【流通】 西日本のスーパーに課徴金2億円
昨日、「商品納入業者に、代金の不当減額や従業員の派遣を強要したとして、公正取引委員会は独禁法違反(優越的地位の乱用)で大手のスーパーに2億円余りの課徴金納付と排除措置を命じる方針を固め、同社に事前通知したこと」旨のニュースがインターネットに流れました。
独占禁止法で禁止されている「優越的地位の濫用」は、平成22年1月施行の改正独禁法で課徴金の対象とされましたが、実際に命令が出るのは今回のケースが初めてのようです。
同じ様な記事が本日の日経新聞に掲載されていました。
これによると、「3年ほど前から、新規店舗のオープン時、店舗改装などの際に納入業者から強制的に従業員を動員したり、協賛金を強要するなどした疑い。在庫品を一方的に納入業者側に返品していた疑いも持たれている。」と記載されています。
独占禁止法2条第9項第5号には、
「自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に、次のいずれかに該当する行為をすること。」と明示して、
「イ 継続して取引する相手方に対して、当該取引に係る商品又は役務以外の商品又は役務を購入させること。」
「ロ 継続して取引する相手方に対して、自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること。」
「ハ 取引の相手方からの取引に係る商品の受領を拒み、取引の相手方から取引に係る商品を受領した後当該商品を当該取引の相手方に引き取らせ、取引の相手方に対して取引の対価の支払を遅らせ、若しくはその額を減じ、その他取引の相手方に不利益となるように取引の条件を設定し、若しくは変更し、又は取引を実施すること。」
と記載されています。
濫用行為の諸類型については、①購入要請、②利益提供の要請、③不利益な取引条件の設定・変更・実施に区分することが可能です。
日経の記事によれば、従業員動員、協賛金強要ということであれば、②利益提供の要請に該当しうる可能性があります。また、在庫品を一方的に返品であれば、③に該当しうる可能性があります。
また、日経の記事によれば、「独占禁止法違反(優越的地位の乱用)で排除措置命令と約2億円の課徴金納付命令を出す方針を固めた。」と記載されています。
確定した排除措置命令に違反すると刑事処分の対象となります。
また、独占禁止法第20条の6は、「事業者が、第19条の規定に違反する行為をしたときは、公正取引委員会は、第8章第2節の規定する手続に従い、当該事業者に対し、当該行為をした日から当該行為がなくなる日までの期間における、当該行為の相手方との間における政令で定める方法により算定した売上額に100分の1を乗じて得た金額に相当する額の課徴金を国庫に納付するよう命じなければならない。」と優越的地位の濫用に係る課徴金制度を定めています。
この日の日経の記事は、他にも、「屋内電線巡り10社カクテル課徴金60億円」という事案も報道されており、改めて、独禁法に対する十分な理解が必要であることがわかりました。
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