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歯科

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2018年11月

2018年11月29日 (木)

【循環器科】 甲状腺クリーゼの患者を診察した医師の債務不履行責任が否定された事例 神戸地裁平成29年10月26日判決

 判例時報No2381号で紹介された神戸地裁平成29年10月26日判決です。

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 甲状腺クリーゼとは、甲状腺中毒症の原因となる未治療ないしコントロール不良の甲状腺基礎疾患が存在し、これに何らかの強いストレスが加わったときに、甲状腺ホルモン作業過剰に対する生体の代謝機構の破綻により複数臓器が機能不全に直面した緊急治療を要する病態をいいます。

 本件の最大の争点は、Yは、亡Aを診察したときに、甲状腺クリーゼないしこれに準じる重篤な病状と診断することができたのか否かという点です。

 判決文では、甲状腺クリーゼを診断する指標として、

 (ア)必須項目として、甲状腺中毒症の存在

 (イ)症状項目として、

 ① 中枢神経症状

 ② 発熱(38度以上)

 ③ 頻脈(130回/秒以上)

 ④ 心不全症状

 ⑤ 消化器症状

 があげられており、

 (ウ)確実例として、必須項目及び、

 a 中枢神経症状+ほかの症状項目1つ

 又は、

 b 中枢神経症状以外の症状項目3つ以上を満たす場合、

 (エ)疑い例として、

 a 必須項目+中枢神経症状以外の症状項目2つ、

 又は、

 b 必須項目を確認できないが、甲状腺疾患の既往・眼球突出・甲状腺腫の存在があって、確実例条件のa又はbを満たす場合、が挙げられている

 本件において、Xらは、亡Aの症状は、甲状腺クリーゼ疑い例bに該当すると主張しました。

 裁判所は、甲状腺クリーゼの疑いbに該当するか否かは、心不全症状が認められるかどうかで判断されるところ、その症状からは心不全症状は認められないとして、Xらの主張を斥けました。

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 甲状腺クリーゼは、放置すれば予後不良の急性の全身しっあんであり、迅速な診断と治療によっても、致死率は20%以上に達すると言われている危険な病気のようです。。。。

2018年11月28日 (水)

【カルテ・薬】 プログラフの過剰投与と脳梗塞!?

 判例時報No2379号で紹介された大阪高裁平成29年2月9日判決です。

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 骨髄移植手術を受けた患者が脳梗塞を発症して死亡した場合に、免疫抑制剤(プログラフ)を過剰投与した看護師に過失は認められるが、右過失と脳梗塞との発症との間に因果関係はないとして、病院側の責任が否定されました。

 鑑定によれば、過剰投与による脳梗塞の発症の可能性は否定できないと判断されていました。

 それにもかかわらず、裁判所は、プログラムの量は、副作用としての脳梗塞を発症するだけの条件が十分であったとまでは認めることはできないこと、プログラムの投与が原因とされる脳梗塞の発症例が多いということはできないことから、過剰投与と脳梗塞との相当因果関係を否定しました。

 う~ん。どうなんでしょう。。。。

2018年11月25日 (日)

【内科】 担当医師の専門外の疾患について、患者に対する診療契約上の専門医紹介義務及び同義務違反が認められた事例

 判例タイムズNo1453号で紹介された京都地裁平成28年2月17日判決です。

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 専門医の紹介義務については、以下のとおり解説されています。

 「医師は、診療当時の臨床医学の実践における医療水準に従って診療行為を行う注意義務を負うとされているが、医師は各々専門分野を有しているため、専門外の疾患が判明した場合には、的確な判断、処置が困難となる場合があり、その際には、適切な診療が受けられる医療機関への転医や転院先の紹介の問題が生じ、このような義務を医療機関に課すべきかについては、診療契約上の義務や不法行為上の注意義務として論じられることがある」

 「本件は、受診した医療機関にとっては、専門外の疾患であること、診療時の医師と患者の診療内容(甲状腺専門医であるためにB型慢性肝炎の治療を積極的にはできないが、肝機能の悪化が認められれば、肝臓専門医を紹介する旨のやりとりをしていたこと)などを考慮し、診療契約上の義務として、専門医への紹介義務を肯定し、血液検査の結果、B型慢性肝炎肝硬変への進行が疑われる数値が現れた時点で、担当医師自身もカルテに「肝機能↑」と記載していることや、担当医師が認定医の資格からB型慢性肝炎の進行可能性を予見することが可能であったなどとして、原告を肝臓の専門医療機関に紹介すべき義務違反を認めた」

 

2018年11月 3日 (土)

【歯科】 下顎智歯の抜歯に際し、歯科医師に、抜歯以外の治療方法の選択肢及び舌の知覚・味覚障害の後遺症が残るリスクがあることに関する説明義務違反が認められた事例 

 判例タイムズNo1452号で紹介された東京地裁平成29年3月23日判決です。

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 医師や歯科医師には、患者の疾患の治療のために手術を実施するに当たっては、診療契約に基づき、特別の事情のない限り、患者に対し、当該疾患の診断(病名と病状)、実施予定の手術の内容、手術に付随する危険性、他に選択可能な治療方法があれば、その内容と利害得失、予後などについて説明すべき義務があること(最高裁平成13年11月27日判決)、

 本判決は、原告の左側舌顎智歯の抜歯にあたって、抜歯以外に選択可能な治療方法として、鎮痛剤・消炎剤等の投薬による智歯の保存という方法があること、

 また、抜歯に付随する危険性として、舌の知覚・味覚障害の後遺症が残るリスクがあることについて、被告に説明義務違反があったと認めました。

 手術に付随する危険性や合併症については、発生可能性のあるあらゆるものについて説明すべき義務があるものではなく、一般的な医学文献への記載の有無、発生頻度、結果の重大性等に照らし、当該手術で生じ得る代表的なものや重大なものについて説明すべき義務があると解するのが一般的な理解であると思われ、本判決もこのような前提に立つて検討がなされています。

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