【流通】営業担当者が留意すべき競争法規制のポイント (岩田合同法律事務所)
先日、岩田合同法律事務所に所属されている弁護士の先生の「営業担当者が留意すべき競争法規制のポイント」をWEBで受講しました。優越的地位の濫用、下請法、小売業に求められるコンプライアンスが主なテーマでした。
優越的地位の濫用となった場合、排除措置命令(差止、公表)の他、課徴金納付命令(算定対象期間における売上の1%)
〇優越的地位+不利益行為=優越的地位の濫用
〇不利益行為
従業員派遣応援(例外①派遣の条件について、あらかじめ相手方と合意し、かつ、通常必要な費用を買主が負担する場合、②相手方が得ることとなる直接の利益等を勘案して、合理的な範囲のものであり、相手方の同意の上で行われる場合)
協賛金収受(例外負担額、算出根拠、使途等についてあらかじめ相手方に明らかにし、相手方が得ることとなる直接の利益等を勘案して合理的な範囲内のもので、相手方の同意がある場合)
返品(例外①商品の購入にあたつて相手方との合意により返品の条件を明確に定め、その条件に従って行う場合、②あらかじめ相手方の同意を得て、通常生ずべき損失を自己が負担する場合、③相手方から返品を受けたい旨の申出ああり、当該商品を処分することが直接の利益となる場合)
減額(例外①減額の要請が対価に係る交渉の一環として行われ、その額が需給関係を反映しあものであると認められる場合、②相手方から値引き販売の原資とするための減額の申出があり、かつ、相手方の直接の利益となる場合)
購入強制(例外特定の仕様を指示して発注する際に、当該商品又は役務の内容を均質にするため又はその改善を図るためなど合理的な必要性から、必要な原材料や設備を購入させる場合)
〇 優越的地位の濫用 相手方との関係で相対的に優越した地位があれば、優越的地位が認められる
市場支配的な地位等は不要
取引依存度が大きいこと(10%以上目安)
取引依存度の順位が高いこと(9位以内目安)
総合的に考慮
これは、相手方の情報、総合考慮なので、優越的地位にあるかどうかは予測困難
〇 独禁法の執行 (命令、警告、注意)
◎ 不利益行為の例外の主張立証困難、優越的地位の濫用は予測困難
不利益行為に当たらないようにするのが肝要
下請法違反となった場合、勧告(違反行為の是正、原状回復措置、公表)、指導(内容は公表されない)←自発的申出を行う最大のメリット
〇 対象事業者 対象取引 + 禁止行為 = 下請法違反
〇 対象事業者(資本金)
製造委託の例 自社資本金が3億円超の場合 ⇔ 資本金3億円以下の取引先
自社資本金が1000万円超・3億円以下の場合 ⇔ 資本金1000万円以下の取引先
※自社の資本金及び取引先の資本金につき、要確認
〇 対象取引(製造委託の例)
仕様、内容等の指定 納入業者からの提案を受け入れた場合は?
公取委から疑われそうな取引については、慎重に対応(交渉経緯の書面化など)
〇 禁止行為
×代金の減額は、同意があっても駄目
〇 下請法の執行(勧告、指導)
※勧告に従わない場合には、優越的地位の濫用の審査が開始される
〇 禁止行為は、例外の主張立証困難、対象取引該当性の判断は慎重。優越的地位の濫用よりは、対象となる事業者及び取引を見極めやすい害、見落としは危険 保守的に禁止行為をできるだけ避ける
〇 3条書面の交付義務、5条書類の作成・保存義務(2年)
~最近の流れ~
パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ
① 買いたたきの解釈の明確化(令和4年1月26日に下請法運用基準改正)
② 買いたたきに対する取締り強化
③ 下請取引の監督強化のための情報システムの構築
専門にされている実務家のお話は、具体的でとてもわかりやすいものです👂
(奥は弓削島)
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