【流通】 全国最大規模のコンビニエンスストアのフランチャイジー(本部)が、その加盟店に対し、デイリー商品の販売の拘束を行ったとし、これによって加盟店は値下げ販売ができなくなり、破棄ロスを減らすことができなかったことを認定し、220万円の損害を相当とした判決
消費者法ニュースNo90(2012年1月)号で紹介された平成23年9月15日福岡地裁判決です。
消費者法ニュースの記事を一部引用します(同書P326)。
「本件は、加盟店が本部に対し、①デイリー商品の販売価格の拘束が不法行為に当たる、②説明義務違反(いわゆるコンビニ会計が特殊であり、ロイヤリティの算定に関する説明を怠ったこと)が債務不履行及び不法行為に当たる、③競合店を出店させたことが債務不履行及び不法行為に当たる、等と主張し損害賠償を請求したものである。
判旨要旨のとおり、①販売価格の拘束については、被告担当者が原告に対し値下げ販売をやめるよう強く指導し、それに応じない場合にはフランチャイズ契約の解除等の不利益な取扱を示唆した等の事実を認定して、その損害を認めた。
②の説明義務違反については、ロイヤリティ算定方法について、被告は明確に説明する義務を負うとし、義務違反を認定したものの、説明義務違反と損害との因果関係がないとされた。
③の競合店出店についても、一般論として、競合店の出店が、信義則に反するものとして債務不履行あるいは不法行為を構成する場合がありうることを判示している(本件では信義則に反しないものとされている)。
販売価格拘束の事実とその損害を認めた数少ない判決というだけでなく、フランチャイズ契約(特にコンビニエンスストア)におけるフランチャイジーの説明義務違反、競合店出店が違法となる可能性を認定した判決として、意義があるものといえる。」
なお、ロイヤリティー算定方法については、裁判所は以下のとおり、判示しています。
「被告方式においては、チャージ算定の基礎となる売上総利益の算出において、総売上原価から破棄ロス原価及び棚卸ロス原価が控除されるため、一般的な方式、すなわち売上総利益の算出において売上原価から破棄ロス原価及び棚卸原価を控除しない方式と比較して破棄ロス原価及び棚卸ロス原価に相当する額の分だけロイヤリティの額が高くなることについては、本件契約書から明確に読み取ることができず、加盟店となろうとする者が自らこのことを理解するのは容易でないといわざるを得ないから、被告としては、上記のように被告方式が一般的な売上総利益の算定方式とは異なることについて、加盟店となろうとする者が理解できるよう配慮する必要があるといえる。」
破棄ロス原価等を総売上原価から控除しているのは、加盟店に破棄ロス等を発生させないよう心理的に強制させようとしているのでしょうかね??
この事案は控訴されているのかな?
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