【交通事故】 後遺障害が生じた場合の消滅時効の起算日について、症状固定時か症状固定の診断を受けた時かが争われた事案で、被害者の具体的な認識に照らし、症状固定の診断を受けた時より前の時点を消滅時効の起算日と認定した事例(大分地裁平成20年7月18日判決)
判例タイムズNo1300(9月1日)号で紹介された大分地裁平成20年7月18日判決です。
ものすごく怖い裁判例です。特に、交通事故の被害者にとっては・・・・
後遺障害の消滅時効の起算点については、いろいろな考え方があります。
事故発生時説、症状固定時説、症状固定診断時とする説などいろいろです。
弁護士として法律相談を受けた場合、後遺障害の消滅時効はどのように回答されますか?
私はいつもこれが怖くて怖くてたまりません。
一般的には、症状固定時からと回答することが多いように思いますが、事故発生時説もあることを付け加えたりします。
今回の大分地裁の事案は、症状固定時と、診断書作成時が8か月も離れていた案件で、前者を基準にすれば、消滅時効にかかってしまうという案件です。
後遺障害の消滅時効の起算点については、有名な最高裁判決があります。
最高裁平成16年12月24日判決です。この判例は、遅くとも症状固定の診断を受けた時としていることから、診断を捉えて、被害者の方は、診断時と主張しました。
ところが、大分地裁は、被害者の主張を一蹴しています。
大分地裁は以下のとおり述べます。
しかしながら、本件最高裁判決の事案は、症状固定日と症状固定の診断書が出された日が同一であったものであって本件とは事案を異にする上、「遅くとも上記症状固定の診断を受けた時」との記載に照らせば、必ずしも症状固定の診断を受けた日よりも前に消滅時効が進行することを排除するものではない。
むしろ、消滅時効の起算日に当たっては、民法724条の文言に従い、原告が、加害者に対する賠償請求をすることが事実上可能な状況の下に、それが可能な程度に損害及び加害者を知ったのはいつなのかについて、具体的に検討する必要がある
と判断しました。
つまり、後遺障害の消滅時効の起算点については、一義的に明確に決まっているわけではないことになります。
具体的事案に即して判断されるということなので、事件の依頼を受けた弁護士は、消滅時効で負けてしまった場合には、依頼人から、結果責任を問われかねません。くわばら くわばら
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