【相続】限定承認の利用
限定承認という制度は、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐという制度で、バラ色の制度のように思われますが、実際の利用件数は非常に少ないです。
少し古いデータですが、2018年の実績で、相続放棄が21万件であるのに対して、限定承認は700件程度です。
ネックになっているのは、限定承認制度が清算手続を予定しているためにかなり面倒(1年~2年程かかります)という点に加えて、故人から相続人への相続財産の時価による譲渡とみなされ含み益は譲渡所得として課税される(しかも、相続開始を知った日から4か月以内に申告をする必要があります)というデメリットがあります。
田舎弁護士の経験でも、10件程度の申立てです。しかも、いずれも相当に面倒でした😅
ただ、最近は、毎年のように1件程度のご相談や依頼が続いております
限定承認を選ぶ動機としては、①プラスの財産、マイナスの財産がいくらなのかよくわからない場合、②先祖代々の実家のようにどうしても残したい不動産がある場合、③次の順位の相続人に迷惑をかけずに自分たちの代で処理したい場合などがありました。
« 【金融・企業法務】 仕入先である免税事業者との取引について、インボイス制度の実施を契機として取引条件を見直すことを検討しておりますが、独占禁止法等の上では、どのような行為が問題となりますか? 令和4年1月19日公表の公正取引委員会外作成の免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A | トップページ | 【学校】英語担当の外国人専任教員について、大学の実情や採用、更新の経緯を検討して、労契法19条2号による更新を認めた上で、さらに、同法18条1項に基づく無期転換権の行使により期間の定めのない労働契約上の地位にあることを認めた事例 令和5年1月30日長崎地裁判決 »
「【相続】」カテゴリの記事
- 【相続】 選任審判主文に掲げられた案文どおり遺産分割協議を成立させた特別代理人に、善管注意義務違反がないとされた事例 東京地裁令和5年9月22日判決(2025.01.17)
- 【相続】 配偶者短期居住権の新設 令和2年4月1日~(2024.12.26)
- 【相続】配偶者居住権の新設(令和2年4月1日~)(2024.12.25)
- 【相続】限定承認の利用(2024.12.01)
- 【相続】 不動産の共有持分権を放棄した場合、放棄された共有持分権はどこにいくの??(2024.10.30)
最近のコメント