何のために弁護士になるのか !?
最近では質問を受けることが少なくなりましたが、弁護士になりたてのころには、弁護士を目指したのはどうして?と動機を尋ねられることが少なくありませんでした。
田舎弁護士の場合、弁護士登録は実家のある今治でしたので、なおさらでした。
父親が小さな商売をしていたことから商売上のトラブルを抱えたときに弁護士に依頼したことがあり、父親と同じようにトラブルを抱えて苦しんでいる方のお手伝いが出来たらいいなという気持ちで弁護士を志したという記憶があります。
もっとも、中学生のころから、弁護士や医師等の自由業にあこがれていたということも背景にあります。
ただ、根本は、法律トラブルを抱えてどうしたらいいのかわからない市民の方々に、法律という武器を用いて、サポートできたらいいなという思いが中心でした。
ところが、最近、弁護士の数が増加するに伴い、法律事務所ではなく、インハウスといって企業内弁護士になられる方が増加しております。
金融法務事情No2084号には、都市銀行に勤務されているインハウスの方のエッセイが紹介されていました。
業務の質、量、処遇等、さすが、大手都市銀行の法務室という内容のものであり、小さな法律事務所の経営者という立場からすれば、特定の分野に偏ってしまうかもしれませんが、このようなルートも選択肢の1つとしてあるなと思いました。
また、昨今の弁護士を取り巻く環境と比較して、インハウスであることについてのデメリットは小さいと評価されています。例えば、収入でいえば弁護士の人数は年々増加しているため、法律事務所勤務の弁護士が常にインハウスローヤーよりも収入が多いとは限らない状況となっていること、組織でなくても、専制的なボス弁に苦労している事務所勤務の弁護士も多いこと等も挙げております。
そして、弁護士業のことについては、「弁護士としてのアイデンティティなどというものを意識しているわけでないようであり、むしろ法律というプラットフォームの上で、クライアントのために最善を尽くすというサービス業を行っているという本質」と述べています。
そのとおりなのだと思いますが、ただ、他方で、弁護士の場合には、憲法が定める基本的人権の尊重等の視点も、クライアントのために最善を尽くすことと同じ位に重要なんじゃないかなと思っています。
これだと、ただの法律事務屋さんのような気がします
地方のマチ弁って、インハウスのように、特定分野の難しいことはできませんが、取り扱う分野はほぼ無限なので、業務自体はおもしろいですよ。
また、その中で、得意にしたい分野があれば勉強を継続すれば、その地域では第一人者にもなれます
(伯方島の造船所)
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