【子ども】 児童相談所長には保護者の意思に反して強制的に面会交流の求めを拒絶する権限があるか、その法的根拠をどこに求めるのかという問題
判例時報第2610号で紹介された①大阪高裁令和5年8月30日付判決と、②大阪高裁令和5年12月15日判決です。
①事件及び②事件は、いずれも、保護者(親権者)が、児童福祉法33条に基づく児童の一時保護中において児童との面会を求めたところ、児童相談所長が児童虐待防止法12条1項によらず児童との面会通信を拒絶(あるいは制限)したことは違法であると主張して、大阪府に対して国賠法上の慰謝料請求を行った事件です。
①事件及び②事件においては、児童相談所長は、児福法33条の2第2項に規定する監護に関する「必要な措置」として、保護者の意思に反しても(すなわち強制的に)面会通信の制限を行うことができるかが争点となりました。
①事件判決は、これを否定し、児童虐待防止法12条1項によらない面会通信制限を行政指導と解し、保護者の任意の協力がなかった時点以降の面会通信制限は違法と判断して、慰謝料請求を一部認容した原審(大阪地裁令和4年3月24日判決)の判断を是認しました。
他方、②事件判決は、これを肯定し、慰謝料請求を棄却した原審(大阪地裁令和5年4月27日判決)の判断を是認しました。
①事件判決、②事件判決ともに、最高裁に上告されておらず、確定されています。
解説でも、「この度、相前後して出された2つの高裁判決が真っ向から異なる解釈論を展開したことで問題点が浮き彫りになったといえる」とコメントがされています。
実務も混乱しますね😵
(旧東予・そば宏)
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