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2015年7月31日 (金)

【行政】 遺産分割協議は終了したものの、相続登記は未了の場合の、固定資産税!?

 愛媛の田舎弁護士の寄井です。

 固定資産税の納税義務者については、地方税法第343条第1項により、固定資産の所有者に課することになっております。

 第2項によれば、固定資産の所有者とは、登記簿又は土地補充台帳若しくは家屋補充台帳に所有者として登記又は登録されている者をいいます。

 そこで、問題ですが、Aさんが亡くなり、Aさんが所有していた土地について相続が開始され、Aさんの共同相続人がBさんとCさんとなり、遺産分割協議により、土地についてはBさんが相続することになったものの、事情により、相続登記ができない場合については、どのように対応すべきでしょうか?

 大昔にこのブログでも、売買で所有権移転登記がされない場合の対応さくを紹介したことがあります。

 この時は、売り主が買い主に対して登記引き取り請求訴訟を起こすとか、不当利得返還請求を起こすとかで対応することになろうかと思いますと回答したような記憶があります。

 では、相続の場合はどうでしょうか?

 地方税法第343条第2項には、所有者として登記又は登録されている個人が賦課期日前に死亡しているときは、同日において当該土地又は家屋を現に所有している者をいうと規定されています。

 相続の例に戻ります。Bが「現に所有している者」ということであれば、Bを納税義務者として取り扱うことができます。

 取り扱いの手続きについては、「現に所有している者設定事務処理要領」を検討する必要があります。

 市町村のHP等をみると、固定資産現所有者届出書を提出して、その中に、遺産分割協議書の写しがついている場合には、その書類の内容に基づいて、納税義務者が設定されることになりそうです。

 固定資産現所有者届出書に基づいて、納税義務者が設定されるということですが、届出書の作成にBが消極的な場合に、C側にて、遺産分割協議書を提出する等して、納税義務者をBに変更できないかが問題となります。

 遺産分割協議書にBやCの印鑑証明書がついている場合とか、家裁の遺産分割調停又は審判にて不動産の取得者がBであることが明らかに判明するような場合でも、納税義務者の変更が容易にできないとすれば、問題だろうと思います。

 何かよい方法がないか、さらに考えてみたいと思います。

2015年7月30日 (木)

【弁護士研修】 医療セミナー 産婦人科の基礎知識

 先日、福岡の天神ビルで開催された損害保険協会の医療セミナー「産婦人科の基礎知識」を受講いたしました。

 講師は東京女子医大産婦人科准教授の方です。

 婦人科としては、女性の内性器の概略から始まり、「子宮筋腫」についての病因、診断、画像、治療方針、対処療法、手術療法、「子宮頸癌」の病因、診断、進行分類、治療、「卵巣腫瘍」の臨床像、診断、治療についての解説がありました。

 う~ん

 医療保険の時の治療費支払いによく登場する症例のようですが、田舎弁護士にはちんぷんかんぷん。

 産科としては、自然な妊娠成立の機序から丁寧な解説がありました。妊娠のしくみって、私が扱う業務にはほとんど関係がありませんでしたので、余り知識を持っていませんでした。

 その上で、「子宮筋腫合併症妊娠」、「子宮頸癌合併妊娠」、「糖尿病合併妊娠」についての説明がありました。

 「分娩管理」については、胎児心拍数モニタリングについて丁寧な説明がありました。胎児心拍数陣痛図(GTG)については、その見方がよくわからなかったのですが、GTGの読み方の基本は3つあげることができ、すなわち、①基線の高さは、胎児心拍数を見る、②基線細変動の有無は、胎児心拍数の変動を見る、③一過性変動の有無及び波形は、胎動や子宮収縮に対して心拍数がどのように変化したのかを見るということです。

 胎児心拍数基線をまず見て、胎児側・母体側として、胎児頻脈や胎児徐脈の原因を考える。

 また、胎児心拍数基線細変動を見て、胎児の元気度をみてみる、変動に減少、或いは、増加があった場合には、その原因を考える。

 胎児心拍数一過性変動についても、遅発性一過性徐脈、或いは、変動一過性徐脈等があった場合には、その原因を考える。

 最後は、妊娠中の交通事故についての特有の問題の他、妊婦の場合もシートベルトを適切に着用すれば、母体・胎児の障害の軽減が期待できるということの説明がありました。

 妊娠初期(妊娠4ヵ月末まで)では、子宮は骨盤内か骨盤から少し出た程度であり、交通事故による外傷は受けにくく、流産や切迫流産を起こす可能性は低いとされていることから、妊娠初期では交通事故の際に、外傷のチェックが重要であるが、その際施行するレントゲンや薬の投与には注意が必要であるとされています。

 妊娠中期の交通事故については、独特の合併症が起こるので注意が必要とされており、胎盤早期剥離、切迫早産、子宮破裂、骨盤骨折、胎児の直接外傷等であり、中でも頻度が多いのは胎盤早期剥離であり、また、妊娠5ヵ月以降では、子宮が大きくなることから、子宮破裂、骨盤骨折、胎児の直接外傷等外傷を受けやすくなるということです。

 その上で、妊婦の交通事故により胎児に影響があった症例報告についての解説がなされました。

 なお、弁護士になると、司法修習生時代と異なり、高額な研修費、交通費、宿泊代等は自己負担となります。また、研修は、平日が多いために、仕事が1日分お休みとなります。平日休むのは結構厳しいので、研修終了後のアンケートには、できれば、土曜日にも開催して欲しい旨記載しました。また、私の場合は、研修だけにはならないよう、友人に会ったり、大きな本屋を訪ね書籍を購入したり、さらには、行き帰りには専門誌を読んだりして、できるだけ無駄な時間を作らないようしています。

 

2015年7月29日 (水)

【建築・不動産】  借地借家契約のおける信頼関係の破壊

 日本加除出版から、4月に発行された「借地借家契約における信頼関係の破壊」という書籍です。

 目次は以下のとおりです。

 第1編 借地契約における信頼関係の破壊

 第1 無断転貸・無断譲渡

 第2 賃料等不払い

 第3 用法違反等

 第4 賃借人の行為

 第2編 借家契約における信頼関係の破壊

 第1 無断転貸・無断譲渡

 第2 賃料等不払い

 第3 用法違反等

 第4 その他

 第5 ペットの飼育と信頼関係の破壊

 第6 近隣迷惑行為等 

2015年7月28日 (火)

明日、今治市行政改革推進審議会に、副会長として出席します。

 明日午前10時15分から、今治市行政改革推進審議会に副会長として出席いたします。

 議題は、

 ① 行政改革ビジョンの体系図について

 ② 改革への取組みについて

 ③ 第2次今治市総合計画について

 の、3題です。

  緊張いたします・・・・

弁護士にとって必要なこと!?

 弁護士の業務は、あらゆる事象を取り扱うために、本来は、あらゆる法令、通達、裁判例等に習熟しておく必要があります。

 しかし、多分、そんなスーパーコンピュータみたいな弁護士さんは、存在しないかと思います。

 とはいえ、弁護士として業務を行うにつき、最低限必要な法令、裁判例等については、当然に学習しておかなければなりません。

 ところが、現在の司法試験制度では、合格水準が下がっていることから、旧司法試験と異なり、余り受験勉強をしなくても、司法試験自体は合格することが可能となっております。

 また、司法修習制度も昔の半分程の期間に短縮され、また、司法修習生の数が大幅に増加していることから、修習の質が保ているのか疑問ないとはいえない状態です。

 旧司法試験の場合は、凡人が合格するためには、1日10数時間以上、しかも、数年にわたり勉強する必要がありました。

 現在は、弁護士として最低限必要な法令、裁判例等について、司法試験科目という基本的な分野に限っても、不十分ではないのかと思われる若い方が散見されます。

 また、合格者は、1,2回の受験で合格される方が大半ですので、余り苦労をされておらず、ある意味、人間としては善い方が少なくないように見受けられます。

 弁護士という仕事は、当事者が対立する対人事案ですのでストレスフルな仕事で、しかも、あらゆる分野とは言いませんが、広い分野で相応の知識が要求される等、精神的にも肉体的にも、大変な仕事です(さらに、最近は、経済的にも・・・)。

 弁護士を志すのであれば、そのような仕事であることをわかった上で、志していただければと思っています。

 また、司法試験科目は、弁護士が取り扱う法律分野のごく一部の部分です。旧司法試験の時代の弁護士も、合格後は、余り勉強しない中堅以上の弁護士も散見されます。

 一生涯、勉強を続けていく仕事であることをわかって、志していただければと思います。

 私も後輩の反面教師にならないよう努力していきます。

 

2015年7月27日 (月)

【金融・企業法務】 監査役ガイドブック 全訂第3版

 商事法務から出版されている「監査役ガイドブック全訂第3版 」です。

 改版する度に購入しております。

 今回は平成27年5月1日施行の改正会社法の関係があるので大幅改訂になっております。

 目次をみると、5章と資料編で構成されています。

 ① 監査役とは

 ② 監査の実施

 ③ 監査役(会)と取締役・取締役会

 ④ 監査役と株主総会

 ⑤ 監査役の責任

 要領よく、わかりやすく記述されています。

 

2015年7月26日 (日)

【金融・企業法務】 M&A実務のプロセスとポイント

 中央経済社から出版された「M&A実務のプロセスとポイント」です。

 11章から構成されています。

 ① M&Aの実務のプロセス、② M&Aアドバイザー、③ M&A戦略、④ M&Aのスキーム(ⅰ株式譲渡、ⅱ株主保有割合と株主の権利、ⅲ新株引受、ⅳ事業譲渡、ⅴ会社分割、ⅵスキームを検討する際の留意点、ⅶM&Aにかかる会計および税務のポイント)、⑤ バリュエーション、⑥ トップ面談・交渉、⑦ 意向表明と基本合意(ⅰ意向表明書とは ⅱ意向表明書の一般的な要素と留意点 ⅲ基本合意契約書とは ⅳ基本合意契約書の法的性格、ⅴ基本合意契約のメリット、ⅵ基本合意契約書の一般的な構成要素と留意点)、⑧デューデリジェンス、⑨最終譲渡契約書の締結とクロージング(ⅰ最終譲渡契約書の一般的な構成要素と留意点、ⅱ最終譲渡契約書の整理、ⅲクロージング、ⅳ株式譲渡の場合のクロージングと留意点、ⅴ株券と株主名簿についての留意点、ⅵ事業譲渡の場合のクロージングと留意点)、⑩PMI(経営統合作業)、⑪M&Aの役割

2015年7月25日 (土)

【金融・企業法務】 座談会 金融機関における反社会的勢力排除への実務対応

 金融法務事情No2012号の座談会 最新版 金融機関における反社会的勢力排除への実務対応です。

 反社を預金取引から排除するという項目において、田舎弁護士においても、金融機関から相談を受けそうな事柄についての議論も紹介されていました。

 第1に、生活口座についてです。金融庁の見解は、生活口座等反社会的勢力を不当に利するものではないと合理的に判断される場合まで、一律に排除を求めるという趣旨ではないものの、開設後属性等に応じたモニタリングを行い、不当に利するものであることが判明した場合で届け出及び関係解消の措置を講じるとなっております。ただ、生活口座といっても、預金口座なので、いつ犯罪に利用されるかわからないので、パネリストの弁護士は、基本的には排除対象とすべきとアドバイスをされています。

 第2に、解約通知書の送付ですが、弁護士利用の有無、送付先や、解約代わり金が存在する場合の対応等が議論されています。

 第3に、強制解約・合意解約についてですが、原則は強制解約として、ケースに応じて合意解約とされる方法が紹介されていました。

 反社との関係遮断については、今後、一層強化されることになるかと思いますが、それに応じて、反社とのトラブルも増加するのではないかと思います。金融機関の顧問弁護士の方は、是非、一読されることをお勧めいたします。

2015年7月24日 (金)

本日は、四国生産性本部主催のマイナンバー制度実務セミナー(髙松)に参加してきます。

 来月に、マイナンバーについてのセミナーの講師を引き受けることになったことから、急遽、マイナンバーについて勉強しなければならないことになりました。

 昨日は、今治商工会議所主催のマイナンバーのセミナーに参加しましたが、本日は、四国生産性本部主催のマイナンバー制度実務セミナー(高松)に参加することになりました。

 講師の先生は、牛島総合法律事務所の影島広泰弁護士です。

 セミナーブログラムは、

 ① 社会保障・税番号制度

 ② 民間企業においてマイナンバーが必要となる画面

 ③ 民間企業に必要な実務対応

 ④ 情報管理の徹底

 ⑤ 2016年1月までのロードマップ

 となっております。

 勉強しに行ってまいります。

2015年7月23日 (木)

本日、今治商工会議所主催の今治税務署によるマイナンバーセミナーに参加しました。

 本日午後2時30分から、今治商工会議所主催の今治税務署によるマイナンバーセミナーに参加しました。

 1時間程度のセミナーで、入門者向けの内容でした。

 講師の方の話し方はとてもわかりやすい感じなので、セミナーの講師を引き受けさせていただく際に、参考になります。

【交通事故】 醜状痕と後遺障害逸失利益・慰謝料

 交通事故判例速報No589号で紹介されていたテーマです。

 醜状痕については、「露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの」が14級、「外貌に醜状をのこすもの」が12級等々、程度に応じた等級が定められています。

 よくご質問を受けるのが、醜状痕を理由に、逸失利益が認められないかどうかということです。

 認めてもらうのはなかなか難しく、認めてもらうためには、例えば現に被害者が対面業務を行う職種についているなど、相応の理由が必要です。

 もっとも、逸失利益が否定された場合でも、慰謝料を通常の相場よりも高額化させる裁判例もあります。

 主張立証がうまくいけば、逸失利益、或いは、慰謝料をもらえるかもしれないので、弁護士とよく相談されたらと思います。

 

2015年7月22日 (水)

【金融・企業法務】 共有に属する株式についての最高裁判例

 金融法務事情No2021号で紹介された最高裁平成27年2月19日判決です。

 判決要旨は、以下のとおりです。

 ① 共有に属する株式について会社法106条本文の規定に基づく指定及び通知を欠いたまま当該株式についての権利が行使された場合において、当該権利の行使が民法の共有に関する規定に従ったものでないときは、株式会社が同条ただし書の同意をしても、当該権利の行使は、適法となるものではない。

 ② 共有に属する株式についての議決権の行使は、当該議決権の行使をもって直ちに株式を処分し、または株式の内容を変更することになるなど特段の事情のない限り、株式の管理に関する行為として、民法252条本文により、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決せられる。

 会社法106条 株式が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該株式についての権利を行使する者一人を定め、株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ、当該株式についての権利を行使することができない。ただし、株式会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りでない。

 事案は、Y社の発行済株式総数3000株のうち、2000株をAとXとが準共有しているXが、Y社がAによる本件準共有株式元分全部についての議決権行使に同意したことから、同条ただし書により、本件議決権行使が適法なものになるかどうかが争われた事案です。

 最高裁は、前述のように述べて、本件議決権行使は、本件準共有株式の管理に関する行為として、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決せられるところ、2分の1の持分を有しているXが同意していない以上、民法の共有に関する規定に従ったものではないことから、本件議決権行使は不適法であると判断しました。

 

 

2015年7月21日 (火)

【保険金】 運転を誤り川に転落したことによる70万円の保険金請求は、原告の故意により生じたとして請求を棄却

 自保ジャーナルNo1945号で紹介された岡山地裁平成27年2月6日判決です。

 事案は田舎弁護士も時折相談されることが少なくないものです。

 判決要旨は以下のとおりです。

 被保険車両を所有する原告が運転を誤って川に転落、全損したとして70万円を請求する事案につき、

 本件道路は直線であって原告は直進していたのであるから、たばこに気を取られたとはいえ、突然進行方向から20度すれて走行したというのは不自然である

 さらに、たばこに火がつかなかったとしても約5秒程度前方状況を確認することなく走行し続けたというのも不自然である

 本件事故現場付近のB川岸を川に向かい約5メートル直進するときには、傾斜角35度弱の川岸を下り、かつその間雑草や凸凹のある石造りの法面、木製構造物の残骸の上を走行することになるから、即座にアスファルト舗装の本件道路からの逸脱に気づくはずであるし、その場合、本件車両が川に入って車内に膝まで水が浸水してきたことになって運転席の窓から脱出するという方法で車外に出たというのも、それまで何も出来なかったというのも不自然である

 引き上げられた後の本件車両の内部には、本来有るはずの私物が一切なかったというのも不自然である

 原告は、被告が確認する前に持ち帰ったと説明するが、本件車両の内部には水没後に私物を取り出した形跡が認められないから、信用できない

 水に浸り使用できなくなったはずの携帯電話の情報がその後使用できている事情についての説明も曖昧であって不自然である

 原告の説明と原告の本件訴訟の法廷における供述との対比等にみられる被告の指摘点、本件全証拠からうかがわれる原告の経済状況からすれば100万円に満たない額の保険金であっても、原告には請求の動機がないとはいえないことなどを併せ考えれば、本件事故は、原告の故意により生じたものであると推認するのが合理的であるとして、原告の故意により生じたとして請求を棄却しました。

 川に転落して、車両保険金を請求するという事案は、少なくないので、勉強になります。

2015年7月20日 (月)

【交通事故】 60歳女子男子教室インストラクターの自賠責併合14級認定後遺障害逸失利益を具体的不利益から労働能力喪失率50%、後遺障害慰謝料400万円を認めた 札幌地裁平成27年2月27日判決

  自保ジャーナルNo1945号で紹介された札幌地裁平成27年2月27日判決です。

 横断歩道を横断歩行中、被告乗用車に衝突され、腰仙部痛、右手関節痛等から併合14級後遺障害を残す60歳主婦、夫経営ダンス教室取締役・インストラクターの原告につき、

 一般的な平均的労働能力を想定した自賠責保険の後遺障害認定においては、併合14級(労働能力喪失率5%)であるものの、

 原告が、ダンスのインストラクターとして、受講生の相手方となってダンスをしながら実技指導を行い、それによってダンス会社の売上げに貢献し、その労務対価として年300万円の収入を得ていたところ、後遺障害によって、そうしたインストラクターとしての活動が不可能となっていること、

 原告は、本件事故後、インストラクターをあきらめ、生活費を得るために他の仕事に就いていたものの、体力的にきつい部分もあるなどして長続きはせず、収入としても年300万円と比較して大幅によい就職先が見つかる可能性は乏しいこと

 からすれば、原告は、将来にわたって事故前と比較して相当の経済的不利益を受ける蓋然性があるものと認められる。

 このような事情や認定した後遺障害の程度等の諸事情を考慮すれば、原告の労働能力喪失率は、年収355万9000円を前提として、50%と認めるのが相当であるとしました。

 14級であれば、5%なのに、その10倍の50%とは、すごいです。

2015年7月19日 (日)

【行政】 地方公務員制度講義

 第一法規から、昨年11月に、「第4版」地方公務員制度講義 が出版されました。

 7章から構成されています。①地方公務員制度の概要、②地方公務員の任用と離職、③公務秩序の維持、④公務能率の維持・向上、⑤勤務条件、⑥職員の利益の保護、⑦地方公務員の労働基本権です。

 日頃から民間企業の労務問題はよく取り扱っておりますが、公務員の労務問題は少ないことに加えて、わかりやすい書籍があまり出ていないことから、勉強に困っていたので、よい本と巡り会うことができて、大変よかったです。

2015年7月18日 (土)

【法律その他】 情状弁護ハンドブック

 現代人文社から、出版されている「情状弁護ハンドブック 」を購入しました。

 田舎弁護士は、最近は、あまり刑事弁護を担当しないので、うちの事務所の新進気鋭の弁護士から、情状弁護についての質問があっても、的確にアドバイスができないかもしれないので、駆け出し弁護士用の教材として、購入しました。

 Q&A方式となっており、大変わかりやすいです。

2015年7月17日 (金)

【法律その他】 改訂版和解手続・条項 論点整理ノート

 新日本法規から、2月に出版された改訂版和解手続・条項 論点整理ノート です。

 園部厚裁判官は、わかりやすいシリーズの著者で有名な方で、いつも具体的でわかりやすい説明で、田舎弁護士の仕事にも大変役に立っています。

 注意をしておかなければならない点として、3つだけ指摘してきます。

 ① 和解は、訴訟代理人の特別授権事項なので、訴訟委任状に委任事項として和解を入れておく必要がある

 ② 目的物の価額が100万円を超えるものであるときに、破産管財人が和解する場合には、破産裁判所の許可決定謄本又は裁判所の許可を要しないものとしたことの破産裁判所の許可決定謄本等の証明書を裁判所に提出する

 ③ 地方公共団体が当事者として和解する場合には、原則として、議会の同意が必要なので、議会の議決書謄本を裁判所に提出する。訴額によっては地方公共団体の長の専決処分とされていることがあるが、この場合には、専決処分とされていることが確認できる、議会の議決に基づく地方公共団体の内部規定等を提出する。

 購入して損はないと思います。

 

2015年7月16日 (木)

明日、医療セミナー(福岡会場)を受講します!

 明日の午後から、日本損害保険協会主催の医療セミナーを福岡天神ビルにて受講することになっています。

 テーマは、産婦人科の基礎知識で、東京女子医科大学産婦人科准教授の先生になります。

 予定されている講義項目は、①解剖、②婦人科系の疾患(乳がん、子宮筋腫等)、③産科系の解説(妊娠、分娩、流産、新生児の異常)、④交通事故症例 となっております。

 交通事故の事案担当者や第三分野の保険を取り扱う担当者の参考になるよう婦人科系の疾患や、交通事故により流産するケース、外傷が妊婦に与える影響等についてご講演していただきます。

 産婦人科関係の事案のご相談を受けることが増えているので、さらなる発展のために、思い切って、医療セミナーを受講することにしました。

 セミナーは午後5時ころに終わる予定ですが、昔、お世話になった損保会社の方が福岡支店に異動されたので、夜はその方とご飯をいただくことになっています。楽しみだなあ~

 台風が無事に過ぎてくれたらいいのになあ~

2015年7月15日 (水)

【法律その他】 判例にみる詐害行為取消権・否認権

 今年の4月に、新日本法規から、出版された「判例にみる詐害行為取消権・否認権」という書籍です。

 目次は以下のとおりです。

 第1章 権利の性質・行使の方法・範囲等

 第1節 権利の性質

 第2節 行使方法

 第3節 範囲

 第2章 一般的成立要件

 第1節 債権者の債権

 第2節 債務者の無資力等

 第3節 受益者等の主観

 第3章 具体的行為類型

 第1節 弁済

 第2節 代物弁済

 第3節 担保供与等

 第4節 財産の譲渡

 第5節 対抗要件

 第6節 離婚に伴う財産分与

 第7節 会社分割・事業譲渡

 第8節 その他の行為

 第4章 効果

 第1節 現物返還の方法

 第2節 価格賠償・価額償還

 第3節 その他

 第5章 消滅時効

 第1節 詐害行為取消権

 第2節 否認権

2015年7月14日 (火)

【金融・企業法務】 預金の消滅時効

 銀行法務21・7月号の「営業店からの質疑応答」で取り上げられたテーマです。

 質問は、以下のとおりです。

 「甲銀行の預金取引先Aについて相続が開始し、Aの配偶者BがAの自動継続定期預金証書と届出印を持参して、葬儀費用等の支払いに使用するとして払戻請求をしてきました。調査すると、当該定期預金の預入日は20年以上も前であり自動継続の回数に制限はないものでしたが、甲銀行の帳簿には存在せず払戻関係書類は発見できません。このような場合、甲銀行に払戻義務はあるのでしょうか。また、消滅時効を主張できるのでしょうか。」

 20年も経過した古い預金なので、時効消滅しているのではないかと考える方も少なくないと思います。

 銀行預金の場合、消滅時効は5年とされています(意外と短いですねえ。)。

 もっとも、これでは預金者は怖くて仕方がないので、定期預金元帳等の帳簿でその存在が確認できる場合には、一般的な銀行は、消滅時効を主張することなく、払戻請求に応じているとのことです。

 問題は、甲銀行の帳簿には存在しない場合です。

 自動継続の回数に制限がない場合の預金払戻請求権の消滅時効は、最高裁平成19年4月24日判決によれば、預金者による解約申し入れがなされた時からになりますので、このケースの場合には、消滅時効はきていません。

 そうすると、甲銀行は、結果として、払戻請求を拒否するのは難しいことになりそうです。

 そのため、解説者の先生によれば、金融機関の対応として、「紛失等の事由により定期預金証書を再発行する場合は、自動継続の特約の有無にかかわらず、当該再発行の関係書類は永久保存扱いとすることが実務上不可欠といえます」と説明されています(同書P71)。

 気をつけていきましょう。

2015年7月13日 (月)

【金融・企業法務】 認定経営革新等支援機関

 銀行法務21・7月号に、「認定経営革新等支援機関」の役割について解説された記事が紹介されていましたので、その概要を少しご説明させていただきます。

  平成24年8月30日に施行された中小企業経営力強化支援法により、中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律が改正され、認定経営革新等支援機関が創設され、5月27日時点で2万3827機関(そのうち弁護士法人は84機関)が認定されています。

 認定支援機関の役割は、中小企業・小規模事業者の経営革新を実現することであり、具体的には、以下の支援活動を行うことが求められています。

 ① 経営状況の調査・分析、事業計画策定および実施に係る指導・助言等

 ② 経営改善、創業、新事業展開、事業再生等の経営課題全般に対する指導・助言

 ③ 補助金、融資制度等を活用するための事業計画等策定支援・フォローアップ等

 ①の計画策定については、認定支援機関による経営改善計画策定支援に要する計画策定費用およびフォローアップ費用の3分の2については、国が負担する制度を利用することができます(上限200万円)。

 弁護士の業務の中には、中小企業・小規模事業者の方から、事業再生や債務整理の相談を受ける機会が少なくないように思います。

 昔は、弁護士の所にいっても、破産を強く勧められるだけと言われることがありましたが、現在は、弁護士も、破産申立て前に、自力再生や任意整理の可能性を検討するのが一般的ではないかと思います。

 もっとも、一般的な弁護士は、財務分析や事業診断は得意ではありませんが、対象企業のステークホルダーに企業の置かれた状態を伝えて交渉することは得意とするところです。

 従って、専門領域が異なる複数の専門家が企業の経営者らとで真摯に協議することで、対象企業の課題や改善策を多方面から検討でき、計画の策定・実行の場面ではそれぞれの得意分野に集中して支援が行うことが可能となります。

 地域金融機関も、貸出企業に対して、専門家認定支援機関の活用を積極的に促していただければと思います。

 何を隠そう、(弁)しまなみ法律事務所も「認定経営革新等支援機関」の認定を国からいただいております。

2015年7月12日 (日)

【交通事故】 責任を弁識する能力の無い未成年者がサッカーボールを蹴って他人に損害を加えた場合において、その親権者が民法714条1項の監督義務者としての義務を怠らなかったとされた事例 最高裁平成27年4月9日判決

 マスコミで大きく報道された今治のサッカーボールでバイクのお爺さんが亡くなってしまったという事案についての平成27年4月9日付け最高裁判決です。

 「家庭の法と裁判」第2号で紹介されていました。

  「原審は,上記事実関係の下において,本件ゴールに向けてサッカーボールを蹴ることはその後方にある本件道路に向けて蹴ることになり,蹴り方次第ではボールが本件道路に飛び出す危険性があるから,上告人らにはこのような場所では周囲に危険が及ぶような行為をしないよう指導する義務,すなわちそもそも本件ゴールに向けてサッカーボールを蹴らないよう指導する監督義務があり,上告人らはこれを怠ったなどとして,被上告人らの民法714条1項に基づく損害賠償請求を一部認容した。

  しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。

 前記事実関係によれば,満11歳の男子児童であるCが本件ゴールに向けてサッカーボールを蹴ったことは,ボールが本件道路に転がり出る可能性があり,本件道路を通行する第三者との関係では危険性を有する行為であったということができるものではあるが,Cは,友人らと共に,放課後,児童らのために開放されていた本件校庭において,使用可能な状態で設置されていた本件ゴールに向けてフリーキックの練習をしていたのであり,このようなCの行為自体は,本件ゴールの後方に本件道路があることを考慮に入れても,本件校庭の日常的な使用方法として通常の行為である。

 また,本件ゴールにはゴールネットが張られ,その後方約10mの場所には本件校庭の南端に沿って南門及びネットフェンスが設置され,これらと本件道路との間には幅約1.8mの側溝があったのであり,本件ゴールに向けてボールを蹴ったとしても,ボールが本件道路上に出ることが常態であったものとはみられない。本件事故は,Cが本件ゴールに向けてサッカーボールを蹴ったところ,ボール
が南門の門扉の上を越えて南門の前に架けられた橋の上を転がり,本件道路上に出たことにより,折から同所を進行していたBがこれを避けようとして生じたものであって,Cが,殊更に本件道路に向けてボールを蹴ったなどの事情もうかがわれない。

 責任能力のない未成年者の親権者は,その直接的な監視下にない子の行動について,人身に危険が及ばないよう注意して行動するよう日頃から指導監督する義務があると解されるが,本件ゴールに向けたフリーキックの練習は,上記各事実に照らすと,通常は人身に危険が及ぶような行為であるとはいえない。

 また,親権者の直接的な監視下にない子の行動についての日頃の指導監督は,ある程度一般的なものとならざるを得ないから,通常は人身に危険が及ぶものとはみられない行為によってたまたま人身に損害を生じさせた場合は,当該行為について具体的に予見可能であるなど特別の事情が認められない限り,子に対する監督義務を尽くしていなかったとすべきではない。

 Cの父母である上告人らは,危険な行為に及ばないよう日頃からCに通常のしつけをしていたというのであり,Cの本件における行為について具体的に予見可能であったなどの特別の事情があったこともうかがわれない。

 そうすると,本件の事実関係に照らせば,上告人らは,民法714条1項の監督義務者としての義務を怠らなかったというべきである。
5 以上によれば,原審の判断中,上告人らの敗訴部分には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり,この点に関する論旨は理由がある。

 そして,以上説示したところによれば,被上告人らの民法714条1項に基づく損害賠償請求は理由がなく,被上告人らの民法709条に基づく損害賠償請求も理由がないこととなるから,原判決中上告人らの敗訴部分をいずれも破棄」

 「家庭の法と裁判」の解説によれば、本判決は、民法714条1項の監督義務者の責任に関して、同項但し書き前段による免責を最高裁として初めて認めた判決であり、事例判決ではあるが、責任無能力者の行為態様や、客観的状況、監督義務者の対応等の諸事情を考慮し、同条1項に係る監督義務者の監督義務の内容及びその履行の有無について具体的に判示したものとして実務上重要な意義を有する」と説明されています。

2015年7月11日 (土)

当事務所の池田和隆弁護士が、株式会社田窪工業所の社外監査役に就任しました。

  当事務所の池田和隆弁護士が、株式会社田窪工業所(愛媛県西条市)の社外監査役に就任しました。

  同社は、昭和36年創業のスチール製物置、ガレージ、自転車置場、パイプ棚等を製造するメーカーで、売上げ規模は、120億円に達する地元の名門企業です。

  池田弁護士は、同社の企業価値向上のために、社外監査役として、精一杯精進していきます。

  今後とも宜しくお願い申し上げます。

【金融・企業法務】 非上場会社において会社法785条1項に基づく株式買取請求がされ、裁判所が収益還元法を用いて株式の買取価格を決定する場合に、非流動性ディスカウントを行うことはできないとされた事例 最高裁平成27年3月26日決定

 判例時報の2256号で紹介された最高裁平成27年3月26日決定です。

 論点は、A社は非上場会社であるところ、非上場会社において会社法785条1項に基づく株式買取請求がされ、裁判所が収益還元法(将来期待される純利益を一定の資本還元率で還元することにより株式の現在の価格を算定する方法)を用いて株式の買取価格を決定する場合に、非流動性ディスカウント(当該会社には市場性がないことを理由とする減価)を行うことができるか否かが争われました。

 原審は、非流動性ディスカウントを考慮して、25%の減価を行い、1株あたり80円と計算しました。

 最高裁は、非流動性ディスカウントを否定して、1株あたり106円と自判しました。

 最高裁の理由は以下のとおりです。

 非流動性ディスカウントは、非情状会社の株式には市場性がなく、上場株式に比べて流動性が低いことを理由に減価をするものであるところ、

 収益還元法は、当該会社において将来期待される純利益を一定の資本還元率で還元することにより株式の現在の価格を算定するものであって、同評価手法には、類似会社比準法等とは異なり、市場における取引価格との比較という要素は含まれていない

 吸収合併等に反対する株主に公正な価格での株式買取請求権が付与された趣旨が、吸収合併等という会社組織の基礎に本質的変更をもたらす行為を株主総会の多数決により可能とする反面、それに反対する株主に会社からの退出の機会を与えるとともに、退出を選択した株主には企業価値を適切に分配するものであることをも念頭に置くと、収益還元法によって算定された株式の価格について、同評価手法に要素として含まれていない市場における取引価格との比較により更に減価を行うことは、相当でない

 取引目的の評価の場合には、非流動性ディスカウントが許されることについては特段の異論はありませんが、裁判目的の評価の場合には、両説があったようです。

 時折相談がされることがあるので、勉強になりました。

2015年7月10日 (金)

焼け石に水では?

 法学既習者は、適性試験が免除になるかもしれないようです。

 「法科大学院の適性試験について、志願者のうち、法学部の卒業生ら法学既修者は受験が免除されるよう、制度の見直しを文部科学省が検討していることが4日、関係者への取材で分かった。司法試験合格率の低迷で年々減少している志願者数を、負担の軽減で増加に転じさせたい考えだ。

 適性試験は、法科大学院の履修に必要な思考力などをみるため、1次試験として課される。法科大学院の設置基準の「入学者の適性を的確かつ客観的に評価する」との条文が根拠だが、明確な規定はない。」

 ただ、法科大学院が不人気なのは、弁護士業界が深刻な不況に陥っているということだから、それが改善されない以上、焼け石に水の様な気がします。

 法科大学院制度を廃止して旧司法試験に戻すか、法科大学院の数を10校程度にして司法試験合格者を減らすか、のどちらかしかないように思います。

 若い弁護士をみて感じるのは、昔のように、一癖も二癖もある人が減少して、素直なおとなしい方が増えたようなような気がします。弁護士の業務内容からすれば、それはそれで困ることが多いかもしれません。

 

2015年7月 9日 (木)

愛媛弁護士会住宅紛争審査会運営委員会に出席しました。

 昨日午後は、愛媛弁護士会館(松山)で開催された愛媛弁護士会住宅紛争審査会運営委員会(副委員長)に出席しました。

 その後、フィッタ松山のプールに行きました。

2015年7月 8日 (水)

【金融・企業法務】 個人番号および法人番号の取扱いに関する民間事業者の実務対応Q&A

 金融法務事情No2020で紹介された、個人番号および法人番号の取扱いに関する民間事業者の実務対応Q&Aです。

 ① 社会保障・税番号制度の導入により、民間事業者にはどのような影響がありますか。

 ② 番号法で用いられる用語である「個人番号」「特定個人情報」「個人番号利用事務」「個人番号関係事務」の具体的な内容について教えて下さい。

 ③ 民間事業者に提供する個人番号を本人が知るにはどうしたらよいか。

 ④ 民間事業者は、実際に法定調書の作成などの個人番号関係事務が発生した後でなければ個人番号を取得できないのですか

 ⑤ 特定個人情報の取得時に利用目的を特定する必要がありますか

 ⑥ 本人から個人番号を取得する際に、本人確認の措置を取る必要がありますか

 ⑦ 特定個人情報等については、どのような安全管理措置を講じる必要がありますか

 ⑧ 民間事業者が特定個人情報を提供することができるのは、どのようなときですか

 ⑨ 従業員等や報酬等の支払を受ける者から取得した特定個人情報等を継続して保管することについて、何か制約がありますか

 ⑩ 個人番号関係事務を第三者に委託する場合に注意すべき事項はありますか

 回答は、最新号の金融法務事情を読んでみて下さい。

2015年7月 7日 (火)

【金融・企業法務】 MBOの場面での会社と取締役の利益相反関係

 金融法務事情の2020号で、MBOの場面での会社と取締役の利益相反関係が問題となった神戸地裁平成26年10月16日判決が取り上げられていました。

 神戸地裁平成26年10月16日判決は、MBOを実施する取締役は、善管注意義務の一環として、企業価値の向上に資する内容のMBOを立案、計画した上で、その実現に向け、尽力すべき義務を負っているところ、

 かかる義務に由来するものとして、MBOに内在する取締役と株主との間の利益相反関係や情報の非対称性等に照らし、公開買付価格それ自体の公正さに加え、その決定プロセスにおいても、利益相反的な地位を利用して情報量等を操作し、不当な利益を享受しているのではないかとの強い疑念を株主に抱かせぬよう、その価格決定手続の公正さの確保に配慮すべき義務(手続的公正性配慮義務)を負っているものとしました。

 本件においては、買収者側で提示した価格ありきを前提に、利益計画の数値やA社側の株価算定方法を操作することにより、買収者側とA社側の株価算定結果を近づけようとしてYが指示を行ったことは、A社の株主に対し、公開買付価格の決定手続において、Yが利益相反的な立場を利用して情報等を操作して利益を得ようとしているのではないかとの重大な疑念を生じさせる行為であり、公開買付価格の決定手続の公正さを大きく害する行為であるから、手続的公正性配慮義務に違反するものであると結論づけました。

 MBOについては、平成19年9月に経済産業省から、MBO指針が出ています。MBOを取り扱う際には、この指針に反しないよう注意を払う必要があります。

2015年7月 6日 (月)

【金融・企業法務】 非上場会社が株主以外の者に発行した新株の発行価額が商法280条の2第2項にいう「特に有利なる発行価額」に当たらない場合 最高裁平成27年2月19日判決

 金融法務事情No2020で紹介された最高裁平成27年2月19日判決です。

 判決要旨は以下のとおりです。

 非上場会社が株主以外の者に新株を発行するに際し、客観的資料に基づく一応合理的な算定方法によって発行価額が決定されていたといえる場合には、その発行価額は、特別の事情のない限り、商法280条の2第2項にいう「特ニ有利ナル発行価額」に当たらない。

 原審は、1株を1500円として新株発行したところ、いわゆるDCF法によれば、1株7897円と算定されることから、特に有利なる発行価額にあたると判断したのですが、最高裁は、原審の判断を破棄しました。

 非上場会社の株価の算定については、①簿価純資産法(会計上の純資産価額で評価する方法)、②時価純資産法(時価額で評価する方法)、③配当還元法(実際の配当金額または予測配当金額を資本還元率により還元する方法)、④収益還元法(予測純利益を資本還元率により還元する方法)、⑤DCF法(将来収支予測に基づき算出される将来フリーキャッシュフローを所定の割引率で割り戻す方法)、⑥類似会社比準法(類似する上場会社等の市場価格を元に評価する方法)など、様々な評価方法が存在しておりますが、明確な判断基準が確立されていないところが、悩みの種です。

 上場会社の場合の株価算定については、最高裁昭和50年4月8日判決が、上場会社の新株発行価額が価額決定直前の市場株価より低額であっても、①客観的資料に基づき、②一応合理的な算定方法によって発行価額が決定され、③発行価額が直前の市場株価に近接している場合には、④特別の事情がない限り、当該新株発行価額は、著しく不公平なる発行価額にあたらないと判断しているところ、最高裁昭和51年3月23日判決は、上記①~④の各要件がみたされていれば、新株発行価額は公正な価額といえると判断しております。

 上場会社でさえ、このような手法で判断されている以上、非上場会社の場合は、上記各判例のような判断手法はより強く妥当すると指摘されています。

2015年7月 5日 (日)

【金融・企業法務】 金融機関における顧客のマイナンバーの取り扱いに関する実務対応

 金融法務事情No2020の特集で、金融機関における顧客のマイナンバーの取り扱いに関する実務対応が取り上げられていました。

 記事の目次は以下のとおりです。

 1 個人番号の収集(入口) 

   (1) 収集する事務の範囲

   (2) 収集制限

   (3) 特定個人情報の提供を求める時期

   (4) 利用目的の特定

   (5) 本人確認措置

   (6) 関連論点ー身分証明書としての個人番号カードの利用

 2 個人番号の利用および保管(期中)

   (1) 収集の際に特定した利用目的の範囲内の利用

   (2) 特定個人情報の保管方法

   (3) 保管中の留意点

   (4) 再委託の取り扱い

 3 個人番号の廃棄または削除(出口)

   (1) 廃棄または削除の必要性

   (2) 廃棄または削除のタイミング

 4 おわりに 

 この特集記事では、別表として、一般的な個人情報と特定個人情報等の相違点が掲載されていますが、秀逸です。

2015年7月 4日 (土)

【交通事故】 7月4日、損保ジャパン日本興亜今治サービスセンターにおいて、交通事故セミナーの講師を担当させていただきました。

 7月4日、損保ジャパン日本興亜において、

 ①車同士が衝突し、センターラインをはみ出した側の助手席の男性が死亡した事故について、直進してきた対向車側にも責任があると判断した福井地裁平成27年4月13日判決の解説を私が、

 ②最近改正された危険運転を題材とする刑事手続の流れの解説を、池田和隆弁護士が、それぞれ担当させていただきました。

 福井地裁平成27年4月13日判決は、直進車の運転手の無過失を立証できない場合の自賠法3条の構造、運転者の過失を助手席の方に転嫁できないことを考えると、それなりに理屈は通っている判断だと思われます。

 ただ、法律を知らない方からすれば、民法709条では、無責、自賠法3条では、有責と異なる判断になること、センターラインをはみだせば一般的には直進車は無過失と評価されることからすれば、理解しにくい判決だったと思います。

 次に、池田弁護士の講演は、27歳という若さもあり、大変フレッシュな、かつ、丁寧な内容の講演だったと思います。

 今後ともご期待下さい。

2015年7月 3日 (金)

【交通事故】 体幹及び両下肢の機能全廃の既存障害と局部に神経症状を残す後遺障害とは、自賠法施行令2条2項にいう「同一部位」の後遺障害には該当しないとされた事例 さいたま地裁平成27年3月20日判決

 判例時報No2255号で紹介されたさいたま地裁平成27年3月20日判決です。

 交通事故の被害者が、自賠社に対して、14級9号の後遺障害が残ったとして、自賠法16条1項に基づき、75万円の支払いを求めた事案です。

 自賠社は、被害者には、既存障害として精神機能に著しい1級1号に該当する障害を有するところ、本件既存障害と本件後遺障害とは同一系列の神経障害であり、自賠法施行令2条2項の「加重」には当たらないから、損害賠償債務はないとして主張しました。

 裁判所は、自賠法施行令2条2項にいう「同一の部位」とは、損害として一体的に評価されるべき身体の類型的な部位をいうと解するべきであるとした上で、

 本件既存障害は、脊髄等中枢神経の障害であり、本件障害は、末梢神経の障害であって、異なる神経の支払い領域を有するから、侵害として一体的に評価されるべき身体の類型的な部位に当たると解することはできず、「同一の部位」の障害であるということはできないとして、被害者の請求を認めました。

 自賠法施行令2条2項は、自賠法13条1項の保険金額につき、既に後遺障害のある者が事故により同一部位について後遺障害の程度の加重した場合には、現在の後遺障害等級の保険金額から保険障害等級の保険金額を控除した金額を支払う旨定めています。

 保険実務では、「同一部位」とは、「同一系列」の身体障害をいうと取り扱われているところ、今回の裁判例は、下級審の裁判例とはいえ、保険実務とは異なる見解を示した新しい裁判例であり、影響は大きいものといえます。

2015年7月 2日 (木)

【金融・企業法務】 マイナンバー制度の実務と業務フローがわかる本 No2

 「マイナンバー制度の実務と業務フローがわかる本」の続きです。

 第3章は、マイナンバーの取扱いと番号取得時の本人確認 ですが、(1)マイナンバーを取得する際には、他人への成りすましを防ぐため、本人確認を行う必要があること、本人確認を行う際には、個人番号カードの場合はそれだけでよいが、通知カードや住民票(番号付)の場合は、運転免許証などの写真入りの身元確認書類が必要となること、(2)出向や転籍の場合には、同じ系列の会社間等であっても、別法人である以上、直接、従業員の特定個人情報の受渡を行うことができない。そのため、出向・転籍を受け入れる会社で改めて本人から個人番号の提供を受け入れる必要があること等が紹介されています。

 第4章は、企業に求められる安全管理対策ですが、(1)組織的、人的、技術的、物理的安全管理措置を講じることを求められていること、(2)従業員数100人以下の事業者は、管理にあたって、一部例外的な取り扱いが設けられていることなどが紹介されています。

 第5章は、盲点となる委託先管理 ですが、(1)委託者は委託先に対して監督義務を負っており、委託先が情報を漏洩させた場合には、監督義務を怠っていたと考えられるケースも生じること、再委託の場合には、委託者の許諾がないと番号法違反となり、委託者は再委託者に対しても監督義務を負うことになること等が紹介されています。

 第6章は、マイナンバーの保存と管理 ですが、(1)マイナンバーの保管年数は、番号法においては定められていないこと、原則として、それぞれの資料等に用いた関係法令におり定められた年数を保管することになること、(2)紙媒体であればシュレッダーで処分したり、デジタルデータであれば削除(マイナンバーのマスキング可)が必要であることなどが紹介されています。

 第7章は、罰則・その他 ですが、番号法は、個人情報保護法の特別法として位置づけられており、情報漏洩にあたっては、個人情報保護法よりも重い罰則が設けられていること、こうした運用は、立ち入り調査権限を有する特定個人情報保護委員会によって監督等されること等が紹介されています。

 

2015年7月 1日 (水)

【金融・企業法務】 マイナンバー制度の実務と業務フローがわかる本 No1

 日本実業出版から、6月1日に「マイナンバー制度の実務と業務フローがわかる本 」が出版されていましたので購入して早速勉強しました。

 7章にわかれています。

 ①マイナンバーとは何か ②マイナンバー導入のスケジュールと実務 ③マイナンバーの取扱いと番号取得時の本人確認 ④企業に求められる安全管理対策 ⑤盲点となる委託先対応 ⑥マイナンバーの保存と管理 ⑦罰則・その他

 ①マイナンバーとは何か という章では、(1)マイナンバーとは、「社会保障・税番号制度」のことで、住民票を持つ全ての国民に対して12桁の番号が付与されること、この番号は平成27年10月以降に通知され、主に社会保障分野・税分野・災害対策分野で来年1月から利用されること、(2)法人に付与されるマイナンバーは公開され利用制限がないこと、他方で、個人に付与されるマイナンバーは秘匿性が高く厳格な管理の中で利用制限が設けられていることが紹介されています。

 ②マイナンバー導入にスケジュールと実務 という章では、(1)体制設備にあたり企業が実施しなければならない事項としては、ⅰ社内体制の整備 ⅱマイナンバー収集対象者の洗い出し ⅲマイナンバー収集対象者への周知と番号の収集 ⅳ方針の明確化と規程整備 ⅴ安全管理措置の検討 ⅵ社内システムの改修 ⅶ委託先・再委託先の体制確認、監督にモレや遅れがないようにしておくこと、(2)ⅰマイナンバーの取得をする際には、源泉徴収票作成事務、健康保険・厚生年金届出事務といったように、その利用目的を通知しなければならないこと、ⅱマイナンバーの利用目的の通知等は、通常、①社内LANにおける通知、②利用目的を記載した書類の提示、③就業規則への明記のいずれかによって行うことが必要とされています。

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