【相続】 選任審判主文に掲げられた案文どおり遺産分割協議を成立させた特別代理人に、善管注意義務違反がないとされた事例 東京地裁令和5年9月22日判決
このブログでも、昔、選任審判主文に掲げられた案文どおり遺産分割協議を成立させた特別代理人に賠償責任が求められた岡山地裁・広島高裁岡山支判の裁判例を紹介させていただいた記憶があります。
今回は、特別代理人の責任を否定しました。
裁判所は、まず、特定の遺産分割協議書案のとおり遺産分割協議をすることについての特別代理人を選任する旨の家庭裁判所の審判は、特定分割案のとおり遺産分割協議をすることが被後見人の利益を保護する観点から不相当ではないことを前提とすること、遺産分割は特別受益等を考慮して定められる具体的相続分を基準としてされるものであり、相続人である被後見人の死崇徳文がその法定相続分又は指定相続分に満たないような遺産分割協議であっても直ちに被後見人の利益を保護する観点から不相当であるとはいえないことからすると、
特別代理人が特定分割案のとおり遺産分割協議をすることは、そのことが合理性を欠くと認めるべき特段の事情がない限り、特別代理人としての善管注意義務に違反するものではないと基準を示しました。
そして、裁判所は、本件の特定分割案は、弁護士及び税理士が関与して作成され、Zの全ての遺産及びその分割方法が個別具体的に記載されていること、
Xの法定相続分は25%であるのに対して特定分割案を前提とするXの取得割合は約19%であることを踏まえれば、
特別代理人として選任され法律や会計に関し専門的な知識・知見を有しないYにおいて、Zの生前の事情などを考慮すれば遺産分割においてXの取得分が少なくなることも不当ではなく、特定分割案の内容は相当であると考えて特定分割案どおり遺産分割協議を成立させたことが合理性を欠くとうことはできないとして、Yには善管注意義務違反はないと判断しました。
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