【法律その他】 従業員の給料が差し押さえられた!?
従業員の給料がサラ金から差し押さえられたという相談が少しずつ増えているように思います。
突然、裁判所から、債権差押決定の封筒が届きます。
「差押債権目録」には、差押え金額と、給与・賞与及び退職金債権のうち差押え対象部分が記載されています。
通常は、給与であれば、給与と諸手当(通勤手当除く)から、所得税、住民税及び社会保険料を控除した残額の4分の1です。
また、陳述書も作成の上、裁判所や債権者に提出しなければなりません。
差押命令が債務者(送達通知書で確認)に届いて4週間を経過すると、会社はサラ金に支払うことになります。
複数のサラ金から差押えられた場合には、さらに手続が複雑になりますが、ここでは説明しません。
なお、サラ金は、無条件で差押えができるわけではなく、多くの場合は、欠席判決や和解調書を原因として、差押えされています。従って、勤務先にとっては驚きであっても、従業員にとってはそうではありません。
そして、この差押えに対する勤務先の対応ですが、面倒ですが、残念ながらお付き合いせざる得ません。
(九谷焼美術館)
経営者の方からは、クビにできないか?という相談を受けることがありますが、借金は基本的には業務とは無関係の私的生活上の行為であることから、多額の負債がある、破産の申立てをしている、さらに破産したという理由で、従業員を解雇することは困難です。
そして、反対に、従業員の立場からすれば、給料の手取額が少なくなることから、差押えをされた会社を辞めてしまう方もいます。
ただ、勤務先が従業員にお金を貸していることもあり、退職の際に、勤務先と従業員との間でトラブルになることも散見されます。
従業員の立場から、差押えからの早期の解放を希望されるのであれば、破産申立を行い管財事件として処理してもらうか、個人再生手続を行う等の方法もあります。
但し、これらの手続の申立てを行うに際して弁護士に依頼されるのであれば、相応の費用がかかります。
サラ金側としては、従業員に辞められたら、それ以降は再び同じような手続をとらない限り、債権回収が図れません。
勤務先としては、従業員が辞めない場合には、面倒な対応をせざるを得ませんし、また、辞めた場合には、勤務先が従業員にお金を貸しているようなケースもありトラブルになりがちです。勤務先としては、貸付金を給料から控除しようとしますが、労働基準法違反となりますので、できません。
サラ金から差押えまで受けている方の中には、生活態度がだらしない方が相当数散見されるように思います。
サラ金から訴訟をされる前に、或いはされた後に、地元のしっかりした弁護士に相談するなりの方法がとれたはずです。
サラ金から差押えをされると、勤務先にも大きな負担をかけることになります。
お金を借りる際には十分な返済計画を立ててから借りるようにして下さい。
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