【学校】 学校法人のガバナンス
月刊監査役11月号での羅針盤です。改正私立学校法が令和5年5月8日に公布され、関連政省令とともに令和7年4月1日から施行されます。改正の理由は、日大事件などの不祥事を受けて、学校法人のガバナンス改革の推進が目的です。
具体的には、「執行と監視・監督の役割の明確化・分離」を基本理念としつつ、私立学校の特性に応じた形で「建設的な協働と相互けん制」の確立が可能となるように、改正が行われ、ガバナンスに関連する主な改正点は、次のとおりです。
①学校法人(私立学校を設営運営する主体)には理事、理事会、監事、評議員及び評議員会並びに理事選任機関を置く。
②理事選任機関が評議員会以外の場合は、評議員会の意見を聴取する。
③理事長の選定は理事会で行う。
④監事の選解任は評議会の決議によって行い、役員近親者の就任を禁止する。
⑤理事と評議員の兼職を禁止する。
⑥評議員会は、選任機関が機能しない場合にに理事の解任を選任機関に求めたり、監事が機能しない場合に理事の行為の差止請求・責任追及を監事に求めたりすることができる。
⑦理事・理事会により選任された評議員の割合や、評議員の総数に占める役員近親者及び教職員等の割合に一定の上限を設ける。
⑧大臣所轄学校法人等は会計監査人を必置とし、そのうち規模の大きい法人等には内部統制システムの整備を義務化する。
監事についても、①監事の選任は、旧規定では、評議員会の同意を得て理事長が選任するとされていましたが、改正法では、評議員会の決議に委ねられました。監事の選任に関する議案の提出については、監事の過半数の同意を得ることが必要になりました。大臣所轄学校法人は、常勤監事が必置となりました。さらに、監事は、その選任若しくは解任又は辞任について評議員会での意見陳述権が与えられました。
監査役設置会社の株主総会のガバナンスに近くなったように感じます。
なお、今回の改正のきっかけとなった日大ですが、現在の役員構成を調べてみました。
理事長を除く理事は全部で23名ですが、弁護士等法学系の理事がなんと8名です。監事も、4名のうち1名が弁護士です。ガバナンスについての、日大の本気度が伝わってきそうです😄
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