨折  挫傷しながら骨折する

 脱臼 割とはでな所見 骨頭が出て断裂する、ぶっかって骨挫傷

 腱板疎部損傷 腱板がない筋肉部分に損傷

◎肩の慢性病変 インピンジメント、五十肩、慢性腱板損傷、石灰沈着性腱板炎、変形性肩関節症、上腕骨骨懐死等

事故で生じた病変と慢性病変との区別

 MRIの撮影時期が事故後半年以内ならば病変の浮腫や損傷に応じた輝度変化が認められるので最新の病変といえる

 T2強調像(脂肪抑制)で高信号(白色) →他のエピソードがなければ事故で生じた可能性が高い

 石灰化、筋萎縮、水は溜まっているが浮腫がない 病変の境界が明瞭 各病変に特徴的な所見がある

症状や病態が説明できる事故の状況は非常に重要

 →筋腱が断裂する状態になるのは、強制的な牽引力が加わっている状況が必要 引っ張られるか 突き上げられるか

  歩行者、バイクや自転車で転倒した場合などは様々な損傷の可能性がある

MRIについて

 CTやCRなどのX線画像では骨の状態しかわからない

 骨折がない場合、MRIがなければそれ以上の説明ができない

 靱帯や腱の断裂や損傷、椎間板はMRIでなければ写らない

 MRIでは、病変の発症時期がわかる 超急性期 急性期 亜急性期 慢性期

 T2強調像では損傷や炎勝負が白く(高信号)写る

 肩の撮影では、その他に、STIR法、プロトン脂肪抑制 T2※等も用いられる

 CR画像しかなく、骨傷がなければ、可動域制限があわなければ12級はほぼ無理

MRIのを撮影するタイミング

 事故直後の早い時期のMRIはある方がよい

 3か月から1年は必ずいる 症状固定の直前くらい

 初回撮影が事故から1年を超えると厳しい 慢性病変と区別がつかない

 頚椎や腰椎の撮影は比較的容易

 肩、膝、手首、肘、足首などの撮影は、経験豊富が必要 ※救急外来では理学所見は丁寧にとっていないことがある

 1.5テスラー以上の新しいMRI機器での撮影が望ましい

 自動車乗車中で肩が損傷するほどの状況はかなり大きな衝撃でないと難しく、元来の病変があり悪化したと説明する方が真実に近い

 画像所見と可動域制限は関連しないこともある 完全断裂でも動く人がいる 他の筋を使って動かせる

 拘縮は左右差が必要 あっても可動域との関連は言及できない(リハビリの可能性あり)

14級9号認定のポイント

 ①同じ部位に常に支障を来す疼痛が生じている状態であること

 ②症状が不変で推移していること(事故時に比べてどんどん軽快して少しだけ痛いというレベルではないこと)

 ③事故から一定期間、一定量の治療を受けても、症状が残存してしまっている

  具体的に言えば、6か月以上の治療期間が必要で、その間に100日程度、整形外科で治療を継続していたこと 治療に専念もせず、症状が残存してもそれは自己責任 治療の継続性と症状の一貫性 整骨院の通院回数は含まない

 ④1か月以上の治療中断期間がないこと

 ※頚椎や腰椎に比べて、実は相応の画像所見があれば、関節の等級認定は得やすい印象

20250209_123558edit
(楢原山近く)

 大昔損保弁護士をしていたころは、全国各地で開催される損保協会の有料の医療セミナーを受講していました。けっこう値段も高く、また、往復の交通費も自己負担なので、地方から受講ということになれば、1回当たりでもかなりの負担になっていました。もっとも、今は、損保弁護士ではないので、このような研修には無縁の存在となりました。

 物損関係の自研センターも損保会社の推薦がありませんので、基本的には受講できておりませんが、たまに、LACの推薦で受講できることがありますね。これも受講料と交通費は自己負担となります。

 交通事故事案を取り扱う以上、専門医のお話は非常に貴重で、勉強になります。

 しかも、無料で提供していただけております😇

 田舎弁護士も、後遺障害認定申請の際には、いつも、MIC様にお世話になっております

 相談機能も充実しておりますので、画像鑑定で困ったらMIC様の利用を検討されてみて下さい😇

 

2025年2月21日 (金)

【弁護士研修】公益財団法人日弁連法務研究財団主催の九州地区研修会「婚姻費用・養育費に関するパネルディスカッション」に、WEBで参加しました。

 本日、公益財団法人日弁連法務研究財団主催の九州地区研修会「婚姻費用・養育費に関するパネルディスカッション」に、WEBで参加しました。

 内容としては、①那覇家裁(本庁)における事件の概況、②手続、③標準算定方式、④分担義務、⑤総収入の算定、⑥分担額の算定、⑦事情変更、⑧法定養育制度です。 

20250215_124009
(嫁ちゃんランチ)
① 那覇家裁(本庁)における事件の概況
  
   婚姻費用167件  審判 23%程度   
   養育費 317件  審判 10%程度
② 手続について
   合意の内容が明確である場合は、民事訴訟で解決すべきとする東京高裁判決令和5年5月25日
③ 標準算定方式について
   大都市では額は低い、地方では額が高い、沖縄的な事情はあるのか?
   →沖縄では標準算定方式を利用している 上のような主張もあまりない
④ 分担義務
   
   ◎始期について→請求時、遡及について→松本弁護士 遡及は認めてもいい場合があるのではないか
   ◎成年年齢 令和2年4月から成人年齢が18歳 →裁判所の運用は従来通り 4年生大学は22歳だが、これまでの実務は20歳 この場合はどうするのか? 母親が養育費の期間の変更申立て、子が本人となって扶養料請求をすべきか どのような運用を裁判所はされていのか→当事者に委ねている
   ◎低所得者の分担義務 生活保護者の場合はどうか? 0という運用はしておらず。ただし、0円になるケースあり
   ◎有責配偶者 →明確な場合は信義則上認めない 異性関係でも明確な証拠がなければ難しい 有責性が半々の場合は信義則は考慮しない
   ◎終期→大学が卒業した場合は本来の卒業年まで 留年した場合は? 未成熟子と扱っていいのでは(松本弁護士) 社会的に合理性が考慮される時期まで(松本弁護士) 専門職大学院 例えば2年間法科大学院に進学した場合は? 卒業するまでは未成熟子ではないか(松本弁護士) 親が同意している場合には未成熟子、事案による(藤田弁護士、井上判事)
⑤ 総収入の認定
  
   ◎非協力的な当事者(給与所得者)の場合は、市町村や勤務先に調査嘱託を行う、過去の収入、賃金センサス、生活実態の考慮
   ◎非協力的な当事者(事業所得者)の場合は、直近の確定申告書で認定 確定申告書の内容に疑問がある場合は、収支明細や決算報告書を求める、提出してこない場合は? 他の資料によって認定せざるを得ない、調査嘱託、生活実態、同種の平均賃金をセンサスでみて擬制する
   ◎複数の収入がある場合 どちらが主たる収入か
   ◎不動産収入(特有財産)は、将来継続的に得られる収入であれば加える 有価証券の配当金は、金額軽微、一時的なもの、現実に主張されない、継続的であり、金額が少なくない場合には含まれる(職業費を加算する)
   ◎取締役の収入の場合は、給与所得者と同じように扱われるのか? →同じ 小規模の取締役の場合は報酬がかなり恣意的ではないか(松本弁護士)、職業費、食料費等を会社が負担している、婚姻費用を下げるためにあえて低い、事業所得者として考えるべきではないか(松本弁護士) 
   ◎義務者の収入が低い、0の場合 転職、退職、身体的精神的な疾患で就労困難 潜在的稼働能力(井上裁判官) 義務者側に収入を擬制をしても強制執行できないのではないか? どこかに財産があるのではないか(松本弁護士)
   ◎債務の考慮 マンション1室のローンは考慮されるのか →原則としては考慮しない(井上裁判官) 修理代が加算して赤字になった場合、給料部分は赤字部分が減額できないか →事業所得は0として給与所得としてみるのではないか(井上裁判官) 複数の収入する場合には赤字もトータルで考えるべきではないか(藤田弁護士) 2つの事業収入であればわかるが、事業収入と給与収入は別ではないか(松本弁護士)
   ◎資産を考慮する場合 条文上は資産も考慮ができるが、生活費は、収入をベースなので、資産を考慮することは少ない、生活費をあてられていた法定果実は収入として扱う(井上裁判官) 資産があるが収入がないから分担しないというのは許されないのではないか、無職になって退職金を得た場合はどうか、退職金から生活費をだすべきではないか(松本弁護士)
⑥ 分担額の算定
   ◎住宅関係費→住宅ローンは住宅を確保するための費用(+資産形成) 資産形成のための費用は婚姻費用に影響しない。
   ◎権利者居住の経費 管理費は控除、積立金は控除しない、駐車場費は控除
   ◎車両のローン 夫名義が妻が使用している ローンはコンピから控除されるのか? 妻が利益を得ているので一定額の控除する 自動車税等は控除する場合がある 
   ◎家庭内別居 →いろんな形態がある(松本弁護士) 権利者側は別居と同様に考えている(藤田弁護士)ので、これを前提に修正をしていく、家計の支出の分担状況を踏まえた判断(井上裁判官)
   ◎教育費の分担 進学について義務者の同意(明示又は黙示)があった場合、進学に明確に反対している場合でも当事者の社会的地位等から私立の学校に進学することが不合理でない場合は認める(井上裁判官)
   ◎塾費用 補修前の塾費用  別居の前後 別居後の費用については、塾に行く必要性や相当性を検討(井上裁判官)
   ◎教育費の加算額の計算方法 ?
   ◎多額の分担額 大学進学費用(初年度の費用が200万円必要な場合) 義務者の基礎収入は200万円、権利者は0円の場合はどうなるのか→義務者の承諾があっととはいえないのではないか、同意していたとしても、親族の援助、奨学金等の可能性もあるので、義務者の負担について判断することになる(井上裁判官)
   ◎高校無償化 算定上考慮しない、加算を要する場合には加算を要しない(松本弁護士) 養育費の減額は相当ではない(藤田弁護士)
   ◎医療費の分担 特別経費として考慮 これを超えている金額の場合には考慮すべし 美容関係は検討が必要(藤田弁護士)           
⑦ 事情変更
   ◎収入減少  どの程度の収入減少が必要か? 前件と基礎とした事情が実情と異なった場合 どの程度だつたらというのは決められない
   ◎婚外子の認知 不貞相手に子どもができた場合? 不貞行為は不法行為、子どもが産まれた場合には慰謝料の増額事由になる 違法行為の結果、子どもが産まれた、それを理由に配偶者の婚姻費用の減額は公平に反する(松本弁護士) 義務者の収入が少ない場合にはありうるのでは(藤田弁護士) 基礎となる事情に変更があったが相当性の判断で事情変更を認めるべきかどうかは一概にいえない(井上裁判官)
   ◎義務者の再婚・縁組なし 連れ子を養子縁組した場合→離婚して短時間でした場合には事情変更にはならない、ただ、だいたいは事情変更になるのではないか(井上裁判官)、縁組みは義務者の意思でできるものなので事情変更にはならない場合があってもいいのではないか(松本弁護士) 
   ◎権利者の再婚・縁組あり →事情変更あり 
   ◎権利者の再婚・縁組みなし→事情変更なし(井上裁判官) 具体的なケースで、義務者が苦労して養育費を支払っているが、面会交流拒絶、権利者が裕福な人と婚姻するが、養育費をとらないのに養子縁組をしない場合でも、いいのか(松本弁護士) 
   ◎縁組みしたが離縁した場合→養育費の請求はできる(藤田弁護士)、権利濫用だ、そうではないといろいろ(松本弁護士)
   ◎事情変更の始期→請求時と考えるが、例外的に遡及する場合もある(井上裁判官)
            再婚を権利者が隠していた場合はどうか? 変更事由を隠していたと評価される場合には遡及もありうるが、さまざまな事情を調整していく、子の監護に使われているのであれば遡及しない場合もある(井上裁判官)
   ◎計算方法 従前の合意がどのような合意によってその額になっているのが重要(藤田弁護士)
   ◎減額変更時の清算方法 将来分から控除するのが妥当(松本弁護士)、清算すべき金額が大きい場合にはそのような場合がとれない、免除となる場合もあるので、不当利得として処理するしかない(藤田弁護士)、このような減額は避けて欲しい、権利者に苛酷になる、減額する時期をずらすとか考えて欲しい(松本弁護士)、過去分については不当利得返還請求訴訟を提訴するという見解もあるが、審判時に未払分については既払い分に充当して過払いがあると将来発生分には減額を認めるという処理もある(井上裁判官)
⑧ 法定養育費制度
  ◎令和6年5月民法改正 令和8年5月までに施行されることになっている 制度の説明
 離婚の日から法務省令の定める養育費を請求できる、終期は3つ、養育費債権は先取り特権が認められる(執行→請求異議で執行停止。家庭裁判所に分担の申立てをする必要がある。)、義務者での支払拒絶の要件 
 法定養育費が低所得者にとっては苛酷(松本弁護士) 
⑨ 質疑応答
 ◎養育費の終期 自立が社会的に期待されるか? 子どもに障害がある場合にはどう考えるのか?  生存中は養育費か(井上裁判官) 年齢が大きくなると養育費ではなくて扶養で変更か、原則はないので、行く末をみんなで考える(松本弁護士)
 ◎共同親権になった場合に、養育費はどうなるのか ステップファミリーの場合の養育費の影響?  共同親権になっても、監護をきめる、分掌を決める、いろいろあるが、監護者は共同親権の場合でもどちらかになる、そうすると、監護する方が請求している、現在でも離婚するまでは共同親権で、生活費を請求している、共同親権は養育費には影響ない、再婚を何度もされても、一番最後の養親が全部の義務を負うことになる(松本弁護士) 月替わりで監護するような場合もあるのではないかという点については、日本では珍しい、現実に発生する生活費を分担するのであるから日数で調整していくことになる
 ◎先取り特権の証明文書は? 法務省が公表していないのでわからないが、身分関係が必要だが、額を決めるものについては法務省が政令で公表するまではなんともいえない(松本弁護士)
 ◎教育ローン(連れ子)の借り入れを妻がした場合を、夫が代わりに履行したことになるが、夫が返還請求できるか? これは財産分与の問題であるが、債務は財産分与の対象ではないが、生計を維持した場合は対象となるので、その対象となる、どういう割合で分担すべきかについてはかなり意見がわかれている 2分の1という見解もある しかし、これは婚姻費用なので、2分の1にはならない (松本弁護士) 財産分与の話であるが、悩ましい(井上裁判官)
 ◎収入が0になると0と計算するが、廃業や転職もないのに、事業を継続しているというのがどういうことなのかよくわからない、収入の認定の方法だと思われる   

20250215_085448edit
(皿が嶺・湧水登山口)
 備忘録で、ベタ打ちです😁

2025年2月20日 (木)

【IT関連】 最近、ネットに誹謗中傷等の書き込みをされたというご相談の問い合わせがボツボツ増えています。

 ここ数年前から、グーグルや爆サイ等のネットに誹謗中傷等の書き込みをされたというご相談の問い合わせがボツボツと増えています。

 もっとも、この種の問い合わせに対する回答は田舎弁護士には苦手でもあるため、専門外ということでご相談を断っているところでもあります。

 他方で、全国でのご相談件数は増えているようでして、日弁連の研修等でもこの種のテーマが取り上げられることが増えました。

 さて、ネットでの誹謗中傷については、それを得意とする法律事務所が対応の概要について、比較的詳しく説明されていますので、以下、ネットで収集した情報をもとに、紹介したいと思います。

 例えば、爆サイの例では、侮辱、名誉毀損、プライバシー侵害という権利侵害があきらかな場合に、開示請求を行い、投稿者を特定します。

  まず、爆サイで書き込みをした人物を特定するためには、「悪質な書き込みの証拠」「投稿者のログ情報(IPアドレス・タイムスタンプといった通信記録)」が必要となります。

   そのため、爆サイ側が保管している「ログ情報」に関しては、まず、爆サイ側に対して、A任意による開示請求※を求めます。

   ※メール送信後、数日後に爆サイ側から折り返しのメールが送られてくるため、その内容に従って、爆サイが指定する住所に必要書類を送ります。

    但し、解説によれば、爆サイのようなネット上の掲示板では、伏せ字やイニシャルを用いて誹謗中傷するケースが多く、第三者からみて対象が明確ではないと判断された場合には、開示が認めラナイこともあること、また、爆サイなどのコンテンツプロバイダー、投稿者が利用している接続プロバイダー側が保管しているログ情報は保存期間(大体3か月程度と説明されていますが、見つけ次第早めとも説明されています)を過ぎてしまうと削除されてしまうことが説明されています。

   ここで、爆サイ側がA任意による開示請求を拒絶した場合には、B発信者情報についての仮処分申立てを行うことになります。

   B発信者情報についての関する仮処分についての弁護士費用は、解説によれば、合計で40万円~60万円、担保金については10万円~30万円と説明されています。

   さらに、C投稿者を特定するための情報が消去されないよう求める裁判所への仮処分申立ても必要ということで、ここでも担保金と弁護士費用が必要になります。                      ↓

 爆サイがIPアロです発信者情報を開示したとしても、住所、氏名、メールアドレスは、爆サイ側にないために、今度は、各プロバイダー又は携帯キャリアに、契約者の氏名、電話番号、住所などの契約者情報の開示が必要になります。

  今度は、「Who is」等のIPアロレスサーチを行い、接続プロバイダーを特定します。

                      ↓

 接続プロバイダーが特定できれば、次に、契約者情報の開示を求めることになります。

  A任意による開示請求を行い、それが認められれば問題ありませんが、ネットで収集した情報によれば、接続プロバイダーは任意での開示請求に応じることは難しいため、B契約者情報の開示を求めるため、発信者情報開示請求訴訟が必要になります。

  Bの発信者情報開示請求訴訟の弁護士費用は、解説によれば、合計で40万円~60万円と説明されています。

20250215_124712edit
(竜神平)

④ (まとめ)

 爆サイが任意で開示したとしても、次の段階での接続プロバイダーに対する契約者情報は訴訟になることが多いということで、1つの書き込みに対して、80万円~100万円程費用がかかりそうです。爆サイが任意で開示しない場合には、爆サイに対しても裁判所の仮処分申立てが必要なので担保金や弁護士費用がさらに必要ということになります。しかも、ログの保存期間は非常に短いので、弁護士相談された時点ではすでに手遅れということもありそうです😟

 やはり、田舎弁護士の事務所では取り扱うのが難しいようです😵

(参考) 

弁護士法人法の里

ネット被害・IT法務解決ガイド

Authense 

架け橋法律事務所

2025年2月19日 (水)

【金融・企業法務】 銀行法務21 2月号

 銀行法務21・2月号が送られてきました。

 インタビーは、「金融庁レポート」からみたこれからの内部監査

 経営者保証ガイドラインと廃業支援をめぐる諸論点

 REVIC金融機関向け事業再生支援の手引きを読む

 カスハラと安全配慮義務との関係

 などが、掲載されていました。

 地方の田舎弁護士が参考になるという部分は、せいぜい2割程度でしょうか。

 銀行法務21も、長年、定期購読をしてきましたが、そろそろ卒業かもしれません。

 20250215_110552edit                            (皿が嶺森林公園)

 これまで卒業した専門誌は、自保ジャーナル、交通事故民事裁判例集、交通事故判例速報、金融法務事情、事業再生と法、消費者法ニュース、JA法務くらいでしょうかね。

 現在定期購読しているのは、判例時報、判例タイムズ、月刊監査役、家庭と法、そして、3月からは、商事法務を定期購読することにしました。

 当初は、銀行の顧問をしていた関係で、金融系の専門誌が多く、途中から、損保弁護士となったため、交通系の専門誌が増え、現在では、会社や団体の役員等に就任した関係で、企業法務系の専門誌が中心になっているようです。

 取り扱う分野に応じて、読む書籍の分野にも変化があるようです😁

2025年2月18日 (火)

【金融・企業法務】 株主総会の決議に関する訴えをめぐる諸問題 NO2

 昨日の続きです。

 第1-11 議決権行使の瑕疵(3) 議決権行使の代理人資格の制限

 定款で議決権行使の代理人資格を株主に限定する定めを設けている場合において、次の者に議決権を行使させて成立した株主総会の決議は、どのような瑕疵があり得るか。

(1)株主である地方公共団体(株式会社)の職員(従業員) →決議取消事由に該当しない

(2)株主から委託を受けた代理人弁護士(ただし、当該株式会社の株主ではない) →見解が分かれる

(3)病気・高齢の株主から委任を受けた親族 →決議取消事由に該当しない

(4)株主である未成年者の法定代理人  →決議取消事由に該当しない

   ※問題と解説が些か食い違いがあるように思われます。

 第1-12 議決権行使の瑕疵(4)

 次の者が議決権を行使して成立した株主総会の決議は、どのような瑕疵があり得るか。

 (1)いわゆる委任状勧誘規則に違反して行われた勧誘に基づいて議決権の代理行使をする者 →見解が分かれる

 (2)株主の意向に反して議案に賛成の議決権行使をしようとする当該株主の代理人 →見解がわかれる

 (3)株主作成の委任状を所持して株主総会に出席したが、実際には当該株主から代理権を授与されていなかった場合 →決議の取消事由には該当しないとの見解がある

 第1-13 採決に係る瑕疵(1)

  株主総会の決議は、採決の方法などによって瑕疵が生ずることがあり得るか → 決議の取消事由に該当しうる

 第1-14 採決に係る瑕疵(2)

  招集通知に記載されていない事項について株主総会の決議がされた場合、当該決議はどのような瑕疵がありうるか →決議の取消事由に該当しうる

 第1-15 決議成立要件の瑕疵(1) 定足数

  普通決議事項につき、株主総会の定足数を満たさないまま決議がされた場合、当該決議はどのような瑕疵がありうるか

  →決議の取消事由に該当しうる

 第1-16 決議成立要件の瑕疵(2) 決議要件

 次の場合における株主総会の決議は、どのような瑕疵があり得るか

 (1)議長が、表決の後、投票の結果と異なる制限をした場合 →決議の取消事由に該当しうる

 (2)特別決議事項について、決議の要件を満たしていないことが判明した場合 →決議の取消事由に該当しうる

 第1-17 株主総会議事録の作成の不備

 株主総会議事録の作成に不備があった場合、当該株主総会の決議は、どのような瑕疵があり得るか →決議の取消事由には該当しない

 第2 株主総会の決議の無効事由

 第2-1 決議の内容の法令違反(1) 機関設計に関するもの

 次のような株主総会の決議は、無効であるか

(1)取締役会設置会社において、会社法に規定する事項及び定款で定めた事項以外の事項を内容とする株主総会の決議 →見解がわかれる 

(2)会社法の規定により株主総会の決議を必要とする事項について、取締役、執行役、取締役会その他の株主総会以外の機関が決定することができることを内容とする決議 → 原則として、決議の無効事由がある

 第2-2 決議の内容の法令違反(2) 取締役の資格等

 次のような株主総会の決議は、無効であるか

(1)会社法331条1項に掲げる者を取締役に選任する旨の決議 → 決議の無効事由

(2)公開会社において、定款に取締役が株主でなければならない旨の定めを設ける旨の決議 → 決議の無効事由

 第2-3 決議の内容の法令違反(3) 監査役の兼職禁止

(1)当該株式会社若しくはその子会社の取締役若しくは支配人その他の使用人又は当該子会社の会計参与若しくは執行役を監査役に選任する旨の決議 → 有効

(2)当該株式会社の顧問弁護士を監査役に選任する旨の決議 → 見解が分かれる

 第2-4 決議の内容の法令違反)(4) 計算書類の内容の法令違反

 定時株主総会の計算書類を承認する旨の決議は、当該計算書類の内容が法令に違反する場合は、無効であるか → 無効

 第3 決議の不存在事由

 第3-1 事実上の不存在

 株主総会の決議の不存在の確認の訴えにつき、事実上の不存在が問題となった最高裁判例にはどのようなものがあるか

 第3-2 法律上の不存在

 株主総会の決議の不存在の確認の訴えにつき、法律上の不存在が問題となった最高裁判例にはどのようなものがあるか

20250215_133054edit
(皿が嶺山頂)

 

2025年2月17日 (月)

【金融・企業法務】 株主総会の決議に関する訴えをめぐる諸問題 NO1

 判例タイムズNo1727で掲載された「決議の方法に関する瑕疵(各論)」です。

 Q&A方式で、利用しやすくなっております。

 索引しやすくするために、Qの方をまとめておきたいと思います。

 第1 決議の方法に関する瑕疵(各論)

 第1-1 特定の株主総会の決議に必要な手続の瑕疵(1)

 次の場合における株主総会の計算書類等の承認決議は、どのような瑕疵があり得るか。

(1)計算書類等について監査役等の監査を経ていなかった場合 →決議の取消事由

(2)取締役会設置会社において、招集通知に際して、計算書類等の全部又は一部が提供されなかった場合 →決議の取消事由

 第1-2 特定株主総会の決議に必要な手続の瑕疵(2)

 計算書類等の備置に不備があった場合における株主総会の計算書類等の承認決議は、どのような瑕疵があり得るか 決議の取消事由 但し裁量棄却の余地あり

 第1-3 特定の株主総会の決議に必要な手続の瑕疵(3)

 次の場合における株主総会の取締役選任の決議は、どのような瑕疵があり得るか。

(1)招集通知に株主総会の目的である事項として「取締役全員任期満了につき改選の件」との記載・記録がされ、取締役の数の記載・記録がされなかった場合 →不適法であるとはいえない

(2)複数の取締役を選任するに当たり、各株主総会で1人ずつ選任することとされた場合 →決議の取消事由

 第1-4 議事運営の瑕疵(1) 議長の選任

 株主総会の決議は、議長の選任等に関する瑕疵を生ずることがあり得るか。 → 決議の取消事由に該当する場合があり得る なお、裁判例には、決議の不存在事由に該当すると判断したものあり。

 第1-5 議事運営の瑕疵(2) 議事運営における株主の平等

 株主総会の議事運営において出席株主の一部に有利な措置を行った場合、当該株主総会の決議は、どのような瑕疵があり得るか

 →決議の取消事由に該当する場合があり得る

 第1-6 議事運営の瑕疵(3) 取締役等の説明義務

  株主総会の決議は、取締役等の説明義務に関する瑕疵を生じることがあり得るか

 →決議の取消事由に該当する場合があり得る。

 第1ー7 議事運営の瑕疵(4) 取締役等の説明義務

 株主総会の退任取締役等に対する退職慰労金贈呈議案の決議は、どのような説明義務違反による瑕疵があり得るか

 第1-8 議事運営の瑕疵(5)  株主提案権の行使

 次の場合における当該決議は、どのような瑕疵がありうるか。

 (1)取締役会設置会社が株主から株主総会前に提案された議題を無視したまま、当該株主総会で他の議題についての決議がされた場合

    →決議の取消事由の該当性は問題とならない。

 (2)議長が株主から提案された議案や動議を取り上げないまま、株主総会の決議がされた場合

    →決議の取消事由に該当しうる

 第1-9 議決権行使の瑕疵(1) 議決権行使の妨害

 株主総会の決議に当たり、株主の一部の議決権の行使が制限された場合、当該決議は、どのような瑕疵があり得るか

    →決議の取消事由に該当しうる

 第1-10 議決権行使の瑕疵(2) 名義書換未了の株主等

 株式会社が次の者に議決権を行使させて成立した株主総会の決議は、どのような瑕疵があり得るか

 (1)株主名簿の記載又は記録がされていない株主(名義書換未了の株主)

    →決議の取消事由には該当しない

 (2)譲渡制限株式の譲渡を受けたが、当該株式会社の承認を受けていない者(譲受人)

    →決議の取消事由に該当しうる 

20250215_152046edit
(皿が嶺登山道)

 

 

 

 

 

2025年2月13日 (木)

【金融・企業法務】 四国生産性本部 企業会計研究会 第7例会 人的資本など非財務情報の開示と経営(安福健也公認会計士) 備忘録(^^♪

 非財務情報開示のこれまでとこれからとして、記載ルール(有価証券報告書)サステナビリティに関する考え及び取組みについての説明が安福先生からありました。

 ●気候変動・人的資本

 SSBJ 適用基準 一般基準 気候基準 →(生物多様性・生態系&生態系サービス)(人的資本)

 適用会社 プライム上場企業 適用時期 2027年3月期

 人的資本に関する戦略並びに指標及び目標のうち、重要なものについて記載(有報の優先順位が高くなっている)

 人材の育成に関する方針 社内環境整備に関する方針を、戦略において記載

 ●開示ガイドライン5-16-2

 将来情報の具体的な説明記載と実際の結果が異なった場合でも、直ちに虚偽記載の責任を負うべきものではない

 検討された内容の概要を記載

 敢えて記載しない場合等は、虚偽表示等の責任を負う可能性あり

 ●開示ガイドライン

 従業員の状況 管理職に占める女性労働者の割合 男性労働者の育児休業取得率 労働者の男女の賃金の差異

 ●記述情報の開示の好事例集(金融庁) 第1弾 全般的要求事項 第1弾 個別テーマ(知的財産権) 第2弾 気候変動寒冷 第3弾 人的資本、多様性、人権

 第4弾 開示全体に関わるポイント

 1 経営陣やガバナンスによるリーダーシップの発揮、経営者の意思表示、経営陣の意向を示すことが重要

 2 サステナに関する活動にととまらず、活動の結果や過程で何に貢献しようとしているのかを開示(有用)

 3 全体的要求事項の開示 執行側だけではなく監督側についても記載することが重要 

  監督側 取締役会が経営陣をどのように監督しているのかを記載(有用)、取締役会等の監督機関への報告頻度・報告内容 

  執行側 議論の頻度内容、サステナ関連のリスクと機会の優先順位づけの方針を記載

 4 全般的要求事項の開示(戦略) 企業理念や経営戦略にサステナ戦略がどのように関わるかを開示(有用)

 5 同(リスク管理) リスクと機会も識別、評価、管理するための過程を記載(必要)(再確認)

 6 同(指標及び目標) その指標(KPI)を選定した理由や、他社と比較が難しい独自指標のい場合には定義を開示することが有用

●好事例集自体はボリュームが多くなっている。

 目次 全般的要求事項についての開示事例

 気候変動、多様性、人権を順次みていく。

 経緯や問題意識 

 開示項目ごとに主管部門で記載内容を作成、関連部門を巻き込み、主体性をもって作成

 企業理念、事業戦略、事業運営とサステナの取り組みの関連性をより明確に提示

 プロセスの工夫など

 早めの段階で、主管部門が経営幹部、関連部門トップの意向確認を行った

 企画段階から投資家と直接対話を行い、期待&ニーズをヒアリング

 充実したことによるメリット 

 財務と非財務をむすびつける取り組みを推進する動機付けやきつかけとなった

 法定開示書類でコンパクトにまとまったサステナ情報を提供し、投資家への説明が円滑化

 開示をするに当たっての工夫

 任意報告書で開示していた内容(取組テーマ、指標、目標)を有報記載ルールに従って記載

 ISSB基準を見据えて、TCFDの枠組みに沿った章立てに再編成

 以下は、個別の会社の好事例を説明されました。 

20250211_143854edit
(石鎚山連峰)
 ●環境省は輸送は任意と言っていたが、SSBJ基準案の概要 気候基準案第58項をみると、上流の輸送 を入れている。
 ●人的資本 男性育休取得率(4月1日以降施行 従業員300人超の会社は公表義務対象)3月決算会社は、2025年6月末公表期限 ※育児介護休業法改正
  男女の賃金差異 公表義務 従業員301人以上の事業主 ※女性活躍推進法
  最もジェンダー多様性が高い企業は、高率の収益を計上(ボストンコンサルティング) 異なる性別者から見逃していた視点の追加

 

2025年2月 7日 (金)

【弁護士考】 弁護士の横領事案の報道がとまらない😵

 最近、報道で、弁護士が横領などをしたという報道に接することが増えました。

  大変残念なことです。

 例えば、宮崎の弁護士が交通事故の賠償金として預かった180万円余りのお金を依頼人に渡さず着服した容疑で逮捕されたようです。所属されている弁護士会が聴き取りした際には、数千万円規模で着服したと述べていたようです。

 また、熊本の弁護士が預かり金から360万円余り横領した容疑で逮捕されたようです。弁護団が聴き取りした際には、9000万円を私的に使ったと述べていたようです。

 さらに、広島の弁護士が20年から24年5月までの4年間で相続財産など1億3000万円余り横領したとして、裁判となり、検察が懲役5年を求刑したという報道もありました。

 横領したとされる金額も、桁違いです。。。

 25年程前でしょうか。田舎弁護士だけではなくて少なくない数の弁護士が、司法改革と称する改悪は悪徳弁護士を生み出すとして強く反対しましたが、案の定、弁護士の数が必要以上に増えて、当時から予想されていたことが顕在化しています。

 田舎弁護士が弁護士登録したころは、弁護士が逮捕されるなんてほとんどきいたことがありませんでした。田舎弁護士の記憶では、年に1,2回程度に過ぎず、しかも、全国的に大きく報道されたものです。

 それが現在では珍しくないことになりました。

 長い時間を経て、ここまで弁護士の数が増えてしまった以上、昔のような状態に戻すのは難しいと考えざるを得ません。

 困りごとがあり、弁護士に相談して依頼したところ、依頼した弁護士に騙されるというようなことも、現実に発生しております。

 弁護士に依頼される場合には、少なくとも、複数の弁護士と相談して、よいと思った弁護士に依頼して下さい。

 よい弁護士であれば、依頼をされようとする事件のリスクや弁護士費用について明確に回答してもらえると思います。また、事務所内が乱雑なところや、過度に派手なところは、避けた方がいいでしょう。 

Original_477f57357bdb4cf6b36795099f1ed89
(西条の裁判所)
 文系の資格試験の中では、難易度は低下したものの、いまだに、司法試験が一番難しいとは思いますが、その割には、それに見合う収入はいただけない仕事になっております。もっとも、弁護士は困っている方をサポートするという仕事ですので、現在でも十分なやりがいはありますが、困っている人を作り出してしまうということになれば、本末転倒もはなはだしいところです。
 横領や詐欺をした弁護士は、最低でも、10年程度の拘禁刑に処せられるべきです。
 お客様からの預かり金だけは、弁護士である以上、死守するべきです。 
 こんな当然のことができなくなる弁護士が増えているようです。
 

2025年2月 5日 (水)

★★当事務所へのご相談及びご依頼について★★

 業務の効率化のために、1月からご相談についてのシステムを大きく変更しました。

 顧問先様及び取引先様を除いて、当事務所への電話による連絡については、一旦、代行の方が取り次ぐ形になります。

 代行の方にて、①当事務所へご相談できる見込み時期(現時点では2月中旬以降)、②有料相談(個人であれば1時間以内で1万1000円となります。事業者であれば個人の倍額。)のみとなっていること(法テラスは利用できません)、③対面での相談が原則となっていることを、説明の上、それら(①~③)を前提にご相談されたいという方のみ、後日、当事務所電話受付担当から、お電話を差し上げるということにいたしました。

 そして、当事務所電話受付担当から、利益相反の有無を確認の上、ご相談内容の概要をうかがいます。

 ご相談にあたっては、ヒアリングシート等に記入していただく必要がありますので、相談開始予定時刻の20分程前に当事務所においで下さい。

 次のご相談者様が待機されているため延長はできませんので、1時間以内でご相談は終了とさせていただきます。

 なお、当事務所電話受付担当がご相談内容の概要をうかがい、その概要について弁護士と相談した結果、①期限等があるために速やかに他の法律事務所等に相談した方がよいと思われる事案、②当事務所では一見として対応困難と考えられる事案、③書面作成依頼だけの事案などについては、他の法律事務所等にご相談されるようお伝えしております。ご相談者様が依頼を希望しているにもかかわらず、ご相談に出向かれるお客様のご負担を軽減するための対応ですので、ご理解下さい。

 また、ご相談をお受けしても、ご相談内容の結果、費用対効果(例えば10万円を回収するために弁護士費用を10万円をかけることが合理的な選択といえるのか等)等の見地から、ご依頼についてはお断りさせていただくこともあります。 

20231223_1338272_20250205205801
(八王子城からみる富士)
 当事務所は、弁護士1名、スタッフ2名の小さな小さな田舎の事務所ですので、お客様の多種多様なご要望(無料相談、電話相談、夜間や休日相談、モーニングコールなど)を全てかなえることができるような体制をとっておりません。
 なお、当事務所では後日のクレーム発生回避のため他の法律事務所を紹介させていただくことはしておりません。愛媛県内の法律事務所については、愛媛弁護士会のHPを参照の上、願います。

 

2025年2月 4日 (火)

【行政】宮古島市断水訴訟差戻審判決

 判例タイムズNo1527号で掲載された福岡高裁令和5年12月21日判決です。

 機械の故障で断水が発生したという事案ですが、被告になった宮古島市(Y)は、水道事業給水条例16条3項で、水道施設の損傷による断水は免責されるとして、反論していました。

 しかしながら、最高裁令和4年7月19日判決は、前記条例16条3項は、Yが水道法15条2項ただし書により水道の使用者に対し給水義務を負わない場合において、当該使用者との関係で給水義務の不履行に基づく損害賠償責任を負わない旨を確認した規定に過ぎず、Yが給水義務を負う場合において同義務の不履行に基づく損害賠償責任を免除した規定ではないと判断して、高裁に差し戻しをしました。

 差戻後の高裁では、水道法15条2項にいう「正当な理由」の成否が問題となりました。

 第15条  
1 水道事業者は、事業計画に定める給水区域内の需要者から給水契約の申込みを受けたときは、正当の理由がなければ、これを拒んではならない。
2 水道事業者は、当該水道により給水を受ける者に対し、常時水を供給しなければならない。ただし、第40条第1項の規定による水の供給命令を受けたため、又は災害その他正当な理由があつてやむを得ない場合には、給水区域の全部又は一部につきその間給水を停止することができる。この場合には、やむを得ない事情がある場合を除き、給水を停止しようとする区域及び期間をあらかじめ関係者に周知させる措置をとらなければならない。

 高裁では、40年間にわたって修繕を怠ったことを理由に、水道法15条2項の「正当な理由」があるとはいえないと判断して、Yを敗訴させています。

 老朽水道管が原因で全国で断水が多数発生しているということは周知の事実です。

 そうすると、個人的には、断水に対する補償が必要となるケースはかなり多くなるのではないかと思います。 

20250201_095236
(アンパンマン号)

2025年2月 1日 (土)

フジ宇和島店を訪ねましたよ☺

 フジ宇和島店を訪ねました。

 フジ宇和島店は、フジの第1号店です。1967年10月に開店しました。 

Original_1e3e3da53d6a4b2c9c53881e281bf9c
(当時の様子)
 実は、田舎弁護士と同級生(同じ年齢)になります。
 
 現在は、営業収益年8000億円を超える会社になりましたが、その会社の第一号店が宇和島なんですね。
 
20250131_115635
(前景)
 宇和島を訪ねた際には、必ず1回は立ち寄るようにしております。
 
Original_00c28e09ede5492cbe709b28241f929
(フードコート)
 ただし、残念なお知らせです。1月21日をもって、2Fのフードコートと、1Fの薄墨羊羹のお店が閉店となります。
 特に、2Fのフードコートは便利でしたので、残念です。

Original_eb2f3efa510447ec90196bdde8203be
(しょうゆの棚)
 醤油やみそは所せましとありましたが、地元のものは、最下段に陳列されていたのは、少し残念でした( ;∀;)
 ワインは、主流が1000円以下のものでした。大好物のアスリナワインはおいてなかったです。。。
 Original_d5b60be46b73436d80adcbc1b2198bb                         (フジの歴史がわかるコーナー)
 そうそう。フジ宇和島店の特徴として、フジの歴史コーナーがあるんですよ(。・ω・。)ノ♡
 広島から、愛媛の宇和島に出店して、宇和島、そして、愛媛で、大きく育ててもらったフジの歴史がよくわかります💓

 宇和島においでになられたら、ぜひぜひ、フジ宇和島店を訪ねてくださいね。
 
 

« 2025年1月 | トップページ | 2025年3月 »

2025年3月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

🏦 書籍紹介(企業法務・金融)

無料ブログはココログ