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2010年3月31日 (水)

弁護士 司法書士 過払金の広告

 弁護士・司法書士の過払金の広告が、地方でも非常に目立ってきました。

 このような広告でも、経済的な生活困窮状態にある多重債務者の方にとって、過払金というものの存在をしり、返還を受けた過払金で生活再建の立て直しを図れるというのであれば、決して悪いことではありません。

 しかし、多重債務者の地元の弁護士・司法書士事務所ではなく、遠方の東京、大阪の事務所が、直接の面談もなく、多重債務者の事件を取り扱うというのであれば、多重債務者の実態を十分把握することができないことも考えられ、また、説明や報告を求めても遠方であるため十分な説明を行うことも困難であり、大きな問題が生じているしか言いようがありません。

 多重債務者の広告は、少し前は、高齢の弁護士が広告主であることが多かったのですが、最近は、弁護士登録して間もない若手弁護士が広告主になることも増えているようです。

 一昔前は、弁護士になれば、それなりに仕事があったものですから、このような広告も出す必要はありませんでしたが、どうやら特に都会の方では、弁護士や司法書士でも顧客獲得に向けてかなりの競争になっているようです。

 最近入ってきた広告にも、「過払い金返還請求代理いたします。」、「完済した方も過払い金取り戻せます。内緒で債務整理ができます。」、「過払い金返還請求・債務整理出張無料相談会」などと記載され、過払金事件の依頼の勧誘を主たる目的にされているような表現が目立ちます。また、このような広告で、弁護士費用等の料金体系を明確にしているものを見たことがありません。

 このような都会の事務所の広告等により依頼された多重債務者が、今度は弁護士による二次被害に遭遇したというのは、先般のNHKのクローズアップ現代でも採り上げられたとおりです。

 過払金返還請求は、5,6年前には、年間、数件程度しか依頼がありませんでした。ここ3,4年前から、急激に増加し、今では、一日の相談のうち、1件程度は、過払金のご相談があるような状態です。

 過払金事件がビジネス化したことにより、弁護士・司法書士に対する世間の見方が大きく変化したように感じています。

 決して地元の弁護士や司法書士が優れているとは言いませんが、少なくとも、面談で多重債務者の方の生活状況を継続的に把握できるという点は、極めて大きな利点の1つだと思います。

 また、過払金というものは、多重債務者にとっては法的手段を利用しない生活再建のための最後の砦となります。ご依頼される時には、くれぐれも細心の注意を払って対応されることをお勧めいたします。

 都会の弁護士・司法書士の過払金の広告、例えば、新聞の折り込みチラシ然り、地下鉄の中吊り広告然り、テレビCM然り、品位のないものに感じる方は少なくないのではないかと思います。

 他方で、ビジネス系の弁護士・司法書士の方が、広報活動が熱心が故に、従来の弁護士よりも、敷居が低く感じることは否定できないでしょうね。

 難しい問題です・・・

2010年3月30日 (火)

【保険金】 いたずらによる損傷を保険事故とする場合の要件事実

 判例タイムズNo1316号(4月1日号)で紹介された東京高裁平成21年11月25日判決です(判例時報No2065号)。

 以下、判旨を紹介します。

 「いたずら事故について保険事故としての保険金を請求する者の主張立証責任について検討する。

 いたずらとは、一般的に無益で悪いたわむれのことであり、本件に則していえば、所有者の意思に反する第三者による車両への損傷行為をいうものと解することができるが、本件保険契約においては、被保険自動車のいたずらによる損傷という保険事故が保険契約者又は被保険者の意思に基づいて発生したことは、保険者が免責事由として主張、立証すべき事項であるから、

 被保険自動車のいたずらによる損傷という保険事故が発生したとして保険金の支払を請求する者は、被保険自動車への損傷行為が被保険者の意思に基づかないものであることを主張、立証すべき責任を負うものではない。

 しかし、上記主張立証責任の分配によっても、保険金請求者は、「被保険者以外の者がいたずらをして被保険自動車を損傷したこと」といういたずらによる損傷の外形的な事実を主張、立証する責任を負うものというべきである。

 そして、いたずらによる損傷という保険事故の外形的事実としては、①損傷が人為的にされたものであること、及び ②損傷が被保険者以外の第三者によって行われたことという事実から構成させるものと解される。

 本件においては、何者かによるいたずら行為を目撃した者の証言などの直接的証拠は存在しないので、保険金請求者としては、

 ①損傷が人為的にされたものであることについては、これを推認するに足りる、本件車両パネルの損傷の個数や傷跡の形状、道具を使用した傷であるか否かなどの間接事実を、

 ②損傷が被保険者以外の第三者によって行われたことについては、これを推認するに足りる、損傷が加えられたと考えられる時刻、場所、損傷を生じさせるに要する時間及び被保険者のアリバイの有無などの間接事実を主張立証すべきであると解される。」

 実務上参考になりますね。

 モラル事案は、私の事務所ではご相談はあるものの、訴訟案件としては最近少なくなりましたが・・・・

 そろそろ訴訟案件がきてもらわないと、腕が鈍ってきますね・・・coldsweats02

 

2010年3月29日 (月)

【労働・労災】 いわゆる管理監督者に該当する労働者が深夜割増賃金を請求することの可否 最高裁平成21年12月18日判決

 判例タイムズNo1316号(2010年4月1日号)で紹介された最高裁平成21年12月18日判決です。

 労働基準法37条3項は、午後10時から午前5時までの間において労働させた場合には、その時間の労働については、使用者は通常の労働時間の賃金の計算額の2割5分以上の率で計算した割増賃金すなわち深夜割増賃金を支払わなければならない旨規定しています。

 他方で、同法41条2号は、労働時間、休憩及び休日に関する規定は、「事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者」(管理監督者)については適用しない旨規定しています。

 そこで、管理監督者に、深夜割増賃金を支払わなければならないのかが問題となります。

 本件事案では、理髪店チェーンの総店長という職責にあった方が請求されている案件です。

 原審の東京高裁は、管理監督者は、深夜割増賃金について支払い義務はないと判断しています。

 これに対して、最高裁は、41条の「労働時間、休憩及び休日に関する規定」には、深夜業の規制に関する規定は含まれていないものと解されると判断し、管理監督者でも、深夜割増賃金を請求できると判断しました。

 今後同様の請求がありそうな場合にどのように予防するかについては、「管理監督者に該当する労働者の所定賃金が労働協約、就業規則その他によって一定額の深夜割増賃金を含める趣旨で定められていることが明らかな場合には、その限度では当該労働者が深夜割増賃金の支払を受けることを認める必要はない」と判示していることが参考になりそうですね。

2010年3月28日 (日)

【労働・労災】 請負人と雇用契約を締結し注文者の工場に派遣されていた労働者が注文者から直接具体的な指揮命令を受けて作業に従事していたために、請負人と注文者の関係がいわゆる偽装請負に当たり、上記の派遣を違法な労働者派遣と解すべき場合に、注文者と当該労働者との間に雇用契約関係が黙示に成立していたとはいえないとされた事例 最高裁平成21年12月18日

 判例タイムズNo1316号(4月1日号)で紹介された最高裁平成21年12月18日判決です。

 1、事案は以下のとおりです。

 本件は、プラズマディスクプレイパネル(PDP)の製造を業とするY社の工場で平成16年1月から封着工程に従事し、遅くとも平成17年8月からはY社に直接雇用されてリペア作業(端子に付着した異物を除去して不良PDPを再生利用可能にする作業)に従事していたXが、Yから雇用契約が終了したものと扱われたため、①上記雇用契約は期間の定めのないものであるとの理解を前提に、Y社による解雇は無効である、②リペア作業を命じられたことが配転命令に当たるとの理解を前提に、上記配転命令は無効である、と各主張して、Y社に対し、雇用契約上の権利を有することの確認、賃金の支払、リペア作業への就労義務がないことの確認及び不法行為に基づく損害賠償を求めた事案です。

 ← やっぱりわかりにくいですね。

 2、時系列で示します。

 平成16年1月 Xは、Y社から業務委託を受けたP社との間で、契約期間2か月・更新ありなどとする「雇用契約」を締結した。

 Xは、P社から、平成17年7月20日まで、給料の支払いを受けたが、P社を同日退職した。

 なお、P社との業務委託契約は、労働者派遣法24条の2、26条に違反すると認定して、「労働者派遣契約」に切り替えるよう是正指導を受けた。

 平成17年8月2日、Xは、Y社との間で、8月から同18年1月末日まで更新なしの雇用契約を異議を留めた上、署名押印した。

 Y社は、Xとの雇用契約を平成18年1月31日をもって終了する旨通告し、翌日以降、Xの就業を拒絶した。

 3、つまり、Xは、Y社との間で、平成17年8月2日以前に、黙示の雇用契約が成立しており、8月2日以降も、当該雇用契約が引き継がれることから、Yの雇用契約終了の通知は、解雇権や更新拒絶権の濫用であると主張し、原審の大阪高裁も認めています。

 但し、最高裁は、XとYとの間で黙示の雇用契約が成立していることについては否認しました。

 以下、判決要旨を述べます。

 4、判決要旨

 請負人と雇用契約を締結し注文者の工場に派遣されていた労働者が注文者から直接具体的な指揮命令を受けて作業に従事していたために、請負人と注文者の関係がいわゆる偽装請負に当たり、上記の派遣を、労働者派遣法に違反する労働者派遣と解すべき場合において、

 ①上記雇用契約を無効と解すべき特段の事情がないこと

 ②注文者が請負人による当該労働者の採用に関与していたとは認められないこと

 ③当該労働者が請負人から支給を受けていたといえるような事情はうかがわれないこと

 ④請負人が配置を含む当該労働者の具体的な就業態様を一定限度で決定し得る地位にあったことなど

 判示の事情の下では、注文者と当該労働者との間に雇用契約関係が黙示的に成立していたとはいえない

 5、評価

 原審の大阪高裁は、XとP社との雇用契約は職業安定法44条等を理由に公序良俗違反として無効、XとY社との間には、黙示の労働契約があるとして、Xの請求を概ね認めています。

 最高裁は、「期間の定めのある」雇用契約であることを前提に、雇い止めが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当と認められない場合には、許されないという最高裁判決の基準を示し、本件事案においては、そのような事情はないとして、XとY社との雇用契約は、平成18年1月31日をもって終了したと認定しました。

 難しい問題ですが、このような労働形態は、横行していることから、田舎弁護士にとっても参考になる判決です。

2010年3月25日 (木)

【交通事故】 低髄液圧症候群の損害賠償上での認定基準は、神経外傷学会基準等によるとし、31歳男子には起立性頭痛等の症状認められず、低髄液圧症候群受傷を否認した 東京地裁平成22年1月29日判決

 自保ジャーナルNo1818(3月25日)号で紹介された東京地裁平成22年1月29日判決です。

 東京地裁民事27部(合議)は、以下のとおり判断しました。

 「低髄液圧症候群」についての診断基準は、①国際頭痛学会基準、②モクリ4基準、③日本神経外傷学会基準によるべきであり、④ガイドラインを用いることは、現時点では相当でないと判断しました。

 ガイドラインを用いない理由は、専門家の間から、その診断基準の広範なことや、診断手法につき否定的な見解や疑問が示されていることによります。

 そして、ブラッドパッチ効果が薄いことや、起立性頭痛等が生じたことが認められないことから、「低髄液圧症候群」を否認しました。

 原告は、「脳脊髄液減少症」を発症してから約2年8か月で治癒したという主張をされていますが、判決は事故から7か月後には治癒したと認定しています。

 結局、約1300万円の請求に対して、約50万円の認定結果です。

 テイズイがらみは、休業損害の請求が大きくなりがちですが、本件でも、約1000万円の請求に対して、約74万円の認定となっています。 

2010年3月22日 (月)

ポップサーカス 今治公演

 新今治市の発足5周年記念ということで、愛媛新聞主催で、2月27日から4月11日まで、今治市の唐子浜パーク跡地で、ポップサーカスというサーカス団が、サーカスを披露しています。

 私も、今日、子どもたちを連れて、観に行きました。

 空中ブランコショーや、リボンアクロバットなど、興奮しまくりでした。

 さて、金銭的に余裕があるのであれば、やはり指定席がお勧めです。私たちは、自由席を選択しましたが、早めにいかないと、いい席は確保できません。自由席の入口は、左右に分かれていますが、どちらを選択しても、一緒です。できるだけ指定席よりに座ることをお勧めいたします。

 ファミリーボックス席は、もっともステージに近い場所にありますが、追加料金4000円かかります。

 指定席は、A~Cに分かれていましたが、ステージ正面の指定席が人気があるようです。

 チケットについては、前売りだと少し安くなります。

 なお、ファミリーボックス席の方はひょっとすれば少し濡れるかもしれません。happy01

 まあ、一度、観に行かれたらどうかと思います。

 車は、道路側に駐車した方が帰りのとき出やすいですね。

 

2010年3月21日 (日)

新人弁護士の募集

 内定を出していた司法修習生の方から家庭の事情で内定を辞退したいという連絡がいただいたため weep  新人弁護士の募集を再開することにいたしました。

 弁護士法人という形態を採用していることから入所する弁護士には事務所の承継(共同経営)をしてもらいため、希望する年代は、一回り若い方、年齢的には、30歳前後の方を希望しています。

 新旧司法試験いずれでも大歓迎ですが、新司法試験の場合には、上位999位以内が望ましいです。

 協調性のある明るい方を望みます(抽象的ですが)。

 また、煙草は吸わない方を希望します。

 詳細は、日弁連のHPにのせています。

 また、今治西高とか、中央大学とか、神戸大学とかに縁がある人であればなおいいですね 採用条件ではありませんけど・・・

2010年3月16日 (火)

【建築・不動産】 マンションの販売業者がその販売したマンションの耐震構造に偽装があったため販売契約の解除を余儀なくされたとしてその構造計算を含めて設計・監理を委託した設計事務所に対して求めた総額5億円の損害賠償請求が全部認容された事例 札幌地裁平成21年10月29日判決

 判例時報No2064号(3月11日号)で紹介された耐震偽装に関する札幌地裁の判決です。

 裁判所は、設計事務所の履行補助者であったAは、建築基準法に違反する構造計算を行い、その結果、設計事務所は、債務の本旨に反する設計行為をしたものとして、民法415条により、その設計行為により生じた損害を賠償する責任を負うとして、販売業者の請求を全部認めました。

 耐震偽装関連の裁判例としては、3つ紹介されていました。

① 名古屋地裁平成21年2月24日

 耐震偽装が発覚したホテルの所有者が同ホテルとの間の経営指導委託契約に基づき同ホテルの設計に際して耐震偽装を行った業者を選定した受託者及びその代表者に対してそれぞれ民法709条に基づく損害賠償を求めたほか、建築主事の注意義務違反を理由として県に対して国家賠償法1条に基づく損害賠償を求めた事案につき、請求を一部認めました。

② 奈良地裁平成20年10月29日

 耐震偽装が発覚したホテルの建築工事の注文者である所有者が、同建築工事請負契約及び設計監理委託契約の仲介者、確認検査を行った建築基準法所定の指定業者及び請負人の保証人に対して損害賠償を求めた事案であるが、保証人に対する請求を一部認容したほか、仲介者及び確認検査を行った指定業者に対する請求を棄却しています。

③ 前橋地裁平成20年10月10日

 耐震偽装が発覚したホテルの建築工事の注文者である所有者が、同建築工事の請負人に対して損害賠償を求めた事案につき、請求を一部認容しています。

2010年3月15日 (月)

【金融・企業法務】 中小企業金融円滑化法と債権管理のあり方

 銀行法務21・3月号に、「中小企業円滑化法と債権管理のあり方」と題した緊急解説記事が載っていました。

 債務者から申込をされた場合の債権回収の対応について、弁護士による解説がなされています。

 ① 申込後に、預金口座の凍結措置を講じることはできるか?

 ② すでに預金凍結をしている債務者から、支払条件変更の申込があった場合は、凍結措置を解除しなければならないか?

 ③ 申込があったことを理由に、期限の利益を喪失させることができるか?

 ④ 申込以降、債務者の口座に入金された預金について、その後、債務者が法的倒産手続に入った場合、金融機関は、相殺をすることができるか?

 などについて、解説があります。

 「これまで以上に、「現状の財産からとる」のではなく、「生かしてとる」方向に進まざるをえなくなります。」

 「債務者とのコミュニケーション能力が求められることになってきますので、これらのスキルアップを磨くことが重要となってくるでしょう」

 と最後に締めくくられています。

 

2010年3月14日 (日)

過払金と弁護士トラブル

 11日のNHKのクローズアップ現代で、多重債務者と弁護士との報酬を巡るトラブルが採り上げられていました。

 このブログでも、都会の弁護士・司法書士と過払金を巡るトラブルが多発していることについては、過去に何度か採り上げたことがあります。

 この地方でも、都会の法律事務所から過払金等の広告チラシが新聞の折り込みに入ったりしています。

 そして、「懲戒歴」がある弁護士からのチラシも、現実に、複数存在しています。試しに、インターネットで、弁護士名に、「懲戒」という文字を入れて「検索」してみてください。

 ちなみに、過去に事件屋と結託したこと等を理由に2回重い懲戒歴のある弁護士のチラシが最近配布されていました。そのため、万が一の被害の発生を防ぐために、当該弁護士が所属する弁護士会に、配布先の事務所が直接面談を原則とする日弁連指針等を遵守しているのかどうか確認するようメールを送信しましたが、当該弁護士会からは全く応答がありません。

 多重債務者については、多重債務者の生活の立て直しを図るという見地が必要ですが、中には、多数のスタッフを使ってビジネスライクで債務整理に携わる事務所もあります。

 まず、報酬に関する契約書の内容をきちんと確認して下さい。契約書を交付しない事務所も中にはありますので、そのような事務所は要注意です。

 示談書の原本は必ず貰ってください。「写し」だとダメです。必ず原本です。回収した過払金の金額を伝えない事務所も中にはあります。

 報酬金額について確認してください。不当に高額な報酬を取りすぎている事務所も中にはあります。

 そして、きちんと弁護士が面前で相談に応じ、かつ、説明もしているのかご確認下さい

 交渉だけではなく裁判や強制執行等も積極的に申立を行っている事務所かどうか確認してください。近くに裁判所がある場合には、裁判所の裁判スケジュール表で、弁護士の名前を確認してみてください。

 「無料法律相談」、「電話での相談」という文字だけに惹かれて、遠方の弁護士や司法書士に依頼しないで下さい。

 「インターネットの広告」だけの情報だけで、遠方の弁護士や司法書士に依頼しないでください。

 弁護士選びに失敗した場合には、残念ながら、自己責任となります。

 債務整理を取り扱う弁護士には、①宇都宮健児先生のように、昔から多重債務者救済のために積極的に地道な活動をされ、数々の消費者有利の最高裁判決等を獲得された弁護士グループと、②多数のスタッフを使用して大量の債務整理事案を機械的に処理するビジネスライクの事務所、③事件屋等と結託して多重債務者を食い物にする提携弁護士に分類されています。

 ③に分類される弁護士に依頼した場合には、まともな整理は行わず金員だけ巻き上げられるという最悪の事態を招くことになります。俗に悪徳弁護士と言われるものです。

 ②に分類される事務所の場合には、一見、手軽ではあるようにみえますが、一般的に、遠方であることから面前での相談は困難であるため依頼人と弁護士との意思疎通を十分でない場合が生じうる等の問題があります。なお、12日の日経新聞によれば、②に分類される事務所を「ビジネス系」と消費者金融は呼称しているようです。

 宇都宮健児先生がテレビで述べられておられたように、多重債務者案件の場合には、日弁連で報酬の最高額を決めておくことと、広告の規制を行うことが必要かとは思います。

 また、どの弁護士に依頼していいのかどうかわからない場合には、地元の弁護士会に相談してみてください。愛媛弁護士会も、多重債務者の相談に対応できるよう態勢を構築していかなければならないと思います。

2010年3月13日 (土)

【交通事故】 被害者が自賠法73条1項所定の他法令給付に当たる年金の受給権を有する場合に、政府が同法72条1項によりてん補すべき損害額を算定するに当たって控除すべき年金の額 最高裁平成21年12月17日判決

 判例タイムズNo1315号(3月15日号)で紹介された最高裁平成21年12月17日判決です(交通事故判例速報2010・3参照)。

 ひき逃げ事案における政府補償支払金について、労災年金の将来支払予想分は全部控除されるか否かが争点になった事案です。

 第1審と第2審は、支給が確定していない将来分は控除すべきではないと判断したのですが、最高裁は、将来の給付分も含めた年金の額を控除すべきであると判断しました。

 宮川裁判官の反対意見があります。即ち、平成5年3月24日の最高裁判決では、自賠責保険の場合には、将来分は控除すべきではないとしているのであるから、これと同じになるよう解釈すべきだとしています。

 最高裁の理由は、政府保障事業による損害のてん補の目的とその位置づけ、加害者による損害賠償の場合と異なり二重支給防止のための調整規定が設けられていないこと等を上げていますが、批判も強いところです。

 

2010年3月12日 (金)

【金融・企業法務】 日債銀取締役証券取引法違反事件 最高裁平成21年12月7日

 旬刊金融法務事情No1891号(2月25日号)で紹介された最高裁平成21年12月7日判決です。

 本件の事案は、以下のとおりです。

 日債銀の首脳陣である被告人らが、バブル経済崩壊後に抱えた巨額の不良債権を隠蔽するため、その額を過少に積算した内容虚偽の有価証券報告書を作成したという証券取引法違反(虚偽記載有価証券報告書提出罪)で起訴された事案です。

 争点は、以下のとおりです。

 独立系ノンバンク2社と不良資産の受皿会社等に対する貸出金の償却・引当、その前提としての貸出金の評価が問題となりました。すなわち、貸出金の評価については、商法285条の4第2項「金銭債権に付取立不能の虞あるときは取立つること能わざる見込額を控除することを要す」)に算定方法等の具体的な基準が示されていないため、総則規定である商法32条2項(「商業帳簿の作成に関する規定の解釈に付ては公正なる会計慣行を斟酌すべし」)の解釈が問題となり、具体的には、平成10年3月期当時の「公正なる会計慣行」が何であったかが争点になりました。

 第1審・第2審の判断

 平成10年3月期決算当時においては、資産査定通達等によって補充される改正後の決算経理基準が唯一の基準であることを前提に、本件貸出先についてその償却・引当が義務的となる実質破綻先と査定しました。

 最高裁の判断

 資産査定通達等によって補充される改正後の決算経理基準は、支援先等に対する貸出金の査定に関しては、新たな基準として直ちに適用するには、明確性に乏しかった上、従来のいわゆる税法基準の考え方による処理を排除して、厳格に改正後の決算経理基準に従うべきことが必ずしも明確であったとはいえず、過渡的な状況にあったとして、そのような状況のもとでは、税法基準の考え方によって支援先等に対する貸出金についての資産査定を行うことも許容されると判断しました。

 そして、税法基準の考え方に従って適切に評価した場合に、本件貸出金が回収不能または無価値と評価すべきものかどうか必ずしも明らかでないので、さらに審理判断する必要があるとして、原審に差し戻しました。

 なお、長銀事件について、最高裁平成20年7月18日は、上記事案とは異なり、無罪判決を言い渡しています。この差異は、長銀事件の場合の貸出先は関連ノンバンクであることから、従来の税法基準の考え方によると、個別具体的な事情を考慮するまでもなく類型的に事業好転の見通しがないとはいえないことなるのに対して、日債銀事件では、関連ノンバンクではなかったため、個別具体的な事情を考慮して資産査定をする必要があるといえ、問題状況が異なっていたからです(同書45頁)。

 なお、同号には、「長銀・日債銀取締役証券取引法違反事件の考察」という座談会記事がのっています。

 

2010年3月11日 (木)

平成22年度平成23年度の日弁連会長は、宇都宮健児弁護士

 現主流派の山本候補と、法曹人口の抑制を公約にかかげる宇都宮候補との一騎打ちでしたが、最終的には、宇都宮弁護士が勝利することになりました。

 東京では山本候補が優勢でしたが、地方の大半は宇都宮候補が優勢という結果で、都会VS地方という構図の選挙戦でした。

 愛媛弁護士会では、82票中、宇都宮候補が60票、山本候補が21票と、宇都宮候補が圧勝しています。

 山本候補も、庶民派で気さくな方のようですが、やはり法曹人口の拡大を容認してきた現執行部に対する地方の弁護士の不信解消にまでは至らず、今回の結果となったようです。

 

 

【金融・企業法務】 農協の組合員代表訴訟 最高裁平成21年3月31日判決

 旬刊金融法務事情No1892号(2010・3・5号)で紹介された最高裁平成21年3月31日判決です。

 判決の要旨は以下のとおりです。

1 農業協同組合の理事に対する代表訴訟を提起しようとする組合員が、同組合の代表者として監事ではなく代表理事を記載した提訴請求書を同組合に送付した場合であっても、監事において、上記請求書の記載内容を正確に認識した上で当該理事に対する訴訟を提起すべきか否かを自ら判断する機会があったときは、上記組合員が提起した代表訴訟を不適法として却下することはできない。

2 農業協同組合の合併契約に、被合併組合の貸借対照表等に誤びゅう脱落等があったため、新設組合が損害を受けたときは、そのことに故意又は重過失のある被合併組合の役員個人が賠償責任を負う旨の条項が含まれている場合被合併組合の理事会に出席して上記契約の締結に賛成した理事またはこれに異議を述べなかった監事は、個人として上記条項に基づく責任を負う旨の意思表示をしたものとして、新設組合との関係で、上記責任を免れない

3 農業協同組合の合併契約中の、被合併組合の貸借対照表等に誤びゅう脱落等があったために新設組合が損害を受けたときは、そのことに故意または重過失のある被合併組合の役員個人が賠償責任を負う旨の条項は、

 次の(1)、(2)などの判示の事実関係のもとでは

 被合併組合において、不良債権が適正に評価されておらず、貸倒引当金が過少に計上されていることが判明したときには、過少に計上したことに故意または重過失のある被合併組合の理事および監事に対して、引当不足額相当額を新設組合にてん補する義務を負わせる趣旨を含むものと解される。

 (1)上記契約は、新設組合に引き継がれる被合併組合の財産が貸借対照表等どおりのものであることを前提とするものであり、被合併組合の総会では、不良債権であるのに、そうでないように見せ掛けるなどした場合に、被合併組合の役員が上記条項に基づく責任を負うことになるなどの説明がされている

 (2)被合併組合および新設組合では、不良債権を適正に評価し、必要な貸倒引当金を計上し、自己資本比率の維持、向上を図っていくことが重要な課題となっていた

 

 解説によれば、「その射程は、農協だけではなく、会社にも及び得るところであり、実務に与える影響は少なくないものと考えられる」と説明されています(同書40頁)。

 また、「取締役会(本件では理事会)で異議を述べなかった監査役(本件では監事)を、取締役会で賛成した取締役(本件では理事)と同列に扱うことについては、疑問を差し挟む余地がないわけではないけれども、監査役が、理事会に出席して必要なときは意見を述べる義務を負うものであって、重要な職責を負っていることにかんがみると、取締役会で異議を述べなかった監査役については、取締役会で賛成した取締役と同列に扱う方が適切であると第三小法廷は判断したものと思われる」(同書39頁)と説明されています。

  

2010年3月 9日 (火)

【消費者法】 サンライフ・タンポート/切替事案

 最近の過払金請求訴訟では、契約の地位の承継に伴う過払い債務の承継という問題が、ホットな争点となっています。

 その中の1つに、サンライフ・タンポート/プロミス 「契約切替」事案におけるサンライフ・タンポート時代の取引を、プロミスが承継するか?という争点があります。

 形式的には、債権譲渡事案ではなく「契約切替」事案であることから、プロミスは、旧取引の承継を認めないわけです。

 現在までの私が知りうる裁判例は、以下のとおりになっています。

 過払金の承継を肯定した裁判例

平成21年12月2日付越谷簡易裁判所(飯田弘子裁判官) 司法書士代理

平成21年12月22日付西条簡易裁判所(大西健裁判官) 弁護士代理

平成21年12月22日付東京簡易裁判所(田中芳和裁判官)司法書士代理

平成22年1月21日付美馬簡易裁判所(丸岡隆俊裁判官) 司法書士代理

平成22年1月19日付広島簡易裁判所(谷生浩章裁判官) 司法書士代理

平成22年2月1日付徳島簡易裁判所(坂野尚孝裁判官) 司法書士代理

平成22年2月24日付松江地方裁判所浜田支部(坂本好司裁判官) 弁護士代理

平成22年3月9日付東京地裁判決(小池晴彦裁判官) 弁護士代理 

 なお、今治簡裁裁判所(西村裁判官)も、過払金の承継を肯定しているようです。

 過払金の承継を否定した裁判例

平成21年6月30日付岐阜地方裁判所多治見支部(榊原信次裁判官) 弁護士代理                   

平成21年8月12日付葛城簡易裁判所(森本幸治裁判官) 弁護士代理

平成21年9月24日付浜松簡易裁判所(平井吉彦裁判官) 司法書士代理

平成21年10月15日付福岡地方裁判所(西井和徒裁判官) 本人訴訟

平成21年12月16日付東京地裁(矢作泰幸裁判官) 弁護士代理

平成21年12月18日付東京地方裁判所立川支部(木下秀樹裁判官)弁護士代理

平成21年12月22日付東京地方裁判所(藤岡淳裁判官)弁護士代理

平成21年12月22日付東京地方裁判所(藤岡淳裁判官)弁護士代理

平成22年1月22日付東京地方裁判所(佐々木隆憲裁判官)弁護士代理

(本ブログの記事を書証等として裁判所等に提出することは固くお断りさせていただきます)

2010年3月 7日 (日)

 法律相談業務についてのポリシー

 最近、「法律相談を電話で対応して欲しい」、「不利な回答であった場合には相談料は払いたくない」、「5250円は高いのではないか」、「事件の詳しいことは言えないが電話で回答して欲しい」、「深夜に相談にのって欲しい」、「いまから相談にのってほしい」などというご要望やご意見等をいただくことが少しずつ増えているように思います。

 大変申し訳ありませんが、私の事務所の場合には、顧問先様或いは現在事件のご依頼をいただいている方以外には、「お電話」での法律相談は一切受けておりません

 お電話でご対応させていただくのは、弁護士資格を有していないスタッフですので、法律相談についてご回答させていただくこともできません。

 当事務所は、「事務所内」で「面談」による相談を行うことを、法律相談の基本としています。

 相談日についてですが、現在弁護士一人事務所であることから、事務所の執務時間外でのご相談も行っておりません。また、先着順となっているため、相談日までかなり時間が必要なこともあります。但し、将来的には新人弁護士を入れるなどして、ご予約からご相談までの時間を短くしていきたいと思います。

 法律相談料については、個人の場合で、45分以内で、5250円(内税)、法人の場合で、45分以内で、1万0500円(内税)としています。回答の内容にかかわらず相談料は発生します。もっとも、債務整理のご相談の場合には、ご相談内容によっては、無料又は割引させていただく場合もあります。

 なお、法律相談料の負担が気になる方につきましては、市役所の無料法律相談会(開催日等は市役所にお問い合わせください)や法テラスの法律相談(詳しいことは法テラスにお問い合わせください)等をご利用していただきますようお願いいたします。

 以上、大変申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。

  m(_ _)m

 

2010年3月 6日 (土)

【交通事故】 症状固定後の治療費

 症状固定後の治療費については、原則として、賠償の対象にはなりません。

 交通事故を扱う保険担当者、弁護士、裁判官の、業界での常識です。

 ところが、症状固定後の治療費を負担した町田市が損保会社に求償の裁判を提訴したというニュースを知って驚きました。

 結論は、おそらくは、症状固定後の治療費の大半は否定されることが予想されますが、業界の常識に一石を投じることにはなるとは思います。

 ただ、この業界の常識は、残念ながら、なかなか一般の方には説明してもわかってくれません。

 事故のために、痛さが続いているのだから、痛さが続く以上、その治療費は補償の対象になると考えるのは、自然だからです。

 ただ、「症状固定」という概念は裁判実務で確立されている用語であるため、症状固定後の意味づけが大きく変わるようなことがあれば、交通賠償実務は大きく混乱することになります。

 この事案の判決は判例時報等に搭載されるでしょうから、その時にまた紹介しましょう。

  

2010年3月 5日 (金)

奄美ひまわり基金法律事務所弁護過誤判決

 判例タイムズNo1314号(2010・3・1号)で紹介された鹿児島地裁名瀬支部平成21年10月30日判決です。

 以前もご紹介いたしましたが、事件の辞任時における説明義務違反が認められてしまい、158万円というかなり高額の慰謝料が認められてしまった案件です。

 ただ、依頼人にも、対応に問題点が全くないとはいえません。

 平成17年5月23日、市役所の紹介で、Xさんが、Y弁護士の事務所を訪問して事務員さんと相談しました(但し、相談の際には、一部の債権者を伝えませんでした。)

 同日夕方、第1回目の相談(但し、Xさんは、保証人に約226万円を支払いました)

 5月25日以降、受任通知

 6月 Xさん 転居

 7月15日 Xさんと連絡が取れないため、文書発送

 9月6日 Xさんと連絡が取れないため、文書発送

 9月  Y弁護士が、Xさんの職場に連絡

 9月30日 第2回目の相談 Y弁護士に2万円を弁護士費用として支払い

 10月21日 第3回目の相談 Xさんの都合でキャンセル 後日、XさんがY弁護士に連絡することになったものの、連絡せず。

平成18年

 3月 Y弁護士 Xの親族に連絡したが、Xの親族の電話も不通に

 9月19日 連絡を求める文書発送

平成19年

 7月23日 連絡を求める文書発送

平成20年

 2月    債権者からの訴状受領 辞任したことを初めて知った

 3月19日 連絡を求める文書発送

 4月17日 連絡を求める文書発送

 4月21日  給料の差押え

 5月29日 再度、市役所に相談

 少なくとも、平成20年2月に、辞任したことを知ったのであれば、その段階で、Y弁護士に連絡したり或いは市役所に再度相談するなどの方法を講じることも可能であったはずですが、市役所に相談されたのは、5月29日になってからです。裁判所は、それを理由に、2割減額されていますが、減額割合についてはやや消極的に見積もっているのではないかと思います。

 ただ、本件ケースでは、Y弁護士がXさんに対してかなり高圧的な態度をとっていたことがY弁護士に連絡を行うことを講じなかったことの理由になっていることから、小さく見積もったものと思われます。

 辞任も想定される「連絡文書」は、配達記録の残る方法で、「郵送」で送る必要があるようです。  

 Y弁護士がXさんに対してもう少し穏やかに対応されていたら、Xさんとの関係では、ここまで大きな問題にはならなかったものと思われます。

 

2010年3月 4日 (木)

【交通事故】 後退するタクシーの金属製ポールとの衝突事故について、乗客に傷害ないし後遺障害が発生したとは認められないとして、タクシー会社の損害賠償責任が否定された事例(東京地裁平成21年6月23日判決)

 判例時報No2063号(3月1日号)で紹介された東京地裁平成21年6月23日判決です。

 判決の概要は、以下のとおりです。

 ①金属製ポールに衝突したタクシーには後左トランク曲損等を生じたが、金属製ポールには曲損等は生じなかった

 ②工学鑑定においても、タクシーに加わった加速度は、0.31Gであり、タクシーが金属製ポールに激しく衝突したとは考えられない

 ③衝突の際に、身体が車内で大きく移動し、瞬間的に強い牽引力を受けて右腕神経叢の損傷が生じたとは考えがたい

 ④被害者らから提出された複数の医師の意見書等には、医学的な疑問が残る

 ⑤自賠責の後遺障害の認定は非該当とされている

 以上から、被害者らの主張は採用できず、本件事故により被害者が受傷ないし後遺障害が残存したものとは認められないと判断しました。

 裁判所は、証拠を検討した上で、被害者の請求については、不正請求であると判断したわけですが、実際にも、軽微接触事故であるにもかかわらず、大きな傷害や重い後遺障害が発生したとして、損害賠償請求をされるケースは、跡を絶ちません。

 

2010年3月 3日 (水)

【交通事故】 低髄液圧症候群否定 東京地裁21年2月5日判決(合議)

 交通事故民事裁判例集第42巻第1号(ぎょせい)で紹介された東京地裁平成21年2月5日判決です。

 低髄液圧症候群についてはその発症を否定はしていますが、伝統的な低髄液圧症候群の診断基準と、新しい低髄液圧症候群(脳脊髄液減少症)の診断基準を、並列的に紹介した上、いずれの見解によっても、その要件を満たさないことを理由にしてしています。

 少し、地裁判決の判旨を見ていきます。

 低髄液圧症候群に関する医学的知見等について、以下のとおり、大きく分けて2つの見解が対立している。

 一方の見解は、低髄液圧症候群の本質は、脊髄腔から髄液が漏出して脳脊髄腔内の圧力が低下し、脳組織が下方に変位し、頭痛などの症状を訴える点にあり、髄液漏出がある状態で、臥位から起立位に移行すると、頭の位置が漏出部位より相対的に高くなり、髄液漏出が増加するため、頭蓋内から脊髄腔に向かい、髄液が移動するとともに、脳も下方に移動するとされ、この髄液や脳組織の下方への移動は低髄液圧症候群の起立性頭痛と密接に関連すること、脳組織の下方への変移の画像所見として、小脳扁桃の下垂、脳組織全体の下垂が特徴的であること、正常髄液圧は、100㎜H20から150㎜H20であり、典型的な低髄液圧症候群の場合、60㎜H20となることなどが指摘されている。

 他方の見解は、脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)は、脳脊髄液腔から髄液が持続的ないし断続的に硬膜外へ漏出することによって髄液が減少し(多くの場合、髄液圧は正常範囲内である。)、頭痛、頚部痛、めまい、耳鳴り、視機能障害、倦怠などさまざまな症状を呈する疾患であり、これらの症状は座位、起立位により3時間以内に悪化することが多く、RI脳槽・脊髄液腔シンチグラムにおいて、①早期膀胱内RI集積(RI注入3時間以内に頭蓋内円蓋部までRIが認められず、膀胱内RIが描出される。)、②脳脊髄漏出像(くも膜下腔外にRIが描出される。)、③RIクリアランスの亢進(脳脊髄液減少症RI残存率が24時間後に30%以下である。)のうち一項目以上を認めれば、髄液漏出と診断すること、参考所見として、頭部MRIでの脳下方偏位及び血液量増加、MRミエログラフティでの明らかな漏出像やこれを疑わせる所見の存在があること、治療にはブラッドパッチが有効であることなどが指摘されている。

 2説を並列的に紹介しています。

 以下、あてはめです。

 そこで、原告に低髄液圧症候群が発症したかどうか検討するに、・・・ 

 原告は、本件各事故後、小倉病院を受診するまでの4年程が経過するまでの間、頭痛を訴えていたのは、駒沢病院及び東京警察病院のみであり、しかも、常に頭痛を訴えていたわけではなく、また、それは低髄液圧症候群の典型症状とされる起立性頭痛であったとはいえない上、小倉病院でも、経過記録ではむしろ頭痛を否定していることが認められる。

 次に、原告の画像所見について検討するに、・・・正常髄液圧は、100㎜H20ないし150㎜H20であるところ、・・・脳槽造影によれば、原告の髄液圧は、160㎜H20又は180H20であり、正常値よりもむしろ高く、また、二度の脳槽造影によっても髄液漏れは認められなかった

 さらに、・・・原告は、合計4回ものブラッドパッチを受けたものの、症状の大きな改善は認められなかった。

 以上のとおり、原告には、低髄液圧症候群の典型症状とされている起立性頭痛がなく、画像所見上も髄液圧の減少や髄液漏れは認められず、ブラッドパッチを受けても大きな改善は認められなかったことから、低髄液圧症候群に関する上記いずれの見解に従ったとしても、原告が、本件各事故により低髄液圧症候群を発症したと認めるに足りる証拠はない。

                        (以上、引用終わり)

 低髄液圧症候群については、裁判例の流れとしては、消極的な判例が続いており、一時期の勢いがありません。このままPTSDの場合と同じような流れになりそうです。 

 陪席裁判官は、中央大学の駿河台法職研究室で1年間一緒に勉強した大学の後輩でした。大学を卒業して20年が経過しました。お腹だけ成長して、精神はまだまだ未熟なままです・・・

 頑張っていきたいと思います。

 

2010年3月 2日 (火)

抗菌効果 長持ちタオル 楠橋紋織(今治)

 今治市の老舗タオルメーカーの楠橋紋織が、広島大学の技術を活用して、ウィルスや細菌を不活性化するタオルを開発して、販売を始めたことが、本日の読売新聞で写真入りで大きく紹介されていました。building

 3月8日から、インターネット販売も、受け付ける予定になっています。telephone

 広島大学の二川浩樹教授が開発し、大腸菌やO157などを殺し、新型インフルエンザウイルスなども不活性化するという特殊な加工物であるEtakを使ったタオルです。

 耐久性も優れており、50回洗濯を繰り返しても、通常のタオルの25倍の抗菌機能が維持されているようです。

 楠橋紋織は、いつもユニークな商品を企画されており、時折、贈答品などで購入させていただいています。

 長く使っても抗菌性能が低下せず、安心。子どものいる家庭で是非使って欲しい。ということなので、早速、購入してみたいと思います。

 詳しいことは、同社にまでお問い合わせ下さい。

 

2010年3月 1日 (月)

【交通事故】 事故後8日目で初受診も、74歳男子は詐病でないと、約10か月で14級後遺障害の固定を認め、残存期間は7年とし、素因等1割減額を適用した 松山地裁西条支部平成21年7月3日判決

 自保ジャーナルNo1816(2010年2月25日)号で紹介された裁判例です(松山地裁西条支部平成21年7月3日判決)。

 事案の概要は以下のとおりです(同書P127参照)

 74歳男子農業従事者の原告は、平成14年11月1日午後6時10分頃、愛媛県下で普通貨物車を運転停車中、被告運転の乗用車に追突され、頸部痛等で39万4500円の既払い金を控除して、約5700万円を求めて提訴しました。

 裁判所は、74歳男子の症状固定につき、「治癒状態をいうものではない」、かつ、「原告の同意を要するものではない」が、「受診が事故後8日目」という軽微性、74歳という年齢や「他覚所見がない」ことを考慮も、「追突の際、後部座席の荷物が前方に落下」の衝撃等から、「完全な詐病であると認めることはできない」とし、原告は約10か月後に「14級10号」の後遺障害を残し、症状固定したと認めました。

 74歳男子の平均余命は10年であるが、原告の14級「後遺障害の残存期間」は「7年間と認める」とし、「原告の身体的素因、心因的素因などが寄与」しているとして、損害額の1割減額を適用しました。

 74歳男子農業従事者は、確定申告の提出もなく、事故後も「農作業を行っていた」等で、休業損害・逸失利益を否定しました。

 裁判所は、約260万円(元本)の支払いを認めました。

 自保ジャーナルの解説(P128参照)によれば、「原告は携わる農業に支障が出ることから、農業補償を請求するなど、判決からでも作為的な意図は全く感じられず、加齢性なども加わり、本当に疼痛が長期的に残存したのであろうが、そうであっても素因関与で1割減額にとどめたのはどうかと思われる事例である。」と紹介されています。

 素因減額の割合は、個々の裁判官によって、相当開きがあるように思います。

 

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