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2024年12月 2日 (月)

【学校】英語担当の外国人専任教員について、大学の実情や採用、更新の経緯を検討して、労契法19条2号による更新を認めた上で、さらに、同法18条1項に基づく無期転換権の行使により期間の定めのない労働契約上の地位にあることを認めた事例 令和5年1月30日長崎地裁判決

 判例時報2602号で掲載された令和5年1月30日長崎地裁判決です。

 X(ベルギー国籍)は、平成23年3月1日に国立大学法人Yとの間で、3年間の有期労働契約を締結し、教育職員(助教)として医学英語等を担当していました。

 Yは、期間3年の平成26年3月1日付け更新(1回目更新)及び期間2年の平成29年3月1日付更新(2回目更新)を前提として、平成30年11月13日、Xに対して、期間満了後の平成31年3月1日以降、更新を拒絶する旨の通知(本件雇い止め)しました。

 背景に平成25年4月1日から施行された労契法18条の改正により、5年を超える労働者については、無期転換権を付与されることになり、本件でも、施行後の通算期間5年を超える直前での雇い止めの効力が問題となりました。

 労契法19条2号に基づく3回目の契約の更新について、裁判所は、常用性、更新の回数、雇用の通算期間、雇用期間管理の状況、雇用継続を期待させる使用者の言動等を基礎付ける諸事情の有無について検討しました。

 Xは、恒常的に医学部の英語教育に関する必須科目や選択科目を担当し、英語教員として必要な付随的業務等を担当してきたこと

 本件労働契約が、不更新条項にかかわらず、実質的な審査等がされた形跡がなく、形式的な手続で2回更新され、契約期間が通算8年間に及んでいたこと

 Xが、Y大学の長期的視野に立つと考えられる新規方針の一貫として、医学英語担当の外国人専任教員として採用され、採用過程において、その旨伝えられていたことなどの諸事情を考慮して、Xの本件労働契約更新への期待について、労契法19条2号所定の合理的な理由があると認めました。

 ★労契法19条2号

  当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること

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(笠松山・モウセンゴケ)
 そして、本判決は、本件雇止めについて、労契法19条本文所定の合理性及び相当性の欠如を検討し、
 Xが医学英語担当の外国人専任教員として必要な担当能力を有していたこと
 
 Y医学部の教育変更方針に伴う外国人専任教員削減の必要性は1名分にとどまり、同方針変更やこれに伴う影響について事前に説明せず、対応検討の機会を設けないまま、必要な範囲を超えて人員削減したことなどから、合理性を欠き、
 さらには、本件雇止めの時期が同種職種の就職先を探すためには不十分で、他の配属先を探すために誠実に対応したともいえないことから、社会通念上相当性を欠くとして、同条2号により更新を認め、その上で、Xは無期転換権を行使したから、本件労働契約は、同法18条1項により期間の定めのない労働契約に転換されたと認めました。
 国立大学法人側にとって、厳しい判断です。

  

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