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2009年2月28日 (土)

【交通事故】 原告運送会社の被用者被告が起こした単独事故での賠償につき、原告は経費削減のため一般車両保険未加入等から信義則上3分の1の範囲と認定した事案(横浜地裁平成20年9月11日)

 自保ジャーナルNo1772(2月26日)号でご紹介された事案です。

 時折、このような事案の相談ってありますね。事業主から依頼を受けて、訴訟したこともあります。

 運送会社が、単独衝突事故を発生させた元従業員に対して、その賠償を求めて、提訴した案件ですが、このような請求は、一般論として、認められるものの、最高裁昭和51年判決により、信義則上相当と認められる範囲に限定されています。

 今回の横浜地裁判例もそれにそい、①道順を間違えて一目瞭然な橋に全く気づかずわき見運転をしていたなど、被告の過失の程度は重大といいながらも、②原告は経費削減のために一般車両保険に加入していなかった事情を考慮して、賠償を求めうる範囲は、信義則上総損害額の3分の1を限度と判断しました。

 事業主の皆さん、不始末をした従業員に全額請求できるわけではありませんので、高価な車の場合には、車両保険に入ってください。 

 

 

2009年2月24日 (火)

【消費者法】 旧商工ファンド(SFCG) 民事再生法申請

 ついに、商工ファンドまで破綻してしまったのか? 同社は、商工ローン最大手の東証一部上場企業であることから、その影響は大きいものと考えられています。

 私が弁護士登録をしたころは、商工ローンの強引な取立てが大きく問題になっており、地方の中小企業で資金繰りが厳しいところは、商工ローンから融資を受けている場合も少なくなかったことから、新米弁護士の私は、一部の商工ローンの担当者から、毎日のようにいじめられていました。coldsweats01

 弁護士登録してすぐに商工ローンの対応をまかされましたが、当時の印象では、数ある商工ローン会社の中では、商工ファンドは、他社と比べて、回答の中身は厳しかったですが、担当者の応対振りは非常に丁寧だったと記憶しています。

 (マスコミで話題になった某貸金業者の子会社の担当者からのひどい取立て(弁護士に対してですよ)は、今でも忘れられません。)

 とはいっても、商工ファンドのみなし弁済の主張は強硬であり、また、連帯保証人をとっていることから、難しい対応を強いられたこともありました。

 新聞報道によれば、商工ファンドは、過払い金返還請求に加えて、世界的な金融危機で融資先企業の業績が落ち込み、不動産担保ローンの焦げ付き増加や資金調達難で資金繰りに行き詰まったようです。

 クレディア然り、アエル然り、商工ファンド然り、大手貸金業者も、大変な受難の時代を迎えています。 

 大手貸金業者だからといって倒産しないという安心感がもてず、過払い金返還も、まさに早い者勝ちのような状況になっています。

 それでも、大阪や東京の地下鉄に乗ると、過払い金が容易に返還されるような内容の広告が少なくありませんが、実際には、差し押さえをしても満足するような回収ができないところも増加していますので、そのような広告を目にするたびに、「なんだかな~」と思っています。

 「それでも」過払い金の回収は、その気持ちがあるのであれば、できるだけ急いだほうがいいというのは、事実です。 

 

2009年2月19日 (木)

【裁判】 執行官が茶葉に対してした執行が杜撰で違法な執行行為であり、これにより差押債務者に損害を生じせしめたが、その額を立証することが極めて困難であるとし、相当な損害として30万円が認定された事例

 判例時報NO2045(2月11日)号に搭載されている裁判例(福岡高裁平成20年5月29日)の紹介です。

 事案は、執行官が、茶葉の競り売りに際し、その種類、産地、採取時期、品質、容量等について調査せず、しかも、その重量を「手秤」(茶葉をいくつかの袋を両手で持ち上げてみてその重量についての見当をつけること)により、一袋30キログラムで一キロあたり1000円と評価して売却してしまったことについて、差押債権者が国家賠償請求をしたケースです。

 第1審は、執行は違法だが、損害が発生したとは認められないとして、原告の請求を棄却しました。

 第2審は、茶葉の数量、評価を正確に認定できないから、損害を認定できないが、執行官の杜撰極まりない執行により、なにがしの損害を生じせしめた可能性は否定できないから、民訴法248条に基づいて、その損害は30万円と算定するのが相当であると判断しました。

 判時の解説者によれば、民訴法248条の適用にあたっては、損害が生じたことが認められる場合と立証することが困難であるときの区別があいまいであることから、実務での活用は、多くないようです。

 件の執行官に対しては、動産執行のもっとも基礎的・初歩的な作業を欠いていること、このような態度は執行官としてはおよそ考えらない、杜撰さはまさにここに極まれりなどと、散々に非難されています。

2009年2月15日 (日)

【金融・企業法務】 文書提出命令が銀行実務に与える影響

 銀行法務21の2月号でも、旬刊金融法務事情1858号(2月15日号)でも、最高裁第3小法廷平成20年11月25日の決定について、非常に大きな特集記事が組まれていました。

 金融機関が守秘義務を負うことを前提に特定の顧客から提供された非公開の当該顧客の財務情報(非公開財務情報)と、特定の顧客の財務情報等を基礎として金融機関自身が行った財務状況、事業状況についての分析、評価の過程およびその結果ならびにそれを踏まえた今後の業績見通し、融資方針等に関する情報(分析評価情報)について、職業の秘密に該当するのかどうか、最高裁の判断が示されました。

 非公開財務情報については、(1)顧客の情報なので、銀行は秘匿する独自の利益を有しない、(2)顧客は民事再生手続中でありそれ以前の顧客の情報であるから開示されても顧客の受ける不利益は小さいなどを理由に、職業秘密であることを否定しました。

 分析評価情報については、銀行の職業の秘密には該当するものの、比較考慮を行い、保護に値する秘密にはあたらないと判断しました。

 今回の最高裁の決定は、銀行実務家からは批判的に評価されているみたいです。

 決定分だけ読んでいると田舎弁護士には関係のないなあ~と思いがちですが、さにあらず、 もともとの事案は、銀行が経営破たんの可能性を認識していたにもかかわらず、全面的に支援すると説明したことにより、取引を継続した会社が、売掛金の回収不能による損害賠償を求める訴訟を提訴したケースであり、これならば、ひょっとして、将来、田舎弁護士にも相談があるかもしれないような事案ですね。

 頭の片隅に入れておきます。

 

2009年2月14日 (土)

【金融・企業法務】 金融法務研究会 (大阪銀行協会)

 昨日、大阪で、きんざい主催の「金融法務研究会」が、大阪銀行協会で行われました。

 今回のテーマは、「民事裁判官の事実認定に関する基本的な考え方」と題して、大阪地裁の部総括判事が講演されました。

  そもそも金融法務例会は、金融機関の現場の担当者を中心に金融実務に携わる人に対して、金融法務の知識や経験を伝授することを目的にしているものと思われますが、最近は、「若い弁護士」の参加も増えているようです。

 それはさておき、処分権主義、弁論主義など、民事訴訟の基本的な概念の説明からはじまったので、これは眠たくなるかも?と思ったのですが、さにあらず、事実認定の説明では、書証の見方、人証の取り扱いなど、おもしろい話を次から次にきかせていただきました。

 また、処分証書と報告文書については、忘れかけていた知識の整理ともなり、大変助かりました。

 そして、原本の確認の重要性を説明されていました。偽造文書や虚偽文書、意外と多いようであり、その特徴なども説明していただきました。

 中には、精巧になったコピーを利用する方法もあるようで、コピーだから原本と同じという発想は捨て去ったほうが無難かと思います(この話は、地裁所長も同趣旨の話をされていたことがあるので、都会の裁判では、偽造文書が少なくないのかもしれません。)。

 私も、これはおかしいのではないかという文書に遭遇したことがありましたが、結局は、勝訴的和解をしたので、問題にしたことはありませんでしたが・・・  

 気をつけたいと思います。 

 

2009年2月13日 (金)

【交通事故】 最近の低髄液圧症候群を巡る裁判例

 交通事故判例速報No512(H21・2)で、第1審において髄液減少症が発症したことを認めた点について、控訴審で自白の撤回が許されないとされた事例が、紹介されていました(東京高裁平成20年7月31日)。※高裁積極判例①で紹介済みです。

 やはり、論者も、実質的な検討がなされないまま判断がなされたと述べておられ、先例の価値は乏しいとしかいいようがないものと思われます。 

民事判例編 

積極的判例

 (地裁判例)

 ① 横浜地裁・平成20年1月10日 自保ジャーナル第1727号(→控訴審東京高裁平成20年7月31日)

 (概要)

 ①の裁判例は、乗用車を運転して交差点を直進中、対抗右折乗用車に追突され、頭部打撲等から低髄液圧症候群を発症したとする事案です。裁判所は、被害者に、激しい起立性頭痛等があり、副作用の強いホルモン剤等服用しても改善しませんでしたところ、ブラッドパッチ療法で仕事ができるまで改善されたことなどから、原告は本件交通事故後に低髄液圧症候群に罹患したと認定、17ヶ月後に治癒したと認められた事例です。 

 消極的判例

 (地裁判例)

 ① 岡山地裁・平成17年1月20日 交民38巻1号107頁

 ② 神戸地裁・平成17年5月17日 交民38巻3号681頁

 ③ 横浜地裁・平成17年12月8日 交通事故判例速報478号

 ④ 横浜地裁・平成18年9月24日 自保ジャーナル1692号

 ⑤ 前橋地裁桐生支部・平成18年12月25日 自保ジャーナル1676号

 ⑥ 福岡地裁・平成19年5月17日 自保ジャーナル1692号

 ⑦ 横浜地裁相模原支部・平成19年6月26日 自保ジャーナル1698号

 ⑧ 福岡地裁田川支部・平成19年10月18日  自保ジャーナル1713号

 ⑨ 東京地裁・平成19年11月27日  自保ジャーナル1717号,交通民集第40巻第6号1527頁 ※控訴審東京高裁平成20年4月24日

 ⑩ 大阪地裁・平成19年3月14日   自保ジャーナル1717号

 ⑪ 東京地裁・平成20年2月28日(合議) 自保ジャーナル1727号 判例時報No2014号(控訴中)

 ⑫ 横浜地裁・平成20年1月30日 自保ジャーナル1727号

 ⑬ 神戸地裁・平成19年4月26日 自保ジャーナル1727号

 ⑭ 静岡地裁浜松支部・平成19年12月3日(裁判官・酒井正史・矢作泰幸・神原文美) 判タNo1273号

 ⑮ 広島地裁・平成20年10月30日(橋本良成・佐々木亘・西田晶吾) 自保ジャーナル1760号

 (概要)

 ⑨の裁判例は、日本神経外傷学会が組織した頭部外傷に伴う低髄液圧症候群作業部会の中間報告の示した診断基準が最新かつ国際頭痛分類の診断基準をふまえた客観性を有する見解であると指摘し、同基準の概要は、

 前提基準として、起立性頭痛又は体位による症状の変化があること、

 その基準に該当した場合に、

(1)造影MRIでびまん性の硬膜肥厚増強、

(2)腰痛穿刺にて低髄液圧の証明 

(3)髄液漏出を示す画像所見

のいずれかを満たすことで、低髄液圧症候群と診断し、

 更に、外傷性と診断するための条件として、

 外傷後30日以内に発症し、外傷以外の原因が否定的であること

を満たすことが必要と判断しました。

 そして、当該事案においては、これらの要件を欠き、外傷性低髄液圧症候群について、否定しました。

 ⑩の裁判例は、判旨自体はさらりとその理由を述べているに過ぎませんが、それ故に汎用性のある判例ともいえます。

 原告の脳脊髄液減少症の後遺障害に対する主張に対しては、

 まず、脳脊髄液減少症は未だ病態や診断基準が確立されていない疾病であるため、その認定にあたっては慎重に行う必要があるとして、

 (1)脳脊髄液減少症の特徴的な症状である起立性頭痛や特徴的な所見である硬膜下腔の拡大、小脳扁桃の下垂などを認めるに足りる証拠はないこと

 (2)RI脳槽脊髄腔シンチグラフィでの早期の尿中集積所見や、MRミエログラフィによる胸椎部での高信号の所見については、診断基準に採用することに批判的な立場もあることに鑑みれば

 現状においては、原告が脳脊髄液減少症に罹患したと認めることはできない」と判断しました。

  ⑪の裁判例は、乗用車を運転、停車中に乗用車に追突されて、頸椎捻挫等から低髄液圧症候群を発症したと主張される29歳男子につき、頭痛訴えが事故1年4か月までに1回であり、国際頭痛学会の低髄液圧症候群からも耳鳴りの訴えが1年4か月後であり、典型的症状の起立性頭痛がなく、原告が低髄液圧症候群を発症したと認めるに足りる証拠はないとして否認されました。

 原告は、医師が、(1)原告が本件事故後により難治性の後頸部痛及び頭痛が持続し、平成15年10月23日の初診時にも、上記症状を訴え、夕方になると症状が悪化すると訴えたこと、(2)頭部造影MRIにより円蓋部での大脳の下垂及び小脳扁桃の下垂が認められたこと、(3)同年11月25日でのRI脳槽シンチグラフィーにより髄液の腰部での早期漏出が認められたことを根拠に、低髄液圧症候群であると確定診断されたことを理由に、低髄液圧症候群を主張していました。

 ⑫の裁判例は、自転車を押して歩行横断中、停車しようとした乗用車に軽く衝突されて転倒、腰部打撲等から約1年の症状固定後低髄液圧症候群を発症、12級神経障害を残したとして主張された案件です。裁判所は、発症は、2年後であり、特徴的な症状である継続的な頭痛がほとんどない他、更年期障害、心因的症状の重複で、低髄液圧症候群は本件事故との因果関係はないと否認しました。

 ⑬の裁判例では、裁判所は、7歳男子の低髄液圧症候群等は頭を打っておらず、3日後運動会参加、バットで頭部打撲等から原因不明とし事故との因果関係を否認しました。

 ⑭の裁判例では、鑑定人が、低髄液圧症候群の発症を認めていたにも拘わらず、裁判所は、(1)低髄液圧症候群につき、病態が明らかでなく、診断の際には、頭痛等の多彩な症状と、画像診断(頭部MRIによる髄液減少所見及びRI脳槽シンチグラフィー、腰痛MRミエログラフィーによる髄液漏出所見)とが重要であるとされているものの、いまだ診断方法は確立されていないという医学的知見を前提に、(2)本件において、頭部MRIにおる髄液減少所見及び腰痛MRミエログラフィーによる髄液漏出所見は認められないこと、(3)Xの症状は、低髄液圧症候群の症状に一致するものの、外傷性頸部症候群の症状とも類似しており、外傷性頸部症候群である可能性を払拭できないこと、(4)A医師とは別の医師が、Xの症状はXの低血圧に由来すると診断していることなどから、A医師の診断及び鑑定結果は採用できないとして、低髄液圧症候群の発症を認めませんでした。※1鑑定が肯定されていても、判決は否定しています。※2治療費についても、症状固定後の治療費として原則として因果関係を否定としながらも、病院が低髄液圧症候群と診断したことなどを理由に、ブラッドパッチなどの治療費を認めています。これって、加害者側保険会社は、病院に請求できるのでしょうかね。 但し、他方で、寄与度減額として3割を減じています。

 ⑮の裁判例では、(1)脳脊髄液減少症には起立性頭痛がないのがほとんどで、低髄液圧症候群と脳脊髄液減少症とは別個の病態であると認定、(2)45歳女子会社員原告が12級脳脊髄液減少症と診断された事案につき、脳脊髄液減少症のメカニズム・病態は現時点では全く不明であり、脳脊髄液減少症の病態が存在すること自体疑わしい上、慢性気管支炎、膠原病等多彩な症状で受診、本件追突事故前年まで、疾病のため、就業時間を短縮していたことに加え、診断したC医師の経験と感覚ということ以外に客観的裏付を見い出すことができない等、原告の症状は既往症が継続し又は再発したと認定、(3)通常の頚椎捻挫は3か月ないし6か月で完治するとし、原告の本件事故と因果関係ある治療期間につき、6か月で認定、既往症で5割減額を適用しています。

 本件交通事故は、平成13年4月29日、提訴は、平成16年、判決言渡期日は、平成20年10月という経緯をみると、なんとも大変な事件だなという印象を受けます。「頚椎捻挫」がらみは、紛争が法的に解決するまで相当長期間かかるケースも少なくなく、どちらの当事者の代理人になっても、非常に疲れることが多いです。

 (高裁判例)

 積極的判例 

 ① 東京高裁・平成20年7月31日 自保ジャーナルNo1756号、交通事故判例速報No512

 (概要)

 事案は、横浜地裁平成20年1月10日のとおりです。加害者側が、原審及び控訴理由書にて、「髄液減少症」が発症したことを認めてしまい、後日、自白を撤回しようとしたものの、撤回の要件を欠くとして、自白した状態で認定されてしまったなんとも理解しがたいような内容です。

 解説者も、杉田雅彦弁護士も、「本判決はX・Y双方において医学的各争点について十分に争われた事案ではないので、先例的な価値は余りない」と説明されています。 

 消極的判例

 ① 福岡高裁・平成19年2月13日 判例時報1972号、自保ジャーナル1676号、交通事故判例速報489号

 ② 東京高裁平成20年4月24日 自保ジャーナルNo1756

  (概要)

 ①の裁判例は、 (1)追突事故により低髄液圧症候群、外傷性脊椎髄液漏の傷害を受けたとの被害者の主張について、ⅰ右傷害の最も典型的な症状である起立性頭痛が見られないこと、ⅱブラッドパッチ療法では症状が余り改善しなかったこと、ⅲRI脳槽造影では脊椎髄液漏の所見が見出せなかったことなどを理由に、被害者に脊椎髄液漏があるとするにはなお合理的な疑問があるとして、その主張を認めなかったものの、

 (2)被害者主張の治療費のうち、低髄液圧症候群の関係の治療費は事故と因果関係が認められない筋合いではあるが、低髄液圧症候群との診断をし、その治療をしたのは医療機関側の判断と責任によるものであるから、被害者が現にその関係の治療を支払っている以上、それを安易に減額することは相当ではないとして、被害者の主張する治療費のほぼ全額を損害と認めたものの、他方で、(3)右被害者の頸椎捻挫の症状が長期化した背景には、本人の心因的要素があると考えざるを得ないとして、損害の公平負担な観点から民法722条を類推して、その損害のうち治療費と文書料を除いた額の50%を減ずるべきとしました。 

 ②の裁判例は、「事案の概要」によれば、「当審においては、本件事故により低髄液圧症候群が発症したとの点に関する原判決の判断(消極)については敢えて争わず」と記載されていることから、控訴審で、低髄液圧症候群の発症については、十分な議論は尽くされていないようです。

刑事判例編

 消極的判例

 ① 平成20年4月21日 福岡地裁 自保ジャーナル1742号、交通事故判例速報No507

 ② 平成20年5月19日 静岡地裁 自保ジャーナル1742号、交通事故判例速報No507   

(概要)

 ①の裁判例は、検察官が「加療約5年以上の頭痛、頸部痛、視力低下及び集中力・記憶力低下などの障害を伴う外傷性脳脊髄液減少症の傷害」として起訴した事案ですが、裁判所は、検察官指摘の他覚的所見については、医師の意見がわかれていること等に鑑み、他覚的所見を全て否定し、客観性に疑問が残るとして、被害者が低髄液圧症候群であることを否定しました。

 ②の裁判例は、検察官が「加療約2185日を要する脳脊髄液減少症等の傷害」として起訴した事案ですが、裁判所は、国際頭痛分類の低髄液症候群の診断基準にも、新たに提唱された脳脊髄液減少症の診断基準にも該当しないと判示して、従来の低髄液圧症候群であることも否定しました。

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2009年2月12日 (木)

【交通事故】接触事故を起こした後に逃走した者が、相手方と2日後に締結した示談について、強迫による取消・無効を認めるとともに、相手方に対し、強迫による慰謝料と弁護士費用の支払いを認めた事案

 交通事故判例速報No512(H21・2)で紹介されている裁判例(千葉地裁松戸支部平成20年9月5日)です。

 裁判所は、

①示談の経過として事故発生から2日程度で合意、支払いがなされたこと

②被告らによる大声での非難と刑事・民事責任が重大であることの指摘

③原告の負い目と困窮につけ込んだ威迫

④被告らのつきまとい

などの事実経過から,気の弱い原告が、被告らの要求に応じない場合には、本件事故の責任を追及されて重大な刑事・民事の責任を負いかねないものと畏怖し、その結果、このような責任を負う不利益を回避するために、事実上、強制されて被告の要求を容れて示談合意をして、300万円支払ったものと認めました。

 裁判所は、被告らが、実際には本件交通事故により傷害を受けていないのに、原告から損害賠償目的で多額の金員の支払いを得るため、傷害を受けたと訴えた疑いを払拭できないと判断していますから、怪しそうな事案だったのでしょう。

 私が扱う案件のほとんどは、加害者側(損保側)なので、時折、念書を書かされたという依頼人からご相談を受けることがあります。全て支払いますなどという抽象的な表現の念書が多いですが、本件では、金額が入った上、ご丁寧に清算条項まで挿入されていたケースのようです。

 

2009年2月 8日 (日)

【建築・不動産】 マンションの売買における違約金特約は信義則上手付金200万円のほか200万円を認めるのが相当であるとされた事例(福岡高裁平成20年3月28日)

 判例時報2024号(平成21年2月1日号)で紹介されている裁判例です。

 Xさんは、Yからマンションを購入しましたが、Yに債務不履行があったとして契約を解除した上、Yに対して、「違約金条項」に基づき728万円の損害賠償を提訴したところ、Yの方も、Xさんに、債務不履行があったとして、同じ「違約金条項」に基づき528万円(違約金額728万円に手付金相当金額である200万円を控除したもの)を反訴しました。

 第1審の裁判所は、Xの請求に対しては、Yに債務不履行はないとして、Xの請求を棄却して、反対に、Yの反訴請求に対しては、違約金条項に基づき、528万円の支払いを認めました。

 返り討ちにあった感じです。

 なお、原審の判決文は、「本件契約において、違約金の支払義務が被告に発生するためには、被告の違約(債務不履行)によって本件契約が解約されることが必要であるところ、原告の主張は、いかなる被告の債務不履行を問題とするのか必ずしも明らかではないが」と記載されています。

 控訴審では、

 本件違約金特約は、消費者契約法9条、10条には違反しないとしつつも、

 Xの違約によりYが受けた損害の程度は軽微だなどとして、信義則上から、YがXに対して請求できる金額は、手付金の200万円とそれに加え200万円であるとして、200万円の支払いを認めました。

 裁判所は、第1審の528万円 → 第2審の200万円 と減額したわけです。

 違約金特約は、損害賠償額の予定と推定され、裁判所は、その額を増減することが、民法420条1項の建前からはできないはずです

 ところが、裁判所は、「信義則」ということで、損害賠償額の大幅な減額を認めたものであり、不動産の売買実務に重大な影響を及ぼすものといえようと紹介されています。

 勉強になりました。happy01

 最高裁に上告上告受理されているみたいです。

 

2009年2月 7日 (土)

【弁護士考】 平成20年度愛媛弁護士会定時総会など

1 業界の話

  昨日、3時から、松山で、愛媛弁護士会の定時総会があったので、出席してきました。

 平成21年度の愛媛弁護士会の役員等を選出しました。

 持ち回りで、平成21年4月から、私も、愛媛弁護士会の常議員(同弁護士会今治支部長)、兼、日弁連代議員に、選任されました。

 今治支部長と言っても、これで確か3回目か4回目ではないかと思います。持ち回りですから・・・

 来期の会長は、今川正章先生で、正義感の溢れる弁護士さんです。

  この際に、愛媛弁護士会の会報も配布されたので、みてみると、なんと、松山で面倒をみないといけない司法修習生の数が、23名(定員は24名)だそうです。

 私のころは、(としよりみたいですが・・・)松山では、6名だったので、その4倍の人数です。そして、弁護修習期間は大幅短縮・・・・

 大量増員時代を迎え、新規登録、登録換えを含み、平成20年度は、10名、愛媛で弁護士の数が増えました。

 少し前までは、登録は、ほぼ松山に限定されていましたが、今回は、支部登録が5名と、弁護士過疎地域への登録が急増しています。

 今治でも、2名の登録がありました。

 ご指導とご鞭撻宜しくお願い申し上げます。

2 国際司法裁判所(ICJ)所長

  ICJ所長に、小和田恒氏が選出されました。私自身、司法試験の選択科目が国際法を選択していたことや、私の親友がジュネーブ国際高等研究所に勤務していたころから、国際紛争の解決手法については、関心があり、ICJの機能についても、当時は、それなりに勉強(研究ではありません)していました。ですが、新聞の記事では、一面に取り上げられていませんね。残念です。 

2009年2月 6日 (金)

【法律相談】 相変わらず、借金のご相談は多いですが・・・・

 今年になっても、相変わらず、借金のご相談は多いです・・・

 特に、HPやブログ経由の方は、借金のご相談の割合が多いように思われます。

 HPなどを経由で、借金のご相談にこられる方の場合には、「過払金」の回収を主たる目的の方が少なくないですが、実際に、取引履歴を取り寄せて、再計算しても、過払金が発生しないか、発生しても容易に過払金を返還しない業者であることが少なくありません。

 正直な印象としては、過払金の回収については、2年前がピークで、昨年から、次第に、減少し、今年に入って、さらに落ち込みがひどいような印象を受けます。

 その反面、残債務が残ることが多くなり、他方、相手方の消費者金融会社も体力が落ちているせいか、毎月の支払い金額の上澄み(つまり弁済期間の短縮)を強く求めてくることが少なくないように思われます。

 適切な過払い金を容易に返還しない業者の場合には、訴訟や強制執行も行いますが、それでも回収ができないところもあり、ある意味、業者の開き直りが功を奏しているような状態です。

  他方で、ご相談者の方の中には、弁護士に依頼したら、確実に、過払い金が回収できると信じきっている方もいて、説明に困ることもあります。

 また、事務所にこられる前に、利息制限法の金利に引きなおさずに、和解契約を締結している人もいて、「債権債務はない」という条項にため息がでることがあります。ただ、これについては、もう一度、引きなおしに応じてくれる業者もいます。提訴まではしたことはありませんが、提訴ということであれば、和解無効から話をしなければいけないので、大変です。

 とにかく中小の業者相手は、大変です。過払い金はかえさないし、負債が残ると一括請求してくるし・・・・ 

 そういえば、都会の法律事務所のチラシに、「地場の中小の業者の場合には地元の弁護士に」というのがありましたね。

 私の事務所でも、手間と費用を考慮した債務整理の料金体系、たとえば、いわゆる上場企業とそうでない会社にわけないと、コスト高になって、「自由競争」に負けてしまうかもしれません。

 とはいっても、中小の業者からの借り入れをする方は、コスト高になる費用の負担ができるわけがありませんしね。難しい問題です。

 弁護士がマーケットのことを考え出したら、それこそ、武士の商法になるかもしれません。

2009年2月 2日 (月)

【金融・企業法務】 前訴において1個の債権の一部についてのみ判決を求める旨が明示されていたとして、前訴の確定判決の既判力が当該債権の他の部分を請求する後訴に及ばないとされた事例(最高裁平成20年7月10日)

 金融法務事情No1856(2009年1月25日)号搭載の裁判例です。

 事案は、判決の既判力の問題です。

 Yは、Xが所有する土地上の樹木が附合したとして償金請求権を取得したとして、樹木について、仮差押を行い、続いて、償金請求を求めて、Xを被告として提訴しました。これに対して、Xは、Yの仮差し押さえが不法行為に該当するとして、弁護士費用各250万円の支払いを求める反訴を提訴しました(前訴)。

 前訴については、Yの請求は棄却され、反対に、Xの反訴は、弁護士費用各50万円が認められ、確定しました。

 Xは、Yに対して、Yの違法な仮差し押さえにより買収金の支払いが遅れたとして、買収金(各々1500万円)に対する約2年半の遅延損害金(各々190万円)の賠償を求めました(後訴)。

 第1審は、後訴については、前事件の反訴請求は、「数量的一部請求」ではなく、特定一部請求であるから、訴訟物を異にするとして、Xらの請求をおおむね認めました。

 第2審は、前訴において、損害の一部であることを明示していたとは言いがたい、本件仮差押命令の申し立てが違法であることを理由とする不法行為に基づく損害賠償請求権の訴訟物になっていたとして、既判力が及ぶことなどを理由に、Xらの請求を全て棄却しました。

 最高裁は、一部請求であることが明示されていたとして、既判力は及ばないとして、差し戻しをしました。

 私は、判決の既判力の対象を考慮しながら、訴状などを作成します。交通事故のような案件が多いのですが、判決確定後に損害費目を追加しても、判決の既判力に抵触して、請求できなくなるからです。

 受験生のころ、一部請求であることが明示されているかどうかで、残部を後訴で請求できるかどうか区別されると学習しました。

 明示できれば一番ですが、具体的な事案に応じては、明示を緩和して判断されることもあり、本件訴訟もその例にあたります。

 解説者によれば、数量的一部請求については、明示が厳格に要求されるが、費目や期間によって範囲が特定される請求のような特定一部請求については、請求にかかる費目(または期間)のみを主張することで、明示としては足りる場合があると解しているようにも思われることのようです。

 ただ、この事案の場合、原審の確定した事実関係によれば、Yは、本件土地が県によって買収されることを知って、補償金目的に、Xから土地を借りて、樹木を植栽し、補償金を受けられないと知るや、一転として、巨額の償金請求を行った事案であり、そうだとすると、あまり筋がよろしくない事案のようです。

 

 また、今回の金融法務事情には、「法務知識の格差拡大と弁護士に対する期待」と題する文章が金融実務家の手により執筆されておられましたが、法務知識の格差拡大は、本部と営業店に限らず、都市buildingと地方の弁護士horseの場合にも当てはまります。どうしても日ごろかが対応が少ない分野については、意識的に心がけなければ、知識を蓄積していくことなど無理というものです。

 beer や golf ばっかりしていると、本当にいけません。

 頑張っていきたいです。happy01

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