丸善出版から、令和5年9月に「むち打ち損傷ハンドブック」が出版されていましたので、東京の日弁連会館の本屋さんで購入しました😅
(ヒルトン広島)
「第4巻によせて、外傷性頸部症候群と後遺症」と題して、「近年、慢性疼痛に関する医学的知見が進歩して、むち打ち損傷(外傷性頸部症候群)によって発生した長引く痛みの一部に、事故による組織損傷とは別の機序で発生する疼痛(外傷後慢性疼痛)も存在することがわかってきました。外傷による疼痛は、一般的には外傷の大きさに比例して筋肉や関節に損傷を受け、炎症が発生して痛みとなります。一方で、外傷後慢性疼痛は事故の大きさやケガの大きさと関係なく、外傷を契機として発生した疼痛から生じた疼痛感作による二次性の疼痛です。そのため、2の痛みを8や9に感じてしまい、通常の消炎鎮痛剤の効果が弱いのが特徴です。事故の大きさから乖離した疼痛であり、しばしば後遺症評価で混乱の原因となつてしまいます。
疼痛感作はなぜ発症するかというと、事故によるさまざまなストレスや不安から、脳が痛みを感じやすくなるためです。事故によるさまざまなストレスや不安から、脳が痛みを感じやすくなるためです。今後、賠償医学という観点からこのような直接外傷から離れ、二次的に発生した慢性疼痛を後遺症としてどのように評価していくかについて、法曹界の協力を得ながら検討する必要があります。」と書かれています。
外傷後慢性疼痛に対しての解答は、本書によっても明確に説明がされていません。
第15章むち打ち損傷の矛盾と疑問、心理的問題の章で、あくまで問題提起の形で触れられている程度です。
当職の経験でも、外傷後慢性疼痛については、医学的にも説明しづらいことから、心療内科に通院していれば非器質的精神障害として認定されることはあるかもしれませんが、一般的な事故による組織損傷という形での後遺障害獲得は厳しいと思います。
増悪傾向にあることもあり、周囲の理解も得られないことが多くて、適切な支援者がいない状態でご依頼を受けると、難事件となることから、弁護士に対するクレームにもつながることがあります。
本書で書かれているとおり、詐病ではないのですから、適切な評価が得られるようガイドラインを策定していただけますと幸いです😅
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