<(_ _)>

🚓交通事故🚓

🏩 書籍紹介(労働・労災)

🏈 学校

書籍紹介(不動産・建築)

📚 書籍紹介(法律)

🚚 書籍紹介(流通)

📖 法律以外の一般書籍

« 25年前と変わったこと、変わらないこと | トップページ | 【子ども】 自分の本当の子どもでないのに、養育費を負担せんといかんの!? »

2024年1月 3日 (水)

【金融・企業法務】 会社法144条2項に基づく譲渡制限株式の売買価格の決定の手続において裁判所が上記売買価格を定める場合に、DCF法によって算定された上記譲渡制限株式の評価額から非流動性ディスカウント(非上場会社の株式には市場性がないことを理由とする減価)を行うことができるとされた事例 最高裁令和5年5月24日決定

 判例タイムズNo1514号で掲載された最高裁令和5年5月24日決定です。

 本件は、非上場会社の譲渡制限株式の売買価格の決定が問題となった事案です。具体的には、譲渡制限株式の株主ら(抗告人ら)は、非上場会社(相手方ら)に対し、その所有する譲渡制限株式(本件株式)を第三者へ譲渡するに当たり、その承認を求めました。しかし、非上場会社は、これを拒否し、自ら本件株式を買い取ることを前提に、会社法144条2項に基づき、裁判所に本件株式の売買価格の決定を申立てをしました。

                        ↓

 原決定(広島高決令和3年12月21日)は、①本件株式の評価方法としてDCF法(将来期待されるフリーキャッシュフローを一定の割引率で割り引くことにより株式の現在の価値を算定する方法)を用い、本件株式の1株当たりの評価額を算定した上で、②その評価額から、非流動性ディスカウントとして30%の減価を行い、本件株式の売買価格を定めた。

                        ↓

 これに対して、譲渡制限株式の株主らは、次のとおり主張するなどして、抗告許可の申立てを行い、これが許可された。最決平成27年3月26日決定(平成27年決定)は、非上場会社において吸収合併に反対する株主から株式買取請求がされ、裁判所が収益還元法(将来期待された純利益を一定の資本還元率で還元することにより株式の現在の価格を算定する方法)を用いて株式の買取価格を決定する場合に、非流動性ディスカウントを行うことはできないと判示していることから、本件株式について非流動性ディスカウントを行った原決定には、判例違反がある。

                        ↓

 最高裁は、①会社法144条2項に基づく譲渡制限株式の売買価格の決定手続は、譲渡を希望する株主に投下資本の回収の手段を保障するために設けられたものであるから、譲渡制限株式が任意に譲渡される場合には非流動性ディスカウントを行うことができることと同様に、相当と認められる場合には非流動性ディスカントを行うことができる、

 ②このことは譲渡制限株式の評価方法としてDCF法が用いられても変わるものではない、

 ③もっとも、譲渡制限株式の評価額の算定過程において当該譲渡制限株式に市場性がないことが既に十分に考慮されている場合には、当該評価額から更に非流動性ディスカウントを行うことは、二重の減価を行うこととなり、相当ではないが、本件においてはそのような事情はうかがわれない、

 ④したがって、本件においてはDCF法によって算定された本件株式の評価額から非流動性ディスカウントを行うことができるとの事例判断を示し、平成27年決定は本件と事案を異にし、判例違反の抗告理由は採用できないと判断しました。

20231223_193351
(清澄白河の小料理屋で)

« 25年前と変わったこと、変わらないこと | トップページ | 【子ども】 自分の本当の子どもでないのに、養育費を負担せんといかんの!? »

【金融・企業法務】」カテゴリの記事

2025年2月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28  

🏦 書籍紹介(企業法務・金融)

💔 離婚等

🏠 書籍紹介(相続・遺産分割・遺言等)

🌐 後見・介護

医療分野等の法律書

無料ブログはココログ