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2008年7月31日 (木)

【離婚・夫婦】 財産分与と債務

 判例タイムズNo1269(2008年8月1日)号に掲載された家事法研究です。

 今回は、財産分与と債務がテーマで、裁判官、弁護士、学者の先生が解説されています。

 債務については、例えば、住宅ローンで、夫婦が大きな債務を負っているときに、誰に負担させるかということで、問題になることが多いです。

 比較的理解しやすいのは、オーバーローンではない場合には、寄与を超えた部分を、取得する方に、代償金という形で支払わせることが多いように思います。

 問題は、オーバーローンの場合にどのように考えるべきかということですが、負担しない相手方に資産がないような場合には、なかなか厳しいです。

 今回の判例タイムズは、興味を引く裁判例など盛りだくさんです。備忘録代わりにあげておきます。

 別除権行使による主たる債務の弁済と開始時現存額主義の適用範囲などが問題となった大阪高裁平成20年5月30日の判決

 入社時の誓約及び会社の就業規則に規定する退職後の競業避止条項が公序良俗違反とされた福岡地裁平成19年10月5日の判決

 保障業者の受け取る保証料が貸金業者の受ける利息制限法3条所定のみなし利息に当たるとされた大分地裁平成19年6月21日判決

 会社法976条22号の過料決定と故意過失の要否について言及した大阪高裁の平成20年3月25日の決定

 論文として、自動車事故と重過失免責・人身傷害補償保険の免責事由「極めて重大な過失」について

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2008年7月30日 (水)

【交通事故】 人身傷害補償保険金の東京高裁の判例(平成20年3月13日)

 判例時報No2004(平成20年7月21日)号に載っていた裁判例です。

  事案は、交通事故の被害者が先に人身傷害補償保険の保険金として、290万円(休業損害分210万円、慰謝料分80万円)の支払いを受けていたことから、加害者は、被害者がその損害賠償請求権を保険会社の保険代位(請求代位)により、290万円の限度で、喪失したと主張された事案です。

 千葉地裁八日市場支部平成19年9月19日は、被害者の総損害額を161万9033円として、加害者の過失割合である10%を乗じた16万1903円(元本)を認め、「人身傷害補償保険金は被害者が負担した保険料の対価であって損害に充当するのは相当でない」として、保険金を損害額から控除しませんでした。

 しかし、「  」内は、??? です。理屈としてはダイブ変わった判決です。

  東京高裁平成20年3月13日は、

 被害者に生じた総損害額(弁護士費用を除く)を778万0325円と認定し、これに加害者の過失割合である50%を乗じた上、

 本件人身傷害補償保険については約款の代位に関する規定に従って保険代位が生じるとし、

 その範囲については、

 「被保険者が本件人身傷害補償保険の保険金の支払を受けた後に加害者に対する損害賠償請求訴訟を提起した場合において、被保険者にも過失があるとされたときは、

 ①同訴訟において認容された加害者に対する損害賠償請求権の額②支払を受けた保険金の額との合計額(①+②)、③同訴訟において認定された損害額上回る場合に限り、

 その上回る限度において、すなわち、同訴訟において認定された被保険者の過失割合に対応する損害額(③?)保険金の額(②)上回る場合に限り、

 その上回る限度において、保険会社は被保険者の加害者に対する損害賠償請求権を代位取得し、

 (ただし、上回るか否かの比較は、積極損害、消極損害、慰謝料の損害項目ごとに行うべきである。)、

 被保険者はその限度で加害者に対する損害賠償請求権を喪失するものというべきである。」と判示して、

 本件では、①加害者に対して認容された損害賠償額の額と②支払われた保険金の額との合計額(①+②)が、認定された損害額③を下回るから、保険金の額を過失相殺後の損害賠償請求権の額から控除することができないと判断しました。

 東京高裁の具体的なあてはめは、以下のとおりです。

 (休業損害と逸失利益)

 ③休業損害と逸失利益の認定された損害額

   506万0325円

 ①休業損害と逸失利益の認容された損害額

   253万0162円

 ②休業損害分の保険金

   210万円

  ①+② < ③

 (傷害慰謝料と後遺障害慰謝料)

 ③各慰謝料の認定された損害額

   272万円

 ①各慰謝料の認容された損害額

   136万円

 ②傷害慰謝料分の保険金

   80万円

 ①+② < ③

 本件判決のあてはめは、青地記載の部分を前提にその大小を判断しています。その青地部分と赤地部分との記載の関係が今ひとつよくわかりません。赤地部分だと、 ② > ③ ですし、青地部分だと、 ①+②>③ですしね。

 過失相殺等によって被害者(被保険者)の加害者に対する請求権の額が認定された損害額よりも小さい事案において人身傷害補償保険金が支払われた場合の保険代位の範囲は、一部保険の場合と類似した状況が生じるため、その学説に対応して、(1)絶対説、(2)比例説、(3)差額説とが対立しています。

 一部保険については、商法662条1項の解釈として、最高裁判所は、比例説をとることを明らかにしています(最判昭和62年5月29日)。

 もっとも、商法662条1項は任意規定であるから、保険約款がある場合にはそれに従うことになり、約款の代位規定は、差額説、約款の計算規定は絶対説的な表現をとっていることから、問題を一層複雑化させています。

 今回の高裁の判決は、差額説のうち、訴訟基準説を採用していますが、人傷基準説も、有力であり、混沌としています。

 最近、人身傷害補償保険を一部を使って、残りについて(残りと言っていいのかどうか問題になりますが)、加害者に対して請求する案件が増えていますが、提訴(依頼人に過失あり)にあたり、人身傷害補償保険によりてん補された部分を控除すべきかどうか、非常に悩む事例が増えました。

 昔は、保険代位することから単純に控除していたのですが、今は、提訴にあたり控除すべきかどうかを検討しなければならない時代が到来したようです。

 原審のように判断されるのであれば、ある意味、ものすごく簡単ですね。 

 人身傷害補償特約の議論は、錯綜しており、議論を十分に理解するのに手間がかかるような状況です。 

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2008年7月29日 (火)

【交通事故】 被害者の行使する自賠法16条1項に基づく請求権の額と改正前老人保健法41条1項により行使する上記請求権の額の合計額が、自動車損害賠償責任保険の保険金額を超える場合に、被害者は市町村に優先して損害賠償額の支払いを受けられるか(最高裁平成20年2月19日)

 判例時報No2004(7月21日)号に載った最高裁判例です。

 交通事故の被害者Aさんは、交通事故により受傷し、損害額は約338万円被りました。

 大阪市は、Aに対して、改正前老人保健法25条に基づき医療行為を行い、その費用は、206万円でした。

 Aさんは、自賠責保険会社に、自賠法16条1項に基づき保険金120万円の限度で損害賠償額の支払いを求めました。

 これに対して、自賠責会社は、Aの損害が120万円を超えるので、それぞれの請求額に応じ案分して支払うとして、全額の支払いを拒絶しました。

 考え方としては、

 被害者優先説(有力な学説)

 社会保険者優先説(説としてはないようです)

 案分説(保険実務)

 がありますが、実際には、被害者優先説と案分説とが対立しています。

 最高裁は、被害者優先説を採用したわけです(第1審、第2審も同じ)。

 その理由として、2つ挙げています。

 第1の理由は、自賠法16条1項は、被害者が自賠責保険金額の限度では確実の損害のてん補を受けられることにして、その保護を図るものであるから、被害者に自賠責保険金額を超える未てん補の損害が存在するにもかかわらず、自賠責保険金額全額の支払いを受けられないというのは、同法16条1項の趣旨に沿わないこと

 第2の理由は、老人保健法に基づく医療の給付は社会保障の性格を有する公的給付であり、市町村長において被害者の第三者に対する損害賠償請求権を取得するのは、医療に関する費用等を当該請求権によって賄うことを目的にするものではなく、市町村長が直接請求権を行使することによって、被害者の未てん補の損害に係る直接請求権行使が妨げられるのは同法41条1項の趣旨に沿わないこと

 をあげています。

 判例時報の解説者は、「従来の保険実務を改めるものである上、被害者の直接請求権と社会保険者の取得した直接請求権の調整一般について妥当し得るものであり、その影響は少なくないと考えられる」としています。

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2008年7月28日 (月)

【離婚・夫婦】 面接交渉を認めた判決主文の当該条項は、給付条項性が認められず、当該条項に基づき間接強制を求めた債権者の申立には理由がないと判断した事例(東京高裁平成18年8月7日)

 離婚事件の後処理は、判決や和解・調停が成立した場合でも、困難を伴うことが少なくありません。

 判例タイムズNo1268(2008年7月15日)号に載ったこのケースもそうです。

 事案は、妻が夫に対して、離婚等の訴訟を提訴したところ、確定判決は、付帯処分として、「被控訴人(妻)は、控訴人(夫)に対し、控訴人が長男A及び次男Bと月2回程度の面接をすることを許さなければならず、控訴人及び被控訴人は、その具体的日時、場所、方法について、事前に協議しなければならない」(主文第6項)との裁判がなされたが、元夫は、元妻がそれを履行しないとして、横浜地裁に間接強制の申立をしたところ、却下されたため、東京高裁に、執行抗告したというケースです。

 東京高裁は、

 主文第6項は、債務者が債権者に対し、子の面接にかかる特定の具体的な給付をすべきことを命じたものではなく、債務者は債権者に対し、債権者が二人の子供達と月2回程度の面接をすることを許さなければならないという抽象的な法的関係を形成するとともに、面接交渉を子の福祉に適うように実施するためには、当事者である父、母の意向のみではなく、子の心身の状況、子の意向、子の社会生活上の予定等を考慮することが肝要であるという子の面接交渉の特質に鑑み、当事者双方に対し、その具体的日時、場所、方法について、事前に協議することを任意の履行に委ねる趣旨で命じたものと解するのが相当である。

 従って、主文第6項は、強制執行の債務名義になるものではない。

 と判示し、元夫の請求を認めませんでした。

 主文第6項の記載内容では、月2回「程度」と記載されており、1回か、2回か、3回か、よくわからないため、高裁の判断は、妥当であると思います。

 なお、本件事案は、元妻の代理人弁護士に対して、元夫はかなりかたくなな態度を示しており、ついには、弁護士会に懲戒申立をするに至っております。

 橋下知事が光市の事件で弁護士に対する懲戒申立を呼びかけたことから、広く懲戒制度が知られることになり、安易な懲戒申立が行われることが少なからず見受けられますが、最近の出た最高裁判例は、理由のない懲戒申立は、不法行為を構成するとして慰謝料を認めるに至っています。このような申立には毅然とした対応が必要です。

 なお、今回の判例タイムズには、レックスHD株式取得価格決定事件の東京地裁平成19年12月19日の決定が載っていました。実は、私も同社の元株主でしたが(株主優待目的)、経営陣は頑張ると言っていたのに、いきなり公開買い付けとなり、早々に手放したことがあります。この件(とライブドア事件)以降、新興市場の株式については、些か懐疑的に見てしまう癖がつきました。

 また、「契約における努力条項の意義について」というおもしろいテーマの論文もありました。

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2008年7月27日 (日)

【金融・企業法務】 破産管財人の源泉徴収義務の有無(大阪高裁)

 旬刊金融法務事情No1840(2008年7月15日)号に掲載されていた大阪高等裁判所の判決(平成20年4月25日)についてです(上告・上告受理申立中)。

 論点は、(1)破産管財人が所得税法上の源泉徴収義務を負うか(①破産会社又は破産管財人が所得税法上源泉徴収義務者と定められた「支払をする者」に該当するか否か、②仮に破産会社が源泉徴収義務者に当たるとした場合、破産管財人が源泉徴収義務を負うか否か)、(2)負うとして当該源泉所得税にかかる租税債権は財団債権であるかです。

 (1)①の論点については、大阪高裁は、支払原資にかかる管理処分権を専有する破産管財人において現実の支払行為等をなし得る以上、法的には破産会社自体が支払行為等をなし得るのと同視できるとして、破産会社が「支払いをする者」に該当すると判断しました。

 (1)②の論点については、大阪高裁は、破産管財人において、自己に専属する管理処分権に基づいて支払原資を用いて弁済又は配当を実施したのであるから、法的には破産会社自体が自ら支払をしたのと同視できること、破産管財人は破産法7条の管理処分権に基づき配当を本来の管財業務として行ったのであるから、これに付随する職務上の義務として、源泉徴収義務を負うと判断しました。

 (2)の論点については、大阪高裁は、破産管財人による配当又は弁済は消極積極財産からなる破産財団の管理上なされるものであり、これに付随して当然成立し確定する本件租税債権にかかる納税義務も、「破産財団の管理上当然支出することを要する経費に属し、また、破産債権者にとって共益的な支出と認められる」として、財団債権に該当するものとしました。

 しかし、逐一、破産管財人が源泉徴収義務を負うとすれば、計算上の過誤防止のため、点検する必要が生じますから、迅速な配当は望めません。

 これに対しては、大阪高裁は、破産管財人に不可能又は可能であっても受忍を求めることが相当でないような過大な手続き上の負担が生じるとまで認めるに足りる証拠はないとして、一蹴しています。

 本件事案の源泉所得税は、なんと3593万7500円、不納付加算税は、359万3000円となっています。田舎弁護士にとっては恐ろしい金額であります。happy02

 金額が金額なので、税務当局も黙っていられなかったのでしょうか。 

 高裁なので当然合議ですが、左陪席は、少し前の今治支部長ですね。

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2008年7月26日 (土)

【金融・企業法務】 金融機関は弁護士に何を期待しているのか

 旬刊金融法務事情No1841(2008年7月25日)号の記事です。

 今回は、弁護士とのコーワークということで、九州の銀行の方が執筆されていました。

 記事によれば、地元の弁護士は、ホームドクターであり、風邪をひいたときにすぐに診察を受ける、例えば、預金為替業務、債権管理といった伝統的な銀行業務に関する紛争や訴訟、あるいは人事・労務の法律課題、株主総会の運営に関しては、当行の体質をよく理解している福岡の弁護士にお願いしている、福岡の弁護士は、法改正など時事法務に関して経営者として何をチェックするべきかという視座もアドバイスしてくれていると紹介しています。

 他方、東京の法律事務所は、総合病院のような存在で、各分野それぞれに特化した多数の専門医がいる、ガバナンスやファイナンス、あるいは事業再生事案などは例外なく東京の法律事務所にお願いしている、事業再生の実務に携わるようになり、東京の弁護士との協業は格段に増えていると紹介しています。

 そして、ホームドクターと総合病院の使い分けは今後も続くであろうとしています。

 確かに、地方では、ガバナンスなどの専門性の強い案件を扱える事務所はかなり限定されているのではないかと思います。やはり、質量とも充実している東京などの大手の法律事務所に依頼された方がいいでしょう。

 他方で、伝統的な銀行業に関する案件、人事労務、株主総会の運営は、一般的な弁護士業務に属するものであり、経験と研修を積んでいるのであれば、地方の弁護士でも十分に対応できます。

 地方の弁護士にとっての有力な武器は、依頼人との距離感(心理的なものも含む)が非常に近いということです。

 この距離感の差を活かして、時事法務についてきちんと研修を積んでいけば、地方の弁護士でも、十分に顧問契約を維持することができるのではないでしょうか。

 なお、今回の金融法務事情は、ほうむブログで、「住宅ローンの保証料」の問題点などについて、わかりやすい説明がされていました。

 また、「同一債権者に複数の債務を負担する債務者の破産手続開始決定後、上記すべての債権を被担保債権とする根抵当権を設定した物上保証人から、債権者がその債権の一部について全額弁済を受けることの、届出債権額への影響の有無(無しと判断)」について判断した大阪高裁平成20年4月17日の裁判例を紹介しています。

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2008年7月24日 (木)

【金融・企業法務】 賃料自動改定特約の最高裁判例 (平成20年2月29日)

 判例時No2003(平成20年7月11日)号の最高裁判例です。

 Aさんは、その所有する土地に、Bさんの指定する仕様に基づく建物を建築し、Bさんに建物を貸しました。

 賃貸の条件は以下のとおりです。

 平成4年12月1日から15年

 賃料は、

 平成4年12月1日から同7年11月30日までは、月360万円

 同7年12月1日から同9年11月30日までは、月額369万円

 同9年12月1日から同14年11月30日までは、月額約441万円

 同14年12月1日から19年11月30日までは、月額約451万円

 となっていました(償却賃料や建設協力金については略)。

 賃料改定の条項 有り

 賃貸借契約後、不動産の価格も下落を辿ったため、 

 Bさんは、Aさんに対して、

 平成9年6月 同年7月をもって、賃料減額する旨の意思表示を行いました(第1減額請求)。

 平成13年11月 同年12月をもって、賃料減額する旨の意思表示を行いました(第2減額請求)。

 大阪高裁は、

 事情の変更があるときに、当事者の一方の請求により約定賃料額の増減を認めることとする借地借家法32条の法意からすれば、ここにいう事情の変更とは、増減を求められた額の賃料の授受が開始された時から請求の時までに発生したものに限定されるべきだとして、

 平成9年6月の第1減額請求については、請求時の賃料額である月額369万円の約定の賃料の授受が開始された平成7年12月から第1減額請求の日ころまでの経済事情の変動と、特別事情(※共同事業の中核として拘束性が強いものと評価されること)をかんがえると、第1減額請求の時の369万円が不相当になったとはいえない

 第2減額請求についても、同じ枠組みで判断し

 いずれも、Bさんの減額請求を認めませんでした。Bさん、残念。

 これに対して、最高裁(第2小法廷)は、

 減額請求の当否及び相当純賃料の額は、本件各減額請求の直近合意賃料である本件賃貸賃貸借契約締結時の純賃料を基にして、同純賃料が合意された日から本件各減額請求の日までの間の経済事情の変動等を考慮して判断されなければならないと枠組みを示した上、

 自動増額特約によって増額された純賃料は、当事者が現実に合意したものではないから、直近合意賃料と認めることはできないと判断しました。

 大阪高裁の判断は、自動増額特約によって増額された純賃料を基に判断していることから、法令違反を認め、原審に差し戻されました。

 なかなか、理屈っぽい理由で、おもしろいですね。昔の択一試験(司法試験)にでも使えそうな感じです。

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2008年7月22日 (火)

【学問・資格】 「法科大学院卒基本知識に不安」

 今日の日経新聞に、「法科大学院卒基本知識に不安」という記事が紹介されていました。

 不合格になった答案がごく一部紹介されていましたが、およそ考えられないほど酷いレベルのものでした。

 最高裁は、答案全体として実務法曹として求められる最低限度の能力を取得していないと指摘しています。

 こんな人でも、現在の司法試験では、少なくない数の者が、合格してしまうのです。

 日経新聞の記者でさえ、幅広い法律知識と実務経験を習得したはずの法科大学院院修了者で最低限の知識に欠ける答案も目立ち、大学院側の教育内容が問われそうだとして、法科大学院のカリキュラムに不安感を感じられているようです。

 現在の学者の先生主体の法科大学院に、幅広い法律知識と実務経験を求めるのはもとから困難といわざるをえません。

 また、法科大学院が自校の修了認定を厳しくすることができないことも予想されていたことです。

 最近の司法修習生(新旧を問わず)の能力については、不安感をいただく指摘が少なくありません。やはり、修習期間を長くして、2回試験を厳しくするしかありません。

 (なお、既存弁護士も、日頃の研修を怠った結果、能力として十分でない方も、なかにはおられます。更新制度のようなものがあってもいいでしょう。私を含めて、研修に身が入ります。)

2008年7月21日 (月)

【学問・資格】 最近の司法試験の合格率の影響

 顧客や相談者から、雑談ついでに、「先生の業界も試験が簡単になって、大変になりますね。」とか言われることがあります。

 やはり、従来、合格率2%程度の試験だったのが、いきなり、合格率50%近くなったことが、マスコミなどで大いに宣伝されたことによる影響が大きいようです。

 合格する人が増えると、それだけ、供給先が多くなるので、仕事が減るということを意味するのでしょう。

 ただ、今のところは、司法試験制度が変わったことにより、仕事が減少したと感じることはありません。これからはわかりませんが。

 大都市圏の弁護士さんは、10年位前から、「厳しい」、「仕事がこない」とか言っていたことを聞いたことがあります。

 消費者問題にしても、企業法務にしても、破産にしても、特定の弁護士や法律事務所に集中する現象が、最近のITの発達により、顕著になり、これまでのような形態の事務所の需要が少なくなっているのではないかと想像しています。

 私自身は、年々、顧問先が増え、また、仕事の量も数年前と比べて増えています。

 ただし、一般民事事件のうち、訴訟案件は、過払い金訴訟を除くと格段に減少しましたので、これまでの形態のような事務所では、売上げが減少しているのではないかと思います。

 また、ITの発達により、現に、この地方でも、任意整理案件で、東京や大阪などの大都市圏の弁護士や司法書士に依頼した案件の後処理(辞任されたり、ずさんな整理をされた)を相談されることがあります。

 訴訟案件でも、地裁今治支部の掲示板をみると、愛媛弁護士会ではない弁護士の名前もよくみかけるようになりました。

 ただ、私は、まだまだ昔気質なのか、これでもインターネットには抵抗があり、突然、面識のない方がメールで相談を打診してこられる方にはあまりいい気持ちがしません。そのような方は、メールで返事をしても、返答すらないことが多いですし・・・

 私の場合、顧問先様及び依頼人様以外は、メールや電話相談というのは一切お断りさせていただいております。

 しかし、これから仕事を確保しなければならない新人弁護士は、顧客獲得の一手段として、メールで相談ということも考えなければなりませんが、弁護士の業務は事件性を含んでいることから、既存の弁護士で踏み切れる弁護士は今ではまだまだ少数派でしょうか。

 ただし、司法試験が簡単になり合格者が増えることによって、確実に、市民とのアクセスは一挙に縮むでしょう。

 しかし、合格者数が増えることにより、能力が不足している者がこれまで以上に増えることになりますが、このような者に依頼してしまった方は、不運としかいいようがありません。

 これも司法改革を進める人からいえば、能力不足の者は最終的に淘汰されるからいいらしいですが・・・依頼人はかわいそうですが。 

 私個人としては、法科大学院の定員から司法試験の合格者数を決めるのではなくて、法科大学院と司法修習との関係などをきちんと調査した上、能力が十分あると思われる者を、厳格に審査した上、司法試験や2回試験(司法研修所の卒業試験)に合格させるべきだと思っています。

 しかし、近い将来、司法試験に、予備試験という試験制度ができます。これは、法科大学院に通わない一般の方に、法曹のみちを確保するという趣旨でもうけられた制度です。旧司法試験制度が形をかえて生き残ったわけです。

 予備試験を簡単にすれば、法科大学院は無意味となりますし、難しくすれば、あまり予備試験をもうけた意味はなくなりますし、新司法試験との関係や調整は難しいのではないかと思います。難しくすれば、東大や京大の超優秀層が、在学中に予備試験で合格し、大学卒業後ただちに研修所に入るという新たなエリートコースが誕生しそうです。

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2008年7月20日 (日)

【弁護士考】 法曹人口 日弁連方針転換

 昨日の日経新聞や愛媛新聞の記事には、日弁連が、法曹増員の政府方針に対して、ペースダウンを提言したことが紹介されていました。

 これに対して、町村官房長官は、黒字が保てないという観点から急にそういうことを言い出す見識を疑うとして、日弁連の提言を強く批判しています。

 しかし、日弁連は、個々の弁護士の黒字が保てないという理由から、提言しているわけではありません。

 日弁連は、

 一部の法科大学院で、厳格な成績評価や修了認定がなされていないこと

 法科大学院のカリキュラムと合格後の司法修習の連携が不十分であること

 弁護士登録後に法律事務所で採用される困難な状態になっており先輩から実務指導が受けられにくくなっていること

 などを理由に、実務能力に不安がある法曹を出現させることに危機感を抱いているので、当たり前の提言を行ったに過ぎません。

 弁護士の発言力を高めることや法化社会を実現させるためには、適切な法曹人口の拡大は、是非とも必要なことです。

 しかし、検証のない無造作な拡大は、法曹の質を低下させるばかりであり、前述の問題点の改善を図るために、早急に検証を行う必要があります。

 資本と時間を費やして弁護士になったのに、就職先はない、そのため、やむなく独立したものの、能力不足で、クライアントだけではなく自身も自滅したという事態だけは、最低限回避する必要があります。

 という私も、いまでいうかなりソクドクに近い形で開業しましたが、私のころは、先輩弁護士や法律事務を熟知されている事務員さんなどからのサポートがあり、1年もたてば、事務所経営は軌道にのりました。 

 何もかも1人でこなすというのは、本当に怖いことです。

 弁護過誤の心配ばかりしていました(それは今も気持ちが一層強くなっています。)

 せめて司法修習生については、給与制を維持し、司法修習期間を2年に戻し、丁寧に後進を育成してきた以前のシステムに戻してもらいたいです。

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2008年7月19日 (土)

【交通事故】 現在までの低髄液圧症候群(脳脊髄液減少症)の裁判例

  平成20年7月17日発行の自動車保険ジャーナル(第1727号)が届きました。

 外傷性低髄液圧症候群(脳脊髄液減少症)の裁判例(消極3例)が紹介されていましたので、追加いたします(詳細は、同ジャーナルを購読してください。)。

 最近は、外傷性低髄液圧症候群については、否定判決の傾向が強く、杉田弁護士がご指摘されるように、PTSDと同じ様な経緯をたどっているようです。

 積極的判例

 (地裁判例)

 ① 横浜地裁・平成20年1月10日 自保ジャーナル第1727号(控訴中)

 (概要)

 ①の裁判例は、乗用車を運転して交差点を直進中、対抗右折乗用車に追突され、頭部打撲等から低髄液圧症候群を発症したとする事案です。裁判所は、被害者に、激しい起立性頭痛等があり、副作用の強いホルモン剤等服用しても改善しませんでしたところ、ブラッドパッチ療法で仕事ができるまで改善されたことなどから、原告は本件交通事故後に低髄液圧症候群に罹患したと認定、17ヶ月後に治癒したと認められた事例です。現在、控訴されているようです。

 

 消極的判例

 (地裁判例)

 ① 岡山地裁・平成17年1月20日 交民38巻1号107頁

 ② 神戸地裁・平成17年5月17日 交民38巻3号681頁

 ③ 横浜地裁・平成17年12月8日 交通事故判例速報478号

 ④ 横浜地裁・平成18年9月24日 自保ジャーナル1692号

 ⑤ 前橋地裁桐生支部・平成18年12月25日 自保ジャーナル1676号

 ⑥ 福岡地裁・平成19年5月17日 自保ジャーナル1692号

 ⑦ 横浜地裁相模原支部・平成19年6月26日 自保ジャーナル1698号

 ⑧ 福岡地裁田川支部・平成19年10月18日  自保ジャーナル1713号

 ⑨ 東京地裁・平成19年11月27日  自保ジャーナル1717号 

 ⑩ 大阪地裁・平成19年3月14日   自保ジャーナル1717号

 ⑪ 東京地裁・平成20年2月28日 自保ジャーナル1727号(控訴中)

 ⑫ 横浜地裁・平成20年1月30日 自保ジャーナル1727号

 ⑬ 神戸地裁・平成19年4月26日 自保ジャーナル1727号

 ⑭ 福岡地裁・平成20年4月21日 自保ジャーナル1747号

 ⑮ 静岡地裁・平成20年5月19日 自保ジャーナル1747号

 ⑯ 福岡地裁小倉支部・平成20年2月13日 自保ジャーナル1747号

 (概要)

 ⑨の裁判例は、日本神経外傷学会が組織した頭部外傷に伴う低髄液圧症候群作業部会の中間報告の示した診断基準が最新かつ国際頭痛分類の診断基準をふまえた客観性を有する見解であると指摘し、同基準の概要は、

 前提基準として、起立性頭痛又は体位による症状の変化があること、

 その基準に該当した場合に、

(1)造影MRIでびまん性の硬膜肥厚増強、

(2)腰痛穿刺にて低髄液圧の証明 

(3)髄液漏出を示す画像所見

のいずれかを満たすことで、低髄液圧症候群と診断し、

 更に、外傷性と診断するための条件として、

 外傷後30日以内に発症し、外傷以外の原因が否定的であること

を満たすことが必要と判断しました。

 そして、当該事案においては、これらの要件を欠き、外傷性低髄液圧症候群について、否定しました。

 ⑩の裁判例は、判旨自体はさらりとその理由を述べているに過ぎませんが、それ故に汎用性のある判例ともいえます。

 原告の脳脊髄液減少症の後遺障害に対する主張に対しては、

 まず、脳脊髄液減少症は未だ病態や診断基準が確立されていない疾病であるため、その認定にあたっては慎重に行う必要があるとして、

 (1)脳脊髄液減少症の特徴的な症状である起立性頭痛や特徴的な所見である硬膜下腔の拡大、小脳扁桃の下垂などを認めるに足りる証拠はないこと

 (2)RI脳槽脊髄腔シンチグラフィでの早期の尿中集積所見や、MRミエログラフィによる胸椎部での高信号の所見については、診断基準に採用することに批判的な立場もあることに鑑みれば

 現状においては、原告が脳脊髄液減少症に罹患したと認めることはできない」と判断しました。

  ⑪の裁判例は、乗用車を運転、停車中に乗用車に追突されて、頸椎捻挫等から低髄液圧症候群を発症したと主張される29歳男子につき、頭痛訴えが事故1年4か月までに1回であり、国際頭痛学会の低髄液圧症候群からも耳鳴りの訴えが1年4か月後であり、典型的症状の起立性頭痛がなく、原告が低髄液圧症候群を発症したと認めるに足りる証拠はないとして否認されました。

 原告は、医師が、(1)原告が本件事故後により難治性の後頸部痛及び頭痛が持続し、平成15年10月23日の初診時にも、上記症状を訴え、夕方になると症状が悪化すると訴えたこと、(2)頭部造影MRIにより円蓋部での大脳の下垂及び小脳扁桃の下垂が認められたこと、(3)同年11月25日でのRI脳槽シンチグラフィーにより髄液の腰部での早期漏出が認められたことを根拠に、低髄液圧症候群であると確定診断されたことを理由に、低髄液圧症候群を主張していました。

 ⑫の裁判例は、自転車を押して歩行横断中、停車しようとした乗用車に軽く衝突されて転倒、腰部打撲等から約1年の症状固定後低髄液圧症候群を発症、12級神経障害を残したとして主張された案件です。裁判所は、発症は、2年後であり、特徴的な症状である継続的な頭痛がほとんどない他、更年期障害、心因的症状の重複で、低髄液圧症候群は本件事故との因果関係はないと否認しました。

 ⑬の裁判例では、裁判所は、7歳男子の低髄液圧症候群等は頭を打っておらず、3日後運動会参加、バットで頭部打撲等から原因不明とし事故との因果関係を否認しました。

 ⑭の裁判例(刑事)では、起立性頭痛がない低髄液圧症候群については、検査結果等を「慎重に検討する必要がある」とし、4年前まで2年間求職、その後受診し頸椎捻挫との診断受けている等から、低髄液圧症候群が発症したとの立証がなされたと認めることはできないと判断しました。

 ⑮の裁判例(刑事)では、当初全治2週間の全身打撲の診断後、症状は徐々に悪化、不定愁訴多彩となり、インターネットで調べた病院などで低髄液圧症候群の診断を受け、ブラッドパッチ施行も効果なく検査結果からも脳脊髄液減少症と認定する明確な所見は認められず、医学界定説では低髄液圧症候群でないことは明らかであるし、仮に低髄液圧症候群に近似している不定愁訴全てが脳脊髄液圧減少症とすると区別がつかず、いきみ、咳き込みでも発症するとなると事故との因果関係立証が困難になるなど髄液漏れが生じていることが客観的に認められない症状を、髄液漏れを原因とする脳脊髄液減少症であると認めることは、その根拠として合理的な疑いが残るとして、否認しました。

 ⑯の裁判例は、玉突き追突された61歳男子が負ったとする低髄液圧症候群、脊椎髄液漏の立証責任は原告が負うところ、原告の低髄液圧症候群罹患に疑問を投じるJ医師意見書は、十分説得力のあるもので、原告はそれに対して反論を行っていないこと等から、原告が低髄液圧症候群、脊椎髄液漏の傷害を負っていると認めるのは困難であるとして、否認しました。 

 (高裁判例)

 消極的判例

 ① 福岡高裁・平成19年2月13日 判例時報1972号、自保ジャーナル1676号、交通事故判例速報489号

  (概要)

 ①の裁判例は、 (1)追突事故により低髄液圧症候群、外傷性脊椎髄液漏の傷害を受けたとの被害者の主張について、ⅰ右傷害の最も典型的な症状である起立性頭痛が見られないこと、ⅱブラッドパッチ療法では症状が余り改善しなかったこと、ⅲRI脳槽造影では脊椎髄液漏の所見が見出せなかったことなどを理由に、被害者に脊椎髄液漏があるとするにはなお合理的な疑問があるとして、その主張を認めなかったものの、

 (2)被害者主張の治療費のうち、低髄液圧症候群の関係の治療費は事故と因果関係が認められない筋合いではあるが、低髄液圧症候群との診断をし、その治療をしたのは医療機関側の判断と責任によるものであるから、被害者が現にその関係の治療を支払っている以上、それを安易に減額することは相当ではないとして、被害者の主張する治療費のほぼ全額を損害と認めたものの

 他方で、(3)右被害者の頸椎捻挫の症状が長期化した背景には、本人の心因的要素があると考えざるを得ないとして、損害の公平負担な観点から民法722条を類推して、その損害のうち治療費と文書料を除いた額の50%を減ずるべきとしました。

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2008年7月17日 (木)

【訃報】 八木鎮明さん 亡くなる

 いつも、不動産の任意売却などについて丁寧に相談に乗っていただいていた八木鎮明さんが、今年の2月24日になくなられていることを、奥様からの葉書により、初めて知り、大きなショックを受けています。

 開業後約10年にわたり、八木さんに不動産関係でよくわからないことなどについてご相談させていただくことが多々ありましたが、その度に、親切丁寧なアドバイスを頂戴し、生前には大変なお世話になっていました。

 また、八木さんからいただいた今年の年賀状には、ご自身の身体のことは何一つ書かれておらず、逆に、私の身体をいたわって下さっておられます。

 かけがえのない仕事のパートナーを失い、大変残念です。

 ご冥福をお祈りいたします。 

2008年7月15日 (火)

【金融・企業法務】 地域金融機関は弁護士に何を求めているのか

 積読の旬刊金融法務事情No1834(5月5日15日)を、ぱらぱらと読みました。

 法務ブログに、地域金融機関の方のコメント(骨子)が載っていました。

  金融商品取引法の対応相談については、大都市の法律事務所や弁護士にお願いし適切な助言をいただいた。しかし、改めて振り返って考えてみると、自金融機関の顧問弁護士に相談しなかったのか?

  その理由は、①長年顧問弁護士とおつきあいをしており、刑法、民法については相応の助言をいただいているが、銀行法、金融商品取引法といった法律にはあまり詳しくないということを日頃のおつきあいでわかっていた、②顧問弁護士自身があまり詳しくないと言ったという。

 中小地域金融機関が抱える固有の問題等をふまえ、かつ、こうした法令に精通した法律家が各地で増えるとともに、身近で相談できることを中小地域金融機関経営者、金融実務家は待望している。

 地域の顧問弁護士にとっては、耳の痛い言葉です。と同時に大きな期待を垣間見ることができます。

 私も地域金融機関(銀行)の顧問を務めさせていただいていますが、担当者の方からは、ほとんど金商法や銀行法に関するご質問はありませんでしたが、余り詳しくないと思われているのかもしれない(実際そうなので・・・ (^_^;) )。

 座談会でも、地域の顧問弁護士に、相談しても従来の考え方からなかなかでていただけなくて、業法という観点からのアドバイスがいただけないという地域金融機関の担当者の発言もありました。

 ただ、どうしても相談依頼案件がないため、業法の勉強は残念ながら後回しになりがちなのですね。その意味で、月1回出席しているきんざい主催の金融法務例会(大阪)は大助かりです。(*^_^*) 

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2008年7月11日 (金)

【弁護士研修】 第129回金融法務例会(大阪)

  今日は、大阪で金融法務例会に出席しました。

 テーマは、「株券電子化と担保実務への影響」という題目で、研修会の幹事の先生(弁護士)に、解説していただきました。

 平成21年1月5日以降、全ての上場会社は、株券不発行会社になりますが、それに伴い、株式を担保にとる場合の注意点などが、わかりやすく解説していただきました。

 ほふり制度を利用している株主についてはあまり問題がないようですが、ほふり制度を利用していない株主の場合には、いろいろ問題が生じそうです。

 「株券は無効」となっても、「株式が無効」にはならず、この場合には、平成21年1月5日の株主名簿に基づいて、発行会社の申し出により、当該株主の株式を記録するための口座(特別口座)が開設され、施行日から15日営業日目に、新規記録され、その旨について株主に通知されるようです。

但し、名義書換未了の株主や、略式質権者など、発行会社が株主や担保権者の認識がない場合には、要注意です。

 振替制度の下での株式質については、質権者口座の質権欄に増加記録がされることが、効力要件とされています。また、譲渡担保については、譲渡担保権者口座の保有欄に増加記録がされることが、同様に、効力要件とされています。

 設定者は、振替申請に際して、質権欄・保有欄の選択することが必要とされていることから、株式質であれば、質権欄、譲渡担保であれば、保有欄を選択することになります。

 従来の実務では、「担保として差し入れる」などの曖昧な内容の担保差入証でしたが、今後は、振替申請の際に、選択を迫られることになります。

 そこで、株式質がいいのか、譲渡担保がいいのか、検討する必要があります。

 解説者の先生は、株式質を勧めておられましたが、譲渡担保を勧める証券会社もあるようです。

 電子化移行前に成立した略式株式質や譲渡担保(略式型)を、どのように移行を進めるかについては、設定者の協力が得られない場合には、大きな問題があるようです。

 これについては、電子化一斉移行前であれば、特定預託制度、特例登録質の利用、電子化一斉移行後であれば、別の特別口座を開設を受ける方法があるようですが、期間や要件などの点から、利用はなかなか厳しいようです。

 今回のテーマは、非常に難しく、6,7割程度しか理解できていません。 (T_T)  このテーマについては、今季の事業再生と債権管理にも、解説がされているようなので、読んでみたいと思います。

2008年7月 9日 (水)

【消費者法】 同一の貸主と借主の間で基本契約を締結せずに切り替え及び貸増しとしてされた多数解の貸付にかかる金銭消費貸借契約が、利息制限法所定の制限を超える利息の弁済により発生した過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含むものと解された事例(最高裁平成19年7月19日)

 事案は以下のとおりです。

 貸主は、昭和61年ころから平成16年4月5日までの間、Aに金員を貸し付け、Aから返済を受けるということを繰り返していました。AとYとの間では、基本契約は締結されていません。

 平成5年10月25日以降の取引にかかる各貸付は、平成15年7月17日の貸付をのぞき、いずれも借換であり、従前の貸付の約定の返済期間の途中において、従前の貸付金残額と追加貸付金額の合計額を新たな貸付金額とする旨合意した上で、YがAに対し新たな貸付金額を従前の貸付金残額を控除した額の金員を交付し、それによって従前の貸付金残金がすべて返済されたものとして取り扱うというものでした。

 平成15年7月17日の貸付も、前回の返済から約3ヶ月と期間的に接着し、前後の貸付と同様の方法で貸付条件で行われたものでした。

 本件事案の争点は、同一の貸主と借主の間で基本契約が締結されずに貸付と弁済が繰り返され、その各貸付に基づく借入金債務につき利息制限法所定の制限を超える利息の弁済により過払金が発生した場合に、この過払金をその後に発生する新たな借入金債務、すなわち後発借入金債務に充当することができるかどうかです。

 最高裁(平成19年7月19日第1小法廷)は、

 同一の貸主と借主の間で基本契約を締結せずにされた多数回の金銭の貸付が、1度の貸付を除き、従前の貸付の切替え及び貸増しとして長年にわたり反復継続して行われており、その1度の貸付も、前回の返済から期間的に接着し、前後の貸付と同様の方法と貸付条件で行われたものであり、上記各貸付は、1個の連続した貸付取引と解するべきものであるという判示の事情の下においては、

 各貸付にかかる金銭消費貸借契約は、各貸付に基づく借入金債務につき利息制限法1条1項の所定の制限を超える利息の弁済により過払金が発生した場合には、当該過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の「合意」を含んでいるものと解するのが相当である

 と判断しました。

 最近の最高裁は、過払金の後発借入債務への充当を肯定する手法の1つとして、当事者間の過払金の充当に関する合意の存在を認定し、その合意を根拠とする考え方をとっているようです。

 しかし、本来充当は、法律問題であり、合意は問題とはならないと考えるべきではないかと思っていますが、現在の実務はなかなか厳しいところがあります。

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2008年7月 4日 (金)

【金融・企業法務】 (1)会社の行為が商行為に該当することの主張立証責任 (2)会社の貸付が当該会社の代表者の情宜に基づいてされたものとみる余地があっても、当該貸付に係る債権が商行為によって生じた債権に当たるとされた事例 (最高裁平成20年2月22日)

  判例タイムズNo1267号(2008年7月1日号)搭載の最高裁判例です。

 原審の福岡高裁は、貸主の会社の代表者は、借主と小中学校の同窓であり、親交があり、「男らしくバンと貸してやるという気持ちで」借主の依頼に応じたものだとして、貸金債権の商事債権性を否定して、商事時効の成立を否定しています。

 これに対して、最高裁は、

(1)会社の行為が商行為に該当することの主張立証責任については、会社の行為は、商行為と推定され、これを争う者において当該行為が当該会社の事業のためにするものではないこと、すなわち、当該会社の事業と無関係であることの主張立証責任を負う

(2)会社の貸付が当該会社の代表者の情宜に基づいてされたものと見る余地があったとしても、それだけでは当該会社の事業と無関係であることの立証がされたということができず、他にこれをうかがわせるような事情が存在しない以上、当該貸付に係る債権は、商行為によって生じた債権に当たる

 と判断しております。

 (1)について、学説の多数は、会社の行為はすべて会社法5条の「その事業としてする行為及びその事業のためにする行為」にあたり、商行為性が常に肯定されることから、新商法503条2項の推定規定の適用の余地はないという考え方をとっています。

 しかし、この考え方に対しては、

 ①会社法5条は、「会社が・・・その事業としてする行為及びその事業のためにする行為は、商行為とする」と規定しており、単に「会社の行為は、商行為とする」などとは規定していないのであるから、多数説には、文理上問題がある

 ②実務上も、会社の行為については、商行為性を否定する余地を残しておく方が、結論の妥当性を確保する見地からも穏当である

 ということから、批判も強く、最高裁も、多数説の考え方は採用せず、

 冒頭の考え方(1)をとることを明らかにしました。

 時折、特に、地方の同族会社ではこの種の紛争が生じることがあり、今回の最高裁判例は大いに参考になるものと思われます。 

2008年7月 3日 (木)

【消費者法】 利息制限法所定の利率を超過する過払金の返還請求について、旧会社更生法241条所定の免責が認められなかった事例(神戸地裁平成20年2月13日)

 判例時報No2002(平成20年7月1日)号に記載されている神戸地裁の判例です。

 昭和58年ころから平成15年6月ころまでの過払金を、ライフに請求したところ、ライフからは、同社は、平成12年6月30日に、会社更生手続開始決定を受けているから、基準日以前の過払金については、失権するから、請求できないと反論された事案です。

 神戸地裁は、ライフの主張を退け、原告の主張を全面的に認めました。

 その理由は以下のとおりです。

   ライフは、会社更生手続開始の決定を受けたが、更生裁判所がライフの更生手続開始決定において、ライフの融資業務に必要な日常取引は裁判所の許可を要しないと定めたため、原告とライフの取引はその後も継続したこと

 本件更生手続において過払金返還債権を一般更生債権として債権届出をしたのは、ライフとの間で金銭消費貸借契約を継続している者では皆無であること

 本件取引は、同一の貸主と借主との間で基本契約に基づき継続的に貸付と弁済が繰り返される金銭消費貸借取引であり、この貸金債権の個数は1個であり、貸付と弁済が繰り返されることにより貸金の額が変動し、この取引において過払金については、その後発生する新たな借入金に充当する合意を含むものと解することができること

 そうすると、過払金返還請求権の個数も、貸金債権と同様に1個であり、貸付と弁済が繰り返されることにより、過払金返還請求権の額も変動し、これが確定するのは、基本契約が終了した時点(新たな借入も弁済もしないことが確定した時点)であるというべきであること

 原告はライフの更生手続終了後も引き続き取引をし、その後に取引を終了したが、本件請求にかかる過払金返還請求権が具体的に権利行使の可能な金銭債権として発生したのは最終取引以後であり、本件取引には、旧会社更生法241条の適用はなく、原告は、ライフに対して、最終取引時点の過払金全額の返還を請求できる

 との判断を示しました。

 解説には、「先例はないが、貸金業者に対して高利を支払わされた消費者を保護する観点からも注目される。」(同書132)と記載されています。

 ポイントは、「継続的な金銭消費貸借取引において発生する過払金は、取引終了時に発生した一個の債権として認識すべき」と判示したことだと思います。

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