「グラス・ルイス」は、機関投資家がその受託者責任を果たすためのサポートを提供する議決権行使助言会社として、2003年に設立されました。
機関投資家は、グラス・ルイスの助言方針に基づいて議決権行使を行うことが常ですので、助言方針の改定の内容については理解しておく必要があります。
(西条・東寿し)
第1は、ジェンダー・ダイバーシティです。プライム市場上場企業の取締役会には、10%以上の多様な性別の取締役を求めているところですが、2024年からは、プライム市場上場企業の例外条項を撤廃しました。
第2は、取締役会と監査役会の馴れない防止です。2025年から、社外取締役や社外監査役の在任期間が12年以上の場合、取締役会や監査役会のなれ合い等への取組が不十分と判断し、役員選任に責任があると思われる取締役に対して、反対助言を行うことになりました。
第3は、政策保有株式に関する方針として、導入以来「対連結純資産の10%」基準を満たさない場合でも、企業の縮減目標や実施時期などの取組を評価し例外的に反対助言を見送るという例外条項を設定していたが、2025年からこの例外条項をさらに厳格化しました。
第4は、取締役会に対してサイバーセキュリティの監督体制の構築とその開示を求める方針を制定しました。
第5は、気候変動関連問題に対する取締役会の説明責任と助言方針の適用方法を2024年に向けて更新しました。
なお、第1に関連する指摘として、「過去5年間のデータを見ると、社外女性取締役の数は2020年から2024年にかけて倍増している一方で、社内女性取締役の数はほぼ横ばいだった。また、女性取締役の約50%が複数の上場企業の取締役や監査役を兼任しているのに対し、男性取締役の兼任率は約16.2%と低く、女性取締役の過度な負担が示唆される。このことは、女性取締役の総数が増加している一方で、企業が社外の女性取締役に依存し過ぎており、社内での取締役候補者の育成や選任が不十分であることを物語っている。」と解説されています。
社内での取締役候補者の育成や選任がもっとも大切なことかなと田舎弁護士も思います。
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