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2009年6月 5日 (金)

一部請求の明示性

 「一部請求」の残部請求は、司法試験受験生であれば、誰でも深い知識がなければならない民事訴訟法上の論点です。

 例えば、損害賠償額が1000万円である場合、そのうちの100万円だけを取り出して、一部請求を行った場合、残部の900万円については、一部請求後の判決が確定した後に請求できるのかという形で問題となります。

 確定した判例によると、前訴で、例えば損害額1000万円のうち、100万円のみを訴求すること、つまり、一部請求であることが「明示」されていれば、訴訟物はその一部に限定され、前訴判決の既判力は、残部請求の後訴に及ばす後訴は許されるとされています。

 私が今調べているのは、「明示した一部請求」であることとは、どのような形で明示することをするのかということです。「請求の趣旨」にての、明示が必要であるかどうかです。

 超基本的な問題ですが、これまであまり深く考えたことがありませんでした。

 学説上は、訴状全体で明らかにするだけで足り、請求の趣旨に掲げる必要はないと解されているようです。

 この学説に立てば、請求の趣旨自体としては、「被告は、原告に対して、金100万円を支払え」でも、訴状全体から一部請求であることがわかれば、明示があるということになります。

 しかし、東京高裁平成12年7月26日判決(判例タイムズNo1096)について、解説者の綿引判事は、「本判決は、前記学説と異なり、訴状の段階で明示することまでは必要とされないものの、請求原因で特定された債権の一部を請求することが請求の趣旨及び請求原因の記載から判明するだけでは足りず、一部請求であることを請求の趣旨に掲げることを必要とする。あるいは、積極的に後訴があり得ることを予告することを必要とする、との趣旨のようである。」と説明しています。

 「一部請求であることを請求の趣旨に掲げることを必要とする」とは、例えば、「1000万円の一部である100万円を支払え」というような請求の趣旨が考えられますが、綿引判事は、「このような請求の趣旨が許されるのかには問題がある」と説明しています。

 そうすると、例えば、「被告は、原告に対して、1000万円のうち、100万円を支払え」という、内金の形で明示する方法が考えられます。

 しかし、平成12年の東京高裁は、「前訴第一審裁判所は、いわゆる「内金」請求と用語を混同したきらいすら窺われる」として、内金の形で明示することについて、消極的です。

 そもそも、昭和37年の最高裁は、「一個の債権の数量的な一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴えが提起された場合」ですが、上告理由書によれば、請求の趣旨には単に10万円の請求をなし内金との記載はされておらず、請求原因において、内金であることが明確にされているケースでした。

 そうすると、学説が述べるように、請求の趣旨は、単純に、「被告は、原告に対して、100万円を支払え」として、請求原因にて、内金請求を明示すれば足りるはずです。

 最近の最高裁判決、例えば、平成20年度重要判例解説(ジュリスト)で紹介されている最高裁平成20年7月10日判決も、訴状の記載といった文字通りの明示がなくても、種々の事情の総合考慮の結果として一部請求の明示が認められうることがはっきりしたと、佐瀬学習院大学准教授が解説されています。

 ただ、そうなるはずですが、不安症の私は、平成12年の東京高裁判決があるため、不安が残っております。

 ①請求の趣旨及び請求原因で、内金請求であることを明確にして、②請求原因で、裁判の結果によっては、残部請求をすることを明確に予告する旨の記載をすれば、いいのかなあと、個人的な見解ですが、そのように考えています。

 平成12年の東京高裁判決は、事実経過をみると、交通事故が絡む案件で、2回にわたり、請求の趣旨を拡張して、その都度今後は請求の拡張はしない旨表明された事案のようです。そうだとすれば、例外的な判例という評価も可能かもしれません。 

 そうすると、訴状全体から、一部請求であることがわかればいいのだろうと思います。

 なぜなら、佐瀬先生も、判例解説で、「下級審の多くの裁判例は、損害のうちの一部のみを請求する旨が訴状等に記載されていれば明示を認め、そうでなければ明示を認めない扱いをする」と説明されているからです。

 実務家の方のご見解をうかがいたいです。

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