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2010年9月30日 (木)

松山修習の修習生の方と、大島(今治)に行ってきました・・・ UFO発見か??

 先日、田舎弁護士のところにまで、松山で実務中の司法修習生の方が2名、遊びに来てくれました。

 しまなみ海道の橋の中でも、くるしま大橋は非常に美しい橋の1つだと思っています。

 このくるしま大橋の絶景ポイントに、大島の亀老山という山があります。

 大島で一番高い山で、360度の景色を眺めることができます。 

 ですので、早速行ってきました。

 006  まさに、太陽が沈もうとしています。 005

 どうでしょう。彼氏や彼女と一緒に出かけたくなるはずです。 

004

 たくさんのたくさんの南京錠が柵に施錠されていました。

 おや、あれはなんじゃ?

 003

 UFOのような物が写り込んでいます。

 レンズのゴミですね。おそらく・・・・

 

 おまけに、もう1つ

 

007

 

 お疲れ様でした・・・・ 亀仙人?

2010年9月29日 (水)

司法試験予備試験の概要

 辰巳法律研究所という司法試験予備校から、予備試験についてのパンフレットが送られてきました。

 その内容を見てびっくりしました。

 旧司法試験みたいな試験だったからです。

 2011年の予備試験は、

 ①5月15日に、短答式試験、②7月に、論文試験、③10月に、口述試験という内容になっています。

 短答式試験は、憲法・民法・刑法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法・行政法・一般教養の8科目につき、マークシートで解答します。所用時間は、合計で5時間です。

 論文試験は、憲法・民法・刑法・民事訴訟法・刑事訴訟法・行政法・一般教養・法律実務基礎(民事)・法律実務基礎(刑事)となっています。所用時間は、憲法・行政法で2時間20分、民法・商法・民事訴訟法で、3時間30分、刑法・刑事訴訟法で2時間20分、法律実務科目は各々1時間30分、一般教養は1時間となっています。

 口述試験は、法律実務科目について面接で実施されます。

 予備試験に合格して、「新司法試験」を受験できます。

 とすれば、法曹になるためのルートとしては、

① 予備試験 → 新司法試験 → 司法修習

② 法科大学院 → 新司法試験 → 司法修習

 の2とおりになります。

 おそらくは、予備試験と新司法試験との内容はかぶるところも多いので、そうすると、法学部在学中に、予備試験及び新司法試験に合格する秀才も出てくるのではないかと思います。

 そうすると、「どのルートで法曹になった方が優秀だ」なんてと言う下らない議論が出てきそうですね。

 

武富士 会社更生法申請

 昨日、武富士が、会社更生法の申請を行いました。

 平成21年ころから、過払金返還請求の対応が悪くなり、今年に入ってからは、考えられないような長期の分割払い等を提案してくるために、「心配」していましたが、「心配」どおりやはり倒産してしまいました。

 私の事務所では、昨年から、武富士事案については、「倒産」するかもしれない可能性を伝えていたため、昨日、全依頼人に電話で連絡をとりましたが、冷静に対応していただきました。

 また、大口の入金については、先月までに全て入金していただいていたため、不幸中の幸いでした・・・

 今後は、更生債権の届け出手続が必要になりますが、債権届出に異議を出されるといやですねえ。

 クレディアの時のように、少額の債権は全て払ってくれたらいいのだけど、ロプロのように、一律3%はきついですねえ。

 まさに、言葉は悪いですが、早い者勝ちということになってしまいました・・・

 多分、武富士倒産で、過払金を早く回収しなければと思うご相談が増えるのではないかと思います。 

2010年9月28日 (火)

最高裁民事破棄判決等の実情

 判例時報No2082号(9月11日号)で紹介されている「最高裁民事破棄判決等の実情」と題する記事です。

 ここ最近の最高裁での破棄判決は、

 平成17年  77件 2.3%

 平成18年 110件 3.2%

 平成19年  50件 1.6%

 平成20年  52件 1.8%

 平成21年  68件 2.1%

 となっています。

 超狭き門となっています。

 100件あれば、2件くらいしか、破棄されません。

 弁護士たる者、一生に1回は、最高裁で逆転勝訴した事案を担当したいものです・・・・

 逆は、いやですけどねえ・・・・

 最高裁に上告或いは上告受理申立をした事案って、過去10年で、多分、3,4件程度しかしていないと思います。50件くらいすれば、1件くらい、当たるかもしれませんが・・・

 頑張っていきたいと思います。

2010年9月27日 (月)

懲戒弁護士

 9月号の日弁連が発行している月刊誌である「自由と正義」の朝来欄を見て大変びっくりしました。

 14名もの弁護士が懲戒処分を受けていました。その大半は、懲戒を受けても当然だと思うものだらけです。しかし、中には、これで懲戒とは少し厳しいのではないかと思えるケースもありました。

 過払金返還を巡る訴訟で勝訴判決を得た弁護士が、文書により2回督促を行ったものの、無視されたため、やむをえず口座を差押えをしたところ、既に、相手方サラ金が弁護士の口座(但しこの口座には振り込まないよう連絡済み)に振込送金していたケースで、弁護士としては、サラ金に対して、当該振込送金が依頼人に対する弁済であることの確認書及び差押手続費用の支払いを求めていたため、差押えを直ちに取り下げしなかったというものです。

 東京弁護士会は、債務が消滅したことが判明した以上、差押えを直ちに取り下げなければならず、戒告処分としました。

 もう1例は、交通事故を巡るトラブルで、紹介者でもある依頼人が勤務している社長に対して、解任された後に、依頼人の承諾なしに、事件記録等を見せてしまったということで、戒告処分を受けています。おそらく、勤務先の社長が、弁護士と従業員とがトラブルが生じたため、「どうなっとるんや。先生」と弁護士に事情説明を求めてきたのではないかと思います。

 また、上告事件を受任する際に、上告理由が成り立つのは学者の意見書が提出できるような場合に限られ、上告理由書が提出できなければ上告が認められず敗訴に終わると説明したものの、直ちに上告却下になるという説明はしなかったというケースです。意見書が入手できなかったので、上告理由書の期限までに提出がなく却下されてしまった事案ですが、依頼人の了解を得なかったというものです。意見書がない以上、上告理由書が提出できないということを伝えている以上、問題がないように思いますが、なお念のために、依頼人に確認しておくべきだったということになります。

 以上は、油断すると、過ちやすいことだと思います。

 油断大敵です。

 何事も、依頼人に報告が必要です。

 なお、相変わらず、国選弁護の手抜き弁護の事例が紹介されています。控訴審事案で、被告人から面会を求められているにもかかわらず、面会をせずに、控訴趣意書を裁判所に提出してしまったという事案です。また、被告人からは、複数回面会希望があったのですが、面会に応じたのは、1回のみです。過去にも同種事案で懲戒を受けていることから、業務停止1月という重たい処分となりました。

 私の場合、国選、私選を問わず、面会を求められたら、直ちに面会をするようにしています。国選事件の場合にも、多数回の面会を求める方がいますが、直ちに面会をしています。面会してもたいした用事ではないことが多いですが、後で、懲戒云々と言われると、手間がさらに増加するからです。

 「弁護士と闘う」さんのブログに載らないよう、細心の注意を払って仕事をしていきたいと思います。 

2010年9月26日 (日)

【労働・労災】 元従業員の競業

 判タNo1327号(9月15日号)で紹介された最高裁平成22年3月25日付け判決です。

 ①第1審は、元勤務先 負け、②第2審は、元勤務先 一部勝ち、③ 最高裁は、元勤務先 負け という結果となりました。

 元従業員が退職後に以前の勤務先と同じ仕事をして元の勤務先のお客さんなどを奪った場合、元の勤務先が元従業員に対して損害賠償をしたいという相談は、田舎でも結構あります。

 このような場合、私などは、「退職後の競業避止義務を定めた就業規則や特約がありますか?」と質問して、「ない」という場合には、よっぽどの事情がなければ難しいとコメントしています。

 ただ、高裁は、競業避止義務を定めた就業規則等がない場合でも、「上告人甲野らは、本件取引先を主たる取引先として事業を運営していくことを企図して保険競業行為を開始し、上告人甲野の上告人会社への代表取締役就任等の登記手続を遅らせるなど被上告人に気づかれないような隠蔽工作などをしながら、上告人甲野と本件取引先との従前の営業上のつながりを利用して被上告人から本件取引先を奪い、上告人の売上げのほぼすべてを本件取引先から得るようになる一方で、これにより被上告人に大きな損害を与えたものであるから、本件競業行為は、社会通念上自由競争の範囲を逸脱したものであり、上告人らによる共同不法行為に当たる」と判断しました。

 あれ、競業避止義務を認めてしまっているぞ。すごいなあと思っていました。

 でも、やっぱり、最高裁は、それについては、否定しました。

 以下、判タの判決要旨を引用します(同書71ページ)。

 金属工作機械部分品の製造等を業とするX会社を退職後の競業避止義務に関する特約等の定めなく退職した従業員において、

 別会社を事業主体として、X会社と同種の事業を営み、その取引先から継続的に仕事を受注した行為は、

 それが上記取引先の営業担当であったことに基づく人的関係等を利用して行われたものであり、

 上記取引先に対する売上高が別会社の売上高の8~9割を占めるようになり、X会社における上記取引先からの受注額が減少したとしても、

 次の(1)、(2)などの判示の事情の下では、社会通念上自由競争の範囲を逸脱するものではなく、X会社に対する不法行為にはあたらない。

(1)上記従業員は、X会社の営業秘密に係る情報を用いたり、その信用をおとしめたりするなどの不当な方法で営業活動を行ったものではない

(2)上記取引先のうち3社との取引は退職から5か月ほど経過した後に始まったものであり、残りの1社についてはX会社が営業に消極的な面もあったのであって、X会社と上記取引先との自由な取引が阻害された事情はうかがわれず、上記従業員においてその退職直後にX会社の営業が弱体化した状況を殊更に利用したともいえない

 基本的には、自由競争の原理が妥当するのであり、その範囲を逸脱するような場合に限って、不法行為となるものですから、今回の判決例は至極当然ということになるのでしょう。

2010年9月25日 (土)

【法律その他】 医療法人の定款に当該法人の解散時にはその残余財産を払込出資額に応じて分配する旨の規定がある場合における、同定款中の退社した社員はその出資額に応じて返還を請求することができる旨の規定の解釈

 判例タイムズNo1327号(9月15日号)で紹介された最高裁平成22年4月8日付判決です。

 平成18年法律第84号における改正前の医療法下においては、医療法人の解散時の残余財産の分配は、基本的に定款自治に委ねられていました。

 そして、「医療法人の定款に当該法人の解散時にはその残余財産を払込出資額に応じて分配する旨の規定がある場合において、同定款中の退社した社員はその出資額に応じて返還を請求することができる旨の規定」が定められている場合、法人が返還すべきものの解釈としては、出資額なのか、出資割合に応じた額の請求なのかが争われていました。

 今回の最高裁判決は、後者の見解を採用しました。

 ところが、平成18年法律第84号による医療法の改正により、改正後に設立された医療法人については、医療法人の解散時の残余財産については、国、地方公共団体、他の医療法人等に帰属することになり、原則として残余財産を分配することが許されなくなりました。

 もっとも、改正前に設立された医療法人については、従前の例によることが定められています。

 というわけで、今回の最高裁判決が出たわけです。

 誰か、公益法人の解散などが詳しく載っている書籍を知っている方がおられましたら、ご教示下さい。勉強してみたいので・・・

 

2010年9月24日 (金)

【労働・労災】 統括事業部長を兼務する取締役の地位にある従業員に対して会社がした普通解雇が、当該従業員に対する不法行為を構成するとはいえないとされた事例 最高裁平成22年5月25日判決

 判例タイムズNo1327号(9月15日号)で紹介された最高裁判決です。

 解雇が不法行為を構成するかどうかが争われた事案です。

 高裁は、懲戒処分等の他の手段を講じることなくされた解雇は社会通念上相当として是認することはできない故に、不法行為を認めました。

 しかしながら、最高裁は、

 統括事業部長を兼務する取締役の地位にある従業員が、その勤務態度は他の従業員や取引先から会社に対し苦情が寄せられるほどであり、これはその飲酒癖に起因するものであったのに、代表取締役社長から注意されても飲酒を控えることなく、取引先の担当者と打ち合わせをする予定のある日に欠勤した上、その日の夜に同社長と電話で話をした際、酒に酔った状態で「(自分を)辞めさせたらどうですか。」と述べたなどの判示の事実関係の下では、

 当該従業員に対して会社がした普通解雇は、懲戒処分などの解雇以外の方法を採ることなくされたとしても、当該従業員に対する不法行為を構成するものではないと判断しました。

 判タの解説者も、高裁は、会社に故意・過失があったか否かなどの不法行為の成立要件について検討することなく、ただちに従業員に対する不法行為を構成するとした点で、問題があると述べています。

 近時、このような従業員から、会社に対するクレームが増加しつつあり、高裁のような単純な理由ではなく、事実関係を丁寧に分析した上、不法行為を否定した最高裁の判断は、同種事案の処理にあたり、大いに参考になります。

2010年9月23日 (木)

【交通事故】 当たり屋

 時折、損保会社の相談で、「当たり屋」の可能性の高い事案の相談を受けることがあります。

 このような場合、債務不存在確認訴訟で決着をつける場合が少なくないのですが、このような場合、通常は本人訴訟となるのですが、最近は、弁護士費用特約が普及していることもあって、弁護士に依頼して提訴してくるようなケースもあるようです。

 交通事故判例速報No531号では、いわゆる当たり屋事案を担当した弁護士の詳細なコメントが紹介されており、参考になりました。

 まずは、証拠の確保が必要とのことです。

① 物損の被害状況を速やかに証拠に残すことが必要です(車両の損傷状態の写真、相手方が当たったと称する部分の着衣や所持品の破損状況の写真等、特に着衣や所持品の写真は時間が立てば工作しやすくなるのでなるべく早く写真撮影する)

② 運転者から、事故態様、事故直後の相手方の言動を詳しく聴取する

③ 相手方が運転者に直接連絡してくる場合にはどのような言動があったか記録してもらう

④ 相手方からその事故現場に居合わせた理由(どこへ何をしにいく所であったか等)を詳しく聴取する(事故を偽装するためにそこにいた場合には、何のためにそこに居たのか不自然な説明に終始することが多い)

⑤ 相手方から事故態様を詳しく聴取する(事故を作出した場合には、事故直後に説明した内容と訴訟後主張するに食い違いが発生する場合が多い)

⑥ 相手方から、家族構成、生活状況、保険金取得歴を聴取する

⑦ 主治医を通じて、負傷内容と事故との相当因果関係、事故前の入通院歴を調査する

⑧ 相手方から、加入している傷害保険、自車に付保した保険から保険金を受領できるか聴取する

 次に、賠償金支払方法ですが、

① まとまった金額の内払は行わない

② 治療費の支払い実施は慎重に

 以上のようです。

 このような当たり屋事件あるいは類似事件については、その可能性を少しでも感じたら、弁護士と共同して対応することが必要不可欠であるといえます。

2010年9月22日 (水)

【金融・企業法務】 第149回金融法務研究会例会・危機時期における預金の緊急拘束の問題点

 9月10日、きんざい主催の金融法務例会(大阪銀行協会)に出席いたしました。

 今回は、「危機時期における預金の緊急拘束の問題点」という最近議論の多いテーマです。

 私が独立開業したころは、景気も悪く、中小事業者から、預金が引き出せなくなったという相談を受けたことが何度かありました。

 話しをうかがってみると、かなり経済的な信用状態が悪く、そうすると、債権者である金融機関の債権保全のためには、「そんなもんかいなあ」と思い余り疑問を感じませんでした。

 ところが、伊藤眞教授が2円ほど前に「危機時期における預金拘束の適法性」についての論文を発表してから、議論が活発になってきました。

 伊藤先生は、要求払預金は、支払請求を受ければ、直ちに、支払いに応じる義務がある、他方で、債務者の危機時期において、預金を拘束できるという約定はない、とすれば、預金の払戻を拒絶する根拠はなにか?という問題提起をされています。

 確かに、なるほどです。

 そして、払戻拒絶に根拠がなければ、①債務不履行(履行遅滞)による損害賠償責任、②不法行為による損害賠償責任、③コンプライアンス違反の問題が生じることになります。

 預金払戻について、通常紹介される裁判例は、以下の3判例です。

(1)東京地裁平成3年2月18日判決

 原告が銀行に担保提供を約しながらそれを遅滞したこと、本件預金は他銀行からの借換資金として調達されたものであるにもかかわらず、それを安易に運転資金として利用しようとしたことなどをが預金拘束のきっかけとなったものである。銀行が、原告に対する充分な協議、説明を行わないまま、突然、預金拘束したことには問題が残るが、従前からの経緯などを併せて考えると、本件預金拘束が直ちに違法とまではいえない。

 ←この判決は、預金拘束の違法性についての客観的な基準を明確にしているものではありません。約束違反と使途目的違反を根拠に、判断しています。平成3年当時の理論的な到達状況からすれば、仕方がないものと思われます。

(2)東京地裁平成19年3月29日判決

 この裁判例は多数の争点があります。

① 期限の利益喪失請求の適法性?

 銀行の債務者に対する貸付の多くが担保のない信用貸越であり、債務者が将来の建設工事を受注することができるかが銀行の債務者に対する信用供与の前提であったときに、債務者の耐震偽装問題への関与を疑わせる新聞報道等により、銀行において、債務者が新規の建設工事の受注を得ることができなくなる可能性が強いなどと判断することもやむを得ず、債務者に銀行の債務者に対する信用を失わせる行為があったことに照らすと、銀行による期限の利益喪失の請求の時点で、銀行取引約定書5条2項5号の「債権保全を必要とする相当の事由」があったと判断しました。

② 相殺の有無?

 銀行が面談時に相殺の意思表示をしたとの事実は認められない。 

③ 小切手の交付による弁済に対する否認権行使の可否?

 支払不能後の弁済として、否認できる

④ 従業員給与口座の預金との相殺?

 破産債権者である金融機関は、破産者の支払の停止前に預け入れられた預金の元利金につき、上記支払いの停止があった後に、新たに開設された預金の口座に預け替えられたに過ぎない場合には、上記金融機関の負担する預金払戻債務を相殺することが許される。

⑤ 預金凍結、期限の利益喪失請求の適法性

 期限の利益喪失請求は適法であり、本件預金凍結も適法である。

 この裁判例では、「債権保全を必要とする相当の事由」があったと認め、預金凍結については適法であると判断しました。ただ、相殺については相殺自体はないものとして、弁済認定してしまったため、支払不能後の弁済として否認の対象となってしまいました。相殺か弁済かというテクニックで結論が大きく異なっていいものかどうか疑問の余地がないとはいえませんね。

(3)東京高裁平成21年4月23日判決

 原告と密接な関係にあり多額の貸付金がある会社が民事再生を申立て、銀行からの追加担保の提供などの提案がない限り預金拘束を解除できないとの申し出に対し、原告は事業継続の見通しや追加担保の提供についての説明、提案を行わなかったなどの事実に照らせば、原告は、実質上の債務超過に陥り、今後の事業継続が困難になったものであり、原告には債権保全を必要とする相当の事由が生じたものである。以上の経緯に照らせば、銀行の払戻拒絶措置は違法ということはできない。

 この判決からは、債権保全を必要とする相当の事由を確認した上での預金拘束を行うのであれば、違法ではないことになります。

 預金拘束についての問題点として、講師の先生は以下のような事項を指摘されました。

 まず、預金を緊急拘束できる法的な根拠はなにか?ということです。

 約定がないため、「不安の抗弁権」に準じて考える見解が有力なようです。

 次に、どの段階で預金を緊急拘束することができるのか?ということです。

 これについては、講師の先生の見解は、東京高裁に従い、期限の利益喪失事由の発生を確認した上で、預金拘束するのであれば、合法ではないかということです。

 とはいえ、期限の利益喪失事由についても、種々ありうるところであり、どのようなものでもいいのか?ということになると悩ましいところであります。

 第3に、預金の種類についても異なるのか?ということです。当座預金の場合には、倒産の可能性もあり、また、手形決済のためのものであることから、委任契約の不履行という問題も生じるということのようです。定期預金については、銀行に期限の利益があることから、問題点が少ないと考えていたところ、金融庁に出向されていた弁護士の論文で、金融円滑化法のもとでは、定期預金の拘束は優越的地位の濫用というコメントが指摘されたことから、講師の先生の見解もまだまとまっていないようです。

 なお、会場ではいろんな質問がでました。

 債権保全の必要性と、信用不安との区別はどのようにつけるのか?

 保証人の預金拘束についても同様に考えられるのか?

 などなどです。

 田舎弁護士にとっては、???だらけです。

 なお、預金拘束に違法性・正当性については、金融法務事情No1899号で大特集をしています。

2010年9月21日 (火)

9月27日 無料相談会 実施

 今治商工会議所の主催で、来る9月27日(月曜日)に、今治商工会議所3階研修室において、小規模事業者のための、金融・税務・経理・労務・経営・特許発明・その他の各種相談を受ける特別相談日を、設けることになりましたので、宣伝しておきます。

 詳しいことは、主催者の今治商工会議所(電話23-3939)に聞いてみてください。

 私も午前の部だけ相談員を担当させていただくことになっています。

 弁護士だけではなく、税理士等他の有資格者の先生方も参加されることになっているみたいです。

 経営相談全般ということですが、税務・経理・特許発明は、???ですね。田舎弁護士なので、難しい相談は回答できないと思います。ご容赦下さい。

 売掛金の回収や、債務の支払い等の相談が多いのだろうなあと勝手に想像していますが・・・

 お気軽にご参加下さいませ。m(_ _)m

2010年9月20日 (月)

【金融・企業法務】 買主Yへの車両分割払でのA販売の所有権留保は、X信販の立替払でのXに代位移転を合意したものではないとXの求めたY車両の引渡を否認した 最高裁平成22年6月4日判決

 以前紹介した最高裁平成22年6月4日判決です。

 紹介されるのは判タか判例時報かと思っていましたが、何故か、先に自保ジャーナル(No1829号)での紹介になっていました。

 事案は、前回説明したとおりです。

 第1審判決、ものすごく分厚いです。

 原告代理人及び被告代理人の先生がものすごく頑張っているのがよくわかる判決書の内容になっています。

 とてもじゃありませんが、私には真似できるような内容の書面ではありません。

 最高裁までいったこの案件の車の評価額は、約120万円程度のものです。

 判決文から想像するに、車の引渡を巡って厳しい対立があったことがうかがわれ、それが最高裁までいく原動力になったのでしょうか?

 早く、判タや判時でもっと詳しい解説乗せてくれないかな?

2010年9月19日 (日)

【金融・企業法務】 中小企業向け融資における経営者保証の在り方について

 銀行法務21・9月号に、商工中金の法務室長から、中小企業向け融資における経営者保証の在り方についての提言がなされていました。

 金融機関に対する保証といえば、何か保証人に対する過度な責任追及を招き、悲劇的な事件を生んでいるのではないかと懸念を抱かせることもあります。

 しかし、今回は、企業を経営している経営者に企業の保証をさせる場合に、今後適正な方法がないかと検証している論文であり、大いに参考になりました。

 つまり、上場企業などの大企業であれば、通常、会計監査人の設置が義務づけられており、会社が提示する財務データに一定の信頼性を認めることができるため、経営者保証の必要性はありません。

 ところが、中小企業においての決算書は、第三者による客観的な検証を得ていない自己申告の数値に過ぎません。そのため、その財務データを信用して、与信を行うことはできず、それを補完するために、経営者保証が用いられてきました。

 とすれば、例えば、与信判断の前提となる財務データの真実性や正確性について経営者が表明保証すれば、経営者保証の必要性は乏しくなります。

 つまり、論者は、財務データの不正確性を提示条件として、保証責任を組み込む方策、つまり、コベナンツに基づく停止条件付連帯保証の有用性を論じています。

 なるほどなあと思いました。

 また、会社法上の取締役に対する損害賠償請求制度のハードルをもう少し下げれば、経営者保証そのもの自体必要性が乏しくなることも指摘されています。

 今後、従来の通りの経営者保証がいいのかどうか検証する必要性があるようですね。

2010年9月18日 (土)

【交通事故】 頸髄損傷による自賠責5級2号認定は、一本杖歩行での退院、筋萎縮なし等で、否認して頑固な神経症状の12級認定した裁判例

 自保ジャーナルNo1829号(9月9日号)で紹介された富山地裁平成22年7月15日判決です。

 自賠責5級2号認定ですが、裁判所は、12級まで後遺症の程度を落とし、原告の請求を棄却しました。

 びっくりですが、富山地裁の事案でありながら、被告代理人の弁護士は、交通賠償における第一人者の弁護士をつけていることから、保険会社側は、原告の症状についてかなり疑問を抱いていたことが推察されます。

 裁判所は、以下の理由にて、原告の頸髄損傷について否認しました。

 ①原告のように神経系統の機能に著しい障害がある場合には、頸髄の当該部位には神経組織の質的変化が生じているので、MRI画像のT2強調画像において、神経組織の質的変化を示す高輝度領域が大なり小なり描出されるのが普通であるところ、原告のMRI画像において、頸髄内輝度変化が全く認められていないこと

 ②上肢が全て亢進しているのであれば、頸髄損傷の部位が第4頸髄より脳側に存在することになるところ、MRI画像上頸髄の圧迫を示す所見は全く認められないし、また、頸髄損傷の場合、下肢の腱反射は正常であるか亢進するかのいずれかであり、低下するということは医学上ありえないこと

 ③退院時には、1本杖歩行が可能となっていたこと

 ④原告の手には、頸髄損傷にみられる筋萎縮が全くなく、きれいな筋肉であること

 ⑤原告に対する徒手筋力検査及び深部腱反射検査の結果が不自然であるところ、その原因としては、原告の作為が最も疑われること

 などを理由に、原告主張の頸髄損傷あるいは機能障害の存在を認めることはできないと判断しました。

 ここまで等級が下がることは珍しいです。

 自賠責が認定した等級よりも、等級が下がるケースがあるということで、トラブルを回避するために、依頼人に充分に説明しておく必要があります。

 ただ、人は、見たい現実しかみないですよね・・・

2010年9月17日 (金)

【金融・企業法務】 改正土壌汚染対策法と金融機関への影響 

 銀行法務21・9月号です。

 改正土壌汚染対策法は、平成15年2月に施行されたものですが、昨年4月に改正法が成立公布され、本年4月に施行されたことは、記憶に新しいところです。

 今回、改正法解説ということで、「改正土壌汚染対策法と金融機関への影響」というテーマで、地銀の法務室室長(不動産鑑定士でもある)の方のわかりやすい解説が銀行法務21・9月のっていましたので、後学のため紹介させていただきます。

 まず、改正後は、改正前と比べて、土壌汚染の状況把握の制度拡充が図られました(調査契機の拡大)。改正前は、①有害物質使用特定施設の廃止時、②土壌汚染により健康被害が生ずるおそれがあると都道府県等が認める時に加えて、③土地の掘削その他の土地の形質の変更時の報告、④自主調査において土壌汚染が判明した場合が加わることになりました。

 次に、改正以前は、「指定区域等」となっていたのですが、改正後は、「要措置区域」と「形質変更時要届出区域」との2つに分けられることになりました。「形質変更時要届出区域」は、土壌汚染が判明した土地のことで、汚染の飛散・拡散がなく、健康被害が発生するおそれが今すぐにはなく、緊急に対策をとる必要はないが、将来、掘削等により形質の変更を行う場合は、汚染が飛散・拡散するおそれがある土地の存する区域をいいます。「要措置区域」は、土壌汚染が判明した土地で、汚染の飛散・拡散するおそれがあって、健康被害が発生するおそれが今現時点であり、緊急に対策をとる必要がある土地の存する区域をいいます。

 さらに、今回の改正では、規制区域内での掘削により搬出される土壌について、以下のとおりの規制が加えられました。即ち、汚染土壌を区域外へ搬出しようという場合には、14日前までに都道府県知事に届け出ることが必要になりました。また、搬出にあたっては、産業廃棄物と同様に、管理票(マニュフェスト)が必要になりました。

 そして、指定調査機関の神聖性向上のために、5年ごとの更新が必要となりました。

 Q&Aでは、金融機関としての留意事項が記載されていますが、購入して読んでみてください。

橋下知事 「僕の品位と(大阪)弁護士会の品位はまったく違う。(処分の基準は)大いに疑問だ。僕は一般府民が感じる品位で動いていく。北新地に行けば、品位のない弁護士は山ほどいる」

 橋下弁護士が懲戒処分を受けたようです。

 一般的には、業務停止2か月ですから、かなり重い処分ですが、橋下弁護士の場合、現在、弁護士業もしておらず、また、顧問先も弁護士法人との契約であるため、余り大きな影響は受けないようです。 

 処分の理由は、「刑事弁護に対する誤った認識、不信感、不名誉感を与えたうえ、多人数の懲戒申し立てがあれば懲戒請求が認められるかのような誤った認識を与えた」ということのようです。

 処分に不満があれば、日弁連に異議申立を行うべきだと思いますが、橋下知事は、「僕は一般府民が感じる品位で動いていく」という発言をされたようです。

 懲戒申立が弁護士に対していかに重い負担を与えるものであるのかを余り理解されていないと思います。

 また、正当な理由のない懲戒申立は、申し立てられた弁護士に対する「不法行為」となり、損害賠償を負わされる可能性があることにも、言及されなかったのは、残念でした。 

2010年9月16日 (木)

【交通事故】 軽度外傷性脳損傷:交通事故後遺症 初の認定 2000万円賠償命令 東京高裁平成22年9月9日判決

 遂に出ましたね。軽度外傷性脳損傷を正面から認めた裁判例が・・・

 しかも、東京高裁なので、その判断の意味は非常に大きいのではないかと思います。

 以下、毎日新聞の記事を引用いたします。

 ◇患者救済へ幅広げる

 交通事故により脳に特異な損傷を負う軽度外傷性脳損傷(MTBI)になったかどうかが争われた訴訟の控訴審判決で、東京高裁が「脳に損傷を負った」と認めていたことが分かった。MRI(磁気共鳴画像化装置)の所見がないことなどから従来は否定されてきたケースで、1審もむち打ち症と認定していた。患者団体によると、MTBIを事実上認めた初の司法判断という。【宍戸護】

 訴えていたのは東京都世田谷区の無職、五十嵐克典さん(38)。代理人の菊地真治弁護士は「交通事故による脳損傷の認定条件の変更を促す画期的な判決」と評価している。

 9日の高裁判決によると、五十嵐さんは埼玉県内の東北自動車道で03年10月、渋滞停車中にワゴン車に追突され▽両手の握力がほとんどない▽においが分からない▽道に迷う▽寒暖が分からない▽頻尿--といった症状が残った。事故の衝撃で脳の情報伝達を担う神経線維が所々切れた「軸索損傷」を負ったとしてワゴン車の男性側に約1億5000万円の賠償を求めていた。

 同種訴訟では従来(1)事故直後の意識障害(2)脳損傷を示す画像所見(3)受傷直後からの症状--がそろった場合に脳損傷と認められてきた。だが高裁判決で原田敏章裁判長は、五十嵐さん側の医師意見書を基に「MTBIでは症状が遅れて出ることもあり、脳損傷の画像も必ず見られるわけではない」と指摘。(1)~(3)は満たしていないが、後遺症に関し「事故以外の原因は考えられず、脳が損傷した事実は否定できない」と結論付けた。

 (1)~(3)を欠くことから1審東京地裁は2月、男性側主張に沿って脳損傷を否定、自賠責の後遺障害等級を14級程度と低く認定し賠償額を約530万円にとどめた。高裁9級に引き上げ約2000万円の支払いを命じた。

 五十嵐さん側は賠償額を不満として上告を検討する方針。男性側は取材に対し「判決内容を検討しておりコメントは差し控えたい」と書面で回答した。

 ◇同様提訴の男性「希望が見えた」

 原告の五十嵐さんは判決について「事実上の病気認定。全国で同じ病気に苦しむ人の励みになれば」と喜び、同様の訴訟を抱える患者からは希望の声が上がった。

 MTBIは認知度が低く、五十嵐さんは事故後、心ない医者の対応に不快な思いもした。ある医者はMRIで画像異常がないと伝えた後、「心が弱っているから、精神科の先生にでもみてもらったら」と勧めた。精神科に行くと「うつ病」と診断されて、薬を出すだけだったという。

 現在は食べ物がのどをうまく通らない障害が悪化し、最近はゼリー状の栄養剤が手放せない。判決での自賠責後遺障害等級が9級だったことに対しては「あまりに低く見られている。正直不満が残る」と話した。 (引用終わり)

 この裁判例も、自保ジャーナルで詳細が紹介されるでしょうからその時が楽しみです。

                       

【交通事故】 追突事故の被害者について脳脊髄液減少症の発症が否定された事例 平成21年8月21日福岡地裁小倉支部判決

 福岡地裁管内は、脳脊髄液減少症の事案が多いように思われます。今回、判例タイムズNo1326号も、福岡地裁小倉支部平成21年8月21日判決です。

 この判決も、最近の裁判所の脳脊髄液減少症に対する考え方の主流にそう判断基準を採用して、当該ケースにあてはめた上、脳脊髄液減少症を否定しています。

 ①「脳脊髄液減少症研究会のガイドライン」については、一般的な賛同を得ているとはいえないため採用できず、国際頭痛学会のICHD-Ⅱ、或いは、日本神経外傷学会の基準に従う。

 ②後二者の基準によれば、当該事案ではその要件を満たさないので、低髄液圧症候群が発症したとは認められない

 ③従って、治療費についても、頚椎捻挫と腰部捻挫のみであり、脳脊髄液減少症の治療費は認められない。

 裁判所は、③に関連して、「ここまで治療が遷延したのは、○医師において、原告につき脳脊髄液減少症との疑いを抱き、△病院を紹介し、同病院がそのように診断したことが影響していると考えられる。平成18年3月3日までの治療すべてにつき相当因果関係は認められない。」

 そのため、治療費については、被告が自認する範囲にとどめられてしまったようです。

 判断基準については、概ね上記のようなパターンが続いており、現在の裁判所の考え方と捉えることも可能ではないかと思います。

 本来、医師の職責は患者の傷病を治すことにあり、裁判で耐えられる診断基準を作成することではありませんが、ここまで明確にガイドラインが裁判所に採用されないのであれば、患者の被害回復の救済を図ることができません。多くの医師の賛同が得られるガイドラインの策定が急務ではないかと思います。

2010年9月15日 (水)

【消費者法】 「契約切替」事案でサンライフの取引の承継の否認を信義則上許されないとして認めなかった事例 平成22年9月14日松山地裁判決(合議)

 サンライフからプロミスに「契約切替」された事案で、西条簡易裁判所が契約上の地位の承継を認めていた判決に対する控訴審判決が、松山地裁民事第2部で、9月14日(昨日)ありましたので、ご報告いたします。

 少し、長いですが、判決文を引用します。

(3)前示1の認定事実からすれば、被控訴人は、控訴人やサンライフの担当者からの勧誘を受けなければ、控訴人から43万0897円の新規借入れをしなかったことは明らかであるし、前示(1)からすれば、控訴人は、平成19年当時の切替契約の時点では、顧客が切替契約に応じれば、サンライフとの取引により生じた過払金返還債務を併存的に引き受け、顧客からの返還請求にも応ずるつもりであったと認められる。これらの点に、控訴人やサンライフの担当者からの上記勧誘は、プロミスグループ国内金融子会社再編(債権移行)という専ら貸主側の事情によるものであることを併せ考えると、本件切替を、金銭消費貸借契約の借主が既存債務の返済資金を他の貸金業者からの新たな借入金により賄うという一般的な場合と同様に扱うことは相当ではない。

(4)上記(2)の43万0897円(本件サンライフ取引による借入金残額の約定利息による計算結果)と、9万4447円(本件サンライフ取引による借入金残額の制限利率による計算結果)との差額(過払分)については、本来的には、サンライフがその返還義務を負うべきものではあるけれども、前示(1)からすれば、現在、既に廃業したサンライフが顧客に対する過払金の返還に要する資金的手当は、困難であると推認できる(この判断を覆すに足りる証拠はない。)

(5)被控訴人は、控訴人からの借入金によって、本件サンライフ取引による借入金残額43万0897円(約定利息による計算結果)の弁済をしたが、上記借入れの時点で、本件サンライフ取引による借入金残額の制限利率による計算額は、9万4447円に過ぎなかった。しかも、上記(4)の点からすれば、控訴人が本件併存的債務引受を撤回する前の時点はともかく、その撤回後においては、上記弁済額43万0897円のうち、9万4447円を超える部分については、被控訴人がこれに見合う経済的な利益を得ているとは言い切れない

(6)控訴人が、業務提携契約書に係る変更契約書により、本件併存的債務引受を撤回したのは、業務提携契約後の事情の変更を踏まえた控訴人の経営判断によるものであると推認できる。

 また、控訴人がサンライフに対し、43万0897円(平成19年9月12日現在における被控訴人の本件サンライフ取引による借入金債務残額(制限利率を超える約定利息による計算額))を支払ったことは、控訴人の本件併存的債務引受の存在その他の業務提携契約の存在を前提としてものであるといえる。そして、前示のとおり、上記変更契約(本件併存的債務引受の撤回その他)は、被控訴人とは全く無関係に、専ら控訴人側の都合によるものであることからすれば、控訴人がサンライフに対して支払った上記43万0807円については、上記変更契約に伴う清算として、控訴人とサンライフとの間で処理されるべき事柄であるとすることも、前記(4)の資金的手当が困難であるにもかかわらず、被控訴人が控訴人から上記(1)のとおりの貸金眼額の支払を強いられる結果となるのと比べれば、あながち不合理ではないといえる

(7)本件切替の当時、被控訴人としては、本件切替に応じた結果、本件切替に応ずることなくサンライフとの取引が継続した場合にはサンライフに対して主張できた事由(約定利息による債務残額と制限利率による債務残額との差額の発生等)を控訴人に対して主張できなくなる事態に至ることを想定していなかったものと認められる。

(8)以上判示したとおりの本件事実関係の下においては、控訴人が、本件切替に係る貸付けにより、被控訴人に対し、9万4447円(本件サンライフ取引による借入金残額の制限利率による計算結果)を超える貸金債権を取得した旨主張することは、信義則に反し許されないというべきである。

 原審に提訴してから、1年以上を経過しました。長かったです。

 過払金もまともに取り戻そうとするのであれば、こんなに手間と時間がかかる場合があるのです。

 とてもではありませんが、弁護士が1人或いは2人くらいしか所属していない大都会の法律事務所がチラシを配布したり全国行脚して多くの顧客を集めたとしても、まともに事件処理ができるのか、大きな疑問を感じています。

【法律その他】 固有必要的共同訴訟において合一確定の要請に反する判決がされた場合と不利益変更禁止の原則 最高裁平成22年3月16日判決

 判例時報No2081号(9月1日号)で紹介された最高裁平成22年3月16日判決です。

 事案は、以下のとおりです。

 婚外子のXが、前妻の子Y1とY2に対して、①遺言書に係る遺言の無効確認請求、②Y2が相続欠格を理由に亡Aの相続財産につき相続人の地位を有しないことの確認請求を行いました。

 第1審は、①の請求を認容しましたが、②の請求については棄却しました。

 ①(遺言無効)については、Yらが控訴をしなかったので確定しましたが、②(相続欠格)の請求棄却については、XがY1・Y2を相手方として控訴しました。

 第2審では、②(相続欠格)について、Y2との関係でのみ取り消して相続欠格を認め、Y1の関係では控訴の利益を欠くものとして、却下したため、Y1との関係では、②(相続欠格)を棄却した第1審判決が維持されることになりました。

 Y2のみが②(相続欠格)について上告を提起しました。

 最高裁の理屈は以下のとおりです。

 相続人の地位を有しないことの確認を求める訴えは、「固有必要的共同訴訟」である。

                    ↓

 第1審判決は、Y1に対する本件請求(相続欠格)をも棄却したもであり、XのY1に対する控訴につき控訴の利益が認められることは明らかである。

                    ↓

 原審は、Y2に対する本件請求(相続欠格)を認容する一方で、Y1に対する本件請求を棄却した第1審判決を維持したものであり、そのような判断は、固有必要的共同訴訟における合一確定の要請に反するものである。

                    ↓

 ところが、本件は、Xから最高裁に対する不服申立てがされていないため、不利益変更禁止の原則との関係で、原判決のうちXが敗訴した部分を破棄することができるかどうかが問題となりました。

                    ↓

 最高裁は、上訴審が、Xが上訴又は付帯上訴をしていないときであっても、合一確定に必要な限度で、不利益に変更することができると判断しました。

 

 固有必要的共同訴訟については、受験時代はかなり勉強したはずですが、余り実務では理屈的なことは意識をしないため、かなり知識がとんでいました。反省です。

        

2010年9月14日 (火)

【金融・企業法務】 学習塾チェーン経営会社が、競業禁止条項に違反して独立した元フランチャイズ契約加盟店に対して行った違約金請求につき、違約金条項の一部が公序良俗に反するとして請求額の一部のみが認容された事例 東京地裁平成21年11月18日判決

 判例タイムズNo1326号です。今回の判タは、紹介したいと思う裁判例や記事が天こ盛りになっているため、大変です。

 フランチャイズの競業禁止条項は、時折相談を受けることがありますが、今回の裁判例では、学習塾チェーンの案件だったようです。

 いずれも独立開業したことに対する違約金条項に基づく違約金請求事件になっています。

 まず、裁判所は、

 競業禁止条項は、原告のノウハウの保護及び商圏(営業利益)の確保という正当な利益を保護するためのものであって目的が正当であり、競業禁止条項の違反行為につき違約金を定めることも上記目的を達成するための必要かつ相当な措置であるから、違約金条項は直ちに公序良俗に反するとはいえない

                  ↓

 しかし、競業禁止条項の違反について課す違約金は損害賠償額の予定と推定されるから、その額については、競業禁止条項が保護する原告の上記利益の損害賠償の性格を有する限りで合理性を有する、これを超える部分は合理性を欠き公序良俗に反する

                  ↓

 本件違約金条項のうち、契約残存期間のロイヤリティの支払い義務については、原告と加盟者との間の契約有効期間(5年)等からみて、原告の商圏(営業利益)を侵害に係る損害賠償額の予定としての合理性があり、その額も相応の合理性がある。

                  ↓

 加盟金相当額の支払い義務については、原告が契約に基づき被告らにノウハウを提供し、被告らは上記各契約の有効期間中に従前と同じ場所で学習塾の名前を変えて学習塾を独立して開業したから、原告の提供したノウハウの無断使用に係る損害賠償の予定としての合理性は有する。

                 ↓

 その額300万円は、原告の提供したノウハウの内容等に照らせば、高額に過ぎ、違約金条項のうち、残存期間のロイヤリティ分と、加盟金相当額のうち100万円との合計額を超える部分(200万円分)は、合理性を欠き公序良俗に反し無効である

 

 違約金条項の一部を公序良俗違反として無効としたものです。

 競業禁止については、田舎でも時折問題となります。フランチャイズではありませんが、結構多い相談は、従業員などが辞めて、同じ仕事をすることを止められないか?ということですが、雇用期間中にそれ相応に処遇し且つ念書でもないと、難しいと思うのですが、いかがでしょうか?

 弟子が師匠のノウハウを盗んで独立するのは、資本主義社会では当たり前のことでしょう。

2010年9月13日 (月)

【IT関連】 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項に基づく発信者情報の開示請求に応じなかった特定電気通信役務提供者が損害賠償責任を負う場合 最高裁平成22年4月13日判決

 判例タイムズNo1326号(9月1日号)で紹介された最高裁平成22年4月13日判決です。

1、事案は、以下のとおりです。

 インターネット上の電子掲示板にされた書き込みによって名誉感情を侵害されたと主張するXが、その書き込みにつきインターネット接続サービスを提供したYに対し、

 ①特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)4条1項に基づき、その書き込みに係る発信者情報の開示を求めるとともに、

 ②Yには、Xからの開示請求に応じなかったことにつき、同法4条4項本文にいう「重大な過失」があると主張して、不法行為に基づく損害賠償を求める事案です。

 長たらしい法律ですが、プロバイダ責任制限法と言います。残念ながら、模範六法(2010年)には載っていない法律です。

 プロバイダ責任制限法4条1項は、特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者は、同項各号のいずれにも該当するときに発信者情報の開示を請求することができる旨定めている。また、同項各号に、例えば、「侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき」(1号)等の要件を定めている。

 同法4条4項は、特定電気通信役務提供者が開示請求に応じなかったことによって開示請求者に生じた損害については、故意又は重大な過失がある場合でなければその賠償責任を負わないと定め、その責任を制限している。

2、書き込みの内容

 Xは、発達障害児のための学校であるA学園を設置する学校法人A学園の学園長である。インターネット上のウェブサイト2ちゃんねるの電子掲示板において、A学園part2と題するスレッドが立てられ、その中でされた、「なにこのまともなスレ 気違いはどうみてもA学長」という書き込みです。

3、東京高裁は、

① 特定の人を気違いであると指摘することは、社会生活上許される限度を超えてその者の名誉感情を侵害するものであって、本件書込によってXの権利侵害がされたことは明らかであるとし、本件発信者情報の開示請求を認容するとともに、

② Xの権利者が侵害されたことは本件書き込み自体から明らかであるから、裁判外でXからされた開示請求に応じなかったYには、重大な過失があるとして、損害賠償請求を慰謝料15万円の支払を求める限度で認容しました。

4、最高裁は、東京高裁の②の判断について、是認できないとして、以下のとおり判断しました。判決判旨を紹介いたします。

(1)プロバイダ責任制限法4条1項に基づく発信者情報の開示請求に応じなかった特定電気通信役務提供者は、当該開示請求が同項各号所定の要件のいずれにも該当することを認識し、又は上記要件のいずれにも該当することが一見明白であり、その旨認識することができなかったことにつき重大な過失がある場合にのみ、損害賠償責任を負う。

(2)インターネット上の電子掲示板にされた書き込みの発信者情報の開示請求を受けた特定電気通信役務提供者が、当該書き込みにより請求者の権利が侵害されたことが明らかでないとして開示請求に応じなかったことにつき、その書き込みは、侮辱的な表現を一語含むとはいえ、具体的事実を適示して請求者の社会的評価を低下させるものではなく、特段の根拠を示さずに書き込みをした者の意見ないし感想としてその語が述べられているという事情の下においては、上記書き込みが社会通念上許される限度を超える侮辱行為であることが一見明白であるということはできず、上記特定電気通信役務提供者に重大な過失があったとはいえない。

5、最近、インターネットを利用した名誉毀損行為に該当するような書き込みが増えており、その対応に苦慮することも少なくありません。速やかな発信者情報の開示が望まれます。

2010年9月12日 (日)

過払い金の広告

 「ここしばらく、東京の法律事務所の過払い金を勧誘する広告はみなくなったなあ」と思っていたら、最近、各種新聞の折り込み広告の中に、過払い金を露骨に勧誘する折り込みチラシが入っていました。

 折り込みチラシで過払い金を勧誘する法律事務所の場合、大抵は弁護士の数が1名から2名くらい、所属している弁護士は高齢か、駆け出し弁護士という特徴があるように思われます。

 中には、過去に懲戒を受けた弁護士もいました。

 懲戒を受けた弁護士かどうか確認する方法としては、検索センターを利用する方法もあります。

 最近は、残念ながら、弁護士とのトラブルが増えており、弁護士被害の状況については、NHKの番組でも報道されたばかりです。

 このような遠方の法律事務所に依頼した場合、弁護士とのトラブルが生じた場合、遠方なため、クレームがつけにくいという難点があります。

 銀行だって、破たんする時代です。弁護士とのトラブルが発生した場合も、生じた不利益は自己責任となります。

 確かに、過払い金は妥協すれば大手のサラ金業者の場合には、比較的容易に返還に応じるため、楽な面があります。しかし、最近では、そのようなサラ金業者は全体的に減っていますし、また、裁判でなければ、適切な金額の返還を受けられない場合も増加しています。

 前述のような特徴のある法律事務所が、日本全国中からの事件を受けて、きちんと事件処理できるとは到底思えません。

 弁護士の選択に不安がある方は、地元の弁護士会にご相談下さい。

【消費者法】 利息制限法の解釈についての最高裁平成22年4月20日付判決

 判例タイムズNo1326号(9月1日号)で紹介された最高裁平成22年4月20日付判決です。

 改正前の利息制限法1条1項の解釈についての最高裁判決です。

 判旨を紹介いたします。

 ①継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約に基づいて金銭の借入れと弁済が繰り返され、同契約に基づく債務の弁済がその借入金全体に対して行われる場合における利息制限法1条1項にいう「元本」の額は、各借入れ時点における従前の借入金残元本と新たな借入金との合計額をいい、従前の借入金残元本の額は、弁済金のうち制限超過部分があるときは、これを上記基本契約に基づく借入金債務の元本に充当して計算する。

 ②継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約に基づいて金銭の借入れと弁済が繰り返され、同契約に基づく債務の弁済がその借入金全体に対して行われる場合において、上記取引の過程におけるある借入れの時点で、従前の借入金残元本と新たな借入金との合計額が利息制限法1条1項所定の各区分における下限額を下回るに至ったとしても、上記取引に適用される制限利率に変更されない。

 ①の判断で、「基本契約における極度額や、約定利率に基づき計算した残元本額を基準として制限利率を定めるべきとする見解」は、排斥されました。

 ②の判断で、一旦決まった法定利率は、上がらないということになりました。

 ①については、悔しいですね。

 なお、「平成18年法律第115号による改正後の利息制限法5条(平成22年6月18日施行)には、営業的金銭消費貸借の特則として、1条の「元本の額」に関する特則が定められている。本件のように基本契約に基づき継続的に金銭の借入れと弁済が繰り返される金銭消費貸借取引は、改正法5条各号の規定には該当せず、上記施行後の借入れについても、1条の「元本の額」の解釈として、本判決と同じ解釈がされることになると解される。」(同書116ページ)

2010年9月11日 (土)

【建築・不動産】 売買の目的物である新築建物に重大な瑕疵がありこれを建て替えざるを得ない場合に、買主からの工事施工者等に対する不法行為に基づく建て替え費用相当額の損害賠償請求において、買主が当該建物に居住していたという利益を損益相殺等の対象として損害額から控除することの可否 最高裁平成22年6月17日判決

 判例タイムズNo1326号(9月1日号)で紹介された最高裁平成22年6月17日判決です。

 論点は、Q新築建物を購入した買主が、当該建物に重大な瑕疵があるとして、建物の施工業者等に対し、不法行為に基づき、建て替え費用相当額の損害賠償を請求する場合において、買主が引渡し後当該建物に居住していること等を利益とみて、これを損益相殺等の対象として損害額から控除することが許されるか?ということです。

 本件建物には、次のような構造耐力上の安全性にかかわる重大な瑕疵があったことが認定されています。

 ①1階2階の柱の部材が小さすぎるため、いずれも柱はり耐力比が制限値を満たしていない上、1階の柱については応力度が許容応力度を超えている

 ②2階の大ばりの部材が小さすぎるため、応力度が許容応力度を超えている

 ③2階及び3階の大ばりの高力ボルトの継ぎ手の強度が不足している

 ④外壁下地に、本来風圧を受けない間仕切り壁の下地に使用される軽量鉄骨材が使用されているため、暴風時などに風圧を受けると、大きなたわみを生じ、外壁自体が崩落するおそれがある

 ⑤基礎のマットスラブの厚さが不足しており、その過半で応力度が許容応力度を超えている

 第1審は、建て替え費用相当額の損害は発生していると認めたものの、原告らが本件建物に居住してきたという利益(居住利益)を得ているとして、それを遅延損害金との損益相殺を認めたました。

 第2審は、居住利益については損益相殺の対象とはしませんでした。

 最高裁も、以下のように判示して、損益相殺の対象としませんでした。以下、判決要旨を紹介します。

 売買の目的物である新築建物に重大な瑕疵がありこれを建て替えざるを得ない場合において、

 当該瑕疵が構造耐力上の安全性にかかわるものであるため建物が倒壊する具体的なおそれがあるなど、

 社会通念上、建物自体が社会経済的な価値を有しないと評価すべきものであるときには

 上記建物の買主がこれに居住していたという利益については、当該買主からの工事施工者等に対する不法行為に基づく建て替え費用相当額の損害賠償請求において、損益相殺ないし損益相殺的な調整の対象として、損害額から控除することはできない。

 本件のような場合以外について、居住利益を控除できるのかについては、今後検討されるべき課題とされています。

2010年9月10日 (金)

【建築・不動産】 売買契約の目的物である土地の土壌に、上記売買契約締結後に法令に基づく規制の対象となったふっ素が基準値を超えて含まれていたことが、民法570条にいう瑕疵に当たらないとされた事例 最高裁平成22年6月1日判決

 判例タイムズNo1326号(9月1日号)で紹介された最高裁平成22年6月1日判決です。

 東京地裁は、瑕疵を否定して、原告負け

 東京高裁は、瑕疵を肯定して、原告勝ち

 最高裁は、瑕疵を否定して、原告逆転負けです

 というジェットコースターのような結果を経ています。

 最近の最高裁は、高裁をひっくり返すことが増えているような気がします。

 事案は、以下のとおりです。

 平成3年3月に、Y(上告人)から本件土地を買い受けたX(被上告人)が、Yに対し、本件土地の土壌にふっ素が基準値を超えて含まれていたことが民法570条にいう瑕疵に当たると主張して、瑕疵担保による損害賠償を求める事案です。

 東京高裁は、土地の土壌に人の健康を損なう危険のある有害物質が上記の危険がないと認められる限度を超えて含まれていたことは、瑕疵にあたると判断しました。

 ところが、最高裁は、東京高裁と異なり、瑕疵にあたらないとしました。

 以下、判決要旨を引用します。

 売買契約の目的物である土地の土壌に、上記売買契約締結後に豊麗に基づく規制の対象となったふっ素が基準値を超えて含まれていたことは、

 ①上記売買契約締結当時の取引観念上、ふっ素が土壌に含まれることに起因して人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるとは認識されておらず、

 ②上記売買契約の当事者間において、上記土地が備えるべき属性として、その土壌に、ふっ素が含まれていないことや、上記売買契約締結当時に有害性が認識されていたか否かにかかわらず、人の健康に係る被害を生ずるおそれのある一切の物質が含まれていないことが、特に予定されていたとみるべき事情もうかがわれない

 など判示の事情の下においては、民法570条にいう瑕疵に当たらない。

 土壌に含まれるふっ素についての環境基準が告示されたのは平成13年3月、ふっ素が土壌汚染対策法に規定する特定有害物質と定められたのは平成15年2月のこととされています。

 本件売買契約は平成3年3月ですから、瑕疵にはあたらないとなったのですが、現在仮に取引があるとすれば、瑕疵と認定されるのではないかと思います。

 フッ素の規制については、「判決文の理由」に簡潔に引用されていますので、引用させていただきます。 

 平成13年3月28日環境基本法16条1項に基づき、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準として定められた平成3年8月環境庁告示第46号(土壌の汚染に係る環境基準について)の改正により、土壌に含まれるふっ素についての環境基準が新たに告示された。

                    ↓

 平成15年2月15日土壌汚染対策法及び土壌汚染対策法施行令が施行された。フッ素及びその化合物は、同令1条21号において、同法2条1項に規定する特定有害物質と定められた。

                    ↓

 土壌汚染対策法の施行に伴い、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例115条2項に基づき、汚染土壌処理基準として定められた都民の健康と安全を確保する環境に関する条例施行規則56条及び別表第12が改正され、同条例2条12号に規定された有害物質であるフッ素及びその化合物に係る汚染土壌処理基準として上記と同一の溶出量基準値及び含有量基準値が定められた。

                     ↓

 本件土地につき、上記条例117条2項に基づき、土壌の汚染状況の調査が行われた結果、平成17年11月2日ころ、その土壌に上記の溶出量基準値及び含有基準値のいずれをも超えるフッ素が含まれていることが判明した。

                    ↓

 平成18年に提訴

 

 

 

2010年9月 9日 (木)

【金融・企業法務】 SFCG2重譲渡事件

 SFCG(旧商工ファンド)の債権二重譲渡事件については、少し前にマスコミ等で大きく報道されたところです。

 「商工ファンド」や「日栄」といういわゆる商工ローン会社は、私が弁護士登録したころは、その強引な取立行為が社会問題化していたころでした。

 商工ローンの1社が、「目たま売れ 腎臓売れ」という取立行為を行ったことで有名になりました。

 平成11年のころですが、私が弁護士になって初めて担当した案件が、商工ローンやサラ金との交渉でしたが、大手のサラ金はともかく商工ローンへの対応は、緊張を強いられた記憶があります。

 まず、商工ローンの子会社と称する担当者からの電話が毎日1回、時には、2回かかってきて、進捗状況を尋ねてくるのです。

 次に、進捗がないと、執拗に、「仮差押えをする」とか、「弁護士自身が作成した念書を差入れしろ」とか述べて心理的に追い込んでくるのです。

 そのため、弁護士登録して初めて迎えたGWはブルーな気持ちで、胃を痛め、さらには、最愛の妻に八つ当たりしてしまうなど散々でした(今でも妻から文句を言われますcrying )。

 今では担当者から非常識なことを言われたら、逆に言い返してストレスの解消にしてしまうのですが・・・

 慣れず1人で悶々としていたのですが、ちょうどそのころ、松山の弁護士である臼井先生(消費者問題の権威)が、ご多忙の中、商工ローン向けの勉強会を開催しており、この勉強会に参加して、目から鱗が落ちた気持ちになったことを覚えております。

 この勉強会に参加して学んだことを担当者に伝えたところ、絶句して、後日、担当者が話しが多少わかる人に代わり、法律論を前提とする数度の交渉を経て示談成立に至ったことを覚えております。

 平成11年のころは、利息制限法引き直しソフトが市販されておらず、東京の同期の弁護士から貰った利息制限法引き直しソフトをパソコンに入れて、引き直し計算をしていました。今では市販されていますが、平成15年ころまでは、そのソフトを使って、当初は私自身が数字を入力していました。

 些か脱線しました。

 金融法務事情No1904号では、東京地裁平成22年7月27日判決の原告新生信託銀行 被告日本振興銀行の不当利得返還請求事件の概要と判旨が紹介されていました。

 第三者対抗要件では、新生信託銀行が日本振興銀行に優先していたのですが、新生信託銀行が債務者対抗要件を備えていなかったことから、日本振興銀行が譲渡された債権の弁済を受けたため、新生信託銀行が不当利得返還請求訴訟を提訴したわけです。

 結論は、やはり第三者対抗要件を備えていない日本振興銀行が負けたわけですが、SFCGは、田舎弁護士がいる田舎でも大きな問題を発生させました。

 一番問題だなあと思ったのは、わずか1日遅れただけでも期限の利益を喪失させて一括払いを請求してきたことです。支払うことができない相談者の中には破産申立を余儀なくされたことがあります。

 また、2重譲渡事案も大変でした。文書が債務者の所に送りつけられ、その対応に負われることがありました。

 さらには、和解の条件として、将来利息と連帯保証人及び公正証書の作成など、大変厳しい要求を出されたことがありました。消費者金融では考えられないような条件です。

 ですので、私は、商工ローンは昔から大嫌いです。

 また、そのころは、地場のサラ金も対応が酷いものでした。

 取引履歴を出せと言っても、「平気でそんなものないよ」とか、東京3会基準を持ち出しても、「ここは四国でっせ」とか、利息制限法による引き直しを要求しても、「そんなこというのはあんたくらいよ」とかで、大変苦労したことを覚えています。

 また、大手サラ金から、本来消滅時効にかかっている債務を取り立てられ、わずかなお金を入れてしまったために、消滅時効の中断を言われて、取り立てられたケースもあります。件の業者に対して消滅時効の中断は濫用にあたるという趣旨の内容証明を送ったところ、担当者から、「虚偽の内容の内容証明を送ってきた。裁判してやる。」等と逆ギレした電話がかかってきたことを覚えています。

 ですので、私は、サラ金は昔から大嫌いです。

 さらに、開業したてのころの一時期は、比較的積極的に、ヤミ金の事件を受けていました。ヤミ金の被害者の方から相談を受け警察に相談したことがきっかけで、逆に刑事さんが私を紹介するようになったのです。そのため、一時期、ヤミ金の電話が毎日10回くらいなっていた時期がありました。また、ヤミ金は、スタッフに対しても執拗に取立をするため、スタッフが泣いてしまうこともありました。

 ですので、私は、ヤミ金は昔から大大大嫌いです。

 今までは、商工ローンもサラ金も昔のような元気はなく、ヤミ金は相変わらずです。

 つい数年前のことですが、20年位昔のように思えます。

<新司法試験> 合格率、過去最低の25.4%

  報道によれば、今日、新司法試験の合格発表があったようです。

 今年の合格者は、2074名となっています。受験生は約8000人ですので、約4人に1人が合格しています。

 法科大学院別では、出身法科大学院別の合格者は、①東京大が201人でトップ。以下、②中央大189人、③慶応大179人、④京都大135人、⑤早稲田大130人の順で、上位5校は昨年と同じ順となっています。

 上位校と下位校の格差は大きく、上位5校で合格者の4割を占めています。

 これじゃあ、旧司法試験時代と余り変わりませんね。

 ただ、旧司法試験時代(末期)は、中央大学は5番手付近をうろうろしており、新司法試験になり、東大とトップを争う位置まで復権したので、中央大学関係者としては少しうれしい気がします。

 また、一時期大学院に在籍していた神戸大学は、ライバル校である大阪大学に合格者数が抜かれており、残念な結果となっています。

 私の事務所では、今年、神戸大学法科大学院出身の新人が入所されることになっています。少しでも縁のある学校の方だと、なんとなく安心しますね。スタッフの中にも、神戸大学出身者がいますし・・・

 なお、新司法試験で3回の受験資格を使い切って不合格になった受験者も806人に上ったようです。この方々は今後どのように人生を歩まれるのでしょうか?受験回数制限は一刻も早く撤廃すべきです。

 

 

2010年9月 8日 (水)

【金融・企業法務】 自動車販売の所有権留保に関する最高裁の新判断 最高裁平成22年6月4日判決

 金融法務事情No1904号のリーガルNAVIです。

 信販会社が自動車の売買代金の立替払いをしたときは、通常、立替金債権の担保として当該自動車に所有権留保を伴いますが、その登録名義は販売業者にとどめ、信販会社名義とはしない取扱いが多いように思われます。

 最高裁平成22年6月4日判決も、上記取扱いに関する裁判例です。

 事案は、田舎弁護士でも体験しそうなケースです。

 Yさんが小規模個人再生の手続をとりました。そのため、Yが使用している車の代金の立替払いをした信販会社Xが、留保所有権に基づき、別除権の行使としてその引渡しを求めたケースです。なお、登録名義は信販会社ではなく、販売会社となっています。

 よくありますねえ。

 Xの引渡請求に対して、Yは、本件自動車の所有者として登録されているのは販売会社であり、Xは本件自動車について留保した所有権につき登録を得ていないから、上記別除権の行使は許されないとして争いました、

 原審は、Xの販売会社への立替え払いにより、弁済による代位が生ずる結果、販売会社が本件残代金を担保するために留保していた所有権が当該債権とともに法律上当然にXに移転するから、販売会社において対抗要件を具備している以上、Xは、自らの留保所有権の取得を主張するにつき対抗要件を具備することを要しないとして、Xの請求を認容しました。

 これに対して、Yは、上告受理を申立てを行い、最高裁は以下のように述べて、原判決を破棄しました。

 ①本件三者契約は、販売会社において留保していた所有権が代位によりXに移転することを確認したものではなく、Xが、保険立替金等債権を担保するために、販売会社から本件自動車の所有権に移転を受け、これを留保することを合意したものと解するのが相当であり、Xが別除権として行使しうるのは、本件立替金等債権を担保するために留保された上記所有権であると解するべきである

 ②そして、再生手続が開始した場合において再生債務者の財産について特定の担保権を有する者の別除権の行使が認められるためには、個別の権利行使が禁止される一般債権者と再生手続によらないで別除権を行使することができる債権者との衡平を図る趣旨から、原則として再生手続開始の時点で当該特定の担保権につき登記、登録等を具備している必要があるのであって、本件自動車につき、再生手続開始の時点でXを所有者とする登録がされていない限り、販売会社を所有者とする登録がされていたとしても、Xが保険立替金等債権を担保するために本件三者契約に基づき留保した所有者を別除権として行使することは許されない

 この判例は、民事再生手続における所有権留保の取扱について、初めて最高裁が別除権説に立つことを明言したものとして紹介されています。

 この最高裁判決を受けて、解説者は以下のように述べています。

 「今後、自動車の信販取引において、本判決の結論を前提とした実務対応は不可避と思われる。信販会社の所有権登録が必須となるのか、信販契約の内容修正で足りるか等早急に検討すべき事柄が少なくない」(同書5ページ)

 出たばかりの最高裁判決で、今のところ、解説したものがこれ意外には見当たりませんが、そのうち判タ等でも紹介されることでしょう。

 しかし、小規模個人再生事案で、最高裁判決を勝ち取った代理人弁護士には、脱帽です・・・

2010年9月 7日 (火)

【金融・企業法務】 権利能力のない社団を債務者とする金銭債権を表示した債務名義を有する債権者が、当該社団の構成員全員に総有的に帰属し、当該社団のために第三者がその登記名義人とされている不動産に対して強制執行をしようとする場合における申立ての方法 最高裁平成22年6月29日判決

 金融法務事情No1904号(8月25日号)で紹介された平成22年6月29日付け最高裁判決です。

 論点は、権利能力のない社団Aを債務者とする金銭債権の債務名義を有する債権者が、社団の構成員全員の総有に属し第三者を登記名義人とする不動産に対して、どのようにして強制執行の申立てをすることができるかが問題となりました。 

 上告人(債権者)は、登記名義人であるY(被上告人)は民事執行法23条3項所定の「請求の目的物を所持する者」に準ずる者であると主張し、上記債務名義につき、Yを債務者として本件不動産を執行対象財産とする同法27条2項のいわゆる承継執行文の付与を求める、執行文付与の訴えを起こしました。

 第1審及び第2審は、Yが社団の代表者である場合には、Xは執行文付与を求めることができるが、YはAの構成員ではくその代表者でもないから、Xは執行文の付与を求めることは出来ないとして、棄却しました。

 最高裁は、Xは、①当該社団を債務者とする執行文の付された上記債務名義の正本のほか、②上記不動産が当該社団の構成員全員の総有に属することを確認する旨の上記債権者と当該社団および上記登記名義人との間の確定判決その他これに準じる文書を添付して、当該社団を債務者とする強制執行の申立をすべきであり、上記債務名義につき、上記登記名義人を債務者として上記不動産執行対象財産とする執行文の付与を求めることはできないと判断しました。

 問題は、証明文書の内容ですが、これについては、田原再場館の補足意見が参考になります。

 勉強になりました。

2010年9月 6日 (月)

【交通事故】 不法行為に基づく損害賠償請求権について、法定重利に関する民法405条(利息の元本の組み入れ)の適用を排除する理由はないとして、原告の意思表示により事故発生日から1年以上経過した遅延損害金の損害賠償金への元本組み入れを認めた事例

 交通事故民事裁判例集(第42巻第4号)で紹介された大阪地裁平成1年8月31日判決です。

 法定重利に関する民法405条の適用については珍しい事案だと思いますので、紹介します。

 原告は、民法405条に基づいて法定重利の適用を主張し、被告側は、これを争った事案です。

 裁判所は、

 不法行為に基づく損害賠償請求権においても、弁済の充当においても、まず遅延損害金に充当されることがあるように、元本とは別に遅延損害金のみを債権者に支払うことは禁じられておらず、不法行為に基づく損害賠償の方法に関する民法722条は民法417条を引用しているが、これは405条の適用を排除することを意味するものと解することはできず、

 要は、不法行為に基づく損害賠償請求権について民法405条の適用を排除する理由はないというべきである

 と判示しています。

 珍しいですね。

 高額案件で判決になりそうな事案の場合には、使ってみようかなと思いました。

2010年9月 5日 (日)

【金融・企業法務】 年金が振り込まれた銀行口座に係る預金債権の差押えの可否

 金融法務事情No1904号(8月25日号)の判決速報で紹介された平成22年4月19日東京高裁の決定です。

 事案は、抗告人の預金債権に対して差押命令がされたため、抗告人が本件預金債権は抗告人に支給された国民年金および老齢年金が原資となっているものであるとして、差押禁止債権の範囲の変更を申し立てた事案です。

 原決定は、①本件預金債権のうち年金給付に該当する部分を特定することは困難であること、②抗告人において本件預金債権を費消する必要性が証明されたとはいえないとして、申立を却下したので、抗告人が執行抗告をしました。

 本決定も、①国人年金等が受給者の銀行口座に振り込まれて預金債権となった場合には、その法的性質は年金受給者の預金債権に変わり、執行裁判所は、申立により、その原資の属性を考慮することなく、当該預金債権について差押命令を発することができる

 ②約10か月の間に本件預金債権の口座に振り込まれた国民年金等の給付金約512万円の大部分が引き出されており、残りの差押債権は約10万円であること、抗告人は弁理士の資格を有し特許事務所を経営していることなどから、差押命令の全部又は一部を取り消すのは相当ではない

 と判断しました。

 預金債権が法律により差押えが禁止されている年金給付を原資としている場合に、それに対する差押えが許されるのか?という論点については、

 否定する裁判例(東京地裁平成15年5月28日)もありますが、多くの裁判例及び執行実務は、これを肯定する立場に立っております。

 従って、国民年金が差押禁止財産としても、預金口座に振り込まれると差押されますので、このような相談のアドバイスには工夫が必要となります。

 

2010年9月 4日 (土)

弁護士トラブル 見ました

 NHKの弁護士トラブルを見ました。

 ここ10年で弁護士に対するトラブルは急増し、もはや、悪徳弁護士の存在は、「消費者問題」の1類型として確立しつつあるという、きわめて不名誉な状況に陥っています。

 報道では、過払い金をめぐるトラブルが中心でしたが、闇社会に取り込まれた弁護士についても紹介されていました。

 その原因としては、司法(悪)改革により、弁護士の数だけ急増させられ、反面、訴訟事件等は増加しなかったことから、弁護士間で競争が激化し、仕事の無くなった弁護士の一部が、悪徳弁護士化しているようです。

 また、広告規制の撤廃、報酬の自由化により、都会の悪徳弁護士が、地方の消費者を勧誘しやすい環境になっていることも、被害拡大の要因の1つとなっています。

 弁護士という業務は、繰り返しますが、本来、自由競争原理になじむものではありません。

 それを司法改革の美名のもと、規制緩和したことにより、弁護士のトラブルが急増してしまったのです。

 また、弁護士に対する懲戒についても、十分ではありません。懲戒処分の強化は、悪徳弁護士の被害を拡大を防止するのに大きな効果があります。処分をたとえば過去5年間で3回受けたら、退会させるなどの方策が必要ではないかと思います。

 ただ、朝日新聞や日経新聞は、さらに新人弁護士を追い込むような主張をしています。

 弁護士の増加、報酬規定の廃止、広告の自由化は、弁護士トラブルを今後も増加させていくでしょう。

 少なくとも、懲戒処分の強化とその内容の公表は、やろうと思えば今でもできるのではないかと思います。

 まじめに仕事をしている弁護士が、大変な迷惑を被っています。 

【交通事故】 とてもショックな交通事故案件です

 交通事故民事判例集(第42巻第4号平成21年7月8月)(ぎょうせい)が送られてきました。

 この判例集は、名前のとおり交通事故に特化された判例集です。

 いつも20弱程度の裁判例を収録されていますが、今回、突端から、東京地裁平成21年7月8日判決のとてもとてもショックな交通事故案件が紹介されていました。

 事案の要旨は、被告宅配会社の被告配達人が、配達先の原告宅に荷物を届けに行ったところ、自宅にいた母親が入浴中で出られず、幼児(被害者・男・3歳)が受け取ったので押印を求めたところ果たさなかったが、そのまま配達を終え、団地内の駐車場に止めてあった配達用貨物車を発車させ、配達票を別保管しようとして運転席左手にあるバックモニターに差し込んでいるときに、自車前方にいた被害者にまったく気づかず、これを輪禍して死亡された事案です。

 詳細に判決文を読むと、涙なしには読めません。

 午前10時54分ころ、被告配達人が、原告宅(1階)に宅配便を届けるため、チャイムを鳴らしました。

 被害者である子どもが対応し、インターホン越しに「お母さんはお風呂に入っているよ。僕がハンコをもって頑張るよ」というのをきいて、荷物を取りにもどりました。

 被告配達人が荷物をもち外廊下を走っていると、子どもが玄関ドアをあけ、被告配達人をむかえました。

 被告配達人は、原告宅へ入り、玄関右隅に荷物をおき、子どもに押印するよう頼んで、配達票を荷物の上において、再び配達車に荷物をとりに戻りました。

 子どもは、玄関の外に出て、駐車場との境までくるなどしました。

 被告配達人がもう1つの荷物を原告宅に運び入れたところ、子どもは、玄関外から部屋の中に向かって、「ハンコを出して」と言いましたが、子どもの兄(4歳)が「ハンコないよ」と顔を出しました。

 被告配達人は、困ったなと思っていたところ、浴室でシャワーを浴びていた子どもの母親が浴室から出ようとしたのを見かけ、配達票への押印は求めないこととし、「ハンコいいよ」と言い残して玄関を閉めましたが、子どもも外へ出てきました。

 母親は子どもが外へ出たことをしり、子どもの兄に連れ戻すよう兄に指示しました。

 被告配達人は、原告宅への配達をおえ、車に乗り込み、発進させ、駐車場で出口方面へ向かいました。

 被告配達人は、時速約5キロで進行し、マンションの階段下で男の子が立っているのも見かけ、さっきの子どもだと考え、「ありがとね」と言いながら、原告宅への配達票を別保管しようと、運転席左手にあるバックモニターのある場所に差し込みました。

 その時、自車前方にいた子どもを発見することができず、子どもを車底部に巻き込み、19メートルひきずり、子どもの頭部を左後輪で輪禍して死亡させてしましました。

 子どもが輪禍された場所は、子どもの脳の一部や頭蓋骨の破片が散らばり、脳漿が流出していました。

 それを子どもの兄も目撃し、「しんじゃった」と自宅にいる母親に何度も繰り返しました。

 自宅で普通の生活をしていて、このような悲惨な死に遭遇した被害者及びその遺族の無念や苦しみは想像を絶するものがあります。

 被告配達夫自体、無謀運転をしていたわけではありません。

 しかし、ほんのわずかな油断がこのような取り返しのつかない結果をもたらしたわけです。

 判決文を読む限り、加害者側である被告側も反論らしい反論は余りしていないように感じました。

 死亡慰謝料は総額で3600万円が認められています。交通賠償事案では高額の部類に属しますが、事案の性質から考えると当然のものと考えます。

 ご子息様のご冥福をお祈り申し上げます。

 

今治商工会議所 創業「いまばり塾」 研修会

 昨日、今治商工会議所主催の、創業「いまばり塾」にて、出店ガイド(法律編)として、研修会の講師をさせていただきました。

  Pap_0044

 場所は、今治商工会議所2階大会議室でした。

 私の担当は、出店前の法律基礎知識編、出店後のトラブル対応策、個人情報(コンプライアンス)についてということでした。

 本来は、午後6時から45分ということでしたが、1時間位でお願いしますとうことでしたので、説明時間を30分、質疑応答を30分くらいという構成にいたしました。

 あんちょこを作るのに、10時間位かかってしまいました。おかげで個人情報保護法の基本がマスターできましたが・・・

 午後6時55分に終了でしたので、時間的には、まあ想定どおりでした。

 Pap_0042

 約15名程度の方が参加されていましたが、いまばり塾自体は8月21日から行われているため、受講されている方はみな仲がよいように感じられました。

 私自身は、余り人前で喋るのが苦手であるため、うまく説明できたかどうかは自信がありませんが、質疑応答では、共同経営に関する質問や反社会的勢力に対する質問などがありました。

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 ただ、弁護士の説明って、リスクの説明が多く、創業の動機付けにはならないのですよね。

 創業「いまばり塾」の詳細については、今治商工会議所のHPをご覧下さい。

 動画もあります。シルエットは微妙です・・・メタボ体型なため・・・

 近頃、講演や研修会の講師を引き受けることが多くなってきました。

 再来週は、損害保険会社の実務者担当者に対する講習会の講師があります。

今日の日本経済新聞の記事

 朝日新聞の司法修習生給費制に対する記事にも驚きましたが、日本経済新聞の記事(マーケット総合2P15)の内容はもっと驚きました。

 日本経済新聞の要旨は、

 合格者数の増加と弁護士の職域拡大の間には時差が生じて当然だから、合格者数の抑制は時期尚早である、

 企業や行政の内部、或いは、国際機関での執務や海外進出する日本企業の支援などの国際業務も、開拓の余地の「大きい」事業領域のはずだ、

 民間企業は苦労をして新規事業を立ち上げたり海外市場を開拓してきた、

 合格者は甘えるな

 という内容でした。

 確かに、民間企業であれば、売上げ拡大のために、新しい事業領域の拡大を積極的に行うということは理解できます。自由競争のもと、儲けを出さないと、淘汰されてしまうからです。

 ところが、弁護士の業務の中には、儲けにつながらない仕事がかなりの部分を占めています。刑事の国選事件、当番弁護、法律扶助事件、刑務所の受刑者の処遇に関する事件、無料法律相談会など多々あります。これは自由競争になじまない業務です。

 民間企業であれば、儲けにつながらない仕事は、基本的には引き受けません。当然のことです。

 ところが、弁護士の場合には、利益を度外して引き受けざるをえない事案も多々あるのです。

 日本経済新聞の記事では、弁護士の数を増やし弁護士が伝統的な弁護士業務だけでは充分な収入が得られない状況に陥らせることを、積極的に肯定しています。

 充分な収入が得られないのに、儲けにつながらない仕事は基本的に引き受ける人はいません。また、充分な収入が得られない弁護士だと、報酬が高かったり或いは依頼人のお金を横領してしまうことも考えられます。

 日本経済新聞社は、企業や行政の内部で弁護士が活躍できる余地はいくらでもあると言いますが、日本経済新聞社は、新人弁護士を今年どのくらい採用しているのでしょうか?また、採用されているとすれば、弁護士の資格を有する社員をどのように処遇されているのでしょうか?

 また、国際機関での執務とか、外国での日本企業の支援などに至っては、笑い話のようです。でも、日本経済新聞社は、「開拓の余地の大きい事業分野のはずだ」と言っています。

 そういえば、今日は、弁護士とのトラブルについての特集が、NHKで報道されるのではなかったかと思います。

 弁護士の急増で、食べていけなくなった弁護士が、依頼人をいかに食い物にしているのか、日本経済新聞はまるでわかっていないようです。

 司法改革のために、失った弁護士に対する信用を取り戻すのは、至難な技ですが、一刻も早く、旧司法試験制度という誰でもが受けられる試験に戻し、合格者の数は需要を睨みながら検討していく必要があるのではないかと思っています。

 

2010年9月 3日 (金)

文書提出命令の理論と実務 民事法研究会

 平成22年8月26日に民事法研究会から発行された「文書提出命令の理論と実務」という内容の書籍です。

 項目建ては、文書提出命令を利用する側からの視点と、される側、つまり、所持者側の立場からの視点に、わかれています。

 また、訴訟類型毎に説明がわかれており、実務的にわかりやすい構成になっています。

 例えば、第4章の交通事故訴訟の章では、「3慰謝料の増額事由としての交渉経過等の把握」の項目では、「加害者側の事故後の態度が著しく不誠実であるなどの事情があるときには、慰謝料の金額が基準とされるところを上回って認められることがあり、このような事情が存在することを立証するために、立証責任を負う原告において、加害者または同人に代わって示談交渉等にあたったいわゆる任意保険会社の所持する文書について、文書提出命令の申立てをする例もみられる。」ことが紹介されていました。

 第2章の「一般企業の文書」では、いわゆる交通事故調査報告書について、独立した項目として論じられていました。

 福岡地決平成18年6月30日は、外部の調査会社の作成した事故調査報告書に対する文書提出命令についての決定例ですが、一部について、自己利用文書を否定し、提出を認めたものです(以前、このブログで紹介しました。福岡の若手弁護士さんが勝ち得た決定と記憶しています。

 文書提出命令なんて、過払金請求が盛んになる以前はほとんど利用してことがありません。

 今では、日常茶飯事のように、申立をしているような状況です。時代は変わったものです。

 

2010年9月 2日 (木)

平成22年中央大学学員会愛媛県支部定期総会

 先月、母校の中央大学学員会愛媛県支部定期総会に出席しました。

 いつもは、愛媛県支部からは案内が来ないのですが、何故か今年は案内がきたため、10年振りに出席いたしました。

 以前は、道後の大和屋さんでやっていたのですが、今回は、全日空ホテルになっていました。

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 大学教授の講演の後、総会、懇親会という流れですが、懇親会に舞子さんが2名参加していたのにはびっくりしました。

 出席OB・OGの方は、大先輩の方々が多く、20代から40代の参加は非常に少ないように感じました。

 それでも、全体で50名以上の参加者がいて、賑やかでした。

2010年9月 1日 (水)

岩城島に出かけてきました  仕事です (^_^;)

 しまなみ海道沿いにある岩城島に出かけてきました。

 残念ながら、仕事です。

 岩城島は、橋がかかっていないため、今治から船で直行する方法と、今治から生名島まで車で行き生名からフェリーで岩城に渡るという方法とがあるようです。

 今回は、生名を経由して訪ねることにしました。

 今治から生名までは1時間程度でついたのですが、問題は食事です。

 港近くには、やたら「お好み焼き」の看板が立っているのですが、営業しているのは1件のようです。

 

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 港から車で数分程度の場所にあります。「お好み焼 るり」というお店です。

 直ぐ隣は海です。

 私は、尾道焼きを注文し、スタッフの方はそばめしを注文しました。

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 650円位でコーヒーもついています。おいしかったです。「尾道焼き」というのも初めて食べましたし・・・

 

 ご飯を食べた後は、岩城島に上陸して、車で20分くらいかけて、反対側の岩城港にいきました。

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 上島町の岩城支所です。古~い ですが、スタッフの方は、親切でした。035

  役場よりも綺麗な観光案内所です。切符も売っています。

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  この島には、以前、結婚披露宴で知り合った方が住んでいるのですが、役場の近くだったため、訪ねたのですが、どうやらお留守のようでした。

 4月にはサクラが綺麗だそうです。積善山の尾根に沿って咲くそうです。cherryblossom

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