【行政】 土地又は家屋につき賦課期日の時点において登記簿又は補充課税台帳に登記又は登録がされていない場合における、賦課決定処分時までに賦課期日現在の所有者として登記又は登録されている者の固定資産税の納税義務の有無 最高裁平成26年9月25日判決
以前にもご紹介いたしました最高裁平成26年9月26日判決です。
最高裁判所は、土地又は家屋につき、賦課期日の時点において登記簿又は土地補充台帳若しくは家屋補充課税台帳に登記又は登録がされていない場合において、賦課決定処分時までに賦課期日現在の所有者として登記又は登録されている者は、当該賦課期日に係る年度における固定資産税の納税義務を負うと判断しました。
原審は、賦課期日の時点において登記簿又は家屋補充台帳に登記又は登録されていない以上、所有者として固定資産税の納税義務を負わないと判断したものを取り消したものです。
土地又は家屋について、賦課期日の時点において登記簿又は補充課税台帳に登記又は登録がされている場合には、これにより所有者として登記又は登録された者は、賦課期日の時点における真の所有者でなくても、また、賦課期日後賦課決定処分までにその所有権を他に移転したとしても、当該賦課期日に係る年度における固定資産税の納税義務を負い、真の所有者でないにもかかわらず、固定資産税の納税義務を負担した者は、真の所有者に対して不当利得返還請求権を有すると解するのが最高裁の判例(昭和30年3月23日、昭和47年1月25日)です。
これに対して、本件で問題とされたのは、賦課期日の時点において登記簿又は補充台帳に登記又は登録されていない場合において、賦課決定処分時までに賦課期日現在の所有者として登記又は登録されている者が当該賦課期日に係る年度の固定資産税の納税義務を負うか否かという点でした。
そもそも、固定資産税は、土地、家屋及び償却資産の資産価値に着目し、その所有という事実に担税力を認めて課する一種の財産税であり、その納税義務者は、賦課期日現在における固定資産の所有者である。
しかし、土地、家屋及び償却資産という極めて大量に存する課税物件について、課税主体である市町村等がその真の所有者を逐一正確に把握することは事実上困難であるため、課税上の技術的考慮から、土地又は家屋については、登記簿又は補充課税台帳に賦課期日現在の所有者として登記又は登録されている者を固定資産税の納税義務者として、その者に課税する方式が採用されています。
そして、地方税法がその登記又は登録がされるべき時期に特にさだめをおいていないことからすれば、登記又は登録は賦課期日の時点において具備されていることを要するものではなく、賦課決定処分時までに具備されていれば足りるものと解されることになります。
いやあ、勉強になりますね。
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