【交通事故】 人身傷害補償保険による損害填補及び代位の範囲についての考察
交通事故の被害者が、人身傷害補償条項付きの自動車保険契約の被保険者であり、訴訟前に人身傷害補償保険金の支払を受けた場合に、保険会社が被害者の加害者に対する損害賠償請求権を代位取得する範囲(逆に言えば、被害者がこれによって加害者に対して有する損害賠償請求権を喪失する範囲)については、最近、ホットな話題であり、このブログでも紹介しています。
判例タイムズNo1274号によれば、この点について判断された大阪地裁平成19年12月10日(確定)が紹介されていましたので、③の裁判例として紹介いたします。
最近は、差額説が有力ですが、以下のとおり、差額の基準を巡って対立しています。
人傷基準差額説 支払われた保険金は、人傷基準損害額のうちの被害者過失部分に相当する額にててん補され、その残部について代位する
訴訟基準差額説 支払われた保険金は、訴訟において認定された被害者の損害額のうち被害者過失部分に相当する額にててん補され、その残部について代位する
(地裁レベル)
① 平成18年6月21日 大阪地裁 判タ1228号
差額説(人傷基準差額説)
② 平成19年2月22日 東京地裁 判タ1232号
差額説(訴訟基準差額説)
③ 平成19年12月10日 大阪地裁 判タ1274号
差額説(訴訟基準差額説)
(概説)
③の裁判例のケース
(1)全体の損害額
2億3341万0887円
(2)被害者の過失部分(25%)に相当する損害額
5835万2721円
(3)人傷保険金
1530万5052円
(4)あてはめ
5835万2721円>1530万5052円
なので、訴訟基準差額説からは、保険会社は代位しない。
この議論が生じてから、少しずつ、人傷保険をもらっていることを抗弁として主張する加害者側代理人が増えつつあります。新しい保険商品がでますので、勉強することが増えて、困ります。
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