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2009年10月28日 (水)

【交通事故】 脳脊髄液減少症の存在を否定した裁判例 福岡地裁平成20年9月11日判決

 交通事故民事裁判例集第41巻第5号(平成20年9月10月)(ぎょうせい)で紹介された福岡地裁平成20年9月11日判決の事案です。

 まず、脳脊髄液減少症の診断方法についてですが、

 「現時点における一般的・標準的な基準としては、日本神経外傷学会の作成した『低髄液圧症候群の診断基準』(学会基準)と脳脊髄液減少症研究会ガイドライン作成委員会が作成した『脳脊髄液減少症ガイドライン2007』(研究会ガイドライン)があることが認められる(その他に、国際頭痛学会の診断基準等もあるが、同趣旨の内容と理解できる。)。

 そして、学会基準では、

起立性頭痛(国際頭痛分類の特発性低髄液圧症候群に倣い、頭部全部及び【又は】鈍い頭痛で、座位又は立位をとると15分以内に増悪する頭痛)と、体位による症状の変化(国際頭痛分類に示される頭痛以外の症状として挙げられる項部硬直、耳鳴、聴力低下、光過敏、悪心)のいずれかと、

②ア 造影MRIでびまん性の硬膜肥厚増強、イ 腰痛穿刺にて低髄液圧の証明、ウ 髄液漏出を示す画像所見(脊髄MRI、CT脊髄造影、RI脳槽造影のいずれかにより、髄液漏出部位が特定されたものを指す。)、の1項目以上が認められる場合に

 低髄液圧症候群と診断するとしている。

 また、同学会では、外傷性と診断されるための条件として、外傷後30日以内に発症し、外傷以外の原因が否定的であることを挙げている。

 また、研究会ガイドラインでは、

 脳脊髄液減少症の主症状として、頭痛、頸部痛、めまい、耳鳴り、視機能障害、倦怠・易疲労感を挙げ、これらの症状は、座位、起立位により3時間以内に悪化することが多いとされ

 また、画像診断としては、RI脳槽・脊髄液腔シンチグラムが最も信頼性の高い診断法とされ、

 ア 早期膀胱内RI集積

 イ 脳脊髄液漏出像くも膜腔外にRIが描出される

 ウ RIクリアランスの亢進

 の1項目以上で髄液漏出と判断するなどとされている。」

 ← 学会基準か、研究会ガイドラインによるのか、ということになりそうですが、この裁判例は、確かなことは鑑定の結果が省略されているので、確かなことはわかりませんが、いずれの基準によっていないように思われます。以下、続けます。

 「・・・脳脊髄液減少症の罹患の有無については、上記鑑定の結果において示された一般的診断基準により判断することが相当というべきである」

 「ア 症状として、頭痛、頚部痛(項部強直)、耳鳴り、聴力障害、視機能障害(目のぼやけ、眼振、複視、光過敏、視野障害)、悪心(めまい)が認められるか否か、特に頭痛が存在するか否か

 イ 上記の症状が臥位にて改善し、座位や立位にて速やかに悪化するか否か

 ウ 交通事故を原因とする場合、事故後早期に上記症状が出現するか否か

 エ 画像所見として、脳脊髄液漏出(髄液漏出部位が特定)が証明されるかどうか

 オ 脳脊髄液漏出の結果として生じた低髄液圧が証明されるか否か

 カ 交通事故を原因とする場合、事故後早期に上記画像所見が出現するか否か」

 その上で、裁判所はこの基準を当てはめて、脳脊髄液減少症の罹患を否定しました(但し、局部の神経症状として12級肯定)。

 低髄液圧症候群については、否定的な裁判例が続いています。

2009年10月27日 (火)

【金融・企業法務】 銀行120行地方公共団体向け貸出金残高調査

 10月28日付けのTSR情報に特集記事として、銀行120行地方公共団体向け貸出金残高調査が載っていました。

 上位には当然のことながら総貸出金残高が大きい都市銀行が占めていますが、2位に北洋銀行が上がっていました。北海道は地方公共団体の数が多いことからでしょうか?

 伊予銀行の総貸出金残高は、3,361,211百万円で、七七銀行、中国銀行、京都銀行、群馬銀行などと同規模です。公共団体向けでは、47位と余り多くありません。四国では、四国銀行が35位で、伊予銀行よりも自治体に対する貸付金額が大きくなっていました。

 35位 四国銀行 36位 114銀行 47位 伊予銀行 

 67位 阿波銀行 68位 愛媛銀行 73位 高知銀行

 74位 香川銀行 80位 徳島銀行

 解説には、「地方公共団体向けの貸し出しについては、そのリスクウエートの低さから、貸し出しというよりも国債の代替という厳しい指摘もあるが、地方公共団体向けの貸し出しが必ずしも絶対安全とは言えない状況も出てきている。」とかかれていました。

 公共団体なんて、まずつぶれることなんてないと思われる典型例ですが、総務省地方公共団体財政健全法に基づき平成20年度決算を対象とした財政悪化度を発表して、破綻懸念の21市町村をリストアップしたようです。 

2009年10月26日 (月)

【金融・企業法務】 民事再生法49条1項に基づき解除されたことにより生じた共益費用について、民事再生手続開始前に保証していた連帯保証人が代位弁済したことによって取得した当該共益債権たる原債権を民事再生手続外で行使することができるか?について、再生債権と同様の制約に服するとして、訴えが却下された事例 大阪地裁平成21年9月4日判決

  旬刊金融法務事情No1881(10月25日)号で紹介された裁判例(大阪地裁平成21年9月4日判決)です。

 ケースは、比較的単純です。

 Aが、Bに船舶で使用する断熱材の製造を依頼して、請負契約の報酬の前渡金を交付しました。前渡金返還債務の支払い保証を、X銀行がしました。

 ところが、Bが民事再生手続の申立を行いました。

 Bの管財人であるYは、請負契約を解除しました。

 この解除によって、Aは、Bに対して、「共益債権」である前渡金返還請求権を取得しました。X銀行が支払保証に基づき、再生債務者Bに代わり、保証債務を履行しました。

 そして、X銀行は、共益費用である前渡金返還請求権を代位取得したとして、Y管財人に対して、前渡金返還請求を提訴しました。

 争点は、以下のとおりです。

 民事再生法49条1項の解除により発生した共益債権たる原債権を連帯保証人が代位弁済により代位取得した場合に、代位取得者は、原債権について共益債権として権利行使することができるのか、それとも、再生債権として民事再生手続内でしか権利行使することができないのか、というまさに、民法501条の「求償権の範囲」の解釈が正面から争われたケースです。

 大阪地裁は、

 民法501条の「求償権の範囲」とは、求償権の存在や額を行使の上限とする趣旨にとどまらず、求償権の行使に実体法上または手続法上の制約が存する場合には、原債権がその制約に服することをも意味していると解するべきである

                    ↓

 債務者は、代位弁済者が取得した求償権に対抗することができるすべての抗弁をもって原債権の行使にも対抗することができる

                    ↓

 本件求償権は再生債権として、原則として、再生計画の定めるところによらなければ弁済等が許されないという行使についての手続法上の制約があるから、X銀行は、本件請求権を民事再生手続外で行使し弁済を求めることはできないとして、本件訴えを却下しました。

 X銀行としては、民事再生手続前の支払保証により、Aに対する前渡金返還債務の支払いを強制されているため、Aが要求した場合には、その支払いを拒絶できません。ずっと前のブログにも記載しましたが、代位取得は、原債権も取得することになるため、どうしても、原債権の性質などもそのまま引き継がれるのかなと簡単に考えてしまいがちです。

 田舎弁護士の場合には、このような大きな案件とは縁がありませんが、破産の場合で、租税公課を立て替えて支払う人もいて、そのような方から、債権届出が出されることはごくたまにあるようです。

 なお、旬刊金融法務事情の表紙のだじゃれが復活していました。

 時効障害の3類型化は時好に投ずる

 余り笑えないだじゃれですが・・・

 

2009年10月25日 (日)

【金融・企業法務】 高齢の預金者が弁護士に委任して提起した預金払戻請求訴訟において、預金者の意志能力が肯定され預金者の請求が認容された事例 福岡高裁平成21年5月21日

 旬刊金融法務事情No1881号(10月25日号)で紹介されていた裁判例です。

 高齢者であるXからの預金払戻請求に対して、Y銀行が成年後見人等を通じて払戻請求を行うように述べて、預金の払戻を拒絶した事案です。

 第1審裁判所の福岡地裁は、Xが代理人宛に作成した委任状を無効として、本件訴えを却下しました。

  その理由は、以下のとおりです。

 ①本件預金の額については全くないか少しある程度であると思っており、800万円を越える本件預金の存在については知らないと供述したこと

 ②本件預金を直ちに払い出す必要性はとくになく、払い出す意向もないと供述したこと

 ③本件訴訟前にY銀行の行員との間で本件預金の払い出し等についてやりとりした記憶がないと供述したこと

 ④本件訴訟におけるXの代理人である弁護士の氏名について知らないとか記憶にないと供述し、Y銀行を相手に裁判をする意向がない旨供述したこと

 などを認定した上で、Xの意思能力の有無について、Xには、本件訴えを提起し遂行する意思は認められず、また、本件訴訟を弁護士に委任する意思も能力も認められないのであって、本件委任状はXの有効な意思に基づくものとはいえないとして、訴えを却下してしましました。

 原審は、以下のような指摘もされています。

 ①上記のような原告本人の供述が、単に記銘力の低下であるという原告の主張について、原告は、その主張の裏付けとなるべき意思の専門的意見や医療記録に基づく立証を一切しない

 ②原告本人尋問等を通じて、原告本人が本件預金の存在を認識せず、本件訴訟についても全く認識がないことが明確になったにもかかわらず、原告は、それ以降も、原告に訴え提起の意思や訴訟能力があったことを認めるべき立証をしない

 ③原告本人は、本件訴訟に関する訴訟委任をした記憶がないと供述しているにもかかわらず、原告は、原告がM弁護士に本件訴訟を委任した際の具体的なやりとりや、本件委任状の作成に至る事情等に関する的確な立証をしない

 これに対して、福岡高裁は、Xの請求を認めました。

 それは、

 ①Xが第一審判決後、養女から本件訴訟に至る経緯や第一審での敗訴についての説明を受け概略を認識した上で控訴審のための訴訟委任状に署名・捺印したこと

 ②平成21年3月ころ作成された診断書によれば、Xは軽度認知症にあり日常生活上の事態に対する理解力・判断力については補助が必要であるが、意識状態は清明であり後見・補佐の必要はないと診断されていること

 から、Xの意思能力がありと判断して、Xの請求を認めました。

 意思能力に疑いのある預金取引先から高額の預金払戻請求がなされた場合、どのように対応するか?については、よく相談をお受けします。

 まず、Y銀行の担当者が行ったように、Xを訪ねて意思確認を行うことは必要であり、そしてそれを記録化することが必要です。

 また、控訴審で診断書をとりつけているように、専門医の診断書を取り付けてもらい、さらに、医師と面談して確認することも必要かもしれません。

 しかし、かなり面倒な手間ですね。

 ただ、今回のケースで、福岡高裁は、平成20年4月8日(訴状送達日の翌日)から年6%の遅延損害金を認めています。福岡高裁の理由だと、せめて福岡高裁の判決言渡の翌日から起算してもらいたいものです。理屈付けはなかなか難しいかもしれませんが・・・

 ところで、24日の愛媛新聞で、フジのエミフルが取り上げられていました。今、エミフルがものすごくおもしろいようです。先般、息子と2人で、電車を乗り継いで遊びにいったのですが、今でも、エミフルにいっていない妻と娘からは、恨まれています・・・・coldsweats02 

2009年10月24日 (土)

新人弁護士さんの募集

 私の過去のブログに、新人弁護士さんを募集している記事をのせたことから、時折、司法修習生の方から、電話、郵送、FAXで、問い合わせがあります。

 まあ、FAXによる問い合わせは論外として、郵送による問い合わせについては、できるだけ丁寧に対応させていただいております。

 また、先日、愛媛弁護士会から、弁護士会にもよく弁護士募集の問い合わせがあり、特に新62期は就職先未定の方が多数おられるようなので、日弁連のHPなどに募集していることをのせていいのかどうか?という問い合わせをいただきました。

 まあ、「それは了承します」と回答しておきましたが、私のスタンスが、あくまで、「いい人がいれば採用したい」という消極的なスタンスであるため、HPをのせたとしても、あまり役立たないかもしれませんが・・・

 以前、日弁のHPにのせていたころは、よく司法修習生からの問い合わせがありましたが、最近は、HPにのせていませんので、数件程度の問い合わせしかありません。

 また、私の事務所のように、吹いては飛ぶような零細企業の場合には、弁護士を何人も採用できるわけでもないので、弁護士の採用については非常に慎重になりますね。

 最近では、司法修習生への指導をすることについて消極的な弁護士もおられるようです。中には、「同業者にノウハウを教えられるか」という意識を抱く方もおられるようで、司法修習の意義や趣旨が改めて問われているような状態がきているのかもしれません。

 数年前に今治支部でも弁護修習として司法修習生を受け容れることを提案したことがありましたが、その時は結局希望がなくてとりやめになったことがありました。

 私自身は、司法修習での修習指導は、「同業者にノウハウを教えられるか」というたぐいのものではないと思っていますが、今日のように、弁護士の数が極端に増員され競争が激しくなっている状況では、次第にこのような意識を抱くような方が増えてくるかもしれません。

 私の場合には、修習担当の弁護士の先生が公私にわたりいろいろなご指導を無償でいただきましたが、制度が変わったとしても、弁護士の司法修習への指導というのは、聖職者に近いような義務ではないかと感じています。

 とはいっても、何もしていないので、偉そうなことを述べる資格はないのですが・・・・

 それはさておき、最近、マスコミでは、過払バブル紳士の申告漏れが取りざたされていますが、現場の感覚では、すでに過払いバブルははじけたような印象を持っています。平成でいえば、平成3年か平成4年ころの雰囲気ですね。

 今後、過払金返還が重要な業務になっている弁護士事務所の売上げは、次第に大きく減少していくことが予想されますが、その中で、うまく生き残れるのかどうか将来に対する不安を多くのマチ弁は抱えているのではないかと思います。

 新人弁護士さんを採用しても、1期目は内部留保で給料を支払えても、2期目は内部留保もつき支払えないかもしれない、3期目は、やめてもらうかもしれないという不安があるため、なかなか新人弁護士さんの採用を決断できないのも事実です。

 小さな法律事務所が生き残れるために、何が必要なのかいろいろ考えています。

 いままで弁護士はマーケティングなんて考えなくても、真面目に仕事をしていれば生活できていましたが、現在は、田舎にも、都会の弁護士法人の支所が多数進出してくるなど、戦国時代を迎えています。

 私自身は、事務所が、いい意味で、「地域一番店」になるよう努力していきたいと思っています。

 幸いなことに、今のスタッフは大変誠実で優秀な方に恵まれているので、後は、私自身に磨きをかけることと、及び、今のスタッフと同じように誠実で優秀な新人弁護士さんがきていただくことかなと感じたりしています。 

2009年10月23日 (金)

【金融・企業法務】 A社の取立委任手形につき商事留置権を有するB銀行が、A社の民事再生手続開始決定後に同手形を取り立て、A社に対して有する債権に充当することの可否 東京高裁平成21年9月9日判決

 旬刊金融法務事情No1879号(10月5日号)で紹介された裁判例です。

 この判決は、金融機関の融資管理の担当者と話をする時には、必ずといってよい程話題になる判例の1つです。以前も地裁判決は紹介させていただいております。

 知らないと恥をかきますので注意です。

 事案は以下のとおりです。

 A社とB銀行は、平成18年2月5日、銀行取引約定を締結しました。この約定には、

 甲が乙に対する債務を履行しなかった場合には、乙は担保およびその占有している甲の動産、手形その他の有価証券について、かならずしも法定の手続によらず一般に適当と認められる方法、時期、価格等により取立または処分のうえ、その取得金から諸費用を差し引いた残額を法定の順序にかかわらず甲の債務の弁済に充当できるものとしますとの条項

 A社が民事再生手続開始を申し立てた場合には期限の利益を喪失する旨の条項

が含まれていました。

 A社は、再生手続開始の申立に先立ち、B銀行に複数の約束手形を取立委任のため裏書譲渡していましたが、B銀行は平成20年2月29日の同再生手続開始決定後、各約束手形を取立、同年3月19日、A社に対して、本条項に基づいて取立金を当座貸越債権に充当した旨通知しました。

 これに対して、A社は、

① B銀行の当座貸越債権は、民事再生法84条1項の再生債権に該当し、同法85条1項により弁済が禁止される

② B銀行は、各約束手形に商事留置権を有していたが、商事留置権には法定の優先弁済権が認められていないから、銀行が取立金を当座貸越債権に弁済充当することは弁済禁止(民事再生法85条1項)に抵触し許されないと主張して、

 銀行が取立金を本件各条項に基づき、当座貸越債権に弁済充当できるかが争点となりました。

 東京地裁は、以前のブログで説明したとおり、B銀行の主張を認めませんでした。

 東京高裁も、同様の結論です。以下、その概要を述べます。

 民事再生法53条1項・2項は、別除権とされた各担保権につき新たな効力を創設するものではなく、別除権者は、当該担保権本来の効力の範囲内で権利を行使し得るにとどまる

                    ↓

 別除権の行使によって優先的に弁済を受けるためには、当該別除権社が他の債権者に対して優先して弁済を受けられる権利を有していることが必要である。

                    ↓

 留置権は、留置的効力のみを有し、優先弁済的効力を有しないことから、目的物を占有し、これを物質的に支配して弁済を促す権利を有するにすぎないのが本来的な性質であり、再生手続において商事留置権に法律上優先弁済権が付与されると解することはできない

                    ↓

 従って、B銀行は本件手形取立金についてなんら法的な優先権を有するものではなく、当該手形金をもって商事留置権の被担保債権の弁済に充当することはできないとして、B銀行の主張を排斥しました。

 まさに、条文解釈と実務運用の狭間で揺れる民事再生手続における商事留置手形の取り扱いですね。。。

  

2009年10月22日 (木)

企業内弁護士と地域金融機関

 旬刊金融法務事情NO1879号の法務ブログに、企業内弁護士と地域金融機関というおもしろいテーマ記事がのっていたので、概要を紹介する。

 以前なら、メガバンク、政府系金融機関でしかお会いすることはなかった企業内弁護士が、地域金融機関の法務・コンプライアンス部門でも多くみられるようになったというのだ。

 但し、苦言も呈している。

 それは、採用する地域金融機関経営陣の企業内弁護士に対する認識についてであり、一行職員であっても、弁護士の先生であることから、その企業内弁護士の発言や意見が経営に与える影響の大きさについてである。

 弁護士であれば何でも知っていて優秀なのだろう、人格的にも優れているはず、他行が採用しているのでうちもとりあえず採用しておこう 率直にいえば、弁護士ということだけで採用しているというのだ。

 論者は、応募してきた弁護士資格を有する者に対して、いったんその肩書きを外した本人と向き合うべきことを強調している。

 

 全くそのとおりで、自分自身も省みるところが少なくないのと同時に、地域金融機関だけではなく法律事務所に就職を希望する者にも当然同じ指摘はできよう。

 ところで、今日だけなぜか文体が偉そう  (*^.^*)

2009年10月21日 (水)

【交通事故】 自動車事故過失相殺の分析

 ぎょうせいから、「自転車事故過失相殺の分析」という書籍が、平成21年9月25日に発行されました。

 421頁のボリュームのある書籍ですが、章は7つに区分されています。

 総説(第1章)、自転車・歩行者に対する道路交通法の規制(第2章)、自転車事故における民事責任原因(第3章)、自転車事故と保険(第4章)、自転車事故の過失相殺と類型化(第5章)、自転車事故の過失相殺(第6章)、裁判例集(第7章)です。

 表紙は、白地ベースに、車輪が2つ描かれています。

 この書籍の愛称は、なんとつけられるのか興味津々です。

 「シロ本」が、「赤本」、「青本」に続くネームとしては適当だと思われますが、「チャリ本」というのも、変わっていていいと思います。

 内容については、まだ読めていないので、紹介できません。悪しからずご了承下さい。値段は、4571円+税金のようです。

2009年10月20日 (火)

【流通】 チェーンンストアエイジ10・15

 チェーンストアエイジ10月15日号に、「流通マンのための数字に強くなるセミナー⑫」従業員一人当たりの売り場面積というテーマの記事が載っていました。

 解説者によれば、マネジメント、あるいは作業システムの優劣を比較するのに、従業員一人当たり売場面積という数値は、使用されることが多いようです。

 上場流通企業のうち、従業員一人当たり売場面積の多い企業につて、フォーマットが作成されていました。

 日スでは、フジが最も高く、28.8坪、次いで、イズミが23.3坪、イズミヤが23.1坪、平和堂が20坪となっていました。

 ホームセンタでは、コメリが断トツで、66.3坪で、作業システムの合理化が進んでいることがわかります。

 解説者は、「実際にこうした企業の現場に行き、どのように店員が動いているかストアコンパリゾンする必要があるだろう。日本の小売業界は、この作業システムについてのストアコンパリゾンにきわめて不熱心だと私は日ごろから感じている。経営政策上の時流から大きくずれている最大の原因は、ひとえに、他店見学への怠慢によるものなのだ」と厳しく結んでいます。

 チェーンストアエイジでは、冒頭に、ディスプレイコンテストがたくさん紹介されています。

 なんと、フジグラン今治店では、夏の健康生活レモンフェア・アイデアコース優秀賞を、フジグラン十川店では、POKKA賞を、堂々受賞されていました。

2009年10月19日 (月)

【金融・企業法務】 エージェントと借入人との利益相反 銀行法務21・10

 銀行法務21で、連載中の「基礎から学ぶシンジケート・ローン入門」で書かれていたことについてです(銀行法務21・10)。

 この中で、エージェントと借入人との利益相反についての項目で、以下の問題点の指摘がありました。

 エージェントは、通常、シンジケート・ローン(シローン)の貸付人を兼ねていますが、さらに、借入人に対してシローン以外の相対貸付を行っていることが多々あります。このような場合、エージェントは自行の利益を優先させるか、シローン参加金融機関の利益を優先させるかという利益相反の状況に立っています。この利益相反状況は、エージェントが相対貸付の貸付人の立場において独自に借受人の信用不安情報を入手した場合に顕在化します。

 エージェントは相対貸付の債権回収を優先させてよいものでしょうか?

 RCF契約書25条5項、6項、TL契約書21条5項、6項は次のように規定しています。

 ① エージェントの委任事務の範囲には、参加金融機関のための与信管理は含まれない

 ② エージェントは、別途借受人と金融取引ができる

 ③ エージェントは、シローン外で取得した借受人に関する情報をほかの貸付人に対して開示する義務を負わない

 このため、エージェント行が別途実行したプロパー融資に関し独自に回収ないし保全を行うことは、あらかじめ貸付人の承認を得ているため利益相反の問題ではないと位置づけられています。

 ただし、エージェントが悪意をもって相対貸付の回収を優先させたような場合には、別途、善管注意義務違反の問題が生じる可能性があると思われます。

 銀行法の改正により、平成21年6月から利益相反管理体制の構築が求められることになりましたが、エージェント業務の利益相反に関するこうした関係からすれば、シローン契約をいっさい利益相反管理体制下における管理対象としなくてよいということにはならないと思われます。

 ※RCF契約書 リボルビング・クレジット・ファシリティ契約書

  TL契約書 JSLAが推奨しているタームローン契約書

 ところで、エージェントが悪意をもって相対貸付の回収を優先させた場合ってどんな場合でしょうか? 

2009年10月17日 (土)

【IT関連】 携帯電話から接続サービスを利用してインターネットのブログになされた書込によって名誉や信用を毀損されたとする者から携帯電話会社に対する発信者情報開示請求が認められた事例(東京地裁平成20年9月9日判決)

  判例時報NO2049号(平成21年10月11日号)で紹介された東京地裁平成20年9月9日判決です。

 事案の概要は、以下のとおりです。

 氏名等不詳の者により携帯電話等を利用してインターネット上のブログになされた書込によって名誉や信用を毀損されたとするXが、損害賠償を請求するに必要不可欠であるとして、インターネット接続サービスなどを営むY(NTTドコモ)に対して、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」4条1項に基づき、そのような書込をした発信者を特定するための情報を開示するよう求めた事案です。

 この法律は、残念ながら模範六法にのっていませんでした・・・・

 4条1項は、

 特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者は、

 次の各号のいずれにも該当するときに限り、

 当該開示関係役務提供者が保有する当該権利の侵害に係る発信者情報の開示を請求することができる

 として、

 ① 侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき

 ② 当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権行使のために必要である場合その他発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき

 と定めています。

 本件事案において、

 本件書込によって名誉や信用が侵害されたとする原告が、被告に対して、本件発信者の特定に必要な氏名、住所等の情報の開示を求めるためには、①本件書込によって原告の名誉や信用が侵害されていること、②その侵害が明らかであること(侵害の明白性=違法性阻却事由の不存在)、③開示を受けるべき正当な理由が存在すること、④被告が開示関係役務提供者であること、⑤被告が本件発信者の情報を保有していることという要件を備えていることが必要であるとして、

 本件事案においては、これらを充足するとして、原告の請求を認めました。

 法律上の争点の1つに、経由プロバイダが「開示役務提供者」に該当するかどうかというのがあります。

 東京地裁は、以下の理由により、経由プロバイダが「開示役務提供者」に該当することを認めました。

(1)第1に、経由プロバイダが開示役務提供者に該当しないとすれば、被害者に対して発信者情報開示請求権を認めた法の趣旨を没却すること

(2)法及び法に基づく省令は、侵害情報に係るIPアドレスを開示請求の対象となる情報に含めており、IPアドレスを割り当てた経由プロバイダーに対する発信者情報の追跡を前提にしていること

(3)Yは、所有する電話通信回線を他人の通信のために利用させ、他人の通信を媒介していることが認められるのであって、本件通信者が本件書込をしようとして自分の携帯電話等から情報を発信し、経由プロバイダである被告の通信回線を利用して、本件ブログを監理している訴外サーバーエージェントのサーバに記録され、さらに、不特定多数の者が被告などの通信回線を利用して本件ブログを監理しているサーバにアクセスして受信し、これを閲読するまでの全体が「特定電気通信」にあたると考えられるのであって、経由プロバイダとしてとしてこのような通信の用に供される特定電気通信設備を用いている被告は、「特定電気通信役務提供者」に当たり、「開示関係役務提供者」にも該当するというべきである。

(4)(被告からの反論に対して)

 被告は、経由プロバイダが開示関係役務提供者に含まれるとすると、経由プロバイダは自己の管理が及ばない情報について開示義務だけを負担させられることとなり、誤った情報を開示して刑罰を受ける可能性などがあるから、経由プロバイダは開示関係役務提供者に該当しないと反論している。

 しかし、他に被害者を救済するための適切な方法はないのであって、経由プロバイダが開示すべき情報を誤認するという抽象的な危険性があるということだけで被害者から救済の途を奪うことは到底妥当なものではない。

 IT関連の項目を開設しました。 

2009年10月16日 (金)

任意整理の弁護士費用を値下げしました

 任意整理の弁護士費用を値下げしました。

 交渉着手金は、1件あたり、2万円(内税)

 交渉報酬金は、

 減額の場合は、減額された金額の10%+消費税

 過払金の場合は、回収した金額の16%+消費税

 にしました。

 詳細は、報酬規定をご覧ください。

 ただし、直接面談できる方が対象です。

 また、最近は、交渉で適正な過払い金を回収することが難しくなった業者も増えています。そのため、提訴して和解、判決を得て強制執行ということも少なくありません。ただし、強制執行をしても、他の差し押さえ債権者が何十人もぶらさがっている場合もあります。面談の際にはこのあたりの事情についても直接説明させていただきます。

 

2009年10月15日 (木)

【建築・不動産】 平成21年度紛争処理委員実務研修 高松

 先日、(財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター主催の平成21年度紛争処理委員実務研修(高松)に参加してきました。

 ①国土交通省の住宅局住宅生産課課長補佐の伊藤昌弘課長補佐による住宅瑕疵担保履行法についての解説、②犬塚浩弁護士による最新の住宅に関する判例の解説が主たる研修テーマでした。

 私自身、愛媛弁護士会の住宅紛争処理審査会の委員になっている関係上、例年、この研修にはできるだけ参加するようにしています。

 特に、犬塚先生の毎年の住宅に関する判例解説は、普段、余り住宅関連紛争に接しない田舎弁護士にとっては、貴重な情報を得る機会であり、研修の度毎に先生の最新の知見にはいつも驚いているところです。

 おもしろいなあと思った判例の中には、例えば、モデルハウスは、建物がモデルハウスと異なる仕様だとしても瑕疵にはならないと判断した東京地裁平成18年9月21日です。

 また、建築確認申請添付図面と異なる施工は、特段の事情がない限り、瑕疵にあたると評価され、注文者が建物の耐震強度を確保している部分に影響を与えるような施工の要求ないし指示を出していたとしても、瑕疵であるとの評価を妨げる事情ということができないとした東京地判平成20年3月26日判決です。

 いつもながら、紛争処理委員用のマニュアルは満載で勉強になります。

 愛媛弁護士会の弁護士では、私のほか、処理委員のA弁護士がこられていましたが、いつの間にかいなくなっていました・・・・

 法令・基準解説については、ぎょうせいから、住宅瑕疵担保実務の手引が加除式書籍で出されていますが、購入した方がいいのかどうか?判断に迷います。

 

2009年10月14日 (水)

イオンが仕掛ける流通大再編 ! 日本実業出版社

  イオンが仕掛ける流通大編成 ! (2008年3月)発行を読みました。

 著者の鈴木孝之さんは、西友の店長などを歴任した後は、証券会社の調査部に入り、その後独立してプリモリサーチジャパンという会社の代表を務めておられる方のようです。

 全部で6章に区分され、①イオンが真の流通覇者になるときはいつなのか、②セブン&アイは21世紀の主導者たり得るか、③イオンが描く首都圏スーパーマーケット連合の全貌、④ウォルマートが日本から撤退する日は来るのか、⑤ウォルマート流は成功するか?、⑥イオンとセブン&アイを取り巻く流通大再編のゆくえに区分され、著者の考えが綴られています。

著者は、売上高1兆円、マーケットシェア10%が、小売業の力を劇的に強くなることについて強調し、小売業界の2強であるイオンとセブン&アイ、そして、米国のウォルマートを比較しつつ、イオンの優位性を説明されています。

 著者は、第6章で愛媛のフジについても触れています。「大阪のイズミヤと四国のフジの動向からも目が離せない。イズミヤも以前はイオンと近い関係だった。イズミヤもフジも、どこの共同商品調達機構にも加わらず孤高を保っているが、イオンの拡大した規模を基盤としたマーチャンダイジング戦略が始まった今、基盤が弱小であることは一目瞭然だ。競争圧力がさらに強まれば両社とも動かざる得なくなる。イオンかセブン&アイか、それとも第三勢力か。」(同書P230)

 但し、PB商品企画開発販売のしくみ(同文館出版)(平成21年9月発行)によれば、「ユニー、イズミヤ、フジの3社は、共同PB(スタイルワン)を2009年8月から発売している。」と書かれています。

 やはり、スケールは重要なようであり、業界大手であるフジ、イズミヤ、ユニーがPB商品を共同で開発して販売することは、消費者にとって安くていいものが手にはいるため、大変好ましいことです。

 私もフジグラン今治店で、スタイルワンの、焼き豚やペットボトルなどを購入しているが、ナショナルブランドの商品と異なり、かなり安い価格帯で売られているため、私もよく購入しています。

 スタイルワンについては、ホームページが用意されているようです。かわいらしいホームページですが、もう少し情報が欲しいところです。画像の写真も、クリックすれば拡大するなどの工夫も欲しいところです。

【倒産】 ファイナンスリース契約におけるユーザーの民事再生手続開始申立を解除事由とする特約の効力について 最高裁平成20年12月16日

 高松の住宅紛争処理委員向けの研修会に出席した際に、特急電車の中では、いつも、判例タイムズなどを持ち込んで読書の時間としていますが、今回、名古屋民事実務研究会から、頭書表題についてのテーマで研究発表が行われ、判例タイムズNo1303号で紹介されていました。

 最高裁平成20年12月16日判決で結論がでましたが、民事再生手続開始申立を解除事由とする特約の効力が問題となりました。

 第1審

 特約は有効

 第2審

 特約は無効

 最高裁

 特約は無効

 最高裁の理由は、特約による解除を認めることは、このような担保としての意義を有するにとどまるリース物件を、一般債権者と債務者との間の事前の合意により、民事再生手続開始前に債務者の責任財産から逸出させ、民事再生手続の中で債務者の事業等におけるリース物件の必要性に応じた対応をする機会を失わせることを認めることにほかならないからということです。

 但し、田原裁判官の補足意見によれば、民事再生手続開始の申立をしたことを期限の利益の喪失事由とする条項について、かかる期限の利益喪失条項の効力は一般に否定されていないとして、このような特約は有効としています。

 しかし、これについては、申立を期限の利益喪失事由とする条項を適用しての債務不履行解除についても否定しないと、本件特約を無効とした意味がほとんどなくなるという批判もあります。

2009年10月13日 (火)

図解 スーパ業界ハンドブック 東洋経済新報社

 図解スーパー業界ハンドブック(東洋経済新報社)(2006年10月発行)を読んでみました。

 著者の川嶋光氏は、マーケティングリサーチ社を経て現在は、フリーの記者をされておられるようです。

 全部で6章に分かれます。

 第1章は、「風雲急を告げるスーパー業界の光と影」と題して、スーパーの歴史から、ネット通販まで多方面にわたりとりあげています。

 「業界の企業が同質化競争を繰り広げ、さらに出店コストがかかるようになり、人件費も上昇、販管費がかさむようになり、他の業態との価格競争力が衰えたのだ」とまで書かれています。

 また、大型店では、「なんでもそろっているが、いざ買い物をしようとすると欲しいものがみつからない店」と言われることもあり、消費者のニーズに的確に応えていないことを著者は危惧されています。

 第2章は、早わかり!職種とその仕事の中味というテーマです、テナント担当、売り場担当など、多種にわたる職種について実にわかりやすく解説されています。この中では、万引き被害の深刻さを取り上げていました。万引き被害は、売上げの2%位はあるようです。その対応についてはよい策がなく、どの店も困っているようです。

 第3章は、これが儲けのからくりだというテーマです。1・7・2の原則はおもしろいですね。何を意味するのかは同書を読んでみてください。

 第4章は、働く人々の人間模様です。2005年度のデータでは、アオキスーパーが平均賃金年429万円、ユニーの平均賃金は年623万円とかなり開きがあります。

 第5章は、何がカリスマ創業者の明と暗を分けたのかというテーマです。このテーマが一番おもしろく参考になります。ダイエーの創業者である中内氏、ライフの清水氏、伊藤氏や鈴木氏、岡田氏も取り上げており、また、長崎屋やヤオハンの失敗についても分析されています。

 中内氏は、強烈なカリスマ性があったようですが、講演でもいいので一度でもお話が聞けたらよかったのにと思いました。

2009年10月12日 (月)

【交通事故】 交通事故の被害者について、低髄液圧症候群の後遺障害の発症が認められなかった事例(名古屋地裁平成21年3月19日判決)

 判例時報No2048号(10月1日号)で紹介された名古屋地裁平成21年3月18日の裁判例です。

 被害者は、交通事故により後遺障害等級7級に該当する後遺障害が生じたとして、約9300万円の損害賠償請求がされましたが、裁判所はこれを否定して、第14級に該当する神経症状として、約580万円程度を認めただけです。

 判決文の概要は以下のとおりです。

 低髄液圧症候群については、交通事故との因果関係を含めて議論のあるところであり、かかる場合現在の時点で学会等で一般的に認められている基準によるのが相当であり、日本神経外傷学会が公表している診断基準によることが妥当である。

                      ↓

 ①原告には、起立性頭痛はみられないし、体位による症状の変化を訴えたようなことも認められない

 ②診療録では明らかな髄液漏出は認められないと記載されている

 ③原告には、ブラッドパッチの効果が認められない

                      ↓

 日本神経外傷学会基準に該当せず(なお、ICHD-Ⅱの基準にも該当しない)、原告において低髄液圧症候群を発症したと認めることができない

 判例時報で、テイズイが紹介されたのは久しぶりのような気がします。

 いずれにしても、残念ながら、消極的な裁判例が続いています。

 但し、日本神経外傷学会の基準に該当すれば、テイズイであっても、交通事故との因果関係を認めてくれそうなので、この基準について調査研究する必要があります。 

 現在のところ、テイズイの基準としては、

① 日本神経外傷学会基準

② 国際頭痛分類第2版の診断基準

③ 脳脊髄液減少症研究会作成の脳脊髄液減少症ガイドライン2007

の3つがありますが、裁判所では①と②は基準としてOKだが、③は時期尚早としているものと思われます。 

2009年10月11日 (日)

【交通事故】追突された41歳女子の高次脳機能障害は他覚所見あると7級認定、低髄液圧症候群は、BP効果なく否認 名古屋地裁平成21年7月28日判決

 自保ジャーナルNo1800(10月1日)号で紹介された名古屋地裁平成21年7月28日判決です。

 裁判所は、

 高次脳機能障害については、ガスの火つけ忘れなど厚生省基準に該当する脳挫傷に起因する他覚的所見がある等から7級認定

 低髄液圧症候群については、BP4回施行も改善効果があったとはいえないとして、発症したとは認められないと否認しました。

 相変わらず、否定裁判例が続いています。 

2009年10月10日 (土)

【交通事故】 追突された62歳男子タクシー運転手の低髄液圧症候群は、国際頭痛学会基準から否認 千葉地裁木更津支部平成21年7月16日判決

 自保ジャーナルNo1800号(10月1日号)で紹介された千葉地裁木更津支部平成21年7月16日判決です。

 交通事故発生日は平成14年3月12日、追突案件ですが、同乗の客は、1日通院治療しただけですんだそれほど大きな事故ではなかったようです。

 裁判所は、外傷性低髄液圧症候群については、診断基準もいまだ確立されていないというべきところ、

 ①カルテの記載によっても具体的にどのような所見がみられたのか明らかではないこと

 ②1回目のEBP治療の後、国際頭痛学会が診断基準として挙げる「72時間以内の頭痛の消失」は見られないし、2回目以降のEBP治療は目立った改善がみられないこと

 ③原告の一時的な症状の軽減もブラセボ効果として充分に説明がつくものであること

 ④原告の症状として、国際頭痛学会の低髄液圧性頭痛の診断基準である「座位又は立位をとった後15分以内の頭痛の増悪」(起立性頭痛)が認められないこと

 などの各事情にかんがみると、原告が髄液減少症に罹患しているとまでは認めることは困難である

 やはり、私が過去に予想したように、国際頭痛学会での基準によって判断されることがスタンダードになっているようです。

2009年10月 9日 (金)

【金融・企業法務】 DIP型会社更生手続と債権者の対応

 平成21年10月2日、第141回金融法務研究会例会(大阪銀行協会)に参加してきました。

 今回のテーマは、DIP型会社更生手続と債権者の対応と題して、東京の有名法律事務所に所属している弁護士が、東京地裁民事第8部から公表がされたDIP型会社更生手続の運用基準等についての解説でした。

 会社更生って、私の学生時代の記憶だと、DIP型なんてありえないと考えていましたが、もはや私の記憶は過去のものであって、現に、東京地裁では、問題点を抱えながらも、DIP型の会社更生手続は数件存在するようです。

 東京地裁の公表したDIP型の基準は以下のとおりです。

 ①現経営陣に不正行為等の違法な経営責任の問題がないこと

 ②(メイン銀行などの)主要債権者が現経営陣の経営関与に反対していないこと

 ③スポンサーとなるべき者がいる場合には、その了解があること

 ④現経営陣の経営関与によって会社更生手続の適正な遂行が損なわれるような事情がないこと

 DIP型(当初も含む)の会社更生の会社は、例えば以下のような会社があるようです。

 日本総合地所

 クリード  →資産処分型計画

 その他にもいくつかあるようですが、こちらのブログを参照してください。

 ただ、会社更生関係の相談って、田舎弁護士にくる相談の大半は、過払金返還請求か、売掛金回収(或いは商事留置権)、ゴルフ会員権位ですね。  

2009年10月 8日 (木)

【交通事故】 わかりやすい物損交通事故の手引 園部厚著

 民事法研究会から出版された「わかりやすい物損交通事故紛争解決の手引」(園部厚著)(H21・6・5発行)です。

 内容は、新人弁護士用ですね。

 ただし、ベテラン弁護士でも落としそうな知識なども記述されていました。

 第2章 損害賠償請求権者

 ※東京地判H15・3・12 所有権留保特約付売買の買主は、代車使用料・修理代の請求はできるが、車両の評価損の請求はできない(P6)

 ※東京地判H2・3・13 所有権留保売買の目的物である自動車が代金完済前に第三者の不法行為により毀損した場合の毀損自体の損害については、売主に賠償請求権があるとする(P7)

 第3章 物件損害

 ※大阪地判H2・12・20 登録後14年余を経過し、評価額が0とされた車両につき、車検期限までの96日間 1日2000円の割合による使用価値を認め、19万2000円の車両損害を認定した(P12)

 ※名古屋高判H20・9・30 6万0500円で購入した飼い犬が自動車事故で負傷した場合、合計13万6500円の治療費等を損害として認めた(P24)

 第4章 その他の損害

 ※(保険代位による求償金請求の場合の遅延損害金)その保険会社が支払った保険金(損害金)に対する遅延損害金の起算日は、保険金支払い日の翌日である(神戸地判H10・5・21)(P29)

 第11章 共同不法行為

 ※絶対的過失相殺(加算的過失相殺)とは、各加害者および被害者の過失を同一線上に置いて、絶対的な過失の割合を認定し、被害者の過失について過失相殺をする方法であり、被害者に対しては、各加害者が、各加害者の過失を加算した分についてそれぞれ責任を負うことになる。具体的には、被害者Aおよび共同不法行為者B,Cの過失が、A:B:C=1:2:3と認定できる場合には、Aは、全損害の6分の1が過失相殺されるが、Bに対しても、Cに対しても、全損害額の6分の5を請求することができる(BCの債務は、不真正連帯債務となる)(P153)。

 ※相対的過失相殺とは、各加害者と被害者との関係ごとにそれぞれの間の過失の割合に応じて相対的に過失相殺をする方法であり、加害者Bと加害者Cの共同不法行為において、被害者Aにも過失がある場合、被害者Aと加害者Bとの関係および被害者Aと加害者Cとの関係を、それぞれ別に考慮し、それぞれ過失相殺をするものである。 具体的には、それぞれの過失割合が、A:B:C=1:2:3の場合、Aは、Bとの関係ではA:B=1:2により、全損害から3分の1の過失相殺をされ、Cとの関係ではA:C=1:3により、全損害から4分の1の過失相殺をされる。 全損害額が300万円の場合、Aは、Bとの関係では300万円×3分の2=200万円の損害賠償を、Cのとの関係では300万円×4分の3=225万円の損害賠償を、それぞれ請求でき、BとCは重畳する200万円の限度で連帯責任を負うことになる(P157)。

 ※相対的過失相殺を採用する事例 民法719条1項後段の共同不法行為は認められるが、第1事故が第2事故の原因となっていない場合、または、各不法行為を一体的にとらえて各加害者および被害者の過失割合を認定できない場合には、相対的過失割合の方法により過失相殺をすることになる(P158)。

 第12章 損害賠償請求権の期間制限

 ※弁護士費用については、現実に弁護士に委任したときが時効の起算点となる(最判S45・6・19)(P163)

 興味の方は、購入されたらいかがでしょうか? happy01

2009年10月 7日 (水)

【倒産】 主債務者の破産手続開始前に主債務者の委託を受けないで締結した保証契約に基づいて主債務者の破産手続開始後に弁済したことにおり取得した事後求償権を自働債権として主債務者の破産財団に属する債権と相殺することの可否 大阪高裁平成21年5月27日

 旬刊金融法務事情No1878号(9月25日号)で紹介された大阪高裁平成21年5月27日付け判決です。

 事案は以下のとおりです。

 破産者の破産管財人である控訴人が、銀行である被控訴人に対し、破産者と被控訴人との間の預金契約を解約したとして、解約金及び遅延損害金の支払いを求めた事案です。

 これに対して、被控訴人は、次のとおり反論しました。

 被控訴人は、破産者の破産手続開始前に、破産者の委託を受けないで、破産者のAに対する買掛債務及び手形債務について保証する旨の契約をAと締結し、この保証契約に基づき、破産手続開始後にAに弁済し、控訴人に対し、上記弁済により取得した事後求償権をもって破産者が被控訴人に対して有する預金債権とその対当額において相殺するとの意思表示を行いました。

 要は、被控訴人は、破産者の保証人になっていたことから、保証債務を履行した後に発生する事後求償権と、預金債権とを相殺したわけです。

 これに対して、控訴人は以下のとおり再反論しました。

 控訴人は、委託を受けない保証人が主債務者の破産手続開始決定後に弁済したことにより生じる事後求償権は、弁済という破産手続開始後の原因に基づくものであるから、破産法2条5項の破産債権には該当せず、それを自働債権とする相殺は許されないと再反論しました。

 高裁は、以下のとおり判断して、控訴を棄却しました。

 破産債権とは、破産者に対し破産手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権であって、財団債権に該当しないものをいう。

                     ↓

 「破産手続開始前の原因に基づいて生じた」とは、債権の発生原因の全部が破産手続開始前に備わっている必要はなく、主たる発生原因が備わっていれば足りると解するのが相当である

                     ↓

 保証人の主債務者に対する事後求償権は、債権者と保証人との保証債務に基づく保証債務の履行として、保証人が弁済をし、その他自己の財産をもって主債務を消滅させたときに発生するものであるから、上記事後求償権の主たる発生原因は保証契約であり、保証人による弁済等は上記事後求償権を発生させる法定の停止条件であって、上記事後求償権は、保証契約が破産手続開始前に締結されていれば、破産手続開始当時未だ保証人が弁済等をしていない場合でも、破産債権となると解するべきであり、

 主債務者の委託を受けたか否か、また主債務者の意思に反するか否かは、上記事後求償権の範囲及び限度を画する事実にすぎないと解するべきである旨判示し、

                   ↓

 破産法は、103条4項、104条3項からしても、上記事後求償権は、主たる債務者の委託の有無にかかわらず、保証人が弁済する前であっても、破産債権であることを当然の前提としていると解されるとして、原判決の結論を相当として、控訴を棄却しました。

 

 理屈からいえば、高裁のいうとおりですが、「委託を受けない保証人」の場合、管財人にしてみれば、相殺されるとは思わないため、びっくりです。happy02

 管財人側から上告されているようですが、和議の最高裁判決違反を理由にされているのであれば、苦しいかなと思いますね。coldsweats02

 近々、大きな管財事件が終了する予定ですが、最近、私の方に廻ってくる管財事件は、規模が小さい割にはやや面倒な案件が多いため、勉強になるような大きな管財事件(そして報酬もcoldsweats01 )が廻ってくればいいなあと思っています。  

フジ ZY高岡店(松山)

 客離れを防ぐためには、日経新聞の記事によれば、専業ディスカウント店、ユニクロ、ニトリなどの低価格専門店との競争からは離脱できず、一層のコスト削減が必要なようです。

 そのため、大手スーパーも、積極的に、低価格店を出しています。

 地元のスーパーの低価格店といえば、愛媛のフジがZY(絶対 安い)という新しいタイプの店を出したことが、主婦の方のブログで話題になっていました。fuji

 ichimamaの日記

 クリーニングも、ZYなようです。

 10月1日号のチェーンストアエイジにも、ZY高岡店が大きく取り上げられており、商品は、ZYなようです。lovely

 このようなお店が増えると、家計にありがたいですね

イオン 2年連続最終赤字

  10月7日の日本経済新聞に、イオンが2年連続最終赤字になったという記事が載っていました。売上高は3%減の2兆5266億円、営業利益は39%減の354億円になったようです。

 不振だった大きな原因の1つとして、総合スーパー(GMS)事業であり、営業利益は93%減の12億円と激減したことが挙げられていました。

 イトーヨーカ堂も、3月から8月期は上場以来初の営業赤字であり、ユニーも単体で11億円の営業で、スーパー全体が価格競争の中で業績不振に陥っているようです。

 確かに、スーパーの広告をみると、消費者の低価格志向に応じて値下げ合戦を繰り広げており、小売業界は消耗戦の様相を呈しているようです。

2009年10月 6日 (火)

食品商業 商業界

 最近、小売り・流通業界の専門誌を読むことが多くなっています。

 食品商業9月号を現在読んでいますが、サラリーマンになった気分で一杯です。

 企画MDの提案書の書き方、販促企画書の書き方なんて、内容を読むとおもしろいですが、同業者がみんな読んでいるのでしょうから、どの会社もそのまま使ってしまうと、どうなってしまうのでしょうか?

 上司も読んでいるでしょうから、真似した企画書が出たら、「ばかもん」で一喝されるかもしれませんね。

 販促企画書、読んでいると、お腹がすいてきます。

 ご、ごめんなさい、今から夕食食べに行っていきます・・・・

2009年10月 5日 (月)

【保険金】 団体信用生命保険において、告知受領権限のない金融機関の従業員に対しなされた口頭告知が生命保険会社に対する有効な告知とは言えず、告知義務違反を理由とする保険契約の解除が有効とされた事例 仙台高裁平成19年5月30日

 旬刊金融法務事情No1877号(9月15日号)で紹介された裁判例です。

 表紙に、あれ、いつものだじゃれが表記されていませんね・・・ 私だけがわからないのかもしれないのですが・・・

 判決速報に、平成19年5月30日の仙台高裁の判決が載っていました。

 少し古いですね。

 事案はいかにもありそうなケースです。

 住宅ローンの際に、団体信用生命保険を締結することがよくありますが、その際に、金融機関の担当者には、投薬歴を告知しましたが、担当者は無言であったことから、投薬歴なしに○をつけたところ、10年くらい経過した後、告知者が死亡し、金融機関が生命保険金の請求を行ったところ、保険会社から告知義務違反を理由に解除されてしまったケースです。

 第1審は、告知義務違反があったことを前提に、金融機関の従業員を生命保険の履行補助者と位置づけて、その過失を生命保険会社の過失と同視して、生命保険による保険契約の解除を無効と判断しました。

 これに対して、第2審は、生命保険会社による保険契約の解除を有効と判断しました。理由は、以下のとおりです。

 保険契約で定めた以外の方法による告知が信義則上有効であると扱われるためには、告知受領権者でない者に対する告知であっても、告知受領権者と同視できる者に対する告知であって、告知の内容が契約締結権限を有する者に正確かつ確実に伝達されることが期待でき、告知者としても伝達されることを信頼していた事情が存在する場合に限定されるものと解するのが相当である。

                    ↓

 団体信用生命保険は、賦払償還債権の回収を確実に行うための担保としての機能を有する特殊な団体生命保険であり、しかも、通常の人的ないし物的担保と異なり簡易かつ確実に残債務全額の回収を可能とするもので、保険契約者である信用金庫にとってきわめて大きな利益となるものである。

                    ↓

 そして、上記の利害関係からすると、信用金庫の従業員が信用金庫に不利となる事項、すなわち保険者である生命保険会社が本件保険契約締結を拒否する可能性のある事項を生命保険会社に伝達して生命保険契約の締結が拒否された場合、信用金庫のと借主(告知義務者)との貸付契約も不成立となるおそれがあるから、信用金庫の従業員が借主(告知義務者)から口頭告知を受けた事項を生命保険会社に伝達することは期待できないし、借主(告知義務者)が信用金庫の従業員を介して生命保険会社に口頭告知の内容が直接報告されることをとくに期待していたことを伺わせる事情もない

                    ↓したがって

 信用金庫の従業員を生命保険会社の履行補助者と位置づけたとしても、同従業員に対する口頭告知をもって生命保険会社に対する告知がなされたと信義則上みることはできない。

 「本件では、団体信用生命保険において、告知書等の受渡しに携わる金融機関の従業員の過失が生命保険会社の過失と評価できるかが争点となった事案であり、従来あまり議論されていなかった点に関する高裁判決として、実務上参考になると考えられる」と解説されています(同書P49)。

 本件住宅ローンは、借換目的で行われたものです。旧ローンに、団体信用生命保険が付保されていたとすれば、債務者の気持ちもわからないではありません。

 また、借り換えたから10年が経過しています。時々、保険の外交員の方の中には、「10年位たてば大丈夫」ということを言われる方がいますが、その説明は間違いで、リスクの大きさを考えると大変なことです。

 本件事案は、高血圧症及び狭心症の診断をされた債務者が、急性心不全で亡くなられていることから、保険会社も厳しい対応をされたのでしょうか???

2009年10月 4日 (日)

【建築・不動産】 指定確認検査機関の責任

 判例時報No2047号(平成21年9月21日号)で紹介された東京地裁平成21年5月27日判決です。

 まず、指定確認検査機関による建築確認制度の説明から入ります。

 指定確認検査機関による建築確認制度は、建築物の大規模化、複雑化による確認事務の負担増大のため、官民に役割分担の見直しとして平成10年の改正建築基準法で導入されたものです。

 建築主にとっては、民間による多様なサービスの活用の途を開き、自主的な建築物の安全性の確保を促進するとともに、行政は、本来行政でしかできない事務にその能力を集中させることで、建築規制の実効化を図るものとした制度です。

 そして、指定確認検査機関による建築確認済証は、建築主事により確認された建築確認済証とみなされる。

 原告は、指定確認検査機関との間には、建築確認検査業務委託契約が存在するとの主張をされていましたが、被告は、建築確認は行政処分であるから、公法上の義務があるだけであって、契約関係を借用しているにすぎず、建築確認検査業務委託契約は成立していないと反論していました。

 裁判所は、Yの確認検査業務約款等の規定、契約自由の原則や競争原理が働くことを想定した指定確認検査機関制度が創設された趣旨などを挙げて、契約の成立を認めました

 解説者によれば、「本判決は、指定確認検査機関に対する契約責任について、債務不履行の内容、損害の認定、過失相殺といった点を判断した事案であり、実務上の参考になる」と説明されています。

 私の顧問先にも、指定確認検査機関があるため、勉強しておかなければならない判例の1つです。

2009年10月 3日 (土)

【行政】 中学1年生の生徒が、始業前教室で、他の生徒に対し自在箒を投げつけ、右眼を損傷させた事故について、加害生徒、その両親及び学校設置者(町)の責任を肯定した事例

 判例タイムズNo1302(2009・10・1)号で紹介された仙台地裁平成20年7月31日判決です。

 事案は以下のとおりです。

 原告は、平成14年12月当時、Y1(町)が設置管理している中学校1年2組の生徒であったが、同月20日午前7時42分ころ、1年2組の教室内で、同じクラスの生徒であったY2から、自在箒を投げつけられ、その結果、右眼を損傷し、視力低下、視野欠損、続発性緑内障による視神経萎縮等の障害を負いました。

 そこで、原告は、加害児童であるY2に対し損害賠償を請求するとともに、

 Y2の両親であるY3らに対し、親権者としての監督義務違反を主張して損害賠償を請求し、

 Y1(町)に対しても、校長A、担任教諭B等が本件事故までにもY2が原告を含めて他の生徒にちょっかいを出したり、授業妨害したりするなどをしていたにもかかわらず、何ら適切な指導・注意をすることなく、本件事故を誘発した点に生徒の安全を保護すべき義務の懈怠があるとして損害賠償を請求しました。

 Y1(町)の責任については、

 本件事故が始業時間前に発生したものであることについては、

 始業時間前といえども、開門前であって生徒の登校を受け容れる状況にあったこと、

 教育活動の準備期間に相当する時間帯であること

 教室内で発生した事故であること

を考慮し、

 学校教育活動と質的時間的に密接な関係を有する学校生活関係の中で生じたものと認めました。

 その上で、予見可能性については、

 Y2にみられた精神的な未熟さ及びそのことに由来する自己抑制力の乏しさは、Y1の校長A、担任教諭B等に認識されていたものであり、Y2がその自己抑制力の乏しさによって他人の生命・身体等に危害を及ぼす危険性を具体的に認識しえたと説示し、Y2に対する適切な指導・監督を行わなかった点に、原告に対する安全配慮義務違反を認めました。

 この事案では、被告らに対して、3000万円を越える賠償を明示られています。

 ところで、自在箒って、私は知りませんでした。

 

2009年10月 2日 (金)

【保険金】 生命保険の指定受取人と当該指定受取人が先に死亡したとすればその相続人となるべき者が同時に死亡した場合において、その者又はその相続人は、商法676条2項にいう「保険金額ヲ受ルヘキ者ノ相続人」にあたるか 最高裁平成21年6月2日

 判例タイムズNo1302(平成21年10月1日)号で紹介された最高裁判決です。

 事案は、以下のとおりです。

 指定受取人の夫は、Y保険会社との間で、被保険者を夫、保険金受取人を妻として生命保険契約を締結していました。

 平成13年7月20日に夫と妻の両名が死亡したが、その死亡の先後は明らかでありませんでした。

両名が死亡した当時、この夫妻には子どもはおらず、いずれの両親も死亡しており、兄弟姉妹も、妻には兄が、夫には弟がいるだけでした。

 本件は、生命保険契約の指定受取人(妻)の兄であるXさんが、指定受取人が死亡したことにより、商法676条2項により、保険金受取人になったと主張して、Y保険会社に保険金の支払を求めた事案です。

 ※商法676条2項 

 保険契約者が前項に定めたる権利を行わずして死亡したるときは、保険金額を受け取るへき者の相続人をもって、保険金額を受け取るへき者とす

 最高裁第3小法廷(平成21年6月2日)は、

 商法676条2項の規定が、保険契約者と指定受取人とが同時に死亡した場合にも類推適用されることを明らかにした上で、

 同項にいう「保険金額を受取るへき者の相続人」とは、最高裁平成5年9月7日判決が判示したとおり、「指定受取人の法定相続人またはその順次の法定相続人であって被保険者の死亡時に現に生存する者」のことであり、ここでいう法定相続人は民法の規定に従って確定されるべきものであるとし、

 そうすると、指定受取人の死亡の時点で生存していなかった者はその法定相続人になる余地はないから、指定受取人と当該指定受取人が先に死亡したとすればその相続人となるべき者とが同時に死亡した場合において、その者又はその相続人は、同項にいう保険金額を受取るへき者の相続人には当たらないと解するべきであるとして、Yの上告を棄却しました。

 

2009年10月 1日 (木)

認定司法書士の裁判外の和解の代理権の範囲について

 香川県弁護士会会報第85号に弁護士業務対策委員会からの活動報告書に、「認定司法書士の裁判外の和解の代理権の範囲について」と題されている記事が載っていました。

 引用させていただくと、

 司法書士の裁判外の和解代理権の範囲については、司法書士法3条1項7号に規定があり、「紛争の目的の価額」によるものとされている。

 その解釈については、①債権者が主張する債権額を意味するとする債権額説と②依頼者が受ける経済的利益によって決定されるとする受益説が対立している。

 例えば、債務整理事案において、債権者が200万円の債権の請求をしている場合、債権額説によると、200万円は140万円を越えているから代理権がないことになるのに対して、受益説によると、依頼人が残債務額を100万円と主張している場合は両者の主張の差額は140万円を越えないから代理権があり、また、残債務額に争いがない場合であっても、弁済計画の変更によって依頼人が受ける経済的利益が140万円を越えないときには代理権があるということになる。

 この点に関し、神戸地裁平成20年11月10日判決、さいたま地裁平成21年1月30日判決は、いずれも債権額説を採用することを明らかにした。

 その理由としては、受益説では、司法書士の代理権の範囲が債務者側(司法書士側)の提案の在り方次第で決まるという不合理な事態を容認することになること、また、そうであるがために、司法書士が自己の代理権の範囲内で紛争解決を図ろうとして債務者(依頼者)の利益が害される事態を招く危険があること、代理権の範囲はできるだけ客観的な基準によって判別できるよう解釈されるべきであることなどがあげられている。

 なお、日司連では、上記判決後も従前からの受益説を是とする立場を維持しているようである。

 代理権の範囲は、それを超えた代理行為が弁護士法72条に抵触する非弁行為に該当することになるから非常に重要な問題であり、上記判決の上訴審の動向が注目されるところである。

 以上、引用終わり。

 

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