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2010年5月22日 (土)

【倒産】 代位弁済に基づく財産債権性(共益債権性)の承継

 金融法務事情No1897号(5月10日号)で特集されていたテーマです。

 ある債権が、破産手続における財団債権または再生手続における共益債権とされる場合、当該債権が第三者に移転した場合、当該債権がいかなる根拠に基づいて財団債権または共益債権とされているものか、また、債権の移転がいかなる原因によるものかにかかわらず、第三者は、自ら取得した当該債権を財団債権または共益債権として主張することが許されるのかが最近議論されています。

 これって、結構、「弁護過誤」になりかねない論点なのです。

 というのは、弁済による代位の法律構成、法定の債権譲渡であると考えられていますが、そうすると、元々の性質をそのまま引き継ぐように考えてしまうからです。

 現に弁護士の中には、破産手続の際に、租税を立て替えて支払ったとしても、優先権あるからとアドバイスして、その後、弁護士賠償保険の申請をしたという話をきいたことがあります。

 現に、労働債権が問題となった大阪高裁の案件では、さすがに、弁護士は、相談を受けた際に、「勝手なことをしてはいけない。私は許可しない。給料は管財人が支払えばよいことだ。」と述べて相談者を怒ったようですが、あきらめきれない相談者は、今度は、公認会計士に複数回電話をして問いあわせを行い、会計士が「給料は優先権があるので立て替えても大丈夫」とアドバイスを行い、立て替えてしまったというケースでした。

 この点についての裁判例は、以下のとおりです。

1 租税債権

① 東京高裁平成17年6月30日判決

 原債権が租税債権で、債務者につき再生手続開始決定がされた後、金融機関が保証債務の履行として関税を弁済し、その後、債務者が破産したという事案です(原審は東京地裁平成17年3月9日判決【請求棄却】)。

 裁判所は、租税債権は、高度の公共性、公益的な要請により、破産法の手続上優先的な効力を付与されたものであるが、私人が代位による弁済によって租税債権を取得した場合は、当該私人まで優先的な効力を付与すべき理由がないとして、訴えを却下しました。

② 東京地裁平成17年4月15日判決

 原債権は租税債権であり、債務者につき再生手続開始決定がされたが、それ以前に納付通知のあった関税を、保証人であった金融機関が再生手続開始後に代位弁済した事案です。

 裁判所は、

 租税債務が、再生手続開始決定前に発生し、保証契約も再生手続開始決定前に締結されていたから、求償権が「再生手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権」に該当するとした上、求償権は、共益債権ではなく再生債権であると判断しました。

 そして、租税債権が一般優先債権とされる趣旨は、租税は国家の存立の財政的基盤であることから、租税収入の確保を図るという点にあるところ、代位弁済により租税収入の確保を図ることができた以上、租税債権を一般優先債権とした趣旨は既に達成されていたとしました。

 その上で、代位弁済によって、租税債権に一般優先債権として代位することはできないと判示して、再生計画によることなく弁済を行うことはできないとして、請求を棄却しました。

2 労働債権

① 大阪高裁平成21年10月16日(小松コート)

 本件は、Xが、Yに対し、従業員が破産会社に対して有する給料債権を原債権として取得したとして、原債権に基づく請求をした事案です(原審は、大阪地裁平成21年3月12日判決【請求認容】)。

 裁判所は、まず、求償権は破産債権に当たり、使用人の給料請求権は財団債権であるとした上、

 「第三者が破産手続開始前の使用人の給料を立替払した場合には、労働者保護の必要性という政策的目的は既に達成されている。この場合に、労働者でない第三者が弁済による代位によって取得した原債権をも財団債権として扱うことは、本来は総債権者のための共益費用という財団債権の性質を有しないにもかかわらず、政策的見地から財団債権とされた債権を、当該政策目的を越えて、総破産債権者らの負担において保護することに他ならない。」

 「原債権によって確保されるべき求償権が破産債権によらず、破産手続によらなければ行使することができない権利である以上、求償権に対し附従性を有する原債権についても、求償権の限度でのみ効力を認めれば足りることとなるから、第三者が弁済による代位によって取得した原債権たる労働債権は財産債権ではなく、一般の破産債権として取り扱われるもの」と判示しました。

 そして、原債権は、破産手続によらず行使することはできないとして、原判決を取り消して、訴えを却下しました。

3 その他

① 大阪地裁平成21年9月4日判決

 原債権が再生管財人の選択によって双務契約が解除された場合の前渡金返還請求権であり、委託を受けた保証人が弁済したという事案です。

 裁判所は、「民法501条柱書の『自己の権利に基づいて求償をすることができる範囲内』とは、求償権の存在や額を行使の上限とする趣旨にとどまらず、求償権の行使に実体法上又は手続法上の制約が存する場合には、原債権がその制約に服することも意味している。」とした上で、

 原債権は共益債権であるが、Xの求償権は再生債権であるから、「再生計画の定めによらなければ弁済等が許されないという行使についての手続上の制約が存するから、原債権を求償権と独立して行使することができない以上、原債権たる本件請求権の行使については、再生債権と同様の制約に服する」として、訴えを却下しました。

 

 ただ、佐々木修先生が指摘されているように、管財人が先に弁済した場合には、財団の負担となるのに、たまたま先に原告が代位弁済した場合には、求償権に過ぎないとして、破産債権扱いしかされないのは、「感覚的には」、おかしいような気がします。

 労働債権の事案は、約240万円の事案ですが、最高裁に上告受理されています。代位弁済した者としては、よっぽど悔しかったのでしょう。金額の問題ではないように思えます。

 これが、労働者健康福祉機構による立替払いの場合には、性質を承継するという考え方が強く、現に大阪高裁も同様の指摘をしていますが、理屈からいえば一緒のような気がします。

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