【精神科】 精神科病院において身体的拘束を受けた者が肺血栓塞栓症によって死亡した事故につき、担当医師が、身体的拘束を開始・継続したことが違法であるとは認められないとされた事例
判例時報No2455号で紹介された金沢地裁令和2年1月31日判決です。
身体的拘束の違法性については、次のとおり、解説されています(P42~P43)。
「精神科病院における身体的拘束の違法性について判示した最高裁判決は見当たらない。なお、最三判平22・1・26は、病院の看護師らが抑制具であるミトンを用いて入院中の患者の両上肢をベットに拘束した行為について、『入院患者の身体を抑制することは、その患者の受傷を防止するなどのために必要やむを得ないと認められる事情がある場合にのみ許容されるべきものであるが・・・本件抑制行為は、Aの療養看護に当たっていた看護師らが、転倒、転落によりAが重大な傷害を負う危険を避けるため緊急やむを得ず行った行為であって、診療契約上の義務に違反するものではなく、不法行為法上違法であるということもできない』と判示した。
身体的拘束を含む精神科医療に係る裁判例等を分析した文献として、國宗省吾ほか「精神科における損害賠償請求に係る諸問題」判タ1465・13がある。
本判決は、判決文認定の具体的事実関係の下で、身体的拘束の開始・継続の違法性を否定した裁判例である。」
よく押さえておく必要がありそうですね。
最近のコメント