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2012年8月31日 (金)

【IT関連】 コンピューターシステムの開発において、ベンダーのユーザーに対するプロジェクトマネンジメント義務の違反が認められた事例 東京地裁平成24年3月29日判決

 金融法務事情No1952号(8月25日号)で紹介された東京地裁平成24年3月29日判決です。

 判決要旨は以下のとおりです。

 コンピューターシステムの開発において、

① ベンダーである本訴被告が、原告の銀行業務全般をつかさどる情報システムの開発を開始するにあたり、用いられるパッケージソフトウェアの機能や充実度、その適切な開発方法等についてあらかじめ十分に検証または検討したものとはいえないし、また、本件システム開発を遂行するに際し、適切な開発方法を採用したものということもできないこと

② 被告が、上記パッケージソフトウェアの改変権を有しているFIS社との間で協議をするなどしてそのカスタマイズ作業を適切に実施出来る体制を整えていたとはいえないこと

③ 被告が、上記パッケージソフトウェアの改変権を有していないことが本件システム開発において作業の阻害要因になりうること、上記パッケージソフトウェアを改変するために必要とされる役割分担、作業量・作業時間、費用等に関して被告とFIS社との間で十分な協議が整っていないことなどの事情について、被告がユーザーである原告に対してこれを説明してはいなかったこと

④ 被告が本訴原告との間で合意したサービスインの時期すらも遵守することができず、サービスインがそこから大幅に遅れる見通しとなってしまうこと

 などの判示の事情のもとでは、

 被告には、本件システム開発のベンダーとして適切にシステム開発を管理することなどを内容とするプロジェクトマネイジメント義務の違反がある。

 ものすごく分厚い判決書です・・・・・

 原告のスルガ銀行の代理人は、日比谷パークの先生方で、静岡の弁護士はおられないようです。

 訴額が115億円ですので、すごいです・・・・

2012年8月30日 (木)

【保険金】 最高裁、無保険車傷害保険金には遅延損害金を控除せずに自賠責保険金を充当、支払債務の遅延損害金利率は年6%と判決した

 自保ジャーナルの1876号(8月23日号)で紹介された最高裁平成24年4月27日判決です。

 判決要旨は以下のとおりです。

① 無保険車傷害保険金は、被害者等の被る損害の元本を填補するものであり、損害の元本に対する遅延損害金を填補するものではないと解されるから、本件約款に基づき被害者等に支払われるべき無保険車傷害保険金の額は、被害者等の被る損害の元本額から、被害者等に支払われた自賠責保険金等の金額を差し引くことにより算定すべきであり、自賠責保険金等のうち損害の元本に対する遅延損害金に充当された額を控除した残額を差し引くことにより算定すべきものとは解されないとしました。

② 無保険車傷害保険金の支払債務は、承認である被上告人との間で締結された保険契約に基づくものであるから、商行為によって生じた債務(商法514条)に当たるというべきであって、無保険車傷害保険金の支払請求が賠償義務者に対する損害賠償請求に代わる性質を有するとしても、そのことは、上記支払債務に係る遅延損害金の利率を賠償義務者に対する損害賠償請求の場合と同様に解すべき理由にはならない。したがって、無保険車傷害保険金の支払債務に係る遅延損害金の利率は、商事法定利率である年6分であると解するべきである。

 まあ、当たり前の結論の判例ですが、ようやく、最高裁判決が出ました。

2012年8月29日 (水)

【法律その他】 不作為を目的とする債務の間接強制の決定において、債務者がその不作為義務に違反するおそれがあるとされた事例 大阪高裁平成24年2月27日判決

 判例時報No2153号(8月21日号)で紹介された大阪高裁平成24年2月27日付け決定です。

 論点は、不作為を命ずる債務名義に基づいて間接強制決定を発令する要件として、債務者が不作為義務に現に違反していることの立証を要するか否かです。

 考え方ととしては、必要説と不要説との対立があり、必要説のなかでも、①違反行為のおそれを要件とする見解、②単なるおそれではなく、高度の蓋然性等を要求する見解、③違反のおそれは不要であるとする見解の、3説の対立がみられます。

 最高裁平成17年12月9日決定は、前記①説を採用しています。

 大阪高裁の決定も、最高裁平成17年12月9日決定を引用して、

 不作為を目的とする債務の強制執行として間接強制を決定するには、債務者がその不作為義務に違反するおそれがあることを立証すれば足り、この要件は高度の蓋然性や急迫性に裏付けられたものである必要はないと判示した上、

 Yは別件訴訟において本件条項は消費者契約法に違反するもののではないと正当性を主張して争い、報道機関に対しても同様の見解を表明していたが、別件訴訟確定後には判決に対する対応等に関して見解を表明しておらず、判決前と格別の状況の変化がないことに照らすと、前記不作為債務に違反するおそれがあると認めるのが相当であるとして、抗告を棄却しました。

 

2012年8月28日 (火)

専門弁護士制度の創設

 日弁連が、①離婚・親権、②相続・遺言、③交通事故、④医療過誤、⑤労働問題の5つの分野で、専門弁護士制度を創設することを検討しているようです。

 私の感覚からいえば、①離婚・親権、②相続・遺言、③交通事故については、どんな弁護士であっても、専門でなければならないような分野であり、このような分野で専門弁護士を作るのはナンセンスと思います。

 医療過誤、建築瑕疵、知的財産、税務などについては、大凡の弁護士が、専門分野認定してもよいと思っているのではないかと思いますが、前記①から③は、ナンセンスだと思っているのではないかと思います。

 労働問題については、労災認定については専門分野を創設していいかもしれませんが、それ以外は、どうなんかな?と思います。

 専門弁護士となるためには、3年以上の実務経験、3年間で10件以上の処理件数、日弁連の研修受講という条件をみたす必要がありますが、これだと、駆け出し弁護士は、専門弁護士たり得ず、また、地方の弁護士にとっても、特定の分野について3年間10件以上の処理というのは結構ハードルが高いのではないかとも思われます。

 専門分野の策定にあたっては、再検討が必要であると思います。

2012年8月27日 (月)

【労働・労災】 ビジネスガイド (日本法令)

 日本法令から、社会保険労務士さん用の法律実務誌として、「ビジネスガイド」という書籍が出版されています。

 ビジネスガイド2011・10月号は、(1)特集として、合同労組・ユニオン(①要求の内容にみる新しい傾向と対処法、②関与事例に学ぶ行動&戦略パターン)のほか、(2)現場で使える内容証明のテクニック(会社が従業員に対して各種請求をする場合の通知)などが参考になりました。

 2011・12月号は、(1)特集として、企業による従業員の管理(①事業場外労働みなし制の適用をめぐる企業の誤解と実務対応、②従業員に対する情報収集、監視の限界と実務上の留意点、③労働者の健康管理のための健診データ入手開示要請と規定の仕方)のほか、(2)就業規則・社内規程「問題となった一条」(退職者の競業行為をめぐるトラブル)などが参考になりました。

 2012・1月号は、(1)特集として、能力不足社員への指導書注意書の作成方法と退職勧奨までの留意点のほか、(2)裁判例をふまえた低額残業代未消化部分の翌月以降への繰越しの実務、(3)従業員の自転車通勤リスクへの対応と社内規程の定め方、(4)就業規則社内規程「問題となった一条」(降格・降給をめぐるトラブル)などが参考になりました。

 とくに最近は、残業代請求のほか、能力不足社員への対応について、企業者サイドから相談を受けることが多くなりました。

 数年前までは、年に、1、2件の相談程度だったと思いますが、今は、毎月1,2件の相談程度にまで増加しているような印象を抱いております。

 相談事案も、従来の、残業代、退職金から、セクハラ、パワハラ、配転、退職勧奨、解雇など多種に及んでいるように思われます。

 弁護士って、対応する分野が広いため、大変です。

2012年8月26日 (日)

【倒産】 破産者の加入した生命共済の入院特約に基づく共済金請求権は破産財団に属する財産であるとして、破産管財人による共済金請求が認容された事例 札幌地裁平成24年3月29日判決

 判例時報No2152号(8月11日号)で紹介された裁判例です。

 平成22年12月17日に破産手続開始決定を受けた事案ですが、平成23年1月19日から2月22日までの35日間、破産者が入院したことにより、約24万円程度の疾病入院共済金が発生したところ、破産管財人が共済に対して共済金の請求をしたところ、共済が破産財団を構成しないものとして、支払いを拒絶したという事案です。

 裁判所は、共済金は、破産財団に属するものと認め、破産管財人を勝たせました。

 ただ、わずか24万円程度の共済金ですよね~ しかも、実際にも入院しています。これって、破産者に代理人がついていれば、自由財産拡張の申立てを促すのではないかと思われる事案です。

 理屈はともかく、何か釈然としません。自由財産拡張不相当な事案だったんでしょうか?

 なお、札幌地裁の理屈は以下のとおりです。

 破産手続開始前に締結された保険契約に基づく抽象的保険請求権は、破産法34条2項の「破産者が破産手続開始前に生じた原因に基づいて行うことがある将来の請求権」として、破産手続開始決定により、破産財団に属する財産になるものと解するのが相当である

 本件共済契約も保険契約の一種であると解されるから、上述したところが本件共済契約にもあてはまるものと解するべきであるなどと判断して、管財人の請求を認めました。

  

2012年8月25日 (土)

業務広告に関する指針

 平成24年3月15日から実施されている「業務広告に関する指針」が8月号の自由と正義で紹介されていました。

 規制される広告として、注意しなければならないのは、実体が伴わない団体又は組織の表示ですが、例えば、これからメンバーを集めて組織しようとしているような場合には、「・・・準備会」等と正確に表示する必要があります。

 また、多分、今でもよく見られていると思われますが、「○○交通事故相談センター」、「○○遺言相談センター」という表示は、アウトです。

 さらに、専門分野という表示は「差し控えるのが望ましい」とされています。スペシャリスト、プロ、エキスパート等も、好ましくないようです。でも、プロ、スペシャリスト、匠という表示は時折見かけますよね。

 得意分野はOkですが、虚偽はダメよということです。

 「信頼性抜群」、「顧客満足度」も、文脈によっては問題となります。

 顧問先や依頼者の表示も、書面による同意がある場合を除き、アウトです。

 事務所報を送るときでも、封筒等に「事務所報在中」の表示が必要となります。

 全体として、広告規制については厳しい規制がかけられていますが、違反すると、懲戒になりかねないので注意が必要ですね。

2012年8月24日 (金)

【弁護士研修】 TAC ゼロから始まる決算書

 TACの「ゼロから始まる決算書」の履修が終わりました。

 経営財務プロフェッショナル養成講座という内容の講座の1つですが、レベル的には、初心者向けの内容で、ある程度学習が進んでいる?私自身にとっては物足りなさを感じましたが、司法修習生、或いは、新人弁護士にとっては、損益計算書と貸借対照表の、見方、読み方を講義されていることから、是非とも学習しておくべき講座の1つだと思いました。

 弁護士になるための科目には、法律科目しか現在はないため、会計学の知識を有している弁護士は少ないです(私が大学生のころまでは、教養科目として会計学がありましたが。ちなみに私が政治学を選択していました。)。

 実現主義の原則、発生主義の原則、費用収益対応の原則等の基本的な企業会計原則も、弁護士にとっては余り馴染みがありません。

 また、資産・負債の流動と固定の分類基準である、「正常営業循環基準」、「1年基準」という基準も、さらに、資産の評価についての、取得原価主義、時価主義も、同様です。

 司法修習生のうちに、学習しておれば良かったなあと思いました。

2012年8月23日 (木)

【金融・企業法務】 投資信託の販売・勧誘に関し、金融機関側の適合性原則違反に基づく損害賠償請求を認容しつつ、過失相殺8割を認めた事例 東京地裁平成23年8月2日判決

 金融法務事情の1951号(8月10日号)で紹介された東京地裁平成23年8月2日判決です。

 判決要旨は以下のとおりです。

 被告が原告に本件投資信託を勧誘したことは、適合性原則に違反し、不法行為を構成する

 が、被告が投資信託以外の金融商品も原告に紹介したこと、

 原告が本件投資信託を購入した当時80歳と高齢ではあったものの健康状態にとくに異常はなく相応の判断能力を有していたこと、

 原告は本件投資信託のリスクについて不十分ながらも一定の理解をしていたものと認められること

 本件投資信託の購入にあたり原告が同居家族に相談する機会も十分にあったこと

 原告は日経平均株価が3年間に30%以上も下落することはないであろうと安易に考えていたこと

 を考慮されて、原告の過失を80%とされてしまいました。

 なんか、かなり大きな過失ですねえ~

高名な刑事法学者の記事に、びっくり?

 高名な刑事法学者の先生が書かれた、海外の刑事法に絡む内容の記事が、毎回、紹介されていましたが、今回の記事にはびっくりしました。

 「弁護士会による取り調べ」と題して、横浜弁護士会を激しく非難されている記事が紹介されていたからです。

 「筆者の体験によれば、検察よりもひどいのは、警察である。そして、警察よりもひどいのは、弁護士会である。」

 「横弁の保守的体質、中でも『長』と名の付く役職者のウソつき、威張り体質に遭遇して、いじめられた」

 「横弁会長というのは、このように筋道の分からない者がなっているのか!」

 「数年後、かの刑弁委員長は、横弁会長に選出された。・・弁護士をやっつけた功績が認められたのであろうか。」

 どうやら、被告人が国選弁護人の弁護活動に不満を抱いて、横浜弁護士会に、国選弁護人の弁護士に対して処分を求めたところ、その処分が通ったことに対する横浜弁護士会に対して激高されてしまったようです。

 先生が接見に来てくれなかったことや、被告人の親族から金員を受領したことを理由に、横浜弁護士会から、国選弁護人等の資格を永久に停止するとの処分を受けてしまったようです。

 先生は、被告人との接見には、6回応じている、親族との面会も5回ほど対応している、被告人の親族から金員を受け取ったが3日後に現金書留で返金しているなどと反論されておられます。

 先生の反論からすれば、被告人のクレームについては、明らかに不当なものだと思われますので、何故、横浜弁護士会で、先生を処分するような結果になったのか、よくわかりません。

 ただ、国選事件の被疑者、被告人の中には、後から国選弁護人にいろいろクレームをつけてくる方もおられます。国選弁護の依頼を受ける際には、私は、常に、懲戒申立て等のリスクを考えながら、被疑者・被告人に対応するようにしていました。

 内容が先生からのものだけなので、先生が判例時報で公表してしまっている以上、横浜弁護士会の方でも、記事に対して反論していただけると、実務の参考になるのですが・・・

  

2012年8月22日 (水)

【金融・企業法務】 無職で1人暮らしの女性に対し変額個人年金保険、仕組債、株式投資信託、外貨預金を勧誘・販売した銀行等の不法行為責任(適合性原則違反)が否定された事例 福岡地裁平成23年11月8日判決

 金融法務事情No1951号(8月10日号)で紹介された福岡地裁平成23年11月8日判決です。

 「無職で一人暮らしの女性」・・・とくると、銀行もこんな方にリスク商品を売らなくてもと単純に考えてしまいましたが、判決文を読むと、原告の属性や投資意向に照らせば、適合性原則違反とまで認定するのは難しそうな事案でした。

 判決要旨を紹介いたします。

 金融機関の担当者が顧客の意向と実情に反して、明らかに過大な危険を伴う取引を積極的に勧誘するなど、適合性の原則から著しく逸脱した金融取引の勧誘をしてこれを行わせたときは、当該行為は違法となり、金融機関は顧客に対し損害賠償責任を負うことになるところ、

 本件において、原告の属性や投資意向に照らせば、原告に変額年金保険、仕組債、株式投資信託、外貨預金を勧誘することが適合性原則に反するとはいえず、

 また、1年の間に1億7000万をこれらに集中投資させた点についても、投資信託・外貨預金は換金が容易であることおよび変額年金保険については10年後に元本の90%の受取が保証されていることに鑑みれば、適合性原則に違反するとはいえない

 控訴されているようですので、結果が変わるのか関心があります。

2012年8月21日 (火)

【交通事故】 人身傷害補償保険の賠償先行払い事案では訴訟基準差額説は採用できないと判決された事例 大阪高裁平成24年6月7日判決 (上告受理申立て中)

 自保ジャーナルNo1875号で紹介された裁判例です。

 簡単に述べると、本件は、被害者が加害者からの賠償を受領した場合に、保険会社が支払うべき人身傷害補償保険金の金額について争われた事案です。

 人身傷害補償保険金を支払った保険会社が加害者に保険代位する場面(人傷先行払い事案)においては、最高裁平成24年2月20日判決が、訴訟基準差額説を採用して、決着をみております。

 問題は、今回のように、被害者が、加害者から損害賠償金の支払いを受けた後に、人身傷害補償保険金を請求した事案(賠償先行払い事案)については、訴訟基準差額説、約款の計算規定によるべきだとする説などの対立があるようです。

 第一審は、訴訟基準差額説を採用し、第二審は、約款の計算によるべきだとする説を採用しています。

 第二審判決は、人傷約款第9条は、「控訴人が保険金を支払うべき損害の額は、人傷損害額算定基準に従い算出した金額の合計額」と明記し、第11条は、「保険金の額は、上記9条の額から自賠責保険支払額、任意保険支払額、賠償金支払額、労災補償給付額等の合計額を差し引いた額」と明記していて、そのどこにも、「保険金請求権者の権利を害さない範囲」などという文言は記載されていないのであるとして、被控訴人らが主張する訴訟基準差額説は、約款の解釈論としてはおよそ採用する余地のないと判断しています。

 単純な思考回路しかない私は、平成24年最高裁判決により、賠償先行払い事案も、第一審と同じく、訴訟基準差額説によるものだろうと考えていましたが、現実はそんなに単純なものではないようです。

 ただ、そうすだとすれば、人傷特約が付保されている場合には、どちらの支払いを先行させるのかを検討せざるを得ないことになります。幸いなことに、私が関与している損保は訴訟になった場合には、訴訟基準差額説をとってくれているために、余り考える必要はないのですが、保険会社によってはそうでもないようなので、気を付ける必要があります。

 とはいえ、各社の人傷の約款基準まで熟知している弁護士は、100人いれば、いったい何人いるのだろうか?

2012年8月20日 (月)

【交通事故】 バス車内での有職女子の受傷事故には申告の一貫性、整合性等なく被告の過失での受傷が認められず請求を棄却した 京都地裁平成23年6月17日判決

 自保ジャーナルNo1875号(8月9日号)で紹介された京都地裁平成2年6月17日判決です。

 バスの車内での受傷事故というのは、まれに聞くことがありますが、今回の自保ジャーナルは、本判決の他、参考判決として3ケースが紹介されており、実務上参考になります。

 判決要旨は以下のとおりです。

 バス乗客の車内事故につき、「右肩の傷害を負った負ったものと認められる」として労災保険は適用され、自賠責は「運行によって」の点で非該当としている事案につき、事故から約2週間後の初受診であり、「原告の申告等は一貫性がなく、また不合理であるなど信用性に乏しく、結局、受傷機転は証拠上確定できず、少なくとも被告の過失により原告が負傷したものと認めることはできないというべきである」として、請求を棄却しました。

 労災保険では因果関係を認め、自賠責は因果関係が否定されているという事案だったようです。

 バス乗客の車内事故での過失が争われたケースとして、3ケースが紹介されています。

 大阪地裁平成8年11月18日判決

 市営バスが急ブレーキをかけたため車内で佇立していた被害者が転倒し受傷した事案で、被害者が手摺りをしっかりと持ってさえいれば生じなかった可能性が否定できないものと、被害者に3割の過失相殺を認めました。

 名古屋地裁平成16年12月8日判決

 バスが急停車したため、横向き座席に座っていた被害者が座席から放り出されて転倒、受傷した事案につき、被害者は座席に自然な体勢で腰掛け、膝掛けを軽くつかんでいたこと、急停止によって他の乗客も転倒したことなど、被害者の過失相殺を否定しました。

 大阪地裁平成22年6月21日判決

 バス乗車時の急発進による受傷での過失相殺につき、「乗客も、乗り合いバスに乗車するにあたり、たとえば発進することが予想される状況においては、可能な限り速やかに手摺りを持ち、または空席に着席するなどして、バスの発進による揺れ等から自らを守る努力をすることも必要である」の被告主張につき、的確な証拠がなく、原告への過失割合はないと認定しました。

 今回の京都地裁判決は、「バスの乗客は車内で合理的理由があって立っているときも、急停車や急転把等に備えて吊革や安全棒等につかむなどして自己の安全を確保することが期待されることも考慮すると、被告が、幅員の狭い対面通行の道路で対向車との離合のため停留場の直前でわずかに制動を緩めることが、原告に対する関係で過失による違法行為となることはできない」と述べています。

 バス乗客の事案の場合には、大いに参考になりうる判決ですね。

2012年8月19日 (日)

【交通事故】 軽快していたパニック障害が本件事故で悪化、14級後遺障害を認め、4割の素因減額を適用された事例 仙台地裁平成24年2月20日判決

 自保ジャーナルNo1875号(8月9日号)で紹介された仙台地裁平成24年2月20日判決です。

 判決要旨は、以下のとおりです。

1 乗用車を運転中、路外から進入してきた被告普通貨物車に衝突されてパニック障害の後遺障害を残したとする2児の母・有職の原告につき、

 「原告は、本件事故による後遺障害につき障害等級併合14級の認定を受けたほか、パニック障害の症状を悪化させており、その内容、症状、診療の経過等に加え、原告が本件事故により悪化したパニック障害の症状により、精神障害者保健福祉手帳2級の認定を受けたことを踏まえつつ、家事労働の性質等に照らして考えると、本件事故による労働能力の喪失割合は、障害等級14級の労働能力喪失率5%と同等のもので、労働能力喪失期間は7年と認める」と認定しました。

2 「原告のパニック障害については、本件事故後に悪化していることから、本件事故が原因となっていると認められるが、

 一般に、交通事故によりパニック障害の症状を呈するに至るのが通常であるとは認めがたく、

 原告が、平成19年2月にもパニック障害により、病院を受診し、治療を受けており、その症状は本件事故より10年以上前から現れていたことが窺われることなどに鑑みると、

 パニック障害については、原告の本件事故前からの疾患に起因する部分が相当程度あるといえることから、

 過失相殺の規定の類推適用又は損害の公平な分担の見地からする素因減額として、認定した損害から4割を減額するのが相当である」と認定しました。

 約1000万円弱の請求に対して、約100万円強の認容です。

 弁護士費用特約がなければなかなか引き受けるのが難しそうな事案です。

2012年8月18日 (土)

【交通事故】 受傷直後に意識障害なく4年後には米国留学して通訳もできるまでの学習等から高次脳機能障害を否認して14級9号認定した事案

 自保ジャーナルNo1875号(8月9日号)で紹介された東京地裁平成24年4月17日判決です。

 原告の主張によれば、「原告は、本件事故により、高次脳機能障害を残し、平成19年7月24日に症状が固定した。原告は、本件事故により、それ以前の記憶の大部分を喪失したままであり、人格も変容したほか、認知障害、健忘症、運動障害等があるため、就労することは不可能であることから、労働能力喪失の程度は100%であり、原告のこのような後遺障害は、後遺障害等級表第3級に該当する」とされています。

 これに対して、裁判所は、事故前は、「実用英語検定3級を有する程度であったが、本件事故後、英会話学校に通い、平成18年4月から米国に留学して語学学校に通い、英語での意思疎通ができるようになり、アラブ首長国連邦での母の仕事に同行して通訳もしており、本件事故後、語学という新たな知識を学習することができている。また、原告は、米国留学中の約2年間は、知人から生活の援助を受けていたとはいえ、基本的に1人で生活をしていたことが認められる」等から、「本件事故により原告が脳の器質的損傷を負い、これに基づいて高次脳機能障害の各種症状が発症したと認定することは困難である。」と認定しました。

 この認定事実を前提とするならば、そもそも労働能力喪失の程度100%という原告の主張は、無理筋ではないかと思われます。

 なお、本判決には、MTBI絡みの判示もあります。

 「軽症頭部外傷(頭部に何らかの外力が加わった事故のうち軽度なもの)後に1年以上回復せず遷延する症状については、それがWHOの診断基準を満たすMTBIとされる場合であっても、それのみで高次脳機能障害と評価することは適切ではない。ただし、軽症頭部外傷後に脳の器質的損傷が発生する可能性を完全に否定することまではできない。したがって、このような事案における高次脳機能障害の判断は、症状の経過、検査所見等も併せ慎重に検討されるべきである。

 また、現時点では、技術的限界から、微細な組織損傷を発見しうる画像資料等はないことから、仮に、拡散テンソル画像やPET等の検査所見で正常値からの隔たりが検出されたとしても、その所見のみでは、脳の器質的損傷が症状の原因となっていると診断することはできない。」

 1億2000万円を超える請求を加害者に対してされていますが、裁判所は、200万円弱の損害しか認めませんでした。

 控訴されているようです。

2012年8月17日 (金)

【労働・労災】 労働事件を担当する実務家には必携の1冊

 以前のブログ記事でも紹介いたしましたが、判例タイムズNo1373号に、判例タイムズ社からでている「労働事件審理ノート」(第三版)の書評記事が紹介されていました。

 書評を書かれたのは京都地裁の裁判官ですが、結構洒脱な感じで読んでいておもしろい書評でした。

 改訂版と変更された大きな点は、①新たに労働災害事件という類型が取り上げられたこと、②平成20年3月1日から施行された労働契約法や労働基準法等法令の制定・改正に伴う記載の変更、③改訂版以降の裁判例・文献のフォローアップです。

 書評はさらりと読めますので、読んでみて下さい。

2012年8月16日 (木)

【行政】 町立中学校のグランド内の鉄棒で前回りした際、鉄棒が支柱から外れ落ちて落下した者が、事故後12年を経て後遺障害が発症したことについて、町の損害賠償責任が認められた事例 札幌地裁平成23年7月27日判決

 判例タイムズNo1373号(8月15日号)で紹介された札幌地裁平成23年7月27日判決です。

 事故は平成4年7月に発生し、平成5年6月にXとY町は後遺障害を含んだ示談(但し、協議義務あり)を成立させ約528万円を支払っています。

 平成16年ころから、Xの両手にしびれが出て、これが徐々に拡がり強くなったことから、平成21年2月、札幌医科大学附属病院で受診し、同年5月8日、椎弓形成術を受け、黄色靱帯の肥厚部分を除去したものの、同年10月28日、両手指のしびれ等の症状が固定したと診断されました。

 この事案の最大の争点は、やはり、事故と後遺障害との因果関係ですが、裁判所は、「神経症状を生じさせたと思われる黄色靱帯の肥厚が本件事故後に釧路労災病院で受けた頚椎後方固定術の隣接椎間に生じ、他の部位の加齢性変化と乖離していることから、上記の神経症状は、本件事故後に頚椎後方固定術を受けたことによるものであり、本件事故と相当因果関係を有するものであると認められる。」と判断しています。

 交通事故事案においても、頚椎後方固定術の施術はきくことがあります。

 原告の主張によれば、「事故後に釧路労災病院で頚椎後方固定術を受け、その影響で固定部と隣接したレベルで黄色靱帯が肥厚し、硬膜管を圧迫したことにより出現し、椎弓形成術を受けた際に黄色靱帯の肥厚部分を概ね切除しても、軽快しなかったものであるから、本件事故と因果関係のある後遺障害である」と説明されています。

 医学には専門外なので誰か説明して欲しいです。

 なお、原告の代理人の先生の一人は、ブロガーとしても有名な方です。

 

2012年8月15日 (水)

【行政】 許可を得ないで港湾施設を使用している者に対する使用料賦課処分は無効であるとされた事例

 判例タイムズNo1373号(8月15日号)で紹介された那覇地裁平成22年9月29日判決です。

 判決は「文理解釈」を厳格に貫きましたが、結論として、かなり妥当性を欠くのではないか?と思いました。

 即ち、那覇港管理組合港湾施設管理条例では、港湾施設を使用しようとするものは、管理者の許可を受けなければならない、港湾施設を使用する者は、使用料を納付しなければならないとされているところ、同一の法令の中で同一の表現がされている場合には、その意味内容は同一のものであると理解すべきであるから、使用料を納付する義務を負うものは、管理者の許可を受けて使用する者であると解するのが相当であると判断しました。

 しかし、微妙ですねえ。高裁に控訴されて、控訴後和解になっているようですので、この判決の先例的価値は高くはないのではないかと思います。

2012年8月14日 (火)

東北旅行に出かけてきました No2

 遠野では、駅の上にあるホテルに泊まりました。

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 駅に最も近いホテルですので、交通の便は最高でした。

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 常堅寺近くのカッパ淵です。懐かしいなあ~ 昔訪ねた時には、初代カッパおじさんから、「どこからきたんか」と言われて、話しかけられたのを思い出しました。カッパ渕自体は変わっていませんでしたが、道路は整備されたため、かえって、気持ちの上では少し遠野が遠くなった感じでした。

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 有名な常堅寺のかっぱの狛犬です。

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 遠野の後は、花巻の宮沢賢治の記念館や童話村などを訪ねました。

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 記念館からみた花巻市街の様子です。

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 雫石プリンスホテルからみた岩手山方面です。

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 小岩井農場では一日楽しめました。

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 平泉・毛越寺の庭園です。

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 平泉・金色堂です。世界遺産に登録されたこともあってか、以前以上の賑わいになっていました。

 閑話休題

 今回、東北旅行を旅して感じたのは、特に沿岸部では、津波の痕が今なお顕著に見られるということでした。原っぱのようになっているところ、今なお大規模な仮設住宅が存在していることなど、東北復活のためには、まだまだ支援が必要だなあと感じました。四国からだと、地震や津波も映像でしか見ないため、子どもたちは余り地震や津波の実感をもっていないように感じていましたが、現地にきてその傷跡が今なお癒えることなく、酷い有様になっていることをみて感じて、子どもたちも、私たちも、改めてその東北への支援の必要性を強く感じました。

 また、小さな子どもを連れているためか、東北の方々には逆に旅行中いろいろと大変親切にしていただきました。厚く御礼申し上げます。

 

2012年8月13日 (月)

東北旅行に出かけてきました。 No1

 先日、仙台、遠野、花巻、雫石、平泉を、巡る旅行にいきました。

 司法試験に合格する前年の平成7年の夏に友人と仙台、遠野等に旅行に出かけたのが最後なので、15年以上振りに今度は家族と一緒に出かけることにしました。

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 仙台空港です。津波が押し寄せる映像で有名になりました。

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 仙台はちょうど七夕祭りの最終日でした。「中央大学」「青山学院大学」の文字もあります。

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 仙台城の戦国武将隊の人たちです。神戸から平清盛も旅行にきていたようです。

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 いわずとしれた仙台のシンボル、伊達政宗公の銅像です。

2012年8月12日 (日)

【金融・企業法務】 再度の取得時効と抵当権の消長

 銀行法務21・8月号の判例解説で紹介された最高裁平成24年3月16日判決です。

 田舎弁護士の地方でもありそうな事案です。。。

 Aさんは、昭和45年3月、Xに土地を売却しました。Xは占有を開始したものの、所有権移転登記手続は行いませんでした。

 Aさんは昭和57年に死亡し、Aさんの子であるBが土地を相続を原因として相続登記を行いました。

 Bは、Yからお金を借りるために、昭和59年、昭和61年にYのために抵当権設定登記を行いました。

 Yは、平成18年9月、抵当権の実行としての競売を申立てました。

 Xは、競売の不許を求めて本件訴訟を提訴しました。

 

 Xは、昭和61年の抵当権設定登記時を起算点として本件土地の所有権を時効取得したと主張しました。最高裁昭和36年7月20日判決、即ち、第三者の登記後に占有者が引き続き時効取得に必要な期間占有を継続したときは、占有者は第三者に対し登記なしに時効取得を対抗しうるとした最高裁判決を援用していました。

 これに対して、Yは、最高裁平成15年10月31日判決を援用し、時効完成後に抵当権が設定された場合、その設定登記時を起算点として再度の取得時効を援用することはできないと反論していました。

 最高裁は以下のとおり判断しました。

 不動産の取得時効の完成後、所有権移転登記がされることのないまま、第三者が原所有者から抵当権の設定を受けて抵当権設定登記を了した場合において、上記不動産の時効取得者である占有者が、その後引き続き時効取得に必要な期間占有を継続したときは、

 上記占有者が上記抵当権の存在を容認していたなど抵当権の消滅をを妨げる特段の事情がない限り、

 上記占有者は、上記不動産を時効取得し、その結果、上記抵当権は消滅すると解する

 すなわち、Xさんを勝ちとしたわけです。

 平成15年最高裁判決の関係は、解説者は、事案と異にするという説明をしています。平成15年判決では、時効取得者が占有開始時を起算点とする時効の援用をし、移転登記を済ませ、確定的に所有権を取得していた。抵当権設定時に起算点とすることができたにもかかわらず、あえて占有開始時を起算点とする時効援用が行われている。時効援用後に起算点をずらすことは不可能であるため、再度の取得時効の完成の主張援用ができないと考えられる事案であったと説明されています。

 「実務上の留意点」として、解説者は、「抵当権者は、抵当権設定時に不動産の占有状態を調査確認する必要がある。抵当権設定後に取得時効が完成する自主占有者がいない状態で抵当権設定を受けるべきである。また、抵当権設定から10年が経過する前にも不動産の占有状態を調査確認しなければならない。このとき、自主占有者がいれば抵当権の消滅を防止するため、前述の手段をとることが必要となる。」

 

2012年8月 7日 (火)

【倒産】 否認権行使事案における支払不能・支払停止の認定

 銀行法務21・8月号で、否認権行使事案における支払不能・支払停止の認定についての高松高裁平成22年9月28日判決が紹介されていました。

 Y1銀行(7月19日)、Y2銀行(9月25日)、Y3銀行(9月29日)が、不動産についての根抵当権設定契約を締結登記したことについて、破産管財人が否認権を行使したという事案です。

 不動産について競売が開始され、Y1~Y3の配当表について、管財人が配当異議を提訴したというケースです。

 裁判所は、支払不能を9月28日と考えたため、Y1とY2に対する配当異議は認められませんでした。

 解説者によれば、「支払不能、支払停止の認定に関して、銀行と裁判所・破産管財人の間には感覚的なズレがあることは否めない。本件判決は、銀行側から見れば極めて妥当な判決であるが、事案によっては厳しい認定となることは十分あり得る。」と締めています。

 なお、解説には、「多額の貸付金が延滞となったからといって銀行は直ちに支払不能とは判断しないし、それは銀行貸付回収実務の常識といってよい。そもそも延滞イコール支払不能だとしたら、私的整理などはおよそ不可能ということになるであろうが、いわゆる倒産弁護士だからと言って、必ずしも金融常識があり貸付実務に詳しいとは限らない。貸付実務に疎い弁護士であれば、たとえば3~5億円の借入金が延滞になっていれば、それだけで支払不能と決めつけ、特段の事情を斟酌することは認めないということもあり得る。」、「貸付回収実務に疎い弁護士の場合は預金を拘束されたことによって倒産に追い込まれたといった破産者の主張を鵜呑みにしてしまうこともあり得よう。」、「支払停止は、実務では受任通知の時点と見られる場合が多い。本件破産管財人Xが、代表者が倒産を示唆する発言をした程度で支払停止があったと主張したのはいかにも無理筋であったと思われる。」と書かれています。

 なお、本件では、預金拘束等の違法性についても、優越的地位の濫用として争われていますが、裁判所は否定しています。

 なかなか難しいケースだと思いますが、感覚的には、破産管財人の気持ちもわかるなあ~

 貸付実務に疎い弁護士と言われそうですが。。。。

 

2012年8月 6日 (月)

【倒産】 民事再生手続開始の申立てが不当な目的でされたものとして民事再生法25条4号の再生申立棄却事由が認められた事例

 判例時報No2151号(平成24年8月1日号)で紹介された東京高裁平成24年3月9日決定です。

 通常の民事再生手続についての事案ですが、本決定は、本件申立ては、専ら担保権消滅許可制度を利用して物上保証をした第1順位の根抵当権の抹消をすることを目的とする再生手続開始の申立てであると評価・判断し、

 本来の目的から逸脱した濫用的な目的で行われた場合であることが明らかであるから、謙抑的な立場に立ったとしても、民事再生法25条4号に該当するというべきであると判断しました。

 通常の民事再生手続が、申立ての不当性により、開始決定が取り消されたケースは、私はあまり聞いたことがありません。

 平成17年10月25日に高松高裁が、再生手続開始申立てにおいて、申立ての1ヶ月前に取締役会において再生手続開始申立てを決議しながら、その後取引先から商品を仕入れるなどの取り込み詐欺的行為をした場合に、申立てを棄却された事例ぐらいです。

 ただ、この事例は私が監督委員として関与していた事例なので、この決定例が金融商事に載せられたときには些か恥ずかしい思いをしたことがあります。 

 給与所得者等の再生手続であれば、複数件、申立てを棄却したケースがあるようなので、今後実務上参考になる判例解説でした。

 

2012年8月 5日 (日)

愛媛弁護士会から、住宅紛争処理委員に選任されました。

 もう10年位やっているんじゃないかと思いますが、改めて、平成24年9月1日から同27年8月31日までの任期で、愛媛弁護士会から、「住宅紛争処理委員」に任命されました。任期は3年です。

 最近、事務所の業務としても建築絡みの事件も増えているため、住宅紛争処理委員に任命されて、1年に1回でも紛争処理委員実務研修等を受講できるのはありがたいです。

 また、住宅紛争処理委員としての仕事は余りありませんが、保険付き住宅の普及により、松山ではぼつぼつ増えているようなので、その時期、今治の案件の住宅紛争処理委員の仕事の依頼が弁護士会から度々舞い込むかもしれません(とはいっても、今治の事案だと、ハウスメーカーは個人的に知り合いの所が少なくないので、松山の事案の方がかえってやりやすいかも知れませんが・・・)。

 他方で、私は、今治市の建築審査会の審査委員(副会長)や、松山にある指定確認検査機関の法律顧問等もしており、そのために、昔から、建築絡みの事件はかなりの関心をもっていました。

 しかし、10年位前は、建築絡みの相談は年に1、2件程度ですが、最近は、月に1,2件というベースで増加傾向にあるように思います。数年前から保険付き住宅が当たり前になっていますので、今後は、どんどん相談が増えるものと思っています。

 適切に対応したいと思います。

2012年8月 4日 (土)

【労働・労災】 残業 (中央経済社)

 中央経済社から、今年の6月に出版されたばかりの「残業」という題名の書籍です。

 これも大阪のジュンク堂で購入していたのですが、なかなか読む機会がありませんでしたが、徳島主張の行き帰りに目を通しました。

 著者は労働者側の弁護士で、企業側(中小企業)の依頼が多い私には違和感を感じる部分も一部ありましたが、みなし労働時間、変形制の場合の残業時間、残業代の既払い部分など、参考になる部分も多かったです。

 既に1年前からご報告させていただいておりますが、最近、残業代等を巡るトラブルがこの地方でも増加している印象を抱いております。

 県外の弁護士にご依頼される方も多くなっております。

 また、弁護士だけではなく合同ユニオンに加盟して団体交渉を認めてこられる方もおられます。

 さらには、公的機関に申立てをされる方もおられます。

 経営者と労働者との賃金など労働条件に対する認識の差は大きなものがあります。雇ってやっている、働いてやっているでは、対立が深まるばかりです。

 途中は揉めても、最後はよりよい労使関係を構築できるよう役立てたらと思います。

 最後は、「残業なんてしない働き方の実現を」確立できたらと思います。

2012年8月 3日 (金)

【金融・企業法務】 下請企業の契約実務 (中央経済社)

 中央経済社から、2010年10月に出版された「下請企業の契約実務」という書籍です。

 積ん読状態でしたが、日弁連夏期研修のために徳島の行き帰りに読みました。

 項目は、①独禁法とは何か、②独占行為と独禁法、③カルテル・談合と独禁法、④不公正な販売方法、⑤販売先に対する不公正な行為、⑥販売経路の制限、⑦取引上の地位の利用、⑧販売地域・販売先・販売方法などの制限、⑨特殊な契約条項、⑩下請法の取引実務、⑪課徴金制度の拡大にわけて説明されています。

 この中では、下請法違反の契約条項についての説明が参考になりました。

 例えば、保証金制度って、下請法対象事業者に適用することは、下請法違反となります。

 でも、10年位前は、メーカーが保証金をとって継続的取引を継続させている契約書を見ることがありましたが、最近ではみかけません。こんな事情も背景にあるかも知れませんね。

2012年8月 2日 (木)

【流通】 中小企業のための独禁法・下請法

 大江橋法律事務所の長澤哲也弁護士による「中小企業のための独禁法・下請法」というテーマでの講演でした。

 例年、夏期研修のテーマについて、弁護士会からどんなテーマがいいのか?という質問書が届くのですが、商事法務から出ている「優越的地位濫用規制と下請法の解説と分析」(長澤弁護士)を読んでいたので、このテーマでこの先生にきて欲しいなあと思ったので、そのように書いたら、長澤先生を呼んでいただけました。また、サインまでいただきました。

 私自身は、優越的地位濫用規制に興味を持っていたのですが、今回は、さらに広げた解説になっています。

 自由競争阻害型の行為として、①不当な取引制限(カルテル・談合)、②再販売価格の拘束、③排他的取引、④取引拒絶、⑤不当廉売、また、事業活動の自由侵害型の行為として、①優越的地位濫用規制・下請法の趣旨、②被害回復手段、③当事者適格、④濫用行為の考え方、⑤約束反故型の濫用行為、⑥不利益取引強制型の濫用行為などについての解説がなされました。

 質問は、四国の経済法の第1人者である徳島のO先生が、フジオフードシステム事件との対比での質問がありました。

 私も、以前から悩んでいる相談、具体的には、今治は、タオルの一大生産地ですが、

 例えば、買主側の検収基準が厳しくてどれも不良品扱いとなり値段が下がってしまう、これは不当ではないかとか、

 或いは、年間計画表を示されてブランドのタオルを生産したところ、買主側は引き取ってくれない、どうすればいいか等とか、

 昔、父親がタオル会社を経営していた時に、ぶつぶつ言っていたことを質問したいなあと思っていました。

 20分位は質問の時間がとれるよう配慮していただけるとありがたいなあと思いました。

 それと、下請代金の減額についてですが、公正取引委員会は、親事業者に対して、減額分の下請代金を業者に返還の勧告を行いますが、一般的には1年から2年分くらいです。

 問題は、その後取引を解消した下請け事業者から、時効にかかっていない最大8年分の不当利得返還請求がありうるということです。

 長澤先生は、「勧告に基づく返還の時点で清算条項が入っていなければ、最大過去10年分の減額代金について不当利得返還請求を受けるリスク。」と明記して、注意を喚起されています。頭の隅に入れておく必要があります。

2012年8月 1日 (水)

平成24年度日弁連夏期研修(四国地区) ホテルクレメント徳島

 ホテルクレメント徳島で、平成24年度日弁連夏期研修がありました。

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 今回は、①医療側で活躍する弁護士から見た医事関係紛争、②中小企業のための独禁法・下請法、③日弁連との意見交換会(依頼者の身元確認及び記録保存等に関する規程の改正について)、④弁護士倫理の諸問題、⑤平成23年の民法家事事件手続法の改正というテーマでした。

 内容については後日紹介するとして、今回は、眉山に登ってきました。

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 ただ、眉山の上はあまり楽しめる施設はないように思いました。

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 眺望はいいです。99万ドルの夜景のようです。

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 それと、萌えなポスターがたくさんありました。新町という商店街がアニメが盛んなようです。

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