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2012年10月31日 (水)

【労働・労災】 基本給を月額で定めた上で月間総労働時間が一定の時間を超える場合に1時間当たり一定額を別途支払うなどの約定のある雇用契約の下において、使用者が、各月の上記一定の時間以内の労働時間中の時間外労働についても、基本給とは別に、労働基準法37条1項の規定する割増賃金の支払義務を負うとされた事例 最高裁平成24年3月8日判決

 判例タイムズNo1378号(11月1日号)で紹介された最高裁平成24年3月8日判決です。

 判決要旨を紹介いたします。

 基本給を月額41万円とした上で月間総労働時間が180時間を超える場合に1時間当たり一定額を別途支払い、140時間未満の場合に1時間当たり一定額を減額する旨の約定のある雇用契約の下において、

 次の(1)、(2)などの判示の事情の下では、

 労働者が時間外労働をした月につき、使用者は、労働者に対し、

 月間総労働時間が180時間を超える月の労働時間のうち180時間を超えない部分における時間外労働及び月間総労働時間が180時間を超えない月の労働時間における時間外労働についても、

 上記の基本給とは別に、労働基準法37条1項の規定する割増賃金を支払う義務を負う。

 (1)上記の各時間外労働がされても、上記の基本給自体が増額されるものではない

 (2)上記の基本給の一部が他の部分と区別されて同項の規定する時間外の割増賃金とされていたなどの事情はうかがわれない上、上記の割増賃金の対象となる1か月の時間外労働の時間数は各月の勤務すべき日数の相違等により相当大きく変動し得るものであり、上記の基本給について、通常の労働時間の賃金に当たる部分と上記の割増賃金に当たる部分を判別することができない

 

 田舎弁護士の事務所でも、未払い残業代の相談は増えております。うちの事務所の場合、大半は、中小企業の経営者からの相談がほとんどですが、賃金規定等がしっかり整備されていないところも少なくなく、悩んでしまうこともあります。

 今回の最高裁判決の争点は、時間外手当が約定の賃金の中に含まれているかどうかという小里機材事件の最高裁判決で議論されたことが再び取り上げられており、残業代を考えるに際してよい教材にもなりそうです。

2012年10月30日 (火)

【金融・企業法務】 高齢化社会と金融法務 金融法務事情No1956(10月25日号)

 金融法務事情の1956号(10月25日号)です。

 「高齢化社会と金融法務」という特集が組まれていました。

 第1は、「高齢者との金融取引上の留意点」として、預金取引(代筆問題、振り込め詐欺)、与信取引、金融商品取引、成年後見制度利用者との取引、日常生活自立支援事業利用者との取引についての概括的な説明がなされています。

 第2は、「リスク商品販売に関する裁判例からみる高齢者の意思確認」として、裁判例から検討される高齢者の意思確認方法について具体的な論及がなされていました。販売用資料等を使用した適切な説明、顧客の要望や投資行動の具体的な確認、顧客が理解したことを確認する質問や会話の記録、社内基準の厳格な適用等ということのようです。

 第3は、「成年後見人の任務と金融機関の対応」として、書式や具体的なアドバイスが書かれており、実務上大変に参考になると思いました。

 

2012年10月29日 (月)

【交通事故】 ドアを閉じるまでは「運行」とタクシー降車1歩か2歩で転倒65歳男子に人身傷害保険の適用を認めた事例 大阪高裁平成23年7月20日判決

 自保ジャーナルNo1880(10月25日)号で紹介された裁判例 平成23年7月20日大阪高裁判決です。

 第1審は、原告がタクシーから降車する際に、転倒したものとは認められないとして、転倒の事実自体を否定しています。

 ところが、高裁は、本件事故は、原告がタクシーから降車後1歩か2歩ほど歩いたところで発生したものであると認め、さらに、そもそも本件保険約款にいう自動車の運行に起因する事故であると解するのが相当と認定しています。

 事実認定が第1審と第2審とで大きく異なったことが結果が異なった大きな違いのように思われます。

2012年10月28日 (日)

【労働・労災】 従業員の欠勤が就業規則所定の懲戒事由である正当な理由のない無断欠勤に当たるとしてされた諭旨退職の懲戒処分は無効であるとされた事例 最高裁平成24年4月27日判決

 判例時報No2159号(10月21日号)で紹介された最高裁平成24年4月27日判決です。

 判例タイムズでも紹介されていました。

 事案は、Yの従業員であるXが、加害者集団から職場の同僚らを通じて嫌がらせの被害を受けているとして有給休暇を取得して出勤しなくなり、有給休暇を全て取得した後も約40日間にわたり欠勤を続けたところ、就業規則所定の懲戒事由である「正当な理由のない無断欠勤」があったという理由で諭旨退職の懲戒処分を受けたため、Yに対し、欠勤は正当な理由のない無断欠勤には当たらす、懲戒処分は無効であるとして、雇用契約上の地位を有することの確認と賃金等の支払を求めた事案です。

 最高裁の判旨をそのまま引用します。

 「このような精神的な不調のために欠勤を続けていると認められる労働者に対しては、精神的な不調が解消されない限り引き続き出勤しないことが予想されるところであるから、

 使用者である上告人としては、その欠勤の原因や経緯が上記のとおりである以上、精神科医による健康診断を実施するなどした上で(記録によれば、上告人の就業規則には、必要と認めるときに従業員に対し臨時に健康診断を行うことができる旨の定めがあることがうかがわれる。)、

 その診断結果等に応じて、必要な場合は治療を勧めた上で休職等の処分を検討し、その後の経過を見るなどの対応を採るべきであり

 このような対応を採ることなく、被上告人の出勤しない理由が存在しない事実に基づくものであることから直ちにその欠勤を正当な理由なく無断でされたものとして諭旨退職の懲戒処分の措置を執ることは、精神的な不調を抱える労働者に対する使用者の対応としては適切なものとはいい難い。」

 使用者にとって厳しい判決です。

 なお、Xのいう被害事実の概要は、「Xは、メイド喫茶のウェイトレスとの間でトラブルになったことがきっかけで、約三年間にわたり、加害者集団が雇った専門業者や協力者らにより日常生活を子細に監視されるようになった。

 盗撮や盗聴等の監視行為によって蓄積された情報は、インターネットの掲示板やメーリングリスト等を通じてXの見えないところで加害者集団に共有されており、加害者集団は、Yの従業員や見ず知らずの者を使って、Xに対して、『だから空気に魔法はつうじねーんだよ。』、『泣いてやんのー』などのXに関する情報のほのめかし等による嫌がらせを行い、Xを威迫している。」

 ということですが、第1審も第2審もそのような事実は否定しています。

 こんな相談きたらびっくりですね~

 

2012年10月27日 (土)

次から次に続く弁護士の不祥事 (-_-)

 西日本新聞のニュースに、ベテラン弁護士による驚くべき横領行為が紹介されていた。

 九州の重鎮弁護士が、成年後見監督人の立場を利用し、後見を受けていた県内の女性の財産約4400万円をだまし取り、使い込んでいたらしいです。

 また、報道によると、動機は、「理事長時代の業務が忙しく、仕事ができずに収入が減ったことから、お金に困っていた。」ということらしい・・・

 確かに、弁護士会等の重責ある地位に就任した場合、会務活動により仕事ができず、売上が減少したという話しは、何度が耳にしたことがあります。

 ただ、会務活動により生活費に困るほど売上が減少するなんて、恐ろしいことです。

 確かに、私も少しばかり会務活動をしていますが、残念ながらcoldsweats01 売上には直結しませんね~

 但し、会務活動は勉強にはなりますし、また、僅かでも弁護士会のお役に立てるというのは弁護士として冥利に尽きるところと感じる弁護士も少なくないのではないでしょうか。

 とはいえ、司法改革により弁護士の数が増えたことにより、弁護士間では顧客獲得のための競争が激しくなっており、中堅以上の弁護士と雖も油断すると、あっという間に顧客を持って行かれそうな時代に突入しております。

 これまでの弁護士は私含めてどんぶり勘定で事務所を経営している弁護士が少なくないように思います。

 私は小泉さんの時に司法改革により経済的基盤を毀損される弁護士による不祥事が多発するとの警鐘を鳴らしていましたが、予想どおり弁護士による不祥事は増加するばかりです。

 

 これまで会務等活動に熱心な弁護士はよい弁護士だというイメージが弁護士の間にはありますが、会務等活動に熱心な余り売上を失うようなことにならないよう、これからの弁護士は注意をしなければならない時代になったようです。

 また、特に多忙な役職者の場合には、それ相応の給料を支給する等を検討してもいいのではないかと思います。ボランティアあるいはボランティアに近い形での公務や会務はもはや無理なのかもしれません。

 また、消費者の方も、間違いの無い弁護士選びが必要になっている時代です。 

 弁護士賠償保険も、弁護士による故意行為は免責事由でしょうから、弁護士による不祥事が続くようであれば、弁護士被害基金でも積み立てることが検討されるかもしれません。

 なんか、アネハみたいで、イヤですねえ~

 

2012年10月26日 (金)

【交通事故】 医療セミナー むち打ち損傷 (大阪)

 お世話になっている損害保険会社の紹介で、日本損害保険協会主催の医療セミナー(大阪 千里ライフサイエンスセンター)に参加いたしました。

 市川弁護士も一緒です。

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 会場の千里ライフサイエンスセンターです。通算3回目の訪問です。

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 むち打ち損傷ー神経学の基礎から問題事例と題して、東京医科大学の遠藤健司先生によるご講演でした。

 今回のセミナーは、レントゲンやMRIの画像の簡単な読解もあり、大変勉強になりました。

 脊椎や脊髄の構造の説明、頚椎の構造、高位・画像診断、むち打ち症例についての解説、頚椎捻挫型・神経根型・脊髄症型・バレールーの各分類についての説明、鞭打ち損傷の予後、交通外傷患者への留意点、低髄液圧症候群、問題となりやすい事例の類型(複数事故がらみ、複数医療機関の受診、過去の明確な既存障害や合併症、画像正常での原因不明の麻痺、精神科疾患の関与、脳脊髄液減少症)などを解説された後、

 最後は、復習テストを行って終了しました。

 今までの同種のセミナーの中では、一番わかりやすかったように思います。

 お世話になっている損保の会社の方も見えられていたようですが、残念なことにわかりませんでした~。

2012年10月25日 (木)

【交通事故】 税理士所有の高級自動車が駐車場に駐車中傷つけられた事故につき、故意によって惹起されたものと推認され、保険契約上の免責が肯定された事例 東京地裁平成24年3月27日判決

 判例時報No2158号(10月11日号)で紹介された東京地裁平成24年3月27日判決です。

 Xのベンツの前輪のタイヤ2本をパンクさせられ、また、全周に線上の傷をつけられるという被害を受けたため、約178万円の車両保険金を請求したという事案です。

 裁判所は、以下の理由により、請求を棄却しています。

 第1に、Xの平成21年度の事業所得は平成18年度の半分以下であるうえ、貸金業者から約500万円程度の借入れがあり、ローンの支払いも遅れがちであったことからすれば、Xには保険金を得たいと思う動機があった

 第2に、本件事故による実際の損害は主張による損害を大きく下回っており、修理代相当の保険金が得られるのであれば、Xにとって経済的な利益に結びつく事が認められる

 第3に、Xは、本件事故当時、本件車両をその所有者として利用するというより、単に経済的な利益を得るための手段として利用する意図であったと推認される

 第4に、本件車両の保管場所を本件駐車場としていたXの行動は故意を推認させる有力な事情である

 当事務所では、損害保険会社から依頼を受けてこのような事案も度々相談に乗ったり、事件としてご依頼を受けたりしております。

 車両保険の不正請求事案においては、例えば、①事故の客観的な状況等、②請求者等の事故前後の行動等、③請求者の属性・動機等、④保険契約に関する事情等が、重要な間接事実としてあげられており、それらの事実を分析することが重要だと言われています。

 一層の経験を積んでいく必要がありますね。

2012年10月24日 (水)

【消費者法】 都会の事務所で、過払金の無料法律相談会を実施している方! 最後まで責任をもって下さい!

 この地域でも、首都圏から、無料法律相談会なる法律相談を実施する法律事務所の折り込みチラシを目にすることが増えております。

 ただ、そのような事務所に依頼したお客さんが、うちの事務所に債務整理の相談にみえられることがあります。

 相談内容から共通しているのは、大手の貸金業者だけの過払金返還だけを受任して、利息制限法以下の貸金業者や地場の金融業者は対象から外されているということです。

 元々、1回限りの巡回法律相談ですから、そこで受任ということになっても、おそらくは、弁護士からの報告はせいぜい書面か、電話ということです。

 書面や電話って、その場で具体的な質問や相談者の反応を確かめることができないために、やはり補助的なものだと思います。

 結局、整理の対象とはしない業者を残すために、一部の過払金を得たとしても、結局、意味のある債務整理とはならず、再び、自転車操業を繰り返すことになります。

 確かに、中には、銀行等は整理から外したいという方も少なくありません。

 とはいえ、例えば、家計簿を作成して、残す債権者の支払い等を考慮しても、家計の改善が図られるような場合には、顧客の意向にそう形の整理もありかと思います。

 他方で、貸金業者の支払いを軽減したとしても、家計の改善が見込まれない場合には、法的整理を含む何らかの検討も必要なことを助言すべきではないかと思います。

 債務整理を弁護士が担当する以上、本当に依頼人の家計の改善が図られるよう親身なアドバイスをお願いできたらと思います。

  大好評等と謳っているので多数の相談者がきているのではないかと思われますが、事務所に所属する弁護士は3人から5人程度でありまた若手弁護士が大半をしめていることなど全国展開する割には弁護士の数は少ないように思われます。

 

 とはいえ、折り込みチラシの派手な広告により、消費者が過払金という自己の権利を認識しうるというメリットもあります。どうせなら、初心に戻って、相談者の経済的更生に資するよう、相談者が二度と債務整理で法律事務所に相談しなくてもよいように、抜本的な家計の改善が図られるよう、過払金だけではなく全社についての適切な整理をお願いしたいところです。

 

 

2012年10月23日 (火)

【法律その他】 今治市での学校事故

 判例タイムズNo2158号(10月11日号)で紹介された大阪高裁平成24年6月7日判決です。

 事案は以前のブログでも紹介したと思いますが、高齢者の男性Aが、平成16年2月25日、自動二輪車を運転して、愛媛県今治市内の道路を走行中、付近の小学校の校庭で小学生Bの蹴ったサッカーボールが校庭から道路に飛び出してきたため、これを避けようとして転倒し、腓骨骨折等の傷害を負って入院治療を受けていたが、平成17年7月10日、誤嚥性肺炎を原因として死亡したという事案です。

 高裁は、Bの両親の損害賠償責任を認めましたが、校庭からボールが飛び出すのは珍しくなく、注意しながら走行すべきであったとして、3割の過失相殺をし、かつ、既往症をしんしゃくして5割を減額して、1審判決の金額を変更しました。

 論点的には珍しいものではなさそうですが、今治市での学校事故なので関心がありました。

2012年10月22日 (月)

【建築・不動産】 共同住宅・店舗として建築された建物を建築主から買い受けた者が、建物に瑕疵があることを理由に、①設計及び工事監理者と、②建築工事請負人に対する不法行為に基づく損害賠償を請求したところ、建物に建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵があるとして,①及び②の損害賠償責任が一部認容された事例

 判例時報No2158号(10月11日号)で紹介された福岡高裁平成24年10月10日判決です。

 ①平成15年2月24日大分地裁判決 → ②平成16年12月16日福岡高裁判決 →③平成19年7月6日最高裁判決 →④平成21年2月6日福岡高裁判決 →⑤平成23年7月21日最高裁判決 →⑥平成24年1月10日福岡高裁判決 →⑦上告上告受理申立中 という流れを辿っているとても有名な裁判です。

 第1次上告審判決の要旨です。

 建物の建築に携わる設計者、施工者及び工事監理者は、建物の建築に当たり、契約関係のない居住者等(建物利用者、隣人、通行人等)に対する関係でも、当該建物に建物としての基本的な安全性(居住者等の生命、身体又は財産を危険にさらすことがないような安全性)が欠けることがないように配慮すべき注意義務を負うと回するのが相当である。

 そして、設計・施工者等がこの義務を怠ったために建築された建物に建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵があり、それにより居住者等の生命、身体又は財産が侵害された場合には、設計・施工者等は、不法行為の成立を主張する者が瑕疵の存在を知りながらこれを前提として当該建物を買い受けていたなどの特段の事情がない限り、これによって生じた損害について不法行為責任を負うというべきである。

第2次上告審判決の要旨です。

 第1次上告審判決にいう、「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵」とは、居住者等の生命、身体又は財産を危険にさらすような瑕疵をいい、建物の瑕疵が居住者の生命、身体又は財産に対する現実的な危険をもたらせている場合に限らず、当該瑕疵の性質に鑑み、これを放置するといずれは居住者等の生命、身体又は財産に対する危険が現実化することになる場合には、当該瑕疵は、建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵に該当すると解するのが相当である。

 建物の構造耐力に関わる瑕疵はもとより、

 建物の構造耐力に関わらない瑕疵であっても、これを放置した場合に、例えば、外壁が剥落して通行人の上に落下したり、開口部、ベランダ、階段等の瑕疵により建物の利用者が転落したりするなどして人身被害につながる危険があるときや、漏水、有害物質の発生等により建物の利用者の健康や財産が損なわれる危険があるときには、建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵に該当する。

 建物の美観や居住者の居住環境の快適さを損なうにとどまる瑕疵は、これに該当しない

 建物の所有者は、自らが取得した建物に建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵がある場合には、第一次上告審判決にいう特段の事情がない限り、設計・施工者等に対し、当該瑕疵の修補費用相当額の損害賠償を請求することができるものと解され、

 所有者が当該建物を第三者に売却するなどして、その所有権を失った場合でも、その際、修補費用相当額の補填を受けたなど特段の事情がない限り、一旦取得した損害賠償請求権を当然に失うものではない。

 

 そして、本判決は、上各上告審の判断内容を前提として、Xらが本件建物の瑕疵として主張する箇所のそれぞれについて、①それらが建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵に該当するかどうか、②そのような瑕疵が生じるに至ったことにつきYらの故意過失が認められるか、③そのような瑕疵によりXらが被った損害があるか否か等について個別具体的に判断したものです。

 個別具体的な議論については、技術的なことが関連しており紹介できるほどの知見をもちあわせておりませんが、第3次上告審判決って、ありうるのでしょうか?

 

2012年10月21日 (日)

【法律その他】 原子力損害賠償紛争解決センターにおける和解の仲介の実務

 判例時報No2158号(10月11日号)で紹介された記事です。 

 田舎弁護士が住んでいる愛媛では、原子力損害賠償紛争解決センターにおける和解の仲介の実務を、当事者としてしりうることはあまりないと思いますが、今回の判例時報では同センターにおける和解の仲介実務をわかりやすく解説された論文が紹介されており、参考になりました。

 その中で、センターの審理における東電の対応の中に、不誠実な対応が複数みられているということでした。論文には以下のとおりのことが書かれています(P4)。

 「同センターの審理において、しばしば、東京電力に審理を不当に遅延させる態度がみられ、被害者に対する賠償金の支払、ひいては本件事故によって破壊された被害者の生活の再建や復興が妨害されるという事態が発生した。」

 「具体的には、仲介委員・調査官からの求釈明に応じない、又は回答期限を守らない行為、和解の提案に対して回答期限を守らない行為、賠償請求権の存否を本格的に検討すべき事案について中間指針に具体的記載がないなどの取るに足らない理由を掲げて争う、確立した和解先例を無視した主張をするなどの事例が発生した」

 センターのホームページでも紹介されています。

 最終的には、センターの和解案を受諾しているようですが、センターとしては、和解案に遅延損害金を付することにより、審理の不当遅延行為の防止、ひいては原発事故によって破壊された被害者の生活の再建や復興の促進という効果の発生をねらっているとのことです。

 一日も早い再建や復興を願っております。

2012年10月20日 (土)

【交通事故】 交通損害賠償事件における非器質的精神障害をめぐる問題(1)

 判例タイムズNo1377号(10月15日号)で紹介された裁判官による論文です。

 なかなか読む時間がありませんが、後日の参考のために、項目だけを紹介しておきます。

第1 はじめに

第2 非器質的精神障害について

1 交通事故後の非器質的精神障害の主なもの

(1)心的外傷後ストレス障害

(2)急性ストレス障害

(3)適応障害

(4)転換性(解離性)障害

(5)身体表現性障害

(6)気分(感情)障害

2 精神障害の成因について

(1)従前の伝統的区分

(2)ストレスー脆弱性理論

3 自賠責保険における後遺障害等級認定

(1)非器質性精神障害等認定基準とその策定の経緯

(2)労働能力喪失期間

第3 事故と非器質性精神障害との因果関係に関する問題

1 総論

2 心因、心因性、心因的要因等の用語の意味について

(1)精神医学における心因の意味

(2)損害賠償における因果関係又は割合的解決において減額要素として用いられる心因にうついて

3 裁判例の紹介

(1)因果関係否定例

(2)因果関係肯定例

4 事故と非器質性精神障害との因果関係についての裁判例分析

(1)因果関係の判断枠組み

(2)因果関係認定に際しての考慮事情

5 小括

 田舎弁護士の私には、このような論文を著すことはできませんが、読んで知識として頭の隅には残すようにしておきたいと思います。

2012年10月19日 (金)

【交通事故】 追突された35歳女子には厚労省研究班報告書基準から脳脊髄液減少症を否認、約2年後症状固定12級13号認定、以後の症状は心因性として否認した 広島高裁岡山支部平成24年6月7日判決

 自保ジャーナルNo1879号(10月11日号)で紹介された裁判例です。

 判決要旨は以下のとおりです。

① 脳脊髄液減少症の診断・治療の確立に関する研究を行っている厚生労働省研究班は、平成22年総括研究報告書において、上記疾患について、脳脊髄液が減少する病態の存在は是認できても、それは推論であるとして、脳脊髄液漏出症という名称を用いるとともに、脳脊髄液漏出症の診断基準(案)を提示するともに、別に低髄液圧症の診断基準(案)を定めることにした

② 乗用車を運転信号待ち停車中、乗用車に追突され、経過と共に症状が悪化、脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)によって1級1号後遺障害を残したと主張する35歳女子につき、

 Xに厚生労働省研究班の脳脊髄液漏出症の診断フローチャート(案)にいう、立位・座位後30分以内に増悪する頭痛があったとも認められない。また、Xが引用するD病院のカルテ記載も起立性頭痛について記載したものとは認められない等として脳脊髄液減少症を否認し、

 Xは、本件事故により、局部に頑固な神経症状を残すに至ったものと認められ(後遺障害等級表12級13号)、その症状は、D病院への通院を一旦中断した平成17年10月31日に固定したものと認めるのが相当である。

 そして、E病院の入院以降、Xの症状が長期化、重篤化したのは、X自身の心因的要素及びこれに起因する長期の臥床による廃用性の四肢筋力低下ないし萎縮が原因である可能性が高く、上記認定の本件事故態様及び入通院加療の状況や症状に照らせば、Xの症状が上記のように長期化、重篤化したことは本件事故と相当因果関係のあるものと認めることはできない」と認定しました。

 第一審は、労働能力喪失率100%を認めた上で、80%の素因減額を行い、第二審は、喪失率は14%とした上で、素因減額はせず、治療費の一部については因果関係を否認した判断を行っております。

 金額的には第二審の方が少し小さくなりました。

2012年10月18日 (木)

【交通事故】 インプラント治療の損害認定に関する論点とその分析 交通事故判例速報No556号

 交通事故判例速報No556号で紹介された論文です。

 インプラントって、よく歯医者さんを訪ねるとその言葉が書かれたパンフレット等をみかけることがあります。

 インプラント治療とは、インプラント体を手術により顎骨に埋め込み、インプラント体表面と骨の結合を待って、その上に人工歯冠・上部構造をスクリューセメント、磁石などで装着する一連の治療をいいます。

 インプラント治療については、①インプラント治療の要否、②インプラント耐用年数と将来のメンテナンス代の要否、③素因減額の、3つがあります。

 まず、①の論点については、「口頭弁論終結時時点での現状を前提として、その状態で「咬む」という歯の主要機能が回復しているか否かで判断されるようである。インプラント治療以外の何らかの治療をして、咬むという点に関してその治療効果が発生している場合には、インプラント費用は認められにくく、他方、未治療の場合には、インプラントの必要・相当性が認められやすいと解説されています。

 次に、②の論点については、インプラントには一定の耐用年数が存在し、耐用年数を経過するごとに再手術が必要になること、その耐用年数が20年であることは、これを覆す有力な証拠や、歯科学会で新たな開発がなされない限り、現時点では固まった判断と解説されています。

 さらに、③の論点については、事故前から高度の歯周病に罹患していた場合には、70%の素因減額を認めた裁判例があるようです。

 余り接しない論点ですが、的確に処理できるよう知識として頭の隅においておきたいです。

2012年10月17日 (水)

【金融・企業法務】 不動産の取得時効の完成後、所有権移転登記がされることのないまま、第三者が原所有者から抵当権の設定を受けて抵当権設定登記を了した場合における、再度の取得時効の完成と上記抵当権の消長 最高裁平成24年3月16日判決

 金融法務事情No1955号(10月10日号)です。

 あれ、表紙や中の感じがかなり違ったように思いました。なんとなく、銀行法務21に少し近づいた感じで、逆に少し寂しく感じました。

 重要な最高裁判決がいくつか紹介されていました。

 その中でも、最高裁平成24年3月16日判決は、以前も紹介したような気がしますが、再度、自分の知識定着のため、紹介します。

 判決要旨は以下のとおりです。

 不動産の取得時効の完成後、所有権移転登記がされることがないまま、第三者が原所有者から抵当権の設定を受けて抵当権設定登記を了した場合において、

 上記不動産の時効取得者である占有者が、その後引き続き時効取得に必要な期間占有を継続し、その期間の経過後に取得時効を援用したときには、

 上記占有者が上記抵当権の存在を容認していたなど抵当権の消滅を妨げる特段の事情がない限り、

 上記占有者が上記不動産を時効取得する結果、上記抵当権は消滅する。

 以前のブログでも紹介したように、最高裁平成15年10月31日判決、つまり、取得時効の援用により不動産の所有権を取得してその旨の登記を有する者は、当該取得時効の完成後に設定された抵当権に対抗するため、その設定登記時を起算点とする再度の取得時効の完成を主張し、援用することができないとする最高裁判決との区別が必要となります。

 物件は、奄美大島のサトウキビ畑が問題となったようですが、なんか平和な感じがするのですが、最高裁まで係属したのだから、結構激しく対立したのでしょうか???

2012年10月16日 (火)

【労働・労災】 メンタルヘルス対策の手引 民事法研究会

 昨年5月に出版された人事・法務担当者のためのメンタルヘルス対策の手引きです。

 ものすごくわかりやすいです。

 推薦のことばにもあるように、メンタルヘルスの不調者に対する企業側の対応をQ&A方式でまとめ、さらに就業規則上の対策などに触れられた内容となっており、実務上めちゃ使えるのではないかと思われる本です。

 メンタルヘルスが不調と思われる社員がいる場合の一次的な対応として、設問を設定し、まずは、概要的な回答を示した上で、その解説を行い、さらには、弁護士からのアドバイスや豊富な書式を例示しているというのが、いいです。

 親弁の髙井伸夫先生によれば、「有能な弁護士の要件の1つの課題として、一貫して、単著を出版するように要請しておりました」と述べておられます。

 私自身、単著をあらわすことができるか?というと、否ですねえ。

 あっそうか、

 このブログは一応単著ですねえ~

2012年10月15日 (月)

【交通事故】 自賠責の満期切れも、任意保険会社の注意義務違反との主張を否認して、契約確認の付随義務はないと認定した事案 大阪地裁平成24年2月29日判決

 自保ジャーナルNo1878号(9月27日号)で紹介された裁判例です。

 任意保険には加入していたのですが、自賠責は切れていたという事案です。

 こんなケースってあるのかな?と思うのですが、例えば、公道を走らない車の場合には、自賠責が切れていたということも中にはあるようです。

 ただ、任意保険会社側に責任を問えるのか?というと、感覚的には非常に難しいような気がします。

 以下、判決要旨を紹介します。

 250CC自動二輪車で人身死亡事故を起こしたXが、甲任意保険会社とそのY代理店に自賠責保険の契約満期の確認及び更新手続きの確認義務があるとして、債務不履行等に基づき損害賠償請求をする事案について、運転免許を取得している者は、①自動車の運行供用者として、原告二輪車について自賠責保険契約が締結されているかを知っておくべきであったといえること、②本件任意保険契約がいわゆる上積み保険であるということを容易に理解できることに照らすと、原告の主張する認識であったとしても、原告の誤解に関する落ち度は大きく、原告の認識は結論に影響を及ぼさないというべきであるとして、原告の請求を棄却しました。

 任意保険で、対人無制限という言葉が誤解を与えることもあるようです。

 怖いですね。きちんと確認しましょう。

2012年10月14日 (日)

【金融・企業法務】 月刊監査役 10月号

 先日の商工会議所青年部の高松大会の途上のバス車内で、月刊監査役10月号を読みました。

 特に興味をひいた記事は、①優越的地位の濫用規制と下請法の概要、②会社役員賠償責任保険の最新動向と監査役への期待、③基本から学ぶ会社法(監査役・監査役会)でした。

 その中で、②会社役員賠償責任保険って、そもそも疑問視されていたことから、会社による役員責任の追及と、株主代表訴訟による役員責任の追及のいずれも、免責とされており、ただ、役員が保険料を一部負担する株主代表訴訟担保特約をもって、保護の対象に含めているということです。

 最近、監査役が会社を代表して役員の責任を追及するようなこともちらほらききますが、仮にD&D保険に入っていても、それは免責ということになりそうです。

 怖いですねえ~

 それと、③の基本から学ぶ会社法ですが、教科書では監査範囲が限定されない監査役の職責について述べられていることが大半ですが、今回の記事では、実務上多い監査範囲が限定されている監査役の職責についても頁をさいて論じられており参考になりました。

2012年10月13日 (土)

日本商工会議所青年部 第29回四国ブロック大会 高松大会に 参加いたしました。

 先日高松のサンポートで開催された日本商工会議所青年部の高松大会に参加してきました。

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 記念式典の前に、勢いのある太鼓が披露されていました。

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 記念式典の後は、記念講演ですが、松下政経塾の元副塾長の上甲さんという方の講演ですが、在りし日の松下幸之助さんのエピソードを軽妙な口調で講演していただき、松下幸之助さんのことをもっとよく知りたいなあと思い、フジグラン今治のツタヤに出かけてきました。

 また、第二分科会の、アジア太平洋盆栽水石高松大会から学ぶビジネス発展の秘訣も、参加者が少なかったですが、私自身は大変おもろしく感じました。

 さらに、日本を代表するような経営者の方のお話もきくことができて、大変刺激になりました。

 

2012年10月12日 (金)

こんなこともあるんだなあ?

 神戸新聞のニュースです。

 明石市は1日、4人いる顧問弁護士全員の委嘱を9月30日付で解消したと発表した。4人は自身も弁護士である泉房穂市長が人選したことや、うち1人に要綱で定めた金額に上乗せして弁護報償を支払っていたことに、市議会などから批判の声が上がっていた。市は“解任”の理由について「今春に職員として弁護士5人を採用しており、顧問に月額12万円の顧問料を支払う理由付けが乏しくなった」と説明している。

 同市では昨年5月の泉市長の就任以降、顧問弁護士を任期途中で次々と交代させた上、1人を増員。今年3~5月、うち1人の弁護報償に要綱の例外規定を3件連続で適用し、計227万円を上乗せしていた。

 この問題は9月25日に発覚。開会中の定例市議会で議員から「市長の背任行為に当たるのではないか」などの指摘が出たが、市は「上乗せした3件は難しい案件で、要綱の例外規定に該当する。支出額も旧大阪弁護士会基準の範囲内で問題はない」と説明していた。

 だが、市は問題が表面化した5日後、顧問全員の委嘱を解いた。市は「職員からの法律相談や簡易な訴訟を弁護士職員が扱うようになり、顧問弁護士への依頼が極端に減っていた」と背景を説明し「人選や支出に問題があったから解任したのではない」としている。

 今後は、専門性の高い法律相談や難しい訴訟など、弁護士職員が扱えない案件のみ外部の弁護士に依頼する。(森本尚樹)

 ・・・・・

 地方公共団体が弁護士職員を採用した場合、顧問弁護士は不要とばかり、首が切られてしまいました。確かに、弁護士職員がいれば、わざわざ顧問料を支払って外部の弁護士に委託をする必要はないように見えるかもしれません。

 とはいえ、完全に内部の職員になってしますと、外部の眼からみた大所高所のアドバイスをすることは難しくなりそうですが、弁護士職員が5名もいることを考えれば、コスト面を考慮すればそれは不要ということかもしれません。

 明石市は、顧問弁護士4人で、月額12万円かあ?

 人口30万円弱なので、結構頑張って出していたんだなあと思いました。

 ただ、弁護士職員5人の給料っていくらだろう???

 ネットで調べると、年700万円~900万円程度らしいけど、顧問弁護士に依頼する方が安いのではないかと思います。

 仮に、700万円とすれば、5人で、3500万円か

 これに弁護士会費を明石市負担となれば、すごい金額になりそうです。

 他方、顧問だと144万円で4人で、576万円か

 これじゃ、顧問弁護士の方がいいのではないか?と思いますね。

 明石市の市民は、弁護士職員が年収に見合った活動をしているのかどうか、検証していく必要があると思います。

2012年10月11日 (木)

【交通事故】 自転車搭乗中、乗用車と衝突の22歳男子は脳脊髄液減少症によるとの相当程度の疑いで、9級10号、10年間35%の労働能力喪失の後遺障害を認めた 横浜地裁平成24年7月31日判決(控訴)

 マスコミで報道された裁判です。自保ジャーナルNo1878号(9月27日号)で紹介されていました。

 裁判所は、原告の症状が、脳脊髄液減少症によるとの相当程度の疑いがあるとして、9級10号を認定しています。

 つまり、厚労省中間報告基準における画像診断基準は、脳神経外傷学会基準を作成した日本脳神経外傷学会を含め、複数の学会が了承・承認した基準であると認められ、中間報告の段階であるものの、現段階において重要な診断基準であると考えられる。

 原告の症状を厚労省中間報告基準に当てはめると、・・・原告が脳脊髄液減少症を発症したと確定的に認めることはできないものの、①B病院において起立性頭痛であると診断されていること、②厚労省中間報告基準における参考所見が複数みられること、③ブラッドパッチが一定程度効果があったことからすると、原告について、脳脊髄液減少症の疑いが相当程度あるということができるとしました。

 もっとも、原告の症状は、脳脊髄液減少症によるとの相当程度の疑いがあるものの、ブラッドパッチにより脳脊髄液の漏出が既に止まっている可能性がある。また、脳脊髄液減少症ではない可能性もあり、その意味では、原因が必ずしも明確ではないということができる。これらのことからすると、原告の症状は、改善の可能性もあり、逸失利益については、35%の労働能力喪失を10年間に限って認めるとしました。

 厚労省中間報告基準の内容が知りたかったのですが、自保ジャーナルには、別紙が略されていたので、よくわかりませんでした。

 脳脊髄液減少症については、否定する裁判例が多いものの、時折、肯定されるものも散見され、また、厚労省の方では、脳脊髄液減少症の研究を行っているということですので、その研究によっては、今後は、肯定される裁判例も増えてくるかもしれません。

2012年10月10日 (水)

【労働・労災】 従業員の欠勤が就業規則所定の懲戒事由である正当な理由のない無断欠勤に当たるとしてされた諭旨退職の懲戒処分が無効であるとされた事例 最高裁平成24年4月27日判決

 判例タイムズNo1376号(10月1日号)で紹介された最高裁平成24年4月27日判決です。

 最近増えている精神的な不調のある労働者に対する使用者の対応について問題となった事例です。

 第1審は、労働者敗訴、第2審及び最高裁は、労働者勝訴です。

 労働者Xのいう被害事実の概要は、「Xは、メイド喫茶のウェイトレスとの間でトラブルになったことがきっかけで、約3年間にわたり、加害者集団が雇った専門業者が協力者らにより日常生活を子細に監視されるようになった。盗撮や盗聴等の監視行為によって蓄積された情報は、インターネットの掲示板やメーリングリスト等を通じてXの見えないところで加害者集団に共有されており、加害者集団は、Yの従業員や見ず知らずの者を使って、Xに対し、『だから空気に魔法はつうじねーんだよ。』、『泣いてやんのー。』などのXに関する情報をほのめかし等による嫌がらせを行い、Xを威迫している。」などというものです。

 会社は、Xが有給休暇を全て取得し、約40日間にわたり欠勤を続けたことを理由に、諭旨退職としているのですが、これについて争われることになりました。

 最高裁は、精神的な不調のために欠勤を続けていると認められる労働者に対しては、精神的な不調が解消されない限り引き続き出勤しないことが予想されるところであるから、使用者である上告人としては、その欠勤の原因や経緯が上記のとおりである以上、精神科医による健康診断を実施するなどした上で、その診断結果等に応じて、必要な場合には治療を勧めた上で休職等の処分を検討し、その後の経過を見るなどの対応をとるべきでありと、会社の対応を非難しております。

 最高裁判決ですので、インパクトは大きく、精神的な不調をかかえる労働者への対応には、慎重さが必要です。

 

2012年10月 9日 (火)

【金融・企業法務】 株式譲渡契約上の表明保証条項違反による売主の損害賠償責任が認められた事例 平成24年1月27日付東京地裁判決

 判例時報No2156号(9月21日号)で紹介された東京地裁平成24年1月27日判決です。

 Y社が、コンサルとの間で関連会社の売却を依頼し、興味をもったX社は、同じコンサルトの間で、アドバイザリー契約を10月1日締結し、11月15日には、X社とY社との間で基本合意を締結、12月14日に、3億円を超える株式譲渡契約を締結したという事案です。

 株式譲渡契約書には、YがXに対して同日現在で、①Aが資産負債一覧表に記載されている負債を除き、企業会計の基準に従って財務諸表に反映することが要求される資産又は義務でAに悪影響を及ぼすものを負担していないこと、

 ②Aの事業活動に必要な車両、設備、機械及び備品その他の資産は全て良好に整備され、かつ良好な稼働状況にあることなどが真実かつ正確であること、

 ③A社の商品調達から販売までのビジネスシステムが株式買収後も機能し、事業継続を不可能にする事由は存在しないことなどを表明し、保証することを約し、違反があった場合には、契約締結後5年以内に請求されたものについては、弁護士費用を含む損害を賠償することを約する条項がありました。

 裁判所は、YがXに対する表明保証に違反したものとして、Yに賠償責任を認めましたが、実際に回収できているのでしょうか???

 基本合意締結前にはDDを実施していなかったようです。基本合意後のDDが不十分だったようですが、コンサルの調査の内容に触れられておらず、なぜこのような結果になってしまったのか経緯がよくわかりません。

 

2012年10月 8日 (月)

【交通事故】 自動車保険契約の人身傷害条項に基づく保険金請求においては損害賠償金が支払われているときでも、人身傷害補償基準により保険金額を算定すべきであるとされた事例

 判例時報の2156号(9月21日号)で紹介された大阪高裁平成24年6月7日判決です。

 損害賠償請求と人身傷害保険請求との関係については、頭を悩ませるところです。

 人身傷害保険金の受領が先行している場合には、裁判基準にて計算するのが一般的です。

 損害賠償金の受領が先行している場合には、議論があり、原審は、裁判基準説に立ち、約1830万円の支払いを認め、控訴審である大阪高裁は、人傷基準説に立ち、約1069万円に減額しました。

 これって怖いですよね~

 人身傷害保険金が絡んでいる場合には、先に、当該保険金を受領した方が、この控訴審の裁判例からいえば、とくです。

 感覚的におかしいです。

 最高裁で、どちらが先行しても結論が変わらないよう出して欲しいです。

 

2012年10月 7日 (日)

【倒産】 委託なき保証における事後求償権を自働債権とした相殺の効力に関する最高裁判決

 金融法務事情No1954号(9月25日号)で紹介された最高裁平成24年5月28日判決です。

 判決要旨は以下のとおりです。

① 保証人が主たる債務者の破産手続開始前にその委託を受けないで締結した保証契約に基づき同手続開始後に弁済した場合において、保証人が主たる債務者である破産者に対して取得する求償権は、破産債権である。

② 保証人が主たる債務者の破産手続開始前にその委託を受けないで締結した保証契約に基づき同手続開始後に弁済した場合において、保証人が取得する求償権を自働債権とし、主たる債務者である破産者が保証人に対して有する債権を受動債権とする相殺は、破産法72条1項の類推適用により許されない。

 余り考えたことのない論点ですが、「理論上、実務上大きな議論」になっていたようです。

2012年10月 6日 (土)

【金融・企業法務】 M&Aコンサルティングの実務 (中央経済社)

 平成24年9月1日に中央経済社から発行された、M&Aコンサルティングの実務という書籍を購入しました。

 M&Aコンサルタントを考えている方用の書籍ですが、これまでM&A絡みの書籍の中では、個人的にはこの書籍が一番よかったです。

 M&Aの中での、株式譲渡と事業譲渡に限定されての書籍ですが、書式も重要なものについては一通りそろっており、参考になりました。

 7章に区分され、①M&Aコンサルタントの具体的な業務内容、②M&Aコンサルタント業の立ち上げ方とその経営方法、③M&Aコンサルタントに必要な基本知識、④M&Aコンサルティング業務の具体的な実務手続、⑤M&Aコンサルティング業務の具体的な実務手順、⑥事業再生とM&Aビジネス、⑦グループ再編とM&Aビジネスです。

 私自身は、小規模なものであれば主体的にかかわることがありますが、大規模なものについては、契約書のチェックなどの場合にアドバイザー的にかかわる程度であり、M&Aコンサルを得意にしているわけではありませんが、著者の佐武公認会計士の智恵が凝縮した書籍であり、大変参考になりました。

 M&Aに興味のある方は、是非購入されたらいかがでしょうか?

2012年10月 5日 (金)

【金融・企業法務】 中小企業再生支援協議会と企業再生支援機構との統合を 金融法務事情No1954

 金融法務事情No1954号の法務ブログです。

 平成24年4月20日、内閣府、金融庁、中小企業庁の連名で、「中小企業金融円滑化法の最終延長を踏まえた中小企業の経営支援のための政策パッケージ」が発表されました。

 その中に、金融再生支援機構と、中小企業再生支援協議会の機能・連携の強化を謳っているが、解説者は、現状では、支援機構が地方銀行を訪問し、直接、案件の発掘を行っているのみであり、連携の仕組みはできあがっておらず、むしろ、連携よりも、統合が必要だと主張されています。

 現に、支援機構は、支援機構の最大の武器である出資、融資、債権買取りという機能を活用し、有効に機能しているとしつつも、支援協議会には、そのような葺きはなく、窮地に陥った企業の相談にのり、金融機関相互の調整を図っているのみであって、まさに竹槍で戦っているとまで言われていました。

 中小企業事業再生という分野にはあまり多くはかかわらないため、あまり詳しいことはわかりませんが、同じような目的を有する機関があっても仕方がないので、統合して両者を活用できるようにするのも、1つの方法かなと思いました。

 田舎弁護士には、支援機構よりも、支援協議会の方がまだ身近なのですが・・・・

 

2012年10月 4日 (木)

【金融・企業法務】 預貯金不正払戻しと金融機関の注意義務 金融法務事情1954号

 金融法務事情1954号(9月25日号)で紹介された「預貯金不正払戻しと金融機関の注意義務」という解説記事です。

 最近、ほとんど相談がなくなった預貯金不正払戻し事案ですが、それでも、全国的には一定数の裁判例が存在していることから、平成17年以降の下級審裁判例の動向を詳しくまとめた解説記事が紹介されていました。

 記事は、下級審裁判例の状況、印鑑照合上の注意義務、特段の事情、適切な確認措置、近時の裁判例に現れたいくつかの問題(①定期預金の期限前払戻しと金融機関の注意義務の加重、②内部規定違反と民法478条の過失・注意義務違反、③犯罪収益移転防止法の確認義務と民法478条の注意義務)、過失相殺、民法(債権関係)改正と民法478条というオーソドックスな順番で解説がなされています。

 結構量がある論文であり、最近はこの種の論点の論文はみかけないために、参考になるのではないかと思いました。

2012年10月 3日 (水)

【消費者法】 信託銀行が、信託契約に基づき貸金業者の貸金債権を譲り受け、その後も貸金業者に貸金債権を回収させていた場合に、その貸付債権について生じた過払金の返還義務を負わないと判断された事例 平成24年4月19日東京地裁判決

 判例時報No2157号(10月1日号)で紹介された東京地裁平成24年4月19日判決です。

 元々貸金業者はアエルだったのを、NYメロン信託銀行が、アエルとの間で信託契約を締結し、当該信託契約の受託者としてNYメロン銀行が、委託者としてのアエルから譲渡を受けた債権の管理及び回収を、アエルに委託するという、田舎弁護士からみると、奇妙なスキームをくんでいたところ、アエルが倒産してしまったため、アエルに発生した過払金債権をNYメロン銀行に法律上請求できないかということが、問題の所在だと思われます。

 このNYメロン銀行絡みは、高知の中村簡裁平成23年12月22日判決はNYメロンに過払金の支払いを命じていますが、今回の東京地裁判決は、請求を棄却しています。

 この事案は、信託絡みであるため、高度な法律知識も必要であり、同種事案がきた段階で勉強しようかな?と思っていましたが、最近では、過払金返還請求自体の相談が激減し、(-_-) な状態に陥っています。

 昨年までは毎月1回決めて20件程度提訴していたことが随分昔のように思えます。

 そのころはスタッフも午後8時ころまで残業も結構ありましたが、現在ではおかげさまで定時で帰っておられます。(^^;)

 ただ、田舎弁護士の裁判所でも、過払い事案は、テレビやラジオで宣伝している司法書士さんの名前を多くみますね。

 ということは、営業活動に努力されている事務所はそれなりに仕事がきているのかもしれません。

 無料法律相談会や派手な広告を出せば、まだまだご相談がくるのかもしれませんが、とはいえ、田舎では、勇気?がいりますね。

【金融・企業法務】 法令違反等事実又は不正の行為等が発覚した場合の監査役等の対応について 月刊監査役9月号

 月刊監査役9月号で、法令違反等事実又は不正の行為等が発覚した場合の監査役等の対応について、四大法律事務所の弁護士が解説されていました。

 金融商品取引法193条の3により、平成20年4月1日から、監査人は、財務書類の適正性の確保に影響を及ぼすおそれがある事実を発見したときは、①監査役に通知して被監査会社の自主的な是正措置を促し、それでもなお改善が図られないと考えるときは、②当該事項に関する意見を金融庁長官に申し出ることとされています。

 この記事は、万が一、監査人から金融商品取引法193条の3に基づく通知がされた場合の、慌てることがないように、いかなる対応をとる必要があるのかについて、理解するために作成されたものでした。

 ㈱セラーテムテクノロジーの案件、オリンパスの案件、春日電機㈱の案件を例にとって説明を加えています。

 また、日本公認会計士協会、日本監査役協会の指針を簡単に説明しています。日本監査役協会の指針の中に、外部専門家の意見聴取、社外監査役等との情報共有が挙げられていました。

 万が一のことがないよう、日々精進が必要ですね。

2012年10月 2日 (火)

【交通事故】 交通事故事件研究コース 後半

 続きです。

 ⑦衝突速度の推定は、本講座の中心的なテーマでもあります。

 まず、1次元衝突の場合と、2次元衝突の場合とでは、計算式が異なるため、注意が必要です。また、衝突速度が、20㎞/h程度までは、衝突後にある程度跳ね返ることがあるため、完全な塑性衝突にはならないために、「反発係数」を用いる必要があります。さらに、摩擦についても考える必要があります。転がり摩擦の係数として、何を用いるのかが裁判でも大きな争点となります。タイヤ痕についてもどのように考えたらいいのかを詳しく説明していただきました。なお、2次元衝突の議論は、難解なために省略されました。

 ⑧モラルリスクの研究、⑨受傷疑義事案の工学鑑定については、主として、むち打ち症例(但し不正請求という意味ではない)と、不自然衝突、転落事案について学びました。むちうち症例の場合には、シートベルトの着用、加速度の判断、ヘッドレストであるかどうかが、大切な視点となります。不自然衝突、転落については、自動車の3大機能である、走る機能、止まる機能、曲がる機能に着目して考える必要があります。

 ⑩はいままでの議論を参考に、事例研究を行い、最後に⑪シートベルトの構造・機能、ブレーキの構造・機能について学びました。

 純粋文系の田舎弁護士にとっては、技術的な話しが多くて、途中でそのまま眠ってしまいそうな箇所もありました。

 ただ、講義の後に、なんとか記憶に止めることができるよう、2回程見直しをしました。

2012年10月 1日 (月)

最近、弁護士の不祥事は続いております・・・・

 最近、弁護士の不祥事が続いており、大阪では、58期というまだまだ駆け出し弁護士に入るのではないか?という弁護士による、裁判所の書類の偽造というとんでもない事件が発生したようです。

 弁護士の数を急増してからというものの、老若男女を問わず、弁護士の不祥事を報道する新聞やニュースを読んだりみたりすることが増えたように思います。

 今回の容疑は、免責決定書を偽造ということですが、個人の破産手続というのは、比較的定型的な仕事であるために、申立てさえすれば、裁判所の方で、手続を進めてくれますので、訴訟や調停とは異なり、余り大きな負担はないことが多いです。

 そんな簡単な申立てをさぼって、免責決定書を偽造するなんて、なんて大胆なことをと思います。

 ただ、最近の若い弁護士さんの仕事ぶりをみると、あまり考えないで仕事をしているのか、些か荒いところが目に付くことがあります。新人弁護士さんには、やはり、ある程度経験の積んだ弁護士が手取り足取り教えてあげることが必要であると思うのですが、どうでしょうか?

 今回逮捕された弁護士は、被後見人の口座からお金を引き出していたということですから、こちらの方でも調査が進むにつれて、大変なことがわかるかもしれません。

 昔のように誰でも受けられる司法試験に戻して、合格者数を1000人程度にまで戻す必要があるのではないか?と思います。

 でなければ、早急にロースクールを統廃合して、全定員を1500人くらいにすべきではないかと思います。

 横領や偽造等の犯罪を構成する故意犯は、即刻除名か退会命令に処されるべきだと思います。

 弁護士に対する信頼を大きく傷つける行為であり、許せません!

 本当に、仕事がやりにくくなります。

【交通事故】 交通事故事件研究コース 前半

 さて、3日間に及んだ交通事故事件研究コースについて、自分の備忘録も兼ねて、少しその内容を紹介いたします。

 単元は、およそ13で構成されています。

 最初は、①自動車保険の現状と損調活動というテーマでした。損保の保険種目別収入保険料は、自動車と自賠責で半分以上占めている状態です。今治だと、海上保険も時折きいたりしますが、わずか2.5%に過ぎません。講義で特に印象に残ったのは、「自動車事故は、(衝突前、衝突中、衝突後の段階に生じる)3つの事象の組合せ」という言葉です。また、事故の発生要因としては、自動車が安全に走行するためには、人~車~環境という3要素が整っていることが必要であることから、人、車、環境という視点は、極めて大切という言葉でした。

 ②自動車事故の大局的分類として、正面衝突、追突衝突、逆突衝突、側面衝突、多重衝突に区分されており、各分類ごとにそれぞれ各種の問題点が生じうるということです。

 ③復元修理技法から見た評価損については、評価損発生原因についてはいろいろ言われているが、現在の高度な復元修理技法からみた場合には評価損は発生しないと言い切っているところが印象に残りました。査定協会の減価証明書や修理費の一定割合にての評価損の認定は、必ずしも合理性があるとは言えないということもわかりました。

 ④車体に現れる損傷の見方については、(1)一次元衝突か、二次元衝突かを区別して考える必要があること、(2)塑性衝突と弾性衝突の区別、(3)走行中の車両の運動、特に、ノーズダイブの仕組みについては、今まで余り考えたことがないため参考になりました。

 ⑤自動車の衝突からは、話しが理系的になるため、難しくなりました。車体の損傷状態から有効衝突速度を割り出すことが可能であること、また、エネルギー吸収図を利用しても有効衝突速度を割り出すことが可能であることを学びました。

 ⑥バリヤ衝突実験については、バリヤ試験場に出かけて実際に2台の車両が衝突させて、衝突速度などの推定が正しいかどうかの検証を行いました。

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