【学校】 国立大学協会会長による「国立大学におけるセクシャルハラスメントを含む性暴力等の防止について」
10月13日に国大協会長から声明が発出されました。
大学において、学生に対するセクシュアルハラスメントを含む性暴力等は、学生の心身とその尊厳を傷つけ、人権を侵害する行為であり、断じて許されるものではない。大学は、学生を受け入れ、教育・研究を通じて学生の成長を促し、社会に送り出すという教育機関であり、その過程で学生を傷つけるような行為を大学の構成員自らが行うことは、大学の存在意義を没却する背信とも言える行動であることを、すべての大学関係者が深く自覚すべきである。
大学が社会から信頼され、学生が自らの成長を志し、安心して進学し学修・研究するためには、大学及び大学関係者自らが、こうした行為を断固許容しない姿勢と具体的な取組を、学内外に示していくことが何よりも求められる。
政府においても、令和5年6月の刑法及び刑事訴訟法の改正において、強制わいせつ罪及び準強制わいせつ罪の要件の改正や、性的姿態の撮影行為及びその画像等の提供行為に係る罪の新設等がなされ、また、関係府省会議においても「性犯罪・性暴力対策の更なる強化の方針」を本年 3 月に策定し、令和 5 年度から 7 年度を「更なる集中強化期間」に位置付けるなど、継続的に性犯罪・性暴力対策の強化を進めている。
こどもの教育分野においても、性犯罪歴がないことの証明を求める仕組みの検討が進められるなど、性犯罪・性暴力への厳正な対処や被害防止の徹底に対する社会的要請が一層強まっている。
こうした動向を踏まえ、文部科学省においては、令和 4 年 11 月に「セクシュアルハラスメントを含む性暴力等の防止に向けた取組の推進について(通知)」において各大学に性暴力等の防止や厳正な対処を徹底することを求め、また、本年 6 月に国立大学を対象とした取組状況調査を実施し、その結果を受け、本年 9 月 29 日付で「セクシュアルハラスメントを含む性暴力等の防止に向けた取組の更なる推進について(通知)」を国公私立大学に発出し、各大学に対し、学内規則の見直しや行為者への厳正な対処等のセクシュアルハラスメント・性暴力等の防止に一層積極的に取り組むこと等が要請されているところである。
国立大学は、冒頭の考え方に立ち、以前から、セクシュアルハラスメント・性暴力等の防止に積極的に取り組んできたところであるが、昨今の行為者の厳正な処分や被害防止徹底への社会的要請の高まりを踏まえ、セクシュアルハラスメント・性暴力等を決して見逃さず、許さないという姿勢とそのための実効的な取組を、大学の内外に向けて一層明確なものとする必要がある。
そのため、大学が自らの責任において、セクシュアルハラスメント・性暴力等の防止、及びその被害が生じた場合の対応等を厳正に行うため、以下の取組を遺漏なく、確実に進めることを強く希望する。
1.セクシュアルハラスメント・性暴力等の行為者への厳正な対処に関する方針等を整備すること
2.厳正な対処を行っていることが明確となるよう、懲戒処分基準の整備と明示を迅速に行うこと
3.教員採用時にセクシュアルハラスメント・性暴力等を原因とする懲戒処分歴等の確認等を行うこと
4.セクシュアルハラスメント・性暴力等の行為者に対する懲戒処分について、学内規則に基づいて適切に公表すること
5.警察や医療機関、支援センター等の学外関係機関等との連携を図ること
6.学内の取組状況の積極的な公表及び、学外相談窓口等の更なる整備に努めること
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