【流通】 消費税転嫁対策特別措置法のガイドライン(案)に関するパブリックコメント手続の開始
7月25日から、消費税転嫁対策特別措置法のガイドライン(案)に関するパブリックコメント手続を開始していることを、公正取引委員会のHPで知りました。
税法絡みはそもそも専門外ですが、消費税転嫁対策特別措置法は、税法という要素よりも下請法や独占禁止法等の経済法の要素が強いため法律家にとってはなじみやすいこと、また、8月以降に消費税転嫁対策特別措置法についてのセミナーの講師を務めることから、ガイドライン(案)を印刷して勉強してみました。
ガイドライン案は4つ公表されています。
私は、公正取引委員会から公表された「消費税の転嫁を阻害する行為等に関する消費税転嫁対策特別措置法、独占禁止法及び下請法の考え方(案)」を一読して、第1部「消費税の転嫁拒否等の行為関係」についてパブリックコメントを提出することにいたしました。
とはいえ、私の知見では、パブリックコメントというよりも、単なる疑問点というレベルのものに過ぎませんが・・・・
以下、7月30日に公正取引委員会に提出したコメントを引用いたします。
記
1 特別措置法と独占禁止法乃至下請法との関係
ガイドラインによれば独占禁止法乃至下請法との関係では、適用が競業するような案件であれば、いずれも特別措置法が優先的に適用される旨説明されている。
ところが、下請法の場合であれば格別独占禁止法適用事案であれば独占禁止法で認められている排除措置命令や課徴金納付命令が、特定事業者が特別措置法の勧告に従った場合には適用しない旨明記されている。
しかしこれでは、特別措置法の違反制裁が独占禁止法の違反制裁よりも軽いところから、かえって競業適用するケースにおいては特定事業者から軽視されることに繋がる可能性はないのか懸念を感じる。
2 ガイドラインP4のイで記載されている「継続して」の解釈が今ひとつわかりにくい。
例えば、継続としても、例えば、取引に中断がある場合には継続ともはやいえないのかどうか、中断がある場合でも継続と評価される場合があるのかについても解釈を示して欲しい。
3 ガイドラインP8の4(3)において、「事実上、購入を余儀なくさせていると認められる場合も含まれる。」も、第3条第2号の適用事例と紹介されている。
しかしながら、「事実上」という概念が抽象的な概念であるために、例えば、具体的にどのような場合であれば事実上購入を余儀なくされたといえるのかを明示しなければ、現場は混乱するのではないかと思われる。
また、特定事業者の要請が、黙示的なものである場合にはどうか?等、要請についても解釈指針を示すべきである。
4 ガイドラインP8の(4)イは、「消費税率引き上げについて、特定事業者が電子受発注システムを新たに導入し、当該システムの利用を全ての取引先との間で取引条件とするなど、受発注業務のコスト削減のために合理的必要性がある場合に、当該システムを使用させる場合」を適用外としています。システムの利用を役務の利用と評価されているのだと思われますが、仮に、システム変更に要する費用ではなくシステム利用の対価として適切な利用料を徴収した場合にはどうなるのかについても、明記して欲しい。
5 今回、特別措置法で、減額・買いたたき、購入強制等、税抜き価格での交渉の拒否、報復行為を、禁止されている。
しかしながら、これらの行為については、独占禁止法、下請法のいずれによっても、禁止されている行為ではないか?
それにもかかわらず、特別措置法であえて4つの行為を重ねて禁止したことは、国民に、特別措置法が失効した後は、遵守しなくてもよいという誤ったメッセージを送ることにはならないのかが気がかりである。ガイドラインはその旨の明記がなく、不安である。
以上
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