【行政】 墓地経営許可処分の取消訴訟において、墓地からおおむね100㍍の範囲内に居住し又は住宅を有する者の原告適格を認めた上で、同処分は適法であるとして取消請求及び国家賠償請求が棄却された事例 東京地裁平成22年4月16日判決
判例時報No2079号(8月11日号)で紹介された東京地裁平成22年4月16日判決です。
事案は以下のとおりです。
練馬区保健所長が宗教法人Aに対し、墓埋法10条1項に基づいてした墓地経営許可処分について、本件処分に係る墓地の周辺又は住宅を有するXらが、Y(東京都練馬区)に対して、その取消を求めたものです。
本件の主な争点は、①本件処分の取消訴訟の原告適格、②本件処分の適法性でした。
①の本件処分の取消訴訟の原告適格については、学説・裁判例ともに分かれているところですが、福岡高判平成20年5月27日判決は、墓地がいわゆる嫌忌施設であるがゆえに生じる精神的苦痛等から免れるべき利益を個別的利益として保護するものと解するのが相当であるとした上で、結論としては、原告の主張する被侵害利益はいずれも認めることができないとして原告適格を否定しています。
本件判決は、違法な墓地経営に起因する衛生環境の悪化による周辺住民等の健康又は生活環境に係る著しい被害を受けないという利益を個別的利益として保護するものであると解して、墓地から概ね100㍍の範囲内に居住しまたは住宅を有する者については原告適格を認めています。
他方で、本件処分の適法性については、手続の違法性はなく、また、本件墓地は条例の基準を満たしていることから、合理的裁量の範囲内であって適法であるとしました。
墓埋法は余り勉強しない分野ですが、ごく稀に相談されることがあり、知っていて損のない法律の1つですね。
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