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2008年2月 6日 (水)

【医療事故】髄膜腫摘出術を受けた患者が急性硬膜下血腫によって死亡した場合に、髄膜腫摘出術の終了に手間取り、その結果、頭部CT検査の実施を遅らせ、ひいては急性硬膜下血腫の再手術の開始が遅れたことにつき医師に過失があるとされた事例(福岡高裁H18・10・26)

 判例時報1987(2月1日)号搭載の判例です。

 事案は以下のとおりです。

 平成12年6月15日午後2時3分から、太郎さんは、Y病院で、髄膜腫の摘出手術を受けました。

 医師らは、太郎さんに全身麻酔をした後、頭蓋骨を露出させ、さらにドリル等を用いて、午後2時45分ころ、骨片を除去しました。

 すると、硬膜が異常に緊満し、それまで正常な範囲にあった収縮期血圧が220から230㎜ミリHgまで急激に上昇し、上矢上静脈洞表面の小さな穴から噴水状の出血が見られ、手術用綿等により止血しました。

 こうした状況から、太郎さんの頭蓋内圧が亢進しているのは明らかなため、医師らは髄膜腫内或いはその周辺からの出血であると考え、本件手術を急ぐことにしました。

 そして、頭蓋内圧の亢進を和らげるべくマンニトール300ccを静注し、その薬効が現れるのを待って髄膜腫の摘出をするとともに、併せて、髄膜腫直下の大脳皮質内の少量の血腫も除去しました(摘出時期は午後3時45分ないし午後4時)。

 ところが、髄膜腫除去後も頭蓋内圧の亢進はまったく改善しなかったため、その原因が髄膜腫内の出血ないしはその周辺からの出血でないことが明らかになりました

 そこで、医師らは、頭部CT検査の実施のため、人工硬膜を用いるなどをして午後5時15分本件手術を終え、午後5時45分ころ、CT検査を実施しました。

 CT検査の結果、髄膜腫の対側に急性硬膜下血腫が形成されていることが判明しました

 そこで、医師らは、午後6時18分、手術を再会し、血腫を除去し、午後9時45分には手術を終えましたが、太郎さんは、昏睡状態で、両側の瞳孔は散大し、対光反射は消失し、17日午前1時26分に、死亡しました。

 太郎さんの遺族であるXさんらが、Yに対して、硬膜下血腫を発見し、これを摘出するのが遅れた過失があるとして、提訴しました。

 福岡高裁は、

 一般に、硬膜下血腫が脳に深刻な影響を及ぼす可能性は大きいから、医師としては、硬膜下血腫が疑われる患者については、患者の脳が不可逆的な損傷を受けることがないように、可及的速やかに血腫の発生部位を特定し、外科的手術によって血腫を除去すべき注意義務を負っているが、

 特に高度な脳圧亢進が生じた症例においては、血腫発生後、長くても2,3時間の間に血腫を除去しなければ、不可逆的な損傷が脳に広汎に発生すると考えられるところ、

 本件血腫は相当に大きいものであり、また、脳圧亢進の程度も高度であったから、2,3時間の間に血腫を除去しなければ、脳が不可逆的な損傷を受ける危険性が高かったものということができると判示しました。

 その上で、髄膜腫の摘出時刻は午後3時45分ないしは午後4時ころであるのに対して、閉頭して本件手術を終えたのが午後5時15分、頭部CT検査が実施されたのが午後5時45分であるから、髄膜腫の摘出から本件手術の終了まで約1時間15分ないし1時間30分を要し、頭部CT検査まで1時45分ないし2時間を要していることになる

 本件手術の終了まで時間がかかりすぎていることを否定できないとして、担当医師らが本件手術の終了に手間取り、その結果、頭部CT検査の実施を遅らせ、ひいては本件再手術の開始を遅らせることになったから、この点において、担当医師らの責任は免れないと判示いたしました。

 なお、本件では、手術が成功していたとしても、相当高度な後遺障害を残した蓋然性が高いことから、逸失利益は認めていません。

 少々記事が長くなりました。smile

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