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2024年6月28日 (金)

【倒産】 偏頗行為の否認⁉

 ここ数年なぜか裁判所から大型の管財事件の打診はないために、田舎弁護士の破産法の知見は干乾びているような状態です😅

 ところで、破産事件の申立をサポートする際に、申立てや受任通知以前の負債の支払いについてはいわゆる否認の問題が生じることがあることが多いために、聞き取りも慎重になります。

 否認の1類型として、偏頗行為の否認というものがあります。要は、債権者間の平等弁済を害する行為についての否認です。さらに、破産法では、さらに2つのケースを定めております。

 第1は、支払不能等の後の担保の供与または債務の消滅に関する行為として、本旨弁済を対象とするものです。

 否認の主な要件は、3つです。

 ① 支払不能となった後または破産手続開始申立てがあった後にした行為

 ② 既存債務についてされた担保の供与または債務の消滅に関する行為

 ③ 受益者の悪意

 倒産してしまってからは、それを知っているのであれば本旨弁済もだめですよということです。

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(東京深川資料館)

 第2は、支払不能前30日以内の、破産者の義務に基づかない担保の供与または債務の消滅に関する行為として、非本旨弁済を対象とするものです。

 これも否認の主な要件は、3つです。

 ① 破産者の義務に基づかない

 ② 支払い不能となる前30日以内になされた行為

 ③ 受益者の悪意

 この非本旨弁済が他の破産債権者を害することを知っていた場合には、だめですよということです。

 但し、③の受益者の悪意については、証明責任が転換されています。伊藤眞の教科書によれば、「受益者たる債権者の側で、行為の当時、他の破産債権者の側で、行為の当時、他の破産債権者を害する事実を知らなかったことを証明して、はじめて否認の成立が阻却される。」と説明されています。そして、「他の破産債権者の利益を害する事実とは、偏頗行為否認の基礎である債権者平等を害する事実を意味し、具体的には、30日内の支払不能の発生が確実に予測された事実と解され」ています。また、青林書院破産法によれば、「破産債権者を害する事実・・具体的には、支払不能が近接しているという事実の認識を問題とすべき」と説明されています。さらに、弘文堂破産法によれば、「支払不能の発生が相当程度以上の蓋然性をもって予測される状態を意味すると解すべき」と説明されています。

 そして、田舎弁護士も破産管財人になったときに利用したことがありますが、相手方と交渉が難航しそうな場合には、破産裁判所に、否認の請求の申立てを行い、裁判所で相手方と和解、和解が難しい場合には、決定をいただくということで対応していました。

 裁判所に否認の査定をした場合には、相手方も、相当程度のお金を支払う意向を示すことが少なくないので、裁判所で和解していました。

 他方で、相手方である債権者としては、管財人に対抗するためには、やはり、善意であることの立証ができるかどうかに尽きると思いますが、支払期限よりも先に支払うということは、どうして?という疑問を抱いて債務者に質問することもあるのではないかと思います。債務者がいやもう債務超過でやっていけないので等と言うと、受益者が悪意ということになってしまうので、余計なことはきかないようがいいかもしれませんね😅

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