【流通】 量販店による複数の納入業者に対する各種の不利益行為につき、優越的地位の濫用が成立し、1つの違反行為を構成すると判断された事例
判例時報2585号の判例評論で紹介された東京高裁令和3年3月3日判決です。
事実は以下のとおりまとめられています。
「本件原告であるラルズは北海道の区域において複数の名称で店舗を運営し、平成24年2月29日時点で64店舗、15万㎡の総面積を有する小売事業者である。ラルズの総売上高は平成24年2月期に約1182億円で北海道第3位、食料品の売上高は平成23年2月期に約1021億円、北海道第2位である。」
「本件では、ラルズが、新装開店又は改装開店に際し食料品、日用雑貨品、衣料品等の製造業者又は卸売業者である納入業者88社のうち、①新装開店又は改装開店に際し納入業者53社に対し納入業者の納入商品以外の商品を含む店舗の商品陳列、補充、撤去等の作業を行わせるため、あらかじめ納入業者との間で条件につき合意することなく、通常必要な費用のほとんど全てを負担せず納入業者の従業員等を派遣させていた行為、②オープンセールに際して納入業者54社に対し、創業祭と称するセールに際し86社に対し、それぞれ協賛金の名目で、あらかじめ算出根拠、使途等について明確に説明することなく、納入業者の販売促進効果等の利益を勘案せずに金銭を提供していた行為、③紳士服特別販売会と称するセールにおけるスーツ等の販売に際して、仕入れ担当者から納入業者18社に対して、購入すべき数量を示して購入を要請するなどしてスーツ等を購入させていた行為が問題となった。」
公正取引委員会は、独占禁止法に違反するとして、排除措置命令、及び約12億8000万円の課徴金納付命令を行いました。
ラルズは、これを不服として、東京高裁に審決取消訴訟を提起しました。
東京高裁も、ラルズの行為は独占禁止法に違反とするとして、請求を棄却しております。
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