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2008年4月27日 (日)

【消費者法】 過払金の充当に関する最高裁の4つの判例

 消費者問題ニュース(2008年3月号)No123に、過払金の充当に関する4つの最高裁判例について、簡単ですが、わかりやすい解説記事が載っていましたので、骨子を紹介します。

 まず、最高裁の傾向として、「充当に関する合意を認める事情は広範囲であり、かつ、判決を経るごとに拡大している」と評しています。

 まず、悪名高い①平成19年2月13日の最高裁判例を紹介しています。

 この判例は、第2の貸付を想定していたとか、過払金の充当に関する特約が存在するなどの特段の事情のない限り、過払金は、新たな貸付金債務に充当されないと判断しました。

 次に、②平成19年6月7日の最高裁判例です(オリコ判決)。

 この判例の事案は、基本契約が1個の場合ですが、

 借入金額、返済方式・方法、返済金額、利息の計算方法が定められた基本契約が締結されている場合には、債務の弁済は、借入金全体に対して行われるものと解されるとしています。

 そして、弁済当時他の借入金債務が存在しないときでも、その後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含んでいると判示しました。

 この判例により、クレジット契約はもちろん、ほとんど全てのサラ金の借入限度額契約が対象となるため、弁済に関する合意が拡大したと評価されています。

 第3に、③平成19年7月19日の最高裁判例です(エイワ判決)。

 この判例の事案は、証書貸付で反復継続した貸付があるケースですが、最高裁は、

 基本契約が締結されていない証書貸付で、複数の貸付が行われた場合、各貸付は、貸付の切り替え及び借り増しとして、長年にわたり同様の方法で反復継続して行われたもので、1個の連続した貸付取引であることから、過払金を新たな借入金債務に充当することを合意していると判断しました。

 このエイワ判決が出たとき、①判決との関係について理解に苦しんだ時期がありました。

 解説は、③判決は、基本契約がない場合でも、充当の合意が存在することを認め、充当が可能な範囲をさらに拡大したと評価されています。 

 第4に、 ④平成20年1月18日の最高裁判例です(クォークローン判決)。

 この判例の事案は、②の判例と異なり、基本契約が2個存在する場合ですが、

 具体的には、第1の基本契約にかかる債務を完済し、約3年が経過した後、第2の基本契約を締結して取引を再開したという事案です。

 最高裁は、多くの判断事情を例示して、第1取引と第2取引が、事実上1個の連続した貸付取引であると評価することができる場合には、充当の合意が存在すると解することができると判示しました。

 解説者によれば、基本契約が前後して複数締結され、空白期間が約3年間存在するような場合でも、充当合意が存在する可能性を認め、②③判決よりも、一段と充当可能な範囲を拡大したと評価されています。

 

2008年4月26日 (土)

【倒産】 「破産管財人の源泉徴収義務」に関して、昨日、大阪高裁は「控訴棄却」との判断を示したみたいです。

 大阪地裁は、平成18年10月25日、破産管財人には、退職金債権に対する配当から、源泉徴収した税額を納付する義務があると判断しましたが(破産実務Q&A150問)、敗訴した破産管財人から、不服として、大阪高裁に、控訴がされていました。

 全倒ネットのメーリングリストで、控訴審でも、破産管財人が敗訴したこと(4月25日)を知りました。

 事案の実務に対する影響の大きさから最高裁へ上告されるものと思われますが、管財人にとっては、いやな結論が続いています。

 当地の破産管財人協議会で、管財人の源泉徴収義務の有無について議題とさせていただいたことがありましたが、やはり、難しい問題として協議会の結論はでませんでした。

 ただ、ある裁判官からは、源泉徴収といってもそれほど難しい作業ではなく、管財人の負担もそれほど大きいものではないのでは?という趣旨のご意見がでました。

 しかし、多数の従業員に対する配当の中からいちいち源泉徴収を行い、しかも、給与については扶養家族の人数などによって徴収額がそれぞれ異なる上、年末調整の義務も生じるのではないかという煩雑さがあります。

 これまで、手続費用を抑え、迅速な手続を実現していた管財業務を煩雑化するものとして、高裁の結論には、到底賛成できません。

 仮に、源泉徴収義務を管財人に負わせるのであれば、税理士を補助者として使うことも検討せざるをえず、その部分の費用については、予納していただきたいと思います。

2008年4月23日 (水)

光市母子殺害事件 の 差し戻し前控訴審の弁護人

 今回の差し戻し後控訴審の判決書には、以下の記載がありました。

 「特に、差し戻し前控訴審の国選弁護人2名は上告審において私選弁護人に選任されているところ、これは、被告人が両弁護士を信頼したからこそ弁護人として選任したものと解される。
 そして、差し戻し前控訴審の国選弁護人が選任されてから上告審で公判期日が指定された平成17年12月6日までの問、弁護人は被告人と296回もの接見をしている。しかも、被告人は父親との文通が途絶え、弁護人が衣服、現金などの差し入れをしてくれるなど親代わりになったような感覚であった旨供述」

  上告審以降、差し戻し前の控訴審での弁護人の弁護活動に対して、一方的に非難が加えられることが少なくなかったように思われます。

 これまで、差し戻し前控訴審の弁護人の弁護活動については、マスコミなどでもほとんど報道されなかったことから、余りよくわかりませんでした。

 そのため、私も、国選弁護だから手抜き弁護でもしたのかな?と思っていました。

 実際には、国選弁護でありながら、ものすごく熱心に弁護しているじゃないですか。

 国選弁護人が、「296回」も被告人と面会するなんて、普通の弁護士ではないことです。すごいです。

 また、弁護方針も、死刑を回避するため、犯罪事実自体は争わず、反省という情状立証を主眼におき、その結果、控訴審では、無期懲役という成果も得ています。

 上告審以降に、差し戻し前控訴審の弁護人を非難した人たちは、彼らに謝罪するべきだと思います。

 量刑の判断に際して控訴審判決は、以下のとおり述べています。

 「被告人は上告審で公判期日が指定された後、旧供述を一変させて本件公訴事実を全面的に争うに至り、当審公判でもその旨の供述をしたところ、被告人の新供述が到底信用できないことに徴すると、被告人は死刑を免れることを企図して旧供述を翻した上、虚偽の弁解を弄しているというほかない。

 被告人の新供述は、第1の犯行が殺人および強姦致死ではなく傷害致死のみである旨主張して、その限度で被害者の死亡について自己の刑事責任を認めるものではあるものの、第2の殺人および第3の窃盗についてはいずれも無罪を主張するものであって、もはや被告人は自分の犯した罪の深刻さと向き合うことを放棄し、死刑を免れようと懸命になっているだけであると評するほかない。

 被告人は遺族に対する謝罪や反省の弁を述べるなどしてはいるものの、それは表面的なものであり、自己の刑事責任の軽減を図るための偽りの言動であるとみざるを得ない。

 自己の刑事責任を軽減すべく虚偽の供述を弄しながら、他方では、遺族に対する謝罪や反省を口にすること自体、遺族を愚弄(ぐろう)するものであり、その神経を逆なでするものであって、反省謝罪の態度とは程遠いというべきである。」

「今にして思えば、上告審判決が、弁護人らが言及する資料などを踏まえて検討しても、上記各犯罪事実は、各犯行の動機、犯意の生じた時期、態様なども含め、第1、2審判決の認定、説示するとおり揺るぎなく認めることができるのであって、指摘のような事実誤認などの違法は認められないと説示したのは、被告人に対し、本件各犯行について虚偽の弁解を弄することなく、その罪の深刻さに真摯(しんし)に向き合い、反省を深めるとともに、真の意味での謝罪と贖罪(しょくざい)のためには何をすべきかを考えるようにということをも示唆したものと解される」

 結局、不自然な弁解は、被告人の不利な結果として、はねかえってきたようです。

 説得力のある判決であり、死刑は当然だと思います。 

 不自然な弁解を貫き通すということが極刑を招く可能性が高いということを、凶悪事件を弁護する際には、被告人に十分に説明する必要があります。

 そして、被告人がそのことを十分に理解した上で、それでもなお不自然な弁解を強く主張した場合に、弁護人は、それに拘束されるわけであり、弁護人に対してまで、強い非難を浴びせられるのは、正直、つらいところです。

 

2008年4月22日 (火)

【裁判】 光市母子殺害 死刑判決

 本日、広島高裁で、加害者の元少年に、死刑判決が言い渡されました。

 詳細な内容については承知していませんが、1審判決が認定した犯罪事実に誤りがないとして、被告の供述が差し戻し前の1、2審と現在とで変遷した理由についても、「起訴から現在の弁護人が選任されるまでの6年半以上もの間、それまでの弁護人に一度も現在と同様の供述をしていないのは、不自然」と指摘しているようです。

 もとより、元少年の行った行為については、言葉では表現できるものではありません。

 そのため、私も、個人的には、今回の死刑判決は、当然であり、今回の判決を聞いて、胸がすくう思いがしました。

 他方で、元少年の弁護人に対しては、社会から大きな批判を浴びました。

 一般的によく言われることですが、否認事件の刑事裁判で、被告人が極めて不自然な弁解を行うことは少なくなく、この弁解を前提に、法律構成を行っても、やはり無理な主張になることが多く、私自身も、弁護しながら自己嫌悪に陥ることもあります。

 しかし、弁護人は、個人としての良心を捨て、職業人としての良心にて、被告人のために、精一杯、弁護を行う義務がかせられています。

 今回の事件の弁護人の弁護活動も、元少年の主張に基づいている以上、おかしくありません。

 ただ、今回の元少年の弁護人に対しては、様々な嫌がらせを受けており、社会を公然と敵にするような弁護活動は、到底、気の弱い私にはできない弁護と感じました。

 いずれにしても、元少年には、きちんと気持ちを整理した上、刑にのぞんで欲しいと思います。

 また、本村さんも、ひとつのけじめをつかれたようです。長い間、大変お疲れさまでした。

2008年4月21日 (月)

【愛媛弁護士会】 就職説明会 イン 愛媛

 愛媛弁護士会が、新人弁護士のための就職説明会を開催する準備をしているようです。

 私の事務所にも、新人弁護士を入れる予定があるのかどうか、就職説明会を開催した場合に参加する意思があるのかどうか、を確認するFAXが送られてきました。

 ただ、参加する予定の事務所は、支部の事務所が多く、松山市内の事務所はあまりないようです。民間企業からも1社程度参加する予定があるようです。

 今まで、特に、地方の事務所の場合、表だって、求人をしている所はあまりないため、就職説明会は、修習生の利便性を図る上では、いい試みだと思います。

 弁護士会には修習生から問い合わせがあるため、その対応の簡略を図る上でも、弁護士会のためにもなります。

 ただし、最近、過払金になる事案や地裁民事事件が相当程度漸減していることから、先行きに不安を覚える弁護士も少なくなく、共倒れになりかねないリスクを考えると、躊躇せざるえない面もあります。

 昔からなんとなく言われていますが、将来のリスクを考えると、「いい人がいればとろう。」的なところではないかと思います。

 それはさておき、支部の方が、現時点では、松山よりも、弁護士の数が少ないことから、多くの相談を受けたり、普通であれば新人弁護士にはまわってこないような事件の責任者にされたりします。

 また、電車を利用するのであれば、松山よりも、今治の方が、大阪に近いです。

 東京は、空港のある松山が便利ですが、今治と松山空港間には、いずみ観光のリムジンバスがでていますので、それを使えば、かなり便利です。

 人口は、さすがに、松山にはかないませんが、それでも、県庁所在地を除くと、四国で第1番目の都会です。coldsweats01

 今治は、伊予国の国府があったところであり、明治時代には、短かったとはいえ、県庁所在地にもなりました。

 だんだん、今治で弁護士をしてみる気持ちになりましたか? 

2008年4月20日 (日)

【消費者法】 過払い金 事情 愛媛 今治 

 今年に入って、過払い金を回収することが困難な事例が少し増えてきました。

 今年に入って、中堅の消費者金融ですら、請求金額の10%程度しか支払えないとか、3年の長期分割でお願いしたいとか、言われるようなところが、目立つようになってきました。

 過払い金の返還について結構譲歩して裁判所の和解や示談を成立させたにもかかわらず、倒産してしまったところもあります。大きな金額だったので、私もクライアント様も大きなショックを受けました。

 取引履歴の開示もきちんと対応してくれないところもあり、このような業者の場合には、行政処分の申立をしていますが、それでも、改善されない所もあります。

 裁判し判決をもらっても、確実に回収できるとは限らず、金融会社の財産を差押えをするなど苦労するような場面もあります。差押えしても空振りにおわる場合も考えられます。

 他方で、ご相談者の中には、弁護士に頼めば、確実に、過払い金回収ができるものと誤解される方もおられます。

 短期の取引が多く全体として負債が残りそうな案件で、任意整理の他、破産や個人再生、特定調停の概要をご説明したところ、過払い金だけの説明でいいと立腹された方がおられたのにはびっくりしました。

 高齢者の方の場合には、鷹揚な方が多いですが、40歳~50歳位の方は、過払い利息も気にされる方も少なくないです。やはり、お金に困っている方が多いのでしょう。

 なお、最近、「過払い」という用語が一人歩きをしており、離婚のご相談の際に、生活費を余分に出したから過払いを請求して欲しいとか、或いは、家賃を過払いしたから取り返したいなどと言われたことがあります。そんな時に過払いってわざわざ使わなくても・・・・と思いました。

 また、大手の消費者金融機関も体力が弱っているのか、負債が残る場合に、分割払いであれば、将来利息、つまり、金利をつけるよう強く要求しているところがあり、「あれ、10年前に戻ったのかな」と思うことがあります。

 過払い金など請求されることを希望される方、或いは、考えられている方は、早急に、弁護士に相談されることをお勧めします。

 特に高齢者の方の場合には、取引期間が長い方が少なくありません。また、既に完済されている事案で、完済から随分時間が経過している方もおられます。最近、最終取引から、9年11ヶ月を経過している事案を受け、大あわてで、提訴して、和解した案件がありました。1ヶ月遅れたら数百万円がパーでした。

 私の事務所でも債務整理事案については、積極的に対応させていただいております。但し、事務所に最低1回は来所できる方に限定させていただいておりますので、遠方の方は、近くの弁護士さんをお尋ね下さい。

 私の事務所の場合、個人の方の任意整理事案であれば、最初に、1社あたり、2万5000円(内税)となっています。4社だと、10万円(内税)となります。完済事案については、ケースにより、後払いでも対応しています。なお、事件終了時に、報酬金をいただきます。

 近くに知り合いの弁護士さんがいない場合には、弁護士会にお電話下さい。弁護士さんを紹介してくれるはずです。

2008年4月15日 (火)

【弁護士考】 これからの弁護士

 「自由と正義」という日弁連発行の月刊誌があります。

 4月号の中に、「ユーザー側から見た弁護士の雇用と業務展開」というタイトルで、連合の会長に対するインタビュー記事が載っていました。

 会長さんは、法曹人口見直しについては、極めて懐疑的なご意見をもたれているようです。「各地の弁護士会の反応は、市場開拓という発想の極めて乏しい弁護士さんの仕事感覚で、今後も需要開拓をシステマティックにやる気もない人たちが減員などとおっしゃっても、3000名増員に反対する理由にはならない」と痛烈に批判しています。

 そして、会長さんは、「普通の企業でいえば、まずどのように努力をすれば売上高が増えて利益が得られるのか考えます。(略)1人2000万円の売上が必要としますと、2万5000人で5000億円を稼ぐ産業にする努力をされてきたのでしょうか。」、「いろんな観点から需要開拓が必要です。」

 「弁護士費用の問題もあり、法律扶助を使わせてくれれば、弁護士需要が増える」(※「法律扶助」制度には税金が投入されています)

 なるほど、これからは、事務所に相談に訪れた方に、税金を使って、どんどん提訴を勧めることとしよう。

 どんどん提訴すれば、相手方も弁護士をつける必要がでてくるでしょうし。しかも、訴えられた方は、自費(定価)で弁護士さんをつけることも少なくないでしょうし。

 売上げ拡大につながりますな。巨額の懲罰的慰謝料制度も立法化する必要がありますな。

 私は、こんな社会には住みたくないけど・・・ 

2008年4月13日 (日)

さようなら 桜 今治

080412_103601_2  今治の桜も、かなり散ってしまいました。

 事務所の近くの小学校の桜も、かなり散っていましたが、この桜は、校舎の間にあるためか、散り具合が少なく、綺麗なため、つい、撮影してしました。新学期ですが、この桜は、何千人という新入生を見守ってきたのでしょうね。school

 皆さんは、お花見をされたでしょうか?

 今治で桜の名所といえば、頓田川沿いの桜と、多摩川のビューパークの桜が有名ですが、それ以外に綺麗な場所があれば、ご教示下さい。

 恒例の事務所報(4月号)も、発送が完了したようです。ご意見賜りたく存じます。mail

 事務所報も広報活動の一環ですが、先日、大阪を訪ねた際に、ガラス窓(ドア)に、東京の法律事務所が出している過払い金の広告シールが貼り付けられていました。東京の地下鉄で、司法書士さんの広告シールをみたことはあるのですが、法律事務所のは見たのは初めてです。広告シールの近くに、某大手サラ金の大きな広告が掲示されており、過払い金の広告と、お金をかす広告とが並んでいるようにみえ、少しおもしろく感じました。coldsweats01

 桜(の花)さん、また、来年あおうね。 cherryblossom 

 

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2008年4月12日 (土)

【金融・企業法務】 第126回金融法務研究会例会

080411_111201  昨日は、第126回金融法務研究会例会出席のために、新幹線に乗って、大阪に行ってきました。bullettrain

  テーマは、保証免責条項に関する判例と新指針ということで、この分野に詳しい弁護士の先生に、解説していただきました。

 信用保証協会と銀行との関係は、外部からみると、身内のようにみえますが、実は、結構、信用保証協会と銀行との間で、保証免責条項を巡って争うケースは少なくないようです。

 信用保証協会が保証債務の履行を免責される事由としては、①旧債振替の制限違反(1号免責)、②保証契約違反(2号免責)、③故意・重過失による取立不能(3号免責)があります。

 また、それ以外にも、錯誤無効を理由にする場合もあります。

 多数の裁判例を紹介していただきました。

1、錯誤関連

 (一) 企業実体のない会社の金融機関からの借り入れについて、金融機関の依頼に基づき保証契約を締結した信用保証協会の意思表示に要素の錯誤があり、その錯誤に重大な過失があったとはいえないとされた事例(東京高裁平成19年12月13日)

 中小企業者としての実体がなければ信用保証の対象と成らないことから実体が有することは、重要な要素であると判断したわけです。

 協会に重大な過失があるかどうかについては、金融機関経由保証であることから否定しています。

 (二)債務者の信用状態については、動機の錯誤(※表示されないと錯誤無効できないたぐいのもの)にすぎないとされています(東京地裁昭和50年1月30日、担保提供について東京高裁昭和63年8月18日)。

 (三)資金使途違反は、保証契約の要素にはあたらないとされています(東京高裁昭和40年10月6日)。 

2、免責条項の適用

 (一)旧債振替制限違反

 (1) 最高裁平成9年10月31日は、①免責の効力は、協会の意思表示を待たずに当然に生じる、②免責は、保証債務を消滅させる、③免責の範囲は、原則違反部分のみ、④免責の主張は、求償保証人もなしうると、判断しています。 

  ちなみに、この事案は、愛媛が舞台になっています。

 (2) 大阪高裁平成13年1月25日は、協会保証付貸付金2億円のうち、約1億9710万円が旧債振替に宛てられた事案ですが、あまりにも程度が酷いため、全部免責とされました。

  ちなみに、この事案も、愛媛の金融機関が関連しています。

 (3) 東京高裁平成15年4月22日は、協会が3000万円の当座貸越について根保証したところ、当該貸越が、既存のプロパー当座貸越残2341万円に充当された行為につき、協会が免責を主張した事案です。

 裁判所は、「当座貸越取引の場合には、旧債務の返済が行われるものの、それによって貸越限度の残額が増加し、その範囲で必要に応じて貸越が行われ、自由に処分できる資金を得ることになるから、入金後においても当座貸越取引が存続し、新たな貸越が可能となっている場合には、貸越金の返済は旧債振替禁止条項に違反することにはならない」と判断しました。

 (4) 東京高裁平成15年9月25日は、協会保証付貸付金2000万円のうち、500万円が債務者会社の代表者個人の金融機関からの借入金の返済に充てられ、その後約500万円が債務者から記入期間に弁済され、残金1500万円について不履行となったため、金融機関から協会に対して保証履行を求めたところ、協会は旧債振替による全部免責を主張した事案です。

 金融機関  → 債務者会社 2000万円 貸付 (協会保証)

 金融機関  ← 代表者の個人債務 500万円弁済※

 金融機関  ← 債務者会社 500万円 弁済

 その結果

 金融機関  → 債務者会社 1500万円 不履行

 裁判所は、※の500万円については、一部免責として、1000万円については、協会の保証債務を認めました。

 (二) 保証契約違反

 (1) 東京高裁平成13年6月26日は、当座貸越の貸越残額約8120万円についての分割弁済契約を協会が保証する約束であったのに、金融機関が貸越金残高を超える約8400万円(280万円の超過)の分割弁済契約を締結したケースです。

 協会は、保証契約違反を理由に、全部免責を主張しました。

 裁判所は、当然のことですが、超過分280万円について免責を認めました。

(2) 仙台高裁平成15年12月24日は、結構、おもしろい例です。

  物上保証として、A所有の甲不動産、A(3分の2)・B(3分の1)共有の乙不動産を差し入れたケースで、Bさんの保証否認がとおってしまったケースです。この場合、協会は、既に代弁をしていたことから、代弁した金額の返還を求めた事例です。

 第1審は、乙不動産の信用保証時の担保価値が1277万円であることから、単純に、3分の1を乗じた金額である426万円の請求を認めました。

 第2審は、共有不動産は買い手が見つかりづらいことから、不動産競売の減価率0.3を考慮して、Aの持ち分についても、0.3の減価(255万円)が生じることを考慮して、681万円の請求を認めました。

 (3)名古屋地裁平成17年5月27日は、金融機関が担保価値が低いとする調査会社の報告(3900万円)を協会に示さなかったため、協会が1億4000万円と独自に評価して融資を実行したが、競売では550万円の評価、実際には、56万円で売却されるという酷い事例で、裁判所は、協会の保証につき、全部免責を認めました。

 なお、3号免責については、解説の先生によれば、裁判例はみあたらなかったということでした。

            

2008年4月10日 (木)

【建築・不動産】 ようやく1冊読み終えました。

 4月から、建築士さんの会社の顧問となった関係で、現在、建築・不動産関連の書籍を何冊か読んでいるところです。pencil

 また、「建築・不動産」というカテゴリーを1つ作りました。clip

 さらに、実務的な知識を一層身につけるために、欠陥住宅全国ネットに参加を申し込みました。

 今日、なんとか、読み終えた本は、民事法研究会から出ている「建築紛争に強くなる 建築基準法の読み解き方」という書籍です。

 著者の坂和弁護士の知識と見識の前には、圧倒されるばかりです。coldsweats01

 私とは20歳くらい年齢が違いますが、近い?将来、坂和弁護士のような弁護士になれたらと思います。heart01

 知識は習得できても、坂和弁護士のような見識は、すぐに身に付くものではありません。coldsweats02

  ところで、知り合いの司法修習生の親族から、就職戦線は厳しかったが、なんとか地元の事務所に採用が決まった、でも、1年位しか在籍させてくれないので1年後に独立をせざるをえないというメールをいただきました。mobilephone

 これで落ち着いて修習に専念できますね。happy01

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2008年4月 8日 (火)

桜満開 高松

 今は、本当に桜がきれいです。

 先日の雨にも耐えて、どこかしこでも満開です。

 今日は、高松地裁を訪ねましたので、高松地裁の桜を、携帯電話のカメラで、撮影してきました。  

    080408_124901_3

 なかなか、きれいでしょう。cherryblossom

 今治・高松間の車窓から、満開な桜をみると、なぜか、心が落ち着きます。

 在原業平が歌った古歌を思い出します。古今和歌集でしたっけ。

 「世の中に たえて桜のなかりせば 春の心は のどけからまし 」

 桜って、おもしろい木ですね。花を咲いて散り終わってから、若葉がでるのですから。

2008年4月 4日 (金)

【金融・企業法務】 金融機関が民事訴訟において訴訟外の第三者として開示を求められた顧客情報について、当該顧客自身が当該民事訴訟の当事者として開示義務を負う場合に、同情報は、民訴法197条1項3号にいう職業上の秘密として保護されるか(最高裁平成19年12月11日)

 判例時報1993号(4月1日号)搭載の最高裁判例です。これまで本ブログでも度々紹介してきましたが、ついに、判例時報に登場です。

 事案は、遺留分減殺請求訴訟の原告である申立人らが、その被告であるBの取引金融機関たる相手方に対して、Bと相手方甲支店との平成5年からの取引履歴が記載された取引明細表の提出を求める事案です。

 名古屋地裁は、本件明細表は、職業の秘密を記載した文書ではないとして、取引明細表の提出を認めました()(原々決定)。

 これに対して、名古屋高裁は、金融機関が顧客の秘密を保持すべき義務は金融機関にとって基本的な義務の1つであるから、これに反したときには、顧客一般の信頼を損ない、取引を拒否されるなどの不利益を受け、将来の職業の維持遂行が困難となる可能性があることなどを理由に、取引明細表の提出を認めませんでした(×)(原決定)。

 最高裁は、原決定を破棄し、原々決定に対する抗告を棄却しました。

 最高裁は、

 顧客自身が当該民事訴訟の当事者として開示義務を負う場合には、当該顧客はその情報につき金融機関の守秘義務により保護されるべき正当な利益を有しない、

 同情報は、金融機関がこれにつき職業上の秘密として保護に値する独自の利益を有する場合を除き、職業上の秘密として保護されない

 本件事案においては、取引履歴を秘匿する独自の利益もなく、また、被告自身開示義務を負っていることから正当な利益もないことから、文書提出を認めました()。

 この最高裁判例は、金融機関関係の研究会などに出席した際に、必ずといっても取り上げられる重要な判例です。 

 

2008年4月 3日 (木)

【弁護士考】 都会の弁護士、狭き門 修習生、わずかなイスに殺到

 東京や埼玉、横浜、京都などの大都会では、司法修習生といえども、容易に法律事務所に就職できるような状況ではないようです。

 今のように司法試験に合格する人がものすごく増えると、それだけ、新人弁護士の供給過多となり、他方で、法律事務所の数は変わらないことから、買い手市場になるのは、当たり前の話ですが、さらに、今年の修習生の場合には、昨年度、各法律事務所が無理をして採用してしまっていることから、そのあおりを受け、朝日新聞の報道内容によれば、絶望的な状況になっているようです。

 九州地方から来た男性(29)は、「大きな事案を扱いたい」といい、別の男性(26)も、「都市部と地方では情報量が違う。首都圏の方が専門性を高められる」と訴える。

 この記事でいう「大きな事案」というのがどのような事案を指すのがわかりません。しかし、田舎の方が、弁護士の数が少ない分だけ、若手にもそれなりの管財事件がよく廻ってきます。都会の事務所でも、新人弁護士にいきなり大きな事案の責任者とはしないでしょう。田舎では、自分にとっては大きく思える事件でも、他に受ける人がいないために、責任者にさせられます。

 「情報量が違う」というのも、どうかなと思います。一昔前の発想ではないでしょうか?地方でも、東京や大阪が日帰りできる所はかなり多いと思います。研究会のメーリングリストなどもありますし、情報量格差は、本人の努力次第で十分に補えることが可能な時代になっています。

 「専門性」も何を意味するのでしょうか? 交通事故専門とか、知財専門ということなのかな? 首都圏でも、ごく普通のマチ弁であれば、広く浅くでしょう。むしろ、田舎の方が、扱う事件は多いので、知財などを除けば、専門性を高めることが可能ではないでしょうか?

 神奈川県から来た女性(27)は、複数の事務所にメールや履歴書を送っているが、反応がなかったり、そのまま送り返されたりしている。「想像以上に厳しいです」

 そりゃそうでしょう。いきなり、メールや履歴書は送らないでしょう。普通は、手紙或いは電話で、採用の予定があるのかどうか確認してから、送るものでしょう。私でも、メールや履歴書を突然送られたりしたら、いい気持ちはしません。

 昔、履歴書を一方的に事務所に送ってきていながら、当方から連絡を取ると、既に就職先が決まっているということで、失礼な応対をされたことがあります。

 数年前までは、修習担当の弁護士などから、事前に紹介の電話があるのが普通でしたが、最近は、このような紹介の電話はかかってこなくなりました。

 とはいっても、私のような事務所の所までも、電話がかかってきているような状態だから、都会地方問わず、本当に就職大変なんだと思います。

 拡大志向のある事務所は、地方ではまだ少数だから、都会よりもある意味就職活動は大変でしょう。

 しかしながら、このような状態になっているにも拘わらず、法科大学院関係者は、合格者3000人を維持せよなどと主張しています。

 これ以上、さらに、新人弁護士の就職難を悪化させてどうするのでしょう? 

 法科大学院が、自校出身の就職できなかった新人弁護士全員を、同期の判事補と同じ待遇で雇用するなどのアフターサービスをつけたらと思います。

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2008年4月 2日 (水)

【交通事故】 医学書買ってきました。

 交通事故では、整形外科の知識に習熟する必要があります(とは言っても、ドクターまでの知識はいりませんが)。

 先週、上京した際に、丸の内の丸善などで、医学書を仕入れてきました。

 金原出版㈱から出ている「NEWBOOK 整形外科 高齢者の整形外科」(平成16年10月)は、高齢者の治療にあたっての問題点や対策などについてわかりやすく記載されているように思われます。「心身医学的問題」という解説は参考になりました。

 全日本病院出版界から出ている「オルソペディクス・2007年12月」号は、高齢者の頚椎症・頚髄症ーその診断と治療を、特集されていました。

 三輪書店の脊椎脊髄ジャーナル2008年4月号は、腰部脊柱管狭窄症を特集していました。交通事故では、頚椎の脊柱管狭窄が問題となることが多いです。

 腱板損傷について理解するために、全日本病院出版会の「整形外科最小侵襲う手術ジャーナルNo44」、メジカルビュー社の関節外科基礎と臨床ー特集腱板損傷の診断と治療を、各購入しました。

 また、関節可動域制限についても知識を得たいために、三輪書店の関節可動域制限(平成20年1月)を購入しました。

 専門外でわからないことだらけですが、1つずつ学んでいきたいと考えております。

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2008年4月 1日 (火)

【介護・遺言・相続】 (相続) 相続預金の誤払いと実務対応

 甲銀行の預金者Aが死亡し、その相続人は、Aとその前夫との間の子Dと、Aとその後夫との間の子B及びCの3人であり、D、B、Cの法定相続分は、各3分の1でした。甲銀行は、相続人は、BとCのみであると誤認して、Aの相続預金4500万円全額を、B、Cに支払ました。後日、Dから法定相続分1500万円の支払いを求められた場合、どのように対応すればいいのでしょうか(銀行法務21・2008年4月号・営業店からの質疑応答から引用)。

 ① B・Cへの甲銀行の支払いが有効な場合

 相続預金の誤払いにつき、債権の準占有者弁済が認められるような場合には、Dから、支払いを求められたとしても、支払いを拒否することができます。

 そのため、Dとしては、B、Cに対して、不法行為又は不当利得に基づき、請求することになります。

 ② B・Cへの甲銀行の支払いが無効な場合

 この場合には、Dから支払いを求められた甲銀行は、支払いを拒否することができません。

 一般的には、甲銀行は、Aの戸籍を調査することで容易に相続人Dの存在を確認できるはずであり、そうだとすれば、甲銀行に過失が認められる場合が多いのではないかと思います。

 そうすると、甲銀行は、1500万円について、2重弁済を強いられることになります。

 そこで、甲銀行は、B・Cに対して、1500万円について、不法行為又は不当利得に基づき、請求を行うことになります。

 そこで、いつの時点で、不当利得返還請求ができるのかが問題となります。

 最高裁平成17年7月11日は、類似の案件で、甲銀行の損害1500万円は誤払いの時点で発生するので、その時点であれば、受益者B、Cに対して、不当利得の返還を請求することができるとしています。

 但し、B、Cが無資力の可能性があるため、甲銀行としては、ケースに応じて、B・Cの財産に対して適切な保全措置が必要になります。

 何故、甲銀行がこのような誤った支払いをB,Cにしたのか、その理由を知りたいものです。

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