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2009年4月30日 (木)

【弁護士考】 愛媛弁護士会今治支部長

 支部ではどこでも同じだと思いますが、持ち回りで、弁護士会の常議員(理事)を担当します。今治支部の場合、常議員は、愛媛弁護士会の今治支部長を兼ねることになります。

 弁護士会の支部長といっても何も得することはなく、むしろ、事務所の事務負担が増えるだけです(但し、従前支部長担当の事務所が行ってきた刑事記録のコピーの作業が外れたため、事務員さんの負担は軽減されています。)。

 弁護士になって、10年ですが、たぶん、3回目の支部長だと思います。

 支部で大きな問題が発生することなく、無事に1年が終わってくれることを祈るばかりです。

  今治も実働の弁護士の数は増えました。

 私が登録した以降でも、K弁護士、M弁護士、S弁護士、K弁護士、Y弁護士、K弁護士が登録しました。

 私が登録したころと比べると、2倍くらい増えました。

 事件数は逆にむしろ減少していますので、最近では少し供給過剰気味です。

 若い方?に負けないよう頑張っていきます。

 

2009年4月29日 (水)

【金融・企業法務】 1人会社における取締役の責任免除(東京地裁平成20年5月9日)

 判例タイムズNo1290号(5月1日号)で紹介されている東京地裁平成20年5月9日判決(控訴)です。

 論点は、2つです。

 第1は、株式会社の1人株主である取締役が、任務懈怠違反行為により会社に損害を与えた場合に、取締役の会社に対する善管注意義務又は忠実義務違反による責任が生じるかという点です。

 問題の所在は、会社の全株式を1人の株主が保有する1人会社において、当該株主が代表取締役に就任している場合、当該株主兼代表取締役は、任務に違背して会社に損害を加えたとしても、そもそも会社に対する損害賠償義務が発生しないのではないかということです。

 東京地裁は、会社と取締役とは法人格を異にする以上、両者間に利害対立関係が存在しないとはいえず、善管注意義務又は忠実義務違反の問題が生じるから、当該取締役が任務違背により会社に損害を与えた場合には、それにより生じた責任を消滅させる事由のない限り、会社に対する責任を免れないと判断しています。

 そこで、第2の論点が、取締役の責任が生じるとしても、それは、総株主の同意により、当然に、免除されるのではないかというが問題になりました。

 東京地裁は、旧商法266条5項は、会社が取締役に対し、取締役の会社に対する責任を免除するとの意思表示をする場合、当該意思表示が効力が生じるためには総株主の同意が必要であると定めているものであり、

 取締役の会社に対する責任を消滅させるためには、総株主の同意及び免除の意思表示の双方を充足する必要があるところ、

 本件では明示的にも黙示的にも、取締役としての責任を免除する旨の意思表示がされた事実を認めることはできないから、取締役が会社の1人株主であったとしても、取締役の会社に対する責任を免れると解することはできないと判断しました。

 (1)総株主の同意のほか、(2)会社による免除の意思表示が必要と判断されたものとして、理解できそうです。

 株主の同意=免除の意思表示と考えるのか、それとも、民法519条と同じく、会社が免除の主体となるのかという問題です。

 1人会社の場合、免除の意思表示を客観的に明らかにする契機が生じにくいことは、事実上の問題にすぎないとしています。

 1人会社における名目的取締役の責任の事前免除合意の問題と共通の背景があります。

  

2009年4月28日 (火)

【金融・企業法務】 預金取引経過開示請求についての最高裁判決

 旬刊金融法務事情No1865(4月25日)号「預金取引経過開示請求についての最高裁判決」について、関沢弁護士の解説記事が載っていました。

 被相続人名義の預金の取引経過について、共同相続人の1人から、開示請求がなされた場合平成21年1月22日の最高裁判決がでるまでは、開示請求は拒絶できると私も考えていました。

 それは、「わかしお銀行事件」において、東京高裁は平成14年12月4日に、預金口座の取引経過明細について銀行は開示する義務を負わないと判断し、平成17年5月20日の最高裁は、請求者の上告及び上告受理申立を決定で排斥されたからです。

 平成21年1月の最高裁判決は、

 ①預金契約には委任事務処理の要素があることを認め、民法645条、656条により、開示義務を負う

 ②預金債権の取得とは別に、預金契約上の地位が共同相続人全員に帰属(準共有)しているものとし、この契約の地位に基づく開示請求権の行使は保存行為であるから、共同相続人単独で行使し得る

 と判断しました。

 解説者の関沢弁護士は、開示義務を負うとしても、①預金の種類によって異なるのか、②預金者と預金名義者が一致しない場合はどうか、③開示すべき取引経過について時間的限界があるか、④開示の範囲や場所的な制限はできないのかについても、指針を示されており、金融機関から相談を受ける弁護士にとっても非常に役立つ内容になっています。

 先日、顧問銀行の支店長の方と今回の最高裁判決についてお話をうかがうことがあったのですが、今後、金融機関にとっては事務負担が大きくなるためか、判決の内容をよく研究されておられるようでした。

 ところで、貸金業者に対しても最高裁は開示義務を肯定していますが、その理由は、信義則に根拠を置いています。

 今回、銀行に対しては、預金契約自体に根拠を置いており、開示の「根拠」が異なります。

 根拠の違いにより、開示についても相違点が生じるのか、興味が深いです。

 

2009年4月27日 (月)

【金融・企業法務】 クオンツ新株発行差止仮処分

 ダイジェスト金融商事重要判例(平成20年度版)で紹介されている裁判例です。

 支配権争いがあるときの基準日後の第三者割当増資の事案における主要目的ルールについては、

 東京地裁平成20年6月23日決定は、

 他にこれを合理化できる特段の事情がない限り、新株発行は、既存株主の持株比率を低下させ現経営者の支配権を維持することを主要な目的としてされたものであると推認できる

 として、事実上の推定を認めています。

  江頭先生の株式会社法(初版)P683には、「実際には不当目的達成動機が優越していたとはめったに認定しない」傾向であったのが、本決定により、不当目的達成動機が優越することを事実上推定されることになり、東京地裁での流れに大きな変化があったようです。

 「主要目的ルール」、懐かしい言葉です・・・

2009年4月26日 (日)

【金融・企業法務】 オートバックスセブン新株予約権付社債発行差止仮処分事件

 銀行法務21・N0688(3月増刊号)ダイジェスト金融商事重要判例で紹介されている裁判例です。

 Y取締役会が第三者割当てによる本件新株予約権付社債の発行に決議し、この際、発行において、付された新株予約権と引き換えに金銭の払い込みは要しないものとされました。

 Yの株主は、本件新株予約権付社債の発行について、有利発行に該当するにもかかわらず、株主総会の特別決議がないことを理由に、会社法247条に基づき、仮に差し止めることを求めました。

 公開会社においては、募集新株予約権の有利発行に当たる場合を除いて、募集事項を取締役会の決議により定めることができますが(会社法240条1項)、有利発行に該当する場合は、株主総会の特別決議が必要であることから、争点は、有利発行に該当するかどうかということになります。

 東京地裁平成19年11月12日は、会社法238条3項1号にいう「特に有利な条件」による発行(有利発行)とは、①新株予約権の実質的な対価と②当該新株予約権の公正な価値とを比較し、当該新株予約権の実質的な対価が公正な価値を大きく下回るときと定義しています。

 ①「新株予約権の実質的な対価」とは、当該新株予約権付社債について定められた利率とその会社が普通社債を発行する場合に必要とされる利率との差に相当する経済的価値であると定義し、

 ②「新株予約権の公正な価値」とは、現在の株価、権利行使価額、行使期間、金利、株価変動等の要素をもとに、オプション評価理論に基づき算出された新株予約権の発行時点における価額であると定義しています。

 あてはめでは、本件新株予約権の実質的対価については、前記利率の差を現在価値に割り戻した373万円であるとし、本件新株予約権の公正な価格については、モンテカルロシュミレーションに基づいて算出された198万円であるとし、本件新株予約権の実質的な対価(約370万円)が、その公平な価値(約200万円)を大きく下回るものとはいえないとして、「有利発行」であることを否定しました。

 私が旧司法試験の受験生のころにも、「有利発行」の基準が論点の1つになっていましたが、そのころもそうですが、今でも、田舎弁護士にとっては、「なんじゃらほい???」の論点ですね。

 時代においていかれないよう、少しずつ勉強はしていく「つもり」ですが、実務に出るとなかなかまとまった時間はありませんね。

  無理に背伸びをすると、大きなミスを引き起こしそうなので、こつこつ真面目に勉強をしていくつもりです。 

 

2009年4月25日 (土)

【金融・企業法務】 レックスHD株式取得価格決定申立事件

 銀行法務21・3月増刊号ダイジェストH20金融商事重要判例で紹介されていた裁判例です。

 レックスHD株式取得価格決定申立事件は、私もひょっとすれば、当事者になっていたかもしれない事件でした。

 というのは、レックスが株式の公開買付を発表した時に、私も同社の株主の1人でしたが、嫌気をさし、売却してしまいました。

 レックスは、平成18年8月21日に、業績予想の下方修正等のプレスリリースを行い、そのため、その株価は大幅に下落しました。

 平成18円11月10日、MBOの一環として、Yは、公開買付を発表し、23万円が提示されました。これは過去1か月の市場株価平均値20万2000円に13.9%のプレミアムを加えた価格ということでした。

 Yは、公開買付により、92%近い株式を所有しました。

 レックスは、全部取得条項付種類株式の制度を用いて、Y以外の株主を閉め出したので、株主らは、会社法172条1項に基づいて、取得価格の決定を申し立てました。

 原決定は、取得価格を、23万円と決定したため、株主らが即時抗告を申し立てました。

 東京高裁(東京高裁平成20年9月12日)は、原決定を変更して、取得価格を、33万6966円と決定しました。

 取得価格の判断基準として、「取得日における公正な価格」をもって決するべきところ、「株式の客観的価値に加えて、強制的取得により失われる今後の株価の上昇に対する期待を評価した価額をも考慮するのが相当である」と判断しました。

 その上で、本件株式の客観的な価値は、6か月の平均値である28万0805円であり、これに株価上昇に対する期待を考慮して、20%を加算して、33万6966円と判断しました。

 あれ以来、ほとんど「牛角」には行っていません。それなりに美味しいのですが、この件を思い出しますので・・・

 

 

2009年4月24日 (金)

創立10周年新事務所落成記念パーティー

 本日は、弁護士法人しまなみ法律事務所の創立10周年新事務所落成記念パーティーでした。wine

 各界の第一線でご活躍されて非常に多忙な方々に、多数ご出席をいただきました。

 また、高松や伊予三島、松山、島しょう部など、遠方からもご出席いただきました。

 大変ありがとうございました。happy01

 当事務所は、平成11年に私が独立開業して、10年を迎えました。

 顧問先企業を代表して、田窪工業所の佐伯社長には、身に余るご紹介をいただき、大変恐縮しております。

 また、新事務所の工事を担当していただいたアイビーの尾後社長には、節目の年に新社屋の落成という大きなイベントがあるのは、これから大きく発展することになるというありがたいお言葉を頂戴いたしました。

 日本食研の大沢社長には、乾杯のほか、温かい励ましのお言葉を頂戴いたしました。

 そして、フジの尾崎社長には、遠方からおいでいただき、また、縁を大切にするということを教えていただきました。社長ご自身、エネルギーにあふれんがばかりの方であり、大変元気の出る挨拶を頂戴いたしました。sun

 私たち夫婦の仲人でもある四国ロースクールの馬渕先生も遠方よりご出席をいただきました。先生からは、心のこもった祝福を頂戴し、私たち夫婦大変感激いたしました。

  また、久々に、伊予銀行の十河専務とお会いすることができました。今治支店長在職中は、とても明るくてきさくな支店長さんで、時折、事務所に遊びにきていただきました。

 10年が経過して、弁護士としては、駆け出し弁護士から、中堅弁護士に成長はしましたが、その能力については、まだまだ不十分でさらに研鑽を積む必要を感じています。今後は、駆け出し弁護士のよいお手本になれるよう、仕事にも、知識の習得にもより積極的に頑張っていきます。pencil

 本日は、多数の方々に、温かい、そして、元気のある応援をいただき、本当に本当にありがとうございました。

 父は、先月心筋梗塞で倒れたのですが、本日のパーティーに出席できるほど回復しました。ご出席の方々の温かいお言葉を多数いただき、父も涙がとまらないほど感激していました。

 10年後の創立20周年記念パーティーも、今日のように多数の方々の応援がいただけるよう、さらに10年頑張っていきたいと思います。

 本日は大変ありがとうございました。

 

【金融・企業法務】 日経新聞株式譲渡ルール事件

 銀行法務21・3月増刊号ダイジェストH20金融商事重要判例で、紹介されている裁判例です。

 X1さんは、従業員持株会Y2から複数回日経株式を1株100円で購入しました。

 X1さんは、X2との間で、X1が所有している日経(Y1)株式を1株1000年で売却する合意(本件合意)をしました。

 Y1は、定款をもって、株式の譲渡については、取締役会の承認を要するとともに、日刊新聞法により、同社の株式譲受人は同社の事業に関係ある者に限ると定められています。

 本件合意に伴い、X1は、Y1に対して、譲渡承認請求を行いましたが、Y1は譲渡不承認の回答をしました。

 そこで、X1は、Y1に対して、譲渡の相手方を指定するよう請求をしました。

 Y2は、X1に対して、譲渡承認請求をもって、株式売却する意思が確定的であると判断して、後述の株式譲渡ルールに基づき、X1からY2が本件株式を譲り受けた旨を通知して、Y1から譲渡承認を得ました。

 そこで、X1は、Yらに対して、X2が株主であることの確認などを求めるため、提訴しました。

 東京地裁平成19年10月25日は、

 株式保有資格を失ったとき又は個人的理由により日経株式を売却する必要が生じたときは、Y2が1株100円で買い戻す等の本件株式譲渡ルールが存在していること

 X1がY2から日経株式を譲り受ける際、本件株式譲渡ルールに従って行われていることを知り、そのことをY2との間で了承していたこと

 を認定して、Xらの請求を棄却しました。

 従業員持株会を採用した際に、前述のような株式譲渡ルールの合意があったのかが問題となったわけですが、私が学生のころは、地裁が認定したような譲渡ルールがそもそも公序良俗に反するのではないかという議論もあったかのように記憶しています。

 平成7年4月の最高裁判決は株式譲渡ルールについては有効と判断しているようなので、本件では、このような合意が存するのかどうかが争われたわけです。

  よくわからないのは、1株100円で取得したものを、1株100円でしか売却できないとすれば、売却の経済的なメリットはなく、地裁が認定した株式譲渡ルールはどういう目的でもうけられたのかがよくわかりませんね。新聞社なので特別な事情があるのかもしれませんが・・・

2009年4月23日 (木)

食べていけない弁護士

 「自由と正義」という日弁連が発行している月刊誌があります。

 その中に、平成20年5月30日に行われた日弁連の定期総会の報告書が載せられていました。

 報告書の中に、平成19年9月に登録したばかりの弁護士から、執行部について批判的な意見が述べられていたので、少し紹介します。

 「現在、いわゆる軒弁、自宅で登録する宅弁、即独立する即独、こういう弁護士が大変増えている。同期の軒弁は、月収が8万円であり、そこから弁護士会費、交通費、資料代を払えば手元には残らず、暮らしていくことはできない。同期の宅弁は、月収が平均6万円で、もちろん暮らしていくことができない。即独した私の場合、家賃、弁護士会費を稼ぎ出すのが本当に大変である。61期の修習生たちは私たち60期以上に大変な状況に追い込まれている。これは、増員路線が破綻したということを如実に表している。」

 このようなことが続けば、弁護士が他に職を見つけざるを得ず、弁護士としての仕事ができなくなり、また、そもそも、法科大学院の授業料などの大金をかけて弁護士になろうなんて思う人は少なくなり、さらには、大きな借金を抱えて適切な弁護士業を営むことなど不可能ですから、益々、その質は低下していくばかりです。

 私は法科大学院制度が出来た時から大きな不安を抱いていましたが、まさに、その不安どおりの展開になっています。

 法科大学院といっても、旧司法試験の時代からの有名校とそうでない学校との間では、かなり教育の内容や程度も異なるようであり、きちんとした教育が行われているのかどうか心配なところもあります。

 とはいっても、いまさら、法科大学院制度を白紙撤回ということもできず、八方ふさがりな状態です。

 法科大学院の数を大幅に削減した上、法科大学院の修了試験を難しくして、その代わり、司法試験の合格率をあげることぐらいしか考えられません。

  多くの人に門戸が開放されていた旧司法試験がなつかしく思います。

 (追記)

 最近の弁護士さんは、なぜ弁護士になろうかと思った明確な目的がないようです。「なんとなく勉強してなんとなく合格した」というのは、一昔前の旧司法試験の時代には凡そ考えられないことです。私はまだ旧司法試験で頑張っている人の方が親近感があります。予備試験の枠を大きくとってもらえたらなあと思います(とはいっても、新旧司法試験の合格者の中の優秀層は変わらないとは思いますが・・・)。

2009年4月22日 (水)

【金融・企業法務】 株主名義閲覧謄写請求の拒否事由

 銀行法務21(No699)3月増刊号平成20年金融商事重要判例で紹介されていた裁判例です。

 Yは、不動産の売買、賃貸及び仲介、マンション管理等を目的とする株式会社であり、Xは、Yの株主であり、マンション管理事業、建設、販売事業等を主な業務とする会社です。

 まあ、XとYとは同業者というわけです。

 Xは、Yの株式の公開買付を行うことを決定し、公表しました。そして、Yの株式総会において、買収防衛策に基づくXに対する対抗策の不発動等を内容とする株主提案を行いました、

 Xは、株主提案についての委任状勧誘を行うために、Yに対して、株主名簿の閲覧及び謄写をさせることを命じる仮処分命令の申立をしました。

 原審の東京地裁(平成20年5月15日)は、会社法125条3項3号に、「請求者が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営み、又はこれに従事するものであるとき」に該当するから、Xの申立を却下しました。

 形式的な理由ですが、わかりやすいです。

 これに対して、東京高裁(平成20年6月12日)は、(1)3号は、1号及び2号の特則である、(2)3号は、同業者の場合には、請求者が、株主の権利の確保又は行使に関する調査の目的で請求を行っていることを証明しない限り、会社は請求を拒めることができるという立証責任の転換を図った規定であると判断したわけです。

 会社法125条3項は、濫用的な場合を類型化して明確にしたのに過ぎず、株主名簿閲覧謄写請求権制度の目的を否定、或いは制限する趣旨のものではないという理由で、3号に形式上あたる場合でも、株主名簿閲覧謄写が認められる場合を、認めたわけです。

 まず田舎では相談を受けない事件ですが、法律解釈論の勉強にはなります。

 

2009年4月21日 (火)

【交通事故】 消極判例3つ ①東京高裁平成21年1月29日判決 ②東京地裁平成21年2月5日判決 ③名古屋地裁平成21年3月18日判決

 自保ジャーナルNo1779号(平成21年4月16日)号で、紹介されている裁判例です。

 ① 東京高裁平成21年1月29日判決(原審千葉地裁平成20年8月6日判決)

 被害者の低髄液圧症候群症状は、脳脊髄液減少症研究会ガイドライン作成委員会のガイドライン2007、日本神経外傷学会「頭部外傷に伴う低髄液圧症候群作業部会」の診断基準にあてはまるが、

 (1)被害者が脳脊髄液減少症の典型的な症状である起立性頭痛による症状の悪化を訴えたのが平成14年以降であること(事故は平成11年)

 (2)脳脊髄液減少症は日常生活上生じうる軽微な負荷によっても発症しうること

 (3)作業部会の中間的な見解は外傷性と診断する条件として外傷後30日以内の発症を挙げていること

 から、交通事故と脳脊髄液減少症との因果関係を否定しました。

 ※脳脊髄液減少症自体を正面から否定しているものではありません。

 ※低髄については、原審と同じ判断ですね。

 ② 東京地裁平成21年2月5日判決(合議)

  この判決も、低髄液圧症候群の医学的知見につて2つの見解を紹介して、

 (1)原告には典型症状とされている起立性頭痛がないこと

 (2)画像所見上も、髄液圧の減少や髄液漏れは認められないこと

 (3)BPも大きな改善は認められないこと

 (4)低髄液圧症候群は事故から4年経過後の診断であること

 から、交通事故で低髄液圧症候群を発症したと認めるに足りる証拠はない

 と判断しました。

 ※最近の流れですかね? 低髄液圧見解を2つ示して一応当てはめているのは・・・

 ③名古屋地裁平成21年3月18日判決(単独)

 低髄液圧症候群については、交通事故との因果関係を含めて議論のあるとことであり、かかる場合現在の時点で学会等で一般に認められている基準によるのが相当であり、日本神経外傷学会が公表している診断基準によるのが妥当であるとして、

 (1)起立性頭痛が認められないこと

 (2)MRI検査で漏出はみられないこと

 (3)診療録には、BPの効果が認められない

 (4)ICHD-Ⅱの基準にも該当しない

 として、低髄液圧症候群の発症を否定しました。

 ※この判例は、日本神経外傷学会の基準を使ってあてはめていますね。

 

 新しい低髄液圧症候群については、否定的な裁判例が続いています。

2009年4月20日 (月)

【金融・企業法務】 弁護士会照会と銀行の回答義務

 銀行法務21No701(4月)号に、「弁護士会照会と銀行の回答義務」ー最高裁平成20年11月25日決定が銀行実務に与える影響ーと題する論文が掲載されていました。

 事案は、ヤミ金業者の銀行口座に関して、ヤミ金の被害者が、弁護士会照会や裁判所の嘱託を利用して、金融機関に対して、ヤミ金業者の銀行口座の保有者情報(預金口座開設者の氏名、住所、電話番号)を求めた事例で、銀行が守秘義務を根拠に弁護士会照会等に対する報告を拒否したことが、報告義務違反にあたり、不法行為を構成するかという内容です。

 最高裁は、原告の上告を棄却して、上告審受理申立を却下したため、原審である大阪高裁平成19年1月30日判決が確定しました。

 大阪高裁は、

①弁護士会照会や裁判所の調査嘱託については、照会や嘱託を受けた場合には、法律上報告する公的な義務を負う。

②弁護士会照会等に対する回答は、守秘義務との観点から何らの制約も受けず、同意の有無にかかわりなく、当然に回答義務を負う。

③回答義務は、弁護士会や裁判所に対する公的な義務であり、それを利用する者が回答を求める権利を有するものとされているわけではない

④法律上保護される利益を侵害したとはいえないため、不法行為は否定

 という判断でした。

 あれ? 回答義務を負うのに、不法行為否定? 余りにも形式的な理由により、不法行為を否定されてしまいました。

 解説者の弁護士さんの説明によれば、顧客の氏名、連絡先については、回答をしてもしなくても、不法行為は成立しないが、顧客の信用情報については、回答した場合には、顧客との間で不法行為が成立し、回答しない場合には、弁護士会照会等利用者との間で不法行為が成立しないとまとめられています。

 う~ん このまとめだと、銀行は、回答を拒否した方がリスクが少ないことになりますね。

 本件事案においては、結局、顧客の氏名・連絡先は、開示されたのでしょうか? 

 

2009年4月19日 (日)

【金融・企業法務】 証券会社の担当者による投資信託等の勧誘行為につき、適合性原則違反、説明義務違反の不法行為の成立が認められた事例(大阪高裁平成20年6月3日)

  銀行法務21・3(No700)号で紹介されている裁判例(大阪高裁平成20年6月3日)です。

 歯医者さんが3億2000万円の遺産を相続したので、被相続人が生前取引していた証券会社の担当者の勧誘で、高いリスクのある投資信託や日経平均ノックイン債を2億1630万円を購入したものの、結局、4300万円の損失を受けた事案です。

 歯医者さんは、証券会社を被告として、適合性原則違反、説明義務違反の勧誘行為があったとして、不法行為ないし債務不履行責任に基づいて、提訴しました。

 原審は、適合性原則違反については否定して、説明義務違反については認めたものの、歯医者さんの過失を7割としました。

 控訴審は、適合性原則違反も認め、過失を、7割から4割に変更しました。

 適合性の原則は、金融商品取引法40条1号に規定されています。

 即ち、金融商品取引業者等の業務の運営の状況が、金融商品取引行為について、顧客の知識、財産の状況及び金融商品取引契約を締結する目的に照らして不当と認められる勧誘を行って投資者の保護に欠けることなっており又は欠けることとなるおそれがあることないように、業務を行わなければならないと規定しています(最高裁平成17年7月14日判決参照)。

 そして、適合性の原則から著しく逸脱した証券取引の勧誘を行った場合には、不法行為上も違法と判断されることになります。

 顧客の適合性を判断するにあたっては

 当該取引商品の取引類型における一般的抽象的なリスクのみを考慮するのではなく、

 具体的な商品特性を踏まえて、これとの相関関係において、顧客の投資経験、商品等取引商品の取引の知識、投資意向、財産状態等の諸要素を総合的に考慮する必要があるとしました。

 後は具体的に当てはめて検討した結果、適合性原則違反を認めました。

 ※日経平均ノックイン債権  償還期間が、一定期間中の日経平均株価の終値によって額面額となったり、あるいは、日経平均株価終値の下落分に応じて決定されるという債券。日経平均株価の終値が期間中1度でも基準価格(設定価格の80%相当額)未満になり(ノックイン)、償還日の15営業日前に設定価格を下回っていた場合には、設定価格を基準として日経平均株価の下落に応じた損失を負う。期間1年で、途中売却不可

 業法がらみの案件については、なかなか田舎弁護士のところに相談はきませんが、外貨預金等の特定預金等の場合にも、銀行法13条の4により、金融商品取引法40条1号が準用されていますので、同じ枠組で判断されることになるのでしょうね。

 私も、投資信託を少ししていますが、酷い結果になっています。世界経済の状況が悪いので、仕方ありませんが、従前と同じ様な手数料はいただけません。業績連動性にして欲しいと思いますが・・・

2009年4月18日 (土)

【金融・企業法務】 ①金融機関の預金者に対する預金口座の取引経過開示義務の有無、②共同相続人の1人が被相続人名義の預金口座の取引経過開示請求権を単独で行使することの可否 (最高裁平成21年1月22日)

 旬刊金融法務事情No1864(4月15日)号で紹介された最高裁判決です(平成21年1月22日)。

 最高裁の判断は以下のとおりです。

① 預金契約は、預金者が金融機関に金銭の保管を委託し、金融機関は預金者に同種、同額の金銭を返還する義務を負うことを内容とするものであるから、消費寄託の性質を有するものである。

 しかし、預金契約に基づいて金融機関の処理すべき事務には、預金の返還だけでなく、振込入金の受入れ、各種料金の自動支払、利息の入金、定期預金の自動継続処理等、委任事務ないし準委任事務(委任事務等)の性質を有するものも多く含まれている。

 委任契約や準委任契約においては、受任者は委任者の求めに応じて委任事務等の処理の状況を報告すべき義務を負うが、これは、委任者にとって、委任事務等の処理状況を正確に把握するとともに、受任者の事務処理の適切さについて判断するためには、受任者から適宜上記報告を受けることが必要不可欠であるためと解される。

 このことは預金契約において金融機関が処理すべき事務についても同様であり、預金口座の取引経過は、預金契約に基づく金融機関の事務処理を反映したものであるから、預金者にとって、その開示を受けることが、預金の増減とその原因等について正確に把握するとともに、金融機関の事務処理の適切さについて判断するために必要不可欠であるということができる。

 したがって、金融機関は、預金契約に基づき、預金者の求めに応じて預金口座の取引経過を開示すべき義務を負うと解するのが相当である。

②そして、預金者が死亡した場合、その共同相続人の1人は、預金債権の一部を相続により取得するにとどまるが、これとは別に、共同相続人全員に帰属する預金契約上の地位に基づき、被相続人名義の預金口座についてその取引経過の開示を求める権利を単独で行使することができるというべきであり、他の共同相続人全員の同意がないことは上記権利行使を妨げる理由となるものではない。

③上告人は、共同相続人の1人に被相続人名義の預金口座の取引経過を開示することが預金者のプライバシーを侵害し、金融機関の守秘義務に違反するとの主張をするが、開示の相手方が共同相続人にとどまる限り、そのような問題が生ずる余地はないというべきである。

④なお、開示請求の態様、開示を求める対象ないし範囲等によっては、預金口座の取引経過の開示請求が権利の濫用に当たり許されない場合があると考えられるが、被上告人の本訴請求について、権利の濫用に当たるような事情はうかがわれない。

 今回の最高裁判決は、金融実務に与える影響は大きいようで、旬刊金融法務事情・リーガルNAVIでも、大手信託銀行の担当者が、守秘義務の緩和に一抹の不安を感じないわけではないと述べておられます。

 遺産分割事件を扱う田舎弁護士にとっては、大歓迎すべき判決なのですが・・・

 

2009年4月17日 (金)

【医療事故】 急性心筋梗塞の患者が病院で診察を受けた後、他の病院に転送されたが、心室細動を発症して死亡した場合、病院側に転送義務違反による損害賠償責任が認められた事例(神戸地裁平成19年4月10日)

 判例時報No2031(4月11日)号で紹介された裁判例です。

 事案は以下のとおりです。

 訴外A(昭和13年生)が、平成15年3月30日、自宅で息苦しくなったため、Yの開設するB病院に赴き診察を受けたところ、急性心筋梗塞が疑われ、点滴を受けたが、その後、救急車で別のC病院に転送され、C病院において心室細動を発症して死亡しました。

 そこで、Aの遺族であるXらは、B病院の医師には、Aを直ちに心筋梗塞患者を専門的に治療することができる病院に転送すべき義務を怠った過失があるなどと主張して、Yに対して損害賠償を請求した事案です。

 神戸地裁は、

 B病院での診察による所見は、ほぼ間違いなく急性心筋梗塞であると診断するに足りたとして上、

 医師としては、最善の治療法である再灌流療法を実施することができ、かつ、救急患者の受け入れ態勢がある近隣の専門病院に早期に転送すべき注意義務があるのに、

 血液検査の結果を求めるなどしたため、転送装置の開始が約70分も遅れたとしてその過失を認めた上、

 早期に転送されて治療を受けていれば、90%以上の確率で生存していたと推認することが出来るとして、右過失とAの死亡との間の因果関係を肯定して、本件請求を全面的に認めました。

 心筋梗塞については、私も病院の措置に対して大きな不信感を抱いたことがありました。

 私の近親者が、プールで泳いでいた時に、胸の痛みをうったえて、救急車に救急病院に運ばれたことがあり、「心筋梗塞」ではないかと家族全員が心配し、病院に駆けつけたことがありました。心電図等の検査の結果、心筋梗塞ではなく、「筋肉痛」だとの説明を受け、一同安堵し、医師である弟が念のために、検査入院(いろんな所を調べて貰う)を病院にお願いし、しばらくの間検査入院することになりました。「筋肉痛」のわりには、患者は顔面蒼白であり、ヒア汗もかいていたことから、心配した弟が、検査入院を依頼したのでした。

 患者の方は、「筋肉痛」という説明を受けていたことから、軽く考えてしまい、なんと外出許可をとり、温泉にまでいく始末です。

 ところが、1週間たって、専門医に診て貰ったところ、「心筋梗塞」という説明を受けました。

 担当医師からの説明は、「超急性期だったので、気づかなかった」ということでした。また、その病院には、PCIを実施できる施設がないということで、急いで、別の転院手続をとることになりました。

 一命はとりとめましたが、後遺症が残ることになりました・・・

 通常の医療の水準で、救急車で運ばれた当時は超急性期であるため、心筋梗塞であることが気づかなかったというのであれば、運命だと思ってあきらめることもできそうですが、

 一週間にわたり検査入院しているにもかかわらず、専門医が訪ねるまで、患者が心筋梗塞であることに気づいてくれなったことに対して、大きな不満を感じ、釈然としない気持ちを抱いています。

 もっとも安心できる場所が安心できなかった・・・ 

 幸いなことに、転送先の病院では的確な治療を受けられ、次第に回復の兆しをみせていますが、失った代償も少なくありません。

 治療に専念したいので、事を大きくするつもりはありませんが、専門家責任の大きさを痛感した次第です。

 弁護士も、命こそは扱いませんが、法律専門家として、その人の人生にとっては極めて大きな問題の解決に関与することになりますので、1件1件を、誠実に対応していきたいと思います。

2009年4月15日 (水)

【消費者法】 過払金の消滅時効の起算点 最高裁判決

 判例タイムズNo1289(平成21年4月15日)号で紹介されている最高裁判例(平成21年1月22日第1小法廷)です。

 判例タイムズの判決要旨は、以下のとおりです。

 継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約が、借入金債務につき利息制限法1条1項所定の制限を超える利息の弁済により過払金が発生したときには、弁済当時他の借入金債務が存在しなければ上記過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含む場合は、上記取引により生じた過払金返還請求権の消滅時効は、特段の事情がない限り、上記取引が終了した時から進行する。

 最高裁は、その理由づけとして、一般に、過払金充当合意には、借主は基本契約に基づく新たな借入金債務の発生が見込まれなくなった時点、すなわち、基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引が終了した時点で過払金が存在していればその返還請求権を行使することとし、それまでは過払金が発生してもその都度その返還を請求することはせず、これをそのままその後に発生する新たな借入金債務への充当の用に供するという趣旨が含まれているものと解するのが相当であると判断しています。

 キーワードは、過払金充当の合意の内容ということになろうかと思いますが、解説者は、「基本契約に基づく継続的な消費貸借取引が終了した時点」とは、結局、取引の個数の問題と同一視して考えているようです。

 ただ、たとえば、基本契約といっても、自動更新条項が盛り込まれているのが少なくないと思いますが、契約の切り替えを行わず、具体的な取引自体は終了させているが、その後、数か月、あるいは、数年後に、取引を再開した場合は、どのように考えればいいのでしょうか?

 これも、素朴な感覚として、取引の個数の場合の基準で判断されるような気がしますが、消費者側に立つ私としては、明示の切り替えがない場合には、再開した取引と、前の取引とは同じ取引と理解したいが、これは無理だろうか?

 過払い金の事件って、示談交渉の解決ばかりやっていると、あまり力がつかないような気がします。行政処分の申し立てをしたり、提訴して、判決もらって、控訴して、あるいは、文書提出命令を申し立てたり、さらに、訴訟費用確定の裁判も行い、加えて、強制執行も行う、私も力をつけますし、担当のスタッフも力をつけます。

 ただ、強制執行までやらなければいけない案件って、幸いなことに、現時点では、そんなにはないのですが・・・

 なお、今回の最高裁判例、第3小法廷は、平成21年3月3日、第2小法廷は、平成21年3月6日、取引終了時説に立つ判断をしました。

 

2009年4月14日 (火)

【交通事故】 被害者には、必ずしも遊休車を使用して損害発生を防止すべき義務はないとして、休車損害を認めた事例(横浜地裁判決平成20年12月4日)

 交通春秋社発行の交通事故判例速報No514(H21・4)です。

 横浜地裁平成20年12月4日は、被害者には、必ずしも遊休車を使用して損害発生を防止する義務はないとして、休車損害を認めました。

 まず、休車損害の存否については、

 「被告は、休車期間中に遊休車の存在がなかったことを立証する必要があると主張するが、遊休車が多数存在し、容易にやりくりをして損害発生を防げる場合でなければ被害者である原告に必ずしも、遊休車を使用して損害発生を防止すべき義務はない。そして、原告が、本件事故当時、原告車両を含めて7台を保有していたが代替車両はなかったと主張しており、原告が、原告車両に代わる新車を購入することもできない状態からすると、遊休車を利用して、容易に配車をし、業務に支障がでないようにできる状態とは認められない。したがって、原告には、上記休車損害を認めることができる。」

 と判断しました。

 次に、休車損害の金額については、

 金額としては、原告車両の1か月あたりの利益を、24万3483円と認めました。休車期間については、以下のとおり2か月間を認めました。すなわち、「通常、休業損害を認める期間は、車両買換に必要な期間であり、原告車両が特殊な車両という事情を認めることができないこと、原告が本件事故により損害を受け資金繰りの事情から新車を即座に購入することが困難となったという事情、被告が本件事故の損害賠償について誠実に対応しているとは言い難い状況からすると、その期間は、2か月間が相当と認められると判断しました。

 私の事務所の場合、損保会社からの依頼が多いため、休車損害の発生の要件の1つとして、遊休車が存在しなかったことを必要としたいですね。

 逆の立場になった時には、この判例を主張させていただきますが・・・ coldsweats01

 

2009年4月13日 (月)

【金融・企業法務】 インサイダー取引

 4月10日、金融法務例会(大阪銀行協会)に出席しました。

 今回は、金融庁証券取引等監視委員会の実務担当者の方が講師でした。

 金融商品取引法第166条によれば、

①上場会社等の会社関係者(含む、会社関係者でなくなった後1年以内のもの)が、

②当該上場会社等の業務等に関する重要な事実を、

③その職務等に関して知った上で

④その重要事実の公表前に、

⑤当該上場会社の株券等を売買すること

⑥会社関係者から重要事実の伝達を受けた第1次受領者についても同様とされています。

 会社関係者の範囲は、結構広く、例えば、(1)当該上場会社等と契約を締結している者又は締結の交渉をしている者や、(2)株主等や(1)に掲げる者であって法人であるものの役員なども含まれます。

 重要事実についても、当該上場会社等(子会社)の運営、業務又は財産に関する重要な事実であって投資者の投資判断に著しい影響を及ぼすものと規定されており、バスケットクローズが設けられています。

 例えば、A社とA社の筆頭株主であるB社とが業務提携を解消する場合、B社の役員が、C社の役員に業務提携解消の事実をもらし、C社の役員は、第1次情報受領者として、インサイダー取引に該当することになります。

 今回の例会では、①上場会社の場合、自社株売買についてのルールの整備、②融資先顧問企業から重要事実の伝達を受けた場合のルールの整備について、意見交換がなされました。

 インサイダー取引防止のための態勢整備として、重要事実の決定から公表までの情報管理が大切であり、具体的には、①重要事実にアクセスできる者の範囲を必要最小限度に限定、②重要事実にアクセスできる職員への注意喚起、③重要事実はできる限り速やかに公表ということが必要です。

 いや、ほとんどしらない分野であるため、大変、勉強になりました。

 課徴金事例集は、参考になります。

2009年4月 9日 (木)

【金融・企業法務】 破産管財人の源泉徴収義務

 判例時報No2030(4月1日)号で紹介された大阪地裁平成20年3月14日の裁判例です。

 要旨は、以下のとおりです。

 ①破産管財人は、源泉徴収義務を負う

 ②退職金等を配当した場合に、管財人が源泉所得税の徴収納付をしなかったことが国税通則法67条1項但書にいう正当な理由がある

 ③管財人が管財人報酬を受け取った場合に、管財人が源泉所得税の徴収納付をしなかったことが正当な理由がない

   この論点については、同趣旨の大阪高裁の判例もあり、従来の管財人業務と取扱いが異なることから、現場でも混乱が続いております。

 ここまで争われたのは、やはり、管財人の報酬の金額が大きかったことが原因ではないかと思います。

 管財人の報酬だけでも、8000万円です。私の場合の、100倍以上です・・・・ 頑張りたいと思います。

 ただ、配当を源泉徴収しなければならないとすれば、手続きの負担が増え、大変です。このようなケースの場合には、報酬を割増してもらいたいものです。 

  

2009年4月 8日 (水)

【交通事故】  交通事故民事裁判例集 不法行為法研究会編 ぎょうせい

 数年前から、ぎょうせいからでている、交通事故民事裁判例集を、継続購入しています。

 今回第39巻索引・解説号(平成18年1月から12月)(発行平成21年3月27日)が送られてきたので、はじめて、目を通しましたが、分かり易いように索引されているのにはびっくり仰天しました。

 事項索引、被害者類型索引、判決月日要旨索引、裁判所別索引、後遺障害の部位・等級別索引です。

 裁判所別だと、例えば地裁だと、圧倒的に、東京地裁、大阪地裁、神戸地裁、名古屋地裁で紹介判例のほとんどを占めているような状態です。

 後ろに座談会もあって、主として、東京地裁民事27部の裁判官との意見交換会の記録も載っており参考になります。

 

 

2009年4月 7日 (火)

【金融・企業法務】 差押債権者による定期預金の期限前払戻請求が否定された事例(東京地裁平成20年6月27日)

 旬刊金融法務事情No1861(3月15日)号搭載の東京地裁平成20年6月27日付の判決です。

 判決要旨は、以下のとおりです。

 預金の差押債権者は、取立に必要な範囲で、預金者が銀行に対して有する一切の権利を行使することができるが、

 定期預金規定により預金者に期限前払戻請求権が認められない以上、差押債権者も銀行に対して期限前解約請求により、預金の払戻しを請求できない。

 この判決は、期限前払戻請求が認められないと判断しておりますが、結局、解決はどのようになったのでしょうか?

 満期まで差押えを継続したのでしょうかね?

2009年4月 6日 (月)

【交通事故】 交通事故により1級1号の後遺障害が残った被害者にてんかんの既存障害があっても、それが後遺障害の内容・程度に影響を与えたとは考えられないとして、素因減額をしなかった事例(大阪地裁平成19年12月10日)

 判時No2028(3月11日)号搭載の裁判例です。

 脳挫傷等の傷害を負い、後遺障害等級1級1号の後遺障害が残った被害者が、加害者に対して、損害賠償請求を提訴したところ、加害者側は、被害者には、てんかんの既往症があり、内服治療を継続していたのであるから、3割程度の素因減額を行うべきであると反論しているケースです。

 本件事案において、既存障害として9級相当のてんかんがあったのですから、加害者側としては、疾患として、素因減額の反論を行うのは、当たり前といえます。

 但し、その反論については、てんかんによる既存障害が後遺障害の内容や程度の影響を与えたとは考えられないことや、てんかんといっても日常生活に支障をきたしていなかったことから、素因減額は否定しました。

 加害者側としては、素因がどのような形で損害の発生、拡大に関与したのか、丁寧に論証していく必要がありそうです。

 なお、本件判決は、人身傷害補償保険についても、被害者側にて、そのまま使えそうな論証が記載されていました。

2009年4月 5日 (日)

【交通事故】 被保険者が運転する自動車の事故が、自殺目的で事故を惹起し死亡したものとして、傷害保険契約に基づく保険金請求が棄却された事例(東京地裁平成20年10月15日)

 判タNO1288(4月1日)号搭載の裁判例(東京地裁平成20年10月15日・控訴)です。

 Xらは、亡Aの法定相続人であるところ、亡AとYとの間には、傷害保険契約を締結していましたので、亡Aが死亡したことに伴い、Xらは、損保会社であるYに対して、傷害(死亡)保険金の請求を行いました。

 他方で、保険契約に係る約款には、①被保険者が急激かつ偶然な外来の事故によってその身体に被った傷害に対して、保険金を支払う旨、②被保険者の故意又は自殺等によって生じた傷害に対しては、保険金を支払わない旨、規定しています。

 争点は、本件事故が偶然の事故に該当するのかどうか、また、亡Aが自殺目的で本件事故を故意に惹起したか否かです。

 本件判決は、

 ①本件事故態様は、本件車両が、時速105㎞で、本件道路に対して右約3度の角度で走行し、制御措置を取ることなく、本件ブロック塀の正面右角から約1.80㎞部分を中心に、約87度の角度で衝突したというものであり、亡Aは、シートベルトを着用していなかったという本件事故態様自体から、亡Aが、自殺目的で本件事故を故意に惹起したものであること、 

 ②亡Aの走行経路及び本件事故発生時刻が不自然であること

 ③本件事故当時、経営している会社は極めて厳しい状況にあり、自殺を図る十分な動機があること

 から、本件事故は、「偶然の事故」と認めるに足りないと判断しました。

 ご承知のとおり、最高裁判決により、傷害保険契約に基づき保険者に対して死亡保険金の支払を請求する者は、発生した事故が偶然的な事故であることについて主張立証責任を負います(最高裁平成13年4月20日)。

 傷害保険における偶然性とは、

 事故が発生した時点において、本件事故が被保険者の意思に基づかないこと、あるいは原因又は結果の発生が被保険者の立場から予知できないことを意味します。

 間接事実としては、保険契約者等の経済状態、保険加入の時期や理由、保険金取得歴、事故の対応や自殺の動機等が挙げられます。

 本事案でもこれらの要素を考慮して、偶然性が認められないと判断されました。

 

2009年4月 4日 (土)

【弁護士研修】 高齢者虐待対応のあり方(愛媛弁護士会館)

 昨日午後3時から、愛媛弁護士会館で、高齢者虐待対応の在り方~弁護士と福祉関係者等との連携~というテーマで、当該施策では先進県である岡山の弁護士による取り組みについての講演がありました。

 今回の研修は、愛媛弁護士会と愛媛県社会福祉士会とが愛媛県高齢者虐待対応専門職チーム結成に関して、協定をむすび、両会合同で専門職チームを設置することになったことに伴う研修です。

 高齢者虐待対応専門職チーム名簿に登録することによって、専門職チームのメンバーとして高齢者虐待が疑われるケースの会議等に出席して、法的な側面から専門的な意見助言などを提供するというものです。

 話をうかがって、なかなか大変な業務です・・・

 私のような、フットワークの重い人間にはなかなか難しいようです・・・

 私が受ける後見申し立ては、すでに成年後見を希望される親族から依頼を受ける事案がほとんどなので、親族などによる高齢者虐待が疑われるような複雑な事案にはほとんど接したことがないので、そこからの出発ということであるため、本当に大変な仕事だと思います。

  ただ、社会的に大きな意義のある業務分野ですし、また、今後高齢者の数は急増することは確実ですから、需要は大きく見込める分野だとは思います。

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