【流通】 Xから冷凍食品を購入し、これをAに売却するという介入取引をしていたYについて、同取引に循環取引が含まれることを認識していたとして、循環取引に係る売買代金請求に対する同時履行の抗弁権の主張が排斥された事例 東京地裁平成22年6月30日判決
判例タイムズNo1354号(11月1日号)で紹介された東京地裁平成22年6月30日判決です。
この事案は、商社であるXが、冷凍食品を扱うYに対して、巨額の売買代金を請求したという事案です。
これに対して、Yは、本件介入取引については、商品の存在を前提にしており、かつ、循環取引ではないと認識していたと主張して、商品の引渡しがあるまで支払を拒絶する旨の同時履行の抗弁を提出しました。
裁判所は、まず、Yが、本件介入取引に循環取引が含まれていることを認識していた場合には、XY間においては当該循環取引について商品の引渡しを予定していないものと考えられるから、Yは、信義則上、Xに対し、同時履行の抗弁権を主張することができないものと解するべきである
とした上、Yは、本件介入取引が相当量の循環取引を含むものであることを認識していたのであるから、信義則上、Xに対し、同時履行の抗弁権を主張することができないものと判断しました。
約50億円の認容で、しかも、年6%の遅延損害金まで認められています。その上、仮執行宣言もふされています。
控訴されているようですが、強制執行停止の手続をとっているのだとすれば、担保金も積んだのですかねえ???
とてつもなく大きな金額なのでびっくりです。
田舎弁護士への相談は、売掛金としては、せいぜい数十万円から300万円程度のものが多く、金額が大きいなあ?と思われる時でも、数千万円くらいですねえ。
売掛金が50億なんて見たことがない数字です。
というわけで、小規模な売掛金でも、田舎弁護士の事務所では、ご相談は可能です。
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