【金融・企業法務】 東京三弁護士会公益者通報者保護協議会シンポジウム 改正公益通報者保護法に基づく実務対応 続き
昨日の続きです。
次に、「2 公益通報対応業務従事者、秘密漏泄を防止する体制」です。これは、(1)守秘義務、(2)公益通報対応業務従事者の範囲、(3)従事者を定める方法、(4)秘密漏洩を防止する体制です。
まず、(1)守秘義務ですが、公益通報対応業務従事者及び公益通報対応業務従事者であった者に対し、「正当な理由がなく」「当該業務で知りえた事項であって公益通報者を特定させるもの」を漏らしてはならないとする守秘義務をかし、さらに、同義務違反に対し「30万円以下の罰金に処する」としました。刑事罰を定めているんですね💦
(2)公益通報対応業務従事者の範囲として、公益通報対応業務従事者には「公益通報対応業務に関し知りえた事項で、公益通報者を特定させるもの」について守秘義務がかせられます。よって、公益通報対応業務において、公益通報者を特定させるものを知りうる者とすべきである。
1号通報を受付ける者が、「公益通報者を特定させる」事項について、受付、調査、是正措置、再発防止策策定等のすべての段階において、必要最小限度の範囲で情報を共有するということですので、情報管理方法をどのように定めるかが大切になろうかと思います。
最後に、「3 その他公益通報対応を機能させる制度」として、(1)不利益な取扱いを防止する体制、(2)公益通報対応の仕組みを適切に機能させるための措置です。
(1)不利益な取扱いを防止する体制としては、①事業者は、1号通報した者に対して、通報したことを理由として不利益取扱いをすることを防止する措置をとる、②万が一不利益取扱いがなされた場合に救済・回復措置をとる、③通報者が不利益な取扱いを受けていないか把握する措置をとる、④不利益取扱いを行った者に対して、その行為態様、被害の程度、その他諸般の事情を考慮して懲戒処分その他の適切な措置をとることに留意が必要です。
(2)公益通報対応の仕組みを適切に機能させるための措置として、①1号通報を活用して法令遵守を実現させるための体制及び公益通報者を保護する体制について、内部規程として定め、また、当該規程の定めに従って運用すること、②経営幹部、役員、従業員及び退職者に対して、公益通報者保護法及び内部通報対応制度について周知・教育をすること、③公益通報対応業務従事者に対して「公益通報者を特定させる」事項に関する情報の取扱いについて特に十分な教育・訓練を行うこと、④通報窓口に1号運用実績について開示する。1号通報の対応に関する記録の作成・保管、公益通報対応体制の評価・点検を定期的に実施し、必要に応じて改善を行うことに留意が必要です。
田舎弁護士的には、「正当な理由がなく」「当該業務で知りえた事項であって公益通報者を特定させるもの」を漏らしてはならないとされているので、通報窓口対応業務従事者以外の者に、公益通報者を特定させるものを漏らしてならないということになります。
情報管理方法について、明確に定める必要があります。
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