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2011年11月30日 (水)

【保険金】 盗難の外形的事実に関する保険金請求者の立証が不十分として保険金請求が棄却された事例 東京高裁平成23年5月23日判決

 交通事故判例速報のNo545号(交通春秋社)で紹介されていた裁判例です。

 いわゆる盗難保険事故についての裁判例ですが、「第三者がその場所から本件車両を持ち去ったことについて」の判決文は、間接事実の積み重ねがいかに大切なのかを学ばせていただきました。

① 本件資材置き場の状況

 本件車両が駐車されていたとされる場所は、近隣に人家がない場所で夜間は人通りもなく、ダイヤル式のチェーンにより出入口の扉を施錠する状態であったから、何らかの方法により開扉することが出来れば敷地内に進入し、本件車両を盗取することは可能であり、X代表者の自宅及び自宅付近の駐車場又は本件車両が本件盗難事故直前まで展示されていた展示場に比較して、盗難の危険性は大きい

② 防犯カメラと街宣車の存在

 本件車両は、敷地の外側からは視認が困難な位置に駐車されていた上に、本件資材置場には、侵入者に認識可能な状態でダミーの防犯カメラが設置されていたほか、不法侵入を阻止する目的で出入口の左側近くに容易に視認できる状況で街宣車が駐車されていたから、本件車両を盗取する意図を持った者が本件車両の存在を認識する可能性は低い

③ イモビライザーの標準装備

 本件車両にはイモビライザーが標準装備されていたから、本来は正規のキーがなければエンジンを始動させることができない。また、本件車両は、アメリカ製の大型SUV車でかなり目立つ車両であり、積載車や牽引車による搬出の可能性はあるが、高いとはいえない

④ 本件車両の引き揚げ理由

 X代表者は、特に理由もなく、本件車両を展示場から引き揚げ、あえて自宅から離れた遠方にあり、周囲に人家がなく、夜間は人通りも少なく、Xの従業員の立ち入りもほどんとなく、セキュリティシステムも切断している状況である本件資材置き場に駐車場所を変えたことは不可解である。とりわけ、セキュリティシステムを有償で設置しておきながら、このシステムを誤作動があるとして切っていた事は不合理極まりない。

⑤ Xの経済的事情

 Xは、本件盗難事故当時売上が漸減していたほか、本件車両のローン残を含め約8000万円の負債があり、X代表者個人にも住宅ローンが5000万円、自動車ローンが950万円合計6000万円の負債があり、Xには次期の仕事がないという状態であり、Xは、資金的に逼迫していた。

⑥ 本件車両の必要性

 X代表者は、展示場にて本件車両を値付け表示して展示しており、実際に買い手が現れた時には、本件車両を処分することを考えていた。また、X代表者は、本件盗難事故直前にクーガーを購入しており、本件車両を保有する必要性が減少していた。

 なお、参考裁判例として、東京高裁平成21年11月25日判決が紹介されていました。この裁判例は、いたずらによる損傷を保険事故とする保険金請求者がその外形的事実を主張した事案です。

 裁判例は、保険金請求者の動機、事故後の態度、行動経過、契約の継続期間、仕事、第三者の犯行可能性等の間接事実の積み重ねにより、保険金請求者の外形的事実に対する立証不十分として判断したものです。

 最近、このような事案の相談が多いので、勉強になりました。

2011年11月29日 (火)

【流通】 「しまむら」で床滑り転倒…570万円賠償命令 読売新聞

 読売新聞のインターネットニュースに気になるニュースがありました。

 このブログでも、時々紹介させていただいている店舗内での転倒事故についての裁判例です。

 ニュースが消えるといけませんので、一部引用します。

 「判決によると、女性は2009年7月24日、北九州市戸畑区の「ファッションセンターしまむら一枝店」を訪れ、入り口の自動ドア付近に置いてあった傘袋のスタンド近くで転倒し、右太ももを骨折。人工の骨で補強する手術を受け、後遺障害で右股関節が動かしにくくなった。

 女性は「転倒したのは床が雨水でぬれていたためで、傘袋スタンド付近に滑り止め用マットを敷くなどの事故防止策を怠った」と主張。同社は「自動ドアの外側などにマットを敷くなど対策を講じていた」と反論していた。

 岡田裁判官は女性の損害額を約1486万円としたうえで、「滑らかな床面で、滑りやすくなっていたことは原告も容易に推察できた」として過失割合は原告65%、被告35%と判断。弁護士費用を加えて賠償額を算定した。」

 傘袋スタンド付近は、雨が降ったら雨水でよくぬれます。mistまた、床も滑りやすい素材を使っていたようです。とはいえ、店側も、マットを敷くなどして対策を講じていたようです。sprinkle

 判決文の詳細が不明なため、コメントしにくいですが、傘袋スタンド付近には、滑りにくい素材を使うなどの配慮が必要なようです。

 小林組が作成された「転倒事故の傾向と施設の対策」はこのケースの問題を考えるに際して参考になります。

 この裁判例は、判例専門誌に登載される可能性があると思いますので、その時にまたコメントしたいと思います。

【金融・企業法務】 銀行の全店を対象にして、その中で差押対象預金の残高が1番多い店舗の預金を差押さえるという本件申立てが、差押債権の特定に欠けるものではないと判断された事例 東京高裁平成23年10月26日判決

 金融法務事情No1933(11月10日)号の判決速報です。

 全店差押えについては、最高裁平成23年9月20日判決がでて、難しいような感じになっていましたが、今回は、残高No1店舗についての差押えを認める平成23年10月26日東京高裁の決定が出て、消費者側の弁護士にとっては、歓迎すべき決定例となりました。

 裁判長は、あの加藤新太郎裁判官です。

 この事案をみると、第三債務者である各金融機関は、弁護士法23条の2に基づく照会について、回答をおこなっていなかったようです。

 サラ金業者の中には、確定した過払金債権を支払わない者も少なくなく、そのような不誠実な業者からどのように回収すべきかが大きな問題となっていました。

 金融実務家からは、今回の裁判例は消極的な指摘が強いようですが、消費者側の弁護士からすれば、「勝訴判決を得た債権者であっても、債務者の預金債権に対する強制執行を事実上断念させられる結果」(判決文)となり、毎回歯がゆい思いをさせられていました。

 弁護士会照会で回答を求めているのにかかわらず金融機関の方で債務者の口座を回答していないのだから、仕方がないのでは?と思います。

2011年11月28日 (月)

【金融・企業法務】 安曇野最高裁判決 平成23年10月27日判決

 金融法務事情No1933(11月10日)号で紹介された最高裁判決速報です。

 いわゆる安曇野判決の上告審の判断ですが、東京高裁平成22年8月30日は、安曇野市と金融機関が締結した損失補償契約は、財政援助制限法3条に違反し無効と判断して、補償債務支払のための出費の差止めを求める請求を認めたものです。

 最高裁は、請求自体は不適法として却下しつつも、付言で、損失補償契約については、財政援助制限法3条の規定の類推適用によって直ちに違法無効とはならない、損失補償契約の適法性及び有効性は地方自治法232条の2の規定に趣旨等に鑑み当該契約の締結に係る公益上の必要性に関する当該地方公共団体の執行機関の判断にその裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があったか否かによって決せられるべきものと判断しました。

 最高裁が付言するというのが珍しいですねえ・・・

 今後、下級審の裁判例でもはやるかも???

2011年11月27日 (日)

【金融・企業法務】 独占禁止法の知識と実務 (ぎょうせい)

 金融法務研究会例会で、独禁法の研修があったので、電車の行き帰りに、「弁護士専門研修講座 独占禁止法の知識と実務」(平成22年3月10日発行)を、読み返しました。

 特に、独占禁止法24条差止訴訟や課徴金制度関係、企業結合については、やはり、講義を受けているのとそうでないのとで理解が違うように思いました。

 本書では、公正取引委員会の立ち入り状況についても、具体的に書かれており、万が一の時には参考になります。

 電車の行き帰りで、1冊から2冊の書籍を読めるので、積ん読している状態の書籍を持参するようにしています。

2011年11月26日 (土)

【金融・企業法務】 金融機関と独占禁止法 No3 (第158回金融法務研究会例会)

 最後になりますが、今度は、企業結合規制についての解説がありました。

 紹介いただいた事案は、三菱東京+UFJ、みずほFG、中央三井+住友信託、三井住友+あいおい+ニッセイ同和/損保ジャパン+日本興亜 です。

 どのような視点で、許されない企業結合に該当するかどうか?の判断を知ることができ今後の業務?に役立ちそうです。

 セーフハーバーやHHIなんて、用語の意味自体余り理解しえていませんでしたが、今回、わかりやすいケースで説明していただきました。

 それ企業結合規制以外にも、景品表示法との関連、例えば、不当表示や、不当景品についても説明もありました。

 カルテル規制で、香川県学費システムカルテル事件(平成16年7月27日勧告審決)が紹介されていました。

 香川県内の学校等から学校諸経費を口座振替によって収納するシステム(学費システム)を、従前手数料をとっていなかったのに、手数料をとるようにしたという事案で、カルテルに該当するとして公取委から勧告を受けてしまいました。

 注意しないといけませんねえ。

2011年11月25日 (金)

【金融・企業法務】 金融機関と独占禁止法 No2 (第158回金融法務研究会例会)

 昨日のつづぎです。

 今度は、金融機関とカルテル規制についてです。

 欧州委員会の議論は、???なので、紹介しません(できません。)。

 まず、身近な中小企業金融円滑化法についての金融監督指針(平成21年12月)に、独占禁止法に留意するよう記載されたことです。

 例えば、「債務者が中小企業である場合」において、「独占禁止法違反行為とならないよう留意すること。主な留意点は以下のとおり。■金融機関(公庫等及び信用保証協会等を含む。)間で情報の確認を行うに際しては、個別の申込み案件毎に行う」等と記載されたことです。

 みんなで助けようということなので、カルテルにならないよう注意がついたということでしょうか。

 それとおもしろいなと思ったのは、カルテル規制になるかどうかの相談事例について、公正取引委員会のHPで公表されていることでした。

 ATM手数料引上げに関する相談事例、土曜有料化についての注意事案などです。

 最高裁平成17年9月13日判決(機械保険最高裁判決)は、課徴金の算定対象などを知る上で、参考になりました。

 課徴金については、課徴金減免制度(リニエンシー)が2006年から導入されているのですが、リニエンシーを怠ると株主代表訴訟が提訴されるリスクがあるために、注意が必要です。

 課徴金は近時高額化しており、平成23年7月強制捜査のベアリングは、市場希望が4000億円あるため、大きなものが予想されているようです。

2011年11月24日 (木)

【金融・企業法務】 金融機関と独占禁止法 No1 (第158回金融法務研究会例会)

 今回のテーマは、「金融機関と独占禁止法」です。講師の弁護士は、公正取引委員会にも所属された経歴のある4大法律事務所に所属されている方でした。

 東京地裁平成23年7月28日判決(東京スター銀行)を素材に、独占禁止法24条差止訴訟の概要について説明をしていただきました。

 原告(東京スター銀行)は、被告(三菱東京UFJ銀行)に対して、①被告は、CD発行枚数の10.9%(第2位)のシェアを有する、②ATM等役務提供市場(ATMの利用者を需要者とし、ATMサービスを提供し、利用手数料を得る市場)において被告は有力な事業者、③本件解約は、ゼロバンキング事業を行っていた原告を上記市場から排除するという独禁法上不当な目的を達成するために行われたもの、④原告のATM利用者が約2割減少、その他同様の応答拒否の申入れが行われている。 よって、公正競争阻害性を有すると主張されています。

 これに対して裁判所は要旨以下のとおり述べます。

 ①市場における有力な事業者が競争者を市場から排除するなど独占禁止法上不当な目的を達成するための手段として取引拒絶を行い、このため、相手方の事業活動が困難となるおそれが生じたというような場合 → 違法

 ②本件では、原告自身が有料化を模索していた。→被告が、原告をゼロバンキング事業から撤退させ、ATM等役務提供市場から排除する目的を有していたとはいえない

 ③銀行間利用料の支払額を抑制するには、銀行間利用料の引下げを求めるか、委託契約をとりやめるしかない

 以上から、被告が本件解約に至ったことには正当な理由がある。

 認容された独禁法24条差止訴訟は、平成23年3月30日のドライアイス事件仮処分(東京地裁)まで皆無だったようです。

 要件としては、著しい損害(関西国際空港新聞販売事件 「損害賠償請求が認められる場合より高度の違法性を有すること」)が必要とされていますが、実際の事案は、差止対象行為の存在がなかなか難しくてこちらの方で足きりにあっていたようです。

 いずれにしても、金融機関における独占禁止法リスクは、優越的地位の濫用にとどまらず、しかも、規制法規だけではなく、民事上の紛争解決手段として用いられる可能性を示唆しています。

2011年11月23日 (水)

ボーリングをしてきました

 フジグラン今治の2階にあるナムコで、子どもとボーリングをしてきました。

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ゲームセンターはたまに利用するのですが、ボーリングははじめてです。フジの社員だと1ゲーム100円引きになるようです。

 子どももボーリングをするのははじめてです。 

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 子ども用のレーンなので、ガーター(溝)がありません。

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 途中で、イベントもあり、大変楽しく過ごせました。

 料金は、1600円(2ゲーム)+600円(くつ2足)でした。

 結果は、子どもと引き分けでした・・・・

2011年11月22日 (火)

田舎弁護士 大阪に現れる!

 先日、きんざいの金融法務例会参加のために、大阪に出かけてきました。

 アンパンマン電車だったため、小さな子どもたちと一緒でした。

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 金融法務例会に参加する前に、ジュンク堂大阪本店によって、なんさつかの書籍を購入しました。

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 右側の建物が、ANAのホテルです。左側の建物が、建築途中で放置されたビルです。ジュンク堂の書棚が写り込んでいます。

 金融法務例会終了後は、新大阪駅の居酒屋で夕食です。

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 おしまい

 

2011年11月21日 (月)

フジグラン今治に出かけてきました

 先週、子どもたちの昼ご飯を食べさせるために、フジグラン今治に出かけてきました。

 私は、事務所から近くが良かったのですが、子どもたちが、フジの「つるつる」でうどんが食べたいというので、車でフジグラン今治まで出かけることになりました。

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 つるつるのうどんは、こしがあり、とても食べ応えがあります。私は、ぶっかけとおにぎりを頼みました。

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  ちょっと、葱を入れすぎかも・・・・・

 おにぎりは、オムライスのおにぎりもあって、とてもよかったです。

 ところで、今日、かなり冷え込みました。

 こんなときは、ちびたのおでんが食べたいですねえ!

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 サークルケイで売っているみたいです・・・

【建築・不動産】 建物の建築に携わる設計者、施行者らは、建物としての基本的な安全性を欠く瑕疵が発生しないように配慮すべき注意義務を負っているが、そこにいう建物の基本的な安全性を欠く瑕疵とは、安全性を欠くことによって現実的な危険性が発生する場合だけではなく、これを放置するといずれ居住者等の生命、身体又は財産に対する危険が現実化することになる場合も含まれる。最高裁平成23年7月21日判決

 消費者法ニュースNo89(2011/10)で紹介された最高裁平成23年7月21日判決です。

 3回最高裁が原審に差し戻すという珍しいケースです。

 以下、判決文を引用いたします。

 「第2次控訴審である原審は、第1次上告審判決にいう『建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵』とは、建物の瑕疵の中でも、居住者等の生命、身体又は財産に対する現実的な危険を生じさせる瑕疵をいうものと解され、被上告人らの不法行為責任が発生するためには、本件建物が売却された日までに上記瑕疵が存在していることを必要とするとした上で、上記の日までに、本件建物の瑕疵により、居住者等の生命、身体又は財産に現実的な危険が生じていないことからすると、上記の日までに本件建物に建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵が存在していたとは認められないと判断して、上告人の不法行為に基づく損害賠償請求を棄却すべきものとした。

                  ↓しかしながら

 原審の上記判断は是認することができない。その理由は、次のとおりである。

                  ↓

 第1次上告審判決にいう「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵」とは、居住者等の生命、身体又は財産を危険にさらすような瑕疵をいい、

 建物の瑕疵が、居住者等の生命、身体又は財産に対する現実的な危険をもたらしている場合に限らず、当該瑕疵の性質に鑑み、これを放置するといずれは居住者等の生命、身体又は財産に対する危険が現実化することになる場合には、当該瑕疵は、建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵に該当すると解するのが相当である。

                 ↓

 以上の観点からすると、当該瑕疵を放置した場合に、鉄筋の腐食、劣化、コンクリートの耐力低下等を引き起こし、ひいては建物の全部又は一部の倒壊等に至る建物の構造耐力に関わる瑕疵はもとより、

 建物の構造耐力に関わらない瑕疵であっても、これを放置した場合に、例えば、外壁が剥落して通行人の上に落下したり、開口部、ベランダ、階段等の瑕疵により建物の利用者が転落したりするなどして人身被害につながる危険があるときや、漏水、有害物質の発生等により建物の利用者の健康や財産が損なわれる危険があるときには、建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵に該当するが、

 建物の美観や居住者の居住環境の快適さを損なうにとどまる瑕疵は、これに該当しないものというべきである。

                ↓

 そして、建物の所有者は、自ら取得した建物に建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵がある場合には、第1次上告審判決にいう特段の事情がない限り、設計・施工者等に対し、当該瑕疵の修理費用相当額の損害賠償を請求することができるものと解され、

 上記所有者が、当該建物を第三者に売却するなどして、その所有権を失った場合であっても、その際、修理費用相当額の補填を受けたなど特段の事情がない限り、一旦取得した損害賠償請求権を当然に失うものではない

 瑕疵についての判断は妥当だと思います。

 所有権譲渡した後でも、一旦取得した損害賠償請求権を有しているというのは、感覚的にはマッチしない面もないとはいえないので、注意して理解しておく必要がありそうです。

 3回目の福岡高裁の判断・・・・・ どうなるのでしょう? 

 

 

2011年11月20日 (日)

【消費者法】 契約切替によりサンライフからプロミスに変更された取引について、サンライフ時代の取引もプロミスが承継したとして、プロミスに対して、過払金返還請求を命じた事例 平成23年7月29日高松高裁判決

 消費者法ニュースNo89(2011/10)で紹介された平成23年7月29日高松高裁判決(第4部)です。

 いわゆるプロミス子会社による契約切替ケースについては、平成23年9月30日に最高裁の判断(プロミスに子会社の取引の承継を肯定)が出たことにより、終止符が打たれることになりました。

 今回の高裁判決は、最高裁の判断が出る前のものですが、従来高松高裁(第4部)は、高松高裁(第2部)と異なり、承継を否定していたことから、今回の判断により判例変更となりました。

 この高松高裁判決が消費者法ニュースNo89でご紹介されることになりました。

 最高裁判決が出た今となっては、参考にならないかもしれませんが、最高裁判決が出る迄は四国島内の裁判所では利用させていただいた重要な判決の1つでした。

 

2011年11月19日 (土)

【交通事故】 校庭で小学6年生(11歳11ヶ月)が蹴ったサッカーボールが道路に飛び出し、バイク運転中の高齢者(85歳)がこれを避けようとして転倒し、受傷したことにより死亡した事故につき、児童の責任能力は否定されたものの、児童の両親の監督者責任が認められて遺族の損害賠償請求が認容されたが、被害者の死亡に対する寄与度から損害額の6割が減額された事例 大阪地裁平成23年6月27日

 判例時報N02123号(11月1日号)で紹介された大阪地裁平成23年6月27日です。

 事案は以下のとおりです。

 被告夏夫は、11歳11ヶ月の少年、太郎は、85歳11ヶ月のおじいさんです。

 夏夫は、平成16年2月25日午後5時ころ、今治市立の小学校の校庭で、友人達とサッカーボールを用いて、ゴールに向かってフリーキックの練習をしていました。

 太郎は、バイクに乗車して校庭の南側の溝を隔てた場所にある東西方向に通じる道路上を東から西に向けて走行していました。

 被告夏夫らがフリーキックの練習をしていたゴールは、本件道路に比較的近い場所に、道路と並行して位置しており、同被告らは本件道路側に向かって、フリーキックの練習をしていました。

 被告夏夫が、平成16年2月25日午後5時16分ころに蹴ったボールが、本件校庭内から門扉を超えて本件道路上に飛び出した。そのため、折から本件道路の門扉付近を走行していた太郎が、ボールを避けようとしてハンドル操作を誤るなどして、本件道路に転倒した。

 太郎は、本件事故後、左脛・腓骨骨折、左手関節打撲、皮膚剥離創及び左膝擦過傷を負ったと診断され、入院治療を受けました。

 平成17年7月10日、太郎は、誤嚥性肺炎を原因として死亡しました。

 いろんな論点がありそうなケースです!

 まず、ケースをみて感じるのは、本件事故と太郎の死亡との間に因果関係があるのか?という点です。

 裁判所は、「本件事故による他の部位の受傷、事故直後の処置、その後の入院生活という、激変した環境が契機となって、太郎が従前有していた脳病変(右慢性硬膜下血腫及び脳萎縮等)が進行、増悪して仮性球麻痺の症状が発生する機序をとった可能性を否定することはできない。これらによれば、本件事故と太郎の死亡との間には、因果関係が存在する」と判断して、因果関係を認めました。

 原告は、右側頭部に強い衝撃 → 急性硬膜下血腫 → 仮性球麻痺 → 嚥下障害 → 誤嚥性肺炎 → 死亡 という因果関係を主張していました。

 裁判所は、右側頭部の衝撃 → 急性硬膜下血腫 という流れを否定しました。

 そうなると、因果関係がないように思われますが、裁判所は、激変した環境が契機となって、従前有していた脳病変が増悪したという別の因果関係の流れを認定して、因果関係を認めたわけです。

 控訴されているようですが、控訴審では、再度、第1審が認定した因果関係については大きな争点になるものと思われます。

 第1審の判決の当然の流れとして、素因減額されることになります。脳病変の既往症を理由に、60%減額されています。

 なお、この減額はかなり高い減額率で、判時の解説には、「最近の先例として、交通事故の被害者の事故前の身体的要因及び心因的要因により損害額の70%を減額したものがある(松山地裁今治支部平成20年12月25日判決)。」として、今治の裁判例が偶然ですが紹介されていました(この判例は私が被告側に関与したものです。)。

 この裁判例については、 福岡若手弁護士のブログさんでもご紹介されていました。

 今治市が被告側に補助参加しているようですが、これは学校の責任を問われる可能性があったからでしょうか?

 高齢者の場合には、治療等の途中、或いは、示談前に死亡されることもあり、事故と死亡との間の因果関係を巡って争われるケースは少なくありません。

 同種事案も結構あると思いますので、参考になる裁判例の1つです。

2011年11月18日 (金)

田舎弁護士、東京 お茶の水に現れる!

 今月は、母校の中央大学の司法試験受験団体(法修会研究室)の大総会が東京・お茶の水の駿河台記念館で開催されたので、昨年に続いて参加いたしました。

 001

 私たちのころは、まさに司法試験受験団体だったのですが、現在では、法科大学院受験団体に近くなっているような印象を受けました。

 OBの先生からは、在校生に対して、激励のエールを送っていました。私は、自分のことばかり述べてしまいましたが・・・

 大学1年生って、18歳、19歳の子たちなんですねえ。

 元気を分けていただきました!

 ただ、今年はOBの先生の参加が少なくて、残念な気がしました。私たちのころは、20名は来ていたような気がします。

 さて、東京で宿泊するホテルの1つに、ザプリンスパークタワー東京というホテルがあります。今回はANA経由で宿泊しましたが、慣れなかったのでダブル予約してしまうというミスをしてしまいました。

 004

 このホテルは、2年前にも、子どもを連れて宿泊しました。いいホテルです。東京宿泊の際のお気に入りのホテルです。普段は少々高いので、インターネット経由で安くなったときに予約しています。008

          部屋(30階)からみた眺めです。 010_2      30階バルコニーから下を眺めました。こわいです。 

013_2                   朝食です。 012レストラン(33階)から窓側を撮影しました。

  006 30階のエレベーターから下を眺めたものです。映画のワンシーンのようです。

 チェックインの時と、チェックアウトの時と2回ホテルのプールで泳ぎました。貸し切り常態なので気持ちよく泳ぐことができました(料金は、プールだけであれば2000円です)。

 事務所に戻ると、机の上は、書類が山積み・・・・

 でも、旅行の行き帰りで、法律書を1冊くらい読むことができるので、旅行は好きです!

 

2011年11月17日 (木)

【金融・企業法務】 苦情処理と監査役監査 月刊監査役10月号

 今回のテーマは、NOVAの破綻と雪印乳業中毒事件からどのような教訓を得るのかということでした。

 NOVAの場合、国民生活センターに対して、多数の苦情がよせられ、平成16年度には、約900件だったのが、平成17年に、約1000件、平成18年に、約1900件、平成19年9月末までに、約3000件という推移をたどっていたようです。

 多数のクレームが発生したため、国民生活センターも、NoVAに対して改善を要求されたようですが、最後まで応じることはなかったようです。

 問題は、その時、監査役は何をしていたのか?ということです。

 破綻当時、NOVAでは、社内出身の常勤監査役、税理士の社外の非常勤監査役2名で構成されていたようです。

 NOVAの場合、強烈なリーダーシップを持った創業者社長によって統制されていたことがうかがえるため、一層、社外監査役を含む監査役の果たす役割が大きかったと言えそうです。

 そういえば、愛媛の製紙会社でも似たようなことがありました。監査役は一体何をしていたのだろうと思います。

2011年11月16日 (水)

【金融・企業法務】 苦情処理と監査役監査 月刊監査役9月号

 月刊監査役9月号に、東京ドームシティアトラクション(TDCA)について教訓について記載された論文が紹介されていました。

 TDCAが運営する回転式コースターで、被害者の座席の安全バーが確実に固定されていなかったことから、落下して死亡するという事故が発生しました。

 平成12年に回転式コースターを導入した当初は、安全バーのロックをほとんどの係員が触診によって確認していたようですが、お客から腹部に触れることもある触診は不愉快だということで目視にとどおくということが常態化していたようです。

 しかし、触診から目視への確認の変更については、上位管理者には変更されず、経営側は触診による確認が行われているという認識だったようです。

 今回の死亡事故は、「一見現場でのオペレーションミスあるいはマニュアルの不備や周知徹底不足といった『事業活動プロセス』の欠陥にみえるが、経営プロセスの分解という視点で見直すと、実は『意思決定プロセス』と『情報伝達プロセス』にも重大な欠陥があったと言わざるを得ない。些細な現場での苦情を経営の視点ですくいあげ、内部統制システムの点検機能として活用することができていたとすれば、今回のような重大な事故は防ぐことができたのではないだろうか」(同書P41)を解説されています。

 「不愉快だから触診をやめよという苦情に対し、現場では乗客とのトラブルを避けたい、迅速効率的な運行を続けたいという心情から、ルール通りの安全確認をしなくなったというのは容易に理解される。」(同)

 「しかし、このような現場における安全軽視の運用を食い止めるのは経営の意思であったはずである。もし経営陣または監査役がこの苦情を認識していれば、苦情を受けて現場ではどうするのかという吟味を行い、安易に流れてルールから外れる現場判断の措置を禁止」(同)という形で対応すべきだったのではないかと思います。

 経営陣または監査役に、苦情があがるというシステムをきちんと構築することも、内部統制システムの構築には欠かせないようです。

2011年11月15日 (火)

【金融・企業法務】 苦情処理と監査役監査 月刊監査役11月号

 月刊監査役11月号に苦情処理と監査役監査第4回事例研究として、損保畑の方の論文が掲載されていました、

 いくつかクレームの事例が紹介されていました。どの事例もよくあるような内容のものであり、参考になりましたので、1つ紹介いたします。

 商業施設のトイレで、高齢者の方が、床掃除の水が乾燥していなかったためとして、治療費や慰謝料名目で12万円を請求してきたという事案です。

 会社側の調査としては、転倒事故の直前にトイレの定期清掃が行われているものの綺麗にふきとっており、転倒するほど水が溜まることはない、ただし、店長の決裁範囲なので、店長の判断で12万円を支払ったというものです。

 ありそうでしょう~

 このような解決について、複数の疑問を提起されています。

 第1に、まず、賠償義務を負う事案だったかどうか検証できていないのではないか?ということです。

 第2に、目撃者がいない事案であるため、現場や床の状況を写真撮影しておくことも必要ではなかったのか?ということです。

 第3に、要求どおりの金銭の支払いに応じることが良かったのか?ということです。

 苦情への対応といっても、中には、社会一般常識に則しては対応できないものもあります。このような苦情は、非常識苦情と言われるようですが、いくつかのパターンに類型化できるようです。

 非常識苦情申立人は誠意などには興味がないから教科書通りの苦情対応では対処できないし、「お客様の声は天の声」とか「お客様目線で」という原理原則に縛られると解決からますます遠のいていきます(同書P70)。

 ケースバイケースでの対応になろうかと思いますが、大阪市バス職員刺殺事件のように最悪の結果が生じる場合もありますので、最新の注意が必要です。

2011年11月14日 (月)

【交通事故】 東京高裁平成22年9月9日判決

 交通事故民事裁判判例集第43巻第5号(ぎょうせい)から送られてきました。

 軽度外傷性脳損傷についての東京高裁平成22年9月9日判決(原田敏章裁判長)が紹介されていました。

 判決要旨は以下のとおりです。

 被害者に後遺障害(高次脳機能障害)が残存した場合の事故と受傷との因果関係につき、被害者がWHOの定めた軽度外傷性脳損傷に関する定義(2004年)に該当するか否かについては、訴訟においてそれを確定する必要はなく、重要なことは、事故によって被害者が頭部に衝撃を受け脳幹部に損傷を来してこれを原因として後遺障害を残存させたか否かであるとした上、後遺障害と事故との因果関係を認めました。

 被控訴人からのいくつかの疑問については、以下のとおり説明しています。

 「たとえ、①控訴人が本件事故後に実況見分に立ち会って警察官に対して指示説明をし、その後自ら控訴人車を運転して東京都世田谷区用賀まで帰っているとしても、すなわち、本件事故直後には強い意識障害はなかったとしても、

 ②さらには、控訴人車の同乗者には後遺障害が生じていないとしても、軽度外傷性脳損傷においては事故後すぐに症状が現れるとは限らず遅発性に現れることもあるというのであり、また、軽度外傷性脳損傷の場合には必ず画像所見に異常が見られるということでもないというのであるから、

 上記①②③の事実をもって控訴人において本件事故により脳幹部に損傷を来した(脳細胞の軸索が損傷した)事実を否定することはできないものというべきである。

 もっとも、控訴人がWHOに定めた軽度外傷性脳損傷に関する平成16年の定義に該当するか否かについては、本件訴訟においてはそれを確定することが必要なわけではない

 本件訴訟において重要なことは、本件事故によって控訴人が頭部に衝撃を受け脳幹部に損傷を来してこれを原因として後遺障害を残存させたか否かであるところ、この事実は上記のとおりこれを認めることができるものである。」

 この裁判所の判決は、明確な基準もなく、後遺障害を認めるものであり、問題を含んでいるのではないかと思います。

 むしろ、今回のケースでWHOの定義に該当するのであれば、WHOの要件定義に該当するとして判断された方がわかりやすかったと思います。ただ、第1審判決をみると、WHOの定義によったとしても、否定されると判示されているので、理屈を抜きに、なかば超法規的に被害者を救済されたのかも知れません。

 

2011年11月13日 (日)

【倒産】 個人再生手続における自動車ローンの共益債権化 銀行法務21・11

 銀行法務21・11月号が送られてきました。

 想定しているケースは以下のとおりです。

 X信販はAに対して自動車ローン債権を有しており、Aの普通乗用自動車に対して所有権留保を設定し、車検証にも所有者としてX信販が記載されています。Aは従来電車で通勤していましたが、東日本大震災によって従前利用していた交通網が断絶し、やむをえず自家用車で通勤しています。

 という内容です。

 最高裁平成22年6月4日判決により、X信販が対抗要件を具備している場合には、X信販は、自動車を引き揚げることが可能となります。

 他方で、X信販が対抗要件を具備していない場合には、再生手続開始後は引き揚げできなくなるので、それ以前に引渡を求めるということになります。

 問題は、X信販が態様要件を具備している場合に、車両を引き揚げられない方法はないか?ということです。

 その方策としては、民事再生法119条2号でいくか、同条5号でいくべきか?が問題となりますが、いずれにせよ、一定の要件のもとで共益債権化が図られるケースはあるようです。

2011年11月12日 (土)

【金融・企業法務】 中小企業から見た下請法の生かし方と実務対応~独占禁止法と下請法~(玉木昭久弁護士)

 現代法律実務の諸問題のテーマの1つです。

 田舎弁護士の業務にとって、独占禁止法が絡んでくるご相談は、ごく一部の企業を除きありません。

 また、独占禁止法を含む経済法は、旧司法試験の科目でもなく、実務修習でも関わることはほとんど考えられませんので、ごく普通の弁護士は、独占禁止法は、???な分野の1つです。

 その意味で、このような研修であまり身近でない分野の学習を行うことができるのは大変うれしいことです。

 高校の教科書でも、日本の独占禁止法は、①私的独占の禁止、②不当な取引制限の禁止、③不公正な取引方法の禁止、④企業結合規制は、説明されていると思います。

 研修では、③不公正な取引方法の禁止の説明にやや重点がおかれています。

 共同の取引拒絶、差別対価、不当廉売、再販売価格拘束、継続的な優越的地位の濫用の5つの行為と、それ以外にも取引上の地位の不当利用や不当対価などで公正競争を疎外するものとして公正取引委員会が指定する15項目について、禁止するということになっています。

 また、独占禁止法違反・下請法違反に係る失効手続の概要についても説明がされています。

 実務的なお話が満載で参考になりました。

2011年11月11日 (金)

【金融・企業法務】  企業取引と独占禁止法・下請法(鈴木満弁護士)

 「現代法律実務の諸問題」のテーマの1つである「企業取引と独占禁止法・下請法」についての講演録を読みました。

 優越的地位の濫用について、まず、独占禁止法について検討してから、独占禁止法の特別法である下請法について言及するという形式をとっています。

 解説者の鈴木満弁護士は、商事法務から出ている「新下請法マニュアル」を執筆された方ですが、改訂版は平成21年12月発行なので、今回の講演録は、その後の動きも補足する形になっております(例えば平成22年11月30日に公表された優越的地位濫用ガイドライン)。

 独占禁止法2条9項5号で提起されている「優越的地位の濫用」には、①購入利用規制、②協賛金等の負担要請、③従業員の派遣要請、④受領許否、⑤返品、⑥支払遅延、⑦代金の減額、⑧取引対価の一方的決定を挙げることができます。

 下請法は、ご承知のように親事業者に対して4つの義務と11の禁止行為を定めています。

 4つの義務は、①書面の交付義務、②書類の作成・保存義務、③下請代金の支払期日を定める義務、④遅延利息の支払義務です。

 11の禁止行為は、①受領拒否の禁止、②下請代金の支払遅延の禁止、③下請代金の減額の禁止、④返品の禁止、⑤買いたたきの禁止、⑥購入利用強制の禁止、⑦報復措置の禁止、⑧有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止、⑨割引困難な手形の交付の禁止、⑩不当な経済上の利益の提供要請の禁止、⑪不当な給付内容の変更・やり直しの禁止です。

 独禁法の優越的地位濫用規制と下請法の規制とは重複する部分が多いことから、両者の関係をどのようにすべきか?ということが問題になりますが、鈴木弁護士は、「どちらかになるかは、公正取引委員会の今後の運用方針にかかっています。」と説明しています。

 また、独禁法と下請法との相違点についても、2つの点を指摘されています。

 第1に、独禁法では、被害者からの訴えが事件の端緒になるのに対して、下請法では、それが期待できないことから、定期調査が利用されています。

 第2に、独禁法では、排除命令措置や課徴金納付命令という行政処分であるのに対して、下請法では、勧告という行政指導にとどまるということです。

 企業法務を取り扱う弁護士は読んでおく必要があるなあと思います。

2011年11月10日 (木)

【交通事故】 交通事故損害賠償の最先端 ~高次脳機能障害等の特殊受傷案件の問題~(羽成守弁護士)

 平成22年に実施された弁護士会の夏期研修の内容を集めた書籍に、「日弁連研修叢書 現代法律実務の諸問題」(第一法規)という書籍があります。

 1000頁程も有る分厚い書籍ですが、気になるところを時間のある時に読んでいます。

 その中のテーマの1つとして、「交通事故損害賠償の最先端~高次脳機能障害等の特殊受傷案件の問題~」を読んでみました。

 高次脳機能障害、脳脊髄液減少症、PTSD、RSDについて、実務的な見地からわかりやすく説明されており、また、これまで知らなかったことなども書かれており、大変参考になりました。

 いずれのテーマも、田舎弁護士もよく取り扱う傷病名であり、新人弁護士の方も一読されることをお勧めいたします。

2011年11月 6日 (日)

【金融・企業法務】 M&A取引における説明義務と表明保証責任

 判例タイムズNo1354号(11月1日号)で紹介された大手渉外法律事務所の弁護士による「M&A取引における説明義務と表明保証責任」という論文の一部を紹介したいと思います。

 今回の論文は、「M&A取引における表明保証責任」ですが、そもそも「表明保証」って何?と思われる方もおられると思います。

 表明保証とは、契約の一方当事者が他方当事者に対して、当該契約の目的物等に関する所定の事実が、所定の時点で、真実かつ正確である旨を表明し、保証するものをいいます。

 田舎弁護士でも、このような内容の条項見たことがあります!

 過払金請求の際に、債権譲渡契約書や業務提携契約書などに、表明保証条項が盛り込まれているのは、よくみかけますね。

 詳細は、判タの論文を読んでいただくとして、表明保証条項や補償条項を規定しておくことは、デューディリジェンスに費やすことができる人的・時間的コストに限界があるため、対象事業にかかる特定の事項に関するリスクをより実効的に回避するために、有用です。

 ただ、表明保証・保証条項を定めても、契約相手方に資力がなければ、実質的なリスク回避になりませんので、注意が必要です。

 売却先にお金を支払って貰おうとしても、何も資産がなくて、本当に文句しか言えないというケースも、よくききます。

2011年11月 4日 (金)

【交通事故】 東京高裁平成23年8月30日判決 No2

 続きです。

 高裁は次のように述べています。

 ①世界保健機関の調査委員会は、軽度外傷性脳損傷に関する41のガイドラインのうち、エビデンスに基づくものは3つ(うち成人に対するものは1つ)にすぎず、しかも、これらのガイドラインには矛盾があることから、軽度外傷性脳損傷については今後研究が早急に行わなければならないと報告されていること、

 ②世界保健機関の調査委員会は、軽度外傷性脳損傷に関して、「軽度外傷性脳損傷は頭部に加わる機械的外力によって引き起こされる急性脳損傷である。臨床現場における作業定義は以下のとおり。(Ⅰ)次の症状が1つ以上あること・・・・」との作業定義を推奨していること、

 ③自賠責保険における高次脳機能障害認定システム検討委員会は、「自賠責保険における高次脳機能障害認定システムの充実について」との報告書において、脳外傷による高次脳機能障害の症状を医科学的に判断するためには、意識障害の有無とその程度・長さの把握と、画像資料上で外傷後ほぼ3ヶ月以内に完成するびまん性脳室拡大・脳萎縮の所見が重要なポイントとなるとの見解を発表していることが認められ、

 これらの軽度外傷性脳損傷に関する世界保健機関の研究動向、軽度外傷性脳損傷ないし高次脳機能障害に関する世界保健機関の調査委員会や自賠責保険における上記検討委員会が提唱する作業定義ないし医科学的に判断するための重要なポイントを考慮すると、

 軽度外傷性脳損傷については、その病態、診断基準等は未だ確立されておらず、今後の研究が早急に行わなければならない分野というべきである。

 被害者は後遺障害等級1級を前提に2億3000万円弱の請求していますが、裁判所は後遺障害等級12級を認定したことから、結果的に被害者の請求は全く否定された結果となっています。請求金額を考えると、コストの負担も少なくないのではないかと想像しています。

 MTBIって、重度の後遺障害等級を前提に請求されることがあるため、残念ながら重度の後遺障害等級が認定されなかった時の落差は大きいですね。

 

 

 

2011年11月 3日 (木)

【交通事故】 逆突された自動二輪車運転者27歳男子の河川敷転落による軽度外傷性脳損傷による両下肢麻痺は睡眠中寝返り繰り返す等から12級後遺障害と認定した 東京高裁平成23年8月30日判決 No1

 自保ジャーナルNo1856号(10月27日号)で紹介された東京高裁平成23年8月30日判決です。

 約2億3000万円の請求に対して、第1審は、約1200万円を認めましたが、高裁は、既払い金で填補済みの判断を言い渡しました。

 東京高裁は、結論的に、「軽度外傷性脳損傷」の発症を否定しました。以下、判旨を引用します。

 辛田医師は、軽度外傷性脳損傷と診断するために、頭部画像診断によって脳室拡大、脳萎縮等が確認されることは必ずしも必要ではないとの見解を有するところ、

 画像診断以外の点を検討しても、

①辛田医師は、控訴人一郎が本件事故により脳損傷を負ったことの根拠として、受傷時意識を喪失していたことを挙げるが、

 E病院の診療録には、控訴人一郎が同病院に搬送された際の意識状態に係る記載はない上、看護記録には、入院直後、控訴人一郎が「首と腰が痛い」などと述べていた旨の記載があり、また、控訴人一郎自身、本件事故直後の記憶はないと供述する一方で、搬送途中の救急車の天井が見えたことや搬送途中の国道の曲がり角の状況を覚えているとの供述もしていることなどによれば、当時、控訴人一郎に意識障害はなかったと認められること、

②E病院において、控訴人一郎が睡眠中に寝返りをしていることが繰り返し確認されていること、また、控訴人一郎が、歩行器を使用してトイレに行ったり、平成12年4月頃には、松葉杖を使用して8㍍程度歩行したりするなどし、その症状は軽快傾向にあったこと、

③F病院が平成11年12月6日に実施した筋電図検査において、被検神経に異常は認められなかったこと、

④平成11年11月から平成12年2月までに実施された徒手筋力検査において、下肢の筋力は5から4ーまでと評価され、また、左手の握力も30㌔グラム程度は維持されていて、右手に比し著しい筋力低下はなかったことが認められ、控訴人一郎の本件事故後のその他の状況、特に、控訴人一郎の本件事故に近接したE病院における症状及び入院状況を検討しても、同控訴人が本件事故により軽度外傷性脳損傷を負ったと認めるには困難である

 以上のとおり、まず、高裁は、画像診断以外の点について述べています。

 そして、高裁は、そもそも、軽度外傷性脳損傷自体に消極的な姿勢をとっています。

(つづき)

2011年11月 2日 (水)

【法律その他】 財産別贈与のしかた・もらい方 (中央経済社)

 中央経済社から、平成21年9月に発行された書籍です。

 贈与に絡む相談は、時々、受けます。

 田舎弁護士の頭は、民法の視点でのみの回答しかできません。税務についても問われることは当然あります。

 このような場合、「民法の考え方だと、これこれだけど。税務から見ると異なるかも知れないので、税理士か税務署にでも聞いてみて!」と回答することが少なくありません。

 弁護士は通知すれば税理士の仕事もできるようですが、昔の司法試験には税務科目がないことから、税務についての知識は豊かでない方が少なくないように思います。

 私自身は税務の知識を補うためにTACの税務講座を聴講したりしていますが、余り税務問題を取り扱わないことから、税務が絡む問題は税理士さんと相談したりお願いしたりしながら、事件を処理しています。

 とはいえ、税務の知識は、弁護士だけではなくこれから生活していく上でも、大切なことから、できるだけ役に立ちそうな書籍があれば、税務についての書籍も購入するようにしています。

 今回の書籍も、その中の1冊です。

 暦年課税についてはある程度わかっていたつもりでしたが、相続時精算課税についてはあまりわかっていなかったことから、参考になりました。

 市川先生にも一読をお勧めしましょう。

2011年11月 1日 (火)

【金融・企業法務】 営業店窓口苦情対応必携(銀行研修社)

 銀行研修社から、平成23年7月に、「営業店窓口苦情対応必携」(銀行研修社)という書籍が発行されました。

 私の事務所では地方銀行の法律顧問をさせていただいている関係で、日ごろから、金融法務についても興味を持って勉強させていただいております。

 とはいえ、田舎弁護士であるため、業法の難しいことはわかりません。

 今回、銀行研修社から出された「営業店窓口苦情対応必携」は、田舎弁護士にもご相談がありそうなケースに対する対応について、具体的にしかもわかりやすく書かれており、大変参考になります。

 例えば、「顔見知りなのに本人確認書類がなぜ必要なのか」というクレーム(同書P38)

 実は、私自身も、「面倒だなあ」、「省略してくれんかな」と、弁護士らしからぬことを思ったりしたことがあります。

 「外貨定期預金の解約処理が遅れ為替差損が発生した」というクレーム

 ありそうですね!

 「内容を理解しないママ購入した投資信託が元本割れした」というクレーム(同書P76)

 どうしても銀行というと安心感があるため、投資信託も元本割れなどしないだろうという信頼してしまうことがあります。

 また、第3章では、紛争解決手続への移行をした苦情・紛争事例が紹介されています。 

 銀行法の指定紛争解決機関は、現在のところ、全銀協のみのようです。

 ただ、手続の開催場所が東京都千代田区にある全銀協の事務所であるため、使いづらいような気がします。もっとも、顧客については、最寄りの銀行協会に出頭して電話会議システムを利用する方法があるようですが、金融機関については電話会議システムを利用させていただけていないようです(同書P241)。

 また、金融庁の監督指針に、「金融機関からの申立てを行う場合は、自らの苦情等処理手続を十分に尽くさずに安易に申立てを行うのではなく、顧客からの苦情等の申出に対し、十分な対応を行い、かつ申立ての必要性につき社内で適切な検討を経る必要があるとされていることに留意する必要がある」という趣旨のことが記載されているようです(同書P231)。

 田舎弁護士の地域だと、全銀協よりも、おそらく、弁護士会ADRを利用することが多いかな?と思います。

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