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2015年11月30日 (月)

【法律その他】 大型テントが突風で飛散して人が死亡してしまったケース

 判例時報No2269号で紹介された名古屋地判平成27年2月19日(控訴中)です。

 判決の骨子は以下のとおりです。

① 権利能力なき社団であるイベント実行委員会が地方公共団体を共催者として実施したイベントの会場内に飲食店用の大型テントを設置したところ、突風により同テントが飛散し、来場者が死亡した事故が発生した場合において、同テントにつき、設置、保存、管理の瑕疵があるとはいえないと判断された事例

② 気象台から気象情報及び大雨、雷、洪水注意報等が発表されているとしても、イベントの主催者等が大型テントを飛散させるほどの強風の発生を予測して、来場者に避難指示等をすべき注意義務を怠った安全配慮義務違反があるとはいえないと判断された事例

 強風によるテントの飛散事故による先例は乏しいので、参考になると思います。

2015年11月29日 (日)

【金融・企業法務】  反社と信用保証協会

 金融法務事情No2029号で紹介された東京高判平成27年3月25日判決です。

 判決要旨は、以下のとおりです。

① 保証契約締結当時、債権者である金融機関が反社会的勢力関連企業に対して融資をしない方針を採用し、信用保証協会が反社会的勢力関連企業の債務を保証していなかったなどの判示の事実のもとにおいては、

 信用保証協会は、保証契約締結時に、主債務者が反社会的勢力関連企業ではないことを動機として黙示に表示したと認められる

② 本件主債務者は、保証契約当時、反社会的勢力関連企業であり、本件保証契約については、動機の錯誤があると認められ、上記の事実関係のもとにおいては、当該錯誤には要素性が認められる。

 裁判例がわかれるところですが、肯定例に1事例が加わりました。

2015年11月28日 (土)

【金融・企業法務】 資金融資、債権放棄等による支援

 少し古くなっていますが、税経通信2011/7号を購入しました。

 特集Ⅰとして、平常時及び災害時において、子会社・関係会社・取引先支援の税務という、解説がくまれていました。

 一般的に、他の会社を支援するために、低利又は無利息による融資や売掛金等の債権放棄を実行する場合、それが「寄附金」に該当するかどうか慎重な判断が必要です。

 寄附金課税が行わないためには子会社等の支援(損失負担等)が経済的な合理性を有していることが重要なポイントとなります。

 「子会社等を整理・再建する場合の損失負担等に係る質疑応答事例等(国税庁)」では、その経済的な合理性を有しているか否かの検討事項について、次の7項目を挙げています。

 第1に、損失負担等を受ける者は、「子会社等」に該当するか。

 第2に、子会社等は経営危機に陥っているか。

 第3に、損失負担等を行うことは相当か。

 第4に、損失負担等の額は、合理的であるか。

 第5に、再建管理はなされているか。

 第6に、損失負担等をする支援者の範囲は相当であるか。

 第7に、損失負担等の額の割合は合理的であるか。

 子会社支援等に係る判例や裁決例をみると、慎重に検討されないと、後日、税務当局から否認を受ける可能性も高いといえそうです。

 例えば、平成14年6月の国税不服審判所の裁決によれば、子会社等に対する貸付金の債権を放棄し、その損失額を子会社支援損とした金額が寄附金に当たるか否かが争われましたが、裁決は、「子会社は銀行から債務超過解消を求められていた事実は認められないと認定した上で、子会社自身の判断で請求人に債権放棄を要請していたこと、子会社が資金ショートにより倒産する状況にはなかったこと、貸付金の元本の返還猶予と金利の棚上げを行った場合とを比べても、子会社の資金効果は何ら異ならないこと、さらに子会社は自力再建が可能と認められることなどを理由にあげて、寄附金に該当する。」と判断しました。

 やはり、専門家とよく相談して、慎重な準備が必要だと思います。

2015年11月27日 (金)

【金融・企業法務】 日弁連ライブ実務研修 弁護士が理解しておくべき監査法人の監査の実務

 先日、日弁連ライブ実務研修「弁護士が理解しておくべき監査法人の監査の実務」を愛媛弁護士会大会議室で受講いたしました。

 なんと、受講者は2名。私と、元裁判官の弁護士のみでした。

 第1部は、「財務諸表監査の総論」でした。

2 監査の目的

2.2 二重責任の原則

 →二重責任の原則とは、財務諸表の作成に関する責任は経営者にあり、監査意見に関する責任は監査法人にあるという責任分担原則。

2.3 保証水準

 →財務諸表監査の表示が適正である旨の監査人の意見は、財務諸表には、全体として重要な虚偽の表示がないということについて合理的な保証を得たという監査人の判断を含んでいる。

2.4 財務諸表監査と内部統制監査

 →両者を一体として実施

3 監査対象とその概要

3.1 開示制度

3.2 金融商品取引法

 →財務諸表監査と内部統制監査

3.3 会社法監査

 →計算書類及びその附属明細書

 第2部は、「監査実務~監査アプローチと手続」でした。

1 会計基準・監査基準・実務指針

1.1 会計基準

 →財団法人財務会計基準機構内の企業会計基準委員会により制定された基準

1.2 監査基準・実務指針

  監査の基本ルール → 監査基準(企業会計審議会)

  監査実務指針 → 監査基準委員会報告書等(日本公認会計士協会)

  監査事務所の品質管理 → 品質管理基準委員会報告書(同上)

2 監査業務の全体的な流れ

3 リスクアプローチ

 監査リスク  → ① 重要な虚偽表示リスク(固有リスク・統制リスク)

            ② 発見リスク

4 監査計画

4.1 監査上の重要性のコンセプト

  →「重要性の基準値」、「手続実施上の重要性」、「集計しても明らかに財務諸表に重要な影響を与えないと想定する虚偽表示の金額」

4.2 リスク分析

  →「重要な虚偽表示リスク」は、2つのレベルで存在する可能性がある。

  ①「財務諸表全体レベルの重要な虚偽表示リスク」

  ②「アサーション・レベル(財務諸表項目レベル、すなわち取引種類、勘定残高、開示等に関連するアサーションごと)の重要な虚偽表示リスク

4.3 リスク分析に基づく監査手続

  →運用評価手続と実証手続

4.4 専門家の利用

5 監査手続

5.1 実証手続

 →実査・立会、確認

5.2 内部統制の評価手続

 →「全社的な内部統制」、「業務プロセスの内部統制」、「IT全般統制」

5.3 その他の手続

 →「会計上の見積りの監査」、「関連当事者取引の監査」、「経営者確認書」

6  グループ監査

7 不正リスクへの対応

8 監査意見

 第3部は、「監査の品質管理体制・監査役とのコミュニケーション」でした。

2 コーポレートガバナンスの強化

(1) 会社法改正(平成27年5月施行9

(2) 日本版スチュワードシップコードの策定(平成26年2月)

(3) 日本再興戦略改定2014(平成26年閣議決定)

    →コーポレートガバナンス・コードの策定

3 監査役等とのコミュニケーション

  →監基報260

  (1)本報告書の目的

  (2)コミュニケーションを行うことが要求される事項

  (3)コミュニケーションの実施時期

  (4)コミュニケーションの適切性

 午後1時から始まり午後4時で終わりました。あっという間の3時間でしたが、日頃大会社の監査に携わっていなければ、抽象的な話が多いため、チンプンカンプンだと思います。また、男性の講師は、慣れているためか、話に抑揚がありわかりやすく感じましたが、女性の講師は、まだセミナーになれていないような堅い印象を受けました。

2015年11月26日 (木)

【消費者法】 名義貸しにおける過払金債権の帰属者

 消費者法ニュースNo105で紹介された東京地裁平成27年6月17日判決です。

 判決要旨は以下のとおりです。

 カード使用者が、名義人から委託を受けて、名義人の名で個別の借入れ及び弁済に係る行為をしたものであると認められる。

 従って、借入れ及び弁済の法律上の効果は名義人に帰属し、制限超過利息を元本充当した結果、元本債権が消滅した後にされた弁済の効果も同様に名義人に帰属するから、貸金業者に対する不当利得債権も、名義人に帰属する。

 名義人に帰属させて、カード使用者との間では、後日清算が必要になるに過ぎないということのようです。

2015年11月25日 (水)

【法律その他】 鉄道の駅構内においてキャリーバックを曳いていた者の歩行者に対する不法行為が認められた事例 

 判例時報No2267号で紹介された東京地裁平成27年4月24日判決です。

 本件は、鉄道の駅構内における歩行者同士の事故について、キャリーバッグを曳いていた者の不法行為が問題になったという事案です。

 裁判所は、Yが曳いていたキャリーバックがXの左足の足首付近にぶつかり、Xがキャリーバッグに躓いて前のめりに通路床に転倒して、Xが怪我をしたのですが、歩行者が駅構内のような人通りの多い場所でキャリーバッグを使用する場合には、曳いているキャリーバッグが他の歩行者の歩行を妨げたり、それに躓いて転倒させることがないよう注意すべき義務を負うと判断して、約100万円余りの損害賠償金の支払いを命じました。

 怖いですね~。注意しましょう。

 

2015年11月24日 (火)

【金融・企業法務】 金融商品取引法に基づく内部統制について

 月刊監査役No646号での記事です。

 金融商品取引法に基づく企業内容開示制度として、投資者に対し、企業が発行した有価証券に係る投資判断を行うために必要な情報を提供することを求めており、企業が開示する財務報告の適正性を確保するため、財務報告にかかる内部統制報告制度が規定されています。

 内坊統制報告制度として、上場会社は、「当該企業の属する企業集団および当該会社に係る財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確認するために必要なものとして内閣府令で定める体制」について評価した「内部統制報告書」を有価証券報告書と併せて提出することになります。

 内部統制報告書に対しては、公認会計士又は監査法人による監査証明を受けることが認められています。

 このような金融商品取引法に基づく内部統制報告制度は、米国において内部統制の報告・監査を規定している「サーベンス・オックスリー法」の略称である「SOX」法にならって、J-SOXと一般的には呼ばれています。

 内部統制報告制度では、企業の経営者や取締役が自社の内部統制の整備状況および運用状況について、自ら評価を行い、自己評価結果を作成し、当該自己評価結果に基づいて、監査人が、独立の立場から監査を行い、監査意見を表明し、その信頼性を担保することになります。

2015年11月23日 (月)

【金融・企業法務】 会社法に基づく内部統制

 月刊監査役No646号では、会社法に基づく内部統制について、わかりやすい解説がされていました。

 会社法では、内部統制という文言は使用されていませんが、「取締役」の職務執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制として、内部統制に関して定めるべき事項を掲げております。

 具体的には、会社法施行規則第98条などで規定されています。 

 当該企業の取締役や執行役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制や、当該企業の損失の危険の管理に関する規程その他の体制、当該企業の取締役や執行役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制などについて定めておくことが認められています。

 会社法における会社の業務執行の適正性を確保するための体制の整備は、後述の金融商品取引法に基づく内部統制のように、その範囲が財務報告に限定されていません。

 監査役(会)設置会社のうち会社法上の大会社(資本金の額が5億円以上又は負債の額が200億円以上の株式会社)及び指名委員会等設置会社並びに監査等委員会設置会社においては、内部統制に関する事項を決定しておくことが義務であることが明文化されています。

 また、監査役会設置会社においては、会社法施行規則において業務の適正を確保するための体制について、監査役へ報告するための体制と、監査役等へ報告した者が、このような報告をしたことを理由として不当な取扱いを受けないことを確保するための体制の整備が明文化されています。

11月~12月にかけてのご相談 <(_ _)>

 11月~12月は、私のスケジュールがぎっしり埋まってしまっている状態ですので、顧問先様以外の新規のご相談に対応することができません。

 11月~12月のご相談(新規)につきましては、勤務弁護士である池田和隆弁護士(東大卒・中央ロー)にて、ご相談を承ります。

 ご迷惑をおかけしますが、宜しくお願い申し上げます。  <(_ _)>

2015年11月22日 (日)

【倒産】 動産を目的物とする所有権留保特約付割賦販売において、買主が破産した場合に売主が別除権を行使するためには破産手続開始の段階で対抗要件を具備していることを要するとした上で、占有改定による引渡しを認定した事例

 判例時報No2268号で紹介された東京地裁平成27年3月4日判決です。

 本件事件の争点は、2つです。

 ①Xは、本件引上げによって、担保権実行を完了したといえるか

 ②Xが留保所有権を別除権として行使する場合、破産手続開始の時点で対抗要件を具備していることを要するか、要するとして、Xは同時点で対抗要件を具備していたといえるかです。

 本判決は、争点①について、担保権実行の完了につき、目的物の引上げのみでは足りず、破産手続開始の時点では担保権の実行は完了していないとした。

 争点②について、本件各契約の所有権留保特約は、本件各契約の代金を担保するための担保権を取得する趣旨で約されたものであると解し、

 破産手続上、別除権に当たることを前提に、特定の担保権者が破産者に対し別除権を行使する場合には、別除権者と、個別の権利行使が禁止される一般債権者との間の衡平を図るべく、

 破産手続開始の時点で当該特定の担保権につき対抗要件を具備していることを要すると解しました。

 本件各機械は、登録制度のない動産であり、対抗要件は引渡しになるところ、

 本件各契約において、Aは使用貸借契約に基づき本件各機械を占有し、本件各機械について善管注意義務を負う等の条項が定められていること、

 本件各機械と同様の登録制度のない建設機械の割賦販売における実態として、留保所有権者と第三者との利益調整を図るべく、登録制度に代わる譲渡証明書の制度の普及が努められているところ、Aへの譲渡証明書はAが本件各契約の代金を完済した後に発行することが予定されていたこと、

 本件各機械には、所有権留保のステッカーが貼られ、破産者の下に存する他の物件と混同することのないように管理されていたこと等から、

 本件各契約に基づきAが本件各機械の引渡しを受けた時点で、Xは、占有改定による引渡しを受けたものと認定し、Xの別除権行使を認め、Yに本件処分代金に係る支払請求権がないことを確認するとの判断を示しました。

 

2015年11月21日 (土)

【金融・企業法務】 普通預金(自動振替口座)の相続と相続開始後の振込

 銀行法務21No793号で紹介された「営業店からの質疑応答」です。

 質問は、よくありそうな相談です。

 甲銀行の取引先Aが死亡して相続が開始しました。Aとは普通預金取引があり、その口座を対象に公共料金の自動振替契約が締結されていました。Aの相続人は、配偶者Bと子C,Dとなっていますが、公共料金の自動振替手続を継続するにはどのようにすればよいでしょうか。

 また、相続開始後に振込があった場合、どのように対応すべきでしょうか。

 回答は、以下のとおりです。

 相続人に対して、自動引落としは停止され、当該公共料金の納付請求書が送付されることを伝えるとともに、速やかに公共サービスの契約名義人をAから相続人に変更してもらい、当該名義人の普通預金口座による自動振替契約を締結するよう依頼すべきでしょう。

 なお、相続人B、C、Dの同意があれば、A名義の口座のまま自動引落扱いを継続することは可能です。

 A名義の口座に振込があった場合は、被仕向銀行の委任契約上の善管注意義務を踏まえ、仕向銀行経由で依頼人の意思を確認の上処理するのが無難と考えられます。

 なお、委任者の死亡後に、金融機関は事務管理として自動引き落としを有効に行うことができるかが問われた事案で、東京地判平成10年6月12日は、委任者死亡後であっても、事務管理としての自動引き落とし(税金)の有効性を認めています。

2015年11月20日 (金)

【交通事故】 1級遷延性意識障害を残す33歳男子が入所する介護施設の将来入所費を平均余命まで年額240万円で認めた

 自保ジャーナルNo1952号で紹介された広島高裁岡山支部平成27年4月23日判決です。

 1級1号遷延性意識障害を残す33歳男子警備員の「将来の入所費用」について、

 介護施設での6ヶ月分の入所費には、「家賃の一部や食費等の利用料が含まれているところ、これらは、Xに本件事故による遷延性意識障害、四肢麻痺という後遺障害が残存しなくても、必要となる生活費であり、逸失利益から生活費控除をしないこととの均衡上、将来の入所費に利用料を含めることはできない」とし、

 「今後法改正等によって介護給付等の利用者負担額が増加する可能性があることを考慮しても、平成27年1月以降も少なくとも1年間は同程度の介護給付を受けることができると推認できるし、その後も、法改正等による入所費の利用者負担額の増額を最大限考慮しても、Xが月額20万円を上回る入所費を要するとは認めるに足りない」として、

 平成28年1月から平均余命までの42年間につき、年額240万円で将来の入所費を認定しました。

 将来雑費については、「逸失利益から生活費を控除しないこととの均衡上、入所に伴う雑費のうち、本件事故と相当因果関係のある雑費は、Xが遷延性意識障害、四肢麻痺という後遺障害を負うために必要となるおむつ代等の介護雑費に限られる」とし、

 「Xは、Eホーム入所前のCセンターにおいて、おむつ代として月額6812円ないし1万1026円を要していたことが認められるから、Eホームに入所後も平均余命まで介護雑費として月額1万年を要すると認めるのが相当である」と認定しました。

 Y主張の将来の入所費用及び将来の雑費の定期金賠償につき、Xは、「遷延性意識障害・四肢麻痺のため日常生活において全面的に介護を要する寝たきりの状態ではあるが、簡単なあいさつや会話は成立する状態であることが認められ、今後その症状や介護の状態が大きく変動することを具体的にうかがわせるような事情は見当たらず、平均余命を全うする蓋然性も相当程度存すると認められる」として、Y主張の定期金賠償を否定しました。

2015年11月19日 (木)

【交通事故】 追突された43歳女子の神経症状を14級認定し、無症状であった頸椎椎間板ヘルニアの発症で30%の素因減額を適用した事例

 自保ジャーナルNo1952号で紹介された京都地裁平成27年5月27日判決です。

 43歳女子の原告は、平成22年5月、高速道路で乗用車を運転、渋滞で停止した際に被告乗用車に追突され、頸椎椎間板ヘルニア発症等から14級後遺障害(自賠責非該当)を残したとする事案につき、

 本件事故前には、原告に、頸椎椎間板ヘルニアによる神経症状は現れておらず、本件事故後、頸部から左肩の疼痛、左肩から上腕にかけての重み、左手のしびれ、左手の知覚鈍麻等の神経症状が出現し、1年以上の通院治療を経てもこれらの症状が残存していることが認められる

 かかる症状の発現状況に鑑みれば、原告の頸椎椎間板ヘルニアは、本件事故前は神経症状が現れる以前の状態にとどまっていたものが、本件事故により、神経症状を発現する段階に至ったものとして、局部に神経症状を残すものとして、14級を認定しました。

 症状固定日については、平成22年5月の事故ですが、主治医の診断書は、平成24年5月でしたが、裁判所は、平成23年5月と認定しました。

 なお、素因減額については、経年変性による頸椎椎間板ヘルニアがあったことを理由に、30%減額されました。無症状事案だったので、少し高いような気がしますが、自賠責では非該当だったので、14級認める代わりに、比較的高い素因減額を認めたのでしょうか。

2015年11月18日 (水)

【倒産】 軽自動車の引き上げと管財人の否認

 金融法務事情No2028号で紹介された名古屋地裁平成27年2月17日判決です。

 クレジット会社が所有権留保のある自動車を引き上げたことが管財人から否認権行使されてしまったという事案です。

 まず、前提知識として、道路運送車両法は、自動車は、自動車登録ファイルに登録を受けたものでなければ、これを運行の用に供してはならないとされており、軽自動車には登録制度はなく、そのため、所有権留保等における対抗要件は、動産と同様、引渡しとなるという理解が必要です。

 裁判所は、管財人の否認権行使を否定しました。

 以下、判決要旨を紹介いたします。

 当事者間の契約における合意内容の確定については、契約書上の各文言を当該契約時の事情のもとで当事者が達成しようとしたと考えられる経済的・社会的目的と適合するように解釈して行うべきであり、

 占有改定の合意があったか否かについても、

 単に契約書の条項にその旨の明示の規定が定められていたか否かではなく、

 当該契約書の条項全体及び当該契約を行った当時の状況等を当事者の達成しようとする目的に照らして、総合的に考察して判断すべき

                   ↓

 証拠によれば、本件契約条項では、明らかに占有改定による占有の発生を基礎付ける外形的事実が存在しているというべきであるから、本件契約において、買主(破産会社)による本件自動車の占有は、占有改定による被告の占有に当たると認められ、被告は、本件自動車につき所有権留保を原告に対抗できる

 軽自動車をクレジットで購入した破産者の場合には、要注意ですね。

2015年11月17日 (火)

【交通事故】 玉突き事故の過失相殺 大阪地裁平成26年9月11日判決

 交通事故民事裁判例集第47巻第5号で紹介された大阪地裁平成26年9月11日判決です。

 ① 原告車(普通乗用自動車)が前方に停止していた甲車両に追突して(第1追突)停止していたところ、被告車(普通乗用自動車)が原告車に追突し(第2追突)、原告車が再度甲車両に追突した(第三追突)事故につき、

 第1追突及び同追突による原告車の急停止を原告の前方不注意により発生したものと認め、原告車の後方を走行する被告車がより手前の時点で減速を開始することで、比較的容易に第2追突は回避できたとも考えられるとして、第2追突事故により原告に発生した損害につき、30%の過失相殺をした事例

 甲車両(第1追突)(第3追突)  ← 原告車(第2追突)  ← 被告車

 ② 第1追突の事故態様、原告が追突する側であったことを考慮し、同追突により原告に加わった外力が相当のものであったというには疑問があり、第1追突後に原告に発生した損害につき、第1追突が寄与していると認めるには証拠が足りないとして、第2事故との因果関係を否定し、又は寄与度減額することは相当でないとした事例

 ②については、被告が、先行の第1追突事故の程度が大きいとして、第2追突事故との因果関係の否定又は寄与度減「責」を主張されたのでしょう。 

 

 

2015年11月16日 (月)

 【行政】 行政手続法12条1項により定められ公にされている処分を受けたことを理由として後行の処分に係る量定を加重する旨の定めがある場合における、先行の処分の取り消しを求める訴えの利益

 判例時報No2267号で紹介されている最高裁平成27年3月2日判決です。

 営業停止命令や免許の停止処分のように期間が定められた不利益処分の場合には、

                 ↓

 期間の経過により処分の効果が消滅するため、期間の経過後は、処分の取消しによって回復すべき法律上の利益が失われたとして、処分の取消しを求める訴えは、却下されるのが原則

                 ↓ しかし

 期間の経過により処分の本来的効果が消滅した場合であっても、なおその付随的効果が残存するときがあり、この付随的効果を排除するために処分の取消しの訴えを提起できるか否かが問題となる。              

                 ↓ この点

  行訴法9条1項括弧書きにおいて、付随的効果が残存するにとどまるときにも訴えの利益があることを明らかにしている。

                 ↓ 問題は

  どのような場合に、付随的効果が残存し訴えの利益が肯定されるかである。

                 ↓

  A 法令の規定がある場合には、OK

  B 法令の規定のない場合で、処分を受けたことが情状として事実上考慮される可能性があるにとどまる場合は、×

  C 法令の規定のない場合でも、行政手続法12条1項により定められ公にされている処分基準がある場合には、OK ☚ 今回の最高裁判決

 なんか、受験時代のノートみたいになってしまいました。(^o^)

2015年11月15日 (日)

【行政】 同僚職員に対するセクシャルハラスメント等を理由とする、地方公務員法29条1項等による懲戒免職処分及び退職手当支給制限処分に裁量権の逸脱は認められないとされた事例

 判例時報No2266号で紹介された福岡高裁宮崎支部平成26年12月24日判決です。

 控訴審判決は、第1審判決と同様に、昭和52年最判を引用し、

 「公務員につき懲戒事由がある場合に、懲戒処分を行うかどうか、懲戒処分を行うときにいかなる処分を選ぶかは懲戒権者の裁量に任されており、

 懲戒権者が上記の裁量権の行使としてした懲戒処分は、それが社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権を付与した目的を逸脱し、これを濫用したと認められる場合でない限り、その裁量権の範囲内にあるものとして、違法にならないと解すべきであるから、

 裁判所が上記処分の適否を審査するにあたっては、懲戒権者の裁量権の行使に基づく処分が社会観念上著しく妥当を欠き、裁量権を濫用したと認められる場合に限り違法であると判断すべきである」と述べた上で、

 やはり本件懲戒免職処分が「社会観念上著しく妥当性を欠き、裁量権を逸脱するものということはできない」としました。

 裁量権濫用の基準については、最高裁平成24年1月16日判決が、昭和52年最判に依拠しつつも、停職又は減給処分を選択するには、「規律や秩序の保持等の必要性と処分による不利益の内容との権衡の観点から当該処分を選択することの相当性を基礎付ける具体的な事情が認められる場合であることを要すると解するべきである」と述べておりますが、文言上は、平成24年最判を引用・参照しておりません。

2015年11月14日 (土)

【金融・企業法務】 財産開示の実務と理論

  「財産開示の実務と理論」を購入しました。

 財産開示の申立てを経験している弁護士は少ないと思いますが、私は、過去、複数回、この申立てを行っております。

 財産開示決定により債務者が支払いをしてきた場合も中にはありますが、出頭されないとか、出頭されても財産目録にはめぼしいものはなにもないということが多いように思います。

 財産開示手続は、財産状況についての質問が債務者に対して行うことができますので、これをうまく利用することにより、債権回収を図ることも可能です。

 他方で、巧妙な債務者の場合には、財産開示制度では十分な債権回収を図ることができないので、例えば、マイナンバーによって税務署が保有している情報は閲覧できるように、より効果的な手段がとれるよう、財産開示制度の強化を図ってもらいたいです。

 逃げ得を許さないようにしないと、せっかくの判決の意味がなく、司法に対する信頼を失うことになります。

 財産開示制度を利用された方で、工夫したことがよいようなことがあれば、コメント下さいな。

 

 

2015年11月13日 (金)

【倒産】 継続して融資を実行してきたメインバンクがその債務者から弁済を受けた場合に、その弁済が支払不能後にされたものといえるか否かの判断基準 

 金融法務事情No2027号で紹介された高松高裁平成26年5月23日判決です。

 第1審と第2審とで結論が異なったという事案です。

 高裁の判決要旨を紹介いたします。

 債務者が弁済期の到来している債務を現在支払っている場合であっても、

 少なくとも債務者が無理算段をしているような場合、すなわち全く返済の見込みの立たない借入れや商品の投売り等によって資金を調達して延命を図っているような状態にある場合には、

 いわば糊塗された支払能力に基づいて一時的に支払いをしたにすぎないのであるから、客観的に見れば債務者において支払能力を欠くというべきであり、

 それがために弁済期にある債務を一般的かつ継続的に弁済することができない状態にあるのであれば、支払不能と認めるのが相当である。

 なお、本判決については、同じ号の金融法務事情に、松下淳一東大教授の論考があります。

 

2015年11月12日 (木)

【交通事故】 高次脳機能障害リハビリテーション 診断・治療・支援のコツ

 先般、高松で開催されました日本損害保険協会主催の「医療セミナー」に出席しました(国立成育医療研究センターの医師)。

 テーマは、「高次脳機能障害リハビリテーション 診断・治療・支援のコツ 」です。

 まずは、「高次脳機能障害という用語」についての説明から始まりました。

 次に、「高次脳機能障害の問診」についての説明がありました。問診での留意点ととしては、①高次脳機能障害は、脳損傷に起因する認知機能障害全般としてとらえること、②症状画像神経心理学的検査の結果が一致しているかどうかを確認すること、③当事者の周囲の認識の違いを把握すること、④急性期の意識障害の深さと持続時間を確認すること、⑤急性期の意識障害が軽度なほど、当事者の訴えが多いこともあることです。

 続いて、「画像診断」についての説明がありました。ここでは、①画像診断と高次脳機能障害の症状が一致しているかどうか確認すること、②びまん性軸索損傷のように画像ではっきりしない高次脳機能障害もあることについての説明がなされました。

 「神経心理学的検査」については、①標準化された神経心理学的検査を実施したとしても、病前のデータが無い限り、それが障害かどうかの厳密な判断は困難であること、②検査を受ける当事者の負担感について留意すること、③高次脳機能障害の診断において、神経心理学的検査の結果は、あくまでも参考に用いることとされています。

 その他、「ポジティブな行動支援」、「社会的支援」、「小児の高次脳機能障害」についての解説が行われました。

 午後1時から午後5時迄の長時間による解説でしたが、講師の方が抑揚をつけてお話をされるために、意識が飛ぶことなく、うかがうことができました。

2015年11月11日 (水)

【交通事故】 4ヶ月後発症の症状は経年性ヘルニアによるとして、48歳男子の自転車転倒との因果関係を否認した 東京地裁平成27年4月28日判決

 自保ジャーナルNo1951号で紹介された平成27年4月28日付東京地裁判決です。

 48歳男子レストラン総支配人の原告は、自転車搭乗中に一時停止道路から進入してきた被告乗用車を避けるために急制動し、非接触で転倒して受傷し、頸部痛等から自賠責14級9号認定も、左上肢末梢神経障害等で固定術を受け、11級7号脊柱障害を残したと主張する事案につき、

 左上肢の神経症状については、本件事故直後に訴えがないこと、原告には左C5/6椎間孔を狭小化する椎間板ヘルニアのほか、C3/4~C5/6で骨棘の突出、C3/4・C4/5でも軽度の椎間孔の狭小化などが認められることに照らすと、

 経年性の椎間板ヘルニアに伴う症状と認めるのが相当であるから、

 上記症状及びこれに対して施行された脊椎固定術とこれに伴う脊柱の障害については、本件事故により生じた後遺障害ということができない

 本件事故による外傷により生じた症状であれば、本件事故後当初から愁訴があると考えられるところ、Bクリニック作成の平成22年11月1日付け診断書より前に作成された医療記録は左上肢に関する所見はないこと、左上肢抹消神経障害の治療が開始されたのは本件事故から約4ヶ月が経過した平成22年12月28日であることを考慮すると、

 本件事故後当初から左上肢に関する症状があったことを認めることはできず、本件事故による外傷により椎間板ヘルニアの症状が発生し、頸椎症神経根症、左上肢抹消神経障害を生じたものとは認められないと、脊椎固定術との因果関係を否認して、自賠責同様14級9号と認定しました。

 

2015年11月10日 (火)

【金融・企業法務】 中小企業法務の実務

 ぎょうせいから、東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会から、「中小企業法務の実務 」が2月に発行されていましたので、ご紹介いたします。

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 全部で5章からなります。

 第1章は、経営者の高齢化対策です。

 後継者への事業用資産の承継として、遺言、遺留分対策、株式を巡る問題、信託の活用、一般財社団法人の活用を述べ、相続税・贈与税、納税猶予制度についての解説がなされています。

 第2章は、会社支配権の争いです。

 支配権の争い、支配権争いが一旦決着した後の対応の他、取締役解任の訴え、損害賠償請求、退職金、競業避止義務・秘密保持義務についての解説がなされています。

 第3章は、企業の清算と再生です。事業再生のポイント等についての解説がなされています。

 第4章は、M&Aです。M&A取引スキーム、M&A取引スケジュールのチェック、M&A取引の契約、法務デュー・デリジェンスについての解説がなされています。

 第5章は、ベンチャー企業法務です。これは田舎弁護士にとっては難しかったので、説明ができません・・・・ (-_-)

 

2015年11月 9日 (月)

【労働・労災】 ローヤリング労働法 (労働開発研究会)

 司法修習同期の丸尾拓養弁護士から、同弁護士が共同執筆された「ローヤリング労働事件 」(労働開発研究会)を頂きました。

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 17章から構成されています。

 第1章 第2章は  訴訟・仮処分

 第3章 第4章は  労働審判

 第5章 第6章は  和解

 第7章は       不当労働行為の審査

 第8章は       労働委員会による不当労働行為の救済

 第9章は       個別労働紛争解決制度と簡易裁判所の民事                 調停

 第10章 第14章は      相談受任

 第11章 第12章は、交渉・団体交渉

 第13章は      顧問弁護士の活動について

 第15章 第16章は      労基署対応

 第17章は       企業倒産時の労働弁護士の役割

 となっております。

 新人から中堅弁護士向けにわかりやすく書かれていると思いました。  

2015年11月 8日 (日)

【金融・企業法務】 連結計算書類・連結財務諸表の意義と作成過程

 月刊監査役10月号「基礎から学ぶ企業会計と監査」では「連結計算書類・連結財務諸表の意義と作成過程」が紹介されていました。

1.連結財務諸表の意義

 連結会計基準では、連結財務諸表は、支配従属関係にある2つ以上の企業からなる集団(企業集団)を単一の組織体とみなして、親会社が当該企業集団の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を総合的に報告するために作成するものであると規定されています。

2.連結貸借対照表の構成とその意義

(1) 連結貸借対照表

 連結貸借対照表には、企業集団の財政状態を表すという意義があります。

(2)連結損益計算書

 連結損益計算書には、企業集団の収益力・経営成績を表すという意義があります。

(3)連結包括利益計算書

 包括利益とは、ある特定期間の財務諸表において認識された純資産の変動額のうち、当該企業の純資産に対する持分所有者との直接的な取引によらない部分であり、当期純損益とその他の包括利益から構成されます。包括利益計算書は、当期純損益にその他の包括利益を計算する計算書であり、当期純損益に関する情報と併せて、企業活動の成果についての情報を表すという意義があります。

(4)連結株主資本等変動計算書

 連結株主資本等変動計算書には、企業集団の純資産の部の一会計期間における変動原因を表すという意義があります。

(5)連結キャッシュ・フロー計算書

 連結キャッシュ・フロー計算書には、企業集団の一会計期間における資金の増減を営業活動、投資活動、財務活動の活動区分別に表すという意義があります。

(6)注記(連結注記表)

 注記には、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書の記載事項に関する補足説明としての意義があります。

3.連結財務諸表作成プロセス

(1) 連結財務諸表作成における一般基準

 ① 連結の範囲

 ② 連結決算日

 ③ 親会社および子会社の会計方針

(2) 連結財務諸表の作成プロセス

(3) 連結財務諸表の作成手段

4.持分法

 持分法とは、投資会社が被投資会社の資本及び損益のうち投資会社に帰属する部分の変動に応じて、その投資の額を連結決算日ごとに修正する方法をいいます。非連結子会社及び関連会社に関する投資については、原則として持分法が適用されます。

 連結が、連結会社の財務諸表を勘定科目ごとに合算することによって企業集団の財務諸表を作成するため完全連結といわれるのに対して、持分法による処理は、被投資会社の資本および損益に対する投資会社の持分相当額を、原則として貸借対照表上は投資有価証券の修正、損益計算書上は持分法による投資損益によって連結財務諸表に反映することから一行連結と言われています。

5.承認・公表プロセス

(1) 連結計算書類の承認・公表プロセス

(2) 連結財務諸表の承認・公表プロセス

6.のれん

2015年11月 7日 (土)

【金融・企業法務】 計算書類・財務諸表の意義と作成過程

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 月刊監査役9月号連載中「基礎から学ぶ企業会計と監査」では、第2回「計算書類・財務諸表の意義と作成過程」が紹介されていました。

1.決算書の作成過程

(1)取引の整理

 企業が行う全ての取引を複式簿記に基づく一定のルールにより記録しておくことで、5つの要素資産、負債、純資産、収益、費用)が示す内容が一義的に決定され、決算書の作成につながっていきます。

(2)仕訳と勘定科目

 実際の仕訳は、資産や負債などの要素を具体的かつ詳細に分類した項目名を用いることで行われます。企業は日々膨大な数の取引を行っていますが、原則として取引ごとに仕訳を記録していく必要があります。仕訳を記録しておく帳簿のことを仕訳帳といいます。

(3)総勘定元帳

 仕訳に基づく記録を勘定科目を単位とする記録に変換するための作業を転記といい、この結果作成される帳簿を総勘定元帳といいます。 

(4)帳簿の種類

 帳簿は、大きく主要簿補助簿の2種類に分かれます。主要簿とは、仕訳帳と総勘定元帳のことをいい、決算書(貸借対照表、損益計算書)を作成するために必要不可欠であり、全ての企業に必要な帳簿をいいます。

 補助簿とは、主要簿では不十分な記録を補うための帳簿で、どのような補助簿を備えるかは、それぞれの企業の業態や組織体制等によって異なります。補助簿には、現金出納帳、預金出納帳、仕入帳、売上帳、得意先元帳、仕入先元帳、商品有高帳があります。

(5)試算表

 試算表は、仕訳帳から総勘定元帳への転記の正確性を確認するために作成されます。

(6)決算修正処理

 決算書を作成する前に、期中に行われた記録を補正したり、期中処理では処理を省略していた項目を計上する、といった作業が必要になります。この調整を決算修正処理といい、このために行われる仕訳が決算修正仕訳です。

(7)決算書作成

 決算修正仕訳を反映した決算修正後残高試算表から、決算書を作成します。貸借対照表は決算修正後残高試算表のうち、資産・負債・純資産に分類される勘定科目の残高から作成されます。損益計算書は、収益・費用に分類される各勘定科目の残高から作成されます。

(8)会計システムの利用

2.決算書の種類とその意義

(1)貸借対照表

 企業がどのような種類の元手(負債または資本)で事業を行っており、決算日現在にその元手がどのような財産(資産)に変わっているのかを対照的に示すものです。

(2)損益計算書

 その企業が一会計期間にどれだけの利益をあげたのかを示す報告書です。

(3)株主資本等変動計算書(平成18年会社法改正)

 貸借対照表の純資産の部の一会計期間における変動原因を表示する報告書です。会社法の改正に伴い、株式会社は、株主総会又は取締役会の決議により、剰余金の配当をいつでも決定でき、また、株主資本の計数がいつでも変動させることができることとされたことに基づくものです。

(4)キャッシュ・フロー計算書

 企業の一会計期間における資金(現金及び現金同等物)の増減を、営業活動、投資活動、財務活動の活動区分別に表示する財務諸表です。上場企業には作成が義務付けられています。

3.決算書の承認・公表プロセス

(1) 計算書類等の承認・公表プロセス

(2) 有価証券報告書の承認・公表プロセス

 ※「月刊監査役」は毎月1回日本監査役協会から発行されている専門誌です。少なくとも、上場会社、或いはIPOを考えている企業の監査役の方は必読書だと思います。

※写真は、横須賀の戦艦三笠において

2015年11月 6日 (金)

【金融・企業法務】 約款で暴力団員からの貯金の新規預入申込みを拒絶する旨定めている銀行の担当者に暴力団員であるのに暴力団員でないことを表明、確約して口座開設等を申込み通帳等の交付を受けた行為が、詐欺罪に当たるとされた事例 最高裁平成26年4月27日判決

 判例時報N02262号で紹介された最高裁平成26年4月7日判決です。

 事案の概要は、以下のとおりです。

 被告人は、暴力団員であるが、自己名義の総合口座通帳及びキャッシュカードを取得するため、平成23年3月10日、大阪市内の郵便局において、株式会社ゆうちょ銀行から口座開設手続等の委託を受けている同局員に対し、

 真実は自己が暴力団員であるのにこれを秘し、総合口座利用申込書の「私は、申込書3枚目裏面の内容(反社会的勢力ではないことなど)を表明・確約した上、申し込みます。」と記載のある「おなまえ」欄に自己の氏名を記入する等して、自己が暴力団員でないものと装い、

 前記申込書を提出して被告人名義の総合口座の開設及びこれに伴う総合口座通帳等の交付を申込み、前記局員らに、被告人が暴力団員でないものと誤信させ、同所において、前記局員から被告人名義の総合口座通帳1冊の交付を受け、さらに、同月18日、当事の被告人方において、同人名義のキャッシュカード1枚の郵送交付を受けた。

 最高裁でも、結局、有罪判決を言い渡されているわけですが、最近の最高裁判例の流れからすれば、暴力団関係者であることを秘して自らの居住目的で賃貸マンションの契約を締結する行為は、たとえ家賃を支払う資力があったとしても、2項詐欺罪が成立することになりそうです。

 

2015年11月 5日 (木)

【労働・労災】 会社における業績連動型の報酬につき、その支給を求め得る具体的な請求権が発生していないとされた事例 最高裁平成27年3月5日判決

 判例時報No2265号で紹介された最高裁平成27年3月5日判決です。

 原審は、労働契約が存続している限り、Y社は、Xに対し、本件労働契約に基づく賃金の一部として、基本給に加え、Xの業績に応じた額のIPC報酬を支払う義務を負うと判断しました。

 しかし、最高裁は、IPC報酬については、その支給を求める具体的な請求権が発生しているとはいえず、XはY社に対し、これを賃金の一部として請求することはできないと判断しました。

 解説によると、最高裁は、IPC報酬を賞与としての性格を有するものと解して、結局のところ、使用者が支給すべき額を定めていない以上、具体的権利性を否定したものです。

弁護士の仕事って、大変なんです 

 弁護士の仕事って、大変なんです。

 このことは、司法修習生や後輩の大学生と話すことがある毎にいつも言っています。

 第1に、紛争事案を取り扱うということは、対立当事者は激しく対立している中に、仲介者ではなく、一方当事者の「味方」として参加するわけですから、他方当事者からみれば、「敵」と認識されます。弁護士の仕事は、書面を送ったり、裁判所に行くだけが仕事ではなく、対立する他方当事者と接触して、交渉等を行うことになるわけですが、相手によっては、逆恨みを受ける可能性があります。

 現に、感情的になった他方当事者から、弁護士が嫌がらせを受けたり、或いは、エスカレートして殺害されるということもあります。

 第2に、お客様がご依頼いただいた案件の処理が結果的にうまくいかなかった場合には、今度は、お客様からクレームを受ける可能性もあります。杜撰な処理をしてクレームを受けるのであれば、当然ですが、誠意を尽くした処理をしてもなおクレームを受けるということはよく聞きます。但し、これについては、打ち合わせの際に、十分な説明を行うということにより、ほぼ対応が可能です。

 第3に、法令の制定、改正、裁判例、実務、経験則、知見等、弁護士が押さえておかなければならない知見は日々変化しているということです。これに対するフォローが大変な負担となります。

 第4に、20年前のように、弁護士としてまじめにしていれば、不自由なく生活できるという時代は過去のものになりました。経営者としてきちんと売上げをあげて、利益を出すということがなければ、昨今多発している預かり金を横領している弁護士被害を発生させることになります。きちんと売上げを挙げるためには、日々の企業努力が必要です。

 第5に、法律事務所は小さくてもスタッフを雇用しています。雇用主として、雇用について責任を持つ立場になります。また、長く継続して勤務してもらうための環境も整える必要があります。

 以上のことから、弁護士の責任は大変重たいものがあります。 

 弁護士の仕事って大変だということをわかった上で、弁護士にならないと、後悔先に立たずということにもなりかねません。

 弁護士の仕事は大変ですが、きちんと仕事をした結果、お客様が満足できる結果になり、お客様から感謝の言葉をいただいた時は、大変な仕事ほどその喜びは大きいものがあります。

2015年11月 4日 (水)

【金融・企業法務】 悩ましい反社関係者の生活口座の取扱い

 銀行法務21No790に、「この1年の金融機関の反社対応を振り返る」という特集記事が紹介されていました。

 平成20年3月の金融庁の金融機関の監督指針改定におけるパブリックコメントには、「今般の改正は、口座の開設等について、例えば、口座の利用が個人の日常生活に必要な範囲である等反社会的勢力を不当に利するものではないと合理的に判断される場合にまで、一律に排除を求める趣旨ではありません」との見解が示されていたことから、生活口座は反社を不当にリスクものではない限り関係遮断の対象とはされませんでした。

 ところが、平成24年7月の銀行法務21の座談会において、金融庁検査局総務課検査指導官の「口座名義人が現役暴力団員であれば、よほど特段の事情がない限り、生活口座であっても排除が基本であると考えており、検査ではそういう目線で検証しています。よくそのパブコメを引き合いに出されて、生活口座は排除しなくても構わないような理解をされている金融機関もありますが、それは本当に代替性がない、ないしはきわめて限定的な場合でしか許容されないという目線で、監督局であれ、検査局であり、見ています」と発言し、生活口座は、新規口座の開設も既存口座の継続も原則アウトというように実務は転換してしまいました。

 このように金融庁サイドは、反社の生活口座については、解消すべきという見解をとっているために、反社から大きなクレームをよせられることもあり、その取扱いについて金融機関が悩んでいるということが本誌で紹介されていました。

2015年11月 3日 (火)

【金融・企業法務】 弁護士名義の普通預金の帰属

 銀行法務21No790の「営業店からの質疑応答」で紹介された問題です。

 質問は以下のとおりです。

 X社の債務整理の委任を受けた弁護士Yが、委任事務処理を遂行するために、A銀行にY名義の普通預金口座を開設し、X社から預かった500万円を入金しました。

 ところが、X社の滞納税徴収のためB(国)が当該Y名義預金を滞納者X社の財産として差し押さえました。

 この差押えに対して、弁護士Yは、本件預金債権は、X社ではなくYに帰属するものであると主張しています。

 この預金は、X社の預金でしょうか。あるいは、弁護士Yの預金でしょうか。また、A銀行はどのように対応すべきでしょうか。

 これについては、最高裁平成15年6月12日判決により、弁護士Yの預金と認定されますので、A銀行は、Bへの支払いには応じることができないということになります。

 解説では、それでは、弁護士Y名義ではなく、委任者X社名義であった場合、或いは、委任者X社代理人Y名義の場合はどうなるか?という点についても、言及しております。

 弁護士Yの預金ということであれば、じゃあ、弁護士個人の預金として、差押えを受けた場合、本件預かり口座も、差押えの効力が及ぶかが問題となりますが、解説者によれば、「弁護士名の口座である以上、弁護士の預金として差押えの効力が及んでいる」ということになりそうです。

 怖いですね。

2015年11月 2日 (月)

【金融・企業法務】 IPOと監査役

 月刊監査役10月号では、連載記事「IPOと監査役」の第2回「最近のIPOの動向とIPO企業の監査役」が紹介されていました。

 2000年には、国内IPOは204銘柄を数えていましたが、リーマンショック後の2009年ではわずか19銘柄にまで減少したものの、以降は、順調に増加して、昨年では80銘柄、今年度も現時点で昨年比のプラス19社で推移しています。

 最近のIPO企業の市場別規模をみると、さすがに、東証一部では売上げの中央値が1623億円となっていますが、二部では182億円、マザーズでは20億円、JASDAQスタンダードでは71億円となつており、二部以下であれば、地方の企業も売上げだけからいえば、IPOが可能なところも少なくないように感じました。

 IPOということになれば、監査役会、監査等委員会又は指名委員会等を設置しなければ、上場が認められませんが、今年の上半期にIPOを実施した会社43社のうち、42社は監査役会設置会社となっております。

 社外監査役として、弁護士を選任した会社は14社で、全体の33%、公認会計士又は税理士を選任した会社は30社で、全体の71%となっております。

 社外取締役については、弁護士、公認会計士(又は税理士)を選任した会社は、各々3社で、全体の10%程度となっております。

 東証の国内の上場会社のうち、監査役設置会社では、2014年には、社外監査役のうち、弁護士は18.7%、公認会計士は13.1%、税理士は6.5%となっていることから、既上場会社と比べても、2015年上半期IPO企業におけるこれらの専門家の選任比率は高いものとなっております。これは、IPO準備会社においては、既上場会社に比べると管理部門が脆弱であることから多いことから、IPO準備段階では特に、法令や会計等に精通した監査役によるサポートが期待されているところにあるのだろうと想像されます。

 また、東証では、IPOを考えている企業向けに、東証上場推進部IPOセンターを設けて、様々なサポートを行っているとのことです。是非とも活用したいものです。

2015年11月 1日 (日)

【金融・企業法務】 愛媛の上場会社とIPO

 愛媛の上場会社は、現在、東証一部上場会社が6社、JASDAQが5社となっております。

 東証一部上場会社としては、伊関農機、伊予銀行、愛媛銀行、大王製紙、フジ、三浦工業の6社、JASDAQは、ヨンキュウ、セキ、ベルグアース、ありがとうサービス、ファインデックスの5社です。

 いずれも愛媛を代表する企業ですが、未上場会社の中には、証券取引所に新規に株式を上場することを希望されている会社もあり、このような会社がIPOを実現するために、監査役としてどのようなことに留意しながら監査していくのかという連載が、月刊監査役9月号から始まることになりました。

 第1回は、IPOの概要と監査役監査の留意点というテーマで、東京証券取引所の方が解説されていました。

 IPOのメリットとしては、一般的に、①資金調達の円滑化・多様化、②企業の社会的信用力と知名度の向上、③社内管理体制の充実と従業員の士気向上が挙げられています。他方で、コストとして、総務・経理等の管理部門の人材を強化するためのコスト、主幹事証券会社・監査法人・取引所への支払い、有価証券報告書や四半期版報告書等の法定開示書類など作成提出のコスト等々が、継続的に発生します。

 とはいえ、会社が中長期的に成長し発展するためには、コーポレートガバナンスの強化を迫られる上場ということも、避けては通れない道だと思います。

 田舎弁護士には、具体的なIPO支援まではできませんが、顧問先企業等で考えているようなところがあれば、田舎弁護士の力の及ぶ範囲で、サポートしていきたいと思います。

 

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