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2008年8月10日 (日)

【消費者法】 民事調停法17条に基づく調停に代わる決定には、民法95条は適用されないと判断した事例(大分地裁平成19年12月17日)

 判例タイムズNo1270(平成20年8月20日)号に紹介されていた裁判例です。

 この事案は、過払い事案であったにも拘わらず、簡易裁判所が民事調停法17条に基づく調停に代わる決定(17条決定)(お互いに債権債務がない)をしてしまった事案です。

 17条決定に、民法の錯誤無効の規定が適用されるのかが争点の1つになっています。

 裁判所は、

 そもそも、民法95条本文は、法律行為の要素に錯誤のある意思表示を無効とする規定であるところ、17条決定は裁判であり、裁判は裁判機関がその判断又は意思を決定の形式で表示する訴訟行為であって、当事者の意思表示を要素とする法律行為ではない。

 また、17条決定は当事者又は利害関係人の異議申し立てにより執行するから、その効力発生は当事者の意思に委ねられているということができるが、このことは、17条決定が当事者の意思表示を要素とすることを意味するものではない。

 そうすると、仮に、調停事件に関し、当事者に何らかの錯誤があったとしても、当事者の意思表示を要素としない17条決定が、当該錯誤により無効となることは法的にはありえないというべきである。

 と判断しています。

 17条決定の法的性質には、合意説と裁判説の両説の対立があるようですが、浅学の私は、単純に、決定だから裁判だろうと思っていました。

 錯誤無効以外にも、公序良俗違反、不法行為の主張をされていますが、ことごとく、退けられています。

  なお、被告は、既判力の遮断効について主張されていたようですが、これについては判示はなかったみたいです。

 また、仮に、錯誤無効の適用があるとしても、要素の錯誤といえるのかとか、債務者側に重大な過失があるかどうかという課題も残っており、なかなか複雑な問題を含んでいます。

 取引履歴の開示がされているにも拘わらず、裁判所が、過払金を指摘せずに、調停を行うということは、今では、なかなか考えにくいですが、平成16年当時の大分簡裁ではあったようです。

 私の感覚からすれば、一般論としては、裁判所での判断が錯誤で簡単に無効になるのもどうかとは思います。

 ただ、調停利用者が後で不満を持たないように、適切に説示するなどのことはあってもいいんじゃないかなと思います。

 上告されていますので、高裁がどのような判断を示すのかが興味津々です。

 なお、過払い事案は、今年に入ってかなり下火になっています。感覚的には、去年の3分の1くらいまで減っているのではないでしょうか?来年には、昔のように年に数件くらいのレベルにまで落ちるのではないでしょうか。相手方の消費者金融機関もかなり淘汰されたようですし・・・ 

 過払い事案を主とする事務所は、かなり大変じゃないのかなと思います。過払い以外の一般民事事件は、松山でも、昔に比べて、半減しているのにかかわらず、弁護士の数だけは、急増していますから・・・・

 しかし、このまま、弁護士の数を増やし市場原理に委ねるのであれば、隣接業種との調整、広告規制の撤廃、公益活動の非義務化、高額な弁護士会の会費低減、非弁に対する規制強化も検討してもらいたいと思います。

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