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2024年12月

2024年12月31日 (火)

2024年(令和6年)も、あっという間に過ぎてしまいました。

 2024年(令和6年)も、あっという間に過ぎてしまいましたね。

 2024年を振り返りたいと思います。

 まず、弁護士業務(個人分野)では、交通事故の依頼が減少し、他方で、離婚や扶養等の家事事件の依頼が増加したように感じます。

 交通事故が減少した一因としては、物損交通事故は今治簡裁に係属することが多いのですが、今治簡裁の民事訴訟は毎週水曜日に限定されているため、毎週水曜日に定例の会議が入っている田舎弁護士は依頼を受けにくいという環境にあります。他方、むち打ち損傷を中心とする後遺障害認定手続については、相変わらず一定数あります。来年は、WEB会議を活用して、1件位は簡裁民事訴訟が受けられるようスケジュールを調整したいと考えております。

 また、離婚や扶養等の家事事件については、男女共に依頼数が多くなっております。

 いずれにせよ、5年位前と比較するのであれば、弁護士業務(個人分野)については、3分の1程度くらいにまで減少しているのではないかと思います。相手方の代理人がほとんど市外県外なので、今治の他の弁護士へ依頼というよりは、ネット経由で東京や松山等の弁護士に依頼されている方が増えているように感じております。

 今治で発生した法的なトラブルは、今治の弁護士にて解決できるよう、今治支部所属の各弁護士が市民から信頼される弁護士であらねばならぬと強く感じております。

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                           (八王子城跡・曳き橋)

 次に、弁護士業務(企業法務等)では、年々顧問先数も増えて、日々の相談業務が大幅に増えているように感じます。また、法的紛争にまで発展するケースも増えており、それに対応させていただくことも増えているように感じております。会社法、労働基準法、売掛金回収等が中心的な相談です。

20241221_112505                               (堀切)

 最後に、役員としての業務です。株式会社フジ、株式会社田窪工業所、株式会社アリスタ木曽、国立大学法人愛媛大学の役員に就任しております。その中で、株式会社フジは、春に本社機能を広島に移転したことに伴い、広島での会議が増えて、広島出張が増えました。

 肌感覚としては、役員としての業務が、全ての仕事の半分以上を占めているように感じます。また、最も勉強しなければならない分野の仕事でもあります。

 15年位前は、仕事の相当数が交通事故の損保会社からの依頼でした。現在は、0件です。

 10年位前は、仕事の大半が過払い金の依頼でした。現在は、0件です。

  5年位前は、仕事の相当数が交通事故の被害者案件の依頼でした。現在は、かなり減少しております。

  今は、顧問先への日々の相談業務と役員としての業務が、全体の7~8割を占めるのではないでしょうか。

  顧問先様からの顧問料と役員としての報酬で事務所経営が成り立っており、ある意味では安定はしているともいえるかもしれません。

  来年も、地域の新たな顧問先様を得て、良質なリーガルサービスを地域の皆様に提供していきたいと考えております。

  皆様には、今年も大変お世話になりました。

  良いお歳をお迎え下さい。 

2024年12月30日 (月)

【労働・労災】 外国人の技能実習に係る監理団体の指導員が事業場外で従事した業務につき、労働基準法38条の2第1項にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たらないとした原審の判断に、違法があるとされた事例 最高裁令和6年4月16日判決

 判例時報2607号で掲載された最高裁令和6年4月16日判決です。

 

 1 本件本訴請求は、上告人に雇用されていた被上告人が、上告人に対し、時間外労働、休日労働及び深夜労働に対する賃金の支払を求めるなどするものである。上告人は、被上告人が事業場外で従事した業務の一部(以下「本件業務」という。)については、労働基準法38条の2第1項(以下「本件規定」という。)にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たるため、被上告人は所定労働時間労働したものとみなされるなどと主張し、これを争っている。

 2 原審の確定した事実関係等の概要は、次のとおりである。
 (1)被上告人は、平成28年9月、外国人の技能実習に係る監理団体である上告人に雇用され、指導員として勤務したが、同30年10月31日、上告人を退職した。
 (2)被上告人は、自らが担当する九州地方各地の実習実施者に対し月2回以上の訪問指導を行うほか、技能実習生のために、来日時等の送迎、日常の生活指導や急なトラブルの際の通訳を行うなどの業務に従事していた。
 被上告人は、本件業務に関し、実習実施者等への訪問の予約を行うなどして自ら具体的なスケジュールを管理していた。また、被上告人は、上告人から携帯電話を貸与されていたが、これを用いるなどして随時具体的に指示を受けたり報告をしたりすることはなかった。
 被上告人の就業時間は午前9時から午後6時まで、休憩時間は正午から午後1時までと定められていたが、被上告人が実際に休憩していた時間は就業日ごとに区々であった。また、被上告人は、タイムカードを用いた労働時間の管理を受けておらず、自らの判断により直行直帰することもできたが、月末には、就業日ごとの始業時刻、終業時刻及び休憩時間のほか、訪問先、訪問時刻及びおおよその業務内容等を記入した業務日報を上告人に提出し、その確認を受けていた。

 3 原審は、上記事実関係等の下において、要旨次のとおり判断し、本件本訴請求のうち賃金請求を一部認容すべきものとした。
 被上告人の業務の性質、内容等からみると、上告人が被上告人の労働時間を把握することは容易でなかったものの、上告人は、被上告人が作成する業務日報を通じ、業務の遂行の状況等につき報告を受けており、その記載内容については、必要であれば上告人から実習実施者等に確認することもできたため、ある程度の正確性が担保されていたといえる。現に上告人自身、業務日報に基づき被上告人の時間外労働の時間を算定して残業手当を支払う場合もあったものであり、業務日報の正確性を前提としていたものといえる。以上を総合すると、本件業務については、本件規定にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たるとはいえない

 4 しかしながら、原審の上記判断は是認することができない。その理由は、次のとおりである。
 (1)前記事実関係等によれば、本件業務は、実習実施者に対する訪問指導のほか、技能実習生の送迎、生活指導や急なトラブルの際の通訳等、多岐にわたるものであった。また、被上告人は、本件業務に関し、訪問の予約を行うなどして自ら具体的なスケジュールを管理しており、所定の休憩時間とは異なる時間に休憩をとることや自らの判断により直行直帰することも許されていたものといえ、随時具体的に指示を受けたり報告をしたりすることもなかったものである。このような事情の下で、業務の性質、内容やその遂行の態様、状況等、業務に関する指示及び報告の方法、内容やその実施の態様、状況等を考慮すれば、被上告人が担当する実習実施者や1か月当たりの訪問指導の頻度等が定まっていたとしても、上告人において、被上告人の事業場外における勤務の状況を具体的に把握することが容易であったと直ちにはいい難い

 (2)しかるところ、原審は、被上告人が上告人に提出していた業務日報に関し①その記載内容につき実習実施者等への確認が可能であること、②上告人自身が業務日報の正確性を前提に時間外労働の時間を算定して残業手当を支払う場合もあったことを指摘した上で、その正確性が担保されていたなどと評価し、もって本件業務につき本件規定の適用を否定したものである。

 しかしながら、上記①については、単に業務の相手方に対して問い合わせるなどの方法を採り得ることを一般的に指摘するものにすぎず、実習実施者等に確認するという方法の現実的な可能性や実効性等は、具体的には明らかでない上記②についても、上告人は、本件規定を適用せず残業手当を支払ったのは、業務日報の記載のみによらずに被上告人の労働時間を把握し得た場合に限られる旨主張しており、この主張の当否を検討しなければ上告人が業務日報の正確性を前提としていたともいえない上、上告人が一定の場合に残業手当を支払っていた事実のみをもって、業務日報の正確性が客観的に担保されていたなどと評価することができるものでもない

 (3)以上によれば、原審は、業務日報の正確性の担保に関する具体的な事情を十分に検討することなく、業務日報による報告のみを重視して、本件業務につき本件規定にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たるとはいえないとしたものであり、このような原審の判断には、本件規定の解釈適用を誤った違法があるというべきである。

 5 以上のとおり、原審の上記判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨はこの趣旨をいうものとして理由があり、原判決中、本件本訴請求に関する上告人敗訴部分は破棄を免れない。そして、本件業務につき本件規定にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たるといえるか否か等に関し更に審理を尽くさせるため、上記部分につき、本件を原審に差し戻すこととする。
 なお、上告人のその余の上告については、上告受理申立て理由が上告受理の決定において排除されたので、棄却することとする。
 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。なお、裁判官林道晴の補足意見がある。

 裁判官林道晴の補足意見は、次のとおりである。
 私は、多数意見の結論及び理由付けに全面的に賛成するが、本件規定にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たるか否かの判断の在り方について、若干補足する。
 多数意見は、4(1)において、業務の性質、内容やその遂行の態様、状況等、業務に関する指示及び報告の方法、内容やその実施の態様、状況等を考慮している。これらの考慮要素は、本件規定についてのリーディング・ケースともいえる最高裁平成24年(受)第1475号同26年1月24日第二小法廷判決・裁判集民事246号1頁が列挙した考慮要素とおおむね共通しており、今後の同種事案の判断に際しても参考となると考えられる。
 もっとも、いわゆる事業場外労働については、外勤や出張等の局面のみならず、近時、通信手段の発達等も背景に活用が進んでいるとみられる在宅勤務やテレワークの局面も含め、その在り方が多様化していることがうかがわれ、被用者の勤務の状況を具体的に把握することが困難であると認められるか否かについて定型的に判断することは、一層難しくなってきているように思われる
 こうした中で、裁判所としては、上記の考慮要素を十分に踏まえつつも、飽くまで個々の事例ごとの具体的な事情に的確に着目した上で、本件規定にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たるか否かの判断を行っていく必要があるものと考える。
(裁判長裁判官  今崎幸彦 裁判官  宇賀克也 裁判官  林 道晴 裁判官  長嶺安政 裁判官  渡邉惠理子)

 

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                             (八王子神社)

2024年12月29日 (日)

【建築・不動産】 定期借家における終了通知を失念していた場合にどうする??

 昨年から、定期借家における終了通知を失念し、期間満了後も従前同様に賃貸借契約が継続しているかのようなケースについてのご相談が増えております。

 ご承知のとおり、定期借家は、普通借家と異なり、更新がない契約で、期間が満了すれば確実に契約が終了するものです。もっとも、契約終了を知らせる通知(終了通知)がないと、契約が終了しないのと同じような状態が事実上継続します。

 契約期間が1年以上ある定期借家の場合は、借地借家法38条4項に従い、期間満了の1年前から6か月前の間に、終了通知を行う必要があります。

 契約終了の通知がない場合には、契約終了を賃貸人に対応できないことになります。従って、賃借人は、契約期間が満了した後においても、建物から退去しなくてよいことになります。

 従って、終了通知は非常に大事な手続となります。

 なお、終了通知については、口頭でもOKですが、後日争われる可能性があるため、内容証明郵便又通知する書面を賃借人に渡して受領印を貰うという方法をとることをお勧めいたします。 

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                           (イースト21・日の出) 

 問題は、契約期間満了後に終了通知をした場合です。統一的な見解は解説書などを見る限り現時点ではなさそうです。

 第1説は、契約期間中の終了通知と同じように、通知から6か月で明渡請求ができるようになるという見解です。

 第2説は、新たな賃貸借契約(普通借家)が始まるので、終了通知をしても意味が無い(明渡ができない)という見解です。

 新日本法規Q&A定期借家権(平成12年)には、どちらの説をとるべきかはにわかに決し難い問題としつつ、現在のところは、第1説が有力とされております。但し、第1説の立場でも、貸主が期間満了後も、長期間、借家人に対して、建物の明渡しを求めず、賃料を受領している状態が継続している場合には、黙示の意思表示により、新たに、普通借家契約が成立しているとみなされることがありますので、ご注意下さいと書かれています。

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(イースト21・プールガーデン)

 大家から相談を受けた弁護士としては、契約期間満了後であっても、家主に対しては、まずは、終了通知の有無を確認し、万が一、終了通知をしていなければ、速やかに終了通知を内容証明郵便で行うようアドバイスをします。

 すでに終了通知をしている場合には、そこから6か月経過すれば退去するよう、内容証明郵便にて、退去の通知を送ります。

 それでも、退去をしない場合には、裁判所に調停の申立てか訴訟の提訴を検討するということになります。

 先も述べたとおり、大家にとって有利な第1説を採用したとしても、長期間、借家人に対して、建物の明渡しを求めず、賃料を受領している状態が継続している場合には、新たに普通借家契約が成立したとされる裁判例がありますので、専門家に相談の上、迅速な対応が必要です。

 また、第2説のように普通借家が成立するという見解もあり、現在のところ統一的な見解がないことからすれば、専門家である管理会社には、期間内での終了通知を失念しないよう、十分な注意が必要ではないかと思います。

 第2説の普通借家が成立するという見解を裁判所が万が一採用した場合には、大家にとって、エライことになります😵

 せっかく利用した定期借家です。法律で定められた手続についての怠りがないよう注意が必要です。 

2024年12月28日 (土)

【弁護士研修】 令和6年度紛争処理委員実務研修会に参加しました。

 先日、東京日本橋APにて開催されました(公財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター主催の令和6年度紛争処理委員実務研修会に、参加いたしました。

 やはり、研修会は、対面での参加の方が、しっかりと勉強させていただくことが可能ですね。

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                              (進行次第)

 研修会の内容については、①国交省の担当官による、住宅政策動向及び住宅品確法・住宅瑕疵担保履行法の概要など、②弁護士による紛争処理手続実務に関するQ&A、③支援センターによるWEB期日の制度導入と活用方法、④弁護士と一級建築士による、2号保険付き住宅等に係る専門家相談事例でした。 20241220_132055

                               (資料)

 WEB期日の制度導入については、各単位会に設置されている多くの住宅紛争審査会においても導入が予定されていますが、愛媛では未定のようです。

 また、2号保険付き住宅に係る専門家相談事例も増えているようですが、各単位会に設置されている全ての住宅紛争審査会が適切に対応できるよう態勢を整えておく必要があります。

 来年1月には、愛媛弁護士会でも対面でのセミナーを開催する予定になっており、支援センターの担当者の方からは強い期待をいただきましたので、多くの方に参加していただきたいと思います。

2024年12月27日 (金)

【建築・不動産】 借家を返して貰うためには!?

 時折、借家を返して貰いたいだけどどうしたらいい?、家主から借家を返して貰いたいという連絡がきたのだけどどうしたらいい? という内容の相談を、家主、又は、反対に借家人から相談を受けることがあります。

 契約の内容は、定期借家契約ではなくて、普通借家契約となっており、当初の契約期間は2年、その後も契約が更新されるというタイプのものがほとんどのように思います。

 借地借家法第26条1項によれば、賃貸借契約の更新拒否を行う場合には、賃貸期間満了の1年前から6か月前の間に、契約を更新しない旨を通知する必要があります。更新拒否の通知ができる期間も定まっており、いつでも更新拒否の通知ができるわけではありません。

 では、更新拒否の通知さえすれば、賃貸借契約は更新されずに終了ということになるかというと、そうではありません。借地借家法第28条は、更新拒否について正当な理由を要求しているからです。

 この正当事由の認定のハードルは相当に高いものです。

 正当な事由の判断要素は、借地借家法第28条において、建物の賃貸人及び賃借人が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況、建物の現況、財産上の給付を考慮して判断されることになります。

 相談例として問題となるケースとしては、大家自身が建物の使用を必要とする場合、入居者に債務不履行がある場合、建物の老朽化などです。 

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(JR高尾駅)
 最終的には、お金で解決することが多いケースですが、費やす時間と費用を説明するととりわけ大家側が驚くということが常です。定期借家契約にすべきですが、定期借家契約についても期間満了に際しては説明と新たな契約書の作成が必要であることから、事務的な負担がかかります。ただ、もめたときは、有効な定期借家契約であれば、大家側が有利な立場に立てます。

2024年12月26日 (木)

【相続】 配偶者短期居住権の新設 令和2年4月1日~

 民法改正により、配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していた場合には、最低6か月の期間、その居住していた建物の所有権を相続又は遺贈により取得した者に対し、居住建物について無償で使用する権利を有するとの規定が設けられ、この利用権を、配偶者短期居住権と言います。令和2年4月1日から施行されています。

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                  (ニケル・蝦夷鹿ロース低温ローストとプラムのコンポート)

 配偶者短期居住権は、配偶者が、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していれば、当然に取得されます。

 存続期間については、例えば、居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産の分割をすべき場合は、遺産の分割により居住建物の帰属が確定した日 又は、相続開始の時から6か月を経過する日の、いずれか遅い日までとされています。

 配偶者短期居住権は、遺産分割における遺産の評価、相続分に影響を及ぼすことはありません。

 20241221_194941                             (甘鯛のポアレ)

 先日、東陽町のニケルを訪ねました。クリスマスプランで、いつもの倍ほどの値段がします😅

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                           (国産牛フィレステーキ)

 いつもより美味しくいただけましたが、財布は軽くなってしまいました。

 

2024年12月25日 (水)

【相続】配偶者居住権の新設(令和2年4月1日~)

 先日、新日本法規の方が新書を持参されましたので、令和6年9月に出版された説例解説遺産分割の実務を購入しました。

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(ニケル・一口オードブル盛り合わせ) 

 平成30年の改正において、被相続人の配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合に、遺産分割又は遺贈により、その居住していた建物の全部について無償で使用及び収益をする権利を取得する旨の規定が新設されました。この配偶者が取得する権利を、配偶者居住権と言っています。令和2年4月1日から施行されています。

 第1に、遺贈・遺産分割による配偶者居住権を成立させるためには、(ア)配偶者が相続開始時に遺産である建物に居住していること、(イ)当該建物が被相続人の単独所有あるいは配偶者との2人の共有であること、(ウ)遺産分割、遺贈又は死因贈与がされることが必要です。

 第2に、審判による配偶者居住権が成立させるためには、前記(ア)(イ)に加えて、A共同相続人間に配偶者が配偶者居住権を取得することについて合意が成立している場合、または、B合意がない場合には、配偶者が家庭裁判所に対して配偶者居住権の取得を希望する旨を申し出た場合において、居住建物の所有者の受ける不利益の程度を考慮してもなお配偶者の生活を維持するために必要があると認めるときに、限定されています。 

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(太刀魚エスカベッシュ アメーラトマト)
 問題は、配偶者居住権の財産評価ですが、評価の方法としては、2通りあるようです。
 1つめが、居住建物の賃料相当額から配偶者が負担すべき通常の必要費を控除した価額に存続期間に対応する年金現価率を乗じた額とする方法(還元方式)
 
 2つめが、居住建物及びその敷地の価額からは配偶者居住権の負担付きの各所有権の価額を引いた額とする方法
 還元方式は難解であるため、調停では、後者の評価方法が採用されているとのことです。
 説例の事案では、土地建物の価額が4000万円の場合、配偶者居住権の評価は約1300万円程になっております。
 押さえておく必要がありますね。

2024年12月24日 (火)

法律相談料金については、対面のご相談が、1時間以内 1万1000円(内税)  WEBのご相談が、1時間以内 1万6500円(内税)に変更しました。

 従前の法律相談については、一般については、40分以内5500円(内税)、交通事故については、1時間以内1万1000円(内税)としておりましたが、来年1月から、相談時間の統一を図るために、料金体系も改めました。

 交通事故を含む全ての法律相談については、対面でのご相談であれば、1時間以内 1万1000円(内税)となります。仮に、30分で相談が終了した場合であっても、料金が半分になるわけではなくて、1万1000円(内税)を頂戴いたします

 また、相談のコマ数を減らしましたので、延長相談は原則として不可となっております。

 遠方の方については、WEB相談も対応可能ですが、この場合は、1時間以内1万6500円(内税)となります。所定の申込み手続が必要になります。 20240211_153322                     (世田薬師の梅)

 なお、相談日予定の2日前以降の、キャンセル・変更については、キャンセル・変更料として、1万1000円(内税)を頂戴いたします。 

2024年12月23日 (月)

【法律その他】 強姦・強制性交等の慰謝料

 昨今の慰謝料の水準等を確認するために、平田厚教授の類型別慰謝料算定の実務Ⅰ及びⅡを購入しました。 

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(兼六園)
 昨今、元検事正の方が部下に対する強制性交等の罪で起訴されたことがマスコミ等で大きく報道されているところです。第2回公判期日では、自白から否認に転じたわけですが、同意があったと思っていたという抗弁です。立場や状況などからすればかなり苦しい言い訳のようにしか思えません。
 
 報道の際に、被害者の方が1000万円を受け取っていたというお話も出ていました。
 田舎弁護士のころは、この種の慰謝料は、相場は300万円位と教わったことがありました。
 早速、類型別慰謝料算定の実務で調べてみました。
 2008年1月1日以降の裁判例において、強姦罪・強制性交等罪の被告人等に対して慰謝料を請求したものは、18件が参考になると思われる。
 
 ただし、強姦等で有罪判決を受けている裁判例だけではなく、強姦・強制性交等の事実が認定されている裁判例もとりあげるとして、30万円が1件、150万円が1件、300万円が6件、350万円が3件、400万円が1件、500万円が4件、700万円が1件、806万円が1件となっています。
 強姦・強制性交等の慰謝料額を決定する要素としては、行為態様の悪質性などを基本としつつ、既遂であったのか未遂であったのか、致傷の結果を伴っているかどうかなどが重要な要素としてあげられよう。なお、強姦と呼ばれた時代には、慰謝料の基準額は300万円であったと思われる。しかし、強制性交等に改正された時代になって慰謝料の基準額は、500万円に上昇しつつあるようにも思える。
 平田先生の解説からすれば、従来は300万円程度、今は、500万円と考える例も増えているということでしょう。
 話は戻りますが、1000万円は返金したということですので、被害回復が図られていない事案であるといえますので、有罪と認定された場合には、相当長期間の実刑が予想されます。審理が長期化すれば被害者の方の精神的な負担は非常に大きなものがありますので、裁判所における迅速な審理を願っております。 

2024年12月22日 (日)

【学校】 すごいことをされる私立大学もあるもんだ😅

 判例時報2606号に掲載された大阪高裁令和5年1月26日判決です。

 学校法人Y1との有期労働契約に基づきY1の設置するA大学の講師として勤務していたXが、期間満了による雇止めの通知を受け、その効力を争っていた(※)ところ、A大学の学長であるY2、同事務局長であるY3によって、Xが占有使用していた研究室の占有を侵奪され、本件研究室に置いていた動産も撤去されたとして、占有回収の訴えとして、①Y1に対して、本件研究室及び本件動産の引き渡しを求めるとともに、②Y2、Y3、に加えて、占有侵奪の助言をした弁護士Y4に対して共同不法行為責任として、Y1に対し使用者責任として、慰謝料の連帯支払いを求めた事案です。

 ※Xは平成22年に有期採用され、Y1が10年経過する前の平成31年に雇用契約終了する旨の通知が送ったことにより、Xにおいて雇止めの効力について、別件訴訟で争っていた事案です。

 高裁は、①については、

 本件研究室の占有者につき、Xは被用者であるから、原則として、Y1のために占有補助者として本件研究室を所持している者であって、自己のためにする占有意思があるとは認められないとしつつ、XがY1の占有補助者として物を所持するにとどまらず、X個人のためにもこれを所持するものと認めるべき特別の事情がある場合には、その物についてXが個人としての占有をも有することになる旨説示した上で、

 Xが本件雇止め通知を受けた後の事実関係を踏まえて前記特別の事情がある場合に当たるとして、X個人による本件研究室の占有を認めた上で、Y1が現在も本件研究室を占有しているとして、本件研究室についてもXの引き渡し請求を認容しました。

 また、②についても、

 A大学の学長ないし事務局長であるY2及びY3は、共謀して違法な占有奪取及び本件動産の撤去行為を行ったとした上、これに助言を与えた弁護士Y4についても、違法な自力救済行為の実行を容易にして幇助したとして、民法719条2項に基づきY1~Y3と連帯してXに対する損害賠償責任を負うとし、慰謝料額も20万円に増額しました。

 Y4は、動産の撤去行為が適法である旨の見解に根拠付けを与えたことが問われていますが、自力救済行為は禁止されていることは、誰でもわかる道理ですので、アドバイスとしては違和感を感じます

2024年12月21日 (土)

【労働・労災】 パート・有期雇用労働者に対する同一労働同一賃金の適用の判断枠組み

 不合理な待遇差の禁止等の検証については、難解ともいえますが、堀田陽平弁護士執筆の「企業における多様な働き方と人事の法務」において、わかりやすく解説がされていました。

 (1)待遇差の有無・内容と当該待遇の性質・目的を確認

 ⇒まず、前提として、自社が雇用する従業員に、パート労働者、有期雇用労働者、派遣労働者がいるかを確認し、これらの者の待遇と、比較の対象となる従業員(通常の労働者)の待遇の相違の有無・程度と、当該待遇の性質・目的を確認します。

  ここで検討する待遇は、金銭的な待遇だけでなく、休暇、福利厚生、テレワークの可否等あらゆる待遇を検討する必要があります。

 (2)職務の内容等の相違を確認

 ⇒待遇に相違があった場合、次は、「職務の内容等」に違いがあるかを検討することになります。

  具体的には、①職務の内容(労働者の業務の内容、当該業務に伴う責任の程度)と、②職務の内容及び配置の変更の範囲が、同一か、相違があるかを確認します。

                             ↓

  上記が「同一」である場合には、厳格な「均等待遇」が要請され、差別的取扱いが禁止されます。

  他方で、相違がある場合には、「均衡待遇」が要請され、その待遇差が不合理であるかが判断されます。(1)(2)において、相違のある待遇の性質・目的と、職務の内容等に照らして、当該待遇差が「不合理であるか」を判断することになります。

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                             (石手ダム)

 菅野労働法第13版P861にも、均衡待遇と均等待遇の関係について、以下のとおり解説されています。

 均等待遇規定は、均衡待遇規定の中に含まれている、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者間で、㋐職務の内容及び㋑雇用の焉耆間における職務の内容・配置の変更範囲が同一であって、それら労働者間の異なる取扱いを正当化する「その他の事情」が認められない特別の場合を取り出して、両者の待遇の差別的取扱を禁止したものとなる。

 そして、上記の特別の場合が別個に規定された結果、均衡待遇は、㋐㋑のいずれかないし双方の要素が同一でないために均等待遇規定が適用されない場合につき、それら事情と㋒「その他の事情」とを総合勘案して、両者の待遇間の不合理な相違を禁止するものであることになる。

 他方で、短時間・有期雇用労働者と通常の労働者間において、「職務の内容」と「職務の内容及び配置の変更の範囲」が同じであれば、均等待遇により、原則として全ての待遇につき同一の待遇を与えることになる。

 菅野労働法第13版P863は、主張立証責任についても触れています。

 均衡待遇規定についての主張立証責任としては、労契法上の同規定(20条)制定以来、通達や学説は、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者間の待遇の相違がある場合において、待遇のそれぞれについて、①職務の内容、②職務内容・配置の変更範囲、③その他の事情を考慮して、不合理な相違がどうかを評価判断するものであり、かかる評価を基礎付ける事実とかかる評価を妨げる事実とを、短時間・有期雇用労働者と事業主の双方がそれぞれ主張立証する責任があるものと解してきた。そして、ハマキュウレックス事件最判もその解釈を承認した。短時間・有期雇用労働者法の同規定も同様になる。

 これに対して、差別的取扱い禁止規定については、その趣旨と構造から、原告の短時間・有期雇用労働者が、①通常の労働者と比較しての均衡上の不利益な取扱の存在と、②職務の内容および職務内容・配置の変更範囲の同一性、および③①の不利益取扱いが短時間・有期雇用労働者であることを理由としてされたことを主張立証する責任を負い、これに足して、被告の事業主が当該不利益取扱を正当化する理由を主張立証する責任を負うと考えられる。

2024年12月20日 (金)

【金融・企業法務】 中小企業のM&A 3種の契約書

 引き続き、加藤真朗先生先生の中小企業のM&Aから、いわゆる3種の契約について、引用しながら解説を加えたいと思います。

1 3種の契約

 ⇒通常、M&Aにおいて締結される契約としては、①秘密保持契約、②基本合意、③最終契約(正式契約)があります。

2 秘密保持契約(NDA)

 ⇒M&Aでは、契約交渉の過程において、当事者間において、機密性の高い情報を相互に開示することが予定されています。そこで、開示された情報が第三者に開示・漏えいされることや、目的外利用されることを防ぐために、秘密保持契約が締結されます。

3 基本合意(LOI、MOU)

 ⇒M&A取引の交渉を進めていく過程で、想定される買収価格や条件、スキームやスケジュール等の基本的な内容について、買い手と売り手の双方が一定の合意に達した段階で締結する合意書をいいます。契約当事者双方に最終契約締結にむけた真摯かつ誠実な協議を促すとともに、重要な論点の合意形成、スケジュールの明確化、買い手に独占交渉権が付与される点等に意義があるといえます。

 ⇒基本合意書は、一般的にDD未実施の段階において、当事者間で暫定的に合意に至った内容を書面化するものであるとの性質上、DDの結果などを踏まえてその内容が将来変更する可能性があることを前提として作成されるものです。

 ⇒このような基本合意書の性質上、基本合意書に定められた各種条項には、独占交渉条項等一部の条項を除き法的拘束力を持たせないことが一般的です。

4 最終契約

 ⇒基本合意書を締結し、各種DDを実行したら、いよいよM&Aに関して最終的に合意した内容を記した契約書(最終契約書)を作成します。

  最終契約書においては、取引対象の特定、取引価格といった基本的なM&A自体の合意内容のみならず、対象会社の属性や内容・状況、当事者の属性・信用力、譲渡価格の決定方法、又はM&Aのスキームその他の状況に応じ、M&Aに関する当事者間のリスク分担を実現するための様々な条項やM&Aに付随する各種の取り決めが規定されます。

  最終契約書は、いわばM&Aの集大成であり、当該契約書には、各種DDの結果を踏まえて、具体的事案に即してリスクが顕在化した場合における当事者間の予見可能性を確保しつつ、将来の紛争の回避を図ることが可能となる条項を定めることが重要。

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(石手ダム)
 契約書は重要ですが、やはり、DDをしっかり行っておくことが大前提となります。契約書だけ作成して欲しいという依頼も散見されますが、本末転倒な印象を受けます😅

 

 

 

2024年12月19日 (木)

【金融・企業法務】 中小企業のM&A 株式譲渡

 再び、加藤真朗先生の中小企業のM&Aを参考にしつつ、「株式譲渡」について、解説を加えます。

1 意義

  ⇒株式譲渡は、文字どおり、対象会社の株式を保有する株主が、買い手に当該株式を売却するものです。対象会社の法人格、財務状況には何らの影響を与えることなく、株式のみが移転し、会社の支配権が異動します。株式売買の対価については、一般的には現金となります。

2 適用場面

  ⇒対象会社が許認可を得ている、有力な取引先の口座を有している、ブランド力を有しているといった場合には、そのまま会社の支配権のみが移転するため望ましい手法です。

  ⇒ただし、対象会社に不良債権が多くある場合、対象会社に簿外債務が存在する可能性がある場合などには慎重な判断が必要になります。この場合には、必要な事業のみを会社分割や事業譲渡で切り出し、分離した事業のみを買収対象とすることが実務上多く行われます。

  ⇒また、売却に反対する少数株主が存在する、真の株主が不明である、又は株主の所在が不明であるなど対象会社の株式全てを取得できない場合にも、株主譲渡の手法を選択することが適切なのか慎重な検討が必要です。この点、買い手側が100%支配に拘る場合、会社分割等により会社の事業を切り出し、新設した会社の株式を譲渡する方法が用いられることがあります。

3 税務上のポイント

  ⇒譲渡主体が個人の場合には、対象株式の取得原価と譲渡価格の差額が、分離課税の譲渡所得として、課税対象となります。

  ⇒譲受主体が法人、個人どちらであっても、譲受時点では課税関係は発生しません

4 手続

  ⇒株式譲渡当事者間の合意

  ⇒株券発行会社であれば、株券の交付

  ⇒譲渡制限会社であれば、対象会社の承認

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                             (お茶の水)

 地方では、株式譲渡型のM&Aは、田舎弁護士の知りうるところでは、多いように思いますが、簡単である反面、DDをしっかりしないとリスクも大きい取引ですね。

2024年12月18日 (水)

【金融・企業法務】 一般的な中小企業のM&Aの流れ のおさらい

 一般的なM&Aの手続の流れは、以下のとおりになっております。

 以下、M&Aの第一線で活躍されている加藤真朗先生の中小企業のM&Aから適宜抜粋等しながら、解説を加えます。

 ① 案件化

   ⇒例えば、M&A仲介業者から、ノンネームシート案件概要書等と呼ばれるごく簡単な資料が買い手候補に提供されることから始まります。

 ② 秘密保持契約

   ⇒案件化すると、M&A当事者間において秘密保持契約が締結されます。秘密保持契約締結後、対象会社の詳細情報(インフォメーション・メモランダム)が買い手に提供されます。その内容は、会社名等会社概要、役員構成等組織構成、事業概要、マーケット概要、商流・仕入れ先・販売先、許認可・法規制、財務状況、中期的な見通し等です。

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                          (中央大学駿河台キャンパスの19F

 ③ バリュエーション(企業価値評価)

   ⇒売却価格を検討するにあたって企業価値を算定します。

 ④ スキームの策定

   ⇒バリュエーションと並行して、スキームの策定も行います。スキームの策定に際しての考慮要素は、税務、許認可、簿外債務など多岐にわたします。

 ⑤ 基本合意(LOI、MOU)

   ⇒M&A取引については、多くの事案で、当事者間において基本合意が締結されます。M&A取引は契約事項が多岐にわたるため、当事者が全ての事項に関して合意するには長期を要します。そのため、当事者がM&A取引を進めることに前向きな場合は、中間的に基本合意を締結することが多くあります。

 ⑥ DD

   ⇒対象会社の内容を調査するため、買い手により、事業DD、財務DD、法務DDなどのDDが実施されます。買い手のリスク回避のために必須のプロセスです。DDの結果によっては、買収自体が取りやめられたり、スキームが再検討されたり、買収価格が主に減額方向で交渉されるなどします。

 ⑦ 最終契約

   ⇒当事者間において、DDにより明らかになった問題点を織り込み、最終契約に向けての交渉が行われます。価格だけではなく、クロージングの前提条件、表明保証条項、誓約条項など各種条項について交渉がなされ、合意に至ると最終契約が締結されます。

   ⇒中小企業のM&Aの場合、クロージングと同日に最終契約が締結されることもあります。

 ⑧ クロージング

   ⇒M&A取引における決済日であり、通常はその効力発生日になります。株式譲渡代金の支払や登記必要書類等の授受がなされます。

   ⇒一般的には、当日に、対象会社の株主総会、取締役会が開催され、登記事項については登記までなされます。

 ⑨ PMI(買収後の経営統合過程)

   ⇒M&A当事者の、経営戦略、販売・仕入れ体制、労務管理、情報システム等を有機的・効果的に統合し、M&Aによるシナジー効果を実現するための重要な過程です。

 最近では、田舎弁護士の関与先も、M&Aを実施することが増えました。ただ、ごくごく小さな会社(但し、キャッシュは豊富)が、買収型のM&Aを実施する際に、M&Aに馴れていない税理士や中小企業診断士の先生が関与し、後日、莫大な簿外債務が判明し、株式譲渡というスキームを選択したために、とんでもないことになったことがあります。  

2024年12月17日 (火)

【労働・労災】 不合理な待遇差の禁止・差別的取扱いの禁止を図るための人事制度のチェック(実務対応①)とその見直し(実務対応②及び③)及び規程等の整備(実務対応④)

 「最新同一労働同一賃金27の実務ポイント」(新日本法規)P48~の抜粋です。

 まず、(1)不合理な待遇の禁止(パート・有期雇用労働8)についてです。

 事業主は、その雇用するパートタイム・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該パートタイム・有期雇用労働者及び通常の労働者の①職務の内容(業務の内容+責任の程度)、②当該職務の内容及び配置の変更の範囲ならびに③その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けえはならないことが定められました。

 次に、(2)差別的取扱の禁止(パート・有期雇用労働9)についてです。

 事業主は、①職務の内容が通常の労働者と同一のパートタイム・有期雇用労働者であって、②当該事業所における慣行その他の事業からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されることが見込まれるものについては、パートタイム・有期雇用労働者であることを理由として、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、差別的取扱いをしてはならないことが定められました。

 そして、(3)実務対応です。

 まず、実務対応①は、自社に、パートタイム・有期雇用労働者の対象となる雇用形態の労働者がいるかを確認し、正社員との間に、不合理かいなかはともかくとして、待遇差が存在するかを確認とするための作業です。

                             ↓

 次に、実務対応②は、差別的取扱いの禁止を定めるパートタイム・有期雇用労働法9条の適用を回避するための工夫です。

                             ↓

 次に、実務対応③は、不合理な待遇差の禁止を定めるパートタイム・有期雇用労働法8条に抵触しないようにするための作業です。

                             ↓

 最後に、実務対応④は、実務対応②及び③を実行するために必要な規程等の見直し・整備作業です。

 

 ※実務対応②

  均等待遇の要件を満たさないようにするためには、①業務に伴う責任の程度と②昇進(人材活用の仕組みの1つ)で、正社員とパートタイム・有期雇用労働者で、明確な差異を設けることです。

  ①については、正社員とパートタイム・有期雇用労働者で、与えられている権限の範囲、業務の成果について求められている役割、トラブル発生時や臨時・緊急時に求められる対応の程度で、明らかな差異を設ける必要があります。

  ②については、人材活用の仕組み・運用等の違いとして、転勤が無理であれば、昇進で明らかな差異を設けることです。

 ※※実務対応③

  通常の労働者の賃金は、正社員としての職務を遂行し得る人材の獲得やその定着を図る目的の下に構築されていることを念頭に置いた上で、基本給・賞与・退職金いずれについても、次の3点に留意して、パートタイム・有期雇用労働者の賃金の制度設計をすべきです。それが同一労働同一賃金をクリアすることにつながります。

  ①通常の労働者とパートタイム・有期雇用労働者との間で、職務の内容等が異なっていること

  ②基本給・賞与・退職金の決定基準・ルールが、通常の労働者とパートタイム・有期雇用労働者で相違していること

  ③パートタイム・有期雇用労働者に賞与や退職金を支給しない制度設計とするなら、それは、パートタイム・有期雇用労働者には、決定基準・ルールが設けられていないということです。したがって、通常の労働者に支給や退職金の決定基準・ルールがそのままパートタイム・有期雇用労働者に適用されることがないよう、賞与や退職金の性質・目的をパートタイム・有期雇用労働者には妥当しないものとしておくこと

  ④通常の労働者への転換を推進するための措置を講じることが事業主に課せられていますが、パートタイム・有期雇用労働者が属人的な身分として固定化されないよう実際に機能する正社員登用制度を設けておくことは、不合理性を判断する上で、「その他の事情」として重要な考慮要素となること。 20241207_204255

                             (東陽町ニケル)

 

 

2024年12月16日 (月)

【弁護士考】中央大学法修会研究室創立70周年記念大会に参加しました

 先日、中央大学駿河台キャンパスの19Fのレストランで開催された中央大学法修会研究室創立70周年記念大会に参加しました。 

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(駿河台キャンパス)
 田舎弁護士が司法浪人の時代には、駿河台記念館があつたところです。駿河台記念館は確か、6Fだか7Fだかの建物でしたので、超高層ビルに生まれ変わりました。

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(記念大会)
 現役の大学生とOB・OGが全国から参加いたしました。新入室員の1年生や2年生からは個別に自己紹介をしていただきました。年齢も、18歳か19歳くらいだと思うので、うちの息子(21歳)よりも年下ですね😅
 初々しさが新鮮でした😇
 現在の法曹を取り巻く環境は田舎弁護士のころとは厳しさを増していると思いますが、楽しくて有意義な学生生活と実りある人生を歩んでもらいたいと、ほとんど親のような気持ちでいました。
 
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(エントランスで)
 駿河台キャンパスの前身の駿河台記念館は、平成7年から平成8年にかけて、1年間、日曜日を除くほぼ毎日を勉強のために過ごした場所です。
 今はもうありませんが、30年以上前はちょうどこの場所にいたんだなと感慨深いものがありました。
 ニコライ堂の鐘が午後3時ころになると、休憩をとって、近くのタリーズコーヒーで本日の珈琲を飲んで過ごすか、東京都体育館のプールまで行って泳いでいたことを思い出します。 
 
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(ニコライ堂)
 あつというまに、30年、40年が経ってしまいました。
 懇親会の話でも、そろそろ引退の時期についてのお話がでたりしていました。。。
 自分の子どもに近い若い人たちをお話をすると、パワーをいただくことができます😇
 遠方からですが、参加してよかったですワイ😄 

2024年12月15日 (日)

【労働・労災】パートタイム・有期雇用労働法の概要について

 パートタイム・有期雇用労働法は、2021年4月1日に全面施行されておりますが、当職の記憶では、施行に際して、ある程度の規模の大きな会社はいろいろと法改正にあわせて対応を検討していたように思いますが、中小企業の場合には、施行についてご相談を受けたことはありませんね。いろいろと問題になりそうですが、トラブルには至っていないのでしょうかね😇 さすがに労務士の先生のところには見直しについて等のご相談にはいっているとは思いますが😅

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                             (スカイツリー)

 パートタイム・有期雇用労働法は、パートタイム・有期雇用労働者がその有する能力を一層有効に発揮することができる雇用環境を整備するため、パートタイム・有期雇用労働者の納得性の向上、通常の労働者との均等・均衡待遇の確保、通常の労働者への転換の推進等を図る法律であり、5項目で成立して説明されることが多いように思います。

1 労働条件の文書の交付等・説明義務

(1)労働基準法上の書面の交付等の義務に加え、昇給、退職手当、賞与の有無及び相談窓口について、文書の交付等による明示を事業主に義務付け(過料あり)(第6条)

(2)パートタイム・有期雇用労働者の雇い入れ時に、講ずる雇用管理の改善に関する措置の内容(賃金制度の内容等)の説明を事業主に義務付け(第14条第1項)

(3)パートタイム・有期雇用労働者から求めがあった場合に、待遇の決定に当たって考慮した事項等の説明を事業主に義務付け(第14条第2項)

(4)パートタイム・有期雇用労働者からの相談に対応するための体制整備を事業主に義務付け(第16条) 

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(夜のスカイツリー)
 さて、実務上よく問題となる点です。
2 均等・均衡待遇の確保の促進
(1) (均衡待遇)  すべてのパートタイム・有期雇用労働者を対象として、待遇のそれぞれについて、通常の労働者の待遇との間において、職務の内容、職務の内容・配置の変更の範囲(人材活用の仕組みや運用など)、その他の事情のうち、その待遇の性質・目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる差を設けることを禁止(第8条)
(2) (均等待遇)  通常の労働者と同視すべきパートタイム・有期雇用労働者について、差別的取扱いを禁止(第9条)
    ※「通常の労働者と同視すべきパートタイム・有期雇用労働者」=職務の内容、職務の内容・変更の範囲(人材活用の仕組みや運用など)が通常の労働者と同じパートタイム・有期雇用労働者
(3) その他のパートタイム・有期雇用労働者について、賃金の決定、教育訓練の実施及び福利厚生施設の利用に関し、多様な就業実態に応じて、通常の労働者と均衡のとれた待遇確保に努めることを事業主に義務付け(第10条~第12条)
3 通常の労働者への転換の推進
(1) 通常の労働者の募集を行う場合のパートタイム・有期雇用労働者への周知、新たに通常の労働者の配置する場合のパートタイム・有期雇用労働者への応募の機会の付与、通常の労働者への転換のための試験制度等、その他正社員への転換を推進するための措置を事業主に義務付け(第13条)
4 苦情処理・紛争解決援助
(1) 苦情の自主的な解決に努めるよう、事業主に義務付け(第22条)
(2) 義務規定に関し、都道府県労働局長による紛争解決援助及び調停を整備(第23条~第26条)
5 実効性の確保
(1) 都道府県労働局長(厚生労働大臣から委任)による報告の徴収、助言、指導及び勧告(第18条第1項)
(2) 報告拒否・虚偽報告に対する過料(第30条)
(3) 厚生労働大臣の勧告に従わない場合の事業主名の公表(第18条第2項)

 

2024年12月14日 (土)

【弁護過誤】 弁護士である取締役が担当していた業務の執行に関する善管注意義務の程度

 銀行法務21・12月号の金融商事実務判例紹介で掲載された東京地裁令和6年4月9日判例です。

 弁護士資格を有することを前提に就任した取締役が、自ら担当していた会社買収に係る業務に関し対象会社の財務状態の調査や情報提供等を怠ったというべきであり、買収に伴って対象会社の債務につき連帯保証した後に代位弁済をした者との関係で、会社法429条1項または民法709条に基づき損害賠償責任を負うと判断されました。

 対象会社が債務超過で赤字続きであったにもかかわらず、調査および情報提供等を行う義務に違反して、連帯保証契約の切替えを避止させなかったということに対する責任が問われています。

 過失相殺すら認められていませんので、この被告の任務懈怠の程度は著しかったのでしょう。 

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(今治・ケヤキ並木)
 12月号は、企業価値担保権と実務的考察として、特集がくまれていますが、田舎弁護士には難解しすぎて、読むのをあきらめました。
 そろそろ、「銀行法務21」も引退かな😅

2024年12月13日 (金)

【労働・労災】 労基法第91条 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。

 労基法第91条は、減給に対して、2段階の制限をかけております。

 まず、減給が1回付された事案では、その額が平均賃金(労基法12条)の1日分の半額以下でなければならず(昭和23.9.20基収1789号)、複数回にわたる減額は許されていません。

 次に、減給が複数回付された事案では、各回の減給額が上記規制の範囲内に収まることに加えて、減給の合計額が1賃金支払期において賃金総額の10%以内であることを要し(基収1789号)、これを超える減額は、次期の賃金支払期で実施されなければなりません。

 本状に違反する制裁としての減給を実施した場合には、30万円以下の罰金に処せられます(労基120条)。

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                            (院内・東頭神社前)

 労基法第91条との関連では、例えば、ニュースで、「◎◎の責任をとって、1年間20%の減給が決まった」等の報道に接することがあります。これは、労働基準法の適用を受けない役員や公務員の場合ですので、通常の従業員の場合には、労基法第91条の制限を受けるわけです。

 もっとも、1日に2個の懲戒処分に該当する行為があれば、その2個の行為についてそれぞれ平均賃金の1日分の半額ずつ減給することは差し支えないと考えられています。但し、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはなりませんので、その場合には、その部分の減給は、次期の賃金支払期に延ばさなければなりません。

 賞与についても、「制裁として賞与から減額することが明らかな場合には、賞与も賃金であり、労基法第91条の減給の制裁に該当する。従って、賞与から減額する場合も、1回の事由については平均賃金の2分の1、また、総額については、1賃金支払期における賃金すなわち賞与額の10分の1を超えてはならない」(昭和63.3.14基発150)とされているため、制裁対象事実が1つである限りは、定例給与からの減給であれ賞与からの減給であれ、いずれも、平均賃金の半額を超えてはならないことになります。まちがっても、賞与額の10%を控除しないよう願います。

 以外とですが、役員や公務員の減給と同じように考える方が散見されますので、いろいろと注意が必要な条文だと言えます。

 

2024年12月12日 (木)

高縄山に登りました😄

 愛媛県松山市に所在する四国百名山の1つである「高縄山」(986㍍)に登ってきました。

 メインのルートは、院内コースと、幸次ヶ峠コースの2とおりです。他、猿川コースもありましたが、9合目付近で道が崩落しております。これら以外にもいくつかコースがあるようですが、ベテラン・健脚向きのコースのようです。

 田舎弁護士は、現在は、主として、院内コースを利用しております。

 高縄山は、河野家の菩提寺である高縄寺が山頂付近に鎮座しております。 

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(高縄寺)
 昔は、高縄寺には、高縄茶屋があり、ぜんざい等の飲食が可能だったようです。20年近く前のブログには、賑わっていたころの高縄茶屋が紹介されています。
 高縄山頂は、展望台があり、360度の景色を楽しめます。
 
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(北条方面)
 北条市街が一望できます。鹿島もきれいに写っています。
 
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(今治方面)
 今治市街からも高縄山を望むことができますので、案の定、今治市街もきれいに写っています。

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(石鎚方面)
 石鎚方面も遠望できますが、雪山になっているようです。
 
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(千手杉)
 千手杉は、松山市の指定天然記念物です。根本周り7㍍、幹回り5.4㍍、高さ30㍍の大木です。樹形は、あたかも近くの高縄寺の十一面先手観音像に似ているとのことです。
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                             (仲間とともに)
 今から20年以上前の、愛媛大学附属小学校の児童たちの碑が建立されていました。今は30歳代で社会の第一線で活躍されておられるでしょう。
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                             (院内登山道入り口)
 院内コースは、東頭神社の横から始まります。ここかから、片道4.5㎞の登山道となります。海抜数十㍍のところから、900㍍近くまで登るために、なかなかの山行となります。
 
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(嫁ちやんランチ)
 嫁ちゃんランチは、クリームシチュー&ハンバーガーでした😄

 

2024年12月11日 (水)

【知的財産権】 デザイナー会社からタオル美術館が訴えられた裁判

 デザイナー会社から、タオル美術館が訴えられた裁判の第1審である令和6年3月28日付東京地裁判決が紹介されていました。

 最高裁判所のHPや、日本ユニ著作権センターのHPからも、判決文の詳細は手に入れることは可能です。 

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(松山・日浦)
 ① 絵柄を商品化したタオルについて、絵柄を除くタオル部分には、それ自体独立して美術鑑賞の対象となる創作性を備えているものとはいえないとして、応用美術としての著作物性が否定
 本件タオル部分の著作物性について、裁判所は、著作物とは、思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものであり、美術の著作物には、美術工芸品が含まれる。そして、美術工芸品以外の実用目的の美術量産品であっても、実用目的に係る機能と分離して、それ自体独立して美術鑑賞の対象となる創作性を備えている場合には、美術の範囲に属するものを創作的に表現したものとして、著作物に該当する。
                               ↓
 これを本件についてみると、被告商品は、A制作に係る本件絵柄をタオルに付して商品化した上、量産化されたものであるから、美術工芸品以外の実用目的の美術量産品であるといえる。そして、被告商品は、先に制作された本件絵柄を利用し製作されたタオル商品であるから、被告商品のうち本件絵柄と共通しその実質を同じくする部分(本件絵柄部分)は、何ら新たな創作的要素を含むものではなく、本件絵柄とは別個の著作物として保護すべき理由はない。
                               ↓
 このような観点~、被告商品のうち、本件絵柄部分を除き、新たに付与された部分(本件タオル部分)の創作性の存否につき検討するに、被告商品は、本件タオル部分において、凹凸、陰影、配色、色合いなどは、本件絵柄と共通しその実質を同じくする部分であると認めるのが相当であり、また、風合い、織り方などは、タオルとしての実用目的に係る機能と密接不可分に関連する部分であるから、当該機能と分離してそれ自体独立して美術鑑賞の対象となる創作性を備えているものとはいえない。
                               ↓
 そうすると、被告商品において、美術鑑賞の対象となるのは、あくまでA制作に係る美術的価値の高い本件絵柄部分であると認めるのが相当であり、一広の制作に係る本件タオル部分は、タオルとしての実用目的に係る機能と分離して、それ自体独立して美術鑑賞の対象となる創作性を備えているものと認めることはできない。
 ② 著作権者がその著作物に係る実施料のみを得ている場合における著作権法114条2項の適用又は類推適用の可否(消極)
 著作権法114条2項は、著作権の排他的独占的効力に鑑み、著作権者、出版権者又は著作隣接権者においてその侵害の行為により売上が減少した逸失利益の額と、侵害者が侵害行為により受ける利益の額とが等しくなるとの経験則に基づき、当該利益の額を著作権者等の売上減少による逸失利益の額と推定するものである。
                               ↓
 しかしながら、著作権者等がその著作物の許諾によって得られる許諾料の額は、売上減少による逸失利益の額とは明らかに異なるものであり、両社が等しくなるとの経験則を認めることはできないことからすると、著作権者等がその著作物の許諾料のみを得ている場合には、前記の推定をする前提を欠くことになる。
                               ↓
 したがって、著作権者等がその著作物の許諾料のみを得ている場合には、著作権法114条2項の規程は適用又は類推適用されない。
                               ↓
 これを本件についてみると、弁論の全趣旨によれば、Aは、デザイナーであり、自身の著作物を管理するカボ企画を通じてライセンス料を得ており、タオル等の製造、販売は行っていない。そうすると、仮に被告らの侵害行為によって原告らの許諾料にかかる収入が減少するという関係が認められたとしても、Aは本件絵柄の許諾料のみを得ていたことになるから、著作権法114条2項の規定は、適用又は類推適用されない。
 解説を見る限り、許諾料収入のみ得ている場合に推定規定が適用されるかについては、裁判例は積極的に解しているようです。
 逸失利益の額ベースになるとそれは金額は巨大となり、本件でも、数十億円になっております。
 他方で、推移亭されないとなれば、そんなに巨額にならないでしょうから、本件でも5000万円弱と認定されています。
 そして、被告会社は、先に原告に3億円を前払いしているので、原告の請求棄却となったわけです。
 控訴されているようですので、この論点の解釈については変化があるかもしれませんね。 

2024年12月10日 (火)

【弁護士考】 11月の懲戒弁護士たち

 自由と正義11月号が届きました。

 11月号も、懲戒処分を受けた弁護士が多数掲載されています。

 うっかりミスというよりも、手抜きや故意のようなものも含まれるようになっております。

 親の刑事弁護のため子どもから約6000万円のお金を預かり、うち、2~300万円は刑事事件の経費、残りは、事故の外国為替証拠金取引に費消したというものです。

 これで業務停止1年です。ごく普通の感覚からすれば、除名だと思いますね。

 ただ、こんな行為をすれば、いずれ明るみにでると思うのですが。

 あいかわらず非弁提携で懲戒処分を受ける弁護士もいるようです。

 依頼人への虚偽の報告を行って処分を受けたものもいます。ネットで名前を検索すると、もつと重たい非行をされているようです。

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                           (笠松山・モウセンゴケ)

 田舎弁護士の地域でも、2昔前と異なり、相手方が地元の弁護士にあたることがぐっと少なくなりました。県外の弁護士がでてくることが多くなりました。もちろん、昔のようなきちんとした弁護士さんも多くいますが、残念ながらレスポンスが非常に遅い方もいます。

 もちろん、田舎弁護士も、年齢と共に事務処理能力が衰えているような気がしますので、きちんと対応できるよう、現在は、お引き受けできる事件の数を絞っております。

 ただ、昔の「損保代理人」のようなストレスMAXの仕事は身体が持たなくなりましたね😵

 年金をもらうころにはハッピーリタイアができるよう少しずつ整理していきたいと思います。後を引き継げるように、2代目田舎弁護士を募集しております。😅

2024年12月 9日 (月)

【倒産】 破産と交通事故(人損)

 交通事故の際の人的損害につき、債務者が破産した場合についてどのように取り扱われるかについて、判タNo1525掲載の令和6年3月6日付名古屋地裁判決が紹介されていました。

 まず、運転免許停止中に発生させた交通事故(人身)について、被告に対する損害賠償請求権が、破産法253条1項3号の非免責債権に該当しないと判断しました。

 悪意の不法行為に基づく損害賠償請求権や、故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権は、非免責債権とされています。

 悪意とは、故意だけでは足りず、他人を害する積極的な意欲を意味すると解されていますので、一般的な過失事案だと難しそうです。

 重過失については、交通事故事案においてはケースバイケースであり、本件では、重過失はないものと判断されました。

 そして、被告が、訴訟継続中に破産手続開始決定の申立てをされたときには、免責が許可されたときは、上記損害賠償請求権がいわゆる自然債務となるとしたうえで、当事者の意思を確認したうえで、給付保持力が存在することを確認する限度で質的一部認容としました。

 いずれにせよ、免責が許可された場合には、強制執行はできません😵 

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(世田山山頂)

2024年12月 8日 (日)

【刑事】 ストーカー規制法ハンドブック

 立花書房から、令和6年11月に、ストーカー規制法ハンドブックが出版されましたので、早速購入いたしました。

 ストーカー規制法は、令和4年にも改正が行われ、規制対象行為が拡大されました。

 第1は、「相手方が現に所在する場所の付近において見張りをし、当該場所に押し掛け、及び当該場所の付近をみだりにうろつく行為」、「拒まれたにもかかわらず連続して文書を送付する行為」が、「つきまとい等」に追加されました。

 第2は、「相手方の承諾を得ないで、その所持する位置情報記録・」送信装置により記録され、又は送信される当該装置の位置に係る位置情報を一定の方法により取得する行為」や、「相手方の承諾を得ないで、その所持する物に位置情報記録・送信装置を取り付けること、位置情報記録・送信装置を取り付けた物を交付することその他その移動に伴い位置情報記録・送信装置を移動し得る状態にする行為」を、位置情報無承諾取得等として、規制の対象となりました。

 時代に応じた規制が求められているということですね。

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                            (嫁ちゃん弁当)

 先日、世田山に登った際に、嫁ちゃんランチをいただきました。チャーハンとシュウマイでした😄

2024年12月 7日 (土)

【金融・企業法務】 食べログと独占禁止法違反

 判例時報2603号で掲載された東京地裁令和4年6月16日判決が掲載されていました。

 主要な飲食店ポータルサイトの運営会社が、同サイトに掲載されている飲食店の評点を算出するためのアルゴリズムについて、チェーン店の評点を非チェーン店の評点に比して下方修正する変更を実施し、継続していることが、独占禁止法2条9項5号ハに定める優越的地位の濫用であるとされた事例です。

 正常な商慣習に照らして不当といけるかどうかについては、

 Yが本件変更を行ったことは、Yがあらかじめ公表していた評点の意義及び評価方法に照らし、Xにとってあらかじめ計算できない不利益を与えるものであり、少なくともYの主張する本件変更の意図・目的を達成する手段として相当であったとはいえないこと等に鑑みると、専ら公正な競争秩序の維持、促進の観点から是認される商慣習に照らして不当であり、正常な商慣習に照らして不当にという要件に当たるということができると判断しました。 Original_b4ea7e3ef91141a3b12cd2b9e9cd9f5                             (世田山展望台)

  食べログも自由に評点がつけられるというわけではなさそうです。

2024年12月 6日 (金)

【金融・企業法務】 グラス・ルイスの2024年助言方針改定内容について

 「グラス・ルイス」は、機関投資家がその受託者責任を果たすためのサポートを提供する議決権行使助言会社として、2003年に設立されました。

 機関投資家は、グラス・ルイスの助言方針に基づいて議決権行使を行うことが常ですので、助言方針の改定の内容については理解しておく必要があります。 

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(西条・東寿し)
 第1は、ジェンダー・ダイバーシティです。プライム市場上場企業の取締役会には、10%以上の多様な性別の取締役を求めているところですが、2024年からは、プライム市場上場企業の例外条項を撤廃しました。
 
 第2は、取締役会と監査役会の馴れない防止です。2025年から、社外取締役や社外監査役の在任期間が12年以上の場合、取締役会や監査役会のなれ合い等への取組が不十分と判断し、役員選任に責任があると思われる取締役に対して、反対助言を行うことになりました。
 第3は、政策保有株式に関する方針として、導入以来「対連結純資産の10%」基準を満たさない場合でも、企業の縮減目標や実施時期などの取組を評価し例外的に反対助言を見送るという例外条項を設定していたが、2025年からこの例外条項をさらに厳格化しました。
 第4は、取締役会に対してサイバーセキュリティの監督体制の構築とその開示を求める方針を制定しました。
 第5は、気候変動関連問題に対する取締役会の説明責任と助言方針の適用方法を2024年に向けて更新しました。
 なお、第1に関連する指摘として、「過去5年間のデータを見ると、社外女性取締役の数は2020年から2024年にかけて倍増している一方で、社内女性取締役の数はほぼ横ばいだった。また、女性取締役の約50%が複数の上場企業の取締役や監査役を兼任しているのに対し、男性取締役の兼任率は約16.2%と低く、女性取締役の過度な負担が示唆される。このことは、女性取締役の総数が増加している一方で、企業が社外の女性取締役に依存し過ぎており、社内での取締役候補者の育成や選任が不十分であることを物語っている。」と解説されています。
 社内での取締役候補者の育成や選任がもっとも大切なことかなと田舎弁護士も思います。
 

2024年12月 5日 (木)

【法律その他】 旅行業の種類 と、更新について

 旅行の手配をするときにお世話になるのが、旅行会社です。

 旅行会社は、必ず、登録を受けて旅行業を営んでおります。

 さて、旅行業とは、報酬を得て、旅行者と運送・宿泊施設等との契約の代理、取り次ぎ業務(旅行業)を取り扱うことを事業とする者のことで、旅行業法に基づき、旅行業(第1種、第2種、第3種又は地域限定)もしくは旅行業者代理業の登録が必要です。

 旅行業の種類としては、大手の旅行会社であれば、「第1種旅行業」の登録をされているはずです。第1種旅行業であれば、国内だけではなく海外の旅行業務を取り扱えます。また、他社の募集型企画旅行を扱うだけではなく、自社で国内や海外の募集型企画旅行を実施することができます。

 もっとも、旅行業・旅行業者代行業の登録に際しては必要な要件があります。

 第1が、旅行業登録の拒否要件に該当しないことが必要です。

 第2が、事業目的が旅行業であることです。

 第3が、旅行業の場合は基準資産額が一定額以上であることです。

 第4が、取扱管理者の選任があることです。

 例えば、第1種旅行業であれば、基準資産は3000万円、営業保証金は7000万円であることが必要です。

 なお、旅行業の場合には旅行業の登録の有効期間が5年となっております。 

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(横峰寺遍路道)
 旅行業の更新手続については、コロナ禍の救済措置がとられており、2025年3月までとされています。前述のように、第1種旅行業は3000万円の基準資産が必要ですので、これを欠く場合には、第1種では更新できないことになります。
 基準資産額が不足した場合の対処方法は、増資、贈与、債務免除、所有不動産の再評価があるようですが、この点については、こちらのサイトの解説がわかりやすかったです。

 

2024年12月 4日 (水)

【学校】 学校法人のガバナンス

 月刊監査役11月号での羅針盤です。改正私立学校法が令和5年5月8日に公布され、関連政省令とともに令和7年4月1日から施行されます。改正の理由は、日大事件などの不祥事を受けて、学校法人のガバナンス改革の推進が目的です。

 具体的には、「執行と監視・監督の役割の明確化・分離」を基本理念としつつ、私立学校の特性に応じた形で「建設的な協働と相互けん制」の確立が可能となるように、改正が行われ、ガバナンスに関連する主な改正点は、次のとおりです。

 ①学校法人(私立学校を設営運営する主体)には理事、理事会、監事、評議員及び評議員会並びに理事選任機関を置く。

 ②理事選任機関が評議員会以外の場合は、評議員会の意見を聴取する。

 ③理事長の選定は理事会で行う。

 ④監事の選解任は評議会の決議によって行い、役員近親者の就任を禁止する。

 ⑤理事と評議員の兼職を禁止する。

 ⑥評議員会は、選任機関が機能しない場合にに理事の解任を選任機関に求めたり、監事が機能しない場合に理事の行為の差止請求・責任追及を監事に求めたりすることができる。

 ⑦理事・理事会により選任された評議員の割合や、評議員の総数に占める役員近親者及び教職員等の割合に一定の上限を設ける。

 ⑧大臣所轄学校法人等は会計監査人を必置とし、そのうち規模の大きい法人等には内部統制システムの整備を義務化する。

 監事についても、①監事の選任は、旧規定では、評議員会の同意を得て理事長が選任するとされていましたが、改正法では、評議員会の決議に委ねられました。監事の選任に関する議案の提出については、監事の過半数の同意を得ることが必要になりました。大臣所轄学校法人は、常勤監事が必置となりました。さらに、監事は、その選任若しくは解任又は辞任について評議員会での意見陳述権が与えられました。

 監査役設置会社の株主総会のガバナンスに近くなったように感じます。 

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(世田山山頂ベンチ)

 なお、今回の改正のきっかけとなった日大ですが、現在の役員構成を調べてみました。

 理事長を除く理事は全部で23名ですが、弁護士等法学系の理事がなんと8名です。監事も、4名のうち1名が弁護士です。ガバナンスについての、日大の本気度が伝わってきそうです😄

2024年12月 3日 (火)

【倒産】 破産しても、支払義務が残る債権があります😅

 破産すると、全ての負債が消えて無くなると思っている方が多いですが、実はそうではありません。

 破産法第253条には、仮に免責決定を受けても、免責の効力が及ばない債権のリストを挙げています。

 第1に、租税等の請求権です。 税金は残ります。

 第2に、破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権です。勤務先のお金を横領してしまったような場合が典型でしょう。

 第3に、破産者が故意又は重過失により加えた生命・身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権です。飲酒運転して死亡事故を発生させてしまったような場合がこれにあたります。

 第4に、破産者が負担する扶養義務等に係る請求権です。養育費等です。

 第5に、雇用関係に基づく使用人の請求権等です。これはそれほど例は多くないかもしれませんね。

 第6に、破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権です。これは、例がそこそこあります。記載しなかったことに過失がある場合も含まれますので、債権者に漏れないように注意が必要です。

 第7に、罰金等の請求権です。まあ、刑罰やそれに近いものなので当然でしょう。

 

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(横峰寺遍路道)
 破産しても、いろいろと支払義務が残る債権があります。注意しましょう。

2024年12月 2日 (月)

【学校】英語担当の外国人専任教員について、大学の実情や採用、更新の経緯を検討して、労契法19条2号による更新を認めた上で、さらに、同法18条1項に基づく無期転換権の行使により期間の定めのない労働契約上の地位にあることを認めた事例 令和5年1月30日長崎地裁判決

 判例時報2602号で掲載された令和5年1月30日長崎地裁判決です。

 X(ベルギー国籍)は、平成23年3月1日に国立大学法人Yとの間で、3年間の有期労働契約を締結し、教育職員(助教)として医学英語等を担当していました。

 Yは、期間3年の平成26年3月1日付け更新(1回目更新)及び期間2年の平成29年3月1日付更新(2回目更新)を前提として、平成30年11月13日、Xに対して、期間満了後の平成31年3月1日以降、更新を拒絶する旨の通知(本件雇い止め)しました。

 背景に平成25年4月1日から施行された労契法18条の改正により、5年を超える労働者については、無期転換権を付与されることになり、本件でも、施行後の通算期間5年を超える直前での雇い止めの効力が問題となりました。

 労契法19条2号に基づく3回目の契約の更新について、裁判所は、常用性、更新の回数、雇用の通算期間、雇用期間管理の状況、雇用継続を期待させる使用者の言動等を基礎付ける諸事情の有無について検討しました。

 Xは、恒常的に医学部の英語教育に関する必須科目や選択科目を担当し、英語教員として必要な付随的業務等を担当してきたこと

 本件労働契約が、不更新条項にかかわらず、実質的な審査等がされた形跡がなく、形式的な手続で2回更新され、契約期間が通算8年間に及んでいたこと

 Xが、Y大学の長期的視野に立つと考えられる新規方針の一貫として、医学英語担当の外国人専任教員として採用され、採用過程において、その旨伝えられていたことなどの諸事情を考慮して、Xの本件労働契約更新への期待について、労契法19条2号所定の合理的な理由があると認めました。

 ★労契法19条2号

  当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること

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(笠松山・モウセンゴケ)
 そして、本判決は、本件雇止めについて、労契法19条本文所定の合理性及び相当性の欠如を検討し、
 Xが医学英語担当の外国人専任教員として必要な担当能力を有していたこと
 
 Y医学部の教育変更方針に伴う外国人専任教員削減の必要性は1名分にとどまり、同方針変更やこれに伴う影響について事前に説明せず、対応検討の機会を設けないまま、必要な範囲を超えて人員削減したことなどから、合理性を欠き、
 さらには、本件雇止めの時期が同種職種の就職先を探すためには不十分で、他の配属先を探すために誠実に対応したともいえないことから、社会通念上相当性を欠くとして、同条2号により更新を認め、その上で、Xは無期転換権を行使したから、本件労働契約は、同法18条1項により期間の定めのない労働契約に転換されたと認めました。
 国立大学法人側にとって、厳しい判断です。

  

2024年12月 1日 (日)

【相続】限定承認の利用

 限定承認という制度は、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐという制度で、バラ色の制度のように思われますが、実際の利用件数は非常に少ないです。

 少し古いデータですが、2018年の実績で、相続放棄が21万件であるのに対して、限定承認は700件程度です。

 ネックになっているのは、限定承認制度が清算手続を予定しているためにかなり面倒(1年~2年程かかります)という点に加えて、故人から相続人への相続財産の時価による譲渡とみなされ含み益は譲渡所得として課税される(しかも、相続開始を知った日から4か月以内に申告をする必要があります)というデメリットがあります。

 田舎弁護士の経験でも、10件程度の申立てです。しかも、いずれも相当に面倒でした😅

 ただ、最近は、毎年のように1件程度のご相談や依頼が続いております

 限定承認を選ぶ動機としては、①プラスの財産、マイナスの財産がいくらなのかよくわからない場合、②先祖代々の実家のようにどうしても残したい不動産がある場合、③次の順位の相続人に迷惑をかけずに自分たちの代で処理したい場合などがありました。 

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(笠松山・野々瀬奥登山口)
限定承認については、以下の11のステップを踏む必要があります。
1.相続財産・負債の調査
2.限定承認の熟慮期間の延長(必要であれば)
3.相続人全員に連絡
4.申述書と相続財産目録の作成
(家裁へ)
5.限定承認の申述
6.限定承認申述受理の審判
7.相続財産清算人の選任
8.債権申出の公告・催告  (限定承認者5日以内、相続財産清算人10日以内)
9.鑑定人選任の申立
10.請求申出を行った相続債権者・受遺者への弁済
11.残余財産の処理等
 限定承認を利用するに際して、いくつか注意点があります。
 第1に、相続財産・負債の調査ですが、弁護士に依頼されたからといって、100%完璧な調査ができるかといえば難しいところがあります。
 第2に、清算手続に関する弁護士費用については、相続財産から支弁できず、限定承認者自身の負担となります。
 第3に、官報広告費用(数万円)が発生します。これは相続財産から支払うことが可能です。
 第4に、準確定申告が必要です。
 第5に、相続財産を責任の限度としての負担が継続します。

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(野田古墳)
 ただ、辞めてもらいたいのは、弁護士の中には、限定承認を勧めるものの、実際の清算手続は本人に委ねるパターンです。結局のところ、民法が予定手続は踏んでおらず、そのまま放置されてしまっていることが散見されます。

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