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2022年3月15日 (火)

【流通】 独禁法の「差別対価」のお勉強  「公取委実務から考える独占禁止法」

 独禁法上、不当な差別的対価とは、「不当に、地域又は相手方におり差別的な対価をもって、商品又は役務を継続して供給することであって、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるもの」(法2条9項2号)(法定差別対価)や、このほか、「不当に、地域又は相手方により差別的な対価をもって、商品若しくは役務を供給し、又はこれらの供給を受けること」(一般指定3項)(一般指定の差別対価)を言います。 

 法定差別対価は、「継続性」も成立要件とされ、課徴金の対象となります。

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(笠松山から楢原山を望む)
 この点を考えるために、「公取委実務から考える独占禁止法」(幕田秀雄弁護士)を読んでみました。引用しながら、この点を考えたいと思います。
 まず、差別対価の成立要件として、①行為要件(同一の商品・役務に対して異なった価格を設定すること)と、②公正競争阻害性(自由競争の減殺のおそれ)が必要になっています。
 
 以下、P183~の既述を引用します。
 「ア 行為要件 
 まず、商品・役務が同一といえるかが問題となるが、物理的に完全に同一であることは必要でなく、同質同等ないし全体として実質的に同一であれば足りる(東京高判昭和32・3・18第二次北国新聞社事件)。」
 「差別対価の相手方は事業者に限定されていない。対消費者の取引であっても対象となる」
  他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれ
 「イ 公正競争阻害性
  対価は、本来自由に決められるべきものであり、相手方や地域によって価格が異なることはままあることであり、そのような価格決定には合理的理由がある場合も多いので、それが「不当」といえるかどうか慎重に判断すべきである。」
 「(ア)不当廉売型の場合
  まず、想定される公正競争阻害性としては、不当廉売の公正競争阻害性がある。これは、取引相手に有利な差別対価(低価格販売)を行うことで、競争者の事業活動を困難にし、それによって自由競争を減殺する場合である。市場支配力の獲得を目指す事業者が、競争者がいる市場または新規参入が生じた市場のみで低価格販売を行い、その競争者の事業活動を困難にすることを意図して行う地域的な差別対価が典型である」
 「規制を行う要件としての対価について、不当廉売と同じく、原価割れを必要条件とすべきとする裁判例(東京高判平17・5・31日本瓦斯事件)がある。これと違って、原価割れになっていなくても、大きなシェアを持ち強大な競争力を有する事業者が、その力を背景にして行う場合など、不当な力の行使と認められるときは違反が成立するとした裁判例(東京高判平17・4・27トーカイ事件)もある。」
 不当廉売であれば、基本的には、原価割れを起こすようなことまでが必要みたいです。
 

 

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