弁護士は就職氷河期(愛媛新聞8月7日)
8月7日付け愛媛新聞によれば、「弁護士になったけれど働き口が見つからない」というセンセーショナルな出だしで始まる記事が詳しく紹介されていました。
いわゆる2007年問題の指摘です。
2007年問題については、このブログでも以前からその問題点を指摘していました。つまり、司法試験の旧試験合格者と、新司法試験合格者が、2007年内に、同時に、司法研修所を卒業するという、とんでもない事態が生じるのです。
その結果、裁判官や検察官に任官した者を除き、弁護士希望だけで、約2300人程度の卒業生が誕生するのですが、この2300人を受け入れるだけの余裕が法律事務所にないため、就職浪人が大量に生じることになります。
私の時代は、600人くらいでした。
日弁連では、地方の法律事務所での採用、官公庁にも採用を呼びかけるとしていますが、いずれも小手先であり、根本的な解決になりません。
2008年以降も、2300人ほどではありませんが、大幅な卒業生が誕生する予定になっております。
愛媛弁護士会の会報でも、副会長が、支部ならともかく松山では既に、若手の弁護士が独立できるような状況でないことを、明らかにしています。つまり、松山でさえ、弁護士が独立開業できる時代ではないということです。
新人弁護士で、地方では、400万円程度の年俸の提示も、あるようです(私が新人のころは、600万円くらいでした。)。弁護士会の会費や、社保などが自己負担であることを考えると、実際には、300万円弱くらいの年収であり、中堅の法律事務職員と余り年収が変わらないことになります。この金額が、高校生や大学生にとって、魅力のある金額かどうか?法科大学院に進学しても、進学者の能力いかんによっては、司法試験に合格できないというリスクもあります。卒業できるかどうかも問題です。地元ロースクールでも、定員30名のところ、3年生に進学できたのは、22人であり、この中で、初回の司法試験に合格できる者は、数人程度であるという話もあります。
話を戻しますが、愛媛のような地方でも、弁護士が漸増していることから、もはや、受け入れる法律事務所も、飽和状態に近くなりつつあります。
確かに、弁護士過疎地域が残っており、そこで開業すれば、現時点ではそこそこ収入を得られる可能性もありますが、過疎地域でさえ、ひまわり基金の公設法律事務所などの開設により、次第に、過疎状態も解消されつつあります。
最近では、新人弁護士に支払う給与も漸減しています(しかし、それでも、就職ができない弁護士が現在生じていることからすれば、給料が低くなったとしてもまだ良い方なのかもしれません。)。
これから、司法研修所を卒業する新人弁護士は、弁護士登録せず、普通の会社員として働くことも考えなければならないでしょう(弁護士登録すると、愛媛では、弁護士会会費として、月額6万円程度の支払いをしなければなりません。この金額は、会社員にとって大きな負担でしょう。ほかにもいろいろ負担を求められますから、年間100万円位は弁護士会や支部に納めているのではないでしょうか?)。
司法サービスの向上の一環として、政府は、弁護士の数を大幅に増加させましたが、そのつけは、まず、新人弁護士が払わされ、最終的には、不当訴訟や弁護過誤等の増大により、国民が払わされることになる可能性が高いように思います。
法テラスの開設により、新人弁護士にとっては、貴重な収入源であった国選弁護も、全体としてみれば、従来よりも、手取りは減少するものと考えられますので、抜本的な解決を早急になされないのであれば、法曹に対する職業的魅力は、失われることになるでしょう。
法テラスの国選弁護契約は、するつもりはありませんでしたが、現在、支部の弁護士の数は比較的少ないため、やむをえず、国選被告事件だけは、応じようと思います。
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