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2010年7月31日 (土)

【金融・企業法務】 清算会社に対する金銭消費貸借契約における増担保条項に基づく増担保の応諾請求等が認められなかった事例

 判例タイムズNo1324号(8月1日号)で紹介された平成21年6月17日付東京地裁判決です。

 増担保請求は、学生時代に教わった記憶はありますが、私は実務上は経験したことがありません。

 平成12年4月18日に廃止された銀行取引約定書には定型的な増担保条項が記載されています。

 従来の銀行実務は、

① 増担保条項は、銀行と借主の債権的契約にすぎず物権的な担保差入の予約ではなく、その行使は詐害行為や否認権の対象となるとみていること

② 取引先が銀行の担保差入請求に応じない場合、期限の利益を失うことになるが、銀行が事故の選択する担保たるべきものについて取引先の担保権設定の意思表示に代わる判決を求め、これによって担保権設定義務の履行自体を強制しうると解すべきではなく、仮登記仮処分命令によって担保権の順位を保全することもできない

③ 増担保条項とは別に、設定されるべき担保の対象及び態様を或程度まで特定して将来における担保の設定を特約した場合には、特約所定の要件具備とともに担保差入の請求権が成立する

 と指摘されているようです。

 平成21年6月17日付け東京地裁判決は、

(1)金銭消費貸借契約証書に、本件約定とともに、提供を約した担保の詳細については別途契約する旨の記載があったことなども考慮して、本件約定は債権的な効力を有するにすぎず、本件約定が担保権設定応諾の意思表示を請求することを認めた規定であると解するには、そのような効力を定めた規定であると認めるべき特段の事由があることを必要とする

(2)①本件約定がそのような効力を定めた規定であると認めるに足りる証拠はないこと

 ②債権者の債務者に対する債権について弁済期限が到来し、あるいは期限の利益を喪失したような場合には、債権者において期限を猶予するなど、更に信用供与を行わない限り、増担保請求権を行使することはできないと解するのが相当であること

 ③営業活動を行うことができない清算中の会社に対する信用の供与を継続し、債権債務関係を継続するために増担保請求権を行使することに合理的な理由は見い出し難いこと

 などから、Yに増担保請求の応諾義務があるとは認められないと判断しました。

 本判決は、増担保条項の効力を制限的に解したものであり、知っておかないと相談の際に恥をかきそうです(もう何度もかいていますが・・・)。

 

2010年7月30日 (金)

【行政】 市立保育所に入所中の児童が保育所内で熱中症で死亡した事故につき、保育士に重大な過失があったとして市の国家賠償責任が認められた事例 平成21年12月16日さいたま地裁判決

 判例タイムズNo1324号(8月1日号)で紹介された平成21年12月16日付けさいたま地裁判決です。

 事案は、当時4歳の男の子が、市立保育所に入所して保育を受けていたところ、平成17年8月10日、保育所で所在不明となり、同日午後0時25分ころ、保育所に設置されていた本棚の中で発見されたものの、熱中症で亡くなってしまったというケースです。

 記録を読んでいて疑問に感じたのは、なぜ、男の子が本棚の収納庫に入り込み、出てこれなかったのか?ということです。これは、裁判の結果でも、未解明のままに終わっています。

 原告も、同級生の子たちが何らかの関与をしたのではないか?と主張されていますが、記録上よくわかりません。

 裁判所は、保育士らの動静把握義務の懈怠は、重大な過失であると認定しています。

 以下、少し、半分を引用します。

 「本件において、Bが所属していた4歳児クラスきく組の担当保育士であったK保育士とL保育士は、・・・、本件事故当日、散歩から・保育所へ帰った際に、園内において、きく組児童らの人数を改めて確認することもせず、そのまま漫然と、自由遊びの時間として、児童らを保育室内のみならず廊下やホールなどでてんでばらばらに遊ばせていたにもかかわらず、両保育士とも、きく組保育室内で児童らとの遊びに夢中になり、午前10時25分ころから午前11時35分ころまでの1時間以上にわたって、人数確認もしなかったのであり、L保育士においては、一度も同保育室から出て保育室の外にいる児童の様子を窺おうとすらせず、K保育士においても、一時的に同保育室から出たものの、L保育士あるいは他の保育士らと声掛けを行うこともなかったのである。

 そして、両保育士は、同保育室内にいなかったBについて、散歩から帰った後、保育所内でその姿を一度も確認することがなかったにもかかわらず、Bは保育室と廊下を出たり入ったりしていたPやXと一緒に遊んでいるのだろうという漠然とした認識を持っているだけで、その状況について何らの危機感も持たないまま、昼食の準備を始め、皿が余っている状態になって初めてBがいないことに気がついたのである。

 このように、K保育士とL保育士が、1時間以上もの間、Bの動静を把握することを怠ったことは明らかであるところ、

 4歳の児童が大人の予想がつなないような行動をとって危険にさらされることは十分にあり得ること

 別紙図面1からも明らかなように、園舎内であってもトイレや廊下など一般的に危険な場所であるにもかかわらず死角となっていて、児童が助けを求めても声も聞こえないような場所が存在すること

 に照らせば、

 両保育士による1時間以上に渡る動静把握義務の懈怠は、・・・重大な過失というべきである。」

 この亡くなった男の子は、夫が38歳、妻が33歳の時の子であり、長い間不妊治療を行った結果、ようやく授かった子であり、夫の家では、初孫で唯一の孫になるようです。

 この男の子が在籍していたクラスには、モンスターペアレンツのような父兄が在籍していたようで、この父兄は、児童の怪我に関して休業補償を請求したり、児童の通院に保育士の付添を要求したり、ひっかき傷がのこるようであれば訴えるなどの要求をされていたため、原告らは、保育士らが上記児童以外の児童らに対する関心、注意に遺漏が生じたのではないかという主張もされ、裁判所もその主張を認めています。

 亡くなった男の子は、明るくて、素直で、人の気持ちを察することができる気持ちの優しい性格だったようです。

 保育の現場は、どうしても小さな子どもが対象とするため、保育士も大きなストレスがかかる職場だと思います。日頃の危機管理態勢の構築が大切だなあと感じました。 

2010年7月29日 (木)

【行政】 生命保険年金二重課税訴訟 最高裁平成22年7月6日判決

 判例タイムズNo1324号(8月1日号)で紹介された最高裁平成22年7月6日判決です。

 年金払特約付きの生命保険契約の被保険者兼保険料負担者であった夫の死亡により、保険会社から保険金としての年金の支払いを受けたXさんが、相続税の課税を受けておきながら、年金部分について所得税の課税を受けるのは、同一の所得に2重に課税するものとして、所得税法9条1項15号(現在16号)により、許されないとして、所得税の更正処分についての取り消しを求めた事案です。

 旧所得税法9条1項15号 次に掲げる所得については、所得税を課さない。 (15) 相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの

 第1審は、年金受給権に相続税を課した上、更に個々の年金に所得税を課すことは、実質的・経済的には同一の所得に対して課税するものであることを理由に、Xの請求を認めました。

 これに対して、第2審は、基本債権としての年金受給権とこれから発生する支分権に基づく年金とは法的には別の財産であって、年金受給権はみなし相続財産として所得税法9条1項15号の非課税財産に当たるが、個々の年金はこれに当たらないとして、Xの請求を認めませんでした。

 最高裁は、第1審とも第2審とも異なる考え方をとりました。

 個々の年金の支給額を、被相続人死亡時の現価に相当する部分その余の部分とに分け、現価に相当する部分は、相続税法24条1項1号の規定により相続税の課税対象となる経済的価額と同一のものであるから、所得税法9条1項15号により、所得税の課税対象とはならない。

 ① 被相続人死亡時の現価に相当する部分 ← ×

 ② その余の部分 ← ○

                   ↓

 本件年金は、被相続人の死亡日を支給日とする第1回目の年金であり、その支給額は被相続人死亡時の現価そのものであるから、これに対して、所得税を課すことは許されない

 今回問題となった年金で受けとる場合の年金受給権の相続税価額は、1380万円とされているため、

 第1回目  230万円支給   現価 230万円

 第2回目  230万円支給   現価 202万円位

 第3回目  230万円支給   現価 177万円位

 最高裁判決に従うのであれば、各現価の金額をそれぞれの支給額から差し引いた金額が、各回の年金の所得税対象額となるものと考えられることになります。

 

 また、最高裁は、所得税法旧207条所定の生命保険契約等に基づく年金の支払いをする者は、当該年金が同法の定める所得として所得税の課税対象となるか否かにかかわらず、その年金について所得税の源泉徴収義務を負うと判断しました。

 これは、「生命保険契約等に基づく年金の中に所得税が課される年金とそうではない年金とがあり、更に1つの年金の中にも所得税の課税対象となる部分とそうでない部分とがあることになり、これらを細かく仕分けさせることが支払者の手間と費用を増大させる結果にもなりかねないことから、一律に所得税法207条、208条を適用して、確定申告において個別に精算させるのが相当であるとの実質上の理由によるものである」(同書80~81)と明記されています。

 新聞でも大きく報道されていましたが、ようやくその内容がわかりました。

 

2010年7月28日 (水)

【行政】 県立高校の生徒が陸上競技大会に出場し、棒高跳び競技中に負傷した場合、顧問教諭に過失があったとして、県の国家賠償責任が認められた事例 福岡高裁平成22年2月4日判決

 判例時報No2077(7月21日)号で紹介された平成22年2月4日付け福岡高裁判決です。

 事案は、以下のとおりです。

 高校生のXさんは、Yが開設する高校の陸上部に所属していたところ、8月13日に怪我をして治療を受けていたにもかかわらず、9月5日に、棒高跳びの競技に出場したものの、空中でバランスを崩してマットに転落して、大きな後遺障害を残しました。

 そこで、Xさんは、Yに対して、Xを競技大会に参加させた顧問の先生に安全確保義務違反の過失があったとして、損害賠償を請求しました。

 第1審の福岡地裁は、

 Xの当初の怪我は医師によっても著明に改善し、競技大会への出場も禁止されない程度に回復していたことから、競技大会に出席しても何らかの危険性があると具体的に予見することができないとして、

 Xを負けさせました。

 第2審の福岡高裁は、反対に、競技大会に出席すれば安全にかかわる事故が発生することを具体的に予見することが可能であったとして、過失を認め、

 Xを勝たせました。

 現在、上告・上告受理申立中のようです。

 Xさんにとっては不幸なことですが、当初の怪我は著明に改善し、腫れも圧痛もなく、医師も大会への出場を止めなかったというのですから、これで過失を認めるのは、顧問の先生には些か厳しいのでは?と思いました。

 これも最高裁に係属しているようですが、どうなるでしょうか?

 

2010年7月27日 (火)

【消費者法】 専願等を資格要件としない大学の推薦入学試験に合格した者が、入学年度開始後に在学契約を解除した場合において、いわゆる授業料等不返還特約が有効とされた事例 最高裁平成22年3月30日判決

 判例時報No2077(7月21日)号で紹介された最高裁平成22年3月30日判決です。

 事案は、以下のとおりです。

 本件は、Yの設置する大学の専願等を資格要件としない推薦入試に合格し、入学金、授業料等の学生納付金を納付したXが、4月5日に入学を辞退した上、不当利得返還請求権に基づき、Yに対し、既納付の学納金の返還を求めた事案です。

 最高裁では、授業料等につき、いったん納付した学納金は一切返還しない旨の特約を根拠に、Yがその返還を拒絶することができるか?、すなわち、上記特約が、平均的な損害を超える違約金等条項として消費者契約法9条1号により無効になるかどうか?が争われました。

 これについて平成18年の一連の判決により、①解除の意思表示が3月31日までにされた場合には、原則として、大学に生ずべき平均的な損害は存せず、②同日より後にされた場合には、原告として、納付済みの授業料等は大学に生ずべき平均的な損害を超えないとしています。

 原審の大阪高裁は、

 このような枠組みにたちつつも、

 Y大学の学生募集要項に、4月7日までに補欠合格の通知がない場合には不合格となる旨の記載があり、Y大学が4月1日以降も補欠合格により入学者を補充することがあったことなどから、Y大学において4月7日までの入学辞退は織り込み済みであったと判断し、

 Xの請求を認めました。

 しかし、最高裁は、

 上記学生募集要項の記載は、推薦入試の合格者として在学契約を締結した者について、その最終的な入学意思の確認を4月7日までに留保する趣旨のものとは解されず、

 また、4月1日以降に在学契約が解除された場合、その後に補欠合格により入学者を補充しようとしても、学力水準を補充しつつ入学定員を確保することは容易ではないなどから、

 このような事情があったとしても、Y大学において4月1日以降の解除が織り込み済みであるということはできない

 と判断しました。

 解説に拠れば、「契約の類型毎に合理的な算出根拠に基づいて算定されるべきものであるとの理解を前提に、一般的な大学入試の実情をふまえ、基準の明確性という点も考慮して、入学年度開始日である4月1日を原則的な基準としたものであって、補欠合格の実施方法や現実に入学定員を確保できたか否かという個別具体的な事情によって平均的な損害の有無が左右されると解することは、判例の基本的立場に沿わないものと考えられる」と説明されていました。

 この大学医学部医学科の入学金は100万円、授業料などは約700万円です。

 Xさんは、結局、他の私立大学の医学部に入学したようですが、Xさんが、かえせという気持ちを抱くのもわからんではないです・・・・

 第1審は、Xさん負け、第2審は、Xさん勝ち、第3審は、Xさん負けです。

 最近の最高裁は、よく原審をひっくり返すなあと思います。

 今回は、大学の医学部ですが、法科大学院のケースも将来でてくるかもしれませんね。

 

 

2010年7月26日 (月)

【金融・企業法務】 反社会的勢力への実務対応 金融法務事情1901号

 お相撲さんの事件でも問題となっていますが、暴力団等の反社会的勢力との関係遮断が、強く求められているようになっています。

 金融法務事情1901号は、金融機関が反社会的勢力に対してどのような対応をとったらいいのかについての特集記事を組んでいました。

 実務対応は、ケーススタディという形式になっており、15ケース毎の対応策を明示しており、大変参考になります。

 反社会的勢力との関係遮断については、担当者1個人で対応できるわけではなく、金融機関が組織一丸となって毅然とした対応をとることが重要だといえます。

 反社会的勢力との関係遮断については、

 ①平成19年6月19日の犯罪対策閣僚会議幹事会申し合わせ「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について」(政府指針)の決定、それを受けて、

 ②平成20年3月26日、「主要行等向けの総合的な監督指針」、「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」など(監督指針)が改正され、

 ③全銀協から、暴排条項の参考例が発表される

 など、最近の金融機関の反社対応はめまぐるしく進化しているところです。

 私自身は損害保険会社から依頼を受けることが多いため、交通事故や保険金請求事案の相手方の中には、反社或いはその可能性のある方にあたる場合がありますが、やはり毅然とした一貫した態度が重要かと思います。

 ケース14の不当要求対応ー失敗例から学ぶというケースでは、金融機関の行員さんが、行きつけのバーで知り合った女性と関係を持ったことから、当該行員さんが所属する金融機関に対して、不当要求されるに至ったケースです。

 重要なことは、金融機関が、当該行員さんの個人的な問題として、事なかれ主義的に対応するのではなく、前述したように、反社に対しては、金融機関が組織一丸となって毅然とした対応をとることが重要だということです。

 属性確認、面談時間の管理、複数対応、面談内容の記録化、外部機関との連携確保、いずれも留意して対応していく必要があります。

2010年7月25日 (日)

明日は土用の日

 午前中は、プールで、2キロ泳ぎました。最近は、アクアミットという手袋というか、ひれのようなものを付けて泳いでいるため、90分くらいかけないと2キロ泳げません。週4回ほど泳いでいるのですが、おなかは引っ込みませんね。

 昼は、フジグラン今治を訪ね、2階のフードコートで、うどんをいただきました。さぬきうどんようなこしがあります。おろしぶっかけにしました。

 中央の広場では、楽しげなイベントもありました。

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 うどんをいただいた後は、シネマサンシャインで、「インセプション」という映画を見ました。最後の場面は、意味深でしたね。

 そのあとは、フジグラン2階の元気堂で整体を受け、書籍と食料品を購入して帰宅しました。

 ヴェスタでは、いいお酒置いていたので、購入しました。

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 [魔王」と「森伊蔵」です。自分ではもったいないので、贈答品に使う予定です。 

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  フジグラン5階駐車場からみた、今治城方面です。

  夜は義父母と一緒に、「城下まち」(今治市)という風茶料理店で、うなぎを食べました。 

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 昨日から妻が、「うなぎ、うなぎ」と言っていました。そこで、妻がインターネットを使って調べて、評判のよかったこのお店にいたしました。

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 予約をすると1割引きになるようです。

 いただきます。

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 おいしくいただけました。

 今日は、久しぶりに、のんびりした一日でした・・・・

今治造船 売上高・建造量 最高に 7月22日付日経新聞

 今治を代表する大企業としては、今治造船、日本食研、ハリソン電機などが挙げられます。

 7月22日付日経新聞によれば、今治造船の3月期の連結売上高が前年比1%増の4832億円だったことが、発表されました。船舶建造量は、14隻増の101隻、総トン数は16%増の442万総㌧だったようです。

 売上高、建造量ともに、1901年の創業以来最高となりました。

 足元の受注も、4月以降、リーマンショック後の不況から脱して上向いており、現時点で、300隻以上の受注残を抱えているようです。

 今治大丸閉店、ハリソン電機のリストラ等、この地域には経済的にはあまり明るい話題がありませんので、今治造船さんには、是非地域の活性化のために、頑張っていただきたいものです。

2010年7月23日 (金)

【交通事故】 5級高次脳機能障害を残す過程の退院後付添費日額3000円、症状固定後後は同2000円、同期間の労働能力は80%喪失と認めた事例 東京地裁平成21年11月17日判決

 自保ジャーナルNo1826号(7月22日号)で紹介された平成21年11月17日東京地裁判決です。

 事案は以下のとおりです。

 41歳女子有職主婦が、大型貨物車に衝突され、脳挫傷等で118日入院、143日通院して、5級高次脳機能障害等併合4級後遺障害を残した事案です。

 後遺障害等級5級の ①症状固定後の介護料 ②労働能力喪失率が問題となりました。

 まず、将来の介護料については、5級の高次脳機能障害を前提に、他方で、相応の家事ができていることや、看視・声かけの付添であることを考慮して、日額2000円と考え、平均余命まで認めました。

 次に、労働能力喪失率については、原告は、併合等級の4級を前提に、92%の喪失を主張されていましたが、裁判所は、買い物や料理に支障があること、嗅覚脱臭が認められることから、80%(ほぼ後遺障害等級5級に相当)を認定しました。

 今回の自保ジャーナルを読んで感じたのは、高次脳機能障害の事案は全国津々浦々で提訴されていますが、原告代理人は、特定の弁護士に集中されていました。

 高次脳機能障害事案についても、都会の弁護士に負けないよう、頑張りたいと思います。

 

2010年7月22日 (木)

弁護士の卵 就職氷河期 合格者増で562人 未定 7月22日付愛媛新聞

 今日の愛媛新聞に、年内に司法修習を終える司法修習生(弁護士の卵)2180人にアンケートを行った結果が出ていました。

 全体の1346人が回答して、8月に司法修習が修了する旧司法試験組の場合は、159人中 30人、12月に修了する新司法試験組の場合は、2021人中 532人が、就職先未定の状態のようです。

 昨年に、田舎弁護士の私の事務所でも新人弁護士採用について募集をかけたところ、かなりの方からお問い合わせをいただき、修習生の就職戦線も厳しくなっていることが肌に感じました。

 選好の結果、社会人経験のある穏和で明るい方に司法修習終了後に来ていただくことになりました。

 採用にあたって重視させていただいたのは、①ご性格のほか、②司法試験の成績と、③出身法科大学院の実績及びその成績でした。

 採用する方としては、「買い手市場」ということになるのでしょうが、本来、それは望ましいことではないと思います。

 日弁連は、国や企業に、組織内弁護士としての採用を求めていますが、少なくとも、企業が、実務経験の少ない新人弁護士を大量に採用されるとは考えられません。

 国の施策で増やしている以上、国の方で積極的に採用してもらうしかありません。

 (1)国や企業が採用できないのであれば、司法試験の合格者の数を減らすべきか、或いは、(2)逆にもっと試験を簡単にして余り費用と時間をかけないでとれる資格にしてしまうしかないように思われます。

 資格を取得するのに多大な時間と費用がかかり、かつ、就職先もない状態が続けば、司法試験に魅力がなくなり、結局、法曹界の地盤沈下につながるのではないかと思われます。 

 

2010年7月21日 (水)

薬師祭り 東禅寺(今治)

 7月18日、今治市南宝来町の東禅寺で、恒例の薬師祭りがあったので、近所の子どもたちと一緒に出かけてきました。

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 屋台も出て、境内は賑やかでした。

 ただ、いまから40年近く前のお祭りは、山門の外に多数の屋台が並び、大勢の人たちが行き交い、大変賑やかな印象を子どもながら覚えています。蔵敷、南宝来の人口が昔と比べて減ったのでしょう。祖父母の家だった場所や、祖父の工場だった場所は、いまでは、駐車場になっています。

 顔見知りの方が多いようで、アットホームな感じのお祭りでした。

  その後、フジグラン今治の整体に行ってきました。元気堂というお店ですが、なかなかいいと思います。

 

2010年7月20日 (火)

焼き肉 じゃんじゃか 今治店

 フジグラン今治の2階にある焼肉店の「じゃんじゃか今治店」に家族と行ってきました。

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 じゃんじゃか今治店の入口です。

 夕食は、食べ放題コースに、ドリンクとして、ソフトドリンク飲み放題とアルコール類飲み放題が選択できるようになっています。

 また、料金も、小学生低学年と高学年が異なるなど、きめ細かく設定されています。

104_2  まずは、ビールを注文して、「いただきます。」です。野菜類やトウモロコシ、そして、今回の目玉である牛すじなどを、アミの上に置いてみました。当然、奉行は、一家の主(?)である私です。子どもは、「焼き肉名人」と呼んでくれましたが・・・

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 個別に注文したカルビやロースです。ネギが添えられています。おいしそうでしょ。

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 チーズ入りの石焼きビビンバです。とても熱かったですが、おいしくいただけました。チーズが少し焼けたのがぱりぱりしてさっぱりした味になっていました。

   

107 ごちそうさまでした。一家全員で完食いたしました。とてもおいしくいただけました。

 アミの下には、丸い炭のようなものがたくさん敷かれていましたが、やはり炭なんでしょうかね?

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 最後は、アイスクリームで締めました。子どもがとってきてくれました。メロンアイスとバニラアイスです。満腹、満腹です。お支払いの代金は、私のお小遣いの中からですが・・・ トホホ

 焼肉を満喫したあとは、ベェスタ(フジグラン今治の食品売り場)で買い物をしました。魔王という焼酎を購入しました。百年の孤独や、森伊蔵など、超人気のお酒も、隠れるように売っていました。早いもの勝ちです。

2010年7月19日 (月)

愛媛総合科学博物館(新居浜市)に行ってきました。

 昨日、愛媛総合科学博物館(新居浜市)に子どもを連れて出かけてきました。

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 駐車場3階からみた博物館の全貌です。橋の下は、高速道路が通っています。

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 お目当ての博物館入口です。

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 なんと、特別展をやっていました。7月10日から8月31日までです。料金は、大人600円、小中学生300円です。 

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 大きなカブトムシです。子どももびっくりです。 

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 カブトムシマップです。カブトムシで作っています。

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 怒っているお母さんにそっくりだとか・・・

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 世界で一番大きな花だそうです。植物図鑑でみたことがありますが、本物は初めてです。

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 カブトムシの模型ですが、あまりもの大きさに、子どももびっくりです。なお、このあたりに、大きなゴキブリを、「抱け。抱け。」 happy01 というお姉さんがいるので注意が必要です。無害というようですが、やはり、気持ち悪いです。

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 人面カメムシです。おもしろいですねえ。8月31日までのようなので、興味ある方は、訪ねられたらいいと思います。

 常設展は、松山にあった県博物館の展示品を持ってきているため、以前よりも展示品も多く、また、楽しめるものも増えていました。

 「020.3GP」をダウンロード

2010年7月18日 (日)

【交通事故】 交通事故に伴う企業の逸失利益

 交通事故判例速報No529(平成22年7月)号で紹介された解説記事です。

 テーマは、「交通事故に伴う企業の逸失利益」ですが、①反射損害、②企業損害、③企業の直接損害にわけて、論じておられます。

 ①反射損害については、例えば、会社役員または従業員が事故で終了不能となったが、会社が被害者に対する就労不能期間中の報酬・給与を支払った場合、会社は事故の加害者に対し、同支払報酬額・給与額に相当する損害賠償請求ができるか?という問題です。

 理論構成の違いはあるようですが、最近の裁判例の大半は認めているようです。

 加害者側から、会社が支払っているのだから被害者には損害が発生していないと反論されることが多いですが、会社が請求するのであれば、余り問題が生じないように思われます。

 ②間接損害については、例えば、会社の役員等が怪我をしてしまった場合、会社が損害を受けたとして、請求するような問題です。これについては、最高裁43年11月15日判決があるため、「会社がいわゆる個人会社で、被害者である役員に会社の機関としての代替性がなく、被害者と会社とが経済的に一体をなす等の関係が認められる」という要件を充たすかどうかで判断されています。

 ③企業の直接損害については、そもそも法人そのものには肉体的実体がないことから、間接損害が認められるようなばあいでない限り、損害の主体とはならないものの、事故により会社の人的組織の全員またはその大部分が死亡重傷により機能しなくなった場合には、会社も直接的被害者であると捉えて請求できる余地はあります。

 下級審判例は、大津地裁昭和54年10月1日判決は、従業員11名のうち、10名が被災して2名が死亡8名が重軽傷を負った案件で、会社の損害賠償請求を肯定しましたが、他方、神戸地裁平成11年6月16日判決は、個人事業主(原告)の従業員の約3分の1にあたる8名が受傷したことにより、原告自身が損害賠償請求を求めた事案で否定しました。

 神戸地裁は、「雇い主としての利益を挙げられないという損害は、間接的な損害に過ぎない。」、「果たせない雇い主のみ損害賠償請求権があるとするのは妥当でない。」、「不法行為法による救済の外にある。」というほかないと、冷たく述べています。

2010年7月17日 (土)

【金融・企業法務】 財産開示制度の改正の必要性

 自由と正義7月号で、債務名義執行力強化のために、「財産開示制度」の強化を求める内容の特集記事が紹介されていました。

 財産開示制度は、今から6年位前に導入された制度で、一定の債務名義を有する債権者が強制執行に失敗した場合に、債務者に対して、財産の開示を求めることができる制度です。

 ところが、債務者の権利に配慮するあまり、不出頭の制裁は過料30万円にとどまり、過料の負担を覚悟すれば、裁判所に出頭しなかったり、嘘を言った方が、トクだというシステムになっています(小原健弁護士のお話)。

 導入時の2004年で、718件、翌年は、1182件申立がされたようですが、最近では、800件程度にとどまっています。

 日弁連のアンケート結果によれば、債務者が出頭したのは、半分程度、全く回収できなかったのは、75%となっており、債務名義の強化のためには、実効性の強化が望まれています。

 改正の具体的な方策としては、

① 債務者財産を公務所・公私の団体に紹介する制度を創設すること

② 債務不履行者名簿を創設すること

③ 債務者の出頭を確保する勾引の制度を創設すること

④ 正当な理由のない不出頭、財産の不開示などに対する制裁を強化すること

 が考えられるようです。

 確かに、私が取り扱っている案件でも、債務名義を得ても、財産を確認することができず、強制執行も不奏功に終わり、悔しい思いをさせられたことは度々です。

 アンケートでは、懲役刑を必要とする回答も45%と多く、また、1年以下の懲役とするのが62%を占めていました。

2010年7月16日 (金)

弁護士大受難時代

 横浜で登録してまだ日の浅い弁護士が殺害された事件があったのは、記憶に新しいです。確かに、最近、精神的に著しく不安定な方が、ご相談にこられたり、あるいは、相手方になることが増えており、そのため、事務所のセキュリティの強化を図っています。

 今や弁護士業はハイリスクな業種の1つですが、一昔前までは、真面目に仕事をしている限り生活には困りませんでした。

 しかし、昨今では、弁護士の数が激増していることから、ローリターンで、経済的にも見返りが小さくなっているようです。ハイリスク・ローリターンな職種になりつつあります。とくに、若い弁護士にはその傾向が強まっているようです。

 フライディの記事ですが、現在の弁護士事情についての記事ですが、なるほどなあと思う部分も多々あり、このままだと、弁護士志望の若者が年々減少していくのではないかと危惧感を感じます。

 私が登録したころは、愛媛全体でも、登録者が毎年0名から2名程度ですが、最近は、毎年10名近く増加しています。弁護士が増えるのは結構ですが、新人弁護士が普通に食べていけなくなるほど増えるのはどうかな?と思ったりしています。

 いままでは、バッチさえあれば、まじめに仕事をしている限り、食べるには困りませんでしたが、いまは、バッチだけでは生活の保障をしてくれなくなりました。

 ただ、競争激化の中、繁盛している事務所もあり、以前よりも、繁盛している事務所とそうでない事務所の格差が出てきているのではないかと思っています。

 過払いバブルも終焉を迎えつつあるいま、田舎の街ベンの法律事務所が生き残るためには何が必要か?について自問自答を繰り返しています。

 私の場合には、交通事故と顧問先企業様の法務を中心に扱っていこうと考えています。

2010年7月15日 (木)

【金融・企業法務】 貸金業を営む株式会社の従業員が会社の資金の原資に充てると欺罔して金員を詐取した行為が、会社の事業の執行についてされたというための要件

 判例タイムズNo1323号(7月15日号)で紹介された最高裁平成22年3月30日判決です。

 被用者の行為が民法715条1項にいう「事業の執行について」の要件を満たすかどうかについては、

 当該行為が

 ①使用者の事業の範囲に属するか否か

 ②被用者の職務の範囲に属するか否か

 の2段階に分けて検討する必要がありますが、

 今回の最高裁判決は、正面からこの論点を論じたものです。

 即ち、最高裁は、

 「上告人は貸金業を営む株式会社であって、Aを含む複数の被用者にその職務を分掌させていたことが明らかであるから、本件欺罔行為が上告人の事業の執行についてされたものであるというためには、

 貸金の原資の調達が使用者である上告人の事業の範囲内に属するというだけでなく、

 これが客観的、外形的にみて、被用者であるAが担当する職務の範囲に属するものでなければならない。」

 と判断しています。

 ただ、最高裁は、破棄自判して、控訴を棄却しているのです。即ち、「被上告人は、Aが担当する職務の内容、上告人の資金調達に関するAの職務権限、当該職務と本件欺罔行為との関連性等に関し、何ら主張立証をしていないのであって、貸金の原資の調達が客観的、外形的にみてAの担当する職務の範囲に属するとみる余地はない」と判断しています。

 通常は、このあたりを確認させるために、差し戻しを行うはずなのですが、うかがわせるような事情も全くなかったのでしょうか?

 当たり前の結論ですが、被上告人の代理人は、大変だと思います。

2010年7月14日 (水)

【交通事故】 柔道整復師施術料

 自保ジャーナルNo1825号で、「柔道整復師の施術料」が問題となったケースの大阪高裁平成22年4月27日判決が紹介されていました。

 交通事故の被害者が、原告との間で、柔道整復施術契約に基づき、原告から、平成19年4月4日から9月21日までのうち110日施術をして、その施術料として114万円程度(労災基準の2倍)の債権を、原告が当該被害者から債権譲渡を受けて、加害者に請求した案件です。

 第1審は、110日の施術については、必要且つ相当な施術期間の範囲であることを認めた上で、金額については、労災保険基準の1.2倍の範囲で認めて、原告に対して、約70万円の施術料を認めました。

 ところが、控訴審は、約3万円程度の施術料しか認めませんでした。

 控訴審は、まず、必要性のあった期間としては、平成19年4月16日までであるが、初期の7日程度は安静が必要であることから、残りの合計6回程度の範囲でその必要性を認めました。また、金額についても、労災基準の上限額の範囲でしか認めませんでした。

 今回の判例解説は、なんと古笛恵子先生(弁護士)の解説となっています。

 「自由診療の基準として労災基準の上限額、当該保険会社が認めている目安料金を採用した本判決は、今後の実務に与える影響は大きい」と評価されています。

 

 

2010年7月13日 (火)

【倒産】 複数の債権の全部を消滅させるに足りない弁済を受けた債権者が、特約に基づく充当指定権を行使することが許されないとされた事例 最高裁平成22年3月16日付け判決

 判例タイムズNo1323号(7月15日号)で紹介された最高裁平成22年3月16日判決です。

 事案は、以下のとおりです。

 A(中小企業金融公庫)は、Bに対して、合計5口の債権を有していました。B及びCは、それぞれ自己の所有する不動産に、これら5口の債権を被担保債権とする根抵当権を設定し、Dは、BのAに対する5口の債務について保証をしました。

 主債務者であるB及び保証人Dは、債権者Aとの間で、BのAに対する複数の債務につき、その全部を消滅させるに足りない弁済がされたときは、Aにおいて任意の時期に弁済充当の指定をすることができ、その充当に対して、B及びDは異議を述べない旨の弁済充当特約(本件弁済充当特約)を結びました。

 主債務者Bと保証人Dについて、破産手続開始決定がされ、その後、債権者Aは、上記根抵当権の行使として、主債務者B及び物上保証人Cから担保目的物の任意売却による弁済を受けました。

 しかし、その弁済額は、5口の債権の総額を満足させるには足りませんでした。

 この場合、保証人Dの破産手続における債権者Aの破産債権の額が問題となり、債権者Aは、破産裁判所に対して、破産債権査定申立を行いました。

 破産裁判所は、破産債権の額を約1億2700万円と査定しました。

 これに不服な破産管財人は、破産債権査定異議の訴えを提起して、大阪高裁は、破産債権の額を約2244万円と判断しました。

 Aは、保証に係る複数債権の総額が満足されない限り、破産法104条2項の所定の「その債権の全額が消滅した場合」に当たらず、全体について開始時現存額主義が適用され、破産手続開始時における債権総額をもって破産債権額とされることになると主張し、控訴審では、さらに、開始時現存額主義が個別の債権ごとに適用される事態に備え、物上保証人Cから受けた弁済金について、本件弁済充当特約に基づく充当指定権を行使し、各債権に按分して充当する旨を主張しました。

 大阪高裁は、

 物上保証人によって弁済がされた場合の開始時現存額主義の適用について、物上保証人Cにより複数の被担保債権のうち一部の債権についてその全額が弁済された以上、上記弁済に係る保証債権については、「その債権の全額が消滅した」ものであり、債権者Aは上記債権を破産債権として行使することはできないと判断した上で、

 債権者Aが物上保証人Cから受けた弁済金につき本件弁済充当特約に基づく充当指定権を行使することはゆるされないと判断して、

 管財人の主張を認めました。

 最高裁も、

 複数の債権の全部を消滅させるに足りない弁済を受けた債権者が、上記弁済を受けてから1年以上が経過した時期に初めて、債権者において任意の時期に弁済充当の指定ができる旨の特約に基づく充当指定権を行使する旨を主張するに至ったなど

 判示の事実関係の下においては、上記充当指定権の行使は、法的安定性を著しく害するものとして許されない

 と判断し、大阪高裁の判断を是としました。

 弁済充当って、その順番を巡って時折悩んだりしますね・・・

名古屋訪問 その2

 名古屋城です。さすが天下普請の巨城です。 

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 黄金の鯱がお城の頂上でひときわ輝いていますね。 

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 天守閣の展望台で、KKRホテル名古屋方面(裁判所方面)を撮影したものです。 

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 名古屋城の広場では、おもてなし武将隊の人たちが楽しいパフォーマンスをしていました。

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 夜は、同期の弁護士と食事をとりました。「世界の山ちゃん」という名古屋では有名な居酒屋と聞きました。 

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 手羽先が、からっとしておいしかったです。 

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 久屋大通公園の、テレビ塔です。学生さんのコンサートがありました。

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 セントラルブリッチから、テレビ塔方面を撮影したものです。

 

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 せっかくなので、名古屋のショッピングモールを訪ねてきました。まずは、アピタ千代田橋店です。

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 今度は、イオンナゴヤドーム前ショッピングセンターです。

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2010年7月12日 (月)

【交通事故】 名古屋その1  平成22年度(財)日弁連交通事故相談センター 本部研修会

 平成22年7月9日、平成22年度(財)日弁連交通事故相談センター本部研修会が、KKRホテル名古屋でありましたので、早速、1泊2日の予定で参加してまいりました。

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 午後2時05分から、園高明弁護士による「損害発生から示談斡旋、損害賠償まで」という、基礎的な交通事故に関する知識の研修、午後3時20分からは、垣内惠子弁護士による「新約款をもとにした保険契約の問題点」という、極めて応用的な人身傷害補償保険についての研修、そして、高野真人弁護士によるミニ解説、午後4時40分からは、意見交換等を行い、午後6時過ぎから、同ホテルで懇親会がありました。

 参加者は、日本全国から、143名の弁護士や弁護士会のスタッフの方が参加されていました。

 垣内弁護士の講演では、大手損害保険会社の各人身傷害補償保険の約款の特徴の説明に加えて、人傷を先行した場合、自己過失分を先行した場合、賠償を先行した場合の各場合において、被害者の過失割合も変えながら、相違点について、まとめられている資料をいただきました。

 KKRホテルも、丸の内にあり、裁判所などから近くとても便利な場所にありました。

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 お城方面から撮影したものです。 

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 部屋の内部のようすです。清潔です。

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 朝食はバイキングになっていました。 

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 4階朝食会場から、名古屋城方面を撮影したものです。

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 愛知県弁護士会館です。KKRホテル隣の建物です。立派すぎる・・・・・

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 名古屋地方裁判所、名古屋高等裁判所です。  さすが、日本の大都会の裁判所です。田舎弁護士には敷居が高いようです・・・

創業「いまばり塾」開講  主催 今治商工会議所 日本商工会議所

 創業「いまばり塾」が、いよいよ、平成22年8月21日(土)から、今治商工会議所(2階大会議室)にて、開講されることになっています。

 参加申込〆切は、平成22年8月10日までで、受講料は、5000円です。

 カリキュラムについては、パンフレットをご参照下さい。

 「p.pdf」をダウンロード

 簡単に述べると以下のとおりです。

 第1回目は、「創業に成功する条件」

 第2回目は、「創業に必要な基礎知識」

 第3回目は、「開業に向けての準備」

 第4回目は、「自分づくりと人づくり」

 第5回目は、「出店のポイントとビジネスプラン作成の実務」

 第6回目は、「ビジネスプランのまとめ」

 私は、第5回目のうち、午後6時から午後6時45分まで、「出店ガイド②(法律編)」 ○ 出店前の法律基礎知識 ○ 出店後のトラブル対応策 ○ 個人情報(コンプライアンス)を、担当させていただくことになっています。

 創業「いまばり塾」に参加される方で、私が担当する上記テーマについて事前に質問がある方は、平成22年8月15日までに、本ブログのコメント欄に書き入れていただけると、私が分かる範囲で回答させていただきます。

 創業「いまばり塾」では、7人のサムライがサポートします。

 カリキュラム担当順でご紹介すると、

① 中小企業診断士 矢野幸治 先生

② 税理士 嶋村 和宏 先生

③ 不動産鑑定士 松本 剛 先生

④ 社会保険労務士 工藤 清 先生

⑤ 司法書士  渡部 裕二 先生

⑥ 弁護士  私 happy01

⑦ 情報処理管理士 河北 興次 先生

 です。 

 喋るのは本当は苦手ですが、頑張ります。

 

2010年7月11日 (日)

【金融・企業法務】 シンジケートローンにおけるアレンジャーの責任

 シンジケートローンなんて、都会の銀行や都会の弁護士だけの話しと思っていましたが、実は、地方銀行でも、シンジケートローンを積極的に活用されており、ひょっとすれば、シンジケートローン絡みの相談が田舎弁護士にもいつかあるかもしれません。

 銀行法務21・7月号に、名古屋地裁平成22年3月26日判決の解説が載っていました。

 事案は、地方銀行であるYが、アレンジャーとして他の参加金融機関を募り、信用金庫や地方銀行が参加して、総額9億円の地元企業Z社向けのシンジケートローンに関するものです。

 後日、Z社は民事再生手続開始決定を受けたため、参加金融機関がアレンジャーのY銀行に対して、損害賠償を提訴したものです。

 争点は、(1)アレンジャーが、参加金融機関に対して、どのような法的義務を負うのか?、(2)アレンジャーの参加金融機関に対する情報提供義務違反行為があったかという点です。

 裁判所は、「本件シンジケートローンにおいて、原告らが主張するような一般的・抽象的な信任義務をアレンジャーたる被告に課すべき法的根拠はない。」と述べました。

 但し、裁判所は、次のような場合には、アレンジャーの不法行為責任が生じうることを肯定しました。

 「特定の情報(とりわけ借入人の信用力を否定する情報)(いわゆるネガティブ情報))を提供しないことが取引通念上容認し得ないというためには、少なくとも、

 ①当該情報が、招聘を受けた金融機関の参加の可否の意思決定に影響を及ぼす重大な情報であり、かつ正確性・真実性のある情報であること、

 ②アレンジャーにおいて、そのような性質の情報であることについて、特段の調査を要することなく容易に判断し得ること

 を要する」

 なお、日本ローン債権市場協会(JSLA)が公表した行為規範や実務指針では、

 ①アレンジャーが知っていながら参加金融機関に伝達していない情報が存在すること

 ②その情報が借入人により開示されない限り、参加金融機関が入手しえないものであること

 ③その情報は、参加金融機関のローンシンジケーションへの参加の意思決定のために重要な情報であること

 と指摘しており、これらの要件の全てを満たすような事態が発生した場合には、アレンジャーは、不法行為による損害賠償義務が発生する可能性があるとされていました。

 JSLAの要件の方が、裁判所の要件よりも緩和されているため、前者の要件であれば、不法行為が認められる可能性もありそうです。

 なお、本件事案は、控訴されています。

 

2010年7月10日 (土)

【消費者法】 債務整理事件を受任した公設事務所の弁護士が委任事務の経過等に関する説明義務に違反したとして債務不履行に基づく損害賠償請求が一部認容された事例 鹿児島地裁名瀬支部平成22年3月23日判決

 判例時報No2075号(7月1日号)で紹介された裁判例です。

 債務整理の元依頼人が、弁護士に対して、説明義務違反等を理由に慰謝料請求を行ったという事案です。

 負債が残った場合に、消滅時効を待って対応するという方法の適否が問われていますが、裁判所は、リスクが大きいことから、依頼人には、その不利益について十分に説明をしなければならないと言っています。

 この弁護士の債務整理のやり方は、(1)手段の選択については弁護士が決定する、(2)過払金の清算は基本的にすべて回収しないと返金しない、(3)負債が残った場合で、和解ができないケースの場合には、消滅時効待ちという対応、(4)(負債)和解する場合にもその基準を弁護士が判断するというものであり、かなり違和感を感じるものです。

 この弁護士は、懇親会で、「神様になる」と言い方をされておられたようです。

 しかし、裁判所は、この弁護士のやり方については、{被告の処理方針は、大量受任によって事務処理効率を追及する余りに、人の心を余りにも省くものであったといわざるを得ず」、「このような方法は、債務整理事件の終局的な解決を図ることなく、委任事務を事実上終了させてしまうものであるため、もとより委任事務を処理する義務に違反するほか、奄美群島の多数の地域住民に長期にわたるリスクを現に負わせ、又は時効制度を利用して多数の債務を消滅させることいよって奄美群島にモラルハザードを招くおそれがあるなど、社会正義に反するもの」などと厳しい批判を加えています。

 他方で、この弁護士によって救われた依頼人も相当数いるとは思いますが、なぜかそちらの声は聞こえてきません。

 任意整理のご相談は、まだまだ相談が多いです。景気が悪くなっているのですね。過払金を巡って依頼人もいろいろです。0円になるだけで嬉しいという方、少しでも(ある程度)戻ればいいという方、過払い利息もきちんと回収して欲しいという方、いろいろです。

 高齢者の方ほど、要求が低く、若い方ほど、要求が高いような印象を受けました。実際返ってくる金額は、高齢者の方が格段に大きいのですが・・・・

 また、訴訟で回収することについては消極的な方も少なくありません。これは裁判がまだまだ身近ではないからかもしれません。

 多重債務者の方といっても、リストラや病気等により歯車が狂い始めた方も多く、ギャンブルや浪費の方だけではありません。私だって、大病気や大怪我のため仕事ができなくなると、住宅ローンの返済ができなくなります。自分のことだと思って相談に応じるようにしたいです。

 稲穂のような人間になりたいです。happy01 

2010年7月 9日 (金)

財団法人 えひえ産業振興財団から、ビジネスアドバイザーを委嘱されました。

 平成22年6月25日付けで、(財)えひめ産業振興財団の「ビジネスアドバイザー」に委嘱されました。

 えひめ産業振興財団では、創業・経営基盤強化総合支援事業の実施に伴う創業・経営基盤強化総合支援相談体制の充実を図っているところですが、この度、前記財団のビジネスアドバイザーとして登録されることになりました。

 ビジネスアドバイザーは、「新事業の相談に対しそれぞれの専門的な立場から相談者にアドバイスしていただくとともに、必要に応じて調査等を行っていただく」ことを行うことになります。

 とはいっても、私の場合、まだまだ勉強不足なので、新事業の相談といっても、逆に、ご相談者の方から教えて貰うことの方が少なくないように思いますが、可能な範囲で頑張っていきたいと思います。

 今後ともご指導とご鞭撻の程、宜しくお願いいたします。

 

2010年7月 8日 (木)

【交通事故】 平成22年度版損害賠償額算定基準 下巻 講演録編

 かなり紹介が遅れましたが、(平成22年度版)赤い本の講演録です。

 赤い本が2分冊になって、数年が経過しますが、日を重ねるにつれて、冊数が厚くなり、読む込むことが事実上困難な状態になっています。

 来年1月からは、新進気鋭の新人弁護士が当事務所に入所いたしますので、文献などを読む込むことが出来る時間を作ることができるのではないかと勝手に思いこんでいます。

 さて、「最近の東京地裁民事交通訴訟の実情」で、東京地裁民事27部の部総括判事が、少し感想を述べられておられましたので、紹介いたします。

 まず、請求額が大変高額の事件が増加したということを指摘されています。かっては、1億円を超える請求は少なかったようですが、現在では、1億円では全然珍しくなく、3億、4億円というのも少なくないようです。これは、後遺障害等級1級や2級という事案が大変増加したことによるものです。

 また、人身傷害保険が登場したことから、求償金請求が増えたという点です。

 さらには、脳脊髄液減少症、低髄液圧症候群の主張が多く、一部には、軽度外傷性脳損傷という主張もあるようです。

 軽度外傷性脳損傷をインタネットで検索したら、「友の会」のHPを見つけることができました。

 なお、講演録では、

① 後遺障害と消滅時効・除斥期間について

② 横断自転車と左折四輪車との衝突事故における過失相殺

③ 被害者側の過失

④ 子の自動車事故と親の運行供用者責任

⑤ 共同運行供用者と他人性

 がとりあげられています。

 昔の司法試験の択一式の問題に使用したらいいのでは?と思うくらい、パズル的な設問が少なくなかったです・・・・

 

2010年7月 7日 (水)

【消費者法】 えっ NISが ネオライン社と資本・業務提携 等々

 6月27日付けの日本経済新聞に、NISグループが、ネオラインホールディングと資本・業務提携を結んだことが発表されました。

 記事によると、NISのメーン銀行は、日本振興銀行のようですが、同銀行が、金融庁から業務停止命令を受けたことから、新たな支援先として、ネ社と提携することになったようです。

 今回の提携により、ネ社は、NISに、49%の株式を所有することになるので、ネ社の影響力が大きくなります。

 ネオラインホールディング傘下の消費者金融は、過払金返還請求の対応については、消極的な態度をとっていますが、今後のNISの同請求に対する対応にも変化が生じるのかが興味をひきます。

 それはさておき、今年に入っても、任意整理のご相談は、益々、増加の一方ですが、他方で、請求先が(事実上)廃業してないとか、債権譲渡或いは地位を移転してしまっているなど、事実上や法律上のハードルがある案件が増加しています。

 また、個人情報(ブラックリスト)の関係がどうなるのかを心配される方も増えています。以前ニュースで、過払金請求については、信用情報に記載しない記事を読んだことはありますが、全ての信用登録機関も同様の処理を行うのか、或いは、「残債務あり」の事案も、そのように処理できるのかについては、私は知りません。信用情報がどうなるのかを心配される方については、私はそのことについてはわかりませんので、他の弁護士・司法書士に、ご相談下さい。

 私の事務所では、お引き受けさせていただく際に、上記説明を必ず行うようにしています。

 そして、信用情報に登録される可能性を了承していただける方のみ、お引き受けさせていただいています。

2010年7月 6日 (火)

【消費者法】 貸金業者が貸金業法43条1項の適用があると認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情があるとされた事例 東京高裁平成22年1月15日判決

 判例タイムズNo1322(7月1日)号で紹介された控訴審判決です。

 南コートでの判断ですが、職業裁判官らしい分析的(形式的)な判決です。

 破産管財人からの請求によるものですが、破産者の取引は、昭和56年8月から平成17年4月まで継続していました。

 第1審の宇都宮地裁は、全期間を通じて、Yが悪意の受益者であったことを認定しました。

 第2審の東京高裁は、原判決を一部変更しました。

 即ち、(1)昭和56年8月から昭和60年7月25日より前の取引は、悪意推定されるが、(2)昭和60年7月25日から平成11年1月20日以前の取引は、善意、(3)平成11年1月21日以降の取引は、悪意推定と判断しました。

 過払い請求に多少詳しい弁護士や司法書士であれば、上記結果を読んだだけで、高裁の理屈は想像できると思います。

 判タの解説者は、「本判決は、平成19年判決等にいうみなし弁済が成立すると認識したことがやむを得ないといえる『特段の事情』についての事例的意義を有するものと思われる。平成19年判決以降も、悪意について独自の主張を展開し、あるいは的確な立証をしないまま敗訴する貸金業者が多々見られる中、本件は、平成19年判決を踏まえたYの詳細な主張・立証が奏功した事案であるということができよう。」と、イヤナコメントが付されています。

 少し、詳しくみていきたいと思います。上記(2)の取引期間で何故悪意推定されなかったのか、みていきます。

 Yが貸金業法施行後の昭和60年7月25日に、Aと金銭消費貸借契約を締結して以来、Aに対し各基本契約書を交付し、Yの店舗又はY設置のAYMにより、個別貸付書面及び18条書面が交付される体制をとり、これらの書面を交付したと認識していたと認定

 「特段の事情」については、

 Yの個別貸付証書が基本契約書による補完を前提としていた点について、最高裁平成2年1月22日判決・最高裁平成16年2月20日判決を挙げて、判例がこれを否定していたとは解されないこと

 Yの基本契約書にリボルビング方式の返済期間・返済回数についての記載がなされるようになった時点が平成13年4月24日である点について、17条書面に同条1項所定事項について確定的な記載をすることが不可能な場合に、当該事項に準じた事項を記載すべきである旨の判断がなされたのは、最高裁平成17年12月15日判決が最初であること

 Yが銀行振込等の場合に18条書面を交付していなかった点について、銀行振込等の場合も18条書面の交付が必要である旨明示したのは、最高裁平成11年1月21日判決が最初であること

 などを指摘して、

 Yにおいて、店頭又はY設置のATMにより17条書面又は18条書面を交付したものとしていたこと

 また、平成11年判決までは、銀行振込又は提携CDによる支払について、利用明細書の交付がなくとも、貸金業法43条1項の適用があると認識を有していたことについて、やむをえない特段の事情があったものというべきであると判断しました。

 最近、過払金返還の争点は、悪意の受益者を争ってくる業者も増えており、その対応に負われています。現在のところ、悪意推定を否定されたことはありませんが、大手貸金業者の準備書面や書証の量は膨大であり、油断できないところです。

 

2010年7月 5日 (月)

【労働・労災】 レストランの支配人が心室細動の発症によって低酸素脳症による完全マヒとなったことにつき、経営会社の安全配慮義務違反の損害賠償責任が認められた事例 鹿児島地裁平成22年2月16日判決(確定)

 判例タイムズNp1322(7月1日)号で紹介された鹿児島地裁平成22年2月16日判決です。

1 事案は以下のとおりです。

 X1は、平成13年6月から平成16年11月まで、レストランを経営する会社であるYの従業員として稼動し、平成16年11月当時A店舗の支配人であったが、同月10日、自宅で就寝中に心室細動を発症し、低酸素脳症となり、脳性の完全マヒ等の後遺障害が残りました。

 そこで、X1とその両親であるX2及びX3は、本件発症は、Yが安全配慮義務に違反して、X1に長時間労働を強いたものであるとし、Yに対して、不法行為ないし債務不履行に基づき、約3億2000万円の損害賠償請求を行った事案です。 

 やはり、働き盛りの方に大きな後遺障害が残ると、どうしても、請求額が、2億円とか、3億円とかになりますね。

2 裁判所の判旨は以下のとおりです。

 まず、X1の労働時間及び時間外労働時間の長さ、休息の不足、勤務時間中の業務量の多さに照らせば、X1の従事していた業務は、身体的にも精神的にも過重なものであったと認定しました。

 次いで、本判決は、

 本発症直前のX1は時間外労働が月100時間を超える長時間労働に従事していたこと

 この長時間労働によって相当程度の疲労の蓄積があったと認められること

 などを総合考慮すると、

 本件発症は、X1の従事していた過重な業務に内在する危険が現実化したものと推認するのが相当であり、X1の業務と本件発症との間には相当因果関係が認められるというべきであると判断しました。

 その上で、本判決は、Yは、X1の過酷な労働環境に対して、見て見ぬふりをして、これを漫然と放置していたとして、Yの安全配慮義務違反の損害賠償責任を認めましたが、

 他方で、X1の健康管理の不備が本件発症に寄与しているとして2割の過失相殺をして、Yに対して1億8000万円強の賠償を認めました。

3 一旦、大きな労災事故が起こると、莫大な金額を雇用主が負担しなけければならない場合もあるので、注意が必要です。私の事務所では、あんしん財団に加入していますが、それだけだと少し心配になってきました・・・

2010年7月 4日 (日)

【金融・企業法務】 株式会社が株主総会の決議等を経ることなく退任取締役に支給された退職慰労金相当額の金員につき不当利得返還請求をすることが信義則に反せず権利の乱用に当たらないとした原審の判断に違法があるとされた事例 最高裁平成21年12月18日付け判決

 金融法務事情No1900(6月25日)号で紹介された最高裁平成21年12月18日判決です。

 取締役の報酬については、定款又は株主総会決議がその発生要件となっています(会社法361条1項)。

 内規があっても、定款又は株主総会決議がない限り、取締役の報酬請求権は発生しません。

 もっとも、全株主の同意、或いは、実質的な株主全員の同意がある場合には、報酬請求権が発生すると考えることは可能です。

 他方、このような同意すらない場合には、やはり、報酬請求権は発生しません。

 ところが、今回の最高裁判決は、

① 株式会社では発行済株式総数の99%以上を保有する代表者が内規に基づく退職慰労金の支給を決裁することにより株主総会の決議に代えてきたこと

② 退任取締役が上記内規に基づく退職慰労金の支給を催告したところ、その約10日後に上記金員の送金がされ、これにつき代表者の決裁はなかったものの、当該会社が退任取締役に対しその返還を明確に求めたのは送金後1年近く経過してからであったなど

 判示の事実関係のもとにおいては、

 代表者が上記送金をその直後に認識していた事実 や

 退任取締役が従前退職慰労金を支給された退任取締役と同等以上の業績を上げていた事実

 の有無等につき審理判断することなく、

 当該会社の上記請求は信義則に反せず、権利濫用に当たらないとした原審の判断

 には、違法があるとしました。sprinkle

 

 本件判決は、株主総会又は定款の定めがない場合にも、取締役の報酬を発生させることを認めるものではありません。

 本件事例に限って、信義則・権利濫用の理論を根拠として、結果的に、Yに退職慰労金を取得させる余地を肯定したものに過ぎないと評価されています。

 最高裁第2小法廷ですが、なんと裁判長の竹内裁判官が反対意見を述べています。「多数意見の立場は、業績を上げてきた退任取締役に対しては、株主総会の決議等がなくても業績によっては退職慰労金を取得させる余地を認めるべきであるというのに等しい」として、多数意見に対して反対しています。bell

 なお、No1900は、「オール・アバウト 証券取引等監視委員会」と題した特集記事を組んでいますが、さすがに田舎弁護士には相談としてはほとんど縁がないと思うので、読むのを断念しました・・・・coldsweats02

 ご相談があった場合には、四大法律事務所の同期の弁護士を紹介しますcoldsweats01

 

2010年7月 3日 (土)

【金融・企業法務】 株主総会の決議を経て内規に従い支給されることになった会社法361条1項にいう取締役の報酬等に当たる退職慰労金年金につき、集団的、画一的な処理が制度上要請されているという理由のみから、内規の廃止により未支給の退職慰労年金債権を失わせることの可否 最高裁平成22年3月16日判決(第3小法廷)

 金融法務事情No1900(6月25日)号の判例速報で、紹介された最高裁平成22年3月16日判決です。

1 事案は以下のとおりです。

  本件は、Y銀行の取締役を退任したXが、平成11年の株主総会決議等を経て、当時の役員退職慰労金規定(本件内規)に従い退職慰労年金(月額13万3000円、支給期間20年間)を受給していたところ、その後に開催されたYの取締役会で本件規程の廃止決議がされたとして、その支給が打ち切られたため、Yに対して、未支給分の退職慰労年金の支払等を求めた事案です。

 Xさんは、退職慰労一時金として、Y銀行から、5683万円支給されています。

 Y銀行が退職慰労金の支払いを停止したのは、平成9年度に、270億円、平成10年度に、193億円の経常損失を計上し、さらに、同年度の不良債権処理額は約314億円に上り、そのため、Y銀行は、400億円の公的資金の投入を受け、さらに、平成15年8月には、金融庁から経営健全化目標の達成が不十分として業務改善命令を受け、平成15年8月から9月、元取締役に、退職慰労年金の支給の停止をお願いして、Xさんを除く大部分の者からは同意を得た背景があるようです。

 同意された取締役は、経営責任を感じて、支給停止に同意されたのかもしれません。

 そもそも、Xさんの退職慰労年金について、株主総会決議は平成11年6月ですが、そうすると、そのころには、Y銀行は大きな不良債権を抱えている状態に陥っていたわけです。

 また、Xさんは、平成2年から平成11年6月まで、Y銀行の常務取締役として、幹部だった方のようです。

 平成11年には、前記のとおり、既に、不健全な状態であったにもかかわらず、退職慰労年金の決議を行ったのか? 不思議です。

2 第1審は、Xが勝訴、第2審は、Xが敗訴、最高裁(第3審)は、原判決を棄却して、原審に差し戻しになりました。 

 最近、最高裁が、第2審の判断について、文句をいうことが多くなったように思います。昔は、無口な最高裁でしたが、今は、大変おしゃべりな最高裁になっています。

3 最高裁の判旨は以下のとおりです。

 被上告人の取締役に対する退職慰労年金は、取締役の職務執行の対価として支給される趣旨を含むものと解されるから、会社法361条1項にいう報酬等に当たる

                    ↓

 本件内規に従って決定された退職慰労年金が支給される場合であっても、取締役が退任により当然本件内規に基づき退職慰労年金債権を取得することはなく、被上告人の株主総会決議による個別の判断を経て初めて、被上告人と退任取締役との間で退職慰労年金の支給についての契約が成立し、当該退任取締役が具体的な退職慰労年金債権を取得するに至るものである。

                                          ↓

 被上告人が、内規により退任役員に対して支給すべき退職慰労金の算定基準等を定めているからといって、異なる時期に退任する取締役相互間についてまで画一的に退職慰労年金の支給の可否、金額等を決定することが予定されているものではなく、退職慰労年金の支給につき、退任取締役相互間の公平を図るために、いったん成立した契約の効力を否定してまで集団的、画一的な処理を図ることが制度上要請されているとみることはできない

                    ↓

 退任取締役が被上告人の株主総会決議による個別の判断を経て具体的な退職慰労年金債権を取得したものである以上、

 その支給期間が長期にわたり、その間に社会経済情勢等が変化し得ることや、その後の本件内規の改廃により将来退任する取締役との間に不公平が生ずるおそれがあることなどを勘案しても、

 退職慰労年金については、上記のような集団的、画一的処理が制度上要請されているという理由のみから、本件内規の廃止の効力を既に退任した取締役に及ぼすことは許されず、その同意なく上記退職慰労年金債権を失わせることはできない

 

 以上から、最高裁は、内規の変更を理由に退職慰労年金を失わせることはできないとして、黙示的な合意の有無や、事情変更の原則の適用の有無等について審理を尽くさせるために、原審に差し戻しました。

 なお、金融法務事情の解説では、企業年金の種類について整理されていました。私自身、大変参考になったので、紹介させていただきます。

①適格退職年金

 平成24年3月までに新たな制度に移行または廃止予定

②厚生年金基金

 厚生労働大臣の認可を受け、企業とは別の法人格を持った基金を設立した上で、基金において、厚生年金の代行部分および加算部分を含む年金資金を管理、運用し、年金給付を行うもの

 ※りそな銀行年金訴訟

③規約型確定給付企業年金

 労使合意による年金規約に基づき、企業が生命保険会社等との間で契約を締結し、企業外で年金資金を管理・運用して年金給付を行うもの。規約の改正には過半数代表者等の同意を得た上で厚労大臣の承認が必要

 ※NTT年金訴訟等

④基金型確定給付企業年金

 厚労大臣の認可を受け、企業とは別の法人格を持った企業年金基金を設立した上で、基金において年金資金を管理・運用し、年金給付を行うもの。厚生年金の代行は行わない。

⑤企業型確定拠出年金

 企業が毎月、加入者への年金給付のための掛金を拠出し、それを元手に加入者が自分で運用商品を選択の上資産運用を行い、その運用結果に応じた年金額を受けとるもの。運用によるリスクは、加入者が負担するので、運用利回り低下等による減額という問題は生じない)

⑥自社年金

 法令上の根拠によらず、各企業が独自に制度を設計して運営する年金制度。従業員または事業主が掛金を拠出し、事業主等がこれを運用して約定利回りで計算した給付金を一定期間年金として支払うというのが一般的である。

 ※早稲田大学年金訴訟、松下電器年金減額訴訟

 いろんな企業年金があるのですねえ・・・  

 

2010年7月 2日 (金)

【金融・企業法務】 銀行に対する差押えの範囲とその実務対応 

 銀行法務21・6(NO717)の「今月の解説」です。大手都市銀行の法務関係の銀行員さんによる「銀行に対する差押えの範囲とその実務対応」です。

 子ども手当が振り込まれた預金口座への差押えにはどのように対応すればいいのですか?という質問の回答もなされていました。

 年金資金による預金債権に対する差押えと同様に考えて、「差押命令が送達されれば、その対応としてまず対象となる預金の支払いを停止せざるをえないものと考えます。」と回答されています。

 その上で、「このような場合、預金名義人が執行裁判所に対して差押禁止債権の範囲の変更を申し立てることにより救済を図るべきとするのが裁判例であり、銀行実務としては、預金名義人に対して執行裁判所に速やかに相談してもらうことを勧めることになります。」と回答されています。

 

 また、預金債権の場合、差押命令に記載されている債務者の住所等が銀行に届けられているものと異なる場合についてはどのように対応するのか?という質問に対する回答もされています。

 「若干の相違であり一般的に債務者と預金者の同一性が概ね推定できる場合、とりあえず当該預金の支払停止措置をとったうえで、陳述書に「当事者目録上の債務者の表示と当行宛届出の預金者名・住所に不一致の点があり、両者の同一性が確認できない(確認できれば支払う)」等を陳述し、

 差押債権者に対し債務者の特定を正確にした更正決定を執行裁判所に申し立ててもらうよう促す

 もしくは、預金者に対し当該差押命令の債務者であることの確認・了承を得る等

 の対応が考えられます。」

 大昔の話ですが、債務名義上の住所と、銀行宛て届出の住所とが異なっており、銀行から同一性を確認できないので支払えないという陳述書が出され、苦い思いをさせられたことから、執行申立の際には、できるだけ、債務者情報は記載するようしています。

 更正申立をすればいいのですが、新人弁護士のころは、司法研修所でも、基本的なことしか教えないため、執行についてあまり細かな知識を、持っていないのですね・・・ 書籍などで調べればいいのですが、当時は、書籍もお金がないためにあまり持っていませんし・・・ よく家内が、「弁護士にとっては書籍が仕入れ」と言っていますが、本当ですね。

 今は、弁護士会のメーリングリストなどで質問できたり、インターネットで検索できたり、便利な時代になりました。

2010年7月 1日 (木)

平成22年度住宅紛争処理機関検討委員会 第1回全体委員会

 今日は、平成22年度住宅紛争処理機関検討委員会の第1回全体委員会が、日弁連会館で開催されたので、愛媛弁護士会(松山)を訪ねました。

 テレビ会議システムを利用できるので、東京にいかなくても、全体委員会に参加することが可能となっています。

 はじめは、日弁連の住宅紛争処理機関検討委員会の委員になっていたとは気づいていませんが、2年前に、招集の案内が送られてきたため、全体委員会には参加するようにしています。

 不思議なもので最初は専門的過ぎてなんのことやらという状態ですが、次第に、何をしているのかわかってきます。学習効果というヤツですね。

 このように、一応、限定的ですが、「会務活動」をしています。coldsweats01

 今日の主要テーマは、近々実施しなければならない「弁護士会住宅紛争審査会における評価・保険付き住宅、住宅リフォームに関する専門家相談」の件です。

 都会の弁護士会は、早々に専門家相談を実施されていますが、愛媛のような比較的小規模な単位会の場合には、早期の体制づくりは非常に難しいところがあります。

 建築やリフォームに関する知識について心配されるかもしれませんが、専門家相談を実施するためにふさわしい知識を習熟できるよう研修会を行うことが予定されています。

 来年には愛媛弁護士会住宅紛争審査会でも専門家相談が実施できるよう、頑張りたいと思います。本当は、今年4月実施が要請されていたのですが・・・

【金融・企業法務】 預金拘束の違法性正当性を考える

 金融法務事情No1899(6月10日)号の特集記事です。

 預金拘束については時折実務上問題となりますが、今回の記事は整理にちょうどよいような記事になっています。

 そもそも預金拘束については、大蔵省昭和54.7.2蔵銀1509号銀行局長通達に、許容される預金拘束について例示がなされていますが、これは、平成元年6月に廃止されました。

 金融判例研究会では、以前紹介した東京高裁平成21年4月23日付の判決を紹介しながら、種々の問題点などについての現役の裁判官による解説がなされています。

 預金拘束の違法性について、学説は段階的に検討されているようです。

 ①期限の利益喪失によって相殺適状にあるが、相殺の意思表示がされていない時点

 ②期限の利益喪失事由が発生しているが、期限の利益喪失の請求前の時点

 ③期限の利益喪失事由が発生しているかどうか未確定な時点

 ④預金者に信用不安があるが、期限の利益喪失事由が存在していることが明確な時点

 また、(1)預金についても、その種類によって相違があるか、(2)預金の払戻拒絶が違法であったが、後に明らかな相殺事由が生じたような場合に払戻拒絶をした預金と相殺することができるか、(3)預金拘束が違法とされた場合の損害などについて、解説されています。

 預金拘束って実際には難しいですねえ・・・ 新人弁護士のころは、銀行が行うことだから、預金拘束って仕方がないのかなと思っていましたが・・・

 

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