一般によく言われていますが、弁護士のホームページよりも、司法書士、社会保険労務士、行政書士のホームページの方が、派手で且つきれいに作成されているものが多いです。
これは、その業界の競争、つまり、顧客獲得競争の激しさを示しているものと考えられております。
従前の弁護士事務所では、いわゆる「一見さん」については相談そのものを断る所もあり、しっかりとした紹介者がいることが相談が受けられる前提となっているところも少なくありませんでした。そのため、広告等で顧客漁りをするなんて、弁護士の品位を害する、とんでもないというような意識をもたれる先生も少なくないように思われます。
しかし、昨今の司法改革により、弁護士の数は増加しており、さらに、新司法試験の実施により、弁護士の供給過多の状態が、近い将来、必ず訪れてきます。
そうなると、弁護士のHPも、他業種同様、派手で且つきれいなものが増えてくるものと思います。これは、弁護士の敷居の高さを削る効果をもたらすものとして、消費者の立場からすれば好ましい現象ということができます。
そこで、私は、将来の参考にするため、時間のあいている時などに、他業種のHP等を見て楽しんでいますが、行政書士さんのHPなどの一部には、弁護士法違反となっているものと考えられるものが少なくなく、また、その内容にも、正確性を欠いているものではないかと思われるものもあります。
例えば、ある行政書士さん作成の過払い金のHPには、弁護士法を気にしてか、あくまで、本人自身が回収すべきであると記載されつつ、その根拠の一つとして、弁護士に依頼すると、費用倒れとなるということをあげ、続けて、自分の事務所に頼むと着手金5万円、報酬金20%ですむと記載し、自分の事務所に案件を依頼するよう働きかけております。
しかし、費用の点に限っていえば、過払い金請求事案の場合には、着手金を不要とする弁護士事務所も最近は増えており、また、報酬金20%も、弁護士事務所とさほど変わるものではありません。
むしろ、行政書士に依頼した場合、サラ金との交渉は全て直接相談者が応じなければならないし、また、その交渉内容を正確に行政書士に伝えられるかどうか不安が残ります。
さらに、当該行政書士の債務整理に関する法的知識も問題がないとは限りません(私自身、行政書士さんが途中で投げ出した過払い事件を途中から受任したことがありますが、利息制限法所定の利率が計算書の途中で上下しているのです。基本的には利率は変動せず、ケースによって、利率が下がることはありますが、上がることはありません。また、取引履歴の開示も一部分だけでした。)。行政書士さんが債務整理事件を取り扱いたいのであれば、これらの業務を積極的に行うことができる司法書士や弁護士の資格を取得すればいいのではないかと考えます。
また、当該HPでは、「訴訟前の回収」をうたっておりますが、これも極めて問題です。
なぜなら、サラ金業者の中には、示談では、取引履歴(全部)の拒否、消滅時効の主張、貸金業法43条の主張などを執拗に主張し、示談の段階では、極めて少額の金額の提案しかしてこないところもあります。私が経験したのでは、示談の段階では、7万円の返還に固執され、訴訟を行ったとたん、その主張を撤回し、当初のの10倍の金額である70万円を返してきた例がありました。
そして、確かに、交通事故や所有権などの一般的な裁判の場合は、ある程度裁判の時間がかかるものがありますが、過払い金の訴訟の大半は、簡単なものが多く、第一回口頭弁論前後で和解により終了するため、2ヶ月程度ですみます。
訴訟前の回収にこだわる余り、依頼者が受ける経済的利益を不当に損なうことがあれば問題といわざるをえません。訴訟をすることにより、依頼者が受ける経済的利益が大きくなる場合も多いのです。
過払い金の請求については、やはり、最後まで面倒がみれる、弁護士や司法書士(140万円まで)に依頼するのが、結局、相談者のためになるものと思います。
私は、問題のあるHP等については、弁護士会や司法書士会が、弁護士法違反、司法書士法違反で、告発すべきものと考えております。
東京の弁護士会では、問題のあるHP等については、厳しい態度でのぞむようにしているようですが、まだまだ、地方では、前述したとおり、HP等に対する弁護士の意識が異なってるため、あまり大きく問題としてはとりあげられていないようです。
しかし、今後は、地方でも、問題のあると思われるHP等については、弁護士会や司法書士会が調査をして毅然とした対応を行うべきものだと思います。
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